JP3013935B2 - 感熱転写記録媒体 - Google Patents

感熱転写記録媒体

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は感熱転写記録媒体に関し、さらに詳しく言
うと、優れた解像力を有するとともに表面平滑度の低い
被転写媒体に対しても高印字品質の印字が得られ、しか
も高速印字を行う場合にも低い印字エネルギーで高い印
字品質を実現することのできる感熱転写記録媒体に関す
る。
[従来技術と発明が解決しようとする課題] 近年、ワードプロセッサーなどの感熱転写装置の普及
に伴い、支持体上に熱溶融性層(インク層等)を積層し
てなる感熱転写記録媒体が広く使用されるに至ってい
る。
しかしながら、従来の感熱転写記録媒体においては、
印字品質が被転写媒体(転写紙など)の表面平滑度の影
響を受け易いとともに、高速の感熱転写装置で印字する
と転写感度が不足して印字品質の低下を招き、特に解像
力の低下が著しいという問題を有している。
そこで、転写感度の向上を目的として、感熱転写記録
媒体の熱溶融性層を多層構成にしたり、あるいは特殊な
剥離層を設けたりする種々の工夫がなされている。
従来、剥離層としては、パラフィン等のワックスを主
成分とするものが知られている。
しかしながら、こうした剥離層は一般に剥離性が不十
分であり、剥離性を高めるためには融点の低いパラフィ
ンを用いねばならず、その場合、低分子のパラフィン分
がインク層(着色剤層、色材層)に移行してしまい、そ
のため、印字品質が劣化するという弊害が生じるという
問題点がある。
一方、これを避けるために、剥離層の主成分として高
融点のパラフィンを用いるか、あるいは、ポリエチレン
ワックスを用いることが提案されている(特開昭62−68
786号公報、同62−87391号公報等参照)が、その場合、
特に高速印字の際には剥離性が不十分になり、また、十
分な転写感度が得られないという問題があった。
この発明は前記事情に基いてなされたものである。
すなわち、この発明の目的は、優れた解像力を有する
とともに、高速で印字を行う場合にも、表面平滑度の低
い被転写媒体に対しても充分に低い転写エネルギーで高
品位の印字画像を得ることができるなどの利点を有する
実用上有利な感熱転写記録媒体を提供することにある。
[前記課題を解決するための手段] この発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討
を重ねた結果、支持体上に少なくとも熱溶融性剥離層お
よび熱溶融性接着層を有する感熱転写記録媒体におい
て、該熱溶融性剥離層と該熱溶融性接着層の間に、特定
の樹脂を主成分とする中間層を設けることによって、前
記問題点を容易に解決することができ、優れた解像力を
有するとともに、高速で印字を行う場合にも、表面平滑
度の低い被転写媒体に対しても充分に低い転写エネルギ
ーで高品位の印字画像を安定に実現することができるこ
とを見出してこの発明に到達した。
このように特定の樹脂を主成分とする中間層を設ける
ことによって上記の優れた性能を実現できた理由は、必
ずしもすべてが明確ではないが、その主な理由として、
該中間層の作用および機能によって、剥離層すなわち該
熱溶融性剥離層中に従来インク(色材)のにじみの原因
となっていた低分子ワックス成分等の低融点成分を用い
た場合にも、そうした成分の熱溶融性剥離層への移行を
有効に防止することができたことによるためと考えられ
る。実際、該中間層を設けることによって、熱溶融性剥
離層に融点もしくは軟化点が十分に低いワックス類など
の該剥離層の目的にふさわしい任意の成分を含量させる
ことができて剥離性等の特性を十分に高めことができ、
しかも熱溶融性接着層の特性を十分に維持することもで
きることがわかった。
すなわち、この発明は、支持体上に少なくとも熱溶融
性剥離層および熱溶融性接着層を設けてなる感熱転写記
録媒体において、該熱溶融性剥離層と該熱溶融性接着層
の間に酢酸ビニル単位の含量が35重量%以上であるエチ
レン−酢酸ビニル共重合体を主成分とする中間層を設け
たことを特徴とする感熱転写記録媒体に係る。
この発明の感熱転写記録媒体は、支持体上に、少なく
とも、前記熱溶融性剥離層と前記中間層と熱溶融性接着
層とを、この順に積層してなるものである。なお、この
発明の感熱転写記録媒体は、その特性を損なわない範囲
内で他の層を有していてもよい。たとえば、該熱溶融性
接着層と前記中間層の間に、あるいは該中間層と該熱溶
融性剥離層の間に、他の中間層などが積層されていても
よく、また、最外層に保護層を設けるなど該熱溶融性接
着層の上に他の層が積層されていてもよいし、前記熱溶
融性剥離層と前記支持体の間に、アンカー層等の他の層
が設けられていてもよい。さらに、前記熱溶融性剥離
層、中間層および熱溶融性接着層等は、必要に応じて、
多層構造にすることもできる。
次に、この発明の感熱転写記録媒体の構成について、
支持体、熱溶融性剥離層、中間層、熱溶融性接着層の順
に説明する。
−支持体− この発明の感熱転写記録媒体における支持体は、良好
な耐熱強度を有するとともに寸法安定性の高いことが望
ましい。
その材料としては、たとえば、普通紙、コンデンサー
紙、ラミネート紙およびコート紙等の紙類;ポリエチレ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリ
プロピレンおよびポリイミド等の樹脂フィルム類;紙と
樹脂フィルムとの複合体ならびにアルミ箔等の金属シー
トなどがいずれも好適に使用される。
支持体の厚みは、通常、30μm以下、好ましくは2〜
30μmの範囲内である。支持体の厚みが30μmを超える
と、熱伝導性が劣化して、印字品質の低下を招くことが
ある。
なお、この発明の感熱転写記録媒体において、支持体
の裏面側の構成については任意であり、たとえばスティ
ッキング防止層等のバッキング層を設けても良い。
該支持体には、通常、これに隣接して、次に詳述する
熱溶融性剥離層が積層される。
−熱溶融性剥離層− 次いで、前記支持体上に熱溶融性剥離層を積層する。
前記熱溶融性剥離層は、使用時(印字時)にサーマル
ヘッド等の印字転写のための加熱機構によって加熱され
た際に、少なくとも該剥離層の上に設けられている層
[この層のうち少なくとも1層には色材(インク、着色
剤)が含有されている。]を十分に速やかに剥離・転写
することを主たる目的として設けられているものであ
り、この目的の達成にふさわしい熱溶融性化合物を含量
させて熱溶融性化合物の属性が支配的な層、特に剥離層
に優れた層として構成される。
該熱溶融性剥離層は、前記熱溶融性化合物それ自体で
構成することもできるが、通常は、その熱溶融性化合物
と熱可塑性樹脂等のバインダー樹脂などから構成するこ
とが好ましい。
前記熱溶融性剥離層における前記熱溶融性化合物の含
量は、使用する熱溶融性化合物の種類や熱可塑性樹脂等
の他の成分の種類等に応じて異なるので一律に定めるこ
とができないが、熱溶融性剥離層を構成する全成分(但
し、該熱溶融性剥離層に色材を含量させる場合には、該
色材成分を除くものとして計算する。)に対して、通
常、50重量%以上、好ましくは、60〜90重量%程度の範
囲に設定するのが適当である。
この熱溶融性化合物の使用割合が、あまり少なすぎる
と、十分な剥離性が得られないことがある。
前記熱溶融性剥離層の主成分として使用する前記熱溶
融性化合物は、公知のものなど各種のものを適宜選択し
て使用すればよく、その具体例としては、たとえば、カ
ルバナワックス、木ロウ、キャンデリンワックス、ライ
スワックスおよびオウリキュリーワックス等の植物系ワ
ックス類;蜜ロウ、昆虫ロウ、セラックロウおよび鯨ロ
ウ等の動物系ワックス類;パラフィンワックス、マイク
ロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィ
ッシャー・トロプシュワックス、エステルワックスおよ
び酸化ワックス等の石油系ワックス類;ならびにモンタ
ンロウ、オゾケライトおよびセレシンワックス等の鉱物
系ワックス類等の各種のワックス類などを挙げることが
できる。これらの中でも、特に、マイクロクリスタリン
ワックス、パラフィンワックス、カルナバワックスなど
が好ましい。
本発明の感熱転写記録媒体の前記熱溶融性剥離層の主
成分として使用する熱溶融性化合物は、上記例示の各種
の熱溶融性化合物のなかでも、その融点もしくは軟化点
が50〜100℃の範囲にあるものが好ましい。その融点も
しくは軟化点が、あまり高すぎると、十分な剥離性が得
られず、特に高速印字における所望の剥離性等の特性が
十分に発揮できないことがあり、一方、あまり低すぎる
と、通常の状態で剥離するなどの支障をきたすことがあ
る。
特に好ましい熱溶融性化合物として、融点もしくは軟
化点が50〜100℃の範囲にあるマイクロクリスタリンワ
ックス、パラフィンワックス、カルナバワックスなどを
挙げることができる。
なお、これらの熱溶融性化合物は、1種単独で使用し
てもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱溶融性剥離層のバインダー樹脂もしくはその成
分として使用される前記熱可塑性樹脂としては、特に制
限はなく、公知のこの種の感熱転写記録媒体の剥離層に
使用されるもの等の各種のものを適宜選択して使用すれ
ばよい。
前記熱可塑性樹脂の具体例としては、たとえば、エチ
レン−酢酸ビニル系樹脂等のエチレン系共重合体、ポリ
アミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂およびセル
ロース系樹脂などを挙げることができる。このほか、た
とえば、塩化ビニル系樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂
およびアイオノマー樹脂などの樹脂、天然ゴム、スチレ
ンブタジエンゴム、イソプレンゴムおよびクロロプレン
ゴムなどのエラストマー類、エステルガム、ロジンマレ
イン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂および水添ロジン等
のロジン誘導体、ならびにフェノール樹脂、テルペン樹
脂、シクロペンタジエン樹脂および芳香族系樹脂等も場
合に応じて使用可能である。
これらの中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体もし
くはエチレン−酢酸ビニル系共重合体等のエチレン系共
重合体およびセルロース系樹脂などが好ましく、特に、
エチレン−酢酸ビニル共重合体およびセルロース系樹脂
が好ましい。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはエチレン
−酢酸ビニル系共重合体としては、通常、酢酸ビニル単
位の含量が10〜35重量%、好ましくは15〜28量%である
ものが特に好適に使用される。
前記セルロース系樹脂の具体例としては、たとえば、
エチルセルロース、ニトロセルロース、ジアセチルセル
ロース、エチルヒドロキシセルロースなどを挙げること
ができる。これらの中でも、特に、エチルセルロースな
どが好ましい。
なお、これらのセルロース系樹脂は、エタノール/ト
ルエン(20/80容量比)混合溶剤中固形分5重量%の溶
液の25℃における粘度が、100cps以下、特に、50cps以
下のものが好ましい。
これらの各種の熱可塑性樹脂は、それを使用する場
合、1種単独で使用してもよく、あるいは、2種以上を
併用してもよい。
この発明において、前記熱溶融性剥離層の成分として
使用する熱可塑性樹脂は、前記例示の各種の熱可塑性樹
脂の中でも、その融点もしくは軟化点が、通常、50〜15
0℃、特に60〜120℃の範囲にあるもの、あるいは2種以
上の混合によってその範囲になるものが好適に使用され
る。
前記熱可塑性樹脂のバインダー樹脂を熱溶融性剥離層
の成分として使用する場合、該熱可塑性樹脂等のバイン
ダー樹脂は、該熱溶融性剥離層を構成する全成分(但
し、該熱溶融性剥離層に色材を含量させる場合には、該
色材成分を除くものとして計算する。)に対して、通
常、50重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらに好
ましくは5〜30重量%の範囲となる割合で使用される。
この割合があまり多すぎると、熱溶融性化合物の本来
の特性が十分に発揮できず、十分な剥離性が維持できな
くなることがあり、一方、あまり少なすぎると、バイン
ダーとしての効果が不十分となり、場合によっては中間
層と支持体との接着強度等の機械的強度が不十分となる
などの支障を生じることがある。
前記熱溶融性剥離層には、場合により適宜、色材(イ
ンク類、着色剤など)を含有させてもよい。
該熱溶融性剥離層の色材を含有させる場合、その含量
は、その熱溶融性剥離層を構成する全成分に対して、通
常、30重量%以下、好ましくは、20重量%以下の割合に
設定するのが適当である。
この色材としては、通常のものが使用可能であり、た
とえば無機顔料、有機顔料、有機染料等を挙げることが
できる。その具体例については、熱溶融性接着層の説明
とともに後述する。なお、前記熱溶融性剥離層に色材を
含有させる場合、該色材の種類および組成は、後述の中
間層および/または熱溶融性接着層に含量させる色材の
それと同じものとしてもよく、あるいは異なるものとし
てもよく、いずれでもよい。
前記熱溶融性剥離層には、前記成分のほかに、必要に
応じてこの発明目的を阻害しない範囲で、さらに他の成
分を適宜含有させてもよい。この他の成分としては、た
とえば、パルミチン酸、ステアリン酸、マルガリン酸お
よびベヘン酸等の高級脂肪酸;パルミチルアルコール、
ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、マルガニ
ルアルコール、ミリシルアルコールおよびエイコサノー
ル等の高級アルコール;パルミチン酸セチル、パルミチ
ン酸ミリシル、ステアリン酸セチルおよびステアリン酸
ミリシル等の高級脂肪酸エステル;アセトアミド、プロ
ピオン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸ア
ミドおよびアミドワックス等のアミド類;ならびにステ
アリルアミン、ベヘニルアミンおよびパルミチルアミン
等の高級アミン類などを挙げることができる。これら
は、使用する場合には、1種単独で用いてもよいし、2
種以上を併用してもよい。
前記熱溶融性剥離層は、水性塗工法、有機溶媒を用い
た塗工方法などを採用して塗設することができる。
前記熱溶融性剥離層の層厚は、通常は、0.2〜4μm
の範囲、好ましくは0.5〜2.5μmの範囲にするのが適当
である。
前記熱溶融性剥離層は少なくとも一層設けられている
ことが必要であり、本発明においては、たとえば熱溶融
性化合物と熱可塑性樹脂との配合比率の異なる熱溶融性
剥離層を積層するなど二層以上の熱溶融性剥離層を形成
することもできる。
前記熱溶融性剥離層は、前記の成分の外に、剥離性を
調節するため界面活性剤を含むものであってもよい。本
発明で用いる代表的な界面活性剤の例としては、ポリオ
キシエチレン鎖含有化合物を挙げることができる。さら
に、無機あるいは有機微粒子(金属粉、シリカゲルな
ど)あるいは、オイル類(アマニ油鉱油など)を添加す
ることもできる。
この熱溶融性剥離層は、主に、その上に構成されてい
る層(少なくとも中間層と熱溶融性接着層からなる層で
あって、これらの層のうちいずれかの層には色材が含有
されている。)と支持体との接着力を調節する役割を果
たし、たとえばサーマルヘッドなどによる支持体裏面
(熱溶融性剥離層などの層が形成されていない側)から
の加熱によりそれらの層の支持体からの剥離を容易にす
るための層である。
すなわち、熱溶融性剥離層は、その上に構成される層
全体の支持体への膜付性、膜強度などの機械的性質を維
持し、かつ加熱直後に色材を含有する層が上記の層とと
もに支持体から離脱する際に、この層を感熱転写記録媒
体から転写紙へ速やかに剥離転写せしめる。この剥離
は、加熱後のタイミング、剥離角度、印加エネルギーお
よびプラテン圧などの印字条件に依存していて、支持体
に隣接する熱溶融性剥離層と支持体との界面で剥離する
界面剥離、熱溶融性剥離層内で剥離する凝集破壊剥離、
および熱溶融性剥離層とこれに隣接する中間層との間で
起きる界面剥離等がある。本発明において好ましいの
は、通常、熱溶融性剥離層とこれに隣接する中間層との
界面剥離であるが、これに限定されるものではない。
この発明においては、前記熱溶融性剥離層には、通常
これに隣接して、次に詳述する中間層が積層される。
−中間層− この発明の感熱転写記録媒体は、前記熱溶融性剥離層
と熱溶融性接着層の間に特定の樹脂を主成分として含量
する中間層が設けられている。
該中間層は酢酸ビニル単位の含量が35重量%以上、40
〜85重量%以上であるエチレン−酢酸ビニル共重合体
[以下、これをエチレン−酢酸ビニル共重合体(I)と
称すことがある。]を主成分とすることが重要である。
ここでもし、酢酸ビニル単位の割合が35重量%未満で
あるエチレン−酢酸ビニル共重合体をその中間層の主成
分として用いると、前記熱溶融性剥離層中の有効成分で
ある熱溶融性化合物の移行が十分に抑制されずインクの
にじみを十分に防止することができなかったり、機械的
強度等の特性を十分に維持することができないなどの問
題を生じやすく、その結果印字品質の劣化を招いたり、
高温時の保存性の改善が不十分となるなどの問題が生
じ、この発明の目的を達成することができない。
すなわち、前記特定範囲の酢酸ビニル単位およびエチ
レン単位の含量を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体
すなわちエチレン−酢酸ビニル共重合体(I)を主成分
とする中間層を設けることによって、前記熱溶融性剥離
層に何ら問題なく高速印字時にも十分な剥離性を維持す
るための低融点(もしくは低軟化点)の熱溶融性化合物
を用いることができるなどの自由度が生じ、その結果、
解像度が高く印字品質に優れ、特に高速転写の際の印字
品質にも優れ、かつ、製品自体および転写画像の保存
性、耐久性等の性能に優れた感熱転写記録媒体を実現す
ることができるのである。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(I)のメルト
(MI)インデックスとしては、通常、2〜1500程度、好
ましくは20〜1000程度の範囲にあるものが好適に使用さ
れる。このMIがあまり大きすぎると、インクのにじみ等
の印字品質の劣化を十分に防止できなかったり、中間層
ひいては層構成の機械的強度が低下するなどの支障をき
たすことがあり、一方、あまり小さすぎると、中間層の
強度が大きくなりすぎて、印字の際、文字のきれが不十
分となるなどの不都合を生じることがある。
なお、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(I)は、
この発明の目的を阻害しない範囲で、エチレン単位およ
び酢酸ビニル単位以外の他のモノマー単位を該共重合体
の構成成分として含有するものであってもよい。この、
他のモノマー単位の種類としては、特に制限はなく、各
種のものが採用可能であるが、具体的にはたとえば、プ
ロピレン単位、ブチレン単位等のエチレン以外のオレフ
ィン単位、アクリル酸単位、メタクリル酸単位、アクリ
ル酸エステル単位、メタクリル酸エステル単位、マレイ
ン酸単位、無水マレイン酸単位、塩化ビニル単位等の各
種のビニルモノマー単位などを挙げることができる。
また、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(I)は、
この発明目的を阻害しない範囲で、たとえば可塑剤等の
他の成分を含量する組成物の形で使用してもよい。
この中間層の主成分として使用する前記エチレン−酢
酸ビニル共重合体(I)は、前記各種の組成のエチレン
−酢酸ビニル共重合体(I)の1種単独であってもよい
し、あるいは必要に応じて、2種以上を併用したもので
あってもよい。
この中間層は、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体
(I)それ自体で構成してもよく、あるいは該共重合体
を主成分とし、これとともに、必要に応じてこの発明目
的を阻害しない範囲で、他の樹脂等の他の成分を含量さ
せて構成してもよい。
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(I)とともに中
間層の構成成分として使用することができる前記他の樹
脂としては、特に制限はなく、目的等に応じて各種のも
のを適宜選択して添加することができるが、具体的には
たとえば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アク
リル樹脂、セルロース系樹脂、シリコン樹脂等を挙げる
ことができる。これらの中でも特に、ポリエステル樹脂
やセルロース系樹脂などが好ましい。
なお、これらの樹脂は、これを用いる場合、1種単独
で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
この中間層における前記エチレン−酢酸ビニル共重合
体(I)の含量は、該中間層を構成する全成分(但し、
該中間層に色材を含有させる場合には、該色材成分を除
くものとして計算する。)に対して、通常、50重量%以
上、好ましくは、60重量%以上の範囲に設定するのが適
当である。
このエチレン−酢酸ビニル共重合体(I)の使用割合
が、あまり少なすぎると、該エチレン−酢酸ビニル共重
合体(I)本来の特性が失われて、前記熱溶融性剥離層
中の有効成分である熱溶融性化合物の移行を十分に抑制
できずインクのにじみ等の印字品質劣化を十分に防止で
きなかったり、あるいは、機械的強度等の特性を十分に
維持することができないなどの問題が生じやすく、この
発明の目的を十分に達成することができない。
この中間層には、たとえば転写文字の切れ目や転写画
像の耐久性を向上させるなどの目的で、少量の熱溶融性
化合物を含量させることができる。この中間層に必要に
応じて少量含量させる熱溶融性化合物としては、前記例
示の各種の熱溶融性化合物を挙げることができるが、こ
の中間層に用いる熱溶融性化合物の場合、その融点もし
くは軟化点が、通常、50〜150℃、好ましくは60〜120℃
の範囲にあるものを使用するのが望ましい。
この中間層に、熱溶融性化合物(特に融点もしくは軟
化点があまり低い熱溶融性化合物)を必要以上に多く含
有させると、その熱溶融性化合物が熱溶融性接着層に移
行することによってインクのにじみ等の印字品質の劣化
の原因となることがあり、この中間層の本来の機能を十
分に満足させることができない場合がある。こうした観
点から、この中間層における熱溶融性化合物の含量は、
これを用いる場合、通常、20重量%以下、好ましくは10
重量%以下の範囲から選択するのがよい。また、この中
間層には、必要に応じてこの発明目的を阻害しない範囲
で、たとえば色材、充填剤、粘度調節剤、可塑剤、各種
安定剤、接着性向上剤等の他の成分を適宜含量させるこ
ともできる。
前記中間層には、場合により適宜、色材(インク類、
着色剤、顔料など)を含有させてもよい。
たとえば、後述のように、熱溶融性接着層に色材を含
有させない場合にはこの中間層に色材を含有させる。ま
た、熱溶融性接着層に色材を含有させる場合には、この
中間層には必ずしも色材を含有させないでもよく、含有
させても、含有させないでもいずれでもよい。
したがって、該中間層に色材を含有させるか、させな
いか、あるいは含有させる場合の色材の含量は、こうし
たそれぞれの場合に応じて決定すればよく、この点につ
いては、該中間層に含有させる色材の含量の範囲を含め
て、後述の熱溶融性接着層の説明の際に述べる。
なお、この色材としては、通常のものが使用可能であ
り、たとえば無機顔料、有機顔料、有機染料等を挙げる
ことができる。その具体例についても、熱溶融性接着層
の説明とともに後述する。
なお、前記中間層に色材を含有させる場合、該色材の
種類および組成は、前記熱溶融性剥離層や熱溶融性接着
層に含量させる色材のそれと同じものとしてもよく、あ
るいは異なるものとしてもよく、いずれでもよい。
前記中間層には、前記成分のほかにさらに、たとえ
ば、塩化ビニル系樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂およ
びアイオノマー樹脂などの樹脂、天然ゴム、スチレンブ
タジエンゴム、イソプレンゴムおよびクロロプレンゴム
などのエラストマー類、エステルガム、ロジンマレイン
酸樹脂、ロジンフェノール樹脂および水添ロジン等のロ
ジン誘導体、ならびにフェノール樹脂、テルペン樹脂、
シクロペンタジエン樹脂および芳香族系樹脂等も場合に
応じて適量添加することもできる。
また、前記中間層には、必要に応じてこの発明目的を
阻害しない範囲で、さらに他の成分、たとえば、パルミ
チン酸、ステアリン酸、マルガリン酸およびベヘン酸等
の高級脂肪酸;パルミチルアルコール、ステアリルアル
コール、ベヘニルアルコール、マルガニルアルコール、
ミリシルアルコールおよびエイコサノール等の高級アル
コール;パルミチン酸セチル、パルミチン酸ミリシル、
ステアリン酸セチルおよびステアリン酸ミリシル等の高
級脂肪酸エステル;アセトアミド、プロピオン酸アミ
ド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミドおよびア
ミドワックス等のアミド類;ならびにステアリルアミ
ン、ベヘニルアミン、パルミチルアミン等の高級アミン
類などの低分子化合物を適宜添加してもよい。
さらに、無機あるいは有機微粒子(金属粉、シリカゲ
ルなど)あるいは、オイル類(アマニ油鉱油など)を添
加することもできる。
前記中間層は水性塗工法、有機溶媒を用いた塗工方法
などを採用して塗設することができる。
これらの方法は、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体
(I)、あるいはこれと所望により加えられる熱溶融性
化合物、他の樹脂や色材等の他の成分とを水もしくは適
当な有機溶媒に溶解もしくは分散させ、これを前記熱溶
融性剥離層に塗布する方法である。
この発明の感熱転写記録媒体における前記中間層の層
厚は、通常は、0.5〜4.5μmの範囲、好ましくは0.6〜
3.0μmの範囲にするのが適当である。
前記中間層は少なくとも一層設けられていることが必
要であり、本発明においては、たとえばエチレン−酢酸
ビニル共重合体(I)の組成やエチレン−酢酸ビニル共
重合体(I)と熱溶融性化合物、他の樹脂や色材等の他
の成分との配合比率の異なる中間層を積層するなど二層
以上の中間層を形成することもできる。
この中間層は、主に、これを挟持している熱溶融性剥
離層と熱溶融性接着層のそれぞれの成分の移行もしくは
混合を有効に防止する役割を果たし、熱溶融性剥離層お
よび熱溶融性接着層を、それぞれの役割を十分に果たす
特性を有する層とするために、それぞれをふさわしい組
成によって独立に構成することを可能ならしめ、かつ、
その組成ひいてはその優れた特性を維持し、この発明の
目的を十分に満足する感熱転写記録媒体を実現ための層
である。
また、この中間層は、その上に構成される層全体の熱
溶融性剥離層への膜付性、膜強度などの機械的性質を維
持し、かつ印字時の際の加熱直後に少なくとも熱溶融性
剥離層上の色材を含量する層を有する層構成を熱溶融性
剥離層の十分な剥離性によって支持体から転写紙へ速や
かに剥離転写させる機能および作用を有している。
中間層のこうした優れた機能および作用は、該中間層
が前記特定の樹脂すなわちエチレン−酢酸ビニル共重合
体(I)を主成分として、その共重合体(I)の属性が
支配的となる層として構成されていることによって有効
に発揮されるのである。
−熱溶融性接着層− 以上のようにして前記中間層を塗設した後、該中間層
の上に少なくとも一層の熱溶融性接着層を塗設する。
該熱溶融性接着層は、熱溶融性化合物、熱可塑性樹脂
等から構成される。
該熱溶融性接着層の成分として使用される熱溶融性化
合物としては、通常この種の感熱転写記録媒体の熱溶融
性インク層に使用されるものなど各種のものが使用可能
であり、具体的には、たとえば、ポリスチレン樹脂、ア
クリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂の低分子量物、
カルナバワックス、木ロウ、キャンデリンワックス、ラ
イスワックス、およびオウリキュリーワックス等の植物
系ワックス類;蜜ロウ、昆虫ロウ、セラック、および鯨
ロウ等の動物系ワックス類;パラフィンワックス、マイ
クロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フ
ィッシャー・トロプシュワックス、エステルワックス、
および酸化ワックス等の石油系ワックス類、ならびにモ
ンタンロウ、オゾケライトおよびセレシンワックス等の
鉱物系ワックス類等の各種のワックス類を挙げることが
でき、さらにこれらのワックス類の他に、ロジン、水添
ロジン、重合ロジン、ロジン変性グリセリン、ロジン変
性マレイン酸樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂、ロジ
ン変性フェノール樹脂、およびエステルガム等のロジン
誘導体、ならびにフェノール樹脂、テルペン樹脂、ケト
ン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族炭化水素樹
脂、脂肪族系炭化水素樹脂、および脂環族系炭化水素樹
脂等を挙げることができる。
なお、これらの熱溶融性化合物は、分子量が通常、1
0,000以下、特に、5,000以下で、融点もしくは軟化点が
50〜150℃の範囲にあるものが好ましい。
前記熱溶融性化合物は、1種単独で使用してもよい
し、2種以上を組合せて用いてもよい。
該熱溶融性接着層の成分として使用される前記熱可塑
性樹脂としては、通常この種の感熱転写記録媒体の熱溶
融性インク層に使用されるものなど各種のものが使用可
能であり、たとえば、エチレン系共重合体、ポリアミド
樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレ
フィン系樹脂、アクリル系樹脂、およびセルロース系樹
脂等を挙げることができる。これらの中でも、特に、エ
チレン系共重合体などが好適に使用される。
このエチレン系共重合体としては、たとえば、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレー
ト樹脂、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、
エチレン−アクリル酸樹脂、エチレン−メタクリル酸樹
脂、エチレン−αオレフィン共重合体などを挙げること
ができる。これら各種のエチレン系共重合体の中でも、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアク
リレート樹脂、およびエチレン−エチルアクリレート−
無水マレイン酸樹脂等のエチレン−酢酸ビニル共重合体
もしくはエチレン−酢酸ビニル系共重合体およびエチレ
ン−エチルアクリレート樹脂もしくはエチレン−エチル
アクリレート系樹脂が好ましく、特にエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体などが好ましい。
また、これら各種のエチレン系共重合体は、エチレン
単位以外のコモノマー単位の含量が、28重量%以上、特
に、35重量%以上であるものが好ましい。
このような特定の組成を有する、前記エチレン−酢酸
ビニル共重合体等のエチレン−酢酸ビニル系共重合体お
よび/またはエチレン−エチルアクリレート樹脂等のエ
チレン−エチルアクリレート系樹脂を前記熱溶融性接着
層の熱可塑性樹脂もしくはその主成分として用いること
によって、表面平滑度の低い被転写媒体に対してもより
一層の接着力の向上を図ることができ、印字後における
印字画像の著しく高い定着性を実現することができる。
また、前記熱溶融性接着層の成分として使用する前記
熱可塑性樹脂は、そのメルトインデックス(MI値)が、
通常、2〜1500の範囲、好ましくは20〜500の範囲にあ
るものが好ましい。前記MI値が前記の範囲にある熱可塑
性樹脂を使用することにより、被転写媒体に対する熱溶
融性接着層の接着力をより一層充分なものとすることが
できるからである。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよ
いし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、前記熱溶融性接着層を水性塗工によ
り塗設する場合、使用する熱可塑性樹脂は水性エマルジ
ョンとして使用することができる。この熱可塑性樹脂の
水性エマルジョンは、市販品として入手することもでき
る。
この発明の感熱転写記録媒体においては、前記熱溶融
性剥離層と熱溶融性接着層との間に設ける前記中間層と
該熱溶融性接着層のうちの少なくとも1層に色材を含量
させる。すなわち、色材は、前記中間層と熱溶融性接着
層のうちの該中間層のみに含量させてもよいし、該熱溶
融性接着層のみに含有させてもよいし、あるいはその両
方に含有させてもよい。
前記熱溶融性接着層に色材を含有させる場合、該色材
としては、特に制限はなく、通常この種の感熱転写記録
媒体に使用されるものなど各種のものが使用可能であ
り、たとえば、無機顔料、有機顔料等の顔料、ならびに
有機染料等の染料を挙げることができる。前記無機顔料
としては、たとえば、二酸化チタン、カーボンブラッ
ク、酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸
化鉄ならびに鉛、亜鉛、バリウムおよびカルシウムのク
ロム酸塩などが挙げられる。
前記有機顔料としては、たとえば、アゾ系、チオイン
ジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン系、トリ
フェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔料、フタロ
シアニン顔料、たとえば銅フタロシアニンおよびその誘
導体ならびにキナクリドン顔料などが挙げられる。
前記染料としては、たとえば、酸性染料、直接染料、
分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料などが挙げら
れる。
なお、これら各種の色材は、1種単独で使用してもよ
いし、必要に応じて、2種以上を併用してもよい。
この熱溶融性接着層に含有させる色材は、前記中間層
に含有させる色材や前記熱溶融性剥離層に含量させる色
材と同一のものとしてもよいし、あるいは異なるもとし
てよい。
前記熱溶融性接着層における前記熱溶融性化合物成分
の割合としては、該熱溶融性接着層を構成する全成分
(但し、該熱溶融性接着層に色材を含有させる場合に
は、該色材成分を除くものとして計算する。)に対し
て、通常、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%の範
囲とするのが適当である。この熱溶融性化合物成分の含
有割合があまり少なすぎると、細かな文字等を印字でき
ないことがあり、一方、あまり多すぎると、地汚れなど
の弊害が生じることがある。
前記熱溶融性接着層における前記熱可塑性樹脂の割合
としては、該熱溶融性接着層を構成する全成分(但し、
該熱溶融性接着層に色材を含有させる場合には、該色材
成分を除くものとして計算する。)に対して、通常、5
〜40重量%、好ましくは10〜30重量%の範囲とするのが
適当である。この熱可塑性樹脂の含量割合があまり少な
すぎると、低平滑紙にきれいに印字できないことがあ
り、一方、あまり多すぎると、高温でブロッキングしや
すくなるなどの弊害が生じることがある。
前記熱溶融性接着層における前記色材の含量は、前記
中間層に色材を含有させる場合およびさせない場合に応
じて、さらに前記中間層に含量させる色材の量に応じて
異なるので一律に定めることができない。前記中間層に
色材を含有させない場合には、該熱溶融性接着層に色材
を含有させるが、その場合の熱溶融性接着層に含有させ
る色材の割合としては、該熱溶融性接着層を構成する全
成分に対して、通常、5〜30重量%、好ましくは10〜25
重量%の範囲内に選定するのが適当である。なお、この
場合、この色材の含量割合があまり少なすぎると、転写
画像が薄くなったり、かすれたりして感熱転写記録媒体
本来の目的を十分に果たすことができなくなることがあ
り、あまり多すぎると、熱溶融性接着層の被転写媒体に
対する定着性が不十分となるなどの弊害が生じることが
ある。
一方、前記熱溶融性接着層に色材を含有させない場合
には、前記中間層に色材を含有させるが、その場合の該
中間層に含有させる色材の割合としては、該中間層の全
成分に対して、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜45
重量%の範囲内に選定するのが適当である。なお、この
場合、該中間層における色材の含量割合があまり少なす
ぎると、転写画像が薄くなったり、かすれたりして感熱
転写記録媒体本来の目的を十分に果たすことができなく
なることがあり、あまり多すぎると、該中間層の接着強
度が不十分となったり、機械的強度が低下するなどの支
障をきたすことがある。
また、前記色材を前記中間層および熱溶融性接着層の
両方に含有させる場合、該中間層における色材の含有割
合は、その中間層の全成分に対して、通常、30重量%以
下、好ましくは5〜20重量%の範囲から選択するのがよ
く、一方、該熱溶融性接着層における色材の含有割合
は、その熱溶融性接着層の全成分に対して、通常、30重
量%以下、好ましくは5〜20重量%の範囲から選択する
のがよい。なお、この場合、該中間層および熱溶融性接
着層全体における色材の含有割合の下限値は、感熱転写
記録媒体の使用上の目的等に応じて適宜選定すればよ
い。
なお、この発明において、色材を中間層と熱溶融性接
着層のどちらに含有させるか、あるいはそれぞれにどの
ような割合で含有させるかはこの発明の感熱転写記録媒
体の使用上の目的等に応じて適宜決定することができ
る。
さらに、前記熱溶優性接着層には、必要に応じてこの
発明の目的を阻害しない範囲で、上記以外の他の添加成
分を適宜含有させることができる。
前記熱溶融性接着層の膜厚は、通常、0.2〜5.0μmで
あり、特に0.5〜4.0μmであるのが好ましい。
この熱溶融性接着層は、形成成分を有機溶媒に分散あ
るいは溶解して塗布する方法(有機溶剤法)、形成成分
を水に分散させた水性エマルジョンなどを用いて水性塗
工する方法が好ましく、用いられる。
熱溶融性接着層の水性塗工に直接使用する水性エマル
ジョンは、水に前記各種の成分を分散させることにより
形成することができるが、前記熱可塑性樹脂の水性エマ
ルジョンおよび前記熱溶融性化合物の水性エマルジョン
などを混合し、さらにこれに他の成分を分散させること
により調製することもできる。
前記熱可塑性樹脂の水性エマルジョンは、公知の方法
に準じて調製することができるし、また、通常のエマル
ジョン重合法によって得ることもできる。もちろん、前
記したように、市販品をそのまま、あるいは適宜調整し
て使用してもよい。
前記熱溶融性接着層の塗設に用いる塗工液中の層形成
成分の合計の含有率は、通常は、5〜50重量%の範囲内
に設定される。
また、塗布方法は、通常の方法を利用して行なうこと
ができる。塗布方法の例としては、ワイヤーバーを用い
た方法、スクイズコート法およびグラビアコート法など
を挙げることができる。
また、前記熱溶融性接着層は、少なくとも一層で設け
られていることが必要であるが、たとえば色材の種類お
よび含有率、あるいは熱可塑性樹脂と熱溶融性化合物と
の配合比率などの異なる二層以上の熱溶融性接着層を積
層して構成してもよい。
−その他− この発明の感熱転写記録媒体においては、必要に応じ
てこの発明目的を阻害しない範囲で、前記支持体と前記
熱溶融性剥離層との間にアンカー層等の他の層を設けて
もよいし、前記熱溶融性剥離層と前記中間層との間およ
び/または前記中間層と前記熱溶融性接着層の間に前記
中間層とは組成の異なる他の中間層を適宜設けてもよ
い。
さらには、前記熱溶融性接着層の面上に保護層等のオ
ーバーコート層などを設けてもよい。
前記オーバーコート層としては、たとえば色材を含有
しないワックス層またはポリマー層などが好適である。
こうして各層を塗設した後、所望により乾燥工程、表
面平滑化処理工程などを経て所望の形状に裁断すること
により、この発明の感熱転写記録媒体になる。
このようにして得られる感熱転写記録媒体は、たとえ
ばテープ状あるいはタイプライターリボン状などの形態
で使用することができる。
この感熱転写記録媒体を用いる感熱転写方法は、通常
の感熱転写記録方法と異なるものではないが、熱源とし
て最も典型的な熱ヘッドを使用する場合を例にして説明
する。
まず、感熱転写記録媒体の熱溶融性剥離層、中間層お
よび熱溶融性接着層熱溶融性等の熱軟化性層と被転写媒
体、たとえば転写紙とを密着させ、必要に応じてさらに
転写紙の背面からプラテンによって熱パルスを与えつ
つ、熱ヘッドによって熱パルスを与え、所望の印字ない
し転写パターンに対応する熱軟化性層を局部的に加熱す
る。
こうした熱軟化性層の被加熱部は、その温度が上昇
し、速やかに軟化して被転写媒体上に転写される。
このとき、熱溶融性剥離層は少なくとも剥離性等の特
性に優れた熱溶融性化合物を含有するので高速で印字を
行なった場合にも速やかに支持体から剥離するととも
に、中間層および熱溶融性接着層は少なくとも前記熱可
塑性樹脂を含有するので表面の平滑度が低い被転写媒体
に対しても高い接着力を発揮して印字後における定着性
が良好である高品位の印字画像を形成することができ
る。
特に、この発明の転写記録媒体は、その熱溶融性剥離
層と熱溶融性接着層の間に特定の樹脂を主成分とする中
間層を有しているので、該熱溶融性剥離層には剥離性等
の特性に優れた融点もしくは軟化点が十分に低い熱溶融
性化合物を含量させることができ、しかも、そうした低
い融点もしくは軟化点を有する熱溶融性化合物の拡散・
移行を容易に抑制し、インクのにじみ等の印字品質の劣
化などの弊害が十分に防止できるなど優れた性能を有し
ている。
すなわち、この発明の感熱転写記録媒体は、主として
前記中間層の作用および機能によって、優れた解像力を
有するとともに、高速で印字を行う場合にも、表面平滑
度の低い被転写媒体に対しても充分に低い転写エネルギ
ーで高品位の印字画像を得ることができ、しかも、保存
性および耐久性等にも優れるなどの利点を有する実用上
著しく有利な感熱転写記録媒体として実現することがで
きるのである。
[実施例] 次に、この発明の実施例および比較例を示し、この発
明について、さらに具体的に説明する。
なお、以下においてエチレン−酢酸ビニル共重合体の
組成は、(エチレン単位の重量%の値/酢酸ビニル単位
の重量%の値)によって表した。
(実施例1) 厚み3.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
上に下記の熱溶融性剥離層用組成物のIPA分散液(固形
分20%)を乾燥膜厚が1.0μmになるように塗布して、
熱溶融性剥離層を形成した。
なお、塗布はワイヤーバーを用いて行なった。
熱溶融性剥離層用組成物 ・マイクロクリスタリンワックス(融点81℃) (日石ワイクロワックス180日本石油(株)製) ……45重量% ・パラフィンワックス(融点75℃) ……50重量% ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(72/28) ……5重量% 次いで、以下に記載する中間層用樹脂を上記熱溶融性
剥離層上に乾燥膜厚が1.0μmになるように塗布し、中
間層を形成した。
なお、塗布はMEKを用いた塗工法を採用して行なっ
た。
中間層用樹脂 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(60/40) ……100重量% 次に、以下に記載する熱溶融性接着層用用組成物を上
記の中間層上に乾燥膜厚が1.0μmになるように塗布
し、熱溶融性接着層を形成してこの発明の感熱転写記録
媒体を製造した。
なお、塗布は有機溶媒(IPA)を用いた塗工法を採用
して行なった。
熱溶融性接着層用組成物 ・カーボンブラック ……20重量% ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(60/40) ……25重量% ・アルキルフェノール樹脂 ……25重量% ・パラフィンワックス(融点75℃) ……30重量% 得られた感熱転写記録媒体を市販の高速プリンター
(48ドットシリアルヘッド、)に装着して、PPC用紙
(ベック平滑度30秒)にアルファベット等の転写(印
字)を行ない、ラフ紙に対する高速印字(プラテン圧35
0g/ヘッドの条件下)における、転写画像の解像力、転
写感度等の特性および高温たとえば50℃での保存性など
の評価を行なった。結果を第1表に示す。
なお、それぞれの評価は、以下の基準で表示した。
解像力:(市松模様の再現性) ◎……非常に良い ○……良い △……やや悪い ×……悪い 転写感度 ◎……十分に良い ○……良好 △……やや不足 ×……不足 保存性:(生品との比較) ◎……変わらない ○……殆ど変わらない △……やや劣化する ×……劣化する (実施例2) 前記実施例1で用いた熱溶融性剥離層用組成物、中間
層用樹脂、および熱溶融性接着層用組成物に代えて、そ
れぞれ、以下に示す熱溶融性剥離層用組成物、中間層用
組成物、およびを熱溶融性接着層用組成物を用いたほか
は、前記実施例1と同様にして実施した。
結果を第1表に示す。
熱溶融性剥離層用組成物 ・マイクロクリスタリンワックス(融点83℃) (Hi−Mic−1080日本精蝋(株)製) ……90重量% ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(72/28) ……10重量% 中間層用樹脂 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(45/55) ……50重量% ・低分子量ポリエステル樹脂(軟化点90℃) ……10重量% ・カーボンブラック ……40重量% 熱溶融性接着層用組成物 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(45/55) ……50重量% ・カルバナワックス ……40重量% ・ポリアミド樹脂(軟化点105℃) ……10重量% (実施例3) 前記実施例1で用いた熱溶融性剥離層用組成物、中間
層用樹脂、および熱溶融性接着層用組成物に代えて、そ
れぞれ、以下に示す熱溶融性剥離層用組成物、中間層用
組成物、およびを熱溶融性接着層用組成物を用いたほか
は、前記実施例1と同様にして実施した。
結果を第1表に示す。
熱溶融性剥離層用組成物 ・マイクロクリスタリンワックス(融点83℃) (Hi−Mic−1080日本精蝋(株)製) ……90重量% ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(72/28) ……10重量% 中間層用樹脂 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(45/55) ……80重量% ・カーボンブラック ……20重量% 熱溶融性接着層用組成物 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(40/60) ……25重量% ・マイクロクリスタリンワックス(融点81℃) ……25重量% ・ロジン変性マレイン(軟化点105℃) ……40重量% ・カーボンブラック ……10重量% (実施例4) 前記実施例1で用いた熱溶融性剥離層用組成物、中間
層用樹脂、および熱溶融性接着層用組成物に代えて、そ
れぞれ、以下に示す熱溶融性剥離層用組成物、中間層用
組成物、およびを熱溶融性接着層用組成物を用いたほか
は、前記実施例1と同様にして実施した。
結果を第1表に示す。
熱溶融性剥離層用組成物 ・マイクロクリスタリンワックス(融点83℃) (Hi−Mic−1080日本精蝋(株)製) ……70重量% ・パラフィンワックス(融点75℃) ……15重量% ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(72/28) ……5重量% ・カーボンブラック ……10重量% 中間層用樹脂 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(45/55) ……55重量% ・エチルセルロース ……5重量% ・カーボンブラック ……40重量% 熱溶融性接着層用組成物 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(15/85) ……25重量% ・マイクロクリスタリンワックス(融点83℃) ……25重量% ・ポリアミド樹脂(軟化点105℃) ……50重量% (比較例1) 前記実施例1において、前記中間層を設けずに熱溶融
性剥離層上に熱溶融性接着層を設けたほかは実施例1と
同様にして実施した。
結果を第1表に示す。
(比較例2) 前記実施例1において、実施例1で用いた中間層用樹
脂に代えて下記の中間層用樹脂を用いて中間層を形成し
たほかは、前記実施例1と同様にして実施した。
結果を第1表に示す。
中間層用樹脂 ・エチレン−酢酸ビニル共重合体(72/28) ……100重量% (比較例3) 前記実施例1において、実施例1で用いた熱溶融性接
着層用組成物に代えてポリエチレンワックス(融点107
℃)を用い、かつ、前記中間層を設けずに熱溶融性剥離
層上に熱溶融性接着層[すなわち、上記ポリエチレンワ
ックス(融点107℃)からなる層]を設けたほかは実施
例1と同様にして実施した。
結果を第1表に示す。
(評価) 第1表から明らかなように、この発明の感熱転写記録
媒体は、PPC用紙のように表面平滑度の低い被転写媒体
に対して、低い印字エネルギーで高速で印字を行なった
場合にも優れた解像力、転写感度等の優れた特性を示
し、印字品質が高く、しかも転写画像の保存性にも優れ
たものであることを確認した。
[発明の効果] この発明によると、支持体上に、少なくとも熱溶融性
剥離層と熱溶融性接着層が設けられており、しかも、該
熱溶融性剥離層と熱溶融性接着層の間に特定の樹脂を主
成分とする中間層が設けられているので、優れた解像力
を有するとともに、高速で印字で行う場合にも、表面平
滑度の低い被転写媒体に対しても充分に低い転写エネル
ギーで高品位の印字画像を得ることができるなどの利点
を有する実用上著しく有利な感熱転写記録媒体を提供す
ることができる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−270190(JP,A) 特開 平4−94968(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/38 - 5/40

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に少なくとも熱溶融性剥離層およ
    び熱溶融性接着層を設けてなる感熱転写記録媒体におい
    て、該熱溶融性剥離層と該熱溶融性接着層の間に酢酸ビ
    ニル単位の含量が35重量%以上であるエチレン−酢酸ビ
    ニル共重合体を主成分とする中間層を設けたことを特徴
    とする感熱転写記録媒体。
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