JP2013512122A - 改善された粘着性転写紙 - Google Patents

Abstract

本発明は、粘着性転写紙の製造法、該方法により製造された転写紙及び転写印刷法に関する。

Description

本発明は、粘着性転写紙の製造法、該方法により製造された粘着性転写紙及び転写印刷法に関する。

転写印刷とは、転写紙を用いた種々の材料、例えばテキスタイルの印刷を指す。転写紙は色素で被覆され、この色素はその後、熱転写プレス機を用いて昇華により印刷可能な材料に転写される。

ＷＯ００／０６３９２には、少なくとも印刷すべき面に溶解−又は遮断層が備えられており、その際、該層が多くとも１００ｍｌ／分の多孔率を有している、特にインクジェット印刷のための転写紙が開示されている。

ＷＯ２００８／００６４３４には、熱可塑特性を有する半合成ポリマーでの被覆を有する転写紙が開示されている。そのような熱可塑性樹脂の例として、エチルセルロース、熱可塑性デンプン、メチルヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースが挙げられている。ポリアクリレート又はカルボキシメチルセルロースでの被覆は不利であるとされている。

ＥＰ０９００４６１４．５には、アンモニウムポリアクリレートを含有する水性液体で被覆されている、特にインクジェット印刷のための転写紙が開示されている。

ＥＰ０９１６４７７２．７には、親水性有機ポリマー、特にアクリレートベースのポリマー及びセルロースを含有する水性液体で被覆されている、特にインクジェット印刷のための転写紙が開示されている。

ポリエステル又はポリアミドをベースとするテキスタイルの印刷に関しては、印刷の際に生じている温度で印刷すべき材料に付着する、粘着性転写紙の使用が提案された。しかしながら、そのような粘着性転写紙を用いた従来の試みは、付着特性が欠乏していること、及び／又は持続性が低いことに基づいて、あまり成功していなかった。

意想外にも、転写紙の印刷すべき表面を種々の水性液体で多重被覆した場合に、上述の欠点を少なくとも実質的に回避できることが判明した。

従って本発明の第一の観点は、以下の工程：
（ａ）第一の水性液体を紙の印刷すべき表面に施与し、その際、前記の第一の水性液体が親水性有機ポリマーを含有しており、かつ引き続き乾燥させる工程、
（ｂ）場合により、第二の水性液体を紙の裏面に施与し、その際、前記の第二の水性液体が場合により親水性有機ポリマーを含有しており、かつ引き続き乾燥させる工程、及び
（ｃ）第三の水性液体を紙の印刷すべき表面に施与し、その際、前記の第三の水性液体が熱活性接着剤及びポリビニルアルコールを含有しており、かつ引き続き乾燥させる工程
を含む、特にインクジェット印刷のための粘着性転写紙の製造法に関する。

転写紙の製造に使用される出発材料は、慣用の紙、例えば、紙１ｍ²当たり通常６０〜１４０ｇ、特に８０〜１２０ｇの質量を有する白色紙又は無漂白紙である。

本発明による方法の工程（ａ）により、印刷すべき表面、即ち、引き続き色素で被覆される面を、親水性有機ポリマー、特にポリアクリレート又はポリメタクリレートをベースとするポリマーを含有する第一の水性液体と接触させる。有利には、ポリアクリレート、特に有利にはアンモニウムポリアクリレートを使用する。被覆に使用するポリマー、例えばアンモニウムポリアクリレートは、通常は５００Ｄａ又はそれを上回る、例えば１，０００〜５，０００Ｄａ、特に１，０００〜２，０００Ｄａの重量平均分子量を有する。有利には、第一の水性液体は、ポリマー、例えばアンモニウムポリアクリレートを、液体の全質量に対して１０〜５０質量％の割合で、特に２０〜４０質量％の割合で含有する。第一の水性液体は、慣用の方法により、例えばドクター、例えばドクターブレード又はドクターローラを用いて、又は吹き付けにより施与することができる。施与後、紙を通常は高められた温度、例えば４０〜８０℃で乾燥させる。

工程（ｂ）は、有利には、紙の裏面への第二の水性液体の施与、及び後続の乾燥を含む。有利には、第二の水性液体は、親水性有機ポリマー、例えばポリアクリレート又はポリメタクリレートをベースとするポリマーを含有する。有利にはポリアクリレートを使用し、特に有利にはアンモニウムポリアクリレートを使用する。第二の水性液体は、ポリマー、例えばアンモニウムポリアクリレート又は他の有機ポリマーを、有利に液体の全質量に対して２〜２０質量％の割合で、特に５〜１５質量％の割合で含有する。第二の液体の施与、及び後続の乾燥は、第一の液体の場合のように公知の方法により行うことができる。

第一、及び場合により第二の水性液体を、１ｍ²当たり通常１０〜４０ｇ、特に１５〜２５ｇの量で紙に施与し、その際、多くの実施態様ではより多いか又はより少ない量を施与することもできる。さらに、ポリマー、例えばアンモニウムポリアクリレート（又は他の親水性ポリマー）を、１〜２５ｇ、特に２〜２０ｇの乾燥質量の量で紙の表面に施与することが有利である。裏面には、ポリマー、例えばアンモニウムポリアクリレート（又は他の親水性ポリマー）を、有利には０．５〜１５ｇ、特に１〜１０ｇの乾燥質量の量で施与する。

第一の水性液体、及び場合により第二の水性液体も、酸性、中性又はアルカリ性のｐＨ値を有することができる。有利には、第一、及び第二の水性液体は、酸性から中性のｐＨ値、例えば４〜７、例えば５〜６のｐＨ値を有する。

工程（ｃ）は、熱活性接着剤、例えばシリコーン接着剤か、又は、例えば６０〜１１０℃又はそれを上回る高められた温度で、接着特性を有しかつ印刷すべき材料、例えばテキスタイルに付着する他の接着剤を含有する、第三の水性液体の施与を含む。より低い温度、例えば室温への冷却後に、熱活性接着剤はその付着特性を再度失う。好適な熱活性接着剤は、例えばBayer社又はCiba-Geigy社より市販されている。

さらに、第三の水性液体はポリビニルアルコールを含有する。ポリビニルアルコールは、通常約１０，０００〜１００，０００Ｄａ、有利には３０，０００〜６０，０００Ｄａの重量平均分子量を有する。好適なポリビニルアルコールは市販されており、例えば製品MOWIOL 26/28である。

特に有利な実施態様において、第三の液体は、以下
（ｉ）例えば１〜２０質量％、特に２〜１５質量％の割合の、熱活性接着剤、例えばシリコーン接着剤、及び
（ｉｉ）例えば５〜３０質量％、特に１０〜２０質量％の割合の、ポリビニルアルコール、
から選択された成分を含有しており、ここで、前記の質量割合はそれぞれ第一の液体の全質量に対するものである。

挙げられた添加物に加えて、液体の残分は有利には水からなる。第一の液体における水の割合は、有利には≧４０質量％、特に≧５０質量％である。有機揮発性溶剤は、有利には存在していない。

第三の水性液体を、通常は１０〜４０ｇ／ｍ²、特に２０〜３０ｇ／ｍ²の量で紙に施与し、その際、多くの実施態様ではより多いか又はより少ない量も施与される。第三の液体の乾燥を、第一、及び第二の液体に関して記載した通り、公知の方法により行う。

以下に、紙の表面を被覆するための本発明による水性液体に関する有利な特定の例を、以下の通り示す：
被覆液体１
アンモニウムポリアクリレート ２０〜４０質量％
残分 Ｈ₂Ｏ
ｐＨ５〜６
被覆液体２
ＮａＯＨ ０．０２〜０．２質量％
アンモニウムポリアクリレート ５〜１５質量％
残分 Ｈ₂Ｏ
ｐＨ５〜６
被覆液体３
熱活性接着剤 ２〜１５質量％
ポリビニルアルコール １０〜２０質量％
残分 Ｈ₂Ｏ

本発明のもう１つの観点は、上に記載した通りの方法により得ることができる、特にインクジェット印刷のための粘着性転写紙である。

本発明のさらにもう１つの観点は、印刷すべき表面が、熱活性接着剤、例えば１〜２５ｇ／ｍ² 紙の量のアクリレートベースのポリマー、特にアンモニウムポリアクリレート、及び、特に０．５〜２ｇ／ｍ² 紙の量のポリビニルアルコールで被覆されている、特にインクジェット印刷のための粘着性転写紙である。該転写紙の裏面は、場合により、特に０．５〜１５ｇ／ｍ² 紙の量の親水性ポリマー、例えばアクリレートベースのポリマー、例えばアンモニウムポリアクリレートで被覆されている。

本発明のさらにもう１つの観点は、昇華性色素の層を、すでに記載した通りの粘着性転写紙の表面に、例えばインクジェット印刷により施与する、転写紙の印刷法である。色素は、慣用の印刷インクにおいて、慣用の機器、例えばインクジェットプリンターを用いて、公知の方法により施与することができる。施与後、印刷された転写紙を、室温か、又は８０℃までの高められた温度で乾燥させる。意想外にも、色素は施与及び乾燥の際ににじみの傾向を示さないことが判明した。

印刷された粘着性転写紙は、公知の様式で、物品、特にテキスタイルの印刷に使用することができる。

従って本発明のさらにもう１つの観点は、表面が、熱活性接着剤、アクリレートベースのポリマー、例えばアンモニウムポリアクリレート及びポリビニルアルコールで、並びに昇華性色素で被覆されている、物品、特にテキスタイルの印刷のための印刷された粘着性転写紙である。

印刷すべきテキスタイルは、通常は着色されていないか又は白色である。しかしながら場合により、予め着色されたテキスタイルを使用することもできる。該テキスタイルは、通常のテキスタイル、例えば、ポリエステル−及び／又はポリアミドベースであり、有利には少なくとも４０〜６０質量％の割合のポリエステル−及び／又はポリアミド繊維を含むか、又はポリエステル及び／又はポリアミドで被覆されているテキスタイルである。

意想外にも、本発明による粘着性転写紙で、伸長可能なテキスタイルを、にじみなしに被覆することができる。該粘着性転写紙は、≧６０〜１１０℃の温度への加熱後に、印刷すべき材料に付着するため、紙から印刷すべき材料への色の転写を、慣用のロール印刷法により、色素のにじみなしに行うことができる。色の転写プロセスが終了すると、該粘着性紙を、冷却後に再度、印刷すべき材料から容易に剥離することができる。

従って本発明のさらにもう１つの対象は、印刷すべき物品と、上記の通りの印刷された粘着性転写紙とを、高められた温度、例えば１６０〜２４０℃で接触させ、それにより昇華性色素を該転写紙から印刷すべき物品へと転写することを特徴とする、物品、特に例えばポリエステル−又はポリアミドベースのテキスタイルの印刷法である。

Claims (14)

1. 以下の工程：
   （ａ）第一の水性液体を紙の印刷すべき表面に施与し、その際、前記の第一の水性液体が親水性有機ポリマーを含有しており、かつ引き続き乾燥させる工程、
   （ｂ）場合により、第二の水性液体を紙の裏面に施与し、その際、前記の第二の水性液体が場合により親水性有機ポリマーを含有しており、かつ引き続き乾燥させる工程、及び
   （ｃ）第三の水性液体を紙の印刷すべき表面に施与し、その際、前記の第三の水性液体が熱活性接着剤及びポリビニルアルコールを含有しており、かつ引き続き乾燥させる工程
   を含む、特にインクジェット印刷のための粘着性転写紙の製造法。
2. 第一の水性液体が、親水性有機ポリマーとして、ポリアクリレート、例えばアンモニウムポリアクリレートを、液体の全質量に対して例えば１０〜５０質量％の割合で、特に２０〜４０質量％の割合で含有する、請求項１記載の方法。
3. 第二の水性液体が、親水性有機ポリマーとして、ポリアクリレート、例えばアンモニウムポリアクリレートを、液体の全質量に対して例えば２〜２０質量％の割合で、特に５〜１５質量％の割合で含有する、請求項１又は２記載の方法。
4. 第一及び場合により第二の水性液体を、１ｍ²当たり１０〜４０ｇ、特に１５〜２５ｇの量で紙に施与する、請求項１から３までのいずれか１項記載の方法。
5. 親水性ポリマー、例えばアンモニウムポリアクリレートを、１〜２５ｇ、特に２〜２０ｇの乾燥質量の量で紙の表面に施与する、請求項１から４までのいずれか１項記載の方法。
6. 第一及び場合により第二の水性液体が５〜６のｐＨ値を有する、請求項１から５までのいずれか１項記載の方法。
7. 第三の液体が、特に以下
   （ｉ）例えば１〜２０質量％、特に２〜１５質量％の割合の、熱活性接着剤、例えばシリコーン接着剤、及び
   （ｉｉ）例えば５〜３０質量％、特に１０〜２０質量％の割合の、ポリビニルアルコール、
   から選択された成分を含有しており、ここで、前記の質量割合はそれぞれ第一の液体の全質量に対するものである、請求項１から６までのいずれか１項記載の方法。
8. 第三の水性液体を、１０〜４０ｇ／ｍ²、特に２０〜３０ｇ／ｍ²の量で紙に施与する、請求項１から７までのいずれか１項記載の方法。
9. 請求項１から８までのいずれか１項記載の方法により得ることができる、特にインクジェット印刷のための粘着性転写紙。
10. 特にインクジェット印刷のための粘着性転写紙において、印刷すべき表面が、熱活性接着剤、アクリレートベースのポリマー及びポリビニルアルコールで被覆されていることを特徴とする粘着性転写紙。
11. 転写紙の印刷法において、昇華性色素の層を、請求項９又は１０記載の粘着性転写紙の表面に、例えばインクジェット印刷により施与することを特徴とする方法。
12. 物品、特にテキスタイルの印刷のための印刷された粘着性転写紙において、表面が、熱活性接着剤、アクリレートベースのポリマー、ポリビニルアルコール及び昇華性色素で被覆されていることを特徴とする、印刷された粘着性転写紙。
13. 物品、特にテキスタイルの印刷法において、印刷すべき物品と、請求項１１記載の印刷された粘着性転写紙とを、高められた温度で接触させ、それにより昇華性色素を前記の転写紙から印刷すべき物品へと転写することを特徴とする方法。
14. 紙から印刷すべき物品への色素の転写を、ロール印刷により行う、請求項１３記載の方法。