JP2013258429A - 静電チャック - Google Patents

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Abstract

【課題】静電電極の端面が変形するのを抑制する。
【解決手段】静電チャック10を製造する方法であって、(a)静電電極前駆体24を内面に着脱可能に取り付けた第1成形型31に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させたあと離型することにより、第1セラミック成形体41に静電電極前駆体24が埋め込まれた埋込電極付きセラミック成形体41Xを作製する工程と、(b)第2セラミック成形体42を作製する工程と、(c)埋込電極付きセラミック成形体41Xと第2セラミック成形体42を用いて積層仮焼体50を作製し、該積層仮焼体50をホットプレス焼成する工程と、を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、静電チャックに関する。
従来、静電チャックの製法としては、2層構造の静電チャックの製法や3層構造の静電チャックの製法が知られている。
前者としては、アルミナ焼結体を形成する工程と、そのアルミナ焼結体上に静電電極用の電極ペーストを印刷する工程と、その電極ペースト上にアルミナ造粒粉を充填し金型成形する工程と、金型成形する工程で一体化された成形体を焼成する工程とを含む製法が知られている(特許文献1参照)。この特許文献1では、アルミナ焼結体の代わりにアルミナ仮焼体を用いることも開示されている。なお、アルミナ粉体にはバインダーが含まれていることから、このアルミナ粉体は通常、アルミナ造粒粉と称されるものである。
一方、後者としては、アルミナ焼結体の上面に静電電極用の電極ペーストを印刷すると共に下面にヒーター電極用の電極ペーストを印刷する工程と、その印刷後のアルミナ焼結体を仮焼する工程と、静電電極の上にアルミナ造粒粉を配置すると共にヒーター電極の下にもアルミナ造粒粉を配置し、その状態でこれらを加圧成形して加圧焼成を施す工程とを含む製法が知られている(特許文献2参照)。なお、アルミナ粉体は、バインダーと混合してスプレードライヤーで噴霧乾燥したものが用いられていることから、通常はアルミナ造粒粉と称されるものである。
特開2005−343733号公報 特開2008−47885号公報
しかしながら、特許文献1,2の製法では、静電電極の上にアルミナ造粒粉を配置して加圧成形したあと焼成するため、静電電極の端面が変形して鋭角に尖ることがあった。このように尖った形状になると、応力の集中および電界集中等によりクラックが発生し易くなり、製品の耐久性を十分確保することが困難になる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、静電電極の端面が変形するのを抑制することを主目的とする。
本発明の第1の静電チャックの製法は、
所定形状の静電電極又はその前駆体を挟み込むようにして1対のセラミック仮焼体を重ね合わせた積層仮焼体をホットプレス焼成することにより静電チャックを作製する静電チャックの製法であって、
(a)前記静電電極又はその前駆体を内面に着脱可能に取り付けた第1成形型に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、前記ゲル化剤を化学反応させて前記セラミックスラリーをゲル化させたあと離型することにより、第1セラミック成形体に前記静電電極又はその前駆体が埋め込まれた埋込電極付きセラミック成形体を作製する工程と、
(b)第2セラミック成形体を作製する工程と、
(c)前記埋込電極付きセラミック成形体と前記第2セラミック成形体を用いて前記積層仮焼体を作製し、該積層仮焼体をホットプレス焼成する工程と、
を含むものである。
この静電チャックの製法によれば、所定形状の静電電極の端面が変形するのを抑制することができる。具体的には、工程(a)において、静電電極又はその前駆体を内面に着脱可能に取り付けた第1成形型にセラミックスラリーを流し込みゲル化する際、反応初期のスラリーは粘度が低く流動性が高いため、静電電極又はその前駆体の端部を削ってしまうのを抑制できると共に、電極界面にセラミック粉体が隙間無く且つ均一に充填し、工程(c)のホットプレス焼成時に電極の変形を抑制できると考えられる。ちなみに、静電電極の前駆体とは、ホットプレス焼成することにより静電電極となるものをいい、例えば電極ペーストを静電電極の形状に印刷したものをいう(以下同じ)。
本発明の第1の静電チャックの製法において、前記工程(b)では、第2成形型に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、前記ゲル化剤を化学反応させて前記セラミックスラリーをゲル化させたあと離型することにより、前記第2セラミック成形体を作製してもよい。こうすれば、前記埋込電極付きセラミック成形体と同一の密度となり、ホットプレス焼成後の積層焼結体の反りが小さくなり、ウェハー積載面と静電電極の距離のバラツキが小さくなり、ひいてはウェハーをチャックする際の吸着力の面内バラツキが小さくなるという効果がある。
本発明の第1の静電チャックの製法において、前記工程(b)では、統合用成形型を用意し、前記埋込電極付きセラミック成形体のうち電極形成面とは反対側の面を前記統合用成形型の内面に着脱可能に取り付け、その後、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを前記統合用成形型に流し込み、前記ゲル化剤を化学反応させて前記セラミックスラリーをゲル化させることにより前記第2セラミック成形体を作製し、前記工程(c)では、前記統合用成形型から前記埋込電極付きセラミック成形体と前記第2セラミック成形体とが積層された積層複合体を取り出し、該積層複合体を仮焼して前記積層仮焼体を作製してもよい。こうすれば、第2セラミック成形体を作製すると同時に積層複合体を得ることができるため、第2セラミック成形体を作製する工程と積層複合体を作製する工程とを別々に行う場合に比べて、工程数が少なくなる。なお、統合用成形型の内部空間の大きさは、例えば静電チャックに対して収縮率を考慮して決定すればよい。
本発明の第1の静電チャックの製法において、前記工程(a)では、前記埋込電極付きセラミック成形体を仮焼して埋込電極付きセラミック仮焼体とし、前記工程(b)以降、前記埋込電極付きセラミック成形体の代わりに前記埋込電極付きセラミック仮焼体を用いるようにしてもよい。この方法においても、ホットプレス焼成前の積層体内の密度差が小さくなり、これによりホットプレス焼成後の積層焼結体の反りを小さくすることができ、ウェハーをチャックする際の吸着力の面内バラツキが小さくなるという効果がある。
本発明の第2の静電チャックの製法は、
所定形状の静電電極又はその前駆体を挟み込むようにして1対のセラミック仮焼体を重ね合わせた積層仮焼体をホットプレス焼成することにより静電チャックを作製する静電チャックの製法であって、
(a)前記静電電極又はその前駆体と同形状の凸部を内面に着脱不能に設けた第1成形型に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、前記ゲル化剤を化学反応させて前記セラミックスラリーをゲル化させたあと離型することにより、前記凸部に対応する凹部を備えた第1セラミック成形体を作製し、前記凹部に前記静電電極又はその前駆体を形成することにより埋込電極付きセラミック成形体を作製する工程と、
(b)第2セラミック成形体を作製する工程と、
(c)前記埋込電極付きセラミック成形体と前記第2セラミック成形体を用いて前記積層仮焼体を作製し、該積層仮焼体をホットプレス焼成する工程と、
を含むものである。
この静電チャックの製法によっても、所定形状の静電電極の端面が変形するのを抑制することができる。具体的には、工程(a)において、凹部を備えた第1セラミック成形体を作製し、その凹部に静電電極又はその前駆体を形成することにより、埋設電極付きセラミック体を作製する。第1セラミック成形体はセラミック粉体を分散させたセラミックスラリーをゲル化して作製されているため、セラミック造粒粉(前出)を用いて作製された場合に比べて強度があり、その凹部に形成された静電電極の端部は変形しにくい。また、静電電極又はその前駆体は外部に突出しているものではないため、静電電極又はその前駆体の端部が他の部材と擦れて変形するおそれはない。また、電極界面にセラミック粉体が隙間無く且つ均一に充填し、工程(c)のホットプレス焼成時に電極の変形を抑制できると考えられる。以上の結果、所定形状の静電電極の端面が変形するのを抑制することができたと考えられる。
本発明の第2の静電チャックの製法において、前記工程(b)では、第2成形型に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、前記ゲル化剤を化学反応させて前記セラミックスラリーをゲル化させたあと離型することにより、前記第2セラミック成形体を作製してもよい。こうすれば、前記埋込電極付きセラミック成形体と同一の密度となり、ホットプレス焼成後の積層焼結体の反りが小さくなり、ウェハー積載面と静電電極の距離のバラツキが小さくなり、ひいてはウェハーをチャックする際の吸着力の面内バラツキが小さくなるという効果がある。
本発明の第2の静電チャックの製法において、前記工程(b)では、統合用成形型を用意し、前記埋込電極付きセラミック成形体のうち電極形成面とは反対側の面を前記統合用成形型の内面に着脱可能に取り付け、その後、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを前記統合用成形型に流し込み、前記ゲル化剤を化学反応させて前記セラミックスラリーをゲル化させることにより前記第2セラミック成形体を作製し、前記工程(c)では、前記統合用成形型から前記埋込電極付きセラミック成形体と前記第2セラミック成形体とが積層された積層複合体を取り出し、該積層複合体を仮焼して前記積層仮焼体を作製してもよい。こうすれば、第2セラミック成形体を作製すると同時に積層複合体を得ることができるため、第2セラミック成形体を作製する工程と積層複合体を作製する工程とを別々に行う場合に比べて、工程数が少なくなる。なお、統合用成形型の内部空間の大きさは、例えば静電チャックに対して収縮率を考慮して決定すればよい。
本発明の第2の静電チャックの製法において、前記工程(a)では、前記凹部に前記静電電極又はその前駆体を形成する前に前記第1セラミック成形体を仮焼することにより、埋込電極付きセラミック仮焼体を得るようにし、前記工程(b)以降、前記埋込電極付きセラミック成形体の代わりに前記埋込電極付きセラミック仮焼体を用いるようにしてもよい。この方法においても、ホットプレス焼成前の積層体内の密度差が小さくなり、これによりホットプレス焼成後の積層焼結体の反りを小さくすることができ、ウェハーをチャックする際の吸着力の面内バラツキが小さくなるという効果がある。
本発明の第3の静電チャックの製法は、
所定形状の静電電極又はその前駆体を挟み込むようにして1対のセラミック仮焼体を重ね合わせた積層仮焼体をホットプレス焼成することにより静電チャックを作製する静電チャックの製法であって、
(a)第1セラミック成形体を作製し、該第1セラミック成形体の表面に前記静電電極又はその前駆体を形成することにより、凸電極付きセラミック成形体を得る工程と、
(b)統合用成形型の内面に、前記凸電極付きセラミック成形体の電極形成面とは反対側の面を着脱可能に取り付け、その後、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを前記統合用成形型に流し込み、前記ゲル化剤を化学反応させて前記セラミックスラリーをゲル化させることにより第2セラミック成形体を作製し、その後離型することにより前記凸電極付きセラミック成形体と前記第2セラミック成形体との積層複合体を得る工程と、
(c)前記積層複合体を用いて前記積層仮焼体を作製し、該積層仮焼体をホットプレス焼成する工程と、
を含むものである。
この静電チャックの製法によっても、所定形状の静電電極の端面が変形するのを抑制することができる。具体的には、工程(b)において、統合用成形型の内面に、凸電極付きセラミック成形体を着脱可能に取り付けた後、セラミックスラリーを統合用成形型に流し込みゲル化する際、反応初期のスラリーは粘度が低く流動性が高いため凸電極付きセラミック体の静電電極又はその前駆体の端部を削ってしまうのを抑制できると共に、電極界面にセラミック粉体が隙間無く且つ均一に充填し、工程(c)のホットプレス焼成時に電極の変形を抑制できると考えられる。なお、統合用成形型の内部空間の大きさは、例えば静電チャックに対して収縮率を考慮して決定すればよい。
本発明の第3の静電チャックの製法において、前記工程(a)では、第1成形型に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、前記ゲル化剤を化学反応させて前記セラミックスラリーをゲル化させたあと離型することにより、前記第1セラミック成形体を作製してもよい。こうすれば、第2セラミック成形体と同一の密度となり、ホットプレス焼成後の積層焼結体の反りが小さくなり、ウェハー積載面と静電電極の距離のバラツキが小さくなり、ひいてはウェハーをチャックする際の吸着力の面内バラツキが小さくなるという効果がある。
本発明の第3の静電チャックの製法において、前記工程(a)では、前記表面に前記静電電極又はその前駆体を形成する前又は後に前記第1セラミック成形体を仮焼することにより、凸電極付きセラミック仮焼体を得るようにし、前記工程(b)以降、前記凸電極付きセラミック成形体の代わりに前記凸電極付きセラミック仮焼体を用いるようにしてもよい。この方法においても、ホットプレス焼成前の積層体内の密度差が小さくなり、これによりホットプレス焼成後の積層焼結体の反りを小さくすることができ、ウェハーをチャックする際の吸着力の面内バラツキが小さくなるという効果がある。
本発明の第1〜第3の静電チャックの製法では、積層仮焼体として、静電電極又はその前駆体を挟み込むようにして1対のセラミック仮焼体を重ね合わせると共に、ヒーター電極又はその前駆体を挟み込むようにして1対のセラミック仮焼体を重ね合わせた構造のものを用いてもよい。この場合、ヒーター電極又はその前駆体を挟み込むようにして1対のセラミック仮焼体を重ね合わせた構造については、上述した第1〜第3の静電チャックの製法に準じて、静電電極又はその前駆体をヒーター電極又はその前駆体に置き換えて作製することが好ましい。こうすれば、所定形状のヒーター電極の端面が変形するのを抑制することができる。また、静電電極又はその前駆体を挟み込む1対のセラミック仮焼体の一方と、ヒーター電極又はその前駆体を挟み込む1対のセラミック仮焼体の一方とを、共通の部材としてもよい。つまり、セラミック仮焼体−静電電極−セラミック仮焼体−ヒーター電極−セラミック仮焼体としてもよい。
本発明の第1〜第3の静電チャックの製法において、前記セラミック粉体は、平均粒径が0.4〜0.6μmであることが好ましい。こうすれば、上述した効果をより顕著に得ることができる。その理由は、電極界面にセラミック粉体が隙間無く且つ均一に充填し、工程(c)のホットプレス焼成時に電極の変形を抑制できると考えられる。
本発明の静電チャックは、静電電極が内蔵された静電チャックであって、前記静電電極の端面は、縦断面をみたとき、フラット面であるか又は膨出面であって該膨出面の上隅と膨出先端と下隅とを結んだ角度θが160≦θ<180°のものである。
この静電チャックは、静電電極の端部が鋭角に尖っていないため、応力が集中しにくい。そのため、クラックが発生しにくく、製品の耐久性を十分確保することができる。
静電チャック10の縦断面図、円内は部分拡大図である。 第1の静電チャックの製法の一例を示す製造工程図である。 第1の静電チャックの製法の別例を示す製造工程図である。 第1の静電チャックの製法の別例を示す製造工程図である。 第1の静電チャックの製法の別例を示す製造工程図である。 第2の静電チャックの製法の一例を示す製造工程図である。 第2の静電チャックの製法の別例を示す製造工程図である。 第3の静電チャックの製法の一例を示す製造工程図である。 第3の静電チャックの製法の別例を示す製造工程図である。
1.ゲルキャスト法によるセラミック成形体の作製
ゲルキャスト法とは、成形型に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させたあと離型することにより、セラミック成形体を作成する方法のことをいう。ゲルキャスト法は、少なくとも、本発明の第1及び第2の静電チャックの製法における工程(a)、第3の静電チャックの製法における工程(b)で利用される。
セラミック粉体の材料としては、酸化物系セラミックでもよいし、非酸化物系セラミックでもよい。例えば、アルミナ、イットリア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、サマリア、マグネシア、フッ化マグネシウム、酸化イッテルビウム等が挙げられる。これらの材料は、1種類単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。セラミック粉体の平均粒径は、均一なセラミックスラリーを調整・作製可能であれば、特に限定されないが、0.4〜0.6μmが好ましく、0.45〜0.55μmがより好ましい。
溶媒としては、分散剤及びゲル化剤を溶解するものであれば、特に限定されないが、例えば、炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等)、エーテル系溶媒(エチレングリコールモノエチルエーテル、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等)、アルコール系溶媒(イソプロパノール、1−ブタノール、エタノール、2−エチルヘキサノール、テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル系溶媒(酢酸ブチル、グルタル酸ジメチル、トリアセチン等)、多塩基酸系溶媒(グルタル酸等)が挙げられる。特に、多塩基酸エステル(例えば、グルタル酸ジメチル等)、多価アルコールの酸エステル(例えば、トリアセチン等)等の、2以上のエステル結合を有する溶媒を使用することが好ましい。
分散剤としては、セラミック粉体を溶媒中に均一に分散するものであれば、特に限定されない。例えば、ポリカルボン酸系共重合体、ポリカルボン酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、リン酸エステル塩系共重合体、スルホン酸塩系共重合体、3級アミンを有するポリウレタンポリエステル系共重合体等が挙げられる。特に、ポリカルボン酸系共重合体、ポリカルボン酸塩等を使用することが好ましい。この分散剤を添加することで、成形前のスラリーを、低粘度とし、且つ高い流動性を有するものとすることができる。
ゲル化剤としては、例えば、イソシアネート類、ポリオール類及び触媒を含むものとしてもよい。このうち、イソシアネート類としては、イソシアネート基を官能基として有する物質であれば特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はこれらの変性体等が挙げられる。なお、分子内おいて、イソシアネート基以外の反応性官能基が含有されていてもよく、更には、ポリイソシアネートのように、反応官能基が多数含有されていてもよい。ポリオール類としては、イソシアネート基と反応し得る水酸基を2以上有する物質であれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコール(EG)、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール(PG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリヘキサメチレングリコール(PHMG)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。触媒としては、イソシアネート類とポリオール類とのウレタン反応を促進させる物質であれば特に限定されないが、例えば、トリエチレンジアミン、ヘキサンジアミン、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール等が挙げられる。
ゲルキャスト法では、まず、セラミック粉体に溶媒及び分散剤を所定の割合で添加し、所定時間に亘ってこれらを混合することによりスラリー前駆体を調製し、その後、このスラリー前駆体に、ゲル化剤を添加して混合・真空脱泡してセラミックスラリーとするのが好ましい。スラリー前駆体やスラリーを調製するときの混合方法は、特に限定されるものではなく、例えばボールミル、自公転式撹拌、振動式撹拌、プロペラ式撹拌等を使用可能である。なお、スラリー前駆体にゲル化剤を添加したセラミックスラリーは、時間経過に伴いゲル化剤の化学反応(ウレタン反応)が進行し始めるため、速やかに成形型内に流し込むのが好ましい。成形型に流し込まれたセラミックスラリーは、スラリーに含まれるゲル化剤が化学反応することによりゲル化する。ゲル化剤の化学反応とは、イソシアネート類とポリオール類とがゲル化剤の化学反応とは、イソシアネート類とポリオール類とがウレタン反応を起こしてウレタン樹脂(ポリウレタン)になる反応である。ゲル化剤の反応によりセラミックスラリーがゲル化し、ウレタン樹脂は有機バインダーとして機能する。
2.セラミック仮焼体の作製
セラミック仮焼体を作製するには、セラミック成形体を乾燥したあと脱脂してから仮焼する。
セラミック成形体の乾燥は、セラミック成形体に含まれる溶媒を蒸発させるために行う。乾燥温度や乾燥時間は、使用する溶媒に応じて適宜設定すればよい。但し、乾燥温度は、乾燥中のセラミック成形体にクラックが入らないように注意して設定する。また、雰囲気は大気雰囲気、不活性雰囲気、真空雰囲気のいずれであってもよい。乾燥により寸法は線方向に2%程度収縮する。
乾燥後のセラミック成形体の脱脂は、分散剤や触媒などの有機物を分解・除去するために行う。脱脂温度は、含まれる有機物の種類に応じて適宜設定すればよいが、例えば400〜600℃に設定してもよい。また、雰囲気は大気雰囲気、不活性雰囲気、真空雰囲気のいずれであってもよい。
脱脂後のセラミック成形体の仮焼は、強度を高くしハンドリングしやすくするために行う。仮焼温度は、特に限定するものではないが、例えば750〜900℃に設定してもよい。また、雰囲気は大気雰囲気、不活性雰囲気、真空雰囲気のいずれであってもよい。仮焼により寸法は線方向に1.5%程度収縮する。
3.静電電極の形成
静電電極は、導電性材料を所定形状に整えることにより形成してもよいし、電極ペーストを所定形状に整えたあと焼成することにより形成してもよい。なお、電極ペーストを所定形状に整えたものを、静電電極の前駆体という。電極ペーストは、特に限定するものではないが、例えば、導電材料とセラミック粉末とバインダーと溶媒とを含むものとしてもよい。導電材料としては、例えば、タングステン、タングステンカーバイト、白金、銀、パラジウム、ニッケル、モリブデン等が挙げられる。セラミック粉末としては、例えば、セラミック仮焼体と同種のセラミック材料からなる粉末が挙げられる。バインダーとしては、例えば、エチルセルロースやポリメタクリル酸メチルやポリビニルブチラールなどが挙げられる。溶媒としては、例えば、テルピネオールなどが上げられる。印刷方法は、例えば、スクリーン印刷法などが挙げられる。なお、静電電極ペーストとヒーター電極ペーストは、同じ組成のものを使用してもよいが、異なる組成のものを使用してもよい。
4.ホットプレス焼成
ホットプレス焼成では、少なくとも最高温度(焼成温度)において、プレス圧力を30〜300kgf/cm2とすることが好ましく、50〜250kgf/cm2とすることがより好ましい。また、最高温度は、セラミック粉末の種類、粒径などにより適宜設定すればよいが、1000〜2000℃の範囲に設定することが好ましい。雰囲気は、大気雰囲気、不活性雰囲気、真空雰囲気の中から、セラミック粉末の種類に応じて適宜選択すればよい。ホットプレス焼成により厚み方向に50%程度収縮する。
5.静電チャックの実施の形態
図1は、静電チャック10の縦断面図、円内は部分拡大図である。静電チャック10は、図1に示すように、静電電極14とヒーター電極16とを内蔵している。静電電極14は、円盤状の電極であり、ウェハー載置面10aに近い側に設けられている。ヒーター電極16は、中央付近の図示しない2点を始点と終点とする線状部材であり、始点から一筆書きの要領で静電チャック10の平面全体に行き渡るように配線されたあと終点に戻る形状となっている。図1は、静電チャック10の断面図であるため、ヒーター電極16は不連続に現れているが、平面視すれば連続した線状となっている。
こうした静電チャック10は、本発明の第1〜第3の静電チャックの製法のいずれかによって製造される。なお、製法の具体例については後述する。
この静電チャック10の静電電極14の縦断面の部分拡大図を図1の円内に示す。ここでは、静電電極14の端面14aが膨出面の場合を示し、角度θは、端面14aの上隅14bと膨出先端14cとを結んだ直線と、端面14aの膨出先端14cと下隅14dとを結んだ直線とがなす角度である。膨出先端14cは、端面14aのうち最も外側に張り出している部分である。ここでは、角度θは160°≦θ<180°となっている。なお、静電電極14の端面14aは、膨出面でなく、フラットな垂直面であってもよい。ヒーター電極16の端面も、静電電極14の端面14aと同様であるため、説明を省略する。なお、特許文献1,2の製法で作製した静電チャックは、こうした角度θが30〜50°という鋭角になることがある。
以上説明した静電チャック10によれば、静電電極14やヒーター電極16の端面が鋭角に尖っていないため、応力の集中および電界集中等しにくい。そのため、クラックが発生しにくく、製品の耐久性を十分確保することができる。
なお、上述した静電チャック10は、ヒーター電極16を内蔵しているが、ヒーター電極16を内蔵していなくてもよい。
6.各静電チャックの製法の実施の形態
(1)第1の静電チャックの製法に関する実施形態
静電チャック10の製法について、図2を用いて以下に説明する。図2は、第1の静電チャックの製法の一例を示す製造工程図である。この製法は、要約すれば、図2(j)に示すように、静電電極前駆体24を挟み込むようにして第1及び第2セラミック仮焼体51,52を重ね合わせると共に、ヒーター電極前駆体26を挟み込むようにして第2及び第3セラミック仮焼体52,53を重ね合わせた積層仮焼体50を、ホットプレス焼成することにより静電チャック10を作製する。以下、具体的な手順について説明する。
(1−1)第1セラミック成形体41の作製
まず、第1成形型31を用意する(図2(a)参照)。この第1成形型31は、第1セラミック仮焼体51に対して収縮率を考慮した大きさの内部空間(第1セラミック仮焼体51よりよりわずかに大きな内部空間)を有している。また、内面にはフッ素系樹脂によるコーティングあるいはライニング処理を施してあり、電極および成形体の着脱性は良好である。そして、第1成形型31の下型の内面に、電極ペーストをスクリーン印刷して静電電極14より線方向で数%程度大きな寸法となる静電電極前駆体24を形成する(図2(b)参照)。この静電電極前駆体24は、フッ素系樹脂によるコーティングあるいはライニング処理のため、第1成形型31の内面に対して着脱可能である。また、静電電極前駆体24の外周面は、フラットな垂直面となっている。次に、第1成形型31に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させたあと離型する。これにより、静電電極前駆体24が埋め込まれた第1セラミック成形体41、つまり埋込電極付きセラミック成形体41Xを得る(図2(c)参照)。静電電極前駆体24は、上面及び側面が第1セラミック成形体41に覆われているが、下面は露出していて第1セラミック成形体41の下面と同一平面を形成している。
(1−2)第2セラミック成形体42の作製
第1のセラミック成形体41とは別に第2セラミック成形体42を作製する。まず、第2成形型32を用意する(図2(d)参照)。この第2成形型32は、第2セラミック仮焼体52に対して収縮率を考慮した大きさの内部空間(第1セラミック仮焼体52よりよりわずかに大きな内部空間)を有している。そして、第2成形型32に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させたあと離型する。これにより、第2セラミック成形体42が得られる(図2(e)参照)。
(1−3)第3セラミック成形体43の作製
第1のセラミック成形体41及び第2セラミック成形体42とは別に第3セラミック成形体43を作製する。まず、第3成形型33を用意する(図2(f)参照)。この第3成形型33は、第3セラミック仮焼体53に対して収縮率を考慮した大きさの内部空間(第1セラミック仮焼体53よりよりわずかに大きな内部空間)を有している。また、内面にはフッ素系樹脂によるコーティングあるいはライニング処理を施してあり、電極および成形体の着脱性は良好である。そして、第3成形型33の上型の内面に、電極ペーストをスクリーン印刷して静電電極16より線方向で数%程度大きな寸法となるヒーター電極前駆体26を形成する(図2(g)参照)。このヒーター電極前駆体26は、フッ素系樹脂によるコーティングあるいはライニング処理のため、第3成形型33の内面に対して着脱可能である。また、ヒーター電極前駆体26の側面は垂直面となっている。次に、第3成形型33に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させたあと離型する。これにより、ヒーター電極前駆体26が埋め込まれた第3セラミック成形体43、つまり埋込電極付きセラミック成形体43Xが得られる(図2(h)参照)。ヒーター電極前駆体26は、下面及び側面が第3セラミック成形体43に覆われているが、上面は露出していて第3セラミック成形体43の上面と同一平面を形成している。
(1−4)静電チャック10の作製
次に、埋込電極付きセラミック成形体41X,43Xと第2セラミック成形体42とを積層して積層成形体40とする。具体的には、これらを、第1セラミック成形体41と第2セラミック成形体42とで静電電極前駆体24を挟み込み、第2セラミック成形体42と第3セラミック成形体43とでヒーター電極前駆体26を挟み込むように積層することにより、積層成形体40とする(図2(i)参照)。この積層成形体40を乾燥したあと脱脂し、更に仮焼することにより、積層仮焼体50とする(図2(j)参照)。そして、この積層仮焼体50をホットプレス焼成することにより、静電チャック10を得る(図2(k)参照)。
(1−5)効果
以上詳述した静電チャック10の製法によれば、所定形状の静電電極14やヒーター電極16の端面が変形するのを抑制することができる。具体的には、静電電極前駆体24を内面に着脱可能に取り付けた第1成形型31にセラミックスラリーを流し込みゲル化する際、反応初期のスラリーは粘度が低く流動性が高いため、静電電極又はその前駆体24の端部を削ってしまうのを抑制できると共に、電極界面にセラミック粉体が隙間無く且つ均一に充填し、ホットプレス焼成時に電極の変形を抑制できると考えられる。この点は、ヒーター電極前駆体26についても同様である。
(1−6)他の実施形態
上述した実施形態では、第1〜第3セラミック成形体41〜43を乾燥・脱脂・仮焼を行わずにそのまま積層して積層成形体40とし、この積層成形体40を乾燥・脱脂・仮焼を行うことにより積層仮焼体50としたが、最終的に積層仮焼体50が得られるのであれば第1〜第3セラミック成形体41〜43の乾燥・脱脂・仮焼をどの段階で行うかは問わない。例えば、第1〜第3セラミック成形体41〜43の少なくとも1つを乾燥だけ行ったあと積層してもよいし、第1〜第3セラミック成形体41〜43の少なくとも1つを乾燥・脱脂を行ったあと積層してもよいし、第1〜第3セラミック成形体41〜43の1つか2つを乾燥・脱脂・仮焼を行ったあと積層してもよい。いずれの場合も、積層体には乾燥・脱脂・仮焼の少なくとも1工程を終了していないものが含まれるため、その終了していない工程を積層体に施す必要がある。あるいは、第1〜第3セラミック成形体41〜43を3つとも個別に乾燥・脱脂・仮焼したあと積層してもよい。その場合には、積層後の乾燥・脱脂・仮焼が不要となる。
上述した実施形態では、第1セラミック成形体41に静電電極前駆体24を埋め込み、第3セラミック成形体43にヒーター電極前駆体26を埋め込んだが、その代わりに、図3に示すように、第2セラミック成形体142の上面に静電電極前駆体124,下面にヒーター電極前駆体126を埋め込み、第1及び第3セラミック成形体141,143には電極前駆体を形成しないものとしてもよい(図3(a)〜(g)参照)。具体的には、第1及び第3成形型31,33に電極前駆体を取り付けずにゲルキャスト法により第1及び第3セラミック成形体141,143を作製する(図3(a),(b),(f),(g)参照)。また、第2成形型32の上型の内面に静電電極前駆体124,下型の内面にヒーター電極前駆体126を着脱可能に取り付けた状態で、セラミックスラリーを用いてゲルキャスト法により第2セラミック成形体142を作製する(図3(c)〜(e)参照)。これにより、静電電極前駆体124及びヒーター電極前駆体126が埋め込まれた第2セラミック成形体142、つまり埋込電極付きセラミック成形体142Xが得られる。そして、これらのセラミック成形体141,142X,143を用いて積層成形体140を作製し、これを乾燥、脱脂および仮焼して積層仮焼体150とした後、ホットプレス焼成して静電チャック110を作製する(図3(i)〜(k)参照)。この点は図2(i)〜(k)と同じである。このようにしても、上述した実施形態と同様、静電電極114やヒーター電極116の端面が変形するのを抑制できる。
上述した実施形態で作製した埋込電極付きセラミック成形体41X,43Xを利用して、図4のように静電チャック10を作製してもよい。すなわち、まず、これらのセラミック成形体41X,43Xと、内部空間が静電チャック10に対して収縮率を考慮した大きさの統合用成形型34とを用意する(図4(a)参照)。そして、統合用成形型34の上型の内面に、埋込電極付きセラミック成形体41Xの電極形成面とは反対側の面を取り付けると共に、統合用成形型34の下型の内面に、埋込電極付きセラミック成形体43Xの電極形成面とは反対側の面を取り付ける(図4(b)参照)。次に、統合用成形型34にセラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させる。これにより、第2セラミック成形体42が形成されるため、積層成形体40が完成する。その後、この積層成形体40を統合用成形型34から離型する(図4(c)参照)。積層成形体40を乾燥したあと脱脂し、更に仮焼することにより、積層仮焼体50とし(図4(d)参照)、この積層仮焼体50をホットプレス焼成することにより、静電チャック10を得る(図4(e)参照)。このようにしても、上述した実施形態と同様、静電電極14やヒーター電極16の端面が変形するのを抑制できる。
図3に示した埋込電極付きセラミック成形体142Xを利用して、図5のように静電チャック110を作製してもよい。すなわち、まず、埋込電極付きセラミック成形体142Xと、内部空間が静電チャック110に対して収縮率を考慮した大きさの統合用成形型36とを用意する(図5(a)参照)。そして、統合用成形型36の内部空間の中央に、埋込電極付きセラミック成形体142Xを取り付ける(図5(b)参照)。統合用成形型36は、2つの注入口36a,36bを備えている。注入口36aは、統合用成形型36の上型と埋込電極付きセラミック成形体142Xとによって囲まれた空間にセラミックスラリーを注入可能であり、注入口36bは、統合用成形型36の下型と埋込電極付きセラミック成形体142Xとによって囲まれた空間にセラミックスラリーを注入可能である。次に、注入口36a,36bから統合用成形型36にセラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させる。これにより、第1及び第3セラミック成形体141,143が形成されるため、積層成形体140が完成する。その後、この積層成形体140を統合用成形型36から離型する(図5(c)参照)。積層成形体140を乾燥したあと脱脂し、更に仮焼することにより、積層仮焼体150とし(図5(d)参照)、この積層仮焼体150をホットプレス焼成することにより、静電チャック110を得る(図5(e)参照)。このようにしても、上述した実施形態と同様、静電電極114やヒーター電極116の端面が変形するのを抑制できる。
(2)第2の静電チャックの製法に関する実施形態
静電チャック10の製法について、図6を用いて以下に説明する。図6は、第2の静電チャックの製法の一例を示す製造工程図である。この製法は、第1セラミック成形体41及び第3セラミック成形体43の作製方法が異なる以外は、第1の静電チャックの製法と同じであるため、以下には異なる手順を中心に説明する。
(2−1)第1セラミック成形体41の作製
まず、第1成形型131を用意する(図6(a)参照)。この第1成形型131は、第1セラミック仮焼体51に対して収縮率を考慮した大きさの内部空間を有しているが、下型の内面に、静電電極前駆体24と同形状の凸部131aが着脱不能に設けられている。この第1成形型131の内部空間に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させたあと離型する。これにより、静電電極前駆体24に対応する凹部41aを備えた第1セラミック成形体41を得る(図6(b)参照)。次に、この凹部41aに電極ペーストを用いてスクリーン印刷することにより、静電電極前駆体24を形成する。これにより、静電電極前駆体24が埋め込まれた第1セラミック成形体41、つまり埋込電極付きセラミック成形体41Xを得る(図6(c)参照)。
(2−2)第2セラミック成形体42の作製
図6(d),(e)の手順は、図2(d),(e)を用いて説明した第1の静電チャックの製法と同様であるため、説明を省略する。
(2−3)第3セラミック成形体43の作製
まず、第3成形型133を用意する(図6(f)参照)。この第3成形型133は、第3セラミック仮焼体53に対して収縮率を考慮した大きさの内部空間(第3セラミック仮焼体53よりよりわずかに大きな内部空間)を有している。上型の内面に、ヒーター電極前駆体26と同形状の凸部133aが着脱不能に設けられている。この第3成形型133の内部空間に、セラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させたあと離型する。これにより、ヒーター電極前駆体26に対応する凹部43aを備えた第3セラミック成形体43を得る(図6(g)参照)。次に、この凹部43aに電極ペーストを用いてスクリーン印刷することにより、ヒーター電極前駆体26を形成する。これにより、ヒーター電極前駆体26が埋め込まれた第3セラミック成形体43、つまり埋込電極付きセラミック成形体43Xを得る(図6(h)参照)。
(2−4)静電チャック10の作製
図6(i)〜(k)の手順は、図2(i)〜(k)を用いて説明した第1の静電チャックの製法と同様であるため、説明を省略する。
(2−5)効果
以上詳述した静電チャック10の製法によれば、所定形状の静電電極14やヒーター電極16の端面が変形するのを抑制することができる。具体的には、凹部41aを備えた第1セラミック成形体41を作製し、その第1セラミック成形体41の凹部41aに静電電極前駆体24を形成する。このとき、第1セラミック成形体41はセラミック粉体を分散させたセラミックスラリーをゲル化して作製されているため、静電電極又はその前駆体の端部を削ってしまうのを抑制できると共に、電極界面にセラミック粉体が隙間無く且つ均一に充填し、ホットプレス焼成時に電極の変形を抑制できると考えられる。また、静電電極前駆体24は外部に突出しているものではないため、静電電極前駆体24の端部が他の部材と擦れて変形するおそれはない。以上の結果、所定形状の静電電極14の端面が変形するのを抑制することができたと考えられる。この点は、ヒーター電極前駆体26についても同様である。
(2−6)他の実施形態
上述した実施形態では、第1〜第3セラミック成形体41〜43を乾燥・脱脂・仮焼を行わずにそのまま積層して積層成形体40とし、この積層成形体40を乾燥・脱脂・仮焼を行うことにより積層仮焼体50としたが、最終的に積層仮焼体50が得られるのであれば第1〜第3セラミック成形体41〜43の乾燥・脱脂・仮焼をどの段階で行うかは問わない。例えば、第1〜第3セラミック成形体41〜43の少なくとも1つを乾燥だけ行ったあと積層してもよいし、第1〜第3セラミック成形体41〜43の少なくとも1つを乾燥・脱脂を行ったあと積層してもよいし、第1〜第3セラミック成形体41〜43の1つか2つを乾燥・脱脂・仮焼を行ったあと積層してもよい。いずれの場合も、積層体には乾燥・脱脂・仮焼の少なくとも1工程を終了していないものが含まれるため、その終了していない工程を積層体に施す必要がある。あるいは、第1〜第3セラミック成形体41〜43を3つとも個別に乾燥・脱脂・仮焼したあと積層してもよい。その場合には、積層後の乾燥・脱脂・仮焼が不要となる。
上述した実施形態では、第1セラミック成形体41の凹部41aに静電電極前駆体24を形成し、第3セラミック成形体43の凹部43aにヒーター電極前駆体26を形成したが、その代わりに、図7に示すように、第2セラミック成形体142の上面の凹部142aに静電電極前駆体124,下面の凹部142bにヒーター電極前駆体126を形成し、第1及び第3セラミック成形体141,143には電極前駆体を形成しないものとしてもよい。具体的には、図3(a),(b)に示した工程により第1セラミック成形体141を作製し(図7(a)参照)、図3(f),(g)に示した工程により第3セラミック成形体143を作製する(図7(e)参照)。また、第2成形型132として、上型の内面に静電電極前駆体124と同形状の凸部132aを着脱不能に形成すると共に、下型の内面にヒーター電極前駆体126と同形状の凸部132bを着脱不能に形成する(図7(b)参照)。この第2成形型132を用いてゲルキャスト法により、凸部132a,132bに対応する凹部142a,142bを有する第2セラミック成形体142を作製する(図7(c)参照)。そして、凹部142a,142bに電極ペーストをスクリーン印刷することにより、静電電極前駆体124及びヒーター電極前駆体126が埋め込まれた第2セラミック成形体142、つまり埋込電極付きセラミック成形体142Xを得る(図7(d)参照)。その後、これらのセラミック成形体141,142X,143を用いて積層成形体140を作製し、これを仮焼して積層仮焼体150とした後、ホットプレス焼成して静電チャック110を作製する(図7(f)〜(h)参照)。この点は図2(i)〜(k)と同様である。このようにしても、上述した実施形態と同様、静電電極114やヒーター電極116の端面が変形するのを抑制できる。
(3)第3の静電チャックの製法に関する実施形態
静電チャック110の製法について、図8を用いて以下に説明する。図8は、第3の静電チャックの製法の一例を示す製造工程図である。
(3−1)第1及び第3セラミック成形体141,143の作製
まず、図8(a),(b)に示すように、第1セラミック成形体141に凸状の静電電極前駆体124を形成した凸電極付きセラミック成形体141Yと、第3セラミック成形体143に凸状のヒーター電極前駆体126を形成した凸電極付きセラミック成形体143Yを作製する。前者は、上述した図3(a),(b)の工程を経て第1セラミック成形体141を作製した後、その下面に電極ペーストをスクリーン印刷して静電電極前駆体124を形成することにより、作製する。後者は、上述した図3(f),(g)の工程を経て第3セラミック成形体143を作製した後、その上面に電極ペーストをスクリーン印刷してヒーター電極前駆体126を形成することにより、作製する。
(3−2)積層成形体140の作製
内部空間が静電チャック110に対して収縮率を考慮した大きさの統合用成形型38を用意する(図8(c)参照)。そして、統合用成形型38の上型の内面に、凸電極付きセラミック成形体141Yの電極形成面とは反対側の面を取り付けると共に、統合用成形型38の下型の内面に、凸電極付きセラミック成形体143Yの電極形成面とは反対側の面を取り付ける(図8(d)参照)。次に、統合用成形型38にセラミック粉体、溶媒、分散剤及びゲル化剤を含むセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させる。これにより、第2セラミック成形体142が形成されるため、積層成形体140が完成する。その後、この積層成形体140を統合用成形型38から離型する(図8(e)参照)。
(3−3)静電チャック110の作製
積層成形体140を乾燥したあと脱脂し、更に仮焼することにより、積層仮焼体150とする(図8(f)参照)。そして、この積層仮焼体150をホットプレス焼成することにより、静電チャック110を得る(図8(g)参照)。
(3−4)効果
上述した静電チャック110の製法によれば、所定形状の静電電極114及びヒーター電極116の端面が変形するのを抑制することができる。具体的には、統合用成形型38の内面に凸電極付きセラミック成形体141Y,143Yを着脱可能に取り付けた後、セラミックスラリーを統合用成形型38に流し込みゲル化する際、反応初期のスラリーは粘度が低く流動性が高いため静電電極114やヒーター電極116の端面を削ってしまうのを抑制できると共に、電極界面にセラミック粉体が隙間無く且つ均一に充填し、ホットプレス焼成時に電極の変形を抑制できると考えられる。
(3−5)他の実施形態
上述した実施形態では、第1及び第3セラミック成形体141,143を乾燥・脱脂・仮焼を行わずに統合用成形型38にセットしたが、第1及び第3セラミック成形体141,143の乾燥・脱脂・仮焼をどの段階で行うかは問わない。例えば、第1及び第3セラミック成形体141,143の少なくとも1つにつき、乾燥だけ行ったあと統合用成形型38にセットしてもよいし、乾燥・脱脂を行ったあと統合用成形型38にセットしてもよいし、乾燥・脱脂・仮焼を行ったあと統合用成形型38にセットしてもよい。いずれの場合も、統合用成形型38から取り出した後の積層体には乾燥・脱脂・仮焼が終了していない第2のセラミック成形体142が含まれるため、積層体に乾燥・脱脂・仮焼を行う必要がある。なお、予め乾燥・脱脂・仮焼のいずれかを行う場合、その時期は電極ペーストを印刷する前でも後でもよい。
上述した実施形態では、統合用成形型38の上型の内面に凸電極付きセラミック成形体141Y,下型の内面に凸電極付きセラミック成形体143Yを着脱可能に取り付ける工程が含まれていたが、その代わりに、図9に示すように、統合用成形型36(前出)の内部空間の中央に、凸電極付きセラミック成形体42Yを着脱可能に取り付ける工程を含めるようにしてもよい。具体的には、図2(d),(e)と同様にして作製した第2セラミック成形体42の上面に静電電極前駆体24,下面にヒーター電極前駆体26を電極ペーストをスクリーン印刷することにより、凸電極付きセラミック成形体42Yを形成し(図9(a)参照)、これを統合用成形型36の内部空間の中央に取り付ける(図9(b)参照)。注入口36aは、統合用成形型36の上型と凸電極付きセラミック成形体42Yとによって囲まれた空間にセラミックスラリーを注入可能であり、注入口36bは、統合用成形型36の下型と凸電極付きセラミック成形体42Yとによって囲まれた空間にセラミックスラリーを注入可能である。次に、注入口36a,36bからセラミックスラリーを注入しゲル化させることにより、第1及び第3セラミック成形体41,43が形成されるため、積層成形体40が完成する。その後、この積層成形体40を統合用成形型36から離型する(図9(c)参照)。この積層成形体40を乾燥、脱脂、仮焼することにより、積層仮焼体50とし(図9(d)参照)、この積層仮焼体50をホットプレス焼成することにより、静電チャック10を得る(図8(e)参照)。このようにしても、上述した実施形態と同様、静電電極14やヒーター電極16の端面が変形するのを抑制できる。
なお、上記6.(1)〜(3)では、ヒーター電極を内蔵する静電チャックを製造する方法について説明したが、ヒーター電極及び第3セラミック成形体を省略して製造すれば、ヒーター電極を内蔵しない静電チャックを製造することができる。
[実施例1]
図2にしたがって、静電チャックを作製した。まず、直径355mm、高さ3.0mmの円盤状の内部空間を有する第1成形型と、直径355mm、高さ6.0mmの円盤状の内部空間を有する第2成形型と、直径355mm、高さ3.0mmの円盤状の内部空間を有する第3成形型を用意した。
一方、WC粉末(平均粒径1.5μm)とアルミナ粉末(平均粒径0.5μm)をアルミナ含有量が20重量%となるようにしバインダーとしてポリビニルブチラールを5重量部、溶媒としてテルピネオールを20重量部を加えて混合することにより電極ペーストを調製した。第1成形型の下型の内面に電極ペーストを直径290mm、高さ10μmとなるようにスクリーン印刷し、静電電極前駆体とした。また、第3成形型の上型の内面に電極ペーストを幅8mm、高さ50μmの一筆書き形状となるようにスクリーン印刷し、ヒーター電極前駆体とした。
アルミナ粉末(平均粒径0.5μm,純度99.7%)100重量部、マグネシア0.04重量部、分散剤としてポリカルボン酸系共重合体3重量部、溶媒として多塩基酸エステル20重量部を秤量し、これらをボールミル(トロンメル)で14時間混合し、スラリー前駆体とした。このスラリー前駆体に対して、ゲル化剤、すなわちイソシアネート類として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 3.3重量部、ポリオール類としてエチレングリコール0.3重量部、触媒として6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール0.1重量部を加え、自公転式撹拌機で12分間混合し、セラミックスラリーを得た。得られたセラミックスラリーを、静電電極前駆体を印刷した第1成形型、印刷を施していない第2成形型、ヒーター電極前駆体を印刷した第3成形型にそれぞれ流し込んだ。その後、22℃で2時間放置することにより、各成形型内でゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させたあと離型した。これにより、第1セラミック成形体に静電電極前駆体が埋め込まれた静電電極付きセラミック成形体と、電極の付いていない第2セラミック成形体と、第3セラミック成形体にヒーター電極前駆体が埋め込まれたヒーター電極付きセラミック成形体を得た。
そして、これらを、静電電極前駆体が第1及び第2セラミック成形体に挟み込まれ、ヒーター電極前駆体が第2及び第3セラミック成形体に挟み込まれるように積層して、積層成形体とした。この積層成形体を、100℃で10時間乾燥した後、最高温度500℃で10時間脱脂し、更に、アルゴン雰囲気において最高温度820℃で1時間仮焼することにより、積層仮焼体を得た。
この積層仮焼体をホットプレス焼成することにより、静電電極及びヒーター電極を内蔵した静電チャックを得た。ホットプレス焼成は、窒素雰囲気下、圧力100kgf/cm2、最高温度1600℃で2時間保持することにより行った。得られた静電チャックは、炭素含有量が0.1重量%以下、相対密度が98%以上であった。また、静電電極の端面は、縦断面をみたとき、フラットな垂直面(図1の角度θが180°)であり、変形はみられなかった。
[実施例2]
図3にしたがって、静電チャックを作製した。まず、実施例1と同様の第1〜第3成形型を用意した。そして、第2成形型の上型の内面に電極ペーストをスクリーン印刷し、実施例1と同様の静電電極前駆体とした。また、第2成形型の下型に電極ペーストをスクリーン印刷し、実施例1と同様のヒーター電極前駆体とした。
続いて、実施例1と同様のセラミックスラリーを、印刷を施していない第1成形型、静電電極前駆体及びヒーター電極前駆体を印刷した第2成形型、印刷を施していない第3成形型にそれぞれ流し込み、セラミックスラリーをゲル化させたあと離型した。これにより、電極の付いていない第1セラミック成形体と、第2セラミック成型体に静電電極前駆体及びヒーター電極前駆体が埋め込まれた電極付きセラミック成形体と、電極の付いていない第3セラミック成形体を得た。
そして、これらを、静電電極前駆体が第1及び第2セラミック成形体に挟み込まれ、ヒーター電極前駆体が第2及び第3セラミック成形体に挟み込まれるように積層して積層成形体とした。この積層成形体を、実施例1と同様にして乾燥し、脱脂し、仮焼した。この積層仮焼体を実施例1と同条件でホットプレス焼成することにより、静電電極及びヒーター電極を内蔵した静電チャックを得た。得られた静電チャックは、炭素含有量が0.1重量%以下、相対密度が98%以上であった。また、静電電極の端面は、縦断面をみたとき、図1の角度θが172°の膨出面であり、変形はほとんどみられなかった。
[実施例3]
図8に示した第3の静電チャックの製法にしたがって、静電チャックを作製した。まず、実施例1と同様の第1及び第3成形型を用意すると共に、積層成形体に見合った大きさの内部空間を有する統合用成形型を用意した。そして、実施例1と同様のセラミックスラリーを第1及び第3成形型に流し込み、セラミックスラリーをゲル化させたあと離型した。これにより、第1及び第3セラミック成形体を得た。続いて、第1セラミック成形体の下面に電極ペーストをスクリーン印刷して、凸状の静電電極前駆体の付いた第1セラミック成形体とした。また、第3セラミック成形体の上面に電極ペーストをスクリーン印刷して、凸状のヒーター電極前駆体の付いた第3セラミック成形体とした。
次に、統合用成形型の上型の内面に凸状の静電電極前駆体の付いた第1セラミック成形体のうち電極形成面とは反対側の面を貼り付けた。それと共に、下型の内面に凸状のヒーター電極前駆体の付いた第3セラミック成形体のうち電極形成面とは反対側の面を貼り付けた。そして、統合用成形型に実施例1と同様のセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させた。これにより、第2セラミック成形体が形成され、その結果、静電電極前駆体が第1及び第2セラミック成形体に挟み込まれ、ヒーター電極前駆体が第2及び第3セラミック成形体に挟み込まれた構造の積層複合体が完成した。その後、この積層複合体を統合用成形型から離型した。
この積層複合体を、実施例1と同様にして乾燥し、脱脂し、仮焼して積層仮焼体とした。この積層仮焼体を実施例1と同条件でホットプレス焼成することにより、静電電極及びヒーター電極を内蔵した静電チャックを得た。得られた静電チャックは、炭素含有量が0.1重量%以下、相対密度が98%以上であった。また、静電電極の端面は、縦断面をみたとき、図1の角度θが176°の膨出面であり、変形はほとんどみられなかった。
[実施例4]
実施例3において、電極ペーストを印刷する前の第1及び第3セラミック成形体を、100℃で10時間乾燥した後、最高温度500℃で10時間脱脂し、更にアルゴン雰囲気において最高温度820℃で1時間仮焼することにより、第1及び第3セラミック仮焼体としたあと、それぞれに電極ペーストを印刷した以外は、実施例3と同様にして静電チャックを作製した。得られた静電チャックは、炭素含有量が0.1重量%以下、相対密度が98%以上であった。また、静電電極の端面は、縦断面をみたとき、図1の角度θが176°の膨出面であり、変形はほとんどみられなかった。
[実施例5]
図9に示した第3の静電チャックの製法にしたがって、静電チャックを作製した。まず、実施例1と同様の第2成形型を用意すると共に、積層成形体に見合った空間を有する統合用成形型を用意した。そして、実施例1と同様のセラミックスラリーを第2成形型に流し込み、セラミックスラリーをゲル化させたあと離型した。これにより、第2セラミック成形体を得た。続いて、第2セラミック成形体の上面及び下面にそれぞれ実施例1の電極ペーストをスクリーン印刷して、凸状の静電電極前駆体及び凸状のヒーター電極前駆体の付いた第2セラミック成形体を得た。
次に、統合用成形型に第2セラミック成形体を内部空間の中央に配置した。そして、統合用成形型の内部空間の空きスペースに実施例1と同様のセラミックスラリーを流し込み、ゲル化剤を化学反応させてセラミックスラリーをゲル化させた。これにより、第1及び第3セラミック成形体が形成され、その結果、静電電極前駆体が第1及び第2セラミック成形体に挟み込まれ、ヒーター電極前駆体が第2及び第3セラミック成形体に挟み込まれた構造の積層複合体が完成した。その後、この積層複合体を統合用成形型から離型した。
この積層複合体を、実施例1と同様にして乾燥し、脱脂し、仮焼して積層仮焼体とした。この積層仮焼体を実施例1と同条件でホットプレス焼成することにより、静電電極及びヒーター電極を内蔵した静電チャックを得た。得られた静電チャックは、炭素含有量が0.1重量%以下、相対密度が98%以上であった。また、静電電極の端面は、縦断面をみたとき、図1の角度θが174°の膨出面であり、変形はほとんどみられなかった。
[実施例6]
実施例5において、電極ペーストを印刷する前の第2セラミック成形体を、100℃で10時間乾燥した後、最高温度500℃で10時間脱脂し、更に、アルゴン雰囲気において最高温度820℃で1時間仮焼することにより、第2セラミック仮焼体としたあと、両面に電極ペーストを印刷した以外は、実施例5と同様にして静電チャックを作製した。得られた静電チャックは、炭素含有量が0.1重量%以下、相対密度が98%以上であった。また、静電電極の端面は、縦断面をみたとき、図1の角度θが176°の膨出面であり、変形はほとんどみられなかった。
[比較例1]
まず、誘電層となる上部アルミナ焼結体と下層となる下部アルミナ焼結体を用意した。上部アルミナ焼結体は、以下のようにして作製した。すなわち、純度99.7%のアルミナ粉末と焼結助剤であるMgO原料粉とを、MgOの含有量が0.04wt%となるように秤量した。これらの原料粉にバインダであるポリビニルアルコール(PVA)、水及び分散剤を添加し、トロンメルで16時間混合し、スラリーを作製した。このスラリーをスプレードライヤを用いて噴霧乾燥し、その後、500℃で5時間保持してバインダを除去し、平均約80μmのアルミナ造粒顆粒を作製した。このアルミナ造粒顆粒を金型に充填し、200kg/cm2の圧力でプレス成形を行った。続いて、この成形体をカーボン製のサヤにセットし、ホットプレス焼成法を用いて焼成した。焼成は、100kg/cm2の加圧下で、かつ窒素加圧雰囲気(150kPa)で行い、300℃/hで昇温し、1600℃で2時間保持し誘電体層に相当する部分のアルミナ焼結体を得た。このアルミナ焼結体を研削加工し、直径φ300mm、厚さ6mmの円盤状の上部アルミナ焼結体を作製した。この際の一方の面は表面粗さRaが0.8μm以下の平滑面となるように仕上げた。なお、下部アルミナ焼結体も、これに準じて作製した。続いて、実施例1と同様の電極ペーストを、上部アルミナ焼結体の上にスクリーン印刷することにより、静電電極前駆体とした。また、下部アルミナ焼結体の上にスクリーン印刷することにより、ヒーター電極前駆体とした。
続いて、金型内に、静電電極前駆体が形成された上部アルミナ焼結体を静電電極前駆体が上になるように収容し、その上に、上部アルミナ焼結体を作製する際に調製したアルミナ造粒顆粒を所定量載置し、更にその上に、ヒーター電極前駆体が形成された下部アルミナ焼結体をヒーター電極前駆体が下になるように載置した。この状態で、上下圧縮方向に圧力200kgf/cm2で加圧して積層体を成形した。この積層体は、静電電極前駆体が上部アルミナ焼結体及びアルミナ造粒顆粒の層に挟み込まれ、ヒーター電極前駆体がアルミナ造粒顆粒の層と下部アルミナ焼結体に挟み込まれた構造である。この積層体を、実施例1と同様に乾燥・脱脂・仮焼したあと、ホットプレス焼成することにより、静電電極及びヒーター電極を内蔵した静電チャックを得た。ホットプレス焼成は、実施例1と同じ条件で行った。
得られた静電チャックは、炭素含有量が0.1重量%以下、相対密度が98%以上であった。また、静電電極の端面は、縦断面をみたとき、先端の尖った形状(図1の角度θが30°)であった。
[比較例2]
まず、中間層となる中部アルミナ焼結体を、比較例1の上部アルミナ焼結体に準じて作製した。続いて、実施例1と同様の電極ペーストを、中部アルミナ焼結体の上下両面にスクリーン印刷することにより、それぞれ静電電極前駆体、ヒーター電極前駆体とした。
続いて、金型内に、上部アルミナ焼結体を作製する際に調製したアルミナ造粒顆粒を予め定められた量だけ敷設し、その上に、静電電極前駆体が下向き、ヒーター電極前駆体が上向きになるように中部アルミナ焼結体を載置し、更にその上に、予め定められた量のアルミナ造粒顆粒を載置した。この状態で、上下圧縮方向に圧力200kgf/cm2で加圧して積層体を成形した。この積層体は、静電電極前駆体が一方のアルミナ造粒顆粒の層及び中部アルミナ焼結体に挟み込まれ、ヒーター電極前駆体が中部アルミナ焼結体及び他方のアルミナ造粒顆粒の層挟み込まれた構造である。この積層体を、実施例1と同様に乾燥・脱脂・仮焼したあと、ホットプレス焼成することにより、静電電極及びヒーター電極を内蔵した静電チャックを得た。ホットプレス焼成は、実施例1と同じ条件で行った。
得られた静電チャックは、炭素含有量が0.1重量%以下、相対密度が98%以上であった。また、静電電極の端面は、縦断面をみたとき、先端の尖った形状(図1の角度θが20°)であった。
10 静電チャック、10a ウェハー載置面、14 静電電極、14a 端面、14b 上隅、14c 膨出先端、14d 下隅、16 ヒーター電極、24 静電電極前駆体、26 ヒーター電極前駆体、31 第1成形型、32 第2成形型、33 第3成形型、34 統合用成形型、36 統合用成形型、36a,36b 注入口、38 統合用成形型、40 積層成形体、41 第1セラミック成形体、41a 凹部、41X 埋込電極付きセラミック成形体、42 第2セラミック成形体、42Y 凸電極付きセラミック成形体、43 第3セラミック成形体、43a 凹部、43X 埋込電極付きセラミック成形体、50 積層仮焼体、51 第1セラミック仮焼体、52 第2セラミック仮焼体、53 第3セラミック仮焼体、110 静電チャック、114 静電電極、116 ヒーター電極、124 静電電極前駆体、126 ヒーター電極前駆体、131 第1成形型、131a 凸部、132 第2成形型、132a,132b 凸部、133 第3成形型、133a 凸部、140 積層成形体、141 第1セラミック成形体、141Y 凸電極付きセラミック成形体、142 第2セラミック成形体、142a,142b 凹部、142X 埋込電極付きセラミック成形体、142Y 凸電極付きセラミック成形体、143 第3セラミック成形体、143Y 凸電極付きセラミック成形体、150 積層仮焼体。

Claims (1)

  1. 静電電極が内蔵された静電チャックであって、
    前記静電電極の端面は、縦断面をみたとき、フラット面であるか又は膨出面であって該膨出面の上隅と膨出先端と下隅とを結んだ角度θが160≦θ<180°である、
    静電チャック。
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