JP2013500286A - 水に溶解したアクロレイン及び一以上のアンモニウム塩からの3−メチルピリジン(3−ピコリン)の選択的調製方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、3-メチルピリジンの選択的調製方法に関し、水に溶解したアクロレイン及び一以上のアンモニウム塩を高圧下で200-400°Cの温度で連続的に反応させることを特徴とする。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
本発明は、アクロレインから3−メチルピリジンを選択的かつ連続的に調製する方法に関する。
3−メチルピリジンのかなりの割合がクロルピリホスなどの殺虫剤又は薬物を調製するための開始材料として用いられている。また、3−メチルピリジンは、ニコチン酸又はニコチンアミドなどの食品サプリメントの製造、及びフルアジホフブチル(fluazifopbutyl)などの除草剤の製造においても使用され得る[Shi2005]。
従来技術によれば、アクロレインは特にグリセロールの脱水から調製され、バイオディーゼル製造の製造において、硫酸[Wat2007]又は塩[Ott2006]が添加された近臨界水中及び超臨界水中に「産業廃棄物」として比較的多量に生じる。アンモニア水又はアンモニアをもたらす物質を反応条件下でこの開始混合物に直接添加することは、3−メチルピリジンの所望の収率をもたらさない。得られたアクロレインは、それ故、引き続きさらなる工程において3−メチルピリジンに転換される。
気相における触媒の存在下でのアクロレインとアンモニアとの反応において3−メチルピリジンが形成することが知られている。用いられる触媒は、主に、アルミニウムの酸化物及びシリケートに基づく物質である。フルオロケイ酸又はフルオロホウ酸を含み、450℃に加熱することによって前処理されたか(DT−A1917037)、又は、ランタンを含有するゼオライト分子篩によって前処理された(DT−A2023158)アルミニウムシリケートが用いられる。それらの方法は空間−時間収率が低いという不都合がある。
550〜1200℃の温度で酸素により前処理された化合物から成り、元素Al、F及びOと元素の周期表の第2、第3及び第4族の少なくとも一つの元素とを含むか(DE−A2151417)、又は、元素の周期表の第2、第4、第5、及び第6族の少なくとも二つの元素を含むか(DE−A2224160)、又は、元素の周期表の第2族の少なくとも一つの元素を含む(DE−A2239801)触媒の使用により、3−メチルピリジンに加えてかなりの量のピリジンが形成する。
また、酸化アルミニウム、酸化ケイ素から成り、任意にさらなる元素の酸化物が付加した触媒によるアクロレイン、プロピオンアルデヒド及びアンモニアの調製において、3−メチルピリジンは低い収率で得られる(仏国特許第1273826号)。
コロイド性アルミニウムシリケートの使用によって、3−メチルピリジンの収率は約60%に上昇され得る(DE−A2703070)。
US4220783において、メタノール又は水の存在下における、C2−C4アルデヒド、C3−C5ケトン、又は、前記アルデヒド及び/又はケトンの混合物とアンモニアとの反応のために、シリコンのアルミニウムに対する比が少なくとも12であり、拘束指標が1〜12である、例えばZSM5などの結晶性ゼオライトが用いられている。その触媒の寿命が短いこと並びにピリジン及び3−ピコリンの収率が低いことがこの方法の不都合な点である。合成の多孔性及び結晶性の材料、例えば、ゼオライト MCM−22又はMCM−49を触媒として使用することにより、ピリジン及び3−アルキルピリジンの収率を上昇させることができる(US5395940)。ここで、ホルムアルデヒド、C2−C4アルデヒド、C3−C5ケトン又は前記アルデヒド及び/又はケトンの混合物、及びアンモニア及び水素が反応物として用いられる。
DE3634259は、アクロレインとアルカナール(alkanals)との混合物がペンタシル型ゼオライトの存在下でアンモニアと反応して、比較的多量のピリジンが不可避的に生じることなく3−メチルピリジンを選択的に与えることを開示している。アクロレイン及びプロピオンアルデヒドを化学量論的に3倍の過剰量のアンモニアと反応させることにより、管状反応器内で6時間にわたって3−メチルピリジンの91%の収率が得られる。この反応温度は400℃であり、触媒の再生が必要である。
バッチ式の製法で、例えばプロピオン酸などの酸性反応媒体中で、及び、15〜150℃の温度で、アクロレインがアンモニウム塩と反応され得ることも知られている(英国特許第1240928号)。3−メチルピリジンの収率は比較的低く約33%である。
アンモニア及び/又は例えばリン酸水素二アンモニウムなどのアンモニウム塩の存在下、密閉容器中で180〜280℃の温度での、液状水性相におけるアクロレイン、又は、アクロレインとホルムアルデヒドとの混合物、又は、アクロレインとホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとの混合物からの3−メチルピリジンの調製が、EP0075727及びGrayson, J.I. and Dinkel, R. 「An Improved Liquid-Phase Synthesis of Simple Alkylpyridines」( Helvetica Chimica Acta, Vol. 67 (1984), 2100-2110.)に開示されている。該方法の後、3−メチルピリジンは60%未満の収率で得られ、ピリジンの形成は実質的に抑制される。該反応溶液へアルデヒドを添加するための20〜90分という長い時間が不都合である。
解決されるべき技術的課題は、第二段階において連続的に高い収率で製造されたアクロレインを触媒の使用なしで且つ短い滞留時間で反応させて3−メチルピリジンを与えることにある。この課題は、本発明による方法によって解決され、該方法は、水に溶解したアクロレイン及び一以上のアンモニウム塩を高圧下で200〜400℃の温度で連続的に反応させることを特徴とする。
本発明による方法は、好ましくは、4〜8のpH範囲で行われ、特に好ましくは4〜6のpH範囲で行われる。
本発明によれば、酸性反応媒体中で反応が実施されることが特に好ましく、その結果、金属水酸化物の形成及び/又はアクロレインの重合反応が防止され得る。
無機アンモニウム塩、特に硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及びリン酸二水素アンモニウムが特に好ましい。
本発明に従った反応条件下でアンモニウム塩はアンモニアを与え、これはアクロレインと反応して複素環を形成する。驚くべきことに、ほとんど3−メチルピリジンのみが形成し、その後の複雑な加工(work-up)工程によって所望の産物から分離される必要があるピリジン及び/又はさらなるピリジン誘導体は形成しないことが見いだされた。
本発明による方法は、用いられた開始化合物に基づいて最大で35〜60%の3−ピコリンの収率を達成する。
本発明によれば、従来技術において既知の方法によってグリセロールからアクロレインを得ることが好ましい。
アセトアルデヒド及びホルムアルデヒドは、本発明による方法の主な副産物として得られる。この混合物は、例えば、アクロレインの回収のための及び/又は3−メチルピリジンの調製のための開始物質として使用され得る。
本発明による方法は、アクロレイン合成工程のアクロレイン含有反応混合物を直接用いるか、予め精製されたアクロレインを用いるかのいずれでも実施され得る。
本発明によれば、滞留時間は媒体の密度に依存して好ましくは5〜400s、特に好ましくは150〜300sに設定される。
本発明に従って、反応は、好ましくは400℃以下及び40MPa以下で行われる。
本発明による方法は、標準高圧ユニットにおいて実施され得る。ここで、インコネル625を含む流管反応器及び4〜50mlの反応器容積を有するユニットが好ましい。それらの開始混合物は、二つの予熱された別々の管を介して、35ml min−1以下で、反応器に移動される。
本発明は、以下の非限定的な実施例により説明される。
[実施例1]
0.75%(gg−1)のアクロレイン及び3.07%(gg−1)のリン酸二水素アンモニウムを含む水溶液(アクロレインのリン酸二水素アンモニウムに対するモル比は1:2に相当する)を、2管高圧ユニット中において30MPaで反応させる。この液状混合物を予熱段階において最初に170℃に加熱し、次いで、インコネル625を含み49.5mlの容積を有する管状反応器の反応器入口において反応温度が360℃に調整され且つ近臨界水条件が優勢(prevail)となるように、2倍量の熱水と混合する。次いで、この反応溶液を熱交換器で室温まで冷却し、大気圧まで減圧する。相セパレーターにおいて2℃で、液体成分を気相成分から分離する。液相を集め、検出可能な成分の画分をガスクロマトグラフィーにより測定する。ピリジン及びその誘導体の定量のために、酸性のサンプル溶液をアンモニア水でpH7〜8に調整する。3,5−ジメチルピリジン(これは上記の調査で検出不可能であった)を内部標準として用いる。アセトアルデヒド及びアクロレインの測定のために、該サンプルに内部標準として1−ブタノールのみを加える。記載された条件で測定された3−メチルピリジン及びアセトアルデヒドの収率を図1に示す。3−メチルピリジンの最大収率は滞留時間248sで57%である。ピリジンは、わずかな量で得られ、収率は2%以下である。他のピリジン誘導体は微量でのみ形成される。
0.75%(gg−1)のアクロレイン及び3.07%(gg−1)のリン酸二水素アンモニウムを含む水溶液(アクロレインのリン酸二水素アンモニウムに対するモル比は1:2に相当する)を、2管高圧ユニット中において30MPaで反応させる。この液状混合物を予熱段階において最初に170℃に加熱し、次いで、インコネル625を含み49.5mlの容積を有する管状反応器の反応器入口において反応温度が360℃に調整され且つ近臨界水条件が優勢(prevail)となるように、2倍量の熱水と混合する。次いで、この反応溶液を熱交換器で室温まで冷却し、大気圧まで減圧する。相セパレーターにおいて2℃で、液体成分を気相成分から分離する。液相を集め、検出可能な成分の画分をガスクロマトグラフィーにより測定する。ピリジン及びその誘導体の定量のために、酸性のサンプル溶液をアンモニア水でpH7〜8に調整する。3,5−ジメチルピリジン(これは上記の調査で検出不可能であった)を内部標準として用いる。アセトアルデヒド及びアクロレインの測定のために、該サンプルに内部標準として1−ブタノールのみを加える。記載された条件で測定された3−メチルピリジン及びアセトアルデヒドの収率を図1に示す。3−メチルピリジンの最大収率は滞留時間248sで57%である。ピリジンは、わずかな量で得られ、収率は2%以下である。他のピリジン誘導体は微量でのみ形成される。
[実施例2]
モル比が1:1のアクロレインと硫酸アンモニウムとで反応を実行する。0.75%(gg−1)のアクロレインの水溶液を、予熱段階で最初に50℃に加熱し、次いで、インコネル625を含み4.4mlの反応器容積を有する流管反応器の反応器入口で250℃の反応温度が設定されるように、0.89%(gg−1)の硫酸アンモニウムを含む予熱された2倍量の水溶液と混合する。体積流量と反応媒体の密度に依存して、滞留時間を5〜35sに設定する。その結果を図2に示す。3−メチルピリジンの最大収率は32sの滞留時間で36%である。ピリジンは1%以下の収率で得られ、他のピリジン誘導体は、再度、微量でのみ形成される。
モル比が1:1のアクロレインと硫酸アンモニウムとで反応を実行する。0.75%(gg−1)のアクロレインの水溶液を、予熱段階で最初に50℃に加熱し、次いで、インコネル625を含み4.4mlの反応器容積を有する流管反応器の反応器入口で250℃の反応温度が設定されるように、0.89%(gg−1)の硫酸アンモニウムを含む予熱された2倍量の水溶液と混合する。体積流量と反応媒体の密度に依存して、滞留時間を5〜35sに設定する。その結果を図2に示す。3−メチルピリジンの最大収率は32sの滞留時間で36%である。ピリジンは1%以下の収率で得られ、他のピリジン誘導体は、再度、微量でのみ形成される。
[実施例3]
実施例2に従って反応を行う。圧力調整は、操作圧力が反応溶液の蒸気圧よりわずかに高くなるように実施する。図3において、4MPa及び30MPaでの3−メチルピリジンの収率が比較される。
低い反応圧力における3−メチルピリジンの最大収率14%は、より高い圧力を使用して得られた値より実質的に低い。
実施例2に従って反応を行う。圧力調整は、操作圧力が反応溶液の蒸気圧よりわずかに高くなるように実施する。図3において、4MPa及び30MPaでの3−メチルピリジンの収率が比較される。
低い反応圧力における3−メチルピリジンの最大収率14%は、より高い圧力を使用して得られた値より実質的に低い。
[実施例4]
実施例1に従って、1.00%(gg−1)のグリセロールと0.05%(gg−1)の硫酸亜鉛とを含む水溶液を25MPaで反応させる。この液体混合物を、予熱段階において最初に230℃に加熱し、次いで、反応器入口で360℃の反応温度が設定され且つ近臨界水条件が優勢となるように2倍量の熱水と混合する。反応器中の滞留時間は140sである。液体成分は全て、N−メチル−2−ピロリドンを内部標準として用いたガスクロマトグラフィーによって検出される。グリセロールの転換73%において、アクロレイン及びアセトアルデヒドは、それぞれ20%及び28%の収率で得られる。
実施例1に従って、1.00%(gg−1)のグリセロールと0.05%(gg−1)の硫酸亜鉛とを含む水溶液を25MPaで反応させる。この液体混合物を、予熱段階において最初に230℃に加熱し、次いで、反応器入口で360℃の反応温度が設定され且つ近臨界水条件が優勢となるように2倍量の熱水と混合する。反応器中の滞留時間は140sである。液体成分は全て、N−メチル−2−ピロリドンを内部標準として用いたガスクロマトグラフィーによって検出される。グリセロールの転換73%において、アクロレイン及びアセトアルデヒドは、それぞれ20%及び28%の収率で得られる。
第2の反応工程において、第1の反応工程から得られた0.12%(gg−1)のアクロレイン濃度を有する反応溶液を、等モル量の硫酸アンモニアと混合し、360℃、30MPa、160sの滞留時間で反応させる。ここで、開始材料混合物は希釈されない形態で反応器に通される。3−メチルピリジンは43%の収率で得られる。3−メチルピリジンの総収率はグリセロールに基づいて8%である。
[文献]
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[Wat2007]:M. Watanabe, T. Iida , Y. Aizawa, T. M. Aida, H. Inomata: Acrolein synthesis from glycerol in hot-compressed water, Bioresource Technology, 2007, 98, 1285-1290.
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Claims (10)
- 3−メチルピリジンの選択的調製方法であって、水に溶解したアクロレイン及び一以上のアンモニウム塩を、高圧下及び200〜400℃の温度で連続的に反応させ、接触又は滞留時間を5〜400s、好ましくは150〜300sとすることを特徴とする方法。
- 硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及び/又はリン酸二水素アンモニウムが用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記アクロレイン及び前記アンモニウム塩は1:0.125から1:2のモル比で用いられることを特徴とする請求項1〜2の少なくとも一項に記載の方法。
- 前記圧力は、反応混合物が液体単一相形態で存在するように調整される請求項1〜3の少なくとも一項に記載の方法。
- 前記反応は20〜40MPaの圧力で実施される請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
- 水溶液のpHは4〜8の範囲である請求項1〜5の少なくとも一項に記載の方法。
- 3−ピコリンの収率は用いられた開始化合物に基づいて35〜60%である請求項1〜6の少なくとも一項に記載の方法。
- アセトアルデヒド及びホルムアルデヒドが副産物として得られ、任意に該方法に再利用される、請求項1〜7の少なくとも一項に記載の方法。
- 前記アセトアルデヒドの収率は用いられた開始化合物に基づいて35〜50%である、請求項8に記載の方法。
- 前記アクロレインがグリセロールから得られる、請求項1〜9の少なくとも一項に記載の方法。
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