JP2013258422A - 蓄電デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲の電極材料を、蓄電デバイスの安全性に考慮して用いる。
【解決手段】特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を有する負極材料用いる場合、リチウムイオンのプレドープに際して、電解液成分の分解ガスの発生に起因するセルの膨張がみられる。プレドープに際しての電位降下を調整してセルの膨張を低減、または抑制する。すなわち、プレドープ速度を速め、負極電位をリチウムアルキルカーボネート等からなるSEI成分が負極表面に形成し得る電位にまで速やかに到達させることで、電解液成分の分解ガスの絶対量を低減し、蓄電デバイスの膨張を低減する。
【選択図】なし

Description

本発明は蓄電デバイスおよびその製造方法の技術に関し、特に重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲の材料を電極材料として用いた場合における電解液成分の分解に起因する蓄電デバイスの膨張を低減、さらには抑制するのに適用して有効な技術である。
以下に説明する技術は、本発明を完成するに際し、本発明者によって検討されたものであり、その概要は次のとおりである。
近年、車社会の排気ガス等の大気に対する環境問題が、クローズアップされている。かかる中、環境にやさしい電気自動車等の開発が行われている。電気自動車の開発に当たっては、特に電源となる蓄電デバイスの開発が盛んである。旧来の鉛蓄電池に代わり、種々の形式の蓄電デバイスが提案されている。
かかる蓄電デバイスとしては、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタ等を挙げることができる。特に、予め負極にリチウムイオンをドーピングしたリチウムイオンキャパシタを含めたハイブリッドキャパシタが、現在、注目を集めている。一部には、実際の車両にも搭載され、その実用化に向けての実施試験も行われている。しかし、一方では、かかる蓄電デバイスについて、さらなる要素技術の開発も進められている。
上記要素技術の開発としては、例えば、電極材料の技術開発が挙げられる。例えば、特許文献1には、炭素前駆体を焼成して得られた炭素材料で平均粒子径が12〜300nmのカーボンブラックが結着された炭素粒子の集合体粉末が安価でかつ、負極材料として優れた充放電特性を有しているとしている。また、特許文献2には、リチウムイオン二次電池の高入出力特性の改善に関する発明が開示されている。かかる開示記載では、BET法で求めた全比表面積、およびBJH法で求めたメソポア領域の比表面積が、それぞれ10〜40m/gの範囲にあり、かつ上記全比表面積に対する上記メソポア比表面積の比が0.7以上である炭素材料が高入出力特性の改善効果があるものと記載されている。
特開2008−150270号公報 特開2007−91557号公報
本発明者は、長年、蓄電デバイスの電極材料の研究を続けてきた。かかる研究の中で、電極材料に、重量平均メソ・マクロ孔比表面積の概念を負極材料に導入すると、入出力特性の改善に有効なことを見出した。負極材料が有する重量平均メソ・マクロ孔比表面積を特定範囲内とすることで、特許文献1および特許文献2に記載の材料においても優れた充放電特性、特に、優れた入出力特性を得ることができた。言い換えるならば、負極材料の特徴を特許文献1および特許文献2の請求範囲内としたからといって期待される効果が必ずしも得られるとは限らなかった。しかし、その一方で負極材料が有する重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定値以上となることで、場合においては電解液成分の分解ガスの発生によって蓄電デバイスが膨張することがあった。場合として起こる蓄電デバイスの著しい膨張は、腐食性を有する電解液の漏液や、開口に伴うガス漏れを招く虞がある。
本発明の目的は、電解液成分の分解ガスの発生に基づく蓄電デバイスの膨張を低減、さらには抑制し、特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積の材料を電極材料として安全に用いることができるようにする技術を提供することにある。また、これにより優れた充放電特性を有する蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。すなわち、特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を有する電極材料を用いるに際して、プレドープ速度を調節することで、電解液成分の分解ガスの発生に基づく蓄電デバイスの膨張を低減、抑制する。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば次のとおりである。すなわち、特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積の材料を用いることにより、プレドープに際しての電解液成分の分解ガスの発生に基づく蓄電デバイスの膨張を低減さらには抑制することができる。かかるガス発生抑制手段として、プレドープ速度を速める。すなわち、プレドープに際してのプレドープに関与する全ての電極の電位降下を早めることで、プレドープに関与する全ての電極の電位をリチウムアルキルカーボネート等からなるSEI成分が負極表面に生成し得る電位にまで速やかに到達させることができる結果、電解液成分の分解ガスの絶対量を低減できる。これにより、電解液の分解ガスの発生によるセル膨張によって使用できなかった特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積の材料を、安全に、電極材料として蓄電デバイスに使用することができる。かかる特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を電極材料として使用し得ることで、蓄電デバイスの入出力特性を改善することができる。
(A)および(B)はリチウム極1面に対する負極層数について説明する説明図である。 蓄電デバイスをリチウムイオンキャパシタに構成した場合の電極構成を模式的に示す図である。 蓄電デバイスをリチウムイオン二次電池に構成した場合の電極構成を模式的に示す図である。 蓄電デバイスの電極ユニットの構成を模式的に示す説明図である。 蓄電デバイスの電極ユニットの構成を模式的に示す説明図である。 蓄電デバイスの電極ユニットの構成を模式的に示す説明図である。 蓄電デバイスの電極ユニットの構成を模式的に示す説明図である。 (A)は蓄電デバイスを示す斜視図であり、(B)は蓄電デバイスを示す平面図である。 実験例1〜15および比較例1〜6のセルにおける合算透気度を示した。 リチウムイオンプレドープ開始からの負極電位を電位モニター用のリチウム極を用いて測定した結果を示す線図である。 リチウムイオンプレドープ開始からのセル厚みの変化挙動を示す線図である。 リチウムイオンプレドープ速度を表す数値指標Xとリチウムイオンプレドープ過程におけるセルの最大膨張率とをプロットした図である。 リチウムイオンプレドープ速度を表す数値指標Xとリチウムイオンプレドープ過程におけるセルの最大膨張率とをプロットした図である。 リチウム極1面に対する負極層数とリチウムイオンプレドープ過程におけるセルの最大膨張率とをプロットした図である。 リチウムイオンプレドープ速度を表す数値指標Xとリチウムイオンプレドープ過程におけるセルの最大膨張率とプロットした図である。 雰囲気温度25℃における各試験セルの放電負荷特性、充電負荷特性を示した図である。 雰囲気温度25℃における放電直流抵抗、充電直流抵抗を示した図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明は、リチウムイオンをプレドープする形式の蓄電デバイスで有効に使用できる技術である。例えば、負極にリチウムイオンをプレドープする蓄電デバイスで利用することができる。かかる負極には、例えば、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が所定範囲の材料が用いられている場合に有効な技術である。かかる負極は、正極と積層構造を構成している場合や、正極と偏平形状を含む捲回構造を構成している場合等に有効に利用できる。例えば、複数の負極と、複数の正極とが、互いに相対して積層された積層構造を有する場合に利用できる。積層させる負極と正極との間には、セパレータが介在させられる。このようにして、負極、セパレータ、正極の繰り返し構造が複数積層された素子、もしくは負極、セパレータ、正極の繰り返し構造が複数積層された電極ユニットがさらに積層されてなる素子が構成されている場合に有効な技術である。
本発明において、リチウムイオンのプレドープとは、正極または負極がその対峙する電極由来でない正極および負極とは異なる第3の電極から正負極間で充電操作を行う前に正極および負極に対してリチウムイオンをドープさせるプロセスである。リチウムイオンを正極および負極、あるいは正極または負極に対してプレドープすることで、電極材料が有する不可逆容量に起因する蓄電デバイスの容量ロスの相殺ができる、蓄電デバイスの平均セル電圧を高電圧化できる、元来材料中にリチウムイオンを有さない、もしくは不足している材料を電極材料として使用できる、等電極材料自体が有する短所を克服し、かつ長所を最大限に発揮させることができるために蓄電デバイスを高性能化できる。
因みに、本明細書では、ドープとは、吸蔵、担持、吸着または挿入を意味し、正極にリチウムイオン及び/又はアニオンが入る現象、あるいは負極にリチウムイオンが入る現象を意味する。また、脱ドープとは、放出、脱着、脱離をも意味し、上記ドープの逆の現象をいうものとする。このうち、蓄電デバイスの使用に先立って、予めリチウムイオン等のイオンを必要な電極にドープすることをプレドープというものとする。
また、メソ・マクロ孔等の表現は、国際純正応用化学連合:IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)の分類に従った。すなわち、細孔直径が2nm以下をミクロ孔、2nmを超えて50nm以下となるものをメソ孔、50nmを超えるものをマクロ孔と定義する。また、本発明では、かかるメソ・マクロ孔比表面積は、日本ベル株式会社製自動比表面積/細孔分布測定装置BELSORP−miniIIを用いて77Kにおける窒素吸着法により得られる窒素吸着等温線をBJH(Barrett−Joyner−Haleda)法で吸着側を解析することで求められる細孔直径が2nm〜50nmの範囲のメソ孔の比表面積と、細孔直径50nm〜200nmの範囲におけるマクロ孔の比表面積の和を意味するものとする。BET比表面積とは、上記窒素吸着等温線をBET(Brunauer−Emmett−Teller)法におけるBET多点法で解析することで得られる比表面積を意味するものとする。
また、本発明で言う重量平均メソ・マクロ孔比表面積とは、[負極活物質の主体である炭素(以下、必要がある場合は活物質炭素と呼ぶことにする)のメソ・マクロ孔比表面積と負極用合材中に占める活物質炭素重量の積、および導電助剤として添加されるカーボンブラック等の炭素(以下、必要がある場合には非活物質炭素と呼ぶことにする)のメソ・マクロ孔比表面積と負極用合材中に占めるカーボンブラック等の非活物質炭素重量の積]の和と、[負極用合材中に占める前記負極活物質である活物質炭素と前記導電助剤である非活物質炭素との重量の和]との比として定義する。なお、ここで上記非活物質炭素がない場合には、重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、メソ・マクロ孔比表面積に実質的に等しくなる。
負極用合材中に上記非活物質炭素がない場合には、活物質炭素の粉末を上記装置を用いて測定することでメソ・マクロ孔比表面積を求めることができる。また、負極用合材中に活物質炭素に加えて非活物質炭素を含む場合には、負極用合材中に設ける所定量の活物質炭素の粉末と非活物質炭素の粉末とを混合し、上記装置を用いて測定することで重量平均メソ・マクロ孔比表面積を求めることができる。なお、蓄電デバイス(以下、セルと呼ぶこともある)内に組み込まれた負極の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は以下の様にして求めることができる。
まず、セルに対して放電操作を実施し、セル電圧を仕様における下限電圧にまで低下させる。次にセルを解体し、正極と負極が短絡しない様に注意しながら負極を取り出す。取り出した負極に対し、ジエチルカーボネートやジメチルカーボネート等を用いて濯ぎ洗いを数回行うことで負極に付着した電解液を除去する。そして、上記溶媒を風乾したのち、負極を蒸留水に浸漬し、さらに超音波を照射することで集電体より負極用合材を脱離させる。負極用合材を除去した集電体は取り除く。次に、負極用合材を含有する前記蒸留水を吸引ろ過し、LiCO、LiF等の負極に付着した溶解性の低い物質を除去するために、ろ紙上の負極用合材を十分に水洗する。回収した負極用合材が結着剤等によって粗粒化している場合は、負極用合材の粗粒物を磨砕することで解砕する。以上の様にして得られた負極用合材粉末に対し、負極用合材成分が変性しない温度、具体的には150〜200℃の温度で減圧乾燥を行うことで水分を除去する。減圧乾燥後、上記装置を用いて測定することでセルに組み込んだ負極用合材の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を求めることができる。なお、前記減圧乾燥の前に粗乾燥工程を設けてもよく、前記粗粒物の解砕操作も、粗乾燥を実施した後に行ってもよい。作業性、および収得物の状況に応じて作業順序は適宜変更して構わない。
一般に、負極用合材を形成するために添加するスチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の結着剤や、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤、分散剤等は、不活性雰囲気下で350℃程度の加熱操作を加えることでおおよそ30重量%程度の重量が減少する。このことを利用し、減圧乾燥後に不活性雰囲気下で350℃程度の熱処理を負極用合材粉末に加え、その重量減少から負極用合材中に含まれる負極材料と結着剤等の添加物とのおおよその組成比を知ることができる。前記負極用合材の重量平均メソ・マクロ孔比表面積に対し、この組成比を用いることで負極用合材に含まれる負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を求めることができる。
以上、負極材料のメソ・マクロ孔比表面積、および重量平均メソ・マクロ孔比表面積の測定方法を示したが、測定用試料の調製方法や測定方法が、本明細書とは異なる場合であっても、本明細書で定義した方法で実施した場合に、本明細書で言う特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積の数値範囲に入る場合は、その異なる場合におけるメソ・マクロ孔比表面積、あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、本明細書で言うメソ・マクロ孔比表面積、あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積と見做しても構わない。
本発明では、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を、10m/g以上〜85m/g以下と規定するものである。より好ましくは、10m/g以上〜35m/g以下の範囲に規定するものである。かかる負極材料としては、例えば、負極活物質が挙げられる。負極活物質としては、例えば、錫、ケイ素等の合金系材料や、ケイ素酸化物、錫酸化物、バナジウム酸化物等の酸化物や、グラファイト(黒鉛)や易黒鉛化性炭素やハードカーボン(難黒鉛化性炭素)等の種々の炭素材料、ポリアセン系物質等が挙げられる。なお、上記に例示した負極活物質は適宜用途に応じて単独で使用しても良く、複数種混合して使用しても良い。さらには、負極活物質と、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する導電助剤等の炭素材料を含めた負極用合材成分とからなる負極材料であっても構わない。
リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する負極材料が活物質のみからなる場合には、活物質のメソ・マクロ孔比表面積が、10m/g以上〜85m/g以下であればよい。より好ましくは、10m/g以上〜35m/g以下の範囲にあればよい。また、上記の如く、負極の活物質炭素以外にも、リチウムイオンのドープ、脱ドープに関与し得る導電助剤等の非活物質炭素の材料が負極用合材に含まれる場合には、負極活物質と負極活物質以外の導電助剤等の炭素材料との重量平均メソ・マクロ孔比表面積が、10m/g以上〜85m/g以下の範囲にあればよい。より好ましくは、10m/g以上〜35m/g以下の範囲にあればよい。すなわち、リチウムイオンをドープ、脱ドープする負極活物質のメソ・マクロ孔比表面積が上記所定範囲外から外れる場合には、リチウムイオンをドープ、脱ドープ可能な導電助剤等の他の物質を混ぜることで重量平均メソ・マクロ孔比表面積が所定の範囲に入るようにすればよいのである。
仮に、BET比表面積が7m/gであり、かつメソ・マクロ孔比表面積が5m/g(メソ孔の領域の比表面積が5m/g)である活物質炭素が負極用合材中に80g、非活物質炭素としてメソ・マクロ孔比表面積が80m/gであるカーボンブラックが負極用合材中に20g含まれている負極と、BET比表面積が28m/gであり、かつメソ・マクロ孔比表面積が20m/g(メソ孔の領域の比表面積が20m/g)である活物質炭素が負極用合材中に100g含まれる負極がある場合を想定する。かかる場合において、本発明によれば前者の負極用合材中に含まれるリチウムイオンのドープ、脱ドープに関与する炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は20m/gであり、後者の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は20m/gである。本発明においては両者の重量平均メソ・マクロ孔比表面積に変わりはない。しかし、特許文献2によれば、前者のメソポア領域の比表面積は5m/gであり、後者のメソポア領域の比表面積は20m/gである。両者の充放電特性を比較した場合に、特許文献2によれば、蓄電デバイスとしての入出力特性は後者が優れることになるが、実際には変わらないのである。このように、本発明で述べる重量平均メソ・マクロ孔比表面積と、特許文献2で述べるメソポア領域の比表面積とは、全く異質なものである。
また、本発明では、負極用合材に含まれる負極材料のメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積を、リチウムイオンが負極活物質内部へと出入り可能なサイトの準定量的な数として捉えている。すなわち、メソ・マクロ孔比表面積をリチウムイオンの負極への出入りに関わる実効表面積と近似的に捉えるものである。さらに、特許文献2とは異なり、本発明は細孔直径が200nmまでのマクロ孔を含めたメソ・マクロ孔比表面積を採用している。200nmまでの細孔範囲に細孔を有し、かつ細孔径分布が種々異なる負極材料を用いて細孔直径2nm以上の比表面積と蓄電デバイスの充放電特性との関係を精査すると、比表面積と充放電特性との相関性は細孔直径範囲を200nmのマクロ孔にまで拡張させたメソ・マクロ孔比表面積の方が、メソ孔比表面積だけの場合よりもより良好となるためである。
以上に説明したように、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積の絶対値を増加させることで、リチウムイオンの負極材料内部への出入りの円滑性を確保することができると考える。かかる負極材料内部への出入りするサイトを増やすことで、リチウムイオンの出入りの円滑化を図り、入出力特性の向上が得られる。このように、本発明における負極材料は、リチウムイオンがドープ、脱ドープする際の負極材料の電解液に向けて開けた出入口の数を増やすことによって入出力特性の改善が図られたものであり、さらには、かかる負極材料が、活物質と、活物質以外のリチウムイオンをドープ、脱ドープ可能なカーボンブラック等の導電助剤の機能として用いられる炭素材料等から構成される場合には、メソ・マクロ孔比表面積の表現形式として重量平均メソ・マクロ孔比表面積を用いることは、新規な着想である。従来の単なるメソ・マクロ孔比表面積としての表現形式ではないことに注意すべきである。
しかし、かかる負極材料のメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が10m/g未満では、充放電開始直後における電圧降下を示す直流抵抗の低減効果が十分に得られないために、高負荷充放電において得られる充放電容量が少ない。すなわち、十分な入出力特性を得られないのである。
そのため、本発明で言う特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積に属する材料と見做す必要はないと判断する。負極材料による直流抵抗低減効果が蓄電デバイスの特性改善に効果があると見做すためには、少なくとも10m/g以上が必要と判断された。
勿論、かかるメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、負極材料として何を使用するかでも影響を受ける。しかし、本発明者の検討したこれまで使用されてきた負極材料の範囲内では、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上あれば、直流抵抗低減効果による蓄電デバイスの特性改善が顕著に感得できた。
また、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が85m/gを超えると、負極へのリチウムイオンのプレドープ過程における電解液成分由来の分解ガスの発生による蓄電デバイスの膨張が著しいために好ましくない。ちなみに、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が160m/gにまで到達すると、後述する本発明における手段をもってしても蓄電デバイスの膨張を抑えることができず、安全上の観点から蓄電デバイスを使用できなかった。メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積の上限としてより好ましくは、35m/gである。35m/gを超える場合には、リチウムイオンプレドープというプロセスによって初期不可逆容量を相殺できたとしても、低減した充電時の直流抵抗が逆に増加しだすため余り好ましくない。さらには負極上で継続的に生じる電解液との不可逆反応が顕著になる結果、充放電バランスのズレに起因してサイクル特性等の寿命特性が低下する等の不都合もみられる場合があるため、あまり好ましくない。
従って、本発明では、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積の上限を85m/g以下、より好ましくは35m/g以下と設定するものである。特に、メソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が35m/g以下ならば、直流抵抗の低減効果による蓄電デバイスの特性改善効果が感得できる。
このように負極材料のメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積を特定範囲に規定することで、直流抵抗の低減効果を大きくして、最終的に蓄電デバイスの充電及び放電における高出力化、所謂高入出力化と高エネルギー密度化の両立を図ることができる。低温特性の改善にも顕著な効果を示す。
かかる上記メソ・マクロ孔比表面積を含む重量平均メソ・マクロ孔比表面積の特定範囲に規定される負極材料において、黒鉛のように異方性を有する負極材料では、粒子の長径と短径の比で示されるアスペクト比がより1に近いことが好ましい。アスペクト比が1に漸近するにつれメソ・マクロ孔比表面積あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積とリチウムイオンが出入りするサイトをより定量的に把握することが可能となるためである。しかしながら、リチウムイオンの出入口を考えるに際しては、その出入口に方向性がある場合よりも、方向性がない方がより好ましい。さらには、結晶質よりもアモルファス炭素のような非晶質の方が構造的には好ましいとも言える。
しかし、かかる重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲に収まる負極材料を負極に用いた場合には、場合においてはリチウムイオンのプレドープ過程において電解液成分由来の分解ガスの発生によって、蓄電デバイスが著しく膨張することがあった。蓄電デバイスが膨張すると、蓄電デバイス内部における各電極の極間が広くなる結果、抵抗上昇や電解液の液絡が損なわれる等によってリチウムイオンプレドープ過程において支障が生じるために好ましくない。また、蓄電デバイスが著しく膨張すると、電解液の漏液やガス漏れ等の事態を招く虞がある。
一方、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲の下限値未満の負極材料を負極に用いた場合においては、いかなる場合においても問題となる程に蓄電デバイスが膨張することはなかった。
本発明は、まさに、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲の負極材料を負極に用いた場合に生じる、負極へのリチウムイオンのプレドープ過程における蓄電デバイスの膨張の改善を目指したものである。
前述において、蓄電デバイスが電極積層型蓄電デバイスである場合に、蓄電デバイスの膨張が認められる場合とは、蓄電デバイスの作製に用いた電極やセパレータが異なる場合、および蓄電デバイス内に設けるリチウム極の枚数や電極素子、あるいは電極ユニット内の電極積層枚数が異なる場合である。また、蓄電デバイスが電極捲回型蓄電デバイスである場合に、蓄電デバイスの膨張が認められる場合とは、蓄電デバイスの作製に用いた電極やセパレータが異なる場合、および蓄電デバイス内に設けるリチウム極の枚数や電極素子、あるいは電極捲回ユニット内の電極捲回周数が異なる場合である。これらの場合において、負極へのリチウムイオンのプレドープ中に電解液成分由来の分解ガスの発生による著しい蓄電デバイスの膨張が認められるのである。
鋭意検討の結果、前記電極やセパレータが異なる場合とは、電極およびセパレータの透気度が小さい場合であった。また、前記蓄電デバイス内に設けるリチウム極の枚数や電極ユニット内の電極枚数(電極捲回周数)が異なる場合とは、リチウム極の枚数が少ない場合、そして電極ユニット内の電極枚数(電極捲回周数)が多い場合である。すなわち、前記蓄電デバイス内に設けるリチウム極の枚数や電極ユニット内の電極枚数(電極捲回周数)が異なる場合とは、蓄電デバイス内に電極ユニットに対向してリチウム極が設けられる場合に、このリチウム極1面に対する電極ユニット中の電極積層枚数(電極捲回周数)の比が大きい場合であった。これらの場合において、負極へのリチウムイオンのプレドープ中において問題となる程に著しい蓄電デバイスの膨張が認められたのである。
電極やセパレータの透気度は、電極やセパレータの通気性、いわば電極やセパレータ中を通過する電解液および電解液中のイオンの動き易さ(易動度)を示唆する。つまり、電極やセパレータの透気度が小さい(透気度の秒数が大きい)場合とは、電極やセパレータ中を通過する電解液および電解液中のイオンの易動度が低い場合と見做すことができる。従って、上述のリチウムイオンプレドープ中における顕著な蓄電デバイスの膨張と電極やセパレータの透気度との関連性から、蓄電デバイス内におけるプレドープを施す全ての負極に対するリチウム極からのリチウムイオンの易動度が低い場合、すなわち、負極へのリチウムイオンプレドープ速度が遅い場合に電解液成分の分解ガスの発生によって蓄電デバイスが著しく膨張していると推定することができる。
一方、蓄電デバイス内における電極ユニットに対向したリチウム極1面に対する電極ユニット中の電極積層枚数(電極捲回周数)の比、その中でもとりわけリチウム極1面に対する電極ユニット中の負極枚数(負極捲回周数)の比は、例えば正極と負極が複数層積層されて電極ユニットを構成するとした場合に、電極ユニットに対向したリチウム極1面(枚)からのリチウムイオンが電極ユニット内層方向に向けて移動すべき最大距離を示唆する。このリチウム極1面に対する負極枚数の比が増大するほど、1面のリチウム極からのリチウムイオンが移動すべき平均距離が長くなると捉えることができる。つまり、前述の電極ユニットに対向する1面のリチウム極に対する負極枚数の比が増加することで、負極へのリチウムイオンプレドープ速度は遅くなると見做すことができる。従って、上述のリチウムイオンプレドープ中における著しい蓄電デバイスの膨張と蓄電デバイス内に設けた1面のリチウム極に対向する電極ユニット中の電極枚数の比との関連性から、前記電極およびセパレータの透気度と同様に、負極へのリチウムイオンプレドープ速度が遅い場合に電解液成分の分解ガスの発生による著しく蓄電デバイスが膨張していると推定することができる。
以上のことから、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲の負極材料を負極に用いた場合において、リチウムイオンプレドープ過程において問題となる程に蓄電デバイスを著しく膨張させる電解液成分の分解ガスの発生要因は、負極へのリチウムイオンのプレドープ速度が関係しており、前記リチウムイオンのプレドープ速度が遅い場合において蓄電デバイスは顕著に膨張することが見出された。
以上の得られた考察を基より、リチウムイオンのプレドープ速度と蓄電デバイスの膨張との因果関係をより詳細に確かめるべく、各積層型セル構成におけるリチウムイオンプレドープ中の負極の電位変化挙動とセル外観変化について調査した。リチウムイオンを負極にプレドープすることで負極電位は低下する。リチウムイオンが完全にプレドープした時点では、プレドープを施した全ての負極電位は同一電位に降下している筈であり、電極ユニット中の負極のそれぞれの電位降下は、測定しても電位差は原則発生していない筈である。しかし、プレドープが完了していない場合には、つまりプレドープしている途中の段階では、電極ユニット中のそれぞれの負極の電位降下の割合は異なるのではないかと考えた。リチウム極から近い位置にある負極程、リチウムイオンがプレドープされ易く、同じ時間における電位降下の割合は大きいのではないかと考えた。これに対し、リチウム極から遠い位置にある負極程、リチウムイオンがプレドープされにくく、同じ時間における電位の降下割合は小さいのではないかと考えた。すなわち、リチウム極より遠い位置に存在する負極程、リチウム極からのリチウムイオンの到達に時間を要するためにリチウムイオンプレドープ速度が遅いのではないかと推察した。かかる観点の下、プレドープ過程における負極電位の低下度合いをプレドープ速度として見做し、リチウム極と、プレドープする負極との位置関係に着目して、電位変化を調査したのである。ちなみに、電解液成分の分解ガスの発生による蓄電デバイスの膨張は、外装材によって密封した状態でプレドープを行わせ、その外装材の膨らみ具合で判断している。
負極と正極とを交互に重ねた積層体構成では、作業効率上、プレドープするためのリチウム極は積層体の外側に配置されている。前段において考察した内容については、負極および正極からなる積層体の外側に1枚のリチウム極を設ける構成では、当然に予測されていたことではある。しかし、実際にプレドープ中の電位変化を詳細に調べたことはなかった。実際には、考察通りにリチウム極に近い位置に存在する負極程に各時間における負極電位が低く、リチウム極より遠い位置に存在する負極(以下、最遠隔位置と呼ぶ場合もある)程に各時間における負極電位が高いことが、測定事実から把握された。特に、電極およびセパレータの透気度が小さい系、および蓄電デバイス内に設けた電極ユニットに対向したリチウム極1面に対する電極ユニット中の負極枚数の比が大きい系、すなわち、リチウムイオンのプレドープ速度が遅いと予想される系程、最遠隔位置における電位降下の割合に極めて顕著な差異を有していることが分かった。また、リチウム極に近い位置に存在する負極は電極およびセパレータの透気度や、電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する電極ユニット中の負極枚数の比が種々異なっていても負極電位の降下の割合に有意差は見られないことが分かった。
さらに、推察通りに各時間におけるリチウム極から最遠隔位置に位置する負極の電位が高い系程、すなわち、リチウムイオンのプレドープ速度が遅いと予想される系程にリチウムイオンのプレドープ過程において蓄電デバイスが著しく膨張する傾向にあることが確認できた。
さらに、リチウムイオンのプレドープ過程における時間の経過を追って蓄電デバイスの膨張挙動について詳しく調査すると、蓄電デバイスはその膨張によって開口せずともある地点を境に収縮する傾向にあること、つまり、蓄電デバイスの膨張には極大値が存在することが分かった。また、構成の違いによる蓄電デバイスの膨張挙動としては、リチウム極から最遠隔位置に位置する負極の電位降下の割合が大きい系程、すなわち、リチウムイオンのプレドープ速度が速いと想定される系程、蓄電デバイスの膨張が確認できるまでの時間が短く、かつ極大値自体は小さいものの極大値に達するまでの時間がリチウムイオンのプレドープ開始から約24時間以内と短いことが分かった。さらに、リチウムイオンのプレドープが速いと想定される系は、リチウムイオンのプレドープ過程において蓄電デバイスが膨張する変化率が大きいだけでなく、その後に蓄電デバイスが収縮する変化率も大きいことが分かった。
一方、リチウムイオンのプレドープ速度が遅いと想定される系は、リチウムイオンのプレドープ速度が速いと想定される系とは逆に、蓄電デバイスの膨張が確認されるまでの時間、および極大値に達するまでの時間が長く、さらに極大値自体も大きいことが分かった。
以上のことから、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲にある負極材料を負極に用いた場合において、電極やセパレータの透気度が小さい、および蓄電デバイス内に設けた電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する電極ユニット中の負極枚数の比が大きい等の要因によって、リチウムイオンのプレドープが蓄電デバイス全体として制限されるセル構造を有している程に、リチウムイオンのプレドープ過程において蓄電デバイスが著しく膨張することがわかった。
なお、上述の膨張した蓄電デバイスから内部において発生しているガスを採取し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)やガスクロマトグラフ(GC)を用いて定性定量分析を試みた結果、電解液にプロピレンカーボネートを含む場合にはプロピレンを主体とするガスが、エチレンカーボネートを含む場合にはエチレンを主体とするガスが、ジエチルカーボネートを含む場合には水素や一酸化炭素、二酸化炭素を主体とするガスが蓄電デバイス内部から発生していることが確認された。以上のことより、プレドープ過程において蓄電デバイス内部から生じる電解液成分の分解ガスは、主に電解液中の溶媒の還元分解ガスであることが推定された。
以上の得られた知見をもとより、電解液中の非プロトン性極性溶媒、その中でも取り分けプロピレンカーボネート(PC)およびエチレンカーボネート(EC)の還元分解に関して鋭意調査を行った。
まず、リチウムイオンが負極にドーピングされることによって負極電位が低下し、負極電位が1.5V(対Li/Li)以下に達することでPCおよびECは負極上で還元され、プロピレン、あるいはエチレンと炭酸リチウム(LiCO)を生じる反応を起こすことが分かった。上述した様にプロピレン、およびエチレンは常温ではガスであり、蓄電デバイスを膨張させる。一方、プロピレン、あるいはエチレンと共に生成されたLiCOは負極表面上に堆積される。この反応は、負極材料のメソ・マクロ孔比表面積、あるいは重量平均メソ・マクロ孔比表面積が大きくなることでより活発に生じ易くなる。また、負極電位の更なる低下、具体的にはPCにおいては0.9V(対Li/Li)以下、ECにおいては1.0V(対Li/Li)以下に負極電位が低下することによってPCおよびECの分解反応量が増大し、PCおよびECの還元による中間生成物の濃度が増加することによって、前記反応に加えてリチウムアルキルカーボネートと総称される化合物とプロピレン、あるいはエチレン、もしくはリチウムアルキルカーボネートのみを生じさせる反応を起こすことがわかった。なお、LiCOと同様に、リチウムアルキルカーボネートも負極表面上に堆積される。上述した複数種の反応は、それぞれの反応が生じうる電位領域において競争反応していると考えられる。
以上で述べた反応を、PCを例にして説明すると下式になる。なお、上述したリチウムアルキルカーボネートと総称される化合物は、一般に、SEI(Solid Electrolyte Interphase)、あるいは不動態皮膜とも言い換えられる。
PC+2e-+2Li→C↑+LiCO
2PC+2e-+2Li→LiOCOOCHCHCHOCOOLi↓+C
2PC+2e-+2Li→(CHCHCHOCOOLi)
さらに、PCおよびECの還元分解によって生成したプロピレン、あるいはエチレンは、負極上で分解され、重合化していくことがわかった。本発明において確認される電解液の還元分解ガスは、生成と消費が同時に行われているのである。すなわち、蓄電デバイスが膨張している場合には、還元分解ガスの生成量が消費量を上回っている場合であると見做すことができる。一方、蓄電デバイスの膨張が治まり、膨張した蓄電デバイスが収縮している場合には、還元分解ガスの消費量が生成量を上回っている場合であると見做すことがきる。また、蓄電デバイスが膨張する、もしくは収縮する勢いは還元分解ガスの生成量と消費量の乖離の大きさを示唆するものと捉えることができる。
前述の説明において、ある地点を境に膨張した蓄電デバイスが収縮していく現象はこのことに起因するものであると考えられる。また、リチウムイオンのプレドープ速度が速いと想定される系においては、リチウムイオンプレドープ過程における蓄電デバイスの膨張の変化率が大きいことを上述した。リチウムイオンのプレドープ速度が速まることによって、SEIの生成反応が短時間に集中的に生じ、そこで副生される還元分解ガスも集中的に発生していると考えることができる。
リチウムイオンのプレドープ過程における蓄電デバイスの膨張が、何故にリチウムイオンプレドープ速度が速いと想定される系程に少ないかについては未だ完全には明らかではないが、上述した知見から次のように推察した。
リチウムイオンのプレドープ速度を速めることによって、プレドープ初期において蓄電デバイス内に設けた全ての負極の電位を前述の競争反応が生じ得る電位にまで速やかに到達させることが可能となる。その結果、電解液成分にPCやEC等を用いた場合においては、リチウムイオンプレドープ過程においてより短い時間でリチウムアルキルカーボネートからなるSEI成分を負極表面に形成させることが可能となる。リチウムアルキルカーボネートを生成する反応においては、電解液の還元分解ガスを副生しない反応の存在が示唆されることから、蓄電デバイス内に設けた全ての負極の電位を上記競争反応が生じ得る電位にまで速やかに到達させることで電解液の分解によるガスの絶対量を低減させることが可能となり、蓄電デバイスの膨張が低減できると推察される。また、SEIとしての機能を有すると考えられるLiCOとリチウムアルキルカーボネートとでは、その分子サイズはリチウムアルキルカーボネートの方が大きいと考えられるため、リチウムアルキルカーボネートからなるSEI成分を負極表面により多く形成させることでより緻密なSEI層を負極表面に形成できると考えられる。これによって継続的な電解液の分解反応を抑制できるために、電解液の分解により副生するガスの絶対量を低減させることが可能となる結果、蓄電デバイスの膨張を低減できると推察される。
前記推察を発展させると、リチウムイオンのプレドープ過程において、重量平均メソ・マクロ孔が特定範囲にある負極材料を負極に用いた際に、場合として生じる蓄電デバイス内からのガス発生は、電極ユニット中の複数ある負極の内、プレドープ速度が遅いと想定される負極に基づいて発生した現象と結論づけることができる。例えば、リチウム極より最遠隔位置に位置する負極等の場合である。要は、複数の正極と負極を積層し、リチウム極がその積層体の外側に設けられる構成では、プレドープ速度がより速いと想定される場合には、電解液成分の分解反応に起因する副生ガスの総発生量が抑えられるのである。本発明では、電解液成分の分解に基づく蓄電デバイスの膨張を低減、さらには抑制できるのである。
また、上述した知見によると、リチウムイオンのプレドープ速度を速めることによって副生する還元分解ガスは発生タイミングの調節が可能であり、リチウムのイオンプレドープ開始からおおよそ24時間以内に集中させることが可能である。このことを利用し、上記リチウムイオンのプレドープ速度を向上させるという手段に加えて、蓄電デバイスへの電解液注入後において、蓄電デバイスを封口する前にリチウムイオンのプレドープを開始し、所定の保存期間を設ける手段が挙げられる。これにより、リチウムイオンプレドープ開始から早々に生じる電解液成分の分解ガスを封口前に蓄電デバイスの外部へと放出させることが可能となり、リチウムイオンのプレドープ過程における蓄電デバイスの膨張をさらに低減、抑制することが可能である。
本発明は、かかる経緯を踏まえてなされた発明である。本発明によれば、プレドープ速度を速めることで、電解液成分の分解に基づくガス発生量を効果的に低減、抑制することで、蓄電デバイスの膨張を低減、抑制できる。さらに、蓄電デバイスの封口前にリチウムイオンのプレドープを開始させ、保存期間を設けることによってリチウムイオンプレドープ過程における蓄電デバイスの膨張をさらに低減、抑制できる。この様にして、リチウムイオンプレドープ過程における電解液成分の分解ガスの発生による蓄電デバイスの膨張を抑制する技術を初めて提案するものである。
プレドープ速度を速める手段としては、種々の手段が考えられる。例えば、電極ユニット中に設ける負極の枚数を少なくし、電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する電極ユニット中の負極枚数の比を少なくする手段、および、電極ユニットに用いる電極やセパレータの透気度を大きくする手段等が採用できる。
前者の手段としては、電極ユニットが積層体である場合は、積層構造を構成する負極と正極との枚数を減らすのである。電極ユニット中の負極の積層枚数(負極の層数)を少なくすることで、リチウム極から最も離れた負極までの距離を縮めることができる。かかる距離を縮めることで、最も離れた負極へのリチウムイオンのプレドープを速く行えるようにするのである。プレドープを速く行うことで、プレドープに伴う負極の電位降下を早め、リチウムアルキルカーボネートが生成し得る電位にまで速やかに到達させることができる。その分、電解液成分の分解ガスの発生による蓄電デバイスの膨張を低減、さらには抑制することができる。かかる事実は、積層体の電極の積層枚数を少なくする、もしくは捲回体の電極の捲回周数を少なくすることで達成することができる。
かかる構成は、より正確には、リチウム極における金属リチウムと、リチウム極における金属リチウムと対向する電極ユニット内の負極との関係を明瞭にするという意味で、電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する負極層数の比を一定の値以下にするという形としても構わない。リチウム極1面当りの積層した負極数で、かかる構成を表現すればよい。
また、プレドープ速度を速めるための前述における後者の手段において、電極の透気度を大きくするとは、孔開き集電体を使用する際に用いる集電体の透気度を大きくする、正極用合材および負極用合材の空隙構造を制御する等によってその達成が可能である。電極の透気度を大きくすることによって、リチウムイオンのプレドープ速度を速くすることができる。すなわち、集電体、および正極用合材、負極用合材を通過するリチウムイオンの通過速度を大きくするのである。また、セパレータの透気度を大きくするためには、用いるセパレータを変更することでその達成が可能である。セパレータの透気度を大きくすることで、プレドープ速度を速くすることができる。透気度の大きくするためのセパレータの主な変更点は気孔率や厚みである。
電極やセパレータの透気度を大きくする、すなわち、正極および負極、セパレータからなる電極ユニットの構成部材の透気度を大きくすることで、電極ユニット構成部材を通過するリチウムイオンの通過を容易にできる。リチウムイオンが電極ユニット構成部材を通過し易くなることで、プレドープ速度が速まる。かかるプレドープ速度が速まることで、最遠隔位置に位置する負極へのリチウムイオンのプレドープによる電位降下を速く行うことができる。プレドープに伴う負極の電位降下を早めることで、電極ユニット中の全ての負極の電位をリチウムアルキルカーボネートが生成し得る電位にまで速やかに到達させることができる。その結果、電解液成分の分解ガスの発生による蓄電デバイス膨張を低減、さらには抑制することができる。
因みに、透気度は、642mmのシートを空気100mLが通過する時間(秒)と定義する。100mLの空気が642mmのシートを通過するのに要する時間が短い、つまり秒数の絶対値が小さいほどに透気度は大きいと表現する。かかる透気度の測定は、JIS P8117、8111、ISO5636/5に基づいて行っている。かかる透気度の測定は、例えば、東洋精機製作所製のガーレー式デンソメータ、G−B2C、あるいはG−B2を用いて行った。測定は、温度23℃±1℃、相対湿度50%±2%で行った。試料は、所定開口率の孔開き集電体に活物質を含む合材層を設けた電極を、40×40mmサイズに切り出すことにより作製した。なお、セルに組み込まれた電極、およびセパレータは、以下の様にして透気度測定用の試料を調製することができる。
まず、セルに対して放電操作を実施し、セル電圧を仕様における下限電圧にまで低下させる。次にセルを解体し、正極、負極、セパレータ毎に分別する。各セル構成部材はジエチルカーボネートやジメチルカーボネート等を用いて濯ぎ洗いを数回行うことで電極およびセパレータに付着した電解液を除去する。そして、上記溶媒を風乾したのちに溶媒を蒸留水に変えて正極およびセパレータを濯ぎ洗う。このようにして水洗された正極およびセパレータに対し、エタノール等の低沸点溶媒を用いて溶媒置換を行い、正極およびセパレータが変質しない60℃程度の低温で減圧乾燥して溶媒を除去することで正極およびセパレータの透気度測定用の試料を調製することができる。なお、酸化バナジウム等の様に正極活物質が水に対して溶解性を示す場合には、洗浄する溶媒は蒸留水の代用として溶解性の低いプロトン性極性溶媒を選択することができる。
一方、負極に対しては蒸留水による洗浄を施さず、蒸留水の代わりとしてエタノールを用いて洗浄を行う。この後は正極、およびセパレータ同様60℃程度の低温で減圧乾燥を実施し、溶媒を除去することで透気度測定用の試料を調製することができる。
以上、各種測定試料の調製方法を示したが、透気度測定用試料の調製方法や透気度の測定方法、あるいは透気度の定義の仕方が、本明細書とは異なる場合であっても、本明細書で定義した透気度に換算した場合に、本明細書で言う透気度の数値範囲に入る場合は、その異なる場合における透気度は本明細書で言う透気度と見做しても構わない。
また、電極ユニット構成部材の透気度を一括させる意味で、正極1枚分の平均透気度、負極1枚分の平均透気度、セパレータ1枚分の平均透気度の和を合算透気度として定義する。電極ユニットが電極積層型で構成される場合は、電極積層ユニット中に複数枚設けられた正極、負極あるいはセパレータの全枚、もしくは透気度の測定が可能な枚数の透気度を測定し、その平均値を電極ユニットの各構成部材(正極,負極,セパレータ)の平均透気度とする。また、電極ユニットが電極捲回型で構成される場合は、1枚の正極や負極、あるいはセパレータの長手方向の各位置における透気度を測定し、その平均値を電極ユニットの各構成部材(正極,負極,セパレータ)の平均透気度とする。
上述の複数のプレドープ速度を速める手段は、それらを組み合わせても一向に構わない。手段を組み合わせることで一層プレドープ速度を速めて、ガス発生による蓄電デバイスの膨張をより効果的に低減、抑制することができる。
例えば、電極ユニットに対向するリチウム極1面当りの負極層数の比を小さくすることと、使用する電極およびセパレータの平均透気度の和からなる合算透気度を大きく(秒数の絶対値を小さく)することを組み合わせれば、いずれか一方の場合よりもよりプレドープ速度を速めることができる。また、仕様等において電極ユニットの構成、あるいは用いる電極およびセパレータの透気度からなる合算透気度の一方に制限が加えられる場合には、電極ユニットの構成、あるいは合算透気度を制限される範囲の中に維持しつつ、もう一方の制限のない、あるいは制限の緩い合算透気度、あるいは電極ユニットの構成をリチウムイオンプレドープ速度が速まる方向に変更することでガス発生による蓄電デバイスの膨張をより効果的に低減、抑制することができる。さらには、上記以外の手段でも、プレドープの速度を速めることができる手段であれば本発明で利用できるものである。
また、上記複数のプレドープ速度を速める手段に基づく有効性を、一括して数値表現することで、その適用の迅速性、簡略化が図れるように本発明者は考えた。すなわち、特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を有する負極材料を負極に用いた場合において、電解液由来の還元分解ガスの発生による蓄電デバイスの膨張を低減、さらには抑制できる態様を、数値指標として示した。かかる数値指標Xは、以下に示す式(1)で表せる。
X=リチウム極1面に対する負極層数×log(合算透気度)…(1)
例えば、かかる数値指標Xは、上記式(1)の電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する電極ユニット中の負極層数×log(合算透気度)で表示されるパラメータ式の値とした。上記において、電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する負極層数とは、電極ユニットに対向するリチウム極の対向面当たりの負極数を意味している。すなわち、リチウム極の対向面から放出されるリチウムイオンによってプレドープされる負極数を意味している。例えば、電極ユニットに1枚のリチウム極が対向する構成を考えると、電極ユニットが電極積層型である場合には電極ユニット中の負極の枚数を意味している。また、電極ユニットが電極捲回型であり、この電極ユニットが1枚の正極と1枚の負極とによって構成される場合には、電極ユニット中の電極の捲回数を意味している。
ここで、図1(A)および(B)は、リチウム極1面に対する負極層数について説明する説明図である。図1(A)に示される積層型の電極ユニットUは、1枚の正極20と2枚の負極30とによって構成されている。また、電極ユニットUの一方の表面に対向するように、電極ユニットUの外側にはリチウム極10が配置されている。この場合には、リチウム極10の対向面10aから放出されるリチウムイオンによって、2枚の負極30にプレドープが施されることになる。したがって、リチウム極の対向面当たりの負極数、すなわちリチウム極1面に対する負極層数は「2」となる。また、図1(B)に示される積層型の電極ユニットUには、電極ユニットUの双方の表面に対向するように、電極ユニットUの両側にリチウム極10が配置されている。この場合には、リチウム極10の対向面10aから放出されるリチウムイオンによって、1枚の負極30にプレドープが施されることになる。したがって、リチウム極の対向面当たりの負極数、すなわちリチウム極1面に対する負極層数は「1」となる。
また、式(1)の数値指標Xはlog(合算透気度)を用いて特定されているが、このlog(合算透気度)とは、合算透気度(秒/100mL)の底(10)に対する対数すなわち常用対数を意味している。
かかる値が、50以下なら好ましい。かかる数値指標Xが50を超えるとリチウムイオンのプレドープ速度が遅くなるために好ましくない。また、数値指標Xが50を超えると、リチウムイオンプレドープ過程において、特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を有する負極材料を用いた場合に蓄電デバイスの膨張が著しいために好ましくない。
かかる数値指標Xを上述した50以下とすることでリチウムイオンのプレドープ速度を向上させることができる。また、数値指標Xを50以下とすると、リチウムイオンプレドープ過程において、特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を有する負極材料を用いた場合における蓄電デバイスの膨張を低減、抑制できる。
なお、かかる数値指標Xは5以上〜40以下がより好ましい。かかる数値指標Xを40以下にすることによって、リチウムイオンのプレドープ速度をさらに向上させることができる。また、数値指標Xを40以下とすると、リチウムイオンプレドープ過程において、特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を有する負極材料を用いた場合における電解液成分の分解ガスの発生による蓄電デバイスの膨張をさらに低減、抑制することができる。
さらに、かかる数値指標Xを40以下にし、かつ電解液の含浸以後の蓄電デバイスの外装材の開口状態のもとでリチウムイオンのプレドープを開始させ、封口までに保存期間を設けることによって、リチウムイオンプレドープ過程において特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を有する負極材料を用いた場合における電解液の分解ガスの発生による蓄電デバイスの膨張をより効果的に低減、抑制することができる。ちなみに、上記保存期間において、保存雰囲気は減圧下(負圧雰囲気下)であることがより好ましく、保存期間はリチウムイオンのプレドープ開始から少なくとも2時間以上が好ましく、4時間以上がより好ましい。保存期間がリチウムイオンのプレドープ開始から2時間未満であると、リチウムイオンプレドープ過程における電解液の分解ガスの発生が小康状態となりきれないために蓄電デバイスの膨張抑制効果が小さく好ましくない。保存期間の上限は、セル製造および上述したガス発生のタイミングの観点からリチウムイオンのプレドープ開始から24時間以内が好ましい。従って、より好ましい保存期間はリチウムイオンのプレドープ開始から4時間以上〜24時間以内である。
かかる数値指標Xが5未満の場合は、電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する負極層数比項とlog(合算透気度)項のどちらか、もしくはその両方が著しく小さい場合が想定される。電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する負極層数比項の値が3未満の場合には、電極ユニット1体中の負極枚数が少ないことが考えられ、生産性、コストおよびエネルギー密度の観点においてあまり好ましくない。また、log(合算透気度)項が2.3以下の場合には正極および負極の電極密度が小さいこと、セパレータの強度が低いことが考えられ、エネルギー密度や安全性の観点においてあまり好ましくない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、負極材料に所定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を用いて、上記構成を採用した蓄電デバイスについて説明する。かかる蓄電デバイスとしては、例えば、リチウムイオンキャパシタに構成することができる。さらには、蓄電デバイスをリチウムイオン二次電池に構成することもできる。
図2は、蓄電デバイスをリチウムイオンキャパシタに構成した場合の電極構成の概略を模式的に示した図である。図2に示すように、蓄電デバイスは、例えば、積層型のリチウムイオンキャパシタAとして構成されている。かかるリチウムイオンキャパシタAは、リチウム極10と、正極20と、負極30とを有している。複数の正極20、負極30が、セパレータ40を介して交互に積層されている。かかる積層構成の外側には、負極30が配置されている。かかる負極30に対面して、イオン供給源としてのリチウム極10が、セパレータ40を介して設けられている。このようにして、積層ユニットが形成されている。かかる積層ユニットは、図示はしないが、電解液に浸されている。
リチウム極10は、図2に示すように、金属リチウム11が、所定層厚で集電体11a上に設けられている。正極20は、正極用合材21が、集電体22の両面上に所定層厚で設けられている。負極30も、負極用合材31が、所定層厚で集電体32の両面上に設けられている。かかる集電体22、32は、図2に示すように、表裏に貫通する孔が設けられた多孔状に構成されている。すなわち、集電体22、32には多数の貫通孔22a,32aが形成されている。
また、正極20では、集電体22から引き出されて正極端子23が設けられている。負極30では、集電体32から引き出されて負極端子33が設けられている。リチウムイオンキャパシタAの使用に際しては、上記正極端子23、負極端子33を使用する。このようにして、正極20と負極30を有する積層型のリチウムイオンキャパシタAが構成されている。ここで、正極とは放電に際して電流が流れ出る側の極を言い、負極とは放電に際して電流が流れ込む側を言うものとする。
かかるリチウムイオンキャパシタAは、例えば、ラミネートフィルム等によって構成されるパッケージ(外装材)に入れられて製品とされる。このように構成されるリチウムイオンキャパシタAでは、製品とする前に、リチウムイオンのプレドープが行われる。すなわち、リチウムイオンキャパシタの組立工程内で、外装材を密封した状態で、プレドープを行う。かかるプレドープは、リチウム極10と負極30との間で行われ、負極30にリチウムイオンが予めドープされた形で、製品として出荷される。
リチウムイオンのプレドープにより、正極と負極を短絡させた後の正極の電位は、好ましくは例えば2V(対Li/Li)以下にされていることが必要である。このようにすることで、正極の利用容量を高くして、エネルギー密度を向上させている。正極と負極を短絡させた後の正極電位が、例えば2V(対Li/Li)以下とは、例えば、次の方法で求められる正極電位が、2V(対Li/Li)以下の場合を言うものとする。すなわち、リチウムイオンのドープ後、リチウムイオンキャパシタのセルの正極端子と負極端子を導線で直接結線して短絡させ、その状態で12時間以上放置する。その後に、短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位が2V(対Li/Li)以下の場合を言うものとする。
あるいは、プレドープ終了後、充放電試験機にて、12時間以上かけて0Vまで定電流放電させ、その後に正極端子と負極端子を導線で結線して短絡させる。その状態で12時間以上放置し、その後に短絡を解除し0.5〜1.5時間内に測定した正極電位が2V(対Li/Li) 以下の場合を言うものとする。
一般的に充電電圧の上限は、正極電位の上昇による電解液の分解が起こらない電圧に設定される。そこで、正極電位を上限にした場合、負極電位が低下する分、充電電圧を高めることが可能となるのである。しかし、短絡後の正極電位を3V(対Li/Li)以下、より好ましくは2V(対Li/Li)以下に低下させることができれば、それだけ正極の利用容量が増え、高容量とすることができる。
通常、正極に活性炭、負極にリチウムイオン二次電池で使用する黒鉛や難黒鉛化性炭素のような炭素材を用いたいわゆるハイブリッドキャパシタでは、活性炭や炭素材は通常3V(対Li/Li)前後の電位を有している。そのため、短絡しても正極電位は変化せず3V(対Li/Li)のままである。そこで、本発明のリチウムイオンキャパシタでは、別途金属リチウム等のイオン供給源から、負極にリチウムイオンをドープすることで、短絡した場合の正極電位を3V(対Li/Li)以下になるようにするのである。
リチウムイオンのプレドープは、負極と正極のいずれか一方、あるいは双方に行ってもよい。しかし、リチウムイオンのドープ量を多くして正極電位を下げ過ぎると、リチウムイオンを不可逆的に消費してしまい、セルの容量が低下するなどの不具合が生じる。そのため、例えば、負極と正極の双方にプレドープするリチウムイオンは、かかる不具合が発生しないように、両極のプレドープ量を制御する必要がある。しかし、かかる制御は工程上極めて煩雑となるため、リチウムイオンのドープを負極に対してのみ行うようにするのが好ましく、本発明のリチウムイオンキャパシタでもそのようにしている。
かかる構成のリチウムイオンキャパシタAでは、負極30で、前記説明の負極材料が使用されている。すなわち、負極用の集電体32上に設けられた負極用合材31に、前記実施の形態で説明した負極材料が含まれているのである。負極用合材31には、例えば、活物質として難黒鉛化性炭素材料と、導電助剤としてカーボンブラックとが含まれている。かかる活物質と導電助剤とから構成される負極材料は、その重量平均メソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上〜85m/g以下の範囲に入っているものが使用されている。
あるいは、上記負極用合材31には、カーボンブラック等の導電助剤を含まない場合は、重量平均をとることなくメソ・マクロ孔比表面積のみで示される構成でもよい。勿論、かかるメソ・マクロ孔比表面積は、10m/g以上〜85m/g以下の範囲に入っているものが使用されている。リチウムイオンのドープ、脱ドープには、主体的には上記活物質が関与する。しかし、導電助剤も、導電性向上の目的で添加されてはいるが、しかし、リチウムイオンのドープ、脱ドープをも厳密には行っているのである。
また、正極20では、正極用合材21が集電体22上に設けられている。かかる正極用合材21には、例えば、正極用の活物質として、リチウムイオンと、リチウムイオンとが対をなす例えばBF 、PF 等のようなアニオンを可逆的にドープできるものが使用される。かかる正極材料である正極活物質としては、例えば、活性炭、導電性高分子、ポリアセン系物質等を挙げることができる。特に、活性炭は、例えば、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物塩等を用いて賦活処理が施されているものを用いれば、賦活処理されていないものに比べて、比表面積が大きくて好ましい。かかる活物質には、必要に応じて、導電助剤等を用いても構わない。なお、上記にて例示した正極活物質は適宜用途に応じて単独で使用しても良く、複数種混合して使用しても良い。
以上述べた構成の負極用合材の構成成分、正極用合材の構成成分には、さらにバインダが含まれている。かかるバインダとしては、例えば、ゴム系バインダ、あるいはフッ素系樹脂、熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂等の結着樹脂を使用することができる。ゴム系バインダとしては、例えば、ジエン系重合体であるSBR、NBR等を挙げることができる。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等を挙げることができる。アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸・アクリロニトリル・エチレングリコールジメタクリレート共重合体等を挙げることができる。
また、前記負極用合材、正極用合材に使用する導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、および、膨張黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の導電性炭素材料を挙げることができる。さらには、前記負極用合材、正極用合材には、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)等を混ぜても構わない。
上記活物質、バインダ、必要に応じて導電助剤、増粘剤等を、例えば水、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等の溶媒を用いてスラリーに形成すればよい。かかるスラリーにより形成される負極用合材、正極用合材は、孔開きの集電体面上に所定層厚で設けておく。設けるに際しては、例えば、ダイコーターやコンマコーター等の塗工装置を用いて、塗工処理を行えばよい。さらに、所定層厚で集電体上に塗工処理した合材層は、バインダの耐熱性にもよるが、通常真空中150〜200℃の温度で12時間程度乾燥させて電極が製造される。
かかる構成の負極、正極は、例えば、電解液を介して設けられている。かかる電解液には、電解質が溶解されている。リチウムイオンキャパシタの場合には、電解液には、例えば、非プロトン性極性溶媒を使用することができる。かかる非プロトン性極性溶媒は、非プロトン性有機電解質溶液を形成する。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等が挙げられる。
さらに、これら非プロトン性極性溶媒の二種以上を混合した混合液を用いても構わない。充放電特性に寄与する比誘電率、蓄電デバイスの作動可能温度範囲に寄与する凝固点および沸点、そして安全性に寄与する引火点の観点からはプロピレンカーボネートを用いることが好ましい。しかし、負極の活物質に黒鉛を用いる場合、負極の電位が約0.8V(対Li/Li)においてプロピレンカーボネートは黒鉛上で分解してしまうために代替としてエチレンカーボネートを使用することが好ましい。
エチレンカーボネートは融点が36℃であり、常温では固体である。このためにエチレンカーボネートを電解液の溶媒として用いる場合には、エチレンカーボネートを室温下で液状とするためにエチレンカーボネート以外の非プロトン性極性溶媒と混合させることが必須となる。さらに、エチレンカーボネートと併用する非プロトン性極性溶媒には充放電特性、および蓄電デバイスの作動可能温度範囲の観点からジエチルカーボネートやエチルメチルカーボネート等に代表される低粘度でかつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒を選択することが好ましい。
しかしながら、ジエチルカーボネート等の低粘度かつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒とエチレンカーボネートからなる電解液は、雰囲気温度が約−10℃以下になることでエチレンカーボネートの凝固にともなう急激なイオン伝導度の低下を引き起こし、低温特性が悪くなりがちである。そこで、−30℃の環境においても良好な特性を有する蓄電デバイスを得るために、非プロトン性有機電解質溶液の溶媒にプロピレンカーボネートを含むことが望ましい。
そのため、負極の活物質、および導電助剤にはプロピレンカーボネートの還元分解性が低い材料を用いることが望ましい。しかし、本発明では、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上〜85m/g以下に設定された表面積が大きい材料を使用している。かかる材料を使用すると、上述したようにリチウムイオンプレドープ工程において、電解液成分の分解ガスの発生によってセルが膨張し易いのである。そこで本発明では、プレドープ速度を速めることで、リチウムイオンプレドープ工程における蓄電デバイスの膨張を低減、抑制している。
電解液に溶解される電解質としては、リチウムイオンを生成し得る電解質を含むことが必須である。例えば、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、LIN(CSO)、LiN(CFSO)等が挙げられる。また、電解質は単独あるいは混合して使用してもよい。なお、上記に例示した様に電解液にリチウムイオンを生成し得る電解質を含んでいれば、特性に悪影響を及ぼさない程度にカチオンが4級アンモニウムイオンやスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムイオンとなる電解質を電解液に添加してもよい。
また、特性改善のための添加剤としてビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルファイト、およびこれらの誘導体等の添加剤を電解液に添加しても構わない。添加量は0.1重量%以上〜10重量%以下が好ましい。さらに、蓄電デバイスの難燃化のための添加剤として、ホスファゼン化合物やその誘導体、フッ素化カルボン酸エステル、フッ素化リン酸エステル等の物質を電解液に添加しても構わない。難燃剤としては、例えば、ホスライト(日本化学工業株式会社製)や(CFCHO)PO、(HCFCFCHO)COが挙げられる。
一方、リチウム極10には、初期充電時に、リチウムイオンを負極30にプレドープさせるためのリチウムイオン源として、例えば、金属リチウムあるいはリチウム−アルミニウム合金等が使用できる。すなわち、少なくともリチウム元素を含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質であれば使用可能である。
以上に説明の負極、正極、リチウム極との間には、セパレータが設けられている。かかるセパレータには、大きなイオン透過度(透気度)、所定の機械的強度、および電解液、正極活物質、負極活物質等に対する耐久性を有し、かつ連通気孔を有する電子伝導性のない多孔質体等が用いられている。例えば、通常は、紙(セルロース)、ガラス繊維、ポリエチレンあるいはポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオライド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン等からなる隙間を有する布、不織布あるいは微多孔体が用いられる。セパレータの厚みは電解液の保持量やセパレータの強度等を勘案して適宜設定することができるが、蓄電デバイスの直流抵抗の低下や体積当たりのエネルギー密度の向上のためにセパレータの厚みはなるべく薄い方が好ましい。なお、本発明の構成では、プレドープ速度を速くするために、ある程度以上の透気度が必要である。例えば、透気度は、前述したプレドープの迅速化や直流抵抗の低下を実現するためには、5秒/100mL以上〜600秒/100mL以下であることが好ましい。また、蓄電デバイスの内部温度が仕様の上限温度以上に到達した場合にセパレータ構成成分の溶融によってセパレータの隙間が閉塞される特性(セパレータのシャットダウン機能)をセパレータに持たせることが蓄電デバイスの安全性のために好ましい。閉塞開始温度は蓄電デバイスの仕様にもよるが、通常90℃以上〜180℃以下である。耐熱性が高く、前記温度でセパレータが溶融し難いポリイミド等の材料をセパレータに使用している場合は、ポリエチレン等の前記温度で溶融可能な物質をセパレータに混合させることが好ましい。ここでいう混合とは、単なる複数の材質の混ぜ合わせだけでなく、材質等の異なる2種以上のセパレータを積層したもの、セパレータの材質の共重合化等の意味を含む。なお、蓄電デバイスの内部温度が仕様上限温度を超えてもセパレータ自体の熱収縮が小さいセパレータは蓄電デバイスの安全性の面においてより好ましい。以上、例示したセパレータは適宜用途に応じて単独で使用しても良く、同一種のセパレータを重ねて使用しても良い。また、複数種のセパレータを重ねて使用しても良い。
上記説明では、積層型に構成したリチウムイオンキャパシタについて説明した。しかし、セパレータを挟み込みながら負極と正極を重ね、これらを巻き取ることにより、リチウムイオンキャパシタを捲回型に構成しても構わない。また、図2には、積層された電極構成の外側の負極に対向してリチウム極が設けられた構成を示したが、かかるリチウム極は、積層した電極の間に挟むようにして設けておいても構わない。かかる電極の配置構成は、プレドープ工程における電解液成分の分解によるガス発生に基づくセルの膨張を低減、さらには抑制させられる構成であればよく、基本的には構成は自由である。
すなわち、前述の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上〜85m/g以下、より好ましくは10m/g以上〜35m/g以下の特定範囲の材料を負極材料として使用する場合には、電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する負極層数の比と合算透気度の対数との積が50以下であればよく、5以上〜40以下がより好ましい。かかる値以下であれば、複数の負極と複数の正極とを積層させた積層体にリチウム極を1枚設けたセル構成で、負極の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上〜85m/g以下の材料を使用しても、電解液成分の分解ガスの発生によるセルの膨張を低減、抑制することができる。
なお、上記負極構成が満たされるのであれば、リチウムイオンをプレドープするイオン供給源としてのリチウム極は、1箇所だけでなく、複数箇所設けても構わない。例えば、電極ユニットの両端に2個のリチウム極を設けても構わない。あるいは、電極ユニットの中間に介在させてもかまわない。さらには、電極ユニットの両端と、かかる電極ユニットの中間とに、複数のリチウム極を設けることも可能である。
本実施の形態で述べたメソ・マクロ孔比表面積を含む重量平均メソ・マクロ孔比表面積を有する負極を有する上記構成のリチウムイオンキャパシタは、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、建築機械等における補助電源、夜間点灯装置の電源、あるいは、風力発電等における電力貯蔵装置、UPS、数秒〜数分という短時間で急速な加温や大電流充放電が求められる電子機器における電子部品等として有効に適用できる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、蓄電デバイスをリチウムイオン二次電池Bに構成した場合について説明する。図3に示すように、リチウムイオン二次電池Bは、例えば積層型に構成されている。かかるリチウムイオン二次電池Bは、リチウム極100と、正極200と、負極300とを有している。複数の正極200、負極300が、セパレータ400を介して交互に積層されている。かかる積層した電極群の外側には、負極300が配置されている。かかる負極300に対面して、イオン供給源としてのリチウム極100が、セパレータ400を介して設けられている。このようにして構成された積層ユニットは、電解液に浸されている。
リチウム極100は、図3に示すように、金属リチウム110が、所定層厚で集電体120上に設けられている。正極200は、正極用合材210が、集電体220の両面上に所定層厚で設けられている。負極300も、負極用合材310が、所定層厚で集電体320の両面上に設けられている。かかる集電体220、320は、図3に示すように、表裏に貫通する孔が設けられた多孔状に構成されている。すなわち、集電体220、320には多数の貫通孔220a,320aが形成されている。
また、正極200では、集電体220から引き出されて正極端子230が設けられている。負極300では、集電体320から引き出されて負極端子330が設けられている。リチウムイオン二次電池Bの使用に際しては、かかる正極端子230、負極端子330を使用する。このようにして、正極200と負極300を有する積層型のリチウムイオン二次電池Bが構成されている。かかるリチウムイオン二次電池Bは、例えば、ラミネートフィルム等によって構成されるパッケージ(外装材)に入れられて製品とされる。
このように構成されるリチウムイオン二次電池Bでは、製品とする前に、リチウムイオンのプレドープが行われる。すなわち、外装材を密封した状態で、リチウムイオン二次電池の組立工程内で、プレドープを行う。かかるプレドープは、リチウム極100と負極300との間で行われ、負極300にリチウムイオンが予めドープされた形で、製品として出荷される。
かかる構成のリチウムイオン二次電池Bでは、負極300に、前記実施の形態1で使用した前述の負極材料が使用されている。すなわち、負極用の集電体320の両面上に設けられた負極用合材310に、前述の説明の負極材料が含まれている。負極用合材310には、例えば、活物質として難黒鉛化性炭素材料と、導電助剤としてカーボンブラックとが含まれている。かかる活物質と導電助剤とから構成される負極材料は、その重量平均メソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上〜85m/g以下の範囲に入っている。
あるいは、上記負極用合材310には、カーボンブラック等の導電助剤を含まず、重量平均をとる必要のないメソ・マクロ孔比表面積で示される構成でもよい。但し、かかるメソ・マクロ孔比表面積は、10m/g以上〜85m/g以下の範囲に入っているものが使用されている。導電助剤は、本来導電性向上の目的で添加されてはいるが、しかし、リチウムイオンのドープ、脱ドープをも厳密には行っており、その意味では活物質としの機能も果たしているものである。
かかる構成のリチウムイオン二次電池Bでは、正極200は、正極用合材210が集電体220の両面上に設けられている。正極用合材210を構成する正極用の活物質としては、例えば、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な金属酸化物が挙げられる。かかる金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、燐酸鉄リチウム、ニッケル−マンガン−コバルト酸リチウム、ニッケル−コバルト酸リチウム、ニッケル−マンガン酸リチウム、鉄−マンガン酸リチウム、鉄−マンガン−コバルト酸リチウム、珪酸鉄リチウム、珪酸鉄−マンガンリチウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ等を挙げることができる。なお、上記にて例示した正極活物質は適宜用途に応じて単独で使用しても良く、複数種混合して使用しても良い。
特に、近年頻発したリチウムイオン二次電池の過剰発熱・発火事故の経験を踏まえた高い安全性というリチウムイオン二次電池への要求特性の観点から、高温環境下でもその構造中から酸素を放出し難い材料が好ましい。中でも、燐酸鉄リチウムや酸化バナジウムが好ましい。かかるバナジウム酸化物でも、例えば、五酸化バナジウム(V)は、VOを一単位とする5面体ユニットが2次元方向に共有結合で広がることで一つの層を形成している。この層と層とが積層することで全体として層状構造となっている。かかる層間に、リチウムイオンをドープすることができるのである。
リチウム極100には、前記実施の形態で述べたと同様、金属リチウムあるいはリチウム−アルミニウム合金等のリチウム元素を含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質が使用されている。
また、上記負極用合材、正極用合材では、前記実施の形態と同様に、例えば、ゴム系バインダ、あるいはフッ素系樹脂、熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂等の結着樹脂が使用されている。例えば、ゴム系バインダとしては、SBR、NBR等のジエン系重合体が使用できる。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等を挙げることができる。アクリル系樹脂としては、例えば、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸・アクリロニトリル・エチレングリコールジメタクリレート共重合体等を挙げることができる。
なお、リチウムイオン二次電池で使用する正極活物質が、例えばバナジウム酸化物の場合には、水に溶けるので、かかるバインダは、非水溶媒に溶解、または分散させて用いる必要がある。
また、前記負極用合材、正極用合材に使用する導電助剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、および膨張黒鉛、鱗片状黒鉛微粒子、炭素繊維、カーボンナノチューブ等の導電性炭素材料を挙げることができる。さらには、前記負極用合材、正極用合材には、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)等を混ぜても構わない。
上記活物質、バインダ、必要に応じて導電助剤等を、例えば水、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒を用いてスラリーに形成すればよい。かかるスラリーにより形成される負極用合材、正極用合材は、孔開きの集電体面に所定層厚で設けられる。設けるに際しては、例えば、ダイコーターやコンマコーター等の塗工装置を用いて、塗工処理を行えばよい。さらに、所定層厚で集電体上に塗工処理された合材層は、バインダの耐熱性にもよるが、通常は真空中150〜200℃で12時間程度乾燥させることで、電極が製造される。
かかる構成の負極、正極は、例えば、電解液を介して設けられている。かかる電解液には、電解質が溶解されている。リチウムイオン二次電池の場合には、例えば、電解液には非プロトン性極性溶媒を使用することができる。かかる非プロトン性極性溶媒は、非プロトン性有機電解質溶液を形成する。非プロトン性極性溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン等が挙げられる。
充放電特性に寄与する比誘電率、蓄電デバイスの作動可能温度範囲に寄与する凝固点および沸点、そして安全性に寄与する引火点の観点からはプロピレンカーボネートを用いることが好ましい。しかし、負極の活物質に黒鉛を用いる場合、負極の電位が約0.8V(対Li/Li)においてプロピレンカーボネートは黒鉛上で分解してしまうために代替としてエチレンカーボネートを使用することが好ましい。エチレンカーボネートは融点が36℃であり、常温では固体である。このためにエチレンカーボネートを電解液の溶媒として用いる場合には、エチレンカーボネートを室温下で液状とするためにエチレンカーボネート以外の非プロトン性極性溶媒と混合させることが必須となる。
さらに、エチレンカーボネートと併用する非プロトン性極性溶媒には充放電特性、および蓄電デバイスの作動可能温度範囲の観点からジエチルカーボネートやエチルメチルカーボネート等に代表される低粘度でかつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒を選択することが好ましい。しかし、ジエチルカーボネート等の低粘度かつ凝固点の低い非プロトン性極性溶媒とエチレンカーボネートからなる電解液は、雰囲気温度が約−10℃以下になることでエチレンカーボネートの凝固にともなう急激なイオン伝導度の低下を引き起こす。そのため、低温特性が悪くなりがちである。−30℃等の低温環境においても良好な特性を有する蓄電デバイスを得るには、非プロトン性有機電解質溶液の溶媒にプロピレンカーボネートを含むことが望ましい。負極の活物質、および導電助剤にはプロピレンカーボネートの還元分解性が低い材料を用いることが望ましい。
電解液に溶解される電解質としては、リチウムイオンを生成し得る電解質であれば使用可能である。例えば、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、LIN(CSO)、LiN(CFSO)等が挙げられる。また、電解質は単独あるいは混合して使用してもよい。なお、正極と負極との間に介挿される電解質層としては、上記の如く電解質を溶解させた非プロトン性有機電解質溶液であってもよい。この電解質溶液を含むポリマーゲル(ポリマーゲル電解質)であっても構わない。要は、正極、負極間のリチウムイオンの移動を円滑に支持するものであればよい。また、特性改善のための添加剤としてビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルファイト、およびこれらの誘導体等の添加剤を電解液に添加しても構わない。添加量は0.1重量%以上〜10重量%以下が好ましい。さらに、蓄電デバイスの難燃化のための添加剤として、ホスファゼン化合物やその誘導体、フッ素化カルボン酸エステル、フッ素化リン酸エステル等の物質を電解液に添加しても構わない。難燃剤としては、例えば、ホスライト(日本化学工業株式会社製)や(CFCHO)PO、(HCFCFCHO)COが挙げられる。
さらに、以上に説明の負極、正極、リチウム極との間に設けられるセパレータには、大きなイオン透過度(透気度)、所定の機械的強度、および電解液、正極活物質、負極活物質等に対する耐久性を有し、かつ連通気孔を有する電子伝導性のない多孔質体等を用いることができる。例えば、通常は、紙(セルロース)、ガラス繊維、ポリエチレンあるいはポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオライド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン等からなる隙間を有する布、不織布あるいは微多孔体が用いられる。セパレータの厚みは、電解液の保持量やセパレータの強度等を勘案して適宜設定することができるが、蓄電デバイスの直流抵抗の低下や体積当たりのエネルギー密度の向上のためにセパレータの厚みはなるべく薄い方が好ましい。本発明の構成では、プレドープ速度を速くするために、ある程度以上の透気度が必要である。例えば、透気度は、前述したプレドープの迅速化や直流抵抗の低下を実現するためには、5秒/100mL以上〜600秒/100mL以下であることが好ましい。
また、蓄電デバイスの内部温度が仕様の上限温度以上に到達した場合にセパレータ構成成分の溶融によってセパレータの隙間が閉塞される特性(セパレータのシャットダウン機能)をセパレータに持たせることが蓄電デバイスの安全性のために好ましい。閉塞開始温度は蓄電デバイスの仕様にもよるが、通常90℃以上180℃以下である。耐熱性が高く、前記温度でセパレータが溶融し難いポリイミド等の材料をセパレータに使用している場合は、ポリエチレン等の前記温度で溶融可能な物質をセパレータに混合させることが好ましい。ここでいう混合とは、単なる複数の材質の混ぜ合わせだけでなく、材質等の異なる2種以上のセパレータを積層したもの、セパレータの材質の共重合化等の意味を含む。なお、蓄電デバイスの内部温度が仕様上限温度を超えてもセパレータ自体の熱収縮が小さいセパレータは蓄電デバイスの安全性の面においてより好ましい。以上、例示したセパレータは適宜用途に応じて単独で使用しても良く、同一種のセパレータを重ねて使用しても良い。また、複数種のセパレータを重ねて使用しても良い。
上記説明では、積層型ユニットに構成したリチウムイオン二次電池について説明した。しかし、セパレータを挟み込みながら負極と正極を重ね、これらを巻き取ることにより、リチウムイオン二次電池を捲回型に構成しても構わない。また、図3には、積層された電極構成の外側の負極に対向してリチウム極が設けられた構成を示したが、かかるリチウム極は、積層した電極構成の間に挟むようにして設けておいても構わない。かかる電極の配置構成は、プレドープ工程における電解液成分の分解によるガス発生に基づくセルの膨張を低減、さらには抑制させられる構成であればよく、基本的には構成は自由である。
例えば、すなわち、前述の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上〜85m/g以下、より好ましくは10m/g以上〜35m/g以下の特定範囲の材料を負極材料として使用する場合には、合算透気度の対数とリチウム極1面に対する負極層数との積が50以下であればよく、5以上〜40以下がより好ましい。かかる値以下であれば、複数の負極と複数の正極とを積層させた積層体にリチウム極を1枚設けたセル構成で、負極の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上〜85m/g以下の材料を使用しても、電解液成分の分解ガスの発生によるセルの膨張を低減、抑制することができる。
本実施の形態に述べたメソ・マクロ孔比表面積を含む重量平均メソ・マクロ孔比表面積が所定の範囲に規定された負極材料を使用した負極を有するリチウムイオン二次電池は、例えば、電気自動車やパワーツール等の蓄電デバイス搭載品に有効に適用できる。
本実施例では、上記実施の形態で述べたリチウムイオンキャパシタの構成について、実施例によりその有効性を確認した。有効性は、以下の実験に基づく実施例により、具体的に詳しく説明する。なお、リチウムイオン二次電池についても、同様の結果が得られたので、実施例としての記載は省略する。
(実施例1)
本実施例1では、平均透気度が大きく異なる正極を用いるとともに、負極に含まれるリチウムイオンのドープ・脱ドープが可能な負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲における負極を用いて、合算透気度および電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する負極層数、すなわち、数値指標Xが種々異なる複数のリチウムイオンキャパシタを作製し実験を行った。
かかるリチウムイオンキャパシタはセル完成後、リチウム極端子と負極端子を短絡させることでセル内に設けたリチウムイオンドーピング用リチウム極から負極に対してリチウムイオンのドープを実施した。負極へのリチウムイオンプレドープ量は、リチウムイオンプレドープ完了後に正負極間で3.8Vに印加した際の負極の電位が0.02V(対Li/Li)となる量と設定し、リチウム極用集電体に圧着する金属リチウム箔の厚みを調整することで制御した。
以下、本実施例1で用いた実験例1〜15、比較例1〜6のリチウムイオンキャパシタの詳細を説明する。なお、本実験例1〜15、比較例1〜6における電解液やセパレータには全て同一のものを使用した。
(実験例1)
[正極スラリーの調製]
正極には、活性炭を使用した。かかる活性炭に、水を溶媒としてアセチレンブラック、増粘剤、バインダーエマルジョンを混練することで正極スラリーを調製した。
[正極1の作製]
貫通孔を有する厚さ35μmのアルミニウム製エキスパンドメタルの両面にカーボン系導電塗料を塗付した集電基材の両面に、前記正極スラリーを電極厚みが105μmとなる様に塗布することで正極を作製した。また、得られた電極に対し、減圧乾燥を施した。
[負極1の作製]
負極には、フタル酸ジブチル吸油量が123mL/100g、一次粒子径が23nmであるカーボンブラックを使用した。かかるカーボンブラック100重量部と、ピッチ50重量部とを、加熱ニーダーで混捏し、これを非酸化性雰囲気下800℃で焼成した。かかる炭素前駆体を粉砕し、その後に再度非酸化性雰囲気において1000℃で焼成することで負極活物質を得た。この材料のメソ・マクロ孔比表面積は39m/gであった。
次に、メソ・マクロ孔比表面積が24m/gである電気化学工業株式会社製のアセチレンブラック(特殊プレス品HS−100)を導電助剤として、上記活物質100重量部に対して7重量部混合することで負極前駆体を得た。このときの負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、38m/gであった。
上記負極前駆体に、水を溶媒としてカルボキシメチルセルロース、SBRゴムバインダーのラテックスを混練することで負極1のスラリーを調製した。そして、貫通孔を有する銅製のエキスパンドメタルの両面に電極厚みが78μmとなる様に前記負極1のスラリーを塗布することで負極を作製した。また、得られた電極に対し、減圧乾燥を施した。
[リチウム極の作製]
4.2×4.2cmのサイズに切り出した厚さ25μmの銅製のエキスパンドメタルに、4.0×4.0cmのサイズで所定の厚みの金属リチウム箔を圧着することで、リチウムイオンプレドープ用のリチウム極を作製した。また、厚さ25μmの銅製のエキスパンドメタルに、厚さ120μm、4.0×4.0cmのサイズの金属リチウム箔を圧着することで、リチウムイオンプレドープ中の負極電位をモニターするためのリチウム極を作製した。
[電極ユニットの作製]
まず、正極1を4.0×4.0cmのサイズに複数枚切り出した。また、4.2×4.2cmのサイズに負極1を複数枚切り出した。かかる正極と負極とを、厚みが50μmでかつ平均透気度が7秒/100mLであるニッポン高度紙工業株式会社製の紙セパレータを介して積層し、積層体の両外側の端部をポリイミド製粘着テープで固定することにより電極ユニットを作製した。
[セルの作製]
15枚に切り出された所定のサイズの正極1、16枚に切り出された所定のサイズの負極1、そしてセパレータを用いて本実験例1の電極ユニットを作製した。図4に示すように、正極と負極がセパレータを介して交互に積層した電極ユニット50の外側に1枚のリチウム極10を配置し、リチウム極10を配置した側とは逆の電極ユニット50の外側に電位モニター用のリチウム極12を配置した。その後、厚さ35μmの紙系セパレータを用いて、プレドープ用のリチウム極10、電極ユニット50、電位モニター用のリチウム極12の外周を覆い、前記セパレータが重なった部分をポリイミド製粘着テープを用いて固定することで電極素子を作製した。
正極端子溶接部23、負極端子溶接部33、リチウム極10、電位モニター用リチウム極12にそれぞれ端子を溶接した後、電極素子を外装材である1対のアルミラミネートフィルムで覆い、外装材の3辺に熱融着を施した。次いで、1.2mol/Lの濃度となる様にプロピレンカーボネートにLiPFを溶解させた電解液を注入し、減圧含浸を施した後に真空の状態で外装材であるアルミラミネートフィルムの残りの1辺を熱融着することで、本実験例1のリチウムイオンキャパシタセル(LICセルと略称する場合もある)を作製した。
(実験例2)
まず、所定のサイズの正極1を14枚、所定のサイズの負極1を16枚を切り出した。その内、正極1を7枚、負極1を8枚、そして実験例1記載のセパレータを用いて電極ユニット60aを1体作製した。同様の操作を繰り返すことで前記構成の電極ユニット60aをもう1体作製した。次に、図5の様にして、2体の電極ユニット60aの間にリチウムイオンプレドープ用のリチウム極10を配置して電極ユニット群60を作製し、この電極ユニット群60の外側に電位モニター用のリチウム極12を配置した。さらに、実験例1記載の紙系セパレータを用いて、リチウム極12および電極ユニット群60の外周を覆った。この後は実験例1と同様にして本実験例2のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例3)
まず、所定のサイズの正極1を12枚、所定のサイズの負極1を16枚を切り出した。その内、正極1を3枚、負極1を4枚、そして実験例1に記載のセパレータを用いて電極ユニット70aを1体作製した。同様の操作を繰り返すことで前記構成の電極ユニット70aをもう3体作製した。次に、図6の様にして、まず2体の電極ユニット70aの間にリチウムイオンプレドープ用のリチウム極10を配置した電極ユニット群70を2体作製し、これら電極ユニット群70の間に電位モニター用のリチウム極12を配置した。さらに、実験例1に記載の紙系セパレータを用いて、リチウム極12および上記2体の電極ユニット群70の外周を覆った。この後は実験例1と同様にして本実験例3のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例4)
まず、所定のサイズの正極1を12枚、所定のサイズの負極1を15枚を切り出した。その内、正極1を5枚、負極1を6枚、そして実験例1に記載のセパレータを用いて電極ユニット80aを1体作製した。同様の操作を繰り返すことで前記構成の電極ユニット80aをもう1体作製した。次に、残った2枚の正極1、3枚の負極1を用いて電極ユニット80a’を作製した。図7の様にして、まず1体の電極ユニット80aの両外側にリチウムイオンプレドープ用のリチウム極10を配置した。次に、リチウム極10を配置した電極ユニット80aにもう1体の電極ユニット80aを重ね、さらに、重ねた電極ユニット80aの外側にリチウムイオンプレドープ用のリチウム極10を配置して電極群を作製した。その後、電極群の外側に電極ユニット80a’を重ねて電極ユニット群80を作製し、この電極ユニット群80の外側に電位モニター用のリチウム極12を配置した。次いで、実験例1に記載の紙系セパレータを用いて、リチウム極12および電極ユニット群80の外周を覆った。この後は実験例1と同様にして本実験例4のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例5)
[正極2の作製]
50μmのアルミニウム箔に対してケミカルエッチングにより貫通孔を賦与した。このアルミニウム箔の両面に前記正極1の作製に用いた正極スラリーを電極厚みが105μmとなる様に塗布することで正極を作製した。また、得られた電極に対し、減圧乾燥を施した。
[セルの作製]
正極に正極2を用いたことと、正極の使用枚数を11枚に変更したことと、負極の使用枚数を12枚に変更したこと以外は、実験例1と同様にして本実験例5のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例6)
正極に正極2を用いたこと以外は、実験例2と同様にして本実験例6のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例7)
正極に正極2を用いたこと以外は、実験例3と同様にして本実験例7のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例8)
[正極3の作製]
50μmのアルミニウム箔に対して、正極2とは程度が異なるケミカルエッチングを施すことにより貫通孔を賦与した。このアルミニウム箔の両面に前記正極1の作製に用いた正極スラリーを電極厚みが105μmとなる様に塗布することで正極を作製した。また、得られた電極に対し、減圧乾燥を施した。
[セルの作製]
正極に正極3を用いたこと以外は、実験例2と同様にして本実験例8のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例9)
正極に正極3を用いたこと以外は、実験例3と同様にして本実験例9のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例10)
[負極2の作製]
負極には、フタル酸ジブチル吸油量が140mL/100g、一次粒子径が48nmであるカーボンブラックを使用した。かかるカーボンブラック100重量部と、ピッチ100重量部とを、加熱ニーダーで混捏し、これを非酸化性雰囲気下800℃で焼成した。かかる炭素前駆体を粉砕し、その後に再度非酸化性雰囲気において1000℃で焼成することで負極活物質を得た。この材料のメソ・マクロ孔比表面積は10m/gであった。
次に、負極1同様メソ・マクロ孔比表面積が24m/gである電気化学工業株式会社製のアセチレンブラック(特殊プレス品HS−100)を導電助剤として、上記活物質100重量部に対して7重量部混合することで負極前駆体を得た。このときの負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、11m/gであった。
上記負極前駆体に、水を溶媒としてカルボキシメチルセルロース、SBRゴムバインダーのラテックスを混練することで負極2のスラリーを調製した。そして、貫通孔を有する銅製のエキスパンドメタルの両面に電極厚みが70μmとなる様前記負極2のスラリーを塗布することで負極を作製した。また、得られた電極に対し、減圧乾燥を施した。
[セルの作製]
正極に正極3、負極に負極2を用いたこと以外は、実験例2と同様にして本実験例10のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例11)
正極に正極2、負極に負極2を用いたこと以外は、実験例2と同様にして本実験例11のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例12)
正極に正極2、負極に負極2を用いたこと以外は、実験例3と同様にして本実験例12のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例13)
負極に負極2を用いたこと以外は、実験例1と同様にして本実験例13におけるリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例14)
負極に負極2を用いたこと以外は、実験例2と同様にして本実験例14におけるリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例15)
負極に負極2を用いたこと以外は、実験例3と同様にして本実験例15におけるリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(比較例1)
正極に正極3を用いたこと以外は、実験例1と同様にして本比較例1のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(比較例2)
正極に正極2を用いたこと以外は、実験例1と同様にして本比較例2のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(比較例3)
正極に正極3を用いたことと、正極の使用枚数を11枚に変更したことと、負極の使用枚数を12枚に変更したこと以外は、実験例1と同様にして本比較例3のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(比較例4)
正極に正極2、負極に負極2を用いたこと以外は、実験例1と同様にして本比較例4のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(比較例5)
正極に正極3、負極に負極2を用いたこと以外は、実験例1と同様にして本比較例5におけるリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(比較例6)
[負極3の作製方法]
株式会社クレハ製の難黒鉛性炭素カーボトロンP−s(F)を平均粒子径(D50%)が2μmになるまでボールミルで粉砕した材料を負極活物質として用いた。この材料のメソ・マクロ孔比表面積は4m/gであった。
次に、負極1同様メソ・マクロ孔比表面積が24m/gである電気化学工業株式会社製のアセチレンブラック(特殊プレス品HS−100)を導電助剤として、上記活物質100重量部に対して7重量部混合することで負極前駆体を得た。このときの負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、5m/gであった。
上記負極前駆体に、水を溶媒としてカルボキシメチルセルロース、SBRゴムバインダーのラテックスを混練することで負極3のスラリーを調製した。貫通孔を有する銅製のエキスパンドメタルの両面に電極厚みが55μmとなる様に前記負極3のスラリーを塗布することで負極3を作製した。また、得られた電極に対し、減圧乾燥を施した。
[セルの作製方法]
正極に正極3、負極に負極3を用いたこと以外は、実験例1と同様にして本比較例6のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
以上のかかる構成のリチウムイオンキャパシタAは、例えば、図8(A)に示すようなセル外観を有している。中央が一段高く周囲より盛り上がっているところが、図8に示す電極ユニット(素子)50、リチウム極10が入っている箇所で、積層部90として示す。かかるリチウムイオンキャパシタAの外観を、平面図としてみた場合を図8(B)に示した。かかる図8(B)では、積層部90の中央部のセル厚みをリチウムイオンのプレドープの開始から各時間経過毎にシックネスゲージを用いて測定し、測定値が増加した場合を、電解液成分の分解ガスの発生に基づいてセルが膨張していると見做した。なお、プレドープを開始するまでは全てのセルにおいて、その外観に変化は認められず、プレドープが開始されるまでは電解液成分の分解ガスの発生によるセルの膨張は生じていないものと見なされた。
図9に、実施例1の実験例1〜15および比較例1〜6で用いた負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を示し、実験例1〜15および比較例1〜6のセルにおける電極ユニットに対向したリチウム極1面に対する負極層数を示した。また、図9に実験例1〜15および比較例1〜6のセルにおける合算透気度を示した。この合算透気度は、プレドープ終了後にセルを解体して正極、負極、およびセパレータの透気度を測定することで得た合算透気度である。さらに、図9に、実験例1〜15および比較例1〜6のセルにおける数値指標Xを示した。この数値指標Xは、リチウム極1面に対する負極層数と合算透気度の対数との積で表される数値指標である。
図10はリチウムイオンプレドープ開始からの負極電位を電位モニター用のリチウム極12を用いて測定した結果を示す線図であり、図10に示される負極電位はリチウム極10から最遠隔位置に位置する負極の電位である。また、図10には、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が38m/gである負極材料を負極に用いたセルの代表として、実験例1、実験例5、実験例9、比較例1、比較例3のLICセルと、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が5m/gである負極材料を負極に用いた比較例6のLICセルとについての測定結果が示されている。
図9および図10に示すように、数値指標Xを50以下にすることで、リチウムイオンプレドープ過程における負極電位を短時間で低下させることができた。数値指標Xを40以下とすることで、リチウムイオンプレドープ過程における負極電位をさらに短時間で低下させることができた。すなわち、数値指標Xを50以下、さらには40以下に小さくすることによって、リチウムイオンプレドープ速度を速めることができると言える。なお、データで示してはいないが、数値指標Xを50以下にすることで、リチウムイオンプレドープ工程を2週間程度で終えることができることを確認している。
一方、数値指標Xが50を超える場合には、リチウムイオンプレドープを開始してから2週間が経過してもリチウムイオンのプレドープが終了しておらず、比較例1、比較例3、比較例6のセルは生産性の面において好ましくないセルであった。
図11はリチウムイオンプレドープ開始からのセル厚みの変化挙動を示す線図である。図11には、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が38m/gである負極材料を負極に用いた実験例1、実験例5、実験例9、比較例1、比較例3のLICセルと、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が5m/gである負極材料を負極に用いた比較例6のLICセルとについての測定結果が示されている。縦軸に示したt/tは、リチウムイオンプレドープ開始から所定の時間が経過した時点におけるセル厚み(t)と、セル完成時における当初のセル厚み(t)との比率であり、セルの膨張率を示す。数値が大きい程セルが膨張していることを意味する。図11に見られる結果から、まず、セルの膨張が正極によらないことが分かる。図10および図11の結果から、数値指標Xを50以下にすることによって、リチウムイオンプレドープ速度が向上し、t/tの最大値(tmax/t)、すなわち、セルの膨張を低減させることができた。また、数値指標Xを40以下にすることによって、リチウムイオンプレドープ速度がさらに向上し、セルの膨張をより低減させることができた。さらに、数値指標Xを40以下にすることによって、t/tがtmax/tを迎える時間をリチウムイオンプレドープ開始から約24時間以内に集約できることが確認できる。
図12は、リチウムイオンプレドープ速度を示唆し、蓄電デバイスの膨張を低減する態様を表す数値指標Xと、リチウムイオンプレドープ過程におけるセルの最大膨張率tmax/tとをプロットした図である。図12には、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が38m/gである負極材料を負極に用いたセル、すなわち、実験例1〜9および比較例1〜3のLICセルと、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が5m/gである負極材料を負極に用いた比較例6のLICセルとについての結果が示されている。なお、●は実験例1〜9のLICセルを示し、○は比較例1〜3のLICセルを示し、△は比較例6のLICセルを示している。
図13は図12と同様に、リチウムイオンプレドープ速度を示唆し、蓄電デバイスの膨張を低減する態様を表す数値指標Xと、リチウムイオンプレドープ過程におけるセルの最大膨張率tmax/tとをプロットした図である。図13には、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が11m/gである負極材料を負極に用いたセル、すなわち、実験例10〜15および比較例4〜5のLICセルと、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が5m/gである負極材料を負極に用いた比較例6のLICセルとについての結果が示されている。なお、●は実験例10〜15のLICセルを示し、○は比較例4〜5のLICセルを示し、△は比較例6のLICセルを示している。
図12および図13のそれぞれの結果において、リチウムイオンのプレドープ速度を示唆し、蓄電デバイスの膨張を低減する態様を表す数値指標Xと、リチウムイオンプレドープ過程におけるセル膨張率tmax/tとに相関性があることが推察できる。負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が同等のセルにおいては、数値指標Xを50以下にすることにより、リチウムイオンプレドープ過程における電解液成分の還元分解ガスの発生によるセルの膨張を低減できることがわかる。さらに、数値指標Xを40以下にすることで、セルの膨張をさらに低減できることがわかる。
なお、データで示してはいないが、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が85m/g以下までは、図12および図13と同様に数値指標Xを規定範囲内(X≦50)とすることでの有効性が実験で確認されている。
また、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が5m/gであり、特定範囲外である負極材料を負極に用いた比較例6のセルは、数値指標Xの値が67と比較例1および比較例5と同様に大きいにもかかわらず、セルの膨張は軽微である。前述した様に、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲外である場合には、リチウムイオンプレドープ過程において電解液の分解ガスの発生によって著しくセルが膨張することはないのである。
なお、本実施例1のデータでは示さなかったが、ECを含む電解液を用いた場合においても実施例1と同様の結果が得られることが実験で確認されている。但し、前述した様に、ECはEC由来のリチウムアルキルカーボネートの生成が開始される電位がPCのPC由来のリチウムアルキルカーボネートの生成が開始される電位よりも高いために、PCを用いた系と比較してECを含む電解液を用いた系は、セルの膨張率tmax/tの絶対値が小さくなる傾向にあった。
図14は、図12の横軸を電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する負極層数に変更した図、すなわちリチウム極1面に対する負極層数とリチウムイオンプレドープ過程におけるセルの最大膨張率tmax/tとをプロットした図である。図14には、合算透気度の値が同等のセル毎に区分されたマークで最大膨張率tmax/tがプロットされている。
これら図12〜14から、リチウムイオンのプレドープ速度と関連する数値指標Xの式における電極ユニットに対向するリチウム極1面に対する負極層数項、および合算透気度項のそれぞれがセルの膨張と関係していることがわかる。つまり、リチウム極1面に対する負極層数項と合算透気度項の両方を制御することで、特定範囲の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を有する負極材料を負極に用いた場合におけるリチウムイオンプレドープ過程におけるセルの膨張が低減、抑制されていることが図12〜14から言える。
(実施例2)
実施例1では、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲にある負極材料を負極に用いた場合におけるリチウムイオンプレドープ過程において生じる電解液成分の分解ガスの発生によるセルの膨張を、数値指標Xを50以下、さらには40以下にすることによって低減できることを説明した。実施例1で実証したその有効性に加えて、実施の形態で述べたセルの製造工程を導入することで得られるセル膨張に対してのさらなる有効性を本実施例2により確認した。以下、実施例1同様リチウムイオンキャパシタの構成を用いた実験に基づく実験例により、具体的に詳しく説明する。
なお、実施例1同様、リチウムイオン二次電池についても、同様の結果が得られたので、実施例としての記載は省略する。
(実験例16)
実施例1における実験例1のセルにおいて、電解液の減圧含浸を終えた後に4.5×4.5cm、厚さ5mmのポリプロピレン板(PP板)2枚を用いてセルを挟み、PP板同士をダブルクリップで固定することによりセルに対して外部から圧力を加えた。この状態のセルに対して、リチウム極端子と負極端子を短絡させることでリチウムイオンプレドープを開始させた。さらに、リチウム極端子と負極端子を短絡させたままセルを減圧下に移し、16時間保管した。
所定の時間が経過したのち、セルを減圧下から元の状態に戻し、セルに対する外部からの圧力、およびリチウム極端子と負極端子の短絡を解除した。その後セルを真空封止することで本実験例16のリチウムイオンキャパシタセルを完成させた。完成させたリチウムイオンキャパシタセルに対し、リチウム極端子と負極端子を再度短絡させることでリチウムイオンプレドープを再開した。
(実験例17〜実験例24)
セルの作製過程において、実験例16と同様の製造工程を導入することで、実施例1における実験例2〜実験例9の構成に対応する、本実施例2の実験例17〜実験例24のセルを完成させた。完成させたリチウムイオンキャパシタセルに対し、実験例16と同様にリチウム極端子と負極端子を再度短絡させることでリチウムイオンプレドープを再開した。
(比較例7〜比較例10)
セルの作製過程において、実験例16と同様の製造工程を導入することで、実施例1における比較例1〜比較例3および比較例6の構成に対応する、本実施例2の比較例7〜比較例10のセルを完成させた。完成させたリチウムイオンキャパシタセルに対し、実験例16同様リチウム極端子と負極端子を再度短絡させることでリチウムイオンプレドープを再開した。
図15は、図12と同様に、リチウムイオンプレドープ速度を表す数値指標Xとリチウムイオンプレドープ過程におけるセルの最大膨張率tmax/tとプロットした図である。図15には、実験例16〜24のLICセル、および比較例7〜10のLICセルについての結果が示されている。なお、●は実験例16〜実験例19のLICセル、および実験例21〜実験例24のLICセルを示し、○は実験例20のLICセル、および比較例7〜比較例9のLICセルを示し、△は比較例10のLICセルを示している。
実施例2の製造工程を加えることで、図15に示すように、全てのセルにおいて、最大膨張率tmax/tを小さくすることができた。また、数値指標Xを50以下とすることでリチウムイオンプレドープ過程における電解液成分の分解ガスの発生によるセルの最大膨張率を10%未満に抑制できることが確認できる。さらに、数値指標Xを40以下にすることにより、図11に見られる様にガス発生(セル膨張)時期をリチウムイオンプレドープ開始から24時間以内に集約させることができる。このため、実施例2の製造工程に加えて数値指標Xを40以下にすることにより、図15に示すように、リチウムイオンプレドープ過程における電解液成分の分解ガスの発生によるセルの最大膨張率tmax/tを最大で3%以下に抑制することができた。
これにより、本発明において実施例2の製造工程を加えることで、重量平均メソ・マクロ孔比表面積が特定範囲にある負極材料を負極に用いた場合におけるリチウムイオンプレドープ過程において電解液成分の還元分解ガスの発生によるセルの膨張をより効果的に低減、抑制させることができた。
一方、前記図11にもあるように、数値指標Xが50を超えたセルは、セルの膨張がリチウムイオンプレドープ開始から24時間程度では治まらないために本実施例2の製造工程の導入をもってしてもセルの膨張の低減効果が不十分であった。さらに、実施例1においても述べた様に、数値指標Xが50を超えることで2週間が経過してもリチウムイオンプレドープ工程を終えることができず、数値指標Xが50を超えるセルは生産性の面において好ましくない。
(実施例3)
本実施例3では、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が種々異なる負極を用いたリチウムイオンキャパシタセルの充放電特性評価を実施した。本実施例3により、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を特定範囲とすることで充放電特性、特に入出力特性が向上できることを実証する。
(実験例25)
実施例2に記載の製造工程を導入したこと以外は、実験例15と同様にして本実験例25のリチウムイオンキャパシタセルを作製した。
(実験例26)
[負極4の作製]
負極には、負極2の負極活物質に用いたカーボンブラックを使用した。かかるカーボンブラック100重量部と、ピッチ40重量部とを、加熱ニーダーで混捏し、これを非酸化性雰囲気下800℃で焼成した。かかる炭素前駆体を粉砕し、その後に再度非酸化性雰囲気において1000℃で焼成することで負極活物質を得た。この材料のメソ・マクロ孔比表面積は26m/gであった。
次に、負極1同様メソ・マクロ孔比表面積が24m/gである電気化学工業株式会社製のアセチレンブラック(特殊プレス品HS−100)を導電助剤として、上記活物質100重量部に対して7重量部混合することで負極前駆体を得た。このときの負極に含まれる炭素の重量平均メソ・マクロ孔比表面積は、26m/gであった。
上記負極前駆体に、水を溶媒としてカルボキシメチルセルロース、SBRゴムバインダーのラテックスを混練することで負極4のスラリーを調製した。そして、貫通孔を有する銅製のエキスパンドメタルの両面に電極厚みが75μmとなる様前記負極4のスラリーを塗布することで負極を作製した。また、得られた電極に対し、減圧乾燥を施した。
[セルの作製]
負極に負極4を用いたこと以外は、実験例18と同様にして本実験例26のリチウムイオンキャパシタセルを複数体作製した。リチウムイオンプレドープ終了後、複数体作製したLICセルの内の1セルを解体して正極、負極、およびセパレータの透気度を測定することで合算透気度を取得したところ、合算透気度は273秒/100mLであった。従って、本実験例26の数値指標Xの値は10であった。
(比較例11)
負極に負極3を用いたこと以外は、実施例18と同様にして本比較例11のリチウムイオンキャパシタセルを複数体作製した。リチウムイオンプレドープ終了後、複数体作製したLICセルの内の1セルを解体して正極、負極、およびセパレータの透気度を測定することで合算透気度を取得したところ、合算透気度は479秒/100mLであった。従って、本比較例11の数値指標Xの値は11であった。
以上のようにして、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積のみが異なる実験例18、実験例25、実験例26、比較例11のセルを準備した。リチウムイオンプレドープの終了後、各セルに対し、25℃の雰囲気温度でセル電圧3.8V、充電電流0.4Aの定電流定電圧充電を30分実施したのち、25.0Aまで電流値を変えながらセル電圧2.2Vに到達するまで定電流放電を繰り返し実施することで放電特性負荷特性を取得した。
さらに、上述のようにして取得した放電特性において、横軸に各放電電流値を、縦軸に各負荷電流における放電開始直前のセル電圧と放電開始1秒後のセル電圧との電圧差をプロットした電流−電圧図を作成し、最小二乗法により原点を通る各プロットの近似直線の傾きから放電直流抵抗を算出した。
放電特性を取得したセルに対し、同一雰囲気温度でセル電圧2.2V、放電電流0.4Aの定電流定電圧放電を30分実施したのち、8.0Aまで電流値を変えながらセル電圧3.8Vに到達するまで定電流充電を繰り返し実施することで充電負荷特性を取得した。なお、全てのリチウムイオンキャパシタのセルにおいて、最低負荷時における充電容量と放電容量は同一容量であった。
また、放電直流抵抗と同様にして、取得した充電特性において、横軸に各充電電流値を、縦軸に各負荷電流における充電開始直前のセル電圧と充電開始1秒後のセル電圧との電圧差をプロットした電流−電圧図を作成し、最小二乗法により原点を通る各プロットの近似直線の傾きから充電直流抵抗を算出した。
図16は雰囲気温度25℃における各試験セルの放電負荷特性、充電負荷特性を示した図である。
また、図17は雰囲気温度25℃における放電直流抵抗、充電直流抵抗を示した図である。
図16において、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を特定範囲にすることで、比較例11のLICセルについて、放電負荷特性、充電負荷特性が向上することが確認できた。また、図17においては負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を特定範囲にすることで放電直流抵抗、および充電直流抵抗の低減が可能であることを確認できる。実施例の構成として用いたリチウムイオンキャパシタは、容量−電圧図において直線的な充放電カーブを描く。そのため、直流抵抗を低減させる、すなわち、充放電開始直後の電圧降下を抑えることで高負荷充放電時においてより多くの充放電容量が得られるのである。
なお、本実施例3においてデータでは示さなかったが、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が85m/gまでは、その負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を特定範囲内とすることの有効性が実験で確認されている。
また、実験例18と実験例26を比較した場合において、重量平均メソ・マクロ孔比表面積は実験例18の負極材料の方が大きいにもかかわらず、充電特性は実験例26の方が優れる結果を示した。これは、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積が35m/gを超えることによって、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を増加させることで低減できていた充電過程における直流抵抗が増加しだすためである。このことは図17からも確認することができる。
本実施例3の結果から、負極材料の重量平均メソ・マクロ孔比表面積を広くは、10m/g以上〜85m/g以下、より好ましくは10m/g以上〜35m/g以下にすることで蓄電デバイスの充放電特性、特に入出力特性を向上させることが可能であることが確認できた。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明は、プレドープ中にガス発生を招くことがあるプレドープ型蓄電デバイスの分野で有効に利用することができる。
10 リチウム極(イオン供給源)
10a 対向面
11 金属リチウム
12 電位モニター用のリチウム極
20 正極
21 正極用合材
22 集電体
22a 貫通孔
23 正極端子
30 負極
31 負極用合材
32 集電体
32a 貫通孔
33 負極端子
40 セパレータ
50 電極ユニット
60a 電極ユニット
70a 電極ユニット
80a 電極ユニット
80a’ 電極ユニット
90 積層部
100 リチウム極(イオン供給源)
110 金属リチウム
110a 金属リチウム
120 集電体
200 正極
210 正極用合材
220 集電体
220a 貫通孔
230 正極端子
300 負極
310 負極用合材
320 集電体
320a 貫通孔
330 負極端子
400 セパレータ
A リチウムイオンキャパシタ
B リチウムイオン二次電池

Claims (15)

  1. 電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機電解質溶液と、正極と負極とがセパレータを介して捲回または積層される電極ユニットと、前記負極にプレドープされるリチウムイオンを供給するイオン供給源と、を備え、前記捲回または積層される電極ユニットと前記イオン供給源とが重ねて配置される、または前記積層される電極ユニットと前記イオン供給源とが重ねて捲回される蓄電デバイスであって、
    前記正極および前記負極の集電体に複数の貫通孔が形成され、
    前記負極はリチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な負極材料を備え、前記負極材料の重量平均で示されるメソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上〜85m/g以下であり、
    前記電極ユニットに対向する前記イオン供給源の対向面当たりの負極数と、前記正極、前記負極および前記セパレータの各平均透気度を合算した合算透気度とに基づく指標Xが下式で表され、
    X=イオン供給源の対向面当たりの負極数×log(合算透気度)
    指標Xが39以下であることを特徴とする蓄電デバイス。
  2. 請求項1記載の蓄電デバイスにおいて、
    指標Xは5以上〜39以下であることを特徴とする蓄電デバイス。
  3. 請求項1または2記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記負極材料の重量平均で示されるメソ・マクロ孔比表面積が、10m/g以上〜35m/g以下であることを特徴とする蓄電デバイス。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記イオン供給源は箔状であることを特徴とする蓄電デバイス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記電極ユニットを収容する外装材を有し、
    前記負極に対するリチウムイオンのプレドープは前記外装材が開口された状態のもとで開始され、前記外装材が封口されるまでの間に負圧雰囲気下に保たれる保存期間が設けられることを特徴とする蓄電デバイス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記正極は、アニオンおよびリチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な正極材料を備えることを特徴とする蓄電デバイス。
  7. 請求項6記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記正極材料は活性炭であることを特徴とする蓄電デバイス。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記蓄電デバイスは、リチウムイオンキャパシタであることを特徴とする蓄電デバイス。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
    前記蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池であることを特徴とする蓄電デバイス。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の蓄電デバイスにおいて、
    複数の前記イオン供給源が分散して配置されることを特徴とする蓄電デバイス。
  11. 電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機電解質溶液と、集電体に複数の貫通孔が形成される正極と負極とがセパレータを介して捲回または積層される電極ユニットと、前記負極にプレドープされるリチウムイオンを供給するイオン供給源と、を備え、前記捲回または積層される電極ユニットと前記イオン供給源とが重ねて配置される、または前記積層される電極ユニットと前記イオン供給源とが重ねて捲回される蓄電デバイスの製造方法であって、
    前記電極ユニットに対向する前記イオン供給源の対向面当たりの負極数と、前記正極、前記負極および前記セパレータの各平均透気度を合算した合算透気度とに基づく指標Xを用い、
    指標Xは下式で表され、
    X=イオン供給源の対向面当たりの負極数×log(合算透気度)
    指標Xは39以下であることを特徴とする蓄電デバイスの製造方法。
  12. 電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機電解質溶液と、集電体に複数の貫通孔が形成される正極と負極とがセパレータを介して捲回または積層される電極ユニットと、前記負極にプレドープされるリチウムイオンを供給するイオン供給源と、を備え、前記捲回または積層される電極ユニットと前記イオン供給源とが重ねて配置される、または前記積層される電極ユニットと前記イオン供給源とが重ねて捲回される蓄電デバイスの製造方法であって、
    重量平均で示されるメソ・マクロ孔比表面積が10m/g以上〜85m/g以下となる負極材料を用いて前記負極を構成し、
    前記電極ユニットに対向する前記イオン供給源の対向面当たりの負極数と、前記正極、前記負極および前記セパレータの各平均透気度を合算した合算透気度とに基づく指標Xを用い、
    指標Xは下式で表され、
    X=イオン供給源の対向面当たりの負極数×log(合算透気度)
    指標Xは39以下であることを特徴とする蓄電デバイスの製造方法。
  13. 請求項11または12記載の蓄電デバイスの製造方法において、
    前記イオン供給源は箔状であることを特徴とする蓄電デバイスの製造方法。
  14. 請求項10または11記載の蓄電デバイスの製造方法において、
    前記負極に対するリチウムイオンのプレドープ工程は前記電極ユニットを収容する外装材が開口された状態のもとで開始され、前記外装材が封口されるまでの間に負圧雰囲気下に保たれる保存期間が設けられることを特徴とする蓄電デバイスの製造方法。
  15. 請求項14記載の蓄電デバイスの製造方法において、
    前記保存期間は2時間以上であることを特徴とする蓄電デバイスの製造方法。
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