JP2014060125A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池の高容量化が可能な不織布セパレータを用いても、短絡を十分に抑制したリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】正極と、Li吸蔵放出電位が1.0V(vs.Li/Li+)以上貴である負極活物質を含む負極と、電解液と、樹脂繊維を含む不織布膜を有するセパレータと、を備えるリチウムイオン二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
近年の電子技術の発展や環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが用いられている。特に、省エネルギー化への要請が多くあり、それに貢献できるものへの期待はますます高くなっている。例えば、発電デバイスとして太陽電池が挙げられ、蓄電デバイスとして、二次電池、キャパシタ及びコンデンサなどが挙げられる。蓄電デバイスの代表例であるリチウムイオン二次電池は、従来、主に携帯機器用充電池として使用されていたが、近年では、ハイブリッド自動車及び電気自動車用電池としての使用も期待されている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、リチウムを吸蔵及び放出可能な活物質を主体として構成された正極と負極とがセパレータを介して配された構成を有する。リチウムイオン二次電池の正極は、正極活物質としてのLiCoO、LiNiO又はLiMn等と、導電剤としてのカーボンブラック又は黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン、ラテックス又はゴム等とが混合された正極合剤が、アルミニウム等からなる正極集電体上に被覆されて形成される。負極は、負極活物質としてのコークス又は黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン、ラテックス又はゴム等とが混合された負極合剤が、銅等からなる負極集電体上に被覆されて形成される。セパレータは、多孔性ポリオレフィン等の合成樹脂製微多孔膜により形成され、その厚さは数μmから数百μmと非常に薄い。正極、負極及びセパレータは、電池内で電解液に含浸されている。電解液としては、例えば、LiPF又はLiBFのようなリチウム塩を、プロピレンカーボネート又はエチレンカーボネートのような非プロトン性溶媒に、あるいはポリエチレンオキシドのようなポリマーに溶解させた電解液が挙げられる。
リチウムイオン二次電池は、現在、携帯機器の充電池として主に用いられている(例えば特許文献1参照)。また、近年では、ハイブリッド自動車及び電気自動車などの自動車用途の電池としても広い展開が期待されている。リチウムイオン二次電池の用途拡大に向け、電池の小型化及び高性能化を図る必要があり、そのアプローチの1つとしてセパレータの改良が挙げられる。携帯機器用のリチウムイオン二次電池のセパレータとして、現在主に用いられているものは合成樹脂製微多孔膜である。合成樹脂製微多孔膜は非常に信頼性が高い膜ではあるが、車載向けリチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるためには、例えば、容量、電流密度、耐熱性及びコストなどの点で更なる改良が求められている。
これらの性能を向上させる試みとして、不織布又は紙などからなるセパレータを用いた例がある(例えば特許文献2、3参照)。不織布及び紙は、安価なプロセスコストで多孔性の膜、すなわち電池の高容量化が可能となる膜を作製できること、並びに、耐熱性の高い素材で製膜できることから有望である(例えば特許文献4参照)。この特許文献4には、セパレータの好適な1つの形態としてポリエチレンテレフタレート(PET)不織布を基材としたポリフッ化ビニリデン(PVdF)系ポリマー多孔膜が記載されている。この形態のセパレータは過充電時の安全性及び耐熱性も高く、コストも低い。
通常のリチウムイオン二次電池では、イオン伝導性の観点から、電解液として電解質のLiPFをカーボネート系溶媒に溶解した組成のものが用いられている。ここでカーボネート系溶媒は、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネートとジエチルカーボネート(DEC)等の鎖状カーボネートとの混合溶媒が一般的となっている。
上記のようなPET不織布を含むセパレータとこのような電解液とを組み合わせた場合、高温での保存特性が良好でないという課題があった。そこで、この課題に対し、電解液にビニレンカーボネート(VC)を添加する技術が特許文献5において提案されている。さらに、特許文献6では、セパレータとして不織布を用いた出力特性に優れた非水電解質電池について記載されている。
特開2009−087648号公報 特開2005−159283号公報 特開2005−293891号公報 WO01/67536号明細書 特開2003−187867号公報 特開2009−158396号公報
しかしながら、特許文献5に記載の技術は、VCを電解液に添加することによりPET不織布を含むセパレータの分解反応を抑制する効果はあるものの、短絡を抑制する効果が不十分であることが判明した。また、特許文献2〜4に記載のようなセパレータを用いると、短絡が発生したり、デンドライト成長が見られたり、様々な不安定な充放電挙動が見られたりするため、セパレータ性能としての信頼性及び安全性に課題があることが明らかになった。さらに、特許文献3では、正極と対向していない負極部分でのLiPFとPET不織布との反応により、高温保存試験後にPET不織布の形状が保持されていないという耐熱性の課題も示されている。また、特許文献6では、高出力を得ることができる不織布基材の詳細な構造については言及されていない。
一方、リチウム二次電池のサイクル劣化及び高温保存劣化は、正極のみならず、負極及び非水電解液といった他の構成要素に依存する部分も大きい。現在主流となっているリチウム二次電池は、負極活物質に黒鉛、コークス及びハードカーボン等の炭素材料を用いたいわゆるリチウムイオン二次電池である。これらの炭素材料は、初回充放電時に不可逆反応が生じるといったリテンションの問題に加え、その還元電位がLi/Liに対して約0.1V付近と低く、負極表面上での非水電解液の分解を引き起こしやすいため、この現象に起因したサイクル劣化及び高温保存劣化も問題となっている。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電池の高容量化が可能な不織布セパレータを用いても、短絡を十分に抑制したリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく、様々なセパレータと電極とを検討した結果、Li吸蔵放出電位が1.0V(vs.Li/Li)以上貴である負極活物質を含む負極と、樹脂繊維を含む不織布膜を有するセパレータとを併用することにより、電池の短絡を十分に抑制するのが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]正極と、Li吸蔵放出電位が1.0V(vs.Li/Li)以上貴である負極活物質を含む負極と、電解液と、樹脂繊維を含む不織布膜を有するセパレータと、を備えるリチウムイオン二次電池。
[2]前記不織布膜は、繊維径が30μm以下である繊維を含む、上記リチウムイオン二次電池。
[3]前記不織布膜は、繊維径が4μm以下である繊維を含む第1の不織布層と、繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を含む第2の不織布層とを有する積層不織布を含む、上記リチウムイオン二次電池。
[4]前記第1の不織布層は、2層以上の前記第2の不織布層に挟まれている、上記リチウムイオン二次電池。
[5]前記第2の不織布層は、2層以上の前記第1の不織布層に挟まれている、上記リチウムイオン二次電池。
[6]前記熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性合成長繊維を含む、上記リチウムイオン二次電池。
[7]前記積層不織布を構成する各不織布層は、化学結合及び/又は物理結合によって互いに一体化されている、上記リチウムイオン二次電池。
[8]前記第1の不織布層は、メルトブロウン法により形成されている、上記リチウムイオン二次電池。
[9]前記不織布膜は、10〜60μmの厚さを有する、上記リチウムイオン二次電池。
[10]前記不織布膜は、カレンダ加工されている、上記リチウムイオン二次電池。
[11」前記不織布膜の空隙率は、45%以上である、上記リチウムイオン二次電池。
[12]前記不織布膜の平均流量孔径は、30μm以下である、上記リチウムイオン二次電池。
[13]前記不織布膜は、ポリエステル系樹脂を含む不織布層を含む、上記リチウムイオン二次電池。
[14]前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートを含む、上記リチウムイオン二次電池。
[15]前記負極活物質は、リチウムチタン複合酸化物を含む、上記リチウムイオン二次電池。
本発明によると、電池の高容量化が可能な不織布セパレータを用いても、短絡を十分に抑制したリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、特定の構造を有するセパレータと、非水溶媒とリチウム塩とを含む電解液と、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する正極と、負極とを備えるものである。
<セパレータ>
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正負極の短絡防止及びシャットダウン等の安全性付与の観点から、正極と負極との間にセパレータを備える。セパレータは不織布膜を含むが、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
不織布膜は、不織布層を含む膜であれば特に限定されないが、そこに含まれる繊維の繊維径が30μm以下であると好ましく、0.1〜30μmであるとより好ましい。また、耐熱性の観点から、不織布膜は樹脂繊維を含むものであればよいが、合成繊維を有する不織布層を含むと好ましく、上記合成繊維がポリエステル系樹脂を含むとより好ましい。上記繊維径は0.1μm以上であれば、繊維を容易に形成できるので好ましい。不織布膜は、繊維径が30μm以下である繊維を含む不織布層を単層で含んでもよく、2層以上を直接又は間接的に積層して用いてもよい。また、不織布膜は、不織布層を1層又は2層以上の他の繊維層と積層した構成を有してもよい。繊維径が30μm以下である繊維を含む不織布層は、短絡をより抑制し、更なる高出力を得るためには、太い繊維によるリチウムイオンの拡散を極力防ぐ観点から、繊維径が4μm以下である繊維を含む第1の不織布層(以下、「不織布層(I)とも表記する。)であることが望ましい。第1の不織布層における繊維の繊維径は0.1〜4μmであることがより好ましい。
繊維の繊維径が4μm以下であれば、不織布層の繊維間の間隙の大きさが不均一になったり大きくなりすぎたりすることを抑制できるため、より緻密で均一な不織布層の形成が可能となり、リチウムイオン二次電池において、不織布層の最大孔径が大きいことに由来する短絡を十分に防止することができる。一方、繊維の繊維径が0.1μm以上であれば、繊維を容易に形成でき、且つ、形成された繊維が、表面摩擦等で毛羽立ったり、糸くずを作ったりすることをより抑制できる。以下、繊維の繊維径が4μm以下の繊維を「極細繊維」とも表記する。なお、不織布層や不織布膜、セパレータが均一であることは、それらを構成する繊維間の間隙の大きさが均一であることを意味し、それに加えて、厚さ、繊維径、目付、間隙の分布が均一であることを意味する。
不織布層(I)は、本発明の目的達成を損なわない範囲で、上記極細繊維以外の繊維を含有してもよいが、上記極細繊維を質量基準で好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上含み、特に好ましくは上記極細繊維のみからなる。不織布層(I)に含有される極細繊維の繊維径は、好ましくは0.3〜4μmであり、より好ましくは0.3〜3.5μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmであり、特に好ましくは0.5〜1μmである。特に、繊維径が0.5〜1μmである場合、そのような繊維を不織布層(I)に備えるリチウムイオン二次電池の出力を更に高めることができる。なお、本明細書における「繊維径」は、マイクロスコープにより測定される繊維直径であり、より詳細には、下記の実施例に準拠して測定されるものである。
本実施形態において、不織布層(I)を構成する素材は、熱可塑性樹脂であってもよいし、例えばセルロースフィブリル等の、熱可塑性樹脂ではない従来不織布の素材として用いられているものであってもよい。好適には、後述の不織布層(II)と同様に熱可塑性樹脂である。そのような熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエステル系樹脂及びその誘導体、ポリアミド系樹脂及びその誘導体、ポリオキシメチレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、ポリフェニレンオキサイド(PPO)系樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のポリケトン系樹脂、及び、熱可塑性ポリイミド樹脂が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂及びポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂を主体とする共重合体(すなわち、これらの樹脂のモノマーをモノマー単位として最も多く、好ましくは50%以上含む共重合体)又は混合物(すなわち、これらの樹脂を質量基準で最も多く、好ましくは50質量%以上含む混合物)も好ましい。
上記の樹脂のうち、ポリアミド系樹脂及びその誘導体は、合成樹脂としては給水率が大きいため、吸水性の観点では、ポリアミド系樹脂及びその誘導体よりも他の樹脂の方が有利である。そのような素材としては、例えばPET系樹脂、PPS系樹脂、PPO系樹脂、ポリケトン樹脂及びPEEK系樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。また、繊維及び不織布を製造する際の製造の容易性、汎用性及びコストの観点から、不織布層(I)の繊維を構成する素材は、PET系樹脂、PPS系樹脂、及びPEEK系樹脂であると好ましい。
これらの素材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。なお、本明細書において「PET系樹脂」とは、PET樹脂の他、全構成繰り返し単位中に、PETの基本骨格であるテレフタル酸とエチレングリコールとの縮合構造を必ず有する概念である。テレフタル酸及びエチレングリコール以外の構成繰り返し単位構成成分としては、ジカルボン酸又はその誘導体、オキシ酸又はその誘導体、及び、ジオールが挙げられる。ジカルボン酸又はその誘導体として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸及びこれらの構造異性体、マロン酸、コハク酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、並びにこれらのジカルボン酸のエステル類が挙げられ、オキシ酸又はその誘導体として、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類、及びグリコール酸が挙げられる。また、ジオールとしては、例えば、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノールのような脂環式グリコール、ビスフェノールA及びビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物誘導体が挙げられる。また、その他の「…系樹脂」についても同様に、全構成繰り返し単位中に、基本骨格となる構造を有する概念である。
本実施形態において、不織布層(I)の目付は、15g/m以下であることが好ましい。不織布層の目付が15g/m以下であれば、短絡を抑制するのにより有利となるだけでなく、更に高い出力特性を得ることができる。その不織布層の目付は、より好ましくは0.5〜13g/mであり、更に好ましくは1〜11g/mである。なお、本明細書において、目付は、実施例に記載の方法に準拠して測定される。
本実施形態に係る不織布層の製造方法は、不織布層(I)及び後述の不織布層(II)を含め、特に限定されない。ただし、不織布層(I)の製造方法は、好ましくは、極細繊維を用いた乾式法又は湿式法、あるいは、エレクトロスピニング及びメルトブロウン法であることができる。不織布層(I)を容易かつ緻密に形成できるという観点から、より好ましくはメルトブロウン法である。
本実施形態に係る不織布膜は、不織布層(I)のみを含んでもよいが、セパレータの強度を更に高める観点から、不織布層(I)を有する2層又は3層以上の繊維層を含むと好ましく、不織布層(I)を有する2層又は3層以上の不織布層を含むとより好ましい。そのような不織布膜は、不織布層(I)を1層のみ含んでも、2層以上を直接又は間接的に積層して用いてもよい。その不織布膜は、不織布層(I)を他の繊維層と積層した構成を有していてもよい。ただし、短絡をより有効かつ確実に抑制し、更に高出力のリチウムイオン二次電池を得るためには、太い繊維径を有する繊維によるリチウムイオンの拡散を極力防ぐ観点から、セパレータは、不織布層(I)を最外層として有する2層又は3層以上の繊維層からなる積層体であると好ましく、不織布層(I)を最外層として有する2層又は3層以上の不織布層からなる積層不織布であるとより好ましく、不織布層(I)を両最外層として有する2層又は3層以上の不織布層からなる積層不織布であると更に好ましい。
本実施形態に係る不織布膜は、必要に応じて、不織布層(I)以外の不織布層を含んでもよく、そのような不織布層としては、強度、緻密性及び均一性の観点から、繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を含有する第2の不織布層(以下、「不織布層(II)」とも表記する。)が好ましい。特にセパレータが1層以上の不織布層(I)とそれ以外の不織布層とを有する3層以上の不織布層を含む場合、繊維径がより太い不織布層(II)によって、より高い機械強度を保持する観点から、不織布層(I)が、2層以上の不織布層(II)に挟まれた層(以下、「中間層」とも表記する。)として存在していることが好ましい。また、セパレータが2層以上の不織布層(I)とそれ以外の不織布層とを有する3層以上の不織布層を含む場合、電極近傍においてより良好なリチウムイオン拡散性を得る観点から、2層以上の不織布層(I)に挟まれた中間層として、不織布層(II)を有すると好ましく、不織布層(I)が最外層であるとより好ましい。本明細書において、「最外層」とは、積層方向の最も端に位置する層を意味する。
不織布層(II)は、繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を含有する。繊維径が30μm以下であれば、繊維の径が太すぎず、より均一な繊維間距離を得ることができるため、更に緻密で均一な不織布層を形成できる。不織布層(II)は、本発明の効果を損なわない範囲で、繊維径4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維以外の繊維を含有してもよいが、上記繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を質量基準で好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上含み、特に好ましくは繊維径4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維のみからなる。
不織布層(II)における繊維の繊維径が30μm以下であれば、不織布層(I)と不織布層(II)とを互いに直接接触するように積層した場合、それらの層の接触した部分で、不織布層(I)における極細繊維が、不織布層(II)における繊維の間に、より均一に配置される。これにより、それらの層を積層した積層不織布において、より均一に極細繊維を分布することが可能となる。その結果、より均一に分布された極細繊維の層を介して、更に緻密で均一な積層不織布を形成できる。一方、不織布層(II)における繊維の繊維径が4μmを超えることにより、積層不織布がより十分な機械的強度を有し、セパレータをより安定的に捲回することが可能となる。また、その後に電池素子を形成する際にも、セパレータにおける積層不織布の型崩れが抑制されるため、より安定してセパレータを形成できる。これらの結果として、更に性能の良いセパレータを形成できる。このような観点から、不織布層(II)における繊維の繊維径は、4μm超30μm以下であり、好ましくは6〜25μmであり、より好ましくは8〜20μmである。
不織布(II)層を構成する熱可塑性樹脂は、本発明のセパレータ及びリチウムイオン二次電池の使用目的に合わせて適宜選択することができる。本実施形態において、不織布層(II)における熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性合成樹脂の長繊維からなる熱可塑性合成長繊維であることが望ましい。熱可塑性合成長繊維を含む不織布は、マイクロスリット品でも、より十分な機械的強度を有することができる。また、熱可塑性合成長繊維を含む不織布は、スリット時、及び、外部からの摩擦等を受けた際に、より糸くずが出難く、磨耗性にも強い。その結果、電池をより安定的に製造することができ、一層高性能の電池が得られる。熱可塑性合成長繊維としては、例えば、後述の結晶性樹脂で構成される長繊維が挙げられる。
一方、熱可塑性樹脂繊維として短繊維を用いる場合、例えば、上記結晶性樹脂と、その結晶性樹脂の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂とを組み合わせて用いることができる。具体的には、ある融点を有する樹脂から構成される繊維と、上記樹脂とは異なる融点を有する樹脂から構成される1種又は2種以上の繊維とを混合してもよいし、1本の繊維中に2種以上の融点の異なる樹脂が含まれていてもよい。
本実施形態に係る不織布層(II)において、融点180℃以上の結晶性樹脂の具体的な例としては、不織布層(I)におけるものと同様に、ポリエステル系樹脂及びその誘導体、ポリアミド系樹脂及びその誘導体、ポリオキシメチレンエーテル系樹脂、PPS系樹脂、PPO系樹脂、ポリケトン樹脂、PEEK等のポリケトン系樹脂、及び、熱可塑性ポリイミド樹脂が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、PET系樹脂、PBT系樹脂及びPEN系樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂を主体とする共重合体(すなわち、これらの樹脂のモノマーをモノマー単位として最も多く、好ましくは50%以上含む共重合体)又は混合物(すなわち、これらの樹脂を質量基準で最も多く、好ましくは50質量%以上含む混合物)も好ましい。
これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
より好適には、不織布層(II)の繊維を構成する熱可塑性樹脂は、不織布層(I)におけるものと同様に吸水率の低い熱可塑性樹脂である。また、繊維及び不織布を製造する際の製造の容易性、汎用性及びコストの観点から、不織布層(II)の繊維を構成する熱可塑性樹脂は、PET系樹脂、PPS系樹脂、及びPEEK系樹脂が好ましい。不織布層(II)の繊維を構成する熱可塑性樹脂は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の使用目的に応じて、適宜選択することができる。
不織布層(II)の製造方法は、特に限定されないが、機械的強度の観点から、好ましくは、スパンボンド法である。
本実施形態に係る不織布膜は、上述の不織布層(I)及び不織布層(II)以外に、更にその他の繊維層、好ましくは不織布層を含んでもよい。ただし、繊維及び不織布を製造する際の製造の容易性、汎用性及びコストの観点から、本実施形態の不織布膜は、その少なくとも一部の層が、ポリエステル系樹脂を50質量%以上、望ましくは80質量%以上、より望ましくは90質量%、更に望ましくは95質量%以上、特に望ましくは98質量%以上含む不織布層であるとより好ましく、ポリエステル系樹脂からなる不織布層であると更に好ましい。また、上記ポリエステル系樹脂がPETを含むと好ましく、PETを50質量%以上、望ましくは80質量%以上、より望ましくは90質量%、更に望ましくは95質量%以上、特に望ましくは98質量%以上含むとより好ましく、PETであると更に好ましい。
不織布層(I)及び不織布層(II)を備える積層不織布において、不織布層(I)及び不織布層(II)の繊維を構成する素材は、互いに同じ物質であっても異なる物質であってもよいが、積層不織布をより均一に形成するためには、互いに同じ物質であることが好ましい。不織布層(I)及び不織布層(II)を同じ素材の繊維から形成する場合、繊維間のより均一な大きさの間隙を有する不織布を形成しやすいため、このような不織布をセパレータに用いることにより、より均一で緻密なセパレータとなる。
不織布膜が積層不織布を含む場合、その積層態様としては、例えば、下記の態様が挙げられる。
・不織布層(I)−不織布層(II)
・不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(I)
・不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(I)
・不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(II)−不織布層(I)
・不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(II)
・不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(II)
・不織布層(II)−不織布層(I)−不織布層(I)−不織布層(II)
本実施形態に係る不織布膜の厚さは、10〜60μmであることが好ましく、より好ましくは10〜50μmであり、更に好ましくは15〜40μmであり、特に好ましくは20〜30μmである。不織布膜の厚さは、機械的強度の観点、及び、正負極を隔離し短絡を抑制するという観点から、10μm以上であると好ましい。また、電池としての出力密度を高め、エネルギー密度の低下を抑制する観点から、セパレータの厚さは60μm以下であると好ましい。
本実施形態に係る不織布膜は、リチウムイオン二次電池用セパレータとして用いる場合にイオン透過性を十分に確保する観点から、空隙率をある程度制御したものが好ましい。不織布膜の空隙率は、好ましくは45%以上であり、より好ましくは45〜90%であり、更に好ましくは50〜80%である。この空隙率が45%以上では、より高い出力特性が得られ、90%以下では、短絡を更に抑制することができる。不織布膜の空隙率は、不織布膜の質量と見かけの体積とを測定し、これらの測定値と不織布膜を構成する素材の密度とを用いて算出することができる。
本実施形態において、不織布膜の総目付は、30g/m以下であることが好ましい。不織布膜の総目付が30g/m以下であれば、より高い出力特性を得ることができる。また、機械的強度の観点から、不織布膜の総目付が4g/m以上であることが好ましく、より好ましくは4〜25g/mであり、更に好ましくは5〜20g/mである。
本実施形態に係る不織布膜は、好ましくは極細繊維を含有する不織布層(I)を有することにより、繊維同士の距離が小さくなり、すなわち、孔径が小さくなり、繊維間の間隙がより均一な大きさとなる層を形成しやすい。このような観点から得、本実施形態に係る不織布膜の平均孔径は、0.3〜30μmであることが好ましい。該平均孔径は、より好ましくは、1〜20μmである。
本実施形態において、不織布膜が2層以上の不織布層を積層した積層不織布、例えば2層以上の不織布層(I)、又は不織布層(I)とその他の不織布層(例えば不織布層(II))を有する場合、その積層不織布を形成する方法としては、特に限定されないが、化学結合及び/又は物理結合により互いに一体化する方法が好ましい。例えば、化学結合による一体化としては、例えば、化学的架橋による方法が挙げられ、物理結合による一体化としては、例えば、熱的結合による方法、高速水流を噴射して三次元交絡させる方法、及び、粒子状又は繊維状の接着剤により一体化させる方法が挙げられる。これらの中でも、熱的結合による一体化の方法としては、例えば、熱エンボスによる一体化(熱エンボスロール方式)、及び高温の熱風による一体化(エアースルー方式)が挙げられる。熱的結合による一体化は、不織布の引っ張り強度と曲げ柔軟性とをより有効に維持し、耐熱安定性をより有効に維持することができるという観点から好ましい。
熱的結合による一体化は、バインダーを用いることなく、複数の不織布層を有する積層不織布を形成できる点でも好ましい。不織布層同士を一体化して積層不織布を形成する場合にバインダーを用いると、そのバインダーがセパレータ内に残存する。バインダーが電池性能を劣化させないものであれば特に問題ないが、バインダーによって電池性能の劣化が促進される場合には、バインダーを除去する工程が新たに必要になる。以上の理由から、不織布層を積層する場合、熱のみにより一体化されたバインダーを用いない積層不織布が好ましい。
本実施形態において、不織布層及び/又は不織布膜はカレンダ加工されていることが好ましい。これにより、不織布層に、より均一な繊維間の間隙の大きさを有する構造を与えることができ、また、セパレータの厚さや空隙率を容易に制御することが可能となる。具体的には、通常の熱接着により繊維を接合した後、例えば、熱接着温度よりも10℃以上高い温度で、線圧100〜1000N/cmにて、カレンダ加工を施す。カレンダ加工における線圧が100N/cm以上であると、より十分な接着が得られ、一層十分な強度が発現される傾向がある。また、カレンダ加工における線圧が1000N/cm以下であると、繊維の変形が小さくなり繊維がより十分に接着されて、本発明による効果が一層有効かつ効果的に得られる観点から好ましい。ただし、カレンダ加工の条件は上記に限定されない。
本実施形態において、不織布が親水化加工されることも好ましい態様である。不織布が親水化加工されると、電解液が含浸されやすくなるため、より高性能の電池を製造できる。親水化加工としては、例えば、物理的な加工、すなわち、コロナ処理又はプラズマ処理による親水化、並びに、化学的な加工方法、すなわち、表面官能基の導入(例えば、酸化処理等による、スルホン酸基、カルボン酸基等の導入)、水溶性高分子(例えば、PVA、ポリスチレンスルホン酸、及びポリグルタミン酸)及び界面活性剤(例えば、ノニオン種、陰イオン性、陽イオン性、及び両イオン性の界面活性剤)等の処理剤による加工が挙げられる。親水化加工された不織布は、将来的に水分を含みやすくなり、電池特性の劣化を引き起こす可能性があるため、加工量、すなわち、不織布の質量に対する、上記の処理剤及び導入される官能基の質量は、3質量%以下であることが好ましい。
<負極>
負極は、負極活物質として、Li吸蔵放出電位が1.0V(vs.Li/Li)以上貴であるものを含むものであれば特に限定されない。本発明者らは、リチウムイオン二次電池が還元分解が起こり得るセパレータを備える場合、分解電位以上で充放電を行うことで分解が抑制されることを見出した。そこで、本実施形態に係る負極は、上記負極活物質を含む。負極は、例えば、負極集電体と、その負極集電体の片面又は両面に担持され、上記負極活物質、導電剤及び結着剤を含む負極活物質含有層とを含む。
負極集電体としては、例えば、アルミニウム箔及びアルミニウム合金箔が挙げられる。
負極集電体の厚さは、電池の更なる高容量化のため、20μm以下であると好ましく、より好ましくは12μm以下である。また、負極集電体の厚さの下限値は特に限定されないが、3μmにすることが望ましい。
負極集電体に用いられるアルミニウムの純度は、耐食性の向上及び高強度化のため、99.99%以上であることが好ましい。アルミニウム合金としては、アルミニウムの他に、鉄、マグネシウム、亜鉛、マンガン及びケイ素からなる群より選択される1種類以上の元素を含む合金が好ましい。例えば、Al−Fe合金、Al−Mn系合金及びAl−Mg系合金は、アルミニウムよりも更に高い強度を得ることが可能である。一方、アルミニウム及びアルミニウム合金中のニッケル及びクロムなどの遷移金属の含有量は、100ppm以下(0ppmを含む)にすることが好ましい。例えば、Al−Cu系合金は、強度は高まるものの、耐食性が低下する。アルミニウム合金におけるアルミニウムの含有量は、95質量%以上であると好ましく、99.5質量%以下であると好ましい。アルミニウムの含有量がこの範囲内にあることで、より十分な強度を得ることができる。同様の観点から、より好ましいアルミニウム含有量は98質量%以上であり、99.5質量%以下である。
負極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は1μm以下とすることが望ましい。これにより、電池の急速充電性能を更に向上させることができる。同様の観点から、負極活物質のより好ましい数平均粒子径は、0.3μm以下である。一方、負極活物質の数平均粒子径の下限値は0.001μmであることが好ましい。これにより、一次粒子の凝集をより有効に抑制でき、非水電解質の分布が負極に偏り正極での電解質が枯渇することを更に有効に防止することができる。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料を用いることができる。そのリチウム吸蔵電位が、リチウム金属の開回路電位に対して1.0V(vs.Li/Li)以上貴である負極活物質としては、リチウムチタン複合酸化物が好ましい。とりわけ、リチウム吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li)貴であるスピネル構造のチタン酸リチウムが好ましい。スピネル構造のチタン酸リチウムを用いることにより、更に高容量で、より大電流での入出力特性に優れる電池を実現することができる。
負極活物質の他の例としては、例えば、リチウム吸蔵電位が1〜2V(vs.Li/Li)貴であるリチウムニオブ複合酸化物、リチウム吸蔵電位が2〜3V(vs.Li/Li)貴であるリチウムモリブデン複合酸化物、及び、リチウム吸蔵電位が1.8V(vs.Li/Li)貴であるリチウム鉄複合硫化物が挙げられる。
負極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この負極合剤含有ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、負極が作製される。
ここで、負極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
<正極>
本実施形態のリチウムイオン二次電池において、正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する材料を用いる。そのような材料としては、例えば、下記一般式(d)及び(e)で表される複合酸化物、トンネル構造及び層状構造の金属カルコゲン化物及び金属酸化物、オリビン型リン酸化合物が挙げられる。
LixMO (d)
LiyM (e)
ここで、式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。
より具体的には、例えば、LiCoOに代表されるリチウムコバルト酸化物;LiMnO、LiMn、LiMnに代表されるリチウムマンガン酸化物;LiNiOに代表されるリチウムニッケル酸化物;LiMO(MはNi、Mn、Co、Al及びMgからなる群より選ばれる2種以上の元素を示し、zは0.9超1.2未満の数を示す)で表されるリチウム含有複合金属酸化物;LiFePOで表されるリン酸鉄オリビンが挙げられる。また、正極活物質として、例えば、S、MnO、FeO、FeS、V、V13、TiO、TiS、MoS及びNbSeに代表されるリチウム以外の金属の酸化物も例示される。さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリピロールに代表される導電性高分子も正極活物質として例示される。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極が、正極活物質として、リチウム含有化合物を含むことが好ましい。
また、正極活物質としてリチウム含有化合物を用いると、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。このようなリチウム含有化合物としては、リチウムを含有するものであればよく、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物及びリチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物(例えばLitMuSiO、Mは上記式(d)と同義であり、tは0〜1の数、uは0〜2の数を示す。)が挙げられる。より高い電圧を得る観点から、特に、リチウムと、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属元素とを含む複合酸化物並びにリン酸化合物が好ましい。
より具体的には、かかるリチウム含有化合物としてリチウムを有する金属酸化物、リチウムを有する金属カルコゲン化物及びリチウムを有するリン酸金属化合物が好ましく、例えば、それぞれ下記一般式(f)、(g)で表される化合物が挙げられる。
Li (f)
LiIIPO (g)
ここで、式中、M及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。
上記一般式(f)で表される化合物は一般に層状構造を有し、上記一般式(g)で表される化合物は一般にオリビン構造を有する。これらの化合物において、構造を安定化させる等の目的から、遷移金属元素の一部をAl、Mg、その他の遷移金属元素で置換したり結晶粒界に含ませたりしたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したものも挙げられる。更に、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものも挙げられる。
正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.05〜100μm、より好ましくは1〜10μmである。正極活物質の数平均粒子径は湿式の粒子径測定装置(例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布計、動的光散乱式粒度分布計)により測定することができる。あるいは、透過型電子顕微鏡にて観察した粒子100個をランダムに抽出し、画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)で解析し、その相加平均を算出することでも得られる。この場合、同じ試料に対して、測定方法間で数平均粒子径が異なる場合は、標準試料を対象として作成した検量線を用いてもよい。
正極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この正極合剤含有ペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、正極が作製される。
ここで、正極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、又はステンレス箔などの金属箔により構成される。
正極及び負極の作製にあたって、必要に応じて用いられる導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜10μmであり、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデンを含有する共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム及びフッ素ゴムが挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、セパレータと、そのセパレータを両側から挟む正極と負極と、さらにそれらの積層体を挟む正極集電体(正極の外側に配置)と、負極集電体(負極の外側に配置)と、それらを収容する電池外装とを備える。正極とセパレータと負極とを積層した積層体は、上述した電解液に含浸されている。これらの各部材としては、電解液及びセパレータを上述したような組み合わせとすれば、その他の部材は、従来のリチウムイオン二次電池に備えられるものを用いることができ、例えば上述のものであってもよい。
<電解液>
本実施形態に用いる電解液は、好ましくは、非水溶媒と、リチウム塩とを含有する。
非水溶媒としては、様々なものを用いることができるが、例えば非プロトン性溶媒が挙げられる。リチウムイオン二次電池の電解液として用いる場合、その充放電に寄与する電解質であるリチウム塩の電離度を高めるために、非プロトン性極性溶媒が好ましい。その具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロエチレンカーボネートに代表される環状カーボネート;γ−ブチロラクトン及びγ−バレロラクトンに代表されるラクトン;スルホランに代表される環状スルホン;テトラヒドロフラン及びジオキサンに代表される環状エーテル;メチルエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートに代表される鎖状カーボネート;アセトニトリルに代表されるニトリル;ジメチルエーテルに代表される鎖状エーテル;プロピオン酸メチルに代表される鎖状カルボン酸エステル;ジメトキシエタンに代表される鎖状エーテルカーボネート化合物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
非水溶媒は、リチウム塩の電離度を高めるために環状の非プロトン性極性溶媒を1種類以上含むことが好ましい。同様の観点から、非水溶媒は、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートに代表される環状カーボネートを1種類以上含むことがより好ましい。
非水溶媒として、イオン液体を用いることもできる。イオン液体とは、有機カチオンとアニオンとを組み合わせたイオンからなる液体である。
有機カチオンとしては、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、ジアルキルピペリジニウムイオンが挙げられる。
これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、例えば、PFアニオン、PF(Cアニオン、PF(CFアニオン、BFアニオン、BF(CFアニオン、BF(CF)アニオン、ビスオキサラトホウ酸アニオン、Tf(トリフルオロメタンスルフォニル)アニオン、Nf(ノナフルオロブタンスルホニル)アニオン、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォニル)イミドアニオン、及びジシアノアミンアニオンを用いることができる。
電解質として用いられるリチウム塩の具体例としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiOSO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiN(SO2k+1〔kは1〜8の整数〕、LiPF(C2k+16−n〔nは1〜5の整数、kは1〜8の整数〕、LiBF((C2k+14−n〔nは1〜3の整数、kは1〜8の整数〕、LiB(Cで表されるリチウムビスオキサリルボレート、LiBF(C)で表されるリチウムジフルオロオキサリルボレート、LiPF(C)で表されるリチウムトリフルオロオキサリルフォスフェートが挙げられる。
また、下記一般式(a)、(b)又は(c)で表されるリチウム塩を電解質として用いることもできる。
LiC(SO11)(SO12)(SO13) (a)
LiN(SOOR14)(SOOR15) (b)
LiN(SO16)(SOOR17) (c)
ここで、式中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。
これらの電解質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの電解質のうち、電池特性や安定性の観点から、LiPF、LiBF及びLiN(SO2k+1〔kは1〜8の整数〕が好ましい。
電解質の濃度は任意であり特に限定されないが、電解質は、電解液中に好ましくは0.1〜3mol/L、より好ましくは0.5〜2mol/Lの濃度で含有される。
なお、本実施形態に用いる電解液は、リチウムイオン二次電池で求められる安全性と電池特性とを満足することに特に優れ、リチウムイオン二次電池で好適に使用される。
<電池の作製方法>
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、上述の構成を備える他は、従来と同様であってもよく、上述のセパレータと、電解液と、正極と、負極とを用いて、公知の方法により作製される。例えば、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形したり、それらを折り曲げや複数層の積層などによって、交互に積層した複数の正極と負極との間にセパレータが介在する積層体に成形したりする。次いで、電池ケース(外装)内にその積層体を収容して、電解液をケース内部に注液し、上記積層体を電解液に浸漬して封印することによって、本実施形態のリチウムイオン二次電池を作製することができる。本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形及びラミネート形などが好適に採用される。
本実施形態に用いる電解液は、高い伝導度を実現し得るので、当該電解液と上述のセパレータとを備えるリチウムイオン二次電池は、高い電池特性(例えば、充放電特性、低温作動性、高温耐久性等)を有する。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、25℃における充放電サイクル試験を100サイクル行ったときの時の放電容量維持率が80%以上であると好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。本実施形態において、充放電サイクル試験とは、作製した電池の充放電を共に1C条件で実施する場合を示す。なお、電池の充電と放電とを各1回ずつ実施すると1サイクルと数え、放電容量維持率は2サイクル目の放電容量を100%として計算する。
本実施形態によると、電池の高容量化が可能な不織布セパレータを用いても、短絡を十分に抑制したリチウムイオン二次電池を提供することができる。また、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、セパレータの形状を良好に保持したまま、安定した充放電挙動を示し、出力特性やサイクル特性に優れたものである。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、測定方法及び評価方法は次の通りである。特記がない限り、不織布において、長さ方向とはMD方向(マシン方向)であり、幅方向とは該長さ方向と垂直の方向である。
(1)目付(g/m
JIS L―1913に規定の方法に従い、不織布及び不織布膜の1m×1mの領域において、縦(長さ方向)20cm×横(幅方向)25cmの試験片を、不織布及び負傷不膜の幅方向1m当たり3箇所、長さ方向1m当たり3箇所の、1m×1mの領域当たりで計9箇所採取した。それらの試験片の質量をそれぞれ測定し、その平均値を単位面積当たりの質量に換算して目付を求めた。
(2)厚み(mm)
不織布膜の厚さは膜厚計を用いて測定した。膜厚計にはMitutoyo製のデジマチックインジケーター(商品名)を用い、不織布膜中の任意の3点の厚さを測定し、その平均値を不織布膜の厚さとした。
(3)繊維径(μm)
試料(不織布)の各端部10cmを除いて、試料の幅20cm毎の区域から、それぞれ1cm角の試験片を切り取った。各試験片について、マイクロスコープで繊維の直径を30点測定して、測定値の平均値(μm単位の小数点第2位を四捨五入)を算出し、試料に含まれる繊維の繊維径とした。
(4)空隙率
上記(1)において測定した不織布膜の目付、及び、上記(2)において測定した不織布膜の厚さから、下記の式により、空隙率(%)を計算した。
空隙率=[1−(目付/厚さ/不織布膜の素材密度)]×100
(5)開孔径分布(平均流量孔径及び最大孔径)
PMI社のパームポロメーター(商品名、型式:CFP―1200AEX)を用いた。測定には浸液にPMI社製のシルウィック(商品名)を用い、試料を浸液に浸して十分に脱気した後、測定した。上記測定装置は、フィルターを試料として、予め表面張力が既知の液体にフィルターを浸し、フィルターの全ての細孔を液体の膜で覆った状態からフィルターに圧力をかけ、液膜の破壊される圧力と液体の表面張力とから計算された細孔の孔径を測定する。計算には下記の数式を用いる。
d=C・r/P
(式中、d(単位:μm)はフィルターの孔径、r(単位:N/m)は液体の表面張力、P(単位:Pa)はその孔径の液膜が破壊される圧力、Cは定数である。)
上記の数式より、液体に浸したフィルターにかける圧力Pを低圧から高圧に連続的に変化させた場合の流量(漏れ流量)を測定する。初期の圧力では、最も大きな細孔の液膜でも破壊されないので流量は0である。圧力を上げていくと、最も大きな細孔の液膜が破壊され、流量が発生する(バブルポイント)。さらに圧力を上げていくと、各圧力に応じて流量は増加する。最も小さな細孔の液膜が破壊されたときの圧力における流量が、乾いた上体の流量(乾き流量)と一致する。
上記測定装置による測定方法では、ある圧力における漏れ流量を、同圧力での乾き流量で除した値を累積フィルター流量(単位:%)と呼ぶ。累積フィルター流量が50%となる圧力で破壊される液膜の孔径を、平均流量孔径と呼ぶ。本明細書においては、上記フィルターとして不織布膜を用い、平均流量孔径を、本明細書における不織布膜の平均孔径とした。
不織布膜の最大孔径は、不織布膜を上記フィルターとして用い、累積フィルター流量が50%の−2σの範囲、すなわち、累積フィルター流量が2.3%となる圧力で破壊される液膜の孔径とした。
上記測定方法にて、各サンプルについて3点測定を行い、その平均値として平均流量孔径と最大孔径とを計算した。
(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定
特定の充電電流及び放電電流における充電容量及び放電容量を以下のとおりに測定してリチウムイオン二次電池の充放電特性を評価した。
測定用のリチウムイオン二次電池として、1C=3mAとなる小型電池を作製して用いた。リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量の測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。
1mAの定電流で充電し、2.8Vに到達した後、2.8Vを保持するようにして電流値を制御するという方法で、合計8時間充電を行った。その後、10分間の休止を経て、1mAで1.5Vまで放電した。
続いて、3mAの定電流で充電し、2.8Vに到達した後、2.8Vを保持するようにして電流値を制御するという方法で、合計3時間充電を行った。その後10分間の休止を経て、3mAで1.5Vまで放電し、その時の放電容量を1C放電容量(mAh)とした。
このときの電池周囲温度は25℃に設定した。また、上記測定から、充放電効率を下記式により算出した。この充放電効率が80%以上であれば短絡なし、80%未満であれば短絡ありと判断した。
充放電効率(%)=(放電時の容量/充電時の容量)×100
(7)出力性能測定(レート特性)
次に、3mAの定電流で充電し、2.8Vに到達した後、2.8Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。その後10分間の休止を経て、30mA(10C)で電池電圧1.5Vまで放電して、その時の放電容量を10C放電容量(mAh)とした。
1C放電容量に対する10C放電容量の割合を算出し、この値をレート特性とした。
レート特性(%)=10C放電容量/1C放電容量×100
このときの電池周囲温度は25℃に設定した。
(8)リチウムイオン二次電池の容量維持率測定(サイクル特性)
容量維持率の測定は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。測定用のリチウムイオン二次電池として、上記「(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定」と同様にして作製した電池を用いた。充放電サイクル試験では、まず1サイクル目として、3mAの定電流で充電し、2.8Vに到達した後、2.8Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。その後10分間の休止を経て、1mAの定電流で放電し、1.5Vに到達した時点で再び10分間の休止を経た。続いて、2サイクル目以降は、3mAの定電流で充電し、2.8Vに到達した後、2.8Vの定電圧で、合計3時間充電を行った。その後10分間の休止を経て、3mAの定電流で放電し、2.8Vに到達した時点で再び10分間の休止を経た。充電と放電とを各々1回ずつ行うのを1サイクルとし、100サイクルの充放電を行った。2サイクル目の放電容量を100%としたときの100サイクル目の放電容量の比率を容量維持率とした。電池の周囲温度は25℃に設定した。
(9)リチウムイオン二次電池の高温耐久性試験(高温サイクル特性)
1C=1.8mAとなるように、正極活物質の一部を剥がしてAl集電体部を露出させ、電池の周囲温度を50℃に設定したこと以外は、「(8)リチウムイオン二次電池の容量維持率測定(サイクル特性)」と同様にして、充放電サイクル試験を100サイクルまで行い、高温時の容量維持率を測定した。
(10)セパレータの状態の確認
上記「(8)リチウムイオン二次電池の容量維持率測定(サイクル特性)」又は「(9)リチウムイオン二次電池の高温耐久性試験(高温サイクル特性)」の試験を行った後、リチウムイオン二次電池を分解してセパレータの状態を目視にて確認した。セパレータに破れが認められなかった場合を「異常なし」、セパレータの正極集電体に対向する部分での破れが認められた場合を「破れあり」と評価した。
(実施例1)
<セパレータの作製>
以下の方法により、セパレータを作製した。
まず、熱可塑性合成長繊維の不織布層を下記の方法により作製した。具体的には、汎用的なPETの溶液を用い、スパンボンド法により、紡糸温度300℃で、フィラメント群を、移動する捕集ネット面に向けて押し出し、紡糸速度4500m/分で紡糸した。次いで、コロナ帯電で3μC/g程度帯電させてフィラメント群を充分に開繊させ、熱可塑性合成長繊維ウェブを捕集ネット上に形成した。繊維径の調整は、牽引条件を変えることにより行い、繊維径12μmのスパンボンド法による繊維の不織布(以下、単に「スパンボンド不織布」と表記する。)を得た。
次に、極細繊維を含む不織布を下記の方法により作製した。汎用的なPETの溶液を用い、紡糸温度300℃、加熱空気1000Nm/hr/mの条件下で、メルトブロウン法により紡糸して、上記のスパンボンド不織布上に吹き付けた。この際、メルトブロウンノズルからスパンボンド不織布までの距離を100mmとし、メルトブロウンノズル直下の捕集面における吸引力を0.2kPa、風速を7m/secに設定した。繊維径の調整は、加熱空気量を制御することにより行い、上記スパンボンド不織布上に、繊維径1.7μmのメルトブロウン法による繊維の不織布(以下、単に「メルトブロウン不織布」と表記する。)を得た。
更に、上記スパンボンド不織布とメルトブロウン不織布との2層からなる積層体の上記メルトブロウン不織布側に、上述と同様にしてスパンボンド不織布を形成して、それら不織布の3層からなる積層体を得た。次に、その3層からなる積層体に対して、総目付が10g/m、空隙率が64%、厚さが20μmとなるようにカレンダ加工を施し、積層不織布である不織布膜を得た。得られた不織布膜の各種特性・物性を上述のようにして測定した。
カレンダ加工後の不織布膜を直径24mmの円盤状に打ち抜いてセパレータを得た。
<正極の作製>
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウムのニッケル、マンガン及びコバルト混合酸化物と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、混合酸化物:グラファイト炭素粉末:アセチレンブラック粉末:PVDF=100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質として数平均粒子径0.05μmのチタン酸リチウム(LiTi12;LTO)と、導電助剤として数平均粒子径3.4μmのグラファイト炭素粉末と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、負極活物質:グラファイト炭素粉末:PVDF=90:7:3の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを固形分62質量%となるように投入して更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極を得た。
<電解液の調製>
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=1:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させて電解液を調製した。
<電池組立と評価>
正極と負極との活物質面が対向するように、負極、セパレータ及び正極の順に重ね、蓋付きステンレス金属製容器に収納した。なお、容器と蓋とは絶縁されており、容器は負極のアルミニウム箔と、蓋は正極のアルミニウム箔と、それぞれ接するように収納した。この容器内に上記電解液を注入して密閉し、リチウムイオン二次電池を得た。
上記のようにして組み立てたリチウムイオン二次電池について「(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定」、「(7)出力性能測定(レート特性)」、「(8)リチウムイオン二次電池の容量維持率測定(サイクル特性)」及び「(10)セパレータの状態の確認」に記載の評価を行った。結果を表1に示す(以下同様)。
(実施例2)
カレンダ加工の条件を、得られる不織布膜の総目付が20g/m、空隙率が53%、厚さが32μmとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池について、「(6)リチウムイオン二次電池の充電及び放電容量測定」、「(7)出力性能測定」、「(9)リチウムイオン二次電池の高温耐久性試験(高温サイクル特性)」及び「(10)セパレータの状態の確認」に記載の評価を行った。
(実施例3)
2層からなる積層体の上記メルトブロウン不織布側に、スパンボンド不織布に代えてメルトブロウン不織布を上述と同様にして形成して、それら不織布の3層からなる積層体を得、メルトブロウン不織布の繊維径を1.7μmから0.35μmに変更し、カレンダ加工の条件を、得られる不織布膜の総目付が15g/m、厚さが27μm、空隙率が36%となるように変更した以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を得た。
(比較例1)
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末(III)及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(IV)と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)と、ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、グラファイト炭素粉末(III):グラファイト炭素粉末(IV):カルボキシメチルセルロース溶液:ジエン系ゴム=90:10:1.44:1.76の固形分質量比で全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極を得た。
上記負極を用いた以外は実施例2と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。得られたリチウムイオン二次電池について、充電電圧を2.8Vから4.2Vに変更し、放電電圧を1.5Vから3.0Vに変更した以外は実施例2と同様にして評価を行った。
Figure 2014060125
表1から分かるように、本実施形態のリチウム二次電池は、電池の高容量化が可能な不織布セパレータを用いても、短絡を十分に抑制し、セパレータの形状を良好に保持したまま、安定した充放電挙動を示し、出力特性やサイクル特性にも優れることが分かった。
本発明のリチウムイオン二次電池は、例えば、携帯電話、携帯オーディオ、パソコンなどの携帯機器に加え、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車などの自動車用充電池としての利用も期待される。

Claims (15)

  1. 正極と、Li吸蔵放出電位が1.0V(vs.Li/Li+)以上貴である負極活物質を含む負極と、電解液と、樹脂繊維を含む不織布膜を有するセパレータと、を備えるリチウムイオン二次電池。
  2. 前記不織布膜は、繊維径が30μm以下である繊維を含む、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記不織布膜は、繊維径が4μm以下である繊維を含む第1の不織布層と、繊維径が4μm超30μm以下である熱可塑性樹脂繊維を含む第2の不織布層とを有する積層不織布を含む、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記第1の不織布層は、2層以上の前記第2の不織布層に挟まれている、請求項3記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記第2の不織布層は、2層以上の前記第1の不織布層に挟まれている、請求項2又は3に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性合成長繊維を含む、請求項3〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記積層不織布を構成する各不織布層は、化学結合及び/又は物理結合によって互いに一体化されている、請求項3〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  8. 前記第1の不織布層は、メルトブロウン法により形成されている、請求項3〜7のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 前記不織布膜は、10〜60μmの厚さを有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  10. 前記不織布膜は、カレンダ加工されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  11. 前記不織布膜の空隙率は、45%以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  12. 前記不織布膜の平均流量孔径は、30μm以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  13. 前記不織布膜は、ポリエステル系樹脂を含む不織布層を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  14. 前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  15. 前記負極活物質は、リチウムチタン複合酸化物を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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