JP2013521073A - 義歯接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩を含む、高い保持力及び改善された味を有する義歯接着剤組成物。i)カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、又はこれらの組み合わせから選択される約60%〜約72%のカチオン、ii)0%〜約10%のナトリウムカチオン、iii)1%未満の亜鉛カチオン、及びiv)約25%〜約40%の遊離酸成分を含むカチオン性塩機能成分を含むアルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩を、組成物の約25重量%〜約45重量%含み、更に、約200,000〜約1,000,000ダルトンの分子量を有する、組成物の約15重量%〜約25重量%のカルボキシメチルセルロース、及び担体を含む組成物。このような組成物を義歯、口腔、又はその両方に適用した後、義歯を口腔の歯槽堤又は口蓋に固定することにより口腔への義歯の接着性を向上させる方法。

Description

本組成物は、AVE/MAポリマーの塩を含む義歯接着剤に関する。
一般的な可撤性義歯、義歯床などは、適当なプレート又は土台に歯が取り付けられたものからなる。義歯接着剤を含む義歯安定剤が、義歯と歯肉又は組織との間の隙間を充填するために使用されている。口腔内に義歯を配置するのに先立って、義歯プレート表面に義歯安定剤が適用されるが、義歯がぴったりと嵌まるためには、この表面が歯肉及び粘膜組織と均一に接触しなければならない。義歯安定剤は、その接着特性についてのみでなく、義歯と歯肉又は組織との間にクッション又はガスケットを与えるように配合され、これにより口腔内に義歯をしっかりと位置決めする。
改良された義歯接着組成物を開発すべく、長年にわたって多大な努力が費やされてきた。特定の問題を解消すべく、合成並びに天然ポリマー及び歯肉いずれもが、単独で、組み合わせで、更に各種の接着剤及び他の材料との組み合わせで使用されてきた。これらの問題点としては、不適切な保持力及び汚さ、並びに口腔及び義歯からの残留接着剤の除去が困難であることがある。更に、義歯と着用者の口腔との間に食べ物が挟まる場合がある。更に、特定の成分が着用者にとって望ましくない味がする場合がある。
当該技術分野にあっては、アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマー及びその塩の義歯接着剤組成物における使用が知られている。このような開示としては、ジャーマン(Germann)らに付与された1961年10月10日発行の米国特許第3,003,988号、クマール(Kumar)らに付与された1990年12月25日発行の米国特許第4,980,391号、ホレバ(Holeva)らに付与された1991年12月17日発行の米国特許第5,073,604号、プロサイス(Prosise)らに付与された1999年5月4日発行の米国特許第5,900,470号、タジ(Tazi)らに付与された1991年8月6日発行の米国特許第5,037,924号、タジ(Tazi)らに付与された1992年1月21日発行の米国特許第5,082,913号、及びクラーク(Clarke)に付与された1996年6月11日発行の米国特許第5,525,652号がある。更に、ストリップ又はインサート義歯接着剤も知られている。上記に述べた技術及び多くの他の技術にもかかわらず、高い保持力及び改善された味を与える義歯安定組成物が依然、求められている。
本発明に基づけば、マグネシウム、ストロンチウム、及びカルシウム塩の組み合わせを特定の濃度の遊離酸とともに含む、アルキルビニルエーテルマレイン酸コポリマーを含む義歯接着剤組成物を使用することで高い保持力及び改善された味特性を得ることができる。
米国特許第3,003,988号 米国特許第4,980,391号 米国特許第5,073,604号 米国特許第5,900,470号 米国特許第5,037,924号 米国特許第5,082,913号 米国特許第5,525,652号
本発明は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩を含む義歯接着剤組成物であって、この接着剤組成物が、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、又はこれらの組み合わせから選択される約60%〜約72%のカチオン、約0%〜約10%のナトリウムカチオン、1%未満の亜鉛カチオン、及び約25%〜約40%の遊離酸成分を含むカチオン性塩機能成分を含むアルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩を、組成物の約25重量%〜約45重量%含み、この組成物が更に、組成物の約15重量%〜約25重量%の約200,000〜約1,000,000ダルトンの分子量を有するカルボキシメチルセルロース、及び担体を含む、義歯接着剤組成物に関する。
本発明は更に、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩を含む義歯接着剤組成物であって、i)約60%〜約70%のカルシウムカチオンと、ii)0%〜約5%のナトリウムカチオンと、iii)実質上0%の亜鉛カチオンと、iv)約25%〜約35%の遊離酸成分と、から基本的になるカチオン性塩機能成分を含む、組成物の約25重量%〜約45重量%のアルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩と、約500,000〜約900,000の分子量を有する、組成物の約15重量%〜約25重量%のカルボキシメチルセルロースと、非水溶性の液体、ゲル、熱可塑性固体、又はこれらの組み合わせを含む担体と、から基本的になる義歯接着剤組成物に関する。
本発明は更に、カチオン性塩機能成分が実質上亜鉛カチオンを含まないこのような組成物に関する。
本発明は更に、カチオン性塩機能成分が、カルシウムカチオン、及び約25%〜約35%の遊離酸成分から基本的になる上記の組成物に関する。
本発明は更に、約65%〜約70%のカルシウムカチオン、約0%〜約5%のナトリウムカチオン、及び約28%〜約32%の遊離酸成分から基本的になる上記の組成物に関する。本発明は更に、接着剤組成物が、組成物の約15重量%〜約25重量%のカルボキシメチルセルロースを含む上記の組成物に関する。
本発明は更に、カルボキシメチルセルロースが約600,000〜約800,000の分子量を有する上記の組成物に関する。
本発明は更に、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩が1,250,000よりも大きい分子量を有する上記の組成物に関する。
本発明は更に、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩が、25℃の1%メチルエチルケトン溶液中で測定した場合に約2.5〜約3.8の比粘度を有する上記の組成物に関する。
本発明は更に、追加の接着剤成分、可塑剤、着色剤、防腐剤、増粘剤、賦形剤、香料、芳香剤、知覚剤(sensate)、及びこれらの混合物からなる群から選択される1以上の成分を更に含む上記の組成物に関する。
本発明は更に、カチオン性塩機能成分が、約65%〜約70%のカルシウムカチオン、及び約28%〜約32%の遊離酸成分から基本的になる上記の組成物に関する。
本発明は更に、接着剤組成物が、約600,000〜約800,000の分子量を有するカルボキシメチルセルロースを組成物の約15重量%〜約25重量%含む上記の組成物に関する。
本発明は更に、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩が、1,250,000よりも大きい分子量を有する上記の組成物に関する。
本発明は更に、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩が、25℃の1%メチルエチルケトン溶液中で測定した場合に約2.5〜約3.8の比粘度を有する上記の組成物に関する。
本発明は更に、少なくとも1つの非接着性自己支持層を更に含む上記の組成物に関する。
本発明は更に、担体が微結晶性ワックスを含む上記の組成物に関する。
本発明は更に、組成物がマグネシウムを実質上含まない上記組成物に関する。
本発明は更に、組成物がナトリウムを実質上含まない上記組成物に関する。
本発明は更に、組成物がストロンチウムを実質上含まない上記組成物に関する。
本発明は更に、上記の組成物を義歯、口腔、又はその両方に適用した後、義歯を口腔の歯槽堤又は口蓋に固定することにより、口腔への義歯の接着性を向上させる方法に関する。
本発明の義歯接着剤組成物は、カルボキシメチルセルロースを、特定の遊離酸濃度を有するアルキルビニルエーテルマレイン酸コポリマーのマグネシウム、ストロンチウム、及び/又はカルシウム塩と組み合わせて含み、場合により0%〜約10%のナトリウムカチオンを含み、亜鉛カチオンを実質上含まないものである。
本接着剤組成物は、成形体、粉末、クリーム、ペースト、液体、エアロゾル、及び/又はウェーハの形態であってよい。粉末形態は、歯科補綴物に振りかけ、水で濡らしてから口腔内に挿入することができる。本組成物は、各種の従来の投与用溶媒と合わせて液体又はペーストとし、これを歯科補綴物に塗布して、口腔内に挿入することもできる。これらの組成物は、場合により、少なくとも1つの非接着性の自己支持層を含みうる。自己支持層を含む歯科接着剤組成物は、充分に水で濡らしてから義歯に適用することができる。本発明の必須成分及び任意成分について以下に詳細に述べる。
用語の定義
本明細書において使用するところの「安全かつ有効な接着剤の量」なる用語は、使用者に対する毒性、口腔組織に対する傷害、及び義歯材料の変性をともなわずに、口腔に対する接着性並びに/又は口腔の口蓋及び歯槽堤に対する歯科補綴物の接着性を与えるうえで充分な量のことを意味する。
本明細書において使用するところの「AVE/MA」なる用語は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸コポリマーのことを指して言う。本明細書において使用するところの「混合ポリマー塩」又は「混合塩」なる用語は、同じポリマー上で少なくとも2種類の異なるカチオンが互いに、又は他のエステル官能基と混在するAVE/MAの塩のことを指して言う。
本明細書において使用するところの「遊離酸」(「FA」)成分なる用語は、AVE/MAの未反応のカルボキシル基(−COOH)のことを指して言う。
本コポリマーの塩機能成分について述べるために本明細書において使用される比率(%)は、ポリマー上で反応した最初のカルボキシル基全体の化学量論的比率(%)として定義される。本明細書で使用される他のすべての比率(%)は、特に断らないかぎりは重量に基づいたものである。
ポリマー
アルキルビニルエーテルマレイン酸(「AVE/MA」)コポリマーは、以下の繰り返し構造単位からなる。
Figure 2013521073
[式中、Rは、アルキルラジカル、いくつかの実施形態ではC〜Cのアルキルラジカルを表し、nは、ポリマー1分子中の構造単位の繰り返し数を表す1よりも大きい整数である。]
本義歯接着剤組成物は、カチオン性塩機能成分を含む、AVE/MAコポリマーの塩又は混合塩を含む。カチオン性塩機能成分は、約60%〜約72%のマグネシウム、ストロンチウム、及び/又はカルシウムカチオン、0%〜約10%のナトリウムカチオン、1%未満の亜鉛カチオン(あるいは亜鉛をほぼ含まない)、並びに約25%〜約40%の遊離酸成分を含む(あるいはこれらから基本的に構成される、あるいはこれらから構成される)。
AVE/MAコポリマーは、一定の範囲の比粘度を有している。例えば、比粘度は、25℃のメチルエチルケトン中、開始物質であるコポリマーの無水物又は酸の1%重量/体積溶液として測定した場合に、少なくとも2.0、あるいは2.5以上、あるいは約2.5〜約5でありうる。一実施形態では、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩は、25℃の1%メチルエチルケトン溶液として測定した場合に約2.5〜約3.8の比粘度を有する。
AVE/MAコポリマーは、少なくとも約1,250,000ダルトンの分子量を有する。いくつかの実施形態では、分子量は、約1,500,000〜約3,000,000ダルトン、あるいは約1,700,000〜約2,100,000ダルトン、又は約1,800,000〜約2,000,000ダルトンである。
市販の本明細書において有用なAVE/MAコポリマーとしては、それらのカタログ記載の材料について、それぞれ約1,980,000及び2,400,000の典型的な分子量を有する、インターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)より販売されるGANTREZ AN169又はGANTREZ179がある。別の市販の適当なポリマーとしては、やはりインターナショナル・スペシャルティー・プロダクツ社(International Specialty Products)より販売されるAN169 BFがある。
AVE/MAコポリマーは反応して、カチオン性塩機能成分を含む塩を生成する。カチオン性塩機能成分は、約60%〜約72%のカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、及びこれらの組み合わせから選択されるカチオンを含む。いくつかの実施形態では、カチオン性塩機能成分は、約60%〜約70%、あるいは約61%〜約69%、あるいは約62%〜約68%、あるいは約63%〜約67%のカルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、及びこれらの組み合わせから選択されるカチオンを含む。いくつかの実施形態では、カチオン性塩機能成分中のマグネシウムカチオンの濃度は、反応させられる最初のカルボキシル基の約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、又は40%〜約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%又は70%の任意の範囲の組み合わせであってよい。いくつかの実施形態では、カチオン性塩機能成分中のストロンチウムカチオンの濃度は、反応させられる最初のカルボキシル基の約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、又は40%〜約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%又は70%の任意の範囲の組み合わせであってよい。いくつかの実施形態では、カチオン性塩機能成分中のカルシウムカチオンの濃度は、反応させられる最初のカルボキシル基の約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、又は40%〜約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%又は70%の任意の範囲の組み合わせであってよい。
いくつかの実施形態では、カチオン性塩機能成分は、0%〜約10%、あるいは0%〜約5%、あるいは約1%〜約4%、約1%〜約3%、又は約0.5%〜約2%のナトリウムカチオンを含みうる。いくつかの実施形態では、カチオン性塩機能成分は、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ナトリウム、カリウム、ジルコニウム、ストロンチウム、マグネシウム、及び/又はアルミニウムを実質上含まずともよい。いくつかの実施形態では、カチオン性塩機能成分は、亜鉛カチオンを実質上含まない。理論によって制約されるものではないが、カチオン性塩機能成分中の亜鉛(及び他の金属)カチオンの量を制限することによって、全体的な製品の味を向上させることができる。亜鉛は不快な味を有することが知られており(例えば米国特許第6,169,118号を参照)、したがって、全体として亜鉛を実質上含まない組成物を配合することが望ましい場合がある。「実質上含まない」なる語句は、0.0001%未満、好ましくは0.001%未満、より好ましくは0.01%未満、更により好ましくは0.1%未満を意味する。
いくつかの実施形態では、カチオン性塩機能成分は約25%〜約40%の遊離酸成分を含む。他の実施形態では、遊離酸成分は、約25%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、又は39%〜約30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、又は40%の任意の範囲の組み合わせでよい。理論によって制約されるものではないが、遊離酸成分の量は、遊離酸の量がより多くなると、湿った粘膜付着性表面に対する接着性を与える部位がより多くなるという点で意味がある。更に、このような遊離酸の量は、カルボキシメチルセルロースのような併用される接着剤との相互作用を最適化するうえで有用であるとも考えられる。しかしながら、遊離酸が多すぎると、金属架橋を減少させ、かつ/又はポリマー塩の溶解性を増大させ、その結果、凝集性の低下につながりうる。したがって、遊離酸成分の量は、本組成物の良好な接着性を得るうえで、特にカルボキシメチルセルロースのような併用される接着剤を含む組成物では重要となる。
アルキルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマーは、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ジビニルエーテル、プロピルビニルエーテル及びイソブチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテルモノマーを無水マレイン酸と共重合させることによって、酸コポリマーに容易に加水分解可能な対応するアルキルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーを生成することによって得られる。適当なコポリマーは、例えば米国特許第2,782,182号、及び同第2,047,398号などの先行技術の周知の方法によって調製することができる。無水物型及び酸型はいずれも商業的供給元から販売もされている。例えば、ジー・エー・エフ社(GAF Corporation)(ニュージャージー州ウェイン)は、ポリマー遊離酸型(I)及び対応する無水物型の両方を、「GANTREZ」の商標でそれぞれ「GANTREZ Sシリーズ」及び「GANTREZ ANシリーズ」として提供している。無水物コポリマーは水に溶解すると、無水物結合が切断されて極性の高いポリマー遊離酸(I)を生成する。したがって、酸型と比較して比較的安価である無水物型を、便宜のよいより安価な酸の前駆物質として使用することができる。無水物から酸への加水分解の速度を高めるために高温を有利に用いることができる。
本発明のポリマーの塩の形態は、AVE/M無水物又は酸コポリマーと、マグネシウム、ストロンチウム、又はカルシウム、及び場合によりナトリウム、例えば水酸化物、酸化物、酢酸エステル、ハロゲン化物、乳酸エステルなどのカルボン酸の反応物質に一般的に見られる官能基を有する化合物などの少なくとも1種類のカチオン性塩機能成分との、水性媒質中での相互作用によって調製することができる。一実施形態では、酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、及び/又は水酸化カルシウムが用いられる。
毒性、刺激性又は汚染性の副生成物を生成するイオンは避けなければならず、あるいはポリマー塩の最終生成物からこうした副生成物が確実に除去され、最終生成物に含まれないように、特別な措置及び処理が講じられなければならない。使用される特定の化合物は、実質上純粋なポリマー塩の最終生成物が確実に得られるように実質上純粋なものでなければならない。
粒子状金属化合物の水性分散液を、スラリーの形態の粉末状ポリマーと、最終生成物中に望ましい所望のカチオン含量を与えるだけの充分な量で加え合わせることができる。これは室温の後、カチオン性ポリマー塩の局所的な沈殿を防止するために連続的に激しく混合しながら70℃〜95℃に徐々に加熱することによって行われ、塩形成化合物がすべて、コポリマーと反応するように混合を継続する。
また、このポリマーは、1以上の二価及び/又は一価の金属塩基の水性混合物又はスラリー中で、ポリマー/塩基混合物を約45℃〜約100℃の範囲の温度にまで加熱することによって加水分解及び中和することもできる。上記のプロセスのいずれにおいても、得られたスラリー又は溶液は、浅いステンレス鋼の乾燥トレイに移し、60〜70℃の強制空気機械対流式オーブン中に、反応媒質(水)が蒸発して、ポリマーから水が除去されるのに充分な時間(約18〜24時間)にわたって置くことができる。また、得られたスラリー又は容器は、高温蒸気により100℃〜200℃でドラム乾燥することで、含有される水を蒸発させ、ポリマーを薄片として回収することもできる。乾燥後、ポリマーは脆い薄片となるが、これはトレイ又はドラム表面から容易に剥離することができ、所望通りに微粉末に粉砕することで充分な義歯安定特性を与えることができる。これらのAVE/MAポリマーの塩の製造方法は、1991年12月17日発行のホレバ(Holeva)らに付与された米国特許第5,073,604号、1999年2月16日発行のリャン(Liang)らに付与された米国特許第5,872,161号、及び1998年11月3日発行のシノディス(Synodis)らに付与された米国特許第5,830,933号に更に開示されている。
この塩ポリマーは、水又は唾液との接触時に良好な味及び/又は接着特性を有することから、義歯組成物中の義歯接着材料として極めて有用である。本発明の組成物は、安全かつ有効な塩ポリマーの接着剤の量、いくつかの実施形態では少なくとも10、20、30又は40重量%の量を、単独の接着剤成分として、又は他の接着剤成分と併用される併用接着剤として含むものである。
カルボキシメチルセルロース
本明細書における義歯接着剤組成物は、接着剤組成物の約10重量%〜約30重量%、場合により約15重量%〜約25重量%、又は約17重量%〜約20重量%のカルボキシメチルセルロースを更に含む。一実施形態では、カルボキシメチルセルロースは、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。本明細書において有用なカルボキシメチルセルロース材料には、少なくとも200,000ダルトンの分子量を有するものが含まれる。いくつかの実施形態では、カルボキシメチルセルロースは、約200,000〜1,000,000ダルトン、あるいは約500,000〜900,000ダルトン、又は約600,000〜約800,000ダルトンの分子量を有する。本明細書において有用な市販のカルボキシメチルセルロースの例としては、そのカタログ記載の材料について、約700,000ダルトンの一般的な分子量を有する、アクアロン社(Aqualon)より販売される7Hシリーズのカルボキシメチルセルロースがある。市販のカルボキシメチルセルロースの他の例としては、アクアロン/ハーキュレス社(Aqualon/Hercules)より販売される7H3SX8F、及びシー・ピー・ケルコ/ノビアント/ヒューバー社(C.P. Kelco/Noviant/Huber)より販売されるCEKOL 30,000Pがある。
担体
本発明の義歯接着剤組成物は、約2%〜約80%、別の実施形態においては約30%〜約70%の、非水溶性の液体、ゲル、熱可塑性固体、又はこれらの組み合わせなどの担体を含む。
一般的には、鉱油とペトロラタムとの非水溶性の混合物を用いて本組成物を懸濁液とすることができる。液体/ゲル賦形剤/担体中の固体粒子のこのような懸濁液は、義歯接着剤クリーム又はペーストとも呼ばれる。いくつかの実施形態では、本組成物は、安全かつ有効な量の非水溶性成分(wic)を含む。一実施形態では、この成分は、組成物の重量に対して約2、5、10、20、25、30、35%〜約45、50、60、70、90%、又はこれらの任意の組み合わせの量で存在する。更なる実施形態では、この非水溶性成分は、組成物の約20重量%〜約70重量%、約25重量%〜約60重量%、又は約35重量%〜約60重量%の量で存在する。更に別の実施形態では、非水溶性成分は、水中で実質上膨潤しない。いくつかの実施形態では、非膨潤性非水溶性成分の水中での膨潤率は、約10%、5%、2%、又は1%未満である。
一実施形態では、非水溶性成分は、液体、ゲル、又はこれらの混合物を含む。一実施形態では、非水溶性成分は、天然ワックス、合成ワックス、ペトロラタム、ポリ酢酸ビニル、天然油、合成油、脂肪、シリコーン、シリコーン誘導体、ジメチコン、シリコーン樹脂、炭化水素、炭化水素誘導体、精油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ポリブテン、オレイン酸、ステアリン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。更なる実施形態では、非水溶性成分は、ペトロラタム、ポリ酢酸ビニル、天然油、合成油、脂肪、シリコーン、シリコーン誘導体、ジメチコン、シリコーン樹脂、炭化水素、炭化水素誘導体、ポリブテン、オレイン酸、ステアリン酸、精油、又はこれらの組み合わせを含む。
天然油の例としては、これらに限定されるものではないが、植物油(例えば、コーンオイル)、大豆油、綿実油、パーム油、ヤシ油、鉱油、動物油(例えば、魚油)などが挙げられる。合成油の例としては、これらに限定されるものではないが、シリコーンオイルなどが挙げられる。一実施形態では、非水溶性成分は天然油を含む。更なる実施形態では、非水溶性成分は、ペトロラタムを実質上含まない。別の実施形態では、非水溶性成分はペトロラタムを更に含む。他の実施形態では、非水溶性成分は、例えばカルメット・スペシャルティー・プロダクツ社(Calumet Specialty Products)より販売される鉱物ゼリーNo.4、5、10、15、又は20などの鉱物ゼリーを含んでもよい。
更なる実施形態では、天然油は鉱油を含む。一実施形態では、鉱油は組成物中に約30%〜約50%の量で存在し、別の実施形態では約35%〜約45%の量で存在する。いくつかの実施形態では、鉱油は、白色鉱油、軽油、又は工業グレードの鉱油であってよい。軽油は、例えばDrakeol 5、10、13、又は15であってよい。白色鉱油は、例えばDrakeol 19、21、34、35、又は600であってよい。
いくつかの実施形態では、非水溶性成分はワックスを含む。ワックスは一般的に、炭化水素(直鎖又は分枝アルカン及びアルケン)、ケトン、ジケトン、一級及び二級アルコール、アルデヒド、ステロールエステル、アルカン酸、テルペン(スクアレン)及びモノエステル(ワックスエステル)などの様々な物質で構成される。異なる種類のワックスとしては、動物及び昆虫ロウ(蜜ロウ、いぼたロウ、シェラックロウ、鯨ロウ、ラノリン)、植物ロウ(ヤマモモロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、カスターロウ、エスパルトロウ、ジャパンロウ、ホホバオイル、オーリキュリーロウ、米ぬかロウ)、鉱ロウ(セレシンロウ、モンタンロウ、オゾケライト、泥炭ロウ)、石油ワックス(パラフィンワックス又は微結晶性ワックス)、及び合成ワックス(ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、化学変性ワックス、置換アミドワックス、重合α−オレフィン)が挙げられる。
一実施形態では、非水溶性成分は天然又は合成ワックスを含む。更なる実施形態では、天然ワックスは、動物ロウ、植物ロウ、鉱ロウ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。別の実施形態では、動物ロウとしては、蜜ロウ、ラノリン、シェラックロウ、いぼたロウ、及びこれらの組み合わせが挙げられる。別の実施形態では、植物ロウとしては、カルナウバ、キャンデリラ、ヤマモモ、サトウキビ、及びこれらの組み合わせが挙げられ、鉱ロウとしては、化石又は地ロウ(オゾケライト、セレシン、モンタン)、並びにパラフィン及び微結晶性ワックスなどの石油ワックス、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、本明細書におけるワックスは、蜜ロウ、キャンデリラ、カンデラ、カルナウバ、パラフィン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される天然ワックスである。異なる実施形態において、ワックスは約1、2、5、8%〜約5、10、20、30%、又はこれらの任意の組み合わせの量で存在してよい。
別の実施形態では、天然ワックスはパラフィンワックスを含む。本明細書において有用なパラフィンワックスは一般的に、約65℃〜約80℃、別の実施形態では、約70℃〜約75℃の融点の範囲を有しうる。別の実施形態では、本明細書において有用な微結晶性ワックスは、約65℃〜約90℃、別の実施形態では約80℃〜約90℃の融点を有しうる。一実施形態では、本明細書において有用な蜜ロウは、約62℃〜約65℃の融点及び242℃の引火点を有しうる。別の実施形態では、本明細書において有用なキャンデリラロウは、約68℃〜約72℃の融点を有しうる。更なる実施形態では、本明細書において有用なカルナウバロウは、約83℃〜約86℃の融点を有しうる。一実施形態では、本明細書において有用なフィッシャートロプシュワックスは、約95℃〜約120℃の融点を有しうる。天然グレードに類似した性質を有する合成グレードの蜜ロウ、キャンデリラ、及びカルナウバロウも入手可能である。
一実施形態では、非水溶性成分はペトロラタムを含む。Hawley’s Condensed Chemical Dictionary 13th Edition,John Wiley & Sons,1997によれば、ペトロラタムとは、「パラフィンを主成分とする石油留分の蒸溜によって誘導される炭化水素の混合物」であり、米国薬局方2005年度版によれば、ペトロラタムとは、「石油から得られる半固体状の炭化水素の精製混合物」である。ペトロラタムは「天然石油」とも呼ばれる。ペトロラタムは、米国薬局方2005年度版によれば38℃〜60℃、メルクインデックス第10版(1983)によれば38℃〜54℃の融点範囲を有するとされている。ペトロラタムは、ソンボーン社(Sonneborn Inc.)の製品カタログによれば、ASTM D−937によって測定した「円錐体貫通値」が180〜約245の範囲であるような広範なグレードのものが入手可能である。
一実施形態では、非水溶性成分は、約60℃よりも高い融点を有する。いくつかの実施形態では、非水溶性熱可塑性成分は、所定の範囲、開始点及び/又は終了点をなす、約35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、〜約110℃、120℃、150℃、175℃、200℃、及び/又はこれらの任意の組み合わせからの融点を有する。別の実施形態では、本組成物は、約75℃よりも高い融点を有する非水溶性可塑性成分を実質上含まない。
いくつかの実施形態では、担体は微結晶性ワックスを含む。微結晶性ワックスは、精製されたものでもよく、かつ/又は実質上純粋なものであってもよい。更なる実施形態では、ペトロラタムは微結晶性ワックスを与えない。本明細書に援用するところの「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」,2nd Edition,Vol.17,p.788では、微結晶性ワックスの分子量は450〜800の範囲であると述べている。本明細書に援用するところの「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」,5th Edition,vol.26,p.216では、微結晶性ワックスは以下の典型的な性質を有するとしている。すなわち、引火点(閉鎖カップ)=260℃、98.9℃における粘度=10.2〜25mm/s、融点範囲=60℃〜93℃、98.9℃における屈折率=1.435〜1.445、平均分子量=600〜800、分子1個当たりの炭素原子数=30〜75、固体ワックスの展性/結晶性=展性/可塑性〜靱性/脆性であり、一実施形態では、粘度指数改良剤はこれらの特定の性質を有している。
別の実施形態では、微結晶性ワックスは、約50℃〜約100℃の範囲の融点を有する。更なる実施形態では、微結晶性ワックスは、約50℃、55℃、60℃、65℃、70℃〜約70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、又はこれらの範囲の任意の組み合わせの融点を有する。特定の一実施形態では、微結晶性ワックスは、約75℃〜約85℃の範囲に融点を有する。
別の実施形態では、微結晶性ワックスは、クロンプトン、ソンボーン社(Crompton,Sonneborn)(ウィトコ)によって製造され、Multiwax(登録商標)W−835の商品名にて呼称、販売されるものである。このワックスは、融点が約73.9℃〜約79.4℃の範囲であり(ASTM D−127によって測定)、25℃における貫通性が約60〜約80であり(ASTM D−1321によって測定)、98.9℃における動粘度が約75〜約90セイボルトユニバーサル秒であり(ASTM D−2161によって測定)、COC(クリーブランド式開放カップ)引火点が少なくとも約246℃であり(ASTM D−92によって測定)、凝結点が約68℃〜約77℃である(ASTM D−938によって測定)。
別の実施形態では、微結晶性ワックスは、クロンプトン、ソンボーン社(Crompton、Sonneborn)(ウィトコ)によって製造され、Multiwax(登録商標)180Wの商品名にて呼称、販売されるものである。このワックスは、融点が約79℃〜約87℃の範囲であり(ASTM D−127によって測定)、25℃における貫通性が約15〜約22であり(ASTM D−1321によって測定)、98.9℃における動粘度が少なくとも約75セイボルトユニバーサル秒であり(ASTM D−2161によって測定)、COC(クリーブランド式開放カップ)引火点が少なくとも約277℃であり(ASTM D−92によって測定)、凝結点が約75℃〜約82℃である(ASTM D−938によって測定)。
別の実施形態では、微結晶性ワックスは、クロンプトン、ソンボーン社(Crompton、Sonneborn)(ウィトコ)によって製造され、Multiwax(登録商標)W445の商品名にて呼称、販売されるものである。このワックスは、融点が約77℃〜約82℃の範囲であり(ASTM D−127によって測定)、25℃における貫通性が約25〜約35であり(ASTM D−1321によって測定)、98.9℃における動粘度が約75〜約90セイボルトユニバーサル秒であり(ASTM D−2161によって測定)、COC(クリーブランド式開放カップ)引火点が少なくとも約277℃であり(ASTM D−92によって測定)、凝結点が約72℃〜約77℃である(ASTM D−938によって測定)。
微結晶性ワックス及びパラフィンワックスはいずれも石油ワックスであるが、これらの間には特定の相違点がある。微結晶性ワックスは、石油精製プロセスからの特定の留分を脱油することによって製造される固体の飽和脂肪族炭化水素の精製混合物である。大部分非分枝アルカンを含有するよく知られたパラフィンワックスと異なり、微結晶性ワックスはイソパラフィン系(分枝)炭化水素及びナフテン系炭化水素を高い割合で含有している。微結晶性ワックスは、パラフィンワックスの大きな結晶に対して、その微細な結晶によって特徴付けられる。微結晶性ワックスは、高分子量の飽和脂肪族炭化水素からなる。微結晶性ワックスは一般的に、パラフィンワックスと比較してより色が濃く、より粘稠、高密度、高粘着性、かつより高弾性であり、より高い分子量及び融点を有している。微結晶性ワックスの弾性及び粘着特性は、微結晶性ワックスが含む非直鎖成分と関係している。一般的な微結晶性ワックスの結晶構造は、微小かつ薄いものであり、パラフィンワックスと比較して微結晶性ワックスの可撓性をより高いものとしている。
「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」,Volume 17 p.788,1989 John Wiley & Sons)によれば、パラフィンワックスの分子量は約280〜560(C20〜C40)の範囲であり、微結晶性ワックスの分子量は450〜800(C35〜C60)の範囲である。パラフィンワックス中のn−アルカンの量は、通常75%を上回り、100%である場合もあるが、微結晶性ワックスは、主としてイソパラフィン系及びナフテン系の飽和炭化水素と、いくらかのn−アルカンとから構成される。
Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,2005によれば、パラフィンワックスの数平均分子量は350〜420、分子当たりの炭素数は20〜36個であり、微結晶性ワックスの数平均分子量は600〜800、分子当たりの炭素数は30〜75個である。パラフィンワックスは巨大結晶性かつ脆性であり、40〜90%の直鎖アルカンと、残りのC18〜C36イソアルカン及びシクロアルカンとから構成される。パラフィンワックスは、主として直鎖アルカンからなる石油ワックスである。微結晶性ワックスは、直鎖アルカンに加えて相当な割合の分枝状及び環状飽和炭化水素を含む石油ワックスである。ワックスの屈折率及びASTM D−938によって測定されるその凝固点に基づいた分類体系が開発されている。パラフィンワックスの98.9℃における屈折率は1.430〜1.433であり、微結晶性ワックスの98.9℃における屈折率は1.435〜1.445である。パラフィンワックスは結晶に砕けやすいが、微結晶性ワックスは展性/可塑性〜靱性/脆性である。パラフィンワックスが油に対する親和性がほとんどないのに対して、微結晶性ワックスは油に対する親和性が高い。パラフィンワックスと異なり、油は微結晶性ワックスの結晶格子内にしっかりと保持され、表面に移動することはない。Hawley’s Condensed Chemical Dictionary 13th Edition,John Wiley & Sons,1997によれば、パラフィンワックスは、約47〜65℃の融点を有し、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Woley & Sons,2005によれば46〜68℃の融点を有するとされている。Hawley’s Condensed Chemical Dictionary 13th Edition,John Wiley & Sonsによれば、微結晶性ワックスは、約63〜88℃の融点を有し、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,John Wiley & Sons,2005によれば、60〜93℃の融点を有するとされている。
いくつかの実施形態では、本発明において使用される非水溶性熱可塑性成分及び/又は粘度指数改良剤は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60〜約25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、250の貫通値を、範囲をなす任意の数の組み合わせとして有する。
いくつかの実施形態では、微結晶性ワックスなどの非水溶性熱可塑性成分及び/又は粘度指数改良剤は、石油の平均分子量よりも大きな平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、非水溶性成分及び/又は粘度指数改良剤は、鉱油とペトロラタムとを合わせた混合物よりも大きな分子量を有し、より高度に分枝し、より高い可撓性、強度、靱性、より高い融点、及び/又はより高い結晶性を有する。
任意成分としての非接着性自己支持層
本発明の義歯接着剤組成物は、必要に応じて少なくとも1つの非接着性自己支持層を有する。非接着性自己支持層は、水及び/又は唾液の存在下で接着剤組成物の強度を維持し、接着剤組成物に一体性を与えるその機能によって特徴付けられる。非接着性自己支持層は、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、レーヨン、酢酸セルロース、非接着性セルロース誘導体、布地、繊維状フリース、紙、プラスチック、皮革、微結晶性ワックス、合成繊維、天然繊維、及びこれらの混合物などの材料を含みうる。いくつかの実施形態は、非接着性セルロース誘導体、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン、レーヨン、布地、紙、微結晶性ワックス、又はこれらの混合物を含みうる。いくつかの実施形態は、ポリエステル、ポリプロピレン、レーヨン、ナイロン、布地、及び/又は紙を含みうる。
非接着性自己支持層は、本発明の接着剤組成物に強度及び/又は一体性を与えるうえで適した任意の物理的形態とすることができる。こうした物理的形態としては、不織布、織布、連続的なもの、切断されたもの、及びこれらの組み合わせが挙げられる。更に、非接着性自己支持層は、当該技術分野においては一般的に知られる任意のプロセスによって形成することもできる。このようなプロセスとしては、非接着方式、スプレー接着、スパンボンド、ニードルパンチ、カーディング、熱接合水流交絡、メルトブローン、アパーチャプリント結合、縫合、湿式載置、乾式載置、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
他の接着剤組成物
本発明の組成物は、他の接着剤組成物を更に含んでもよい。これらの接着剤組成物が添加される場合、安全かつ有効な接着剤量で用いられる。一般に、他の接着剤成分は、組成物の約0重量%、10重量%、20重量%、30重量%、又は40重量%〜約50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、又は90重量%の範囲の任意の組み合わせの濃度で存在してよい。
適当な接着剤成分には、水分に曝露されると膨潤して粘性の塊を形成する性質を有する水溶性かつ親水性のコロイド又はポリマーが含まれる。このような接着剤材料としては、天然ゴム、合成ポリマーゴム、AVE/MAコポリマー酸、AVE/MAコポリマー無水物、AVE/MA/IB、合成ポリマー、粘膜付着性ポリマー、親水性ポリマー、糖誘導体、他のセルロース誘導体、及び、義歯安定化組成物中に一般的に使用され、本発明の対象のポリマーと相溶性を有する接着剤材料、並びにこれらの混合物が挙げられる。こうした材料の例としては、カラヤゴム、グアーガム、ゼラチン、アルギン、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キトサン、ポリエチレングリコール、アクリルアミドポリマー、カーボポール、ポリビニルアルコール、ポリアミン、ポリ四級化合物、ポリブテン、シリコーン、エチレンオキシドポリマー、ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリアクリルアミドポリマーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、こうした材料は、他のセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、カラヤゴム、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリビニルアルコール、又はこれらの混合物であってよい。他の実施形態では、材料は、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、又はこれらの混合物などの他のセルロース誘導体であってよい。
他の成分
非接着性自己支持層を更に含む本発明の義歯接着剤組成物は、乾燥状態の義歯に対して粘着性を示すとともに、存在する場合には義歯接着剤組成物の一側面上に置かれるコーティングを更に有してもよい。この種の接着層としての使用に適した組成物としては、ポリブテン、シリコーン、ゴム、ペトロラタム、天然ポリマー、合成ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。接着層は、組成物の約0重量%〜約70重量%、いくつかの実施形態では約0.5重量%〜約20重量%の濃度で存在してよい。
他の適当な成分としては、着色剤、メチル及びプロピルパラベンなどの防腐剤、二酸化ケイ素などの増粘剤、及びポリエチレングリコール、並びに、液体ペトロラタム、ペトロラタム、鉱油及びグリセリンなどの賦形剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール、二酸化ケイ素、及び/又はペトロラタムを添加することができる。着色剤、防腐剤、増粘剤及び賦形剤は、組成物の約0重量%〜約20重量%の濃度で存在してよい。
本発明の組成物は、風味、芳香、及び/又は知覚効果を与える1以上の成分(温感剤又は清涼剤)を含んでもよい。適当な成分としては、天然又は人工甘味料、メントール、乳酸メンチル、冬緑油、ペパーミント油、スペアミント油、リーフアルコール、クローブ芽油、アネトール、サリチル酸メチル、ユーカリプトール、カッシア、酢酸1−メンチル、セージ、オイゲノール、パセリ油、オキサノン、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、シナモン、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られるシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、及びこれらの混合物、並びに清涼剤が挙げられる。
清涼剤は、広範な物質のいずれのものでもよい。このような物質には、カルボキサミド、メントール、ケタール、ジオール、及びこれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態では、本組成物における清涼剤は、「WS−3」として商業的に知られるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として知られるN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物などのパラメンタンカルボキシアミド剤とすることができる。追加の清涼剤は、メントール、高砂香料工業社の製造する、TK−10として知られる3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・ライマー社(Haarmann and Reimer)の製造する、MGAとして知られるメントングリセロールアセタール、及びハーマン・アンド・ライマー社(Haarmann and Reimer)の製造する、Frescolat(登録商標)として知られる乳酸メンチルからなる群から選択することができる。本明細書において使用するところの「メントール」及び「メンチル」なる用語には、これらの化合物の右旋性及び左旋性の異性体、並びにこれらのラセミ混合物が含まれる。TK−10は、1984年7月10日発行のアマノ(Amano)らによる米国特許第4,459,425号に述べられている。WS−3及び他の薬剤は、1979年1月23日発行のワトソン(Watson)らによる米国特許第4,136,163号に述べられている。これらの物質は、組成物の約0重量%〜約50重量%の濃度で存在しうる。
本組成物は、義歯接着剤として使用したり、かつ/又は、粘膜組織、創傷、口腔粘膜などの湿潤組織上で生体接着剤として使用したりすることができる。本接着剤組成物は、粘膜又は湿潤組織に局所投与するのに適した1以上の治療有効成分を投与するために使用することができる。本明細書において使用するところの「治療有効成分」なる語句は、口腔、創傷などの身体の湿潤組織又は粘膜表面から吸収される際、又は皮膚の表面に塗布される際に薬学的な活性を有する物質のことを言う。治療有効成分は、組成物の約0重量%〜約70重量%の濃度で存在しうる。
本組成物において有用な治療有効成分としては、ヨウ素、スルホンアミド、ビスビグアニド、又はフェノール系化合物などの抗微生物剤;テトラサイクリン、ネオマイシン、カナマイシン、メトロニダゾール、又はクリンダマイシンなどの抗生物質;アスピリン、アセトアミノフェン、ナプロキセン及びその塩、イブプロフェン、ケトロラク、フルルビプロフェン、インドメタシン、オイゲノール、又はヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤;硝酸カリウム、塩化ストロンチウム、又はフッ化ナトリウムなどの象牙質脱感作剤;リドカイン又はベンゾカインなどの麻酔剤;抗真菌剤;カンファー、ユーカリ油、香料、芳香剤、又は知覚剤(温感剤又は清涼剤)などの芳香族剤、及びベンズアルデヒドなどのアルデヒド誘導体;インスリン;ステロイド;並びに抗腫瘍剤が含まれうる。特定の治療形態においては、最適な効果を得るために同じ投与システムでこれらの薬剤を組み合わせることが有用でありうることが認識されている。したがって、例えば、抗微生物剤と抗炎症剤とを単一の投与システムとして合わせることによって複合的効果を得ることができる。
組成物の調製プロセス
本発明の義歯接着剤組成物(成形体、クリーム、粉末、ウェーハ、液体、エアロゾル、ペースト)を調製するためのプロセスは、当該技術分野において開示されている従来の方法を含む。従来の方法は、1996年6月11日発行のクラーク(Clarke)らによる米国特許第5,525,652号、1961年10月10日発行のジャーマン(Germann)らによる米国特許第3,003,988号、1991年12月17日発行のホレバ(Holeva)らによる米国特許第5,073,604号、及び1999年2月16日発行のリャン(Liang)らによる米国特許第5,872,161号に教示されている。
場合により非接着性自己支持層を含む本発明の義歯接着剤組成物を調製するためのプロセスは、非接着性自己支持層上に計量された量の接着剤組成物をコーティングすることを含む。このプロセスは、1999年3月2日発行のリャン(Liang)らによる米国特許第5,877,233号、1999年2月16日発行のリャン(Liang)らによる米国特許第5,872,160号、1996年10月25日出願のラジャイア(Rajaiah)らによる米国特許第5,880,172号に開示されている。
この「組成物の調製プロセス」の項において使用する「混合物」なる用語は、溶液、スラリー、又は懸濁液のことを指す。
接着剤成分は、様々な方法によって非接着性自己支持層上にコーティングすることができる。こうした方法としては、(a)非接着性自己支持層を水で濡らし、濡れた層上に接着剤成分の粉末を均一に振りかけた後、この層を再び水で濡らす、(b)接着剤成分を水及び/又は他の溶媒に溶解し、得られた混合物を層上にコーティングする、(c)AVE/MAポリマープロセスにおいて生成された混合物で層をコーティングする、(d)層が形成される際に接着剤成分を層内に取り込ませる、及び(e)接着剤成分を水及び/又は他の溶媒に溶解し、得られた混合物を層上にコーティングし、粉末状の1以上の接着剤を濡れた/コーティングされた層上に均一に振りかけ、必要に応じて混合物及び/又は水で層を再びコーティング/再び濡らす、(f)工程(e)を複数回繰り返す、及び(g)上記(a)〜(f)の方法の任意の組み合わせ、が挙げられる。
上記に述べたように、接着剤成分は、水及び/又は他の溶媒に溶解し、得られた混合物を層上にコーティングすることができる。
接着剤組成物が、接着剤組成物を水及び/又は他の溶媒に溶解することによって調製される場合、プロセスの異なる実施形態において、ポリマーを1以上のポリマー用の溶媒に溶解し、任意の接着剤を適当な溶媒に溶解し、得られた混合物を非接着性自己支持層上にコーティングし、次いで必要に応じて1以上の接着剤を、コーティングされた層上に振りかけることを行う。層のコーティングは、押出し、ドクターブレード、スプレー法、浸漬法などの当該技術分野では一般的に周知の方法によって行うことができる。
上記に述べた手段の1つによってポリマーを層上に堆積させた後、層を乾燥させる。次に、義歯接着剤組成物をリングローラー又はマイクロクラッカー又は他の任意の適当な手段を通過させることによって機械的に軟化させる。次いで、組成物を油圧プレス又はフラットローラー又は他の適当な手段で平滑にプレスする。次いで組成物を義歯の形状に打ち抜く。これらの形状により、義歯への組成物の適用を容易に行うことができる。
以下の実施例は、本発明の範囲に含まれる実施形態を更に説明及び実証するものである。これらの実施例は、あくまで説明を目的として与えられるものであって、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。これらの実施形態には、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく多くの変更が可能である。
(実施例I)
Figure 2013521073
Figure 2013521073
組成物A〜Jは、本発明の義歯接着剤組成物において有用なAVE/MAコポリマーの塩を代表するものである。
各成分を秤量し、混合しながら4リットルの反応容器に加える。15%の水を用いて、AVE/MAを除くすべての粉末を予めスラリーとする。次いで、得られた粉末を容器の壁から洗い落とす。次いで混合物を80〜95℃の温度で反応させる。次いで溶液を、65〜75℃の温度のオーブン内で約16〜24時間乾燥させる。この後、乾燥した薄片をすべて微粉末に粉砕する。
更に例として、上記に示した各成分以外に、混合物を0%〜10%の異なる濃度のNaOHと反応させることによって上記の塩を改質させてもよい。更に例として、上記の各塩中のカルシウムの全部又は一部をマグネシウム及び/又はストロンチウムと交換してもよい。一層更なる例として、上記の各塩中のマグネシウムの全部又は一部をカルシウム及び/又はストロンチウムと交換し、ストロンチウムの全部又は一部をマグネシウム及び/又はカルシウムと交換してもよい。
(実施例II)
Figure 2013521073
組成物M〜O及びR〜Uは、本発明の義歯接着剤組成物において有用なAVE/MAコポリマーの塩を代表するものである。
各成分を秤量し、混合しながら4リットルの反応容器に加える。15%の水を用いて、AVE/MAを除くすべての粉末を予めスラリーとする。次いで、得られた粉末を容器の壁から洗い落とす。次いで混合物を80〜95℃の温度で反応させる。次いで溶液を、65〜75℃の温度のオーブン内で約16〜24時間乾燥させる。この後、乾燥した薄片をすべて微粉末に粉砕する。
更に例として、上記に示した各成分以外に、混合物を0%〜10%の異なる濃度のNaOHと反応させることによって上記の塩を改質させてもよい。更に例として、上記の各塩中のカルシウムの全部又は一部をマグネシウム及び/又はストロンチウムと交換してもよい。
(実施例III)
Figure 2013521073
組成物K及びLは、本発明の義歯接着剤組成物において有用なAVE/MAコポリマーの塩を代表するものである。比較例P及びQは、本発明の範囲外の遊離酸濃度を有するAVE/MAコポリマーの塩を代表するものである。
各成分を秤量し、混合しながら4リットルの反応容器に加える。15%の水を用いて、AVE/MAを除くすべての粉末を予めスラリーとする。次いで、得られた粉末を容器の壁から洗い落とす。次いで混合物を、88.5℃に設定した加熱マントル中で加熱し、約2時間反応させる。次いで溶液を、70℃のオーブン内で約22.5時間乾燥させる。この後、乾燥した薄片をすべて微粉末に粉砕する。
(実施例IV)
義歯接着剤組成物A1及びA2、並びに比較組成物C1及びC2の評価
Figure 2013521073
Figure 2013521073
表4に示した各組成物から、塩の例K、L、P及びQ(上記の実施例IIIに示した)を使用して、本発明に基づく義歯接着剤組成物A1及びA2、並びに比較例の義歯接着剤組成物C1及びC2のそれぞれを各5g調製し、熟練の評価者による評価を行った。
以下の手順に従って義歯接着剤組成物を生成した。
0.08mの篩を有するFritschミル中で、トレイ乾燥させた後、AVE/MA塩の薄片を粉砕することによって粉末の混合組成物を最初に形成した。次に、得られた粉砕された組成物を、102kPa(30インチHg)の真空を引いた真空オーブン内に、2時間、75℃で置いた。次に、AVE/MA塩を秤量し、ガラス容器中でCMCと合わせた。この粉末をボルテックスミキサーによって約30秒間、振盪混合した。
次に、0.5グラムの粉末混合物をプラスチック製の14mLポリプロピレン丸底チューブ容器(17×100mm型)に最初に計り入れることにより水和した試料組成物を形成した。次に容器をVWRアナログ式ボルテックスミキサー上に置き、設定値を#10に設定した。容器は、粉末が容器内部で渦状に渦巻くようにスターラー上に配置した。次いで、表4Aに示される3.0mLの人工唾液組成物を、チューブ内において粉末により形成された渦中に10mLシリンジにより加えた(約1秒かけて添加した)。粉末を水和させつつ混合を更に3〜5秒継続した。ミキサーを停止させ、得られた混合物を直ちに、すべてのゲルブロック化した粒子が1mm未満の粒径にまで小径化され、均一なゲルが形成されるまで金属製スパチュラを用いて更に手で混合した。キャップを容器の上部に嵌め、キャップと容器とのシール部をパラフィルムで包み込んだ。次いで各試料を約18時間、約23℃で容器中で平衡化した。
以下の手順により各組成物を専門の評価者によって互いに対してグレード評価し、結果を表4Bにまとめた。
水和した各試料を、金属製スパチュラを用いて容器から取り出した。各試料を手で引き延ばし、破断点までゆっくりと引っ張った。破断した細片を互いに押し付けて一体に戻した。延伸/破断/押し付けの工程を各試料について4〜8回繰り返し、以下の性質について評価を行った。
凝集性−試料を破断させるうえでどのくらいの力が必要とされるかによって主として評価した。
粘着性−試料が指にどれくらいべたつくかによって評価した。
弾性−引き延ばしてから解放する、又は破断する際に試料がどのくらい跳ね返るかによって評価した。
再回復性−試料が最初の塊と同様の1個の塊に、継ぎ目、凝集塊、又は相分離がないようにどのくらい均一かつ容易に再形成されるかによって評価した。
粉末性−工程ivの後、試料がどの程度、塊状及び不均一となるかによって評価した。多くの場合、これには「部分的に乾燥状態に見える凝集塊」もともなう。
良好な保持力を与え、消費者に許容されうることが分かっている義歯接着剤は、中度〜高度の凝集性、粘着性、及び弾性(高いほどよい)、並びに中度〜低度の粉末性(低いほどよい)を有している。
Figure 2013521073
表4Bに見られるように、本発明に基づく組成物A1及びA2は、比較例C1及びC2と比較してより望ましい凝集性、粘着性、弾性、及び粉末性の値を与えるものである。
(実施例V)
クリーム状の義歯接着剤組成物は、以下の成分を互いに混合することで調製することができる。
Figure 2013521073
赤色色素、ペトロラタム、及び鉱油を秤量し、見た目が均一となるまで、ガラスジャー中で、50〜60℃で加熱及び混合する。次に、各粉末(コロイド状二酸化ケイ素、CMC、AVE/MAコポリマー塩)を秤量し、容器中で互いに振盪混合する。この後、各粉末を、スパチュラを用いて、見た目が均一なピンク色のクリームとなるまで上記液体中に混合する。このクリーム組成物を、被験者に義歯上に置いてもらう。次いで、被験者に義歯を口に入れてもらい、定位置に押し込んでもらう。この組成物は高い保持力を与え、味が改善されている。
(実施例VI)
粉末状の義歯接着剤組成物は、以下の成分を互いに混合することで調製することができる。
Figure 2013521073
すべての成分を互いに混合する。上記の粉末組成物は、異なるAVE/MA塩の混合物を用いて改質することもできる。被験者に、予め湿らせた義歯上に組成物を置いてもらい、短時間水和させる。次いで、被験者に義歯を口に入れてもらい、定位置に押し込んでもらう。
(実施例VII)
ウェーハ状の義歯安定化組成物は、147.3cm×50.8cm(58インチ×20インチ)の不織布ポリエステル(非接着性自己支持層)を水で濡らすことによって調製することができる。この濡れたシートを下記に示す各組成物で均一にコーティングする。この後、この層を水で再び濡らす。層を乾燥させる。リングローラーによって組成物を機械的に軟化させた後、油圧プレスで組成物を平滑化する。組成物を所望の形状に打ち抜く。これらのウェーハ組成物を湿らせて義歯に適用する。次いで義歯を口に入れて定位置に押し込む。
Figure 2013521073
(実施例VIII)
成形体又はストリップ状の義歯接着剤組成物は、以下の成分を互いに混合し、得られた組成物をシート状に押出し、所望の形状に打ち抜くことによって調製することができる。
Figure 2013521073
上記の組成物は、異なるAVE/MA塩の混合物を用いて改質することもできる。被験者に組成物を義歯上に置いてもらう。次いで、被験者に義歯を口に入れてもらい、定位置に押し込んでもらう。
(実施例IX)
Figure 2013521073
実施例9A〜9Bの組成物を調製するための手順:先ず、ウォールスクレーパーブレード(ハーゲン・アンド・リノー社(Haagen and Rinau)より販売されるUnimix)を備えたミキサー及び温水ジャケットを、水浴及び真空ポンプと接続する。温水ジャケットの水浴を約95℃に設定する。鉱油、ペトロラタム(存在する場合)及び/又は微結晶性ワックスをミキサー容器に加える。攪拌器を約60RPMで作動させ、温度が約95℃に達するまで混合する。通気口を開いたミキサーに漏斗からAVE/MA塩、カルボキシメチルセルロース、及びシリカを加える。通気口を閉め、混合を止める。粉末の凝集塊を擦り落とす。約60RPMで混合を再開する。約81.3kPa(24インチHg)の真空を引き、バッチが約90℃に達するまで混合する。水浴温度を約60℃まで下げ、バッチが約65℃に達するまで真空下で混合し続ける。混合を止め、ポンプを停止し、通気口をゆっくり開き、真空解除し、蓋を開ける。容量約41.4mL(1.4オンス)のホイルチューブなどの適当な容器に試料を満たす。
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような各寸法は、記載される値及びその値周辺の機能的に等価な範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
特に断らないかぎり、比率、部、及び比はすべて、本発明の組成物の総重量に基づく。記載される成分に関するこうしたすべての重量は、活性濃度に基づいたものであり、したがって、特に断らないかぎりは、市販の物質中に含まれうる溶媒又は副生成物は含まない。「重量百分率」という用語は、本明細書では「重量%」として表示してもよい。特に断らないかぎり、本明細書において使用される分子量はすべて重量平均分子量である。
本明細書において、「含む」とは、最終的な結果に影響しない他の工程及び他の成分を追加しうることを意味する。この用語には、「からなる」及び「から本質的になる」という用語が含まれる。したがって、本発明の組成物及び方法/プロセスは、本明細書において述べられる発明の要素及び制限、並びに本明細書において述べられる追加的な又は必要に応じて用いられる任意の成分、要素、工程又は制限を含む、これらからなる、及びこれらから本質的になりうるものである。
本明細書において使用するところの「歯」なる用語は、天然歯、及び人工歯又は歯科補綴物のことを指す。
「発明を実施するための形態」において引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に援用するものであるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のいずれかの意味又は定義が、援用される文献における用語のいずれかの意味又は定義と矛盾するかぎりにおいては、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が優先するものとする。
以上、本発明の特定の実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更及び改変を行いうる点は当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのようなすべての変更及び改変を、付属の「特許請求の範囲」において網羅するものとする。

Claims (15)

  1. 義歯接着剤組成物であって、
    a)前記組成物の25重量%〜45重量%のアルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩であって、
    i)カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、又はこれらの組み合わせから選択される60%〜72%のカチオンと、
    ii)0%〜10%のナトリウムカチオンと、
    iii)1%未満の亜鉛カチオンと、
    iv)25%〜40%の遊離酸成分と、
    を含むカチオン性塩機能成分を含む、アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩と、
    b)200,000〜1,000,000ダルトンの分子量を有する、前記組成物の15重量%〜25重量%のカルボキシメチルセルロースと、
    c)担体と、
    を含む、義歯接着剤組成物。
  2. 前記カチオン性塩機能成分が、鉄、マンガン、亜鉛、銅、ナトリウム、カリウム、ジルコニウム、ストロンチウム、マグネシウム、及び/又はアルミニウムから選択される0.0001%未満のカチオンを含む、請求項1に記載の義歯接着剤組成物。
  3. 前記カチオン性塩機能成分が、25%〜35%の前記遊離酸成分を含む、請求項1に記載の義歯接着剤組成物。
  4. 前記カチオン性塩機能成分が、60%〜72%のカルシウムカチオンを含む、請求項1に記載の義歯接着剤組成物。
  5. 前記カチオン性塩機能成分が、60%〜70%のカルシウムカチオン、0%〜5%のナトリウムカチオン、及び25%〜35%の遊離酸成分からなる、請求項1に記載の義歯接着剤組成物。
  6. 前記カチオン性塩機能成分が、65%〜70%のカルシウムカチオン、0%〜5%のナトリウムカチオン、及び28%〜32%の遊離酸成分からなる、請求項1に記載の義歯接着剤組成物。
  7. 前記カチオン性塩機能成分が、0.1%未満の亜鉛カチオンを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の義歯接着剤組成物。
  8. 前記カルボキシメチルセルロースが、500,000〜900,000ダルトン、好ましくは600,000〜800,000ダルトンの分子量を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の義歯接着剤組成物。
  9. 追加の接着剤成分、可塑剤、着色剤、防腐剤、増粘剤、賦形剤、香料、芳香剤、知覚剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1以上の成分を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の義歯接着剤組成物。
  10. 前記アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩と、前記カルボキシメチルセルロースと、非水溶性の液体、ゲル、熱可塑性固体、又はこれらの組み合わせを含む担体とからなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の義歯接着剤組成物。
  11. 前記アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩が、1,250,000よりも大きい分子量を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の義歯接着剤組成物。
  12. 前記アルキルビニルエーテル−マレイン酸又は無水マレイン酸のコポリマーの塩が、25℃のメチルエチルケトン溶液中の1重量/体積%溶液中で測定した場合に2.5〜3.8の比粘度を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の義歯接着剤組成物。
  13. 前記担体が、微結晶性ワックスを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の義歯接着剤組成物。
  14. 前記組成物が、0.1%未満のストロンチウムカチオンを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の義歯接着剤組成物。
  15. 義歯、口腔、又はその両方に請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物を適用した後、前記義歯を口腔の歯槽堤又は口蓋に固定することによる、口腔への義歯の接着方法。
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