JP2013518957A - 五酸化アンチモンを含む芳香族ビニルポリマーをベースにした耐火組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】(UL-94テストでの)全出炎時間が改善された芳香族ビニルポリマーベースの耐火組成物。
【解決手段】100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して、1〜30重量部の難燃剤、0.1〜2重量部の滴下防止剤、0〜5重量部の添加剤および難燃助剤を含み、上記難燃助剤が五酸化アンチモンだけであり、その使用量が0.5〜15重量部であることを特徴とする耐火組成物。
【解決手段】100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して、1〜30重量部の難燃剤、0.1〜2重量部の滴下防止剤、0〜5重量部の添加剤および難燃助剤を含み、上記難燃助剤が五酸化アンチモンだけであり、その使用量が0.5〜15重量部であることを特徴とする耐火組成物。
Description
本発明は、芳香族ビニルポリマーをベースにした耐火性(flame resistant)組成物、特にポリスチレンをベースにした耐火性組成物に関するものである。
スチレン−ベースの樹脂は加工性、剛性、電気特性、その他に優れ、各種の工業分野、パーソナルコンピュータ、ワープロ、プリンタおよびコピー機塔のようなオフィイス機器、TVのような家庭用機器、電子、電気機器、自動車部品、その他の各種商品に広く使われている。特に、スチレン-ベースの耐火性、難燃性樹脂は主としてTVのハウジングに使われ、一般には高衝撃性ポリスチレン(HIPS)から成る。スチレン−ベースの樹脂は加工性および物性に優れているが、燃え易いためその使用には安全上の問題が伴う。従って、スチレン−ベースの樹脂の耐火性、難燃性に対する研究が続けられている。
難燃性を達成するために、一般にハロゲン−ベースの難燃剤、燐−ベースの難燃剤および無機難燃剤が加えられる。これまでは、優れた難燃性を与えるハロゲン−ベースの難燃剤が最も広く使われてきた。多く用途でスチレン−ベースの樹脂はその加工性の高さから使用されている。耐炎性樹脂組成物には多くの場合、V-0クラスの引火性と、高いメルトフローインデックス(MFR)とが要求される。特に、厚さが非常に薄い面積を有する成形部品の場合。V-0クラスの引火性にするためには、樹脂はSubject 94, Underwriters Laboratories Tests For Flammability of Plastic Materials(以下にUL-94という)に記載の判定基準(クライテリア)をクリアーしなければならない。クラスV-0を得るための一つの判定基準は所定の火炎に露出した後、サンプルから綿−着火ドリップ(cotton-igniting drips)が無いことである。
しかし、メルトフローインデックスが高い樹脂はUL-94引火性試験時にドリップし易い傾向があるため、引火性クラスが低くなる危険がある。クラスV-0を達成するための第2の判定基準は5つ以上の試験片と2回の着火(10回の測定)で測定した時の最大発炎時間が50秒以下であることである。
しかし、滴下防止剤 (anti-dripping agents) を使用してドリップの問題を解決すると同時に、全炎上時間 (total flaming time) をドラスチックに改善する技術はこれまで無かった。
特許文献1(米国特許第US 6841215号明細書)にはポリフェニレン・エーテル樹脂とポリスチレン樹脂とを含む組成物から成る熱耐パイプが記載されている。成形品または発泡品から回収したリサイクルポリスチレン樹脂をパイプで使用することができる。必要に応じてリサイクルポリスチレン樹脂に難燃剤を添加することができる。組成物中に衝撃緩衝剤を入れることもできる。また、燐化合物、珪素化合物、金属塩のような難燃剤およびこれら難燃剤の少なくとも一つを含むその組合せを使用することもできる。難燃剤はポリフェニレン・エーテル樹脂およびポリスチレン樹脂の100重量部当たり約0.01〜約50重量部の量で加えることができる。燃焼時のドリップを防ぐドリップ予防剤も使用できる。ドリップ予防剤としては、組成物中にフィブリルを形成する能力のあるテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。
特許文献2(米国特許第US 5200432号明細書)はポリフェニレンオキシド・ポリマーと、リサイクルポリスチレン原料とを溶融混合生成物から成るポリマー組成に関するものである。この特許の実施例では、リサイクルポリスチレン原料が臭素変成ポリスチレンフォームから成り、加熱し、ガラス遷移温度以上で揮発分除去したときのメルトフローインデックスは約25以上である。リサイクルポリスチレン原料は加熱し、ガラス遷移温度以上に揮発分除去したときのメルトフローインデックスが約25以上の当業者に公知の臭素変成ポリスチレンフォームに由来するのが好ましい。臭素化合物はポリスチレンフォーム原料の加工性を改善し、難燃剤の役目もする。ポリスチレンフォーム原料はさらに、追加の共難燃剤、例えば有機過酸化物、例えばジクミル・パーオキサイドと、低熱安定性を示す核剤とを含むことができる。この特許のポリマー組成物は追加の成分をさらに含むことができる。例えば、組成物はリサイクルポリスチレン原料とは異なる第2のポリスチレン樹脂を含むことができる。この第2のポリスチレン樹脂は当業者に公知の任意のポリスチレン、例えばポリスチレンのホモポリマー、ハロゲン化ポリスチレン、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、ゴム変成ポリスチレン、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリ-α−メチルスチレンポリマーおよびそれの混合物を含むことができる。
特許文献3(米国特許第US 4546139号明細書)にはポリマー、例えばABS、HIPS、PP、HDPEおよびPBTに対する難燃添加剤として使われるジナフチルエーテルが記載されている。この組成物中には難燃性(遅延性)を開けるために一種以上の他の材料をオプションとしてさらに含むことができる。そうした材料の例としては酸化亜鉛、硼酸亜鉛、硼酸、硼砂、酸化第二鉄、三酸化アンチモンおよび五酸化アンチモンが挙げられ、三酸化アンチモンが好ましい。
特許文献4(米国特許第US 6372831号明細書)に記載の耐火樹脂組成物は下記を含む:
(A) 約50〜約90重量部の芳香族ビニルモノマーに由来するゴム変成ポリマー、
(B) 約1〜8重量部のポリマー衝撃緩衝剤、
(C) 約0.5〜約5重量部の0.940g/cm3以上の高密度と、0.9以下のメルトフローインデックス(ASTM D1238に従って190℃、2.16kg荷重下で測定)とを有するポリオレフィン、
(D)組成物に7〜14重量部のハロゲンに加えるのに十分量のハロゲンを含む難燃剤、
(E) 約2〜6重量部の無機の難燃相乗効果剤(flame retardant synergist)。
(A) 約50〜約90重量部の芳香族ビニルモノマーに由来するゴム変成ポリマー、
(B) 約1〜8重量部のポリマー衝撃緩衝剤、
(C) 約0.5〜約5重量部の0.940g/cm3以上の高密度と、0.9以下のメルトフローインデックス(ASTM D1238に従って190℃、2.16kg荷重下で測定)とを有するポリオレフィン、
(D)組成物に7〜14重量部のハロゲンに加えるのに十分量のハロゲンを含む難燃剤、
(E) 約2〜6重量部の無機の難燃相乗効果剤(flame retardant synergist)。
成分(E)は例えば無機の難燃相乗効果剤で、難燃剤、特にハロゲン化難燃剤の効果を高める化合物として公知の物である。この無機難燃相乗効果剤の例は金属酸化物、例えば酸化鉄、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化アルミニウム、アルミナ、三−および五酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化モリブデン、三酸化タングステン、硼素化合物、例えば硼酸亜鉛、珪酸アンチモン、フェロセンおよびこれらの混合物であるが、これらに限定されるものではない。
上記組成物はコットン着火ドリップを生じる傾向を下げるのが好ましく、この組成物はコットン着火ドリップを生じないのがより好ましい。この特許では組成物ではUL-94テストでドリップは生じないのが好ましい。実施例で使用しているのは三酸化アンチモンだけである。
特許文献5(国際特許第WO 2004-015008号公報)に記載のゴム変成耐火スチレン樹脂組成物は下記から成る:
(a) 100重量部のゴム-変成されたスチレン樹脂、
(b) 下記を含む0.2〜20重量部の難燃剤:
(i) 0.1〜10重量部のテトラブロムビスフェノール-A- ビス(2,3- ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモシクロドデカンおよびこれらの混合物から成る群の中から選択さる化合物、
(ii) 0.1〜10重量部の臭素化エポキシオリゴマー
(c) 0.1〜3重量部の滑剤としてのステアリン酸カルシウム。
(a) 100重量部のゴム-変成されたスチレン樹脂、
(b) 下記を含む0.2〜20重量部の難燃剤:
(i) 0.1〜10重量部のテトラブロムビスフェノール-A- ビス(2,3- ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモシクロドデカンおよびこれらの混合物から成る群の中から選択さる化合物、
(ii) 0.1〜10重量部の臭素化エポキシオリゴマー
(c) 0.1〜3重量部の滑剤としてのステアリン酸カルシウム。
上記のゴム変成耐火スチレン樹脂組成物はさらに、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンおよびこれらの混合物から成る群の化合物の中から選択される難燃相乗効果剤を含むことができる。実施例では三酸化アンチモンのみが記載されている。この特許が解決しようとする課題はポリスチレン樹脂の熱安定性と、熱と光に起因する退色防止であり、難燃相乗効果剤の選択に関する記載はない。
特許文献6(米国特許公開第US 2006-0106141号明細書)には下記から成るスチレン-ベースの高衝撃性、難燃性樹脂組成物が記載されている(100重量部のゴム変成スチレン-ベースのコポリマーに対する比率):
1〜30重量部の難燃剤、
0.5〜15重量部の難燃助剤、
0.1〜15重量部のスチレン含有グラフト共重合体。
この特許が解決しようとする課題は難燃ではなく、外観を変えずに衝撃抵抗性を改良できる難燃剤を見出すことだけである。
1〜30重量部の難燃剤、
0.5〜15重量部の難燃助剤、
0.1〜15重量部のスチレン含有グラフト共重合体。
この特許が解決しようとする課題は難燃ではなく、外観を変えずに衝撃抵抗性を改良できる難燃剤を見出すことだけである。
難燃助剤は酸化アンチモン、亜鉛化合物、硼酸バリウム、酸化ジルコニウム、タルクおよびマイカから成る群の中から選択できる。酸化アンチモンは三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンにすることができる。HIPS樹脂に対してはこれらの難燃助剤の中で三酸化アンチモンが特に好ましい。上記スチレン-ベースの難燃樹脂組成物は用途に応じて滑剤、熱安定剤、抗酸化剤、光安定剤、滴下防止剤、顔料および無機充填剤から成る群の中から選択される少なくとも一種の添加剤をさらに含むことができる。実施例で使用されているのは三酸化アンチモンだけである。
特許文献7(米国特許第US7629402号明細書)には下記から成るABS樹脂組成物が記載されている:
(a) 100重量部のアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合とスチレン-アクリロニトリル共重合体とから成るベースの樹脂、
(b) 10〜30重量部の難燃剤としての臭素化有機化合物
(c) 1〜20重量部のアンチモン難燃助剤、
(d) 1〜10重量部のステアリン酸金属塩およびステアルアミド化合物から成る群の中から選択される一種以上の化合物。
(a) 100重量部のアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合とスチレン-アクリロニトリル共重合体とから成るベースの樹脂、
(b) 10〜30重量部の難燃剤としての臭素化有機化合物
(c) 1〜20重量部のアンチモン難燃助剤、
(d) 1〜10重量部のステアリン酸金属塩およびステアルアミド化合物から成る群の中から選択される一種以上の化合物。
(c)のアンチモン難燃助剤は三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、金属アンチモン、三塩化アンチモン、その他当からなる臭素化有機化合物と一緒になって耐炎性を上げる役目をする。三酸化アンチモンが特に好ましい。この好ましい三酸化アンチモンの平均径0.02〜5μmである。高衝撃抵抗性にするためには平均径を0.5μm以下にするのが好ましい。
上記のABS樹脂組成物はさらに添加剤、例えば滑剤、熱安定剤、滴下防止剤、抗酸化剤、光安定剤、耐UV剤、顔料または無機充填剤を含むことができる。実施例に記載のものは三酸化アンチモンだけである。この特許はHIPS樹脂ではなく、ABS樹脂に関するものである。
特許文献8(国際特許第WO2009031787号公報)は下記から成る難燃性樹脂組成物である:
(A) 100重量部のアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合樹脂とスチレン-アクリロニトリル共重合体樹脂とから成るベース樹脂、
(B)10〜30重量部の臭素ベースの有機化合物の難燃剤および選択的に
(C)1〜20重量部のアンチモン-ベースの難燃助剤、または
(D)1〜10重量部のステアリン酸金属塩およびステアルアミド化合物から成る群の中から選択される一種以上の化合物。
(A) 100重量部のアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合樹脂とスチレン-アクリロニトリル共重合体樹脂とから成るベース樹脂、
(B)10〜30重量部の臭素ベースの有機化合物の難燃剤および選択的に
(C)1〜20重量部のアンチモン-ベースの難燃助剤、または
(D)1〜10重量部のステアリン酸金属塩およびステアルアミド化合物から成る群の中から選択される一種以上の化合物。
臭素ベースの有機化合物の難燃剤(B)はオクタブロムジフェニルエタンである。この特許の難燃樹脂組成物に加えることが可能な添加剤の一つであるアンチモン-ベースの難燃助剤C)は臭素ベースの有機化合物の難燃剤(B)と一緒に火炎を遅延させる機能を有する。難燃剤(Bの例は三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、金属アンチモンおよび三塩化アンチモン等である。三酸化アンチモンが好ましくは使われる。この難燃樹脂組成物はさらに、他の添加剤、例えば滑剤、熱安定剤、滴下防止剤、抗酸化剤、光安定剤、耐UV剤、顔料または無機充填剤等を100重量部のベース樹脂に対して下記の好ましい含有量で含むことができる:滴下防止剤として使われる弗-ベースの化合物は0.05〜2重量部、滑剤は0.2〜10重量部、安定剤は0.2〜10重量部。実施例で使用されているのは三酸化アンチモンだけである。この文献もABS樹脂に関するもので、HIPS樹脂に関するものではない。
特許文献9(特開第JP1-198655(A)号公報、1989年8月10日公開)にはオクタブロムジフェニルオキサイドおよび/または特定の分子量を有する臭素化エポキシオリゴマーから成る難燃剤と一緒に、五酸化アンチモンを使用することによって優れたカラー現像性、熱安定度および難燃性を有する組成物が記載されている。この組成物は下記をコンパウンディングして得られる:
(A) 100重量ptsの下記から成る熱可塑性樹脂、
(A1)20〜100重量%のゴム強化スチレン樹脂
(A2)0〜80重量%の他の熱可塑性樹脂
(B) 5〜25重量pts、好ましくは7〜200重量ptsのオクタブロモジフェニルオキサイドおよび/または<=5000の分子量を有する臭素化エポキシ・オリゴマー。
(C) 1〜1O重量ptsの五酸化アンチモン、
(D)0〜3重量ptsの熱安定化剤、例えばジブチル錫マレート。
滴下防止剤は含まない。
(A) 100重量ptsの下記から成る熱可塑性樹脂、
(A1)20〜100重量%のゴム強化スチレン樹脂
(A2)0〜80重量%の他の熱可塑性樹脂
(B) 5〜25重量pts、好ましくは7〜200重量ptsのオクタブロモジフェニルオキサイドおよび/または<=5000の分子量を有する臭素化エポキシ・オリゴマー。
(C) 1〜1O重量ptsの五酸化アンチモン、
(D)0〜3重量ptsの熱安定化剤、例えばジブチル錫マレート。
滴下防止剤は含まない。
この特許を良く読むと、この特許はABS樹脂に関するものではなく、また、この特許が解決しようとする課題はABS樹脂の衝撃強度に負の影響を与えずに明るい顔料を用いて退色を避けることであることがわかる。
非特許文献1では五酸化アンチモンと三酸化アンチモンとを比較している。滴下防止剤は含まない。
特許文献10(韓国特許公開第KR2009-0016953号公報、1989年8月10日公開)には五酸化アンチモンと滴下防止剤とを含む耐火ABSが記載されている。
Compounding 2000-lssues, Solutions and Opportunities, Publisher:Fire Retardant Chemicals Association, [Fall Conference], Cleveland, Oct. 26-29, 1997 (1997), 201 -212、"Colloidal antimony pentoxide in flame retarded ABS":Fire Retardant Chemicals Association, Lancaster, Pa
従って、現在市場に出ている製品よりもはるかに安全で、(UL-94テストでの)全出炎時間(total flaming time)にわたってドラスチックな火炎遅延効果 (flame retardancy) を示すHIPS樹脂組成物、主としてTVハウジング用HIPS樹脂組成物に対するニーズが存在する。
本発明者は、芳香族ビニルポリマーベースの耐火組成物で五酸化アンチモンを使用することで、PS、有利にはHIPSと、臭素成分と、滴下防止剤とブレンドしたときに、顕著な耐火(Flame Retardant)挙動を示すということを発見した。五酸化アンチモンは臭素成分と一緒になって、他の相乗効果剤、例えば亜鉛錫酸塩やヒドロキシ錫酸亜鉛と比較してより優れた相乗効果を発揮するという利点がある。
本発明組成物は欧州エコラベルデシジョン(Ecolabel decision)(2009/300/EC)に適応する。
本発明者は、HIPS樹脂組成物、主としてTVハウジング用HIPS樹脂組成物の全出炎時間は難燃助剤として五酸化アンチモンだけを使用することによってドラスチックに改善できるということを見出した。
本発明者は、HIPS樹脂組成物、主としてTVハウジング用HIPS樹脂組成物の全出炎時間は難燃助剤として五酸化アンチモンだけを使用することによってドラスチックに改善できるということを見出した。
本発明組成物は、100重量部のHIPSに対して下記を含むことができる:
1〜30重量部の難燃剤、
0.5〜15重量部の唯一の難燃助剤としての五酸化アンチモン、
0.1〜2重量部の滴下防止剤
0〜5重量部の添加剤。
1〜30重量部の難燃剤、
0.5〜15重量部の唯一の難燃助剤としての五酸化アンチモン、
0.1〜2重量部の滴下防止剤
0〜5重量部の添加剤。
難燃剤の配合比率は100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して10〜25重量部、好ましくは15〜20重量部であるのが有利である。
五酸化アンチモンの配合比率は100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して2〜10重量部、好ましくは2〜5重量部であるのが有利である。
滴下防止剤の配合比率は100重量部の芳香族ビニルポリマーまたはHIPSに対して0.1〜1重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部であるのが有利である。
五酸化アンチモンの配合比率は100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して2〜10重量部、好ましくは2〜5重量部であるのが有利である。
滴下防止剤の配合比率は100重量部の芳香族ビニルポリマーまたはHIPSに対して0.1〜1重量部、好ましくは0.1〜0.5重量部であるのが有利である。
本発明組成物は押出し発泡体または発泡ビーズまたはペレット、例えばXPSまたはEPSの製造で用いることができる。
本発明組成物はヨーロッパエコラベルデシジイン(2009/300/EC)に対応する。
本発明組成物はヨーロッパエコラベルデシジイン(2009/300/EC)に対応する。
芳香族ビニルポリマーとしては下記を挙げることができる:
(1)ポリスチレン、エラストマ-変成されたポリスチレンおよびHIPS、
(2)スチレンブロックとブタジエンまたはイソプレンまたはブタジエン/イソプレン混合物のブロックとを有するコポリマー(これらのブロック共重合体は直鎖のブロックコポリマーまたは星型のブロック・コポリマーにすることができる、水素化および/または官能化されていてもよい)。これらのコポリマーは下記文献に記載されている。
ULLMAN N'S ENCYCLOPEDIA OF INDUSTRIAL CHEMISTRY, fifth edition (1995) Vol A26, pages 655-659
(1)ポリスチレン、エラストマ-変成されたポリスチレンおよびHIPS、
(2)スチレンブロックとブタジエンまたはイソプレンまたはブタジエン/イソプレン混合物のブロックとを有するコポリマー(これらのブロック共重合体は直鎖のブロックコポリマーまたは星型のブロック・コポリマーにすることができる、水素化および/または官能化されていてもよい)。これらのコポリマーは下記文献に記載されている。
ULLMAN N'S ENCYCLOPEDIA OF INDUSTRIAL CHEMISTRY, fifth edition (1995) Vol A26, pages 655-659
また、これらコポリマーはトタル社(Total Petrochemicals)からFinaclear(登録商標)の名称で市販されており、また、BASF社からStyrolux(登録商標)の名称で市販されており、また、シェブロン社(Chevron Phillips Chemical)からK-Resin(登録商標)の名称で市販されている。
(3)SBR(スチレン・ブタジエンゴム)
(3)SBR(スチレン・ブタジエンゴム)
上記エラストマーの例はEPRである(エチレン−プロピレン・ゴムまたはエチレン−プロピレン・エラストマーの略)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン・ゴムまたはエチレン−プロピレン・ジエン・エラストマーの略)、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン・コポリマー、ポリイソプレン、イソプレン−アクリロニトリル共重合体およびスチレンブロックとブタジエンまたはイソプレンブロックまたはブタジエン/イソプレン混合物を有するコポリマーである。これらのブロック共重合体は直鎖ブロック・コポリマーまたは星型ブロック・コポリマーにすることができ、水素化および/または官能化されていてもよい。(上記参照)。
上記芳香族ビニルポリマーのスチレンの一部をスチレンと共重合可能な不飽和モノマー、例えばα-メチルスチレンまたは、(メタ)アクリレートに代えることかできる。スチレンコポリマーの他の例としてはクロルポリスチレン、ポリ-α−メチルスチレン、スチレン-クロロスチレンコポリマー、スチレン-プロピレンコポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン-イソプレンコポリマー、スチレン-塩化ビニルコポリマー、スチレン-酢酸ビニールコポリマー、スチレン−アクリル酸アルキルコポリマー(メチル、エチル、ブチル、オクチル、フェニルアクリレート)、スチレン-アルキルメタクリレートコポリマー(メチル、エチル、ブチル、メタクリル酸フェニル)、スチレンクロロアクリル酸メチルコポリマーを挙げることができる。
芳香族ビニルポリマーの特定実施例は下記から成る:
(i) 60〜100重量%の一種または複数のC8〜12芳香族ビニルモノマー、
(ii) 0 〜40重量%のアクリル酸またはメタアクリル酸のC1〜4アルキルエステルから成る群の中から選択される一種または複数のモノマー、
このポリマーは0〜20重量%の一種または複数のゴム状ポリマーをグラフトまたは含むことができる。
(i) 60〜100重量%の一種または複数のC8〜12芳香族ビニルモノマー、
(ii) 0 〜40重量%のアクリル酸またはメタアクリル酸のC1〜4アルキルエステルから成る群の中から選択される一種または複数のモノマー、
このポリマーは0〜20重量%の一種または複数のゴム状ポリマーをグラフトまたは含むことができる。
ゴム状ポリマーは下記から成る群の中から選択できる:
(a) C4〜6共役ジエンのコ−およびホモ−ポリマー、
(b) 20〜60重量%、好ましくは40〜50重量%の未置換またはC1〜4アルキル基で置換されていてもよい一種または複数のC8〜12芳香族ビニルモノマーと、60〜40重量%、好ましくは60〜50重量%のC4〜6共役ジエンの中から選択される一種または複数のモノマーとから成るコポリマー。
(a) C4〜6共役ジエンのコ−およびホモ−ポリマー、
(b) 20〜60重量%、好ましくは40〜50重量%の未置換またはC1〜4アルキル基で置換されていてもよい一種または複数のC8〜12芳香族ビニルモノマーと、60〜40重量%、好ましくは60〜50重量%のC4〜6共役ジエンの中から選択される一種または複数のモノマーとから成るコポリマー。
上記ゴムは種々の方法、好ましくは乳化重合または溶液重合で製造できる。これらの方法は当業者に周知である。
芳香族ビニルポリマーも種々の方法で製造できる。この方法も当業者に周知で、例えば上記文献に記載される。
ゴムが存在する場合、ゴムの量は約3〜10重量%にするのが好ましい。特に有用なゴムはポリブタジエンである。
芳香族ビニルポリマーも種々の方法で製造できる。この方法も当業者に周知で、例えば上記文献に記載される。
ゴムが存在する場合、ゴムの量は約3〜10重量%にするのが好ましい。特に有用なゴムはポリブタジエンである。
芳香族ビニルポリマーがポリスチレンである特定実施例では、結晶性ポリスチレンまたはゴム変成ポリスチレンを選択するのが好ましい。ゴム変成ポリスチレンはHIPS (High Impact Polystyreneの略)とよばれる。HIPSの製造方法は当業者に周知である。ゴムをスチレン中に「溶かす」(実際にはゴムはモノマーで無限に膨潤する)。その結果、2つの共連続相にある。得られた「溶液」を反応装置に送り、一般には剪断下で重合する。重合度が系のゴムの重量%に等しくなった時に逆転する(すなわち、スチレン/スチレンポリマー相が連続相になり、ゴム相が不連続相になる)。この相反転後にポリマーはポリスチレンを仕上げる方法と基本的に同じ方法で仕上げ加工する。ポリマーは通常の隗重合、溶液重合または懸濁重合方法を用いて製造される。
本発明の芳香族ビニルポリマーはC8〜12芳香族ビニルモノマーのコ−またはホモ−ポリマーにすることができる。芳香族ビニルモノマーはスチレン、α−ビニールトルエンおよびパラ−ビニールトルエンから成る群の中から選択できる。芳香族ビニルモノマーはスチレンであるのが好ましい。芳香族ビニルポリマーは60〜100重量%の一種または複数のC8〜12芳香族ビニルモノマーと0〜40重量%のアクリル酸またはメタアクリル酸のC1〜4アルキルエステル、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから成る群の中から選択される一種または複数のモノマーとのコポリマーにすることができる。アクリル酸およびメタアクリル酸のエステルにはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびメタクリル酸ブチルが含まれる。本発明の芳香族ビニルポリマーはゴム変性されていてもよい。芳香族ビニルポリマーはモノ芳香族ビニルポリマーであるのが有利である。芳香族ビニルポリマーはHIPSまたはのHIPSの混合物であるのが有利である。
難燃剤はハロゲン化合物、燐ベースの化合物およびエポキシ化物から成る群の中から選択される少なくとも一つにすることができる。
ハロゲン化合物の例はテトラブロモビスフェノールA(TBBA)、TBAAベースのフェノキシ樹脂、TBBAベースのカーボネートオリゴマー、臭素化エポキシオリゴマー(BEO)、オクタブロモジフェニルオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイド、トリブロモフェノキシエタン、ヘキサブロモジフェノキシエタン、デカブロモジフェニルエタン、1,2-ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、2,4,6-トリ(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン等である。
燐ベースの化合物の例はトリフェニルホスフェート、トリ(ヒドロキシフェニル)ホスフェート、トリクレシルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レソルシノール・ビス(ジフェニル・ホスフェート)等である。
エポキシ化物はエポキシ末端基をトリブロモフェノールで置換した臭素化エポキシオリゴマーにすることができる。
難燃剤は少なくとも2つのハロゲン化合物の混合物にすることができる。
難燃剤は少なくとも2つのハロゲン化合物の混合物にすることができる。
滴下防止剤は本発明組成物が引火性テスト、例えばUL94水平燃焼テストUL 94HBまたはIEC 60065テストをパスできるようする、滴下(ドリップ)を防ぐことが可能な任意の成分にすることができる。
本発明組成物はTVキャビネット、コンピューターのモニタ、プリンタハウジング等を製造するための射出成形用途で使用できる。この射出成形用途で使われる組成物には一般に優れた耐引火性が要求される。この引火性のクラスはUL-94テストで得られる。このテストでは所定のテスト・サンプルを所定時間の間、所定の炎に露出する必要がある。クラスV−0、V1およびV‐2は火炎時間、アフターグロー時間、コットン着火ドリップを含む多くの判定基準に従って判定される。クラスV−0(最も望ましいクラス)を得るための判定基準の一つはコットン着火ドリップが無いことである。コットン着火ドリップはテスト時にテスト・サンプから所定距離の下側に配置したコットンを発火させるドリップである。しかし、全てのドリップはコットンを着火させる可能性を増やすので、クラスV‐2に格付けされる。従って、UL-94テスト中にドリップが生じる傾向の少ない組成物が有利である。本発明組成物はコットン着火ドリップを生じる傾向が少なないのが好ましく、より好ましくはUL-94テスト中にコットン着火ドリップを全く生じないのが好ましい。滴下防止剤の例としては、本発明組成物にラテックスとして導入できるPTFE(テトラフルオロエチレン樹脂)が挙げられる。
本発明組成物は添加剤として少量の一般的な加工助剤、例えば離型剤、可塑剤、顔料、熱安定剤、紫外線安定剤、抗酸化剤、充填剤、例えばガラス繊維、ガラスビーズ、流れ改善剤、例えばワックスまたは鉱油等を含むことができる。芳香族ビニルポリマーベースの組成物の製造で当業者が一般的に使用している公知の任意の添加剤を本発明組成物でも使うことができる。
本発組成物ではステアリン酸の金属炎が有利に使える。ステアリン酸金属塩はステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウムおよびステアラミド化合物から成る群の中から選択される一種または複数の化合物にすることができる。ステアラミド化合物はエチレンビスステアラミドにすることができる。ステアリン酸金属塩の配合比率は100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して0.1〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部にするのが有利である。
本発明組成物は各成分を熱可塑性樹脂の分野で周知のミクサー、押出機で混合することで製造できる。本発明組成物のメルトフローインデックスはASTM D1238規格(またはISO規格1 133H)に従って200℃、5kgの荷重下で測定した時に一般に約6〜約30g/10分、好ましくは約7〜約25、さらに好ましくは約8〜22である。一般に、メルトフローインデックスが高い組成物はその組成物中にメルトフローインデックスが高いHIPS樹脂を含めて調製でき、また、可塑剤、例えば鉱油、シリコーン油、低分子量ポリスチレンまたは可塑剤として作用する難燃剤、例えばテトラブロモビスフェノールAを含めて調整できる。
高衝撃ポリスチレン1は例えばPSインパクト444にすることができる。このHIPSは下記特性を有する:
メルトフローインデックス(200℃−5kg)ISO1133、H=10 g/1Omn
ノツチ付きシャルピー衝撃強度、ISO179/1eU=8kJ/m2
ノッチ付きアイゾット衝撃教徒、ISO180/1A=10kJ/m2
降伏点引張強度、IOS527-2=25MPa
破断引張強度、IO527-2=20MPa
破断伸び、ISO527-2=55%
縦弾性係数、ISO527-2=2050 MPa
曲げ弾性係数、ISO178=2000 MPa
メルトフローインデックス(200℃−5kg)ISO1133、H=10 g/1Omn
ノツチ付きシャルピー衝撃強度、ISO179/1eU=8kJ/m2
ノッチ付きアイゾット衝撃教徒、ISO180/1A=10kJ/m2
降伏点引張強度、IOS527-2=25MPa
破断引張強度、IO527-2=20MPa
破断伸び、ISO527-2=55%
縦弾性係数、ISO527-2=2050 MPa
曲げ弾性係数、ISO178=2000 MPa
高衝撃ポリスチレン2は例えばPSインパクト7240にすることができる。このHIPSは下記特性を有する:
メルトフローインデックス(200℃−5kg)ISO1133、H=4.5g/1Omn
ノッチ付きアイゾット衝撃教徒、ISO180/1A=11.0kJ/m2
破断引張強度、IO527-2=21MPa
破断伸び、ISO527-2=60%
縦弾性係数、ISO527-2=1950 MPa
曲げ弾性係数、ISO178=1850 MPa
PTFEエマルションはDyneon(登録商標)PA5958である。
メルトフローインデックス(200℃−5kg)ISO1133、H=4.5g/1Omn
ノッチ付きアイゾット衝撃教徒、ISO180/1A=11.0kJ/m2
破断引張強度、IO527-2=21MPa
破断伸び、ISO527-2=60%
縦弾性係数、ISO527-2=1950 MPa
曲げ弾性係数、ISO178=1850 MPa
PTFEエマルションはDyneon(登録商標)PA5958である。
[表2]は五酸化アンチモン、錫酸亜鉛および五酸化アンチモンと錫酸亜鉛の混合物を含む上記のPSインパクト4440および7240をベースにした組成物を比較したものである。他の成分は[表1]に記載のものである。
五酸化アンチモンを含む組成物のみがUL 94テストでクラスV0をパスした。
また、実施例1の全出炎時間を測定した結果、(UL-94テストで)19秒であることがわかった。
比較のために、下記組成物の全出炎時間も測定した:
(i) 3.5%の三酸化アンチモン:39秒
(ii) 2.7%五酸化アンチモン:23秒
五酸化アンチモンを含む組成物のみがUL 94テストでクラスV0をパスした。
また、実施例1の全出炎時間を測定した結果、(UL-94テストで)19秒であることがわかった。
比較のために、下記組成物の全出炎時間も測定した:
(i) 3.5%の三酸化アンチモン:39秒
(ii) 2.7%五酸化アンチモン:23秒
Claims (5)
100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して、
1〜30重量部の難燃剤、
0.1〜2重量部の滴下防止剤、
0〜5重量部の添加剤および
難燃助剤、
を含む、(UL-94テストでの)全出炎時間が改善された芳香族ビニルポリマーベースの耐火組成物であって、上記の難燃助剤が五酸化アンチモンだけであり、その量が0.5〜15重量部であることを特徴とする耐火組成物。
1〜30重量部の難燃剤、
0.1〜2重量部の滴下防止剤、
0〜5重量部の添加剤および
難燃助剤、
を含む、(UL-94テストでの)全出炎時間が改善された芳香族ビニルポリマーベースの耐火組成物であって、上記の難燃助剤が五酸化アンチモンだけであり、その量が0.5〜15重量部であることを特徴とする耐火組成物。
100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して難燃剤の配合比率が10〜25重量部である請求項1に記載の耐火組成物。
100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して五酸化アンチモンの配合比率が2 〜10重量部である請求項1または2に記載の耐火組成物。
100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して滴下防止剤の配合比率が0.1〜1重量部である請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐火組成物。
100重量部の芳香族ビニルポリマーに対して添加剤としてのステアリン酸金属塩化合物の配合比率か0.1〜2重量部である請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
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