JP2013257543A - 感放射線性組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

感放射線性組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】固体撮像素子等に用いる感放射線性組成物において、経時後も、優れたパターン形成が維持され、かつ、異物欠陥の増加を抑制できる感放射線性組成物の提供。
【解決手段】一般式(1)で表される化合物、無機粒子、分散剤、重合開始剤、溶剤を含有する、感放射線性組成物。一般式(1)
Figure 2013257543

[一般式(1)中、Lは、それぞれ、アルキレン基と−O−の組み合わせからなる基であり、Acは、それぞれ、(メタ)アクリロイルオキシ基である。]
【選択図】なし

Description

本発明は感放射線性組成物、これを用いて形成したカラーフィルタおよびカラーフィルタの製造方法に関する。また、かかるカラーフィルタを有する、固体撮像素子、液晶表示装置または有機EL表示装置に関する。
近年固体撮像素子等に用いる感放射線性組成物が広く検討されている(特許文献1)。かかる感放射線性組成物には、優れたパターン形状が求められる。また、感放射線性組成物では異物に由来する欠陥が問題となりやすい。
特開2011−127096号公報
ここで、感放射線性組成物は、調整後、すぐに、露光・現像の工程を行う場合ばかりでなく、経時後に露光・現像する場合もある。この場合、本発明者が検討を行ったところ、パターン形成性が劣ったり、異物欠陥が上昇してしまう場合があることが分かった。特に、感放射線性組成物は、冷蔵下で保存される場合が多いが、冷蔵下で保存した場合に、これらの性能がより劣る傾向にあることが分かった。
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、経時後も、優れたパターン形成が維持され、かつ、異物欠陥の増加を抑制できる感放射線性組成物を提供することを目的とする。
かかる状況のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、特定の重合性化合物を用いることにより、かかる問題を解決できることを見出した。これは、一般的な重合性化合物を用いた場合、感放射線性組成物を冷蔵下で保存すると各成分間の相分離が進行し、層状にする際に、成分ムラが生じたためにパターン形状が悪化したと考えられる。本発明で用いる特定の化合物の場合、各成分間の相溶性を向上させることができ、経時後のパターン形状の悪化を抑制できたと考えられる。
具体的には、以下の手段<1>により、より好ましくは<2>〜<14>により、上記課題は解決された。
<1>一般式(1)で表される化合物、無機粒子、分散剤、重合開始剤、溶剤を含有する、感放射線性組成物。
一般式(1)
Figure 2013257543
(一般式(1)中、Lは、それぞれ、アルキレン基と−O−の組み合わせからなる基であり、Acは、それぞれ、(メタ)アクリロイルオキシ基である。)
<2>一般式(1)中、Lは、−CH2−と−O−の組み合わせからなる基である、<1>に記載の感放射線性組成物。
<3>一般式(1)において、Lは、−C24−と−O−の組み合わせからなる基である、<1>または<2>に記載の感放射線性組成物。
<4>無機粒子が、二酸化チタンを含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の感放射線性組成物。
<5>分散剤がオリゴイミン系分散剤である、<1>〜<4>のいずれかに記載の感放射線性組成物。
<6>溶剤として、エーテル類およびケトン類を含む、<1>〜<5>のいずれかに記載の感放射線性組成物。
<7>溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびシクロヘキサノンを含む、<1>〜<5>のいずれかに記載の感放射線性組成物。
<8><1>〜<7>のいずれかに記載の感放射線性組成物を硬化してなる硬化膜。
<9><1>〜<7>のいずれかに記載の感放射線性組成物を硬化してなる着色層を有するカラーフィルタ。
<10> (1)<1>〜<7>のいずれかに記載の感放射線性組成物を基板上に適用する工程、
(2)適用された感放射線性組成物を露光する工程、および、
(3)露光した感放射線性組成物を現像する工程、
を含むことを特徴とする硬化膜の製造方法。
<11> (1)<1>〜<7>のいずれかに記載の感放射線性組成物を基板上に適用する工程、
(2)適用された感放射線性組成物を露光する工程、および、
(3)露光した感放射線性組成物を現像する工程、
を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
<12><9>に記載のカラーフィルタまたは<11>に記載の製造方法により製造されたカラーフィルタを有する固体撮像素子、液晶表示装置または有機EL表示装置。
<13>無機粒子が二酸化チタンであり、分散剤がオリゴイミン系分散剤である、<1>〜<7>のいずれかに記載の感放射線性組成物。
<14>一般式(1)で表される化合物を溶剤を除く全成分に対し5〜50質量%、無機粒子を溶剤を除く全成分に対し10〜95質量%、分散剤を溶剤を除く全成分に対し5〜50質量%、重合開始剤を溶剤を除く全成分に0.5〜50質量%、および溶剤を含有する、<1>〜<7>および<13>のいずれかに記載の感放射線性組成物(但し、溶剤を除く成分の合計は100質量%を超えることは無い)。
本発明により、経時後も、優れたパターン形成が維持され、かつ、異物欠陥の増加を抑制できる感放射線性組成物を提供可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基を言う。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書において、粘度値は25℃における値を指す。本発明でいう「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
以下、本発明の感放射線性組成物(以下、単に、「本発明の組成物」ということがある)、硬化膜、固体撮像素子、液晶表示装置並びに有機EL表示装置について詳述する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本発明の感放射線性組成物は、一般式(1)で表される化合物、無機粒子、分散剤、重合開始剤、溶剤を含有することを特徴とする。
<一般式(1)で表される化合物>
本発明の組成物は、一般式(1)で表される化合物を含む。
一般式(1)
Figure 2013257543
(一般式(1)中、Lは、それぞれ、アルキレン基と−O−の組み合わせからなる基であり、Acは、それぞれ、(メタ)アクリロイルオキシ基である。)
一般式(1)中、Lは、それぞれ、−CH2−と−O−の組み合わせからなる基であることが好ましく、−C24−と−O−の組み合わせからなる基であることがより好ましく、−C24−と−O−が交互に繰り返している基であることがさらに好ましい。この場合、Lに結合する基およびAcに結合する基は、いずれも、−C24−であることが好ましい。また、L中における、−C24−の数は、1〜4が好ましく、2または3がさらに好ましい。
一般式(1)において、Lの主鎖を構成する原子数(AcとO原子の間の鎖の原子数)は、それぞれ、3〜12が好ましく、4〜10がより好ましい。尚、Lの主鎖を構成する原子数は、例えば、L部分が、−C24−O−C24−の場合、5となる。
一般式(1)において、4つのLは、同一であることが好ましい。
Acは、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
一般式(1)で表される化合物の分子量は、400〜1100であることが好ましく、600〜1000であることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物の粘度は、100〜900mPa・sであることが好ましく、200〜500mPa・sであることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、本発明の組成物の溶剤を除く全成分に対し、1〜30質量%の割合で含まれることが好ましく、5〜15質量%の割合で含まれることがより好ましい。一般式(1)で表される化合物は1種類のみ用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。2種類以上の場合、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
以下に本発明で用いられる一般式(1)で表される化合物の好ましい例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
Figure 2013257543
Figure 2013257543
本発明の組成物は、上記一般式(1)で表される化合物以外の重合性化合物を含んでいてもよい。
他の重合性化合物として、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
より具体的には、モノマー及びそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号0095〜段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、前記重合性化合物としては、重合性モノマーとして、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010−160418号公報、特開2010−129825号公報、特許第4364216公報等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
Figure 2013257543
Figure 2013257543
前記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表されるラジカル重合性モノマーの各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH2、又は、−OC(=O)C(CH3)=CH2で表される基を表す。
上記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
中でも、重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D-330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D-320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D-310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA ;日本化薬株式会社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
重合性化合物としては、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していても良い。従って、エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入しても良い。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
本発明において、酸価を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが必須である。
また、重合性モノマーとして、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体を含有することが好ましい。
カプロラクトン構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記式(1)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能性単量体が好ましい。
Figure 2013257543
(式中、6個のRは全てが下記式(2)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記式(2)で表される基であり、残余が下記式(3)で表される基である。)
Figure 2013257543
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。)
Figure 2013257543
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
このようなカプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(1)〜(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、本発明における特定モノマーとしては、下記一般式(i)又は(ii)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
Figure 2013257543
前記一般式(i)及び(ii)中、Eは、各々独立に、−((CH2)yCH2O)−、又は−((CH2)yCH(CH3)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
前記一般式(i)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(i)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
前記一般式(ii)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(i)又は一般式(ii)中の−((CH2)yCH2O)−又は−((CH2)yCH(CH3)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
前記一般式(i)又は(ii)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
また、一般式(i)又は(ii)で表される化合物の特定モノマー中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
前記一般式(i)又は(ii)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ル又はジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(i)又は(ii)で表される化合物を合成することができる。
前記一般式(i)、(ii)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
Figure 2013257543
Figure 2013257543
一般式(i)、(ii)で表される特定モノマーの市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
また、重合性化合物としては、特公昭48−41708号公報、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、重合性化合物として、特開昭63−277653号公報、特開昭63−260909号公報、特開平1−105238号公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた組成物を得ることができる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
重合性化合物としては、同一分子内に2個以上のメルカプト(SH)基を有する多官能チオール化合物も好適である。特に、下記一般式(I)で表すものが好ましい。
Figure 2013257543
(式中、R1はアルキル基、R2は炭素以外の原子を含んでもよいn価の脂肪族基、R0はHではないアルキル基、nは2〜4を表す。)
上記一般式(I)で表される多官能チオール化合物を具体的に例示するならば、下記の構造式を有する1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン〔式(II)〕、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジアン-2,4,6(1H,3H5H)-トリオン〔式(III)〕、及びペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)〔式(IV)〕等が挙げられる。これらの多官能チオールは1種または複数組み合わせて使用することが可能である。
Figure 2013257543
組成物中の多官能チオールの配合量については、溶剤を除いた全固形分に対して0.3〜8.9重量%、より好ましくは0.8〜6.4重量%の範囲で添加するのが望ましい。多官能チオールの添加によって、組成物の安定性、臭気、感度、解像性、現像性、密着性等を良化させることが出来る。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色硬化膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。さらに、3官能以上のものでエチレンオキサイド鎖長の異なる重合性化合物を併用することが、組成物の現像性を調節することができ、優れたパターン形成能が得られるという点で好ましい。また、組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料)、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、基板などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
本発明の組成物における、これらの他の重合性化合物は、全重合性化合物の量の30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
<無機粒子>
本発明の感放射線性組成物は、無機粒子を含む。無機粒子は、金属酸化物が好ましく、例えば、TiO2、ZrO2、SiO2、BeO、MgO、CaO、SrO、BaO、Sc23、Y23、La23、Ce23、Gd23、Tb23、Dy2O3、Yb23、Lu23、HfO2、Nb25、MoO3、WO3、ZnO、B23、Al23、GeO2、SnO2、PbO、Bi23、TeO2、及びこれらを含む複合酸化物などが挙げられる。本発明では、二酸化チタンがさらに好ましい。
本発明で用いる無機粒子の平均一次粒子径(以下、単に「一次粒子径」ということがある)としては、1nmから100nmであることが好ましく、1nmから80nmであることがより好ましく、1nmから50nmであることが特に好ましい。
無機粒子の一次粒子径が上記の範囲であることで、本発明の感放射線性組成物により形成される画素の屈折率及び透過率をより向上させることができる。
無機粒子の平均一次粒子径は、分散した無機粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。具体的には、無機粒子の投影面積を求め、それに対応する円相当径の平均を無機粒子の平均一次粒子径とする。尚、本発明における平均一次粒子径は、300個の無機粒子について求めた円相当径の算術平均値とする。
また、本発明においては、一次粒子径の指標として平均粒子径を用いることもできる。すなわち、本発明における無機粒子の平均一次粒子径としては、無機粒子を含む混合液又は分散液を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで80倍に希釈し、得られた希釈液について動的光散乱法を用いて測定することにより得られた値を採用してもよい。この測定は、日機装株式会社製マイクロトラック(商品名)UPA−EX150を用いて行って得られた数平均粒子径のこととする。
本発明における無機粒子の屈折率としては、特に制限はないが、高屈折率を得る観点から、1.70〜2.70であることが好ましく、1.90〜2.70であることがさらに好ましい。
また無機粒子の比表面積は、10m2/gから400m2/gであることが好ましく、20m2/gから200m2/gであることがさらに好ましく、30m2/gから150m2/gであることが特に好ましい。
また、無機粒子の形状には特に制限はなく、例えば、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状あるいは不定形状であることができる。
本発明における無機粒子は、有機化合物により表面処理されたものであってもよい。無機粒子の表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。中でもシランカップリング剤が好ましい。
表面処理は、1種単独の表面処理剤でも、2種類以上の表面処理剤を組み合わせて実施してもよい。
また、無機粒子の表面が、アルミニウム、ケイ素、ジルコニアなどの酸化物により覆われていることも好ましい。これにより、より耐候性が向上する。
本発明における二酸化チタンとしては、市販品用いてもよい。該市販品として具体的には、例えば、TTOシリーズ(TTO−51(A)、TTO−51(C)、TTO−55(C)など)、TTO−S、Vシリーズ(TTO-S-1、TTO-S−2、TTO-V-3
など)(以上、商品名、石原産業(株)製)、MTシリーズ(MT-01、MT−05な
ど)(テイカ(株)製、商品名)などが挙げられる。
本発明における無機粒子は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機粒子は、該無機粒子と分散剤(分散剤の詳細は後述する。)とを含有する無機粒子分散液として調製し、該無機粒子分散液を感放射線性組成物に添加してもよい。その場合、無機粒子の無機粒子分散液中の含有量は、10質量%〜50質量%が好ましく、15質量%〜40質量%がより好ましく、15質量%〜35質量%が更に好ましい。
感放射線性組成物の全固形分に対する無機粒子の含有量、すなわち、溶剤を除く全成分に対する無機粒子の含有量(2種類以上の場合は合計量)は、10質量%〜95質量%であることが好ましく、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜70質量%であることが更に好ましく、18質量%〜50質量%がよりさらに好ましく、20質量%〜40質量%が特に好ましい。
<分散剤>
本発明の組成物は、分散剤を含む。本発明に用いうる分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の界面活性剤等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子としては、例えば、特開平3−112992号公報、特表2003−533455号公報等に記載の末端にりん酸基を有する高分子、特開2002−273191号公報等に記載の末端にスルホン酸基を有する高分子、特開平9−77994号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有する高分子、特開2008−29901号公報等に記載の片末端に水酸基又はアミノ基を有するオリゴマー又はポリマーと酸無水物で変性して製造される高分子などが挙げられる。また、特開2007−277514号公報に記載の高分子末端に2個以上の赤外線遮蔽材表面へのアンカー部位(酸基、塩基性基、有機色素の部分骨格やヘテロ環等)を導入した高分子も分散安定性に優れ好ましい。
表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子としては、例えば、特開昭54ー37082号公報、特表平8−507960号公報、特開2009−258668公報等に記載のポリ(低級アルキレンイミン)とポリエステルの反応生成物、特開平9−169821号公報等に記載のポリアリルアミンとポリエステルの反応生成物、特開2009−203462号公報に記載の塩基性基と酸性基を有する両性分散樹脂、特開平10−339949号、特開2004−37986号公報等に記載のマクロモノマーと、窒素原子モノマーとの共重合体、特開2003−238837号公報、特開2008−9426号公報、特開2008−81732号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有するグラフト型高分子、特開2010−106268号公報等に記載のマクロモノマーと酸基含有モノマーの共重合体等が挙げられる。
表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子をラジカル重合で製造する際に用いるマクロモノマーとしては、公知のマクロモノマーを用いることができ、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS−6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN−6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB−6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン10モル当量付加品)、及び特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中でも、特に柔軟性かつ親溶剤性に優れるポリエステル系マクロモノマーが、組成物における赤外線遮蔽材の分散性、分散安定性、及び赤外線遮蔽材を用いた組成物が示す現像性の観点から特に好ましく、更に、特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーで表されるポリエステル系マクロモノマーが特に好ましい。
表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子としては、特開2003−49110号公報、特開2009−52010号公報等に記載のブロック型高分子が好ましい。
また、公知の分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。
そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000E等、信越化学工業(株)製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123」、及び三洋化成(株)製「イオネット(商品名)S−20」等が挙げられる。
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の分散剤は、前記赤外線遮蔽材表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子と伴に、アルカリ可溶性樹脂と併用して用いても良い。アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を変性した樹脂が挙げられるが、特に(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。また、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー共重合体、特開2004−300204号公報に記載のエーテルダイマー共重合体、特開平7−319161号公報に記載の重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂も好ましい。
分散性、現像性、沈降性の観点から、好ましくは、特開2010−106268号公報に記載の以下に示す樹脂が好ましく、特に、分散性の観点から、側鎖にポリエステル鎖を有する高分子分散剤が好ましく、また、分散性と、フォトリソグラフィー法により形成されたパターンの解像性の観点から、酸基とポリエステル鎖とを有する樹脂が好ましい。分散剤における好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。
以下に、本発明において好ましく用いられる特開2010−106268号公報に記載される分散樹脂について説明する。
好ましい分散剤は、分子内に、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であり、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、及びポリアクリレート構造から選択されるグラフト鎖を有するグラフト共重合体であり、少なくとも下記式(1)〜式(5)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、少なくとも、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3)、及び下記(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
Figure 2013257543
式(1)〜式(4)において、W1、W2、W3及びW4はそれぞれ独立に酸素原子或いはNHを表し、特に酸素原子が好ましい。
式(1)〜式(4)において、X1、X2、X3、X4及びX5はそれぞれ独立に水素原子或いは1価の有機基を表す。X1、X2、X3、X4及びX5としては、合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、或いは炭素数1から12のアルキル基であり、水素原子或いはメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y1、Y2、Y3及びY4はそれぞれ独立に2価の連結基であり、特に構造上制約されない。Y1、Y2、Y3及びY4で表される2価の連結基として、具体的には、下記の(Y−1)から(Y−21)の連結基などが挙げられる。下記構造でA、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)、(Y−13)であることがより好ましい。
Figure 2013257543
式(1)〜式(4)において、Z1、Z2、Z3及びZ4は、それぞれ独立に1価の有機基であり、特に、構造は限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、或いはヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、或いはヘテロアリールチオエーテル基、アミノ基などが挙げられる。この中でも、Z1、Z2、Z3及びZ4で表される1価の有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有することが好ましく、Z1〜Z3で表される有機基としては、各々独立に炭素数5から24のアルキル基又は炭素数5〜24のアルコキシ基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5〜24の分岐アルキル基を有するアルコキシ基或いは炭素数5〜24の環状アルキル基を有するアルコキシ基が好ましい。また、Z4で表される有機基としては、各々独立に炭素数5〜24のアルキル基が好ましく、その中でも、各々独立に炭素数5〜24の分岐アルキル基或いは炭素数5〜24の環状アルキル基が好ましい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p及びqはそれぞれ1から500の整数である。
式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、分散安定性、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が特に好ましい。
式(3)中のR3は、分岐又は直鎖のアルキレン基を表す。式(3)中のR3は、炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基であることがより好ましい。
式(4)中のR4は水素原子又は1価の有機基を表し、この1価の有機基としては特に構造上限定はされない。式(4)中のR4として好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が挙げられ、さらに好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。式(4)中のR4がアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。また、式(4)中のR4としては、グラフト共重合体中に構造の異なるR4を2種以上混合して用いてもよい。
グラフト共重合体において、式(1)〜式(4)で表される構造単位は、質量換算で、グラフト共重合体の総質量に対し10%〜90%の範囲で含まれることが好ましく、30%〜70%の範囲で含まれることがより好ましい。式(1)〜式(4)で表される構造単位が、この範囲内で含まれると顔料の分散性が高く、遮光膜を形成する際の現像性が良好である。
また、グラフト共重合体においては、2種以上の構造が異なるグラフト共重合体を含有することができる。
前記式(1)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、前記式(2)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
Figure 2013257543
式(1A)中、X1、Y1、Z1及びnは、式(1)におけるX1、Y1、Z1及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2A)中、X2、Y2、Z2及びmは、式(2)におけるX2、Y2、Z2及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、前記式(3)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(3A)又は下記式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
Figure 2013257543
式(3A)又は(3B)中、X3、Y3、Z3及びpは、前記式(3)におけるX3、Y3、Z3及びpと同義であり、好ましい範囲も同様である。
グラフト共重合体としては、前記式(1A)で表される構造単位を有するものであることがより好ましい。
具体例として、以下に示す化合物が挙げられる。なお、下記例示化合物中、各構造単位に併記される数値(主鎖繰り返し単位に併記される数値)は、当該構造単位の含有量〔質量%:(wt%)と記載〕を表す。側鎖の繰り返し部位に併記される数値は、当該繰り返し部位の繰り返し数を示す。
Figure 2013257543
Figure 2013257543
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Figure 2013257543
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Figure 2013257543
Figure 2013257543
さらに、本発明で用いる分散剤は、特に、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むオリゴイミン系分散剤が好ましい。
本発明におけるオリゴイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する繰り返し単位と、原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを含む側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する分散樹脂(以下、適宜「オリゴイミン系分散剤」と称する。)が好ましい。
ここで、塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。オリゴイミン系分散剤としては、pKb14以下の窒素原子を有する構造を含有することが好ましく、pKb10以下の窒素原子を有する構造を含有することがより好ましい。
本発明において塩基強度pKbとは、水温25℃でのpKbをいい、塩基の強さを定量的に表すための指標のひとつであり、塩基性度定数と同義である。塩基強度pKbと、後述の酸強度pKaとは、pKb=14−pKaの関係にある。
オリゴイミン系分散剤におけるpKa14以下の官能基を有する部分構造Xについては、オリゴイミン系分散剤の好適な態様である特定樹脂の説明において後述する部分構造Xと同義である。
オリゴイミン系分散剤が側鎖に有する原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yについても、特定樹脂の説明において後述する原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yと同義である。
オリゴイミン系分散剤の一例としては、下記式で表されるpKa14以下の官能基を有する基Xを有する繰り返し単位、下記式で表される塩基性窒素原子を有する繰り返し単位、及び下記式で表される原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを有する繰り返し単位(下記繰り返し単位の構造の左から順に対応する。)を含有する樹脂などが挙げられる。
Figure 2013257543
上記式中、x、y、及びzはそれぞれ繰り返し単位の重合モル比を示し、xは5〜50、yは5〜60、zは10〜90であることがこのましい。lはポリエステル鎖の連結数を示し、原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を形成し得る整数であり、70〜2000であることが好ましい。
オリゴイミン系分散剤は、前記pKa14以下の官能基を有する部分構造Xが結合する塩基性窒素原子を有する繰り返し単位と、原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを含む側鎖と、を有する分散樹脂であることがより好ましい。
オリゴイミン系分散剤は、(i)ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の、塩基性窒素原子を有する繰り返し単位であって、前記塩基性窒素原子に結合し、かつpKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する繰り返し単位(i)と、原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを含む側鎖(ii)と、を有する分散樹脂(以下、適宜、「オリゴイミン系分散剤(1)」と称する)であることが特に好ましい。
((i)ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の塩基性窒素原子を有する繰り返し単位)
オリゴイミン系分散剤(1)は、ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の塩基性窒素原子を有する繰り返し単位(i)を有する。これにより、無機粒子表面へ分散樹脂の吸着力が向上し、且つ無機粒子間の相互作用が低減できる。
ポリ(低級アルキレンイミン)は鎖状であっても網目状であってもよい。ここで、本発明において、低級アルキレンイミンとは、炭素数1〜5のアルキレン鎖を含むアルキレンイミンを意味する。
ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の塩基性窒素原子を有する繰り返し単位(i)は、特定分散樹脂における主鎖部を形成することが好ましい。該主鎖部の数平均分子量、すなわち、オリゴイミン系分散剤(1)から前記オリゴマー鎖又はポリマー鎖Y部分を含む側鎖を除いた部分の数平均分子量は、100〜10,000が好ましく、200〜5,000がさらに好ましく、300〜2,000が特に好ましい。主鎖部の数平均分子量は、核磁気共鳴分光法で測定した末端基と主鎖部の水素原子積分値の比率から求めるか、原料であるアミノ基を含有するオリゴマー又はポリマーの分子量の測定により求めることができる。
塩基性窒素原子を有する繰り返し単位(i)としては、特にポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、又はポリアリルアミン系繰り返し単位であることが好ましい。該繰り返し単位(i)を含むオリゴイミン系分散剤(1)としては、下記一般式(I−1)で表される繰り返し単位及び一般式(I−2)で表される繰り返し単位、又は、一般式(II−1)で表される繰り返し単位及び一般式(II−2)で表される繰り返し単位を含む分散樹脂であることが好ましい。
(一般式(I−1)で表される繰り返し単位及び一般式(I−2)で表される繰り返し単位)
一般式(I−1)で表される繰り返し単位及び一般式(I−2)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
Figure 2013257543
一般式(I−1)及び(I−2)中、
1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。aは、各々独立に、1〜5の整数を表す。*は繰り返し単位間の連結部を表す。
XはpKa14以下の官能基を有する基を表す。
Yは原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を表す。
オリゴイミン系分散剤(1)は、一般式(I−1)及び一般式(I−2)で表される繰り返し単位に加えて、さらに一般式(I−3)で表される繰り返し単位を共重合成分として有することが好ましい。オリゴイミン系分散剤(1)が、このような繰り返し単位を含むことで、本発明の感放射線性組成物における分散性能を更に向上させることができる。
Figure 2013257543
一般式(I−3)中、
1、R2及びaは一般式(I−1)におけるR1、R2及びaと同義である。
Y’はアニオン基を有する原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を表す。
一般式(I−3)で表される繰り返し単位は、主鎖部に一級又は二級アミノ基を有する樹脂に、アミンと反応して塩を形成する基を有するオリゴマー又はポリマーを添加して反応させることで形成することが可能である。
一般式(I−1)、一般式(I−2)及び一般式(I−3)において、R1及びR2は特に水素原子であることが好ましい。aは2であることが原料入手の観点から好ましい。
オリゴイミン系分散剤(1)は、一般式(I−1)、一般式(I−2)、及び一般式(I−3)で表される繰り返し単位以外に、一級又は三級のアミノ基を含有する低級アルキレンイミンを繰り返し単位として含んでいてもよい。なお、そのような低級アルキレンイミン繰り返し単位における窒素原子には、さらに、前記X、Y又はY’で示される基が結合していてもよい。このような主鎖構造に、Xで示される基が結合した繰り返し単位とYが結合した繰り返し単位の双方を含む樹脂もまた、オリゴイミン系分散剤(1)に包含される。
一般式(I−1)で表される繰り返し単位は、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xが結合する塩基性窒素原子を有する繰り返し単位であり、このような塩基性窒素原子を有する繰り返し単位は、保存安定性・現像性の観点から、オリゴイミン系分散剤(1)に含まれる全繰り返し単位中、1〜80モル%含有することが好ましく、3〜50モル%含有することが特に好ましい。
一般式(I−2)で表される繰り返し単位は、原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖を有する繰り返し単位であり、このような繰り返し単位は、保存安定性の観点から、オリゴイミン系分散剤(1)に含まれる全繰り返し単位中、10〜90モル%含有されることが好ましく、30〜70モル%含有されることが特に好ましい。
分散安定性及び親疎水性のバランスの観点からは、繰り返し単位(I−1)及び繰り返し単位(I−2)の含有比〔(I−1):(I−2)〕は、モル比で10:1〜1:100の範囲であることが好ましく、1:1〜1:10の範囲であることがより好ましい。
なお、所望により併用される一般式(I−3)で表される繰り返し単位は、原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Y’を含む部分構造が、主鎖の窒素原子にイオン的に結合しているものであり、オリゴイミン系分散剤(1)に含まれる全繰り返し単位中、効果の観点からは、0.5〜20モル%含有されることが好ましく、1〜10モル%含有されることが特に好ましい。
なお、ポリマー鎖Y’がイオン的に結合していることは、赤外分光法や塩基滴定により確認できる。
(一般式(II−1)で表される繰り返し単位及び(II−2)で表される繰り返し単位)
一般式(II−1)で表される繰り返し単位及び一般式(II−2)で表される繰り返し単位について詳細に説明する。
Figure 2013257543
一般式(II−1)及び(II−2)中、
3、R4、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基を表す。*、X及びYは、一般式(I−1)及び(I−2)中における*、X及びYと同義である。
オリゴイミン系分散剤(1)は、一般式(II−1)で表される繰り返し単位、一般式(II−2)で表される繰り返し単位に加えて、さらに下記一般式(II−3)で表される繰り返し単位を共重合成分として含むことが好ましい。このような繰り返し単位を併用することで、本発明の感放射線性組成物における分散性能を更に向上させることができる。
Figure 2013257543
一般式(II−3)中、R3、R4、R5及びR6は、一般式(II−1)におけるR3、R4、R5及びR6と同義である。Y’は一般式(I−3)におけるY’と同義である。
一般式(II−1)、(II−2)及び(II−3)において、R3、R4、R5及びR6は、水素原子であることが原料の入手性の観点から好ましい。
一般式(II−1)は、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xが結合する塩基性窒素原子を有する繰り返し単位であり、このような塩基性窒素原子を有する繰り返し単位は、保存安定性・現像性の観点から、オリゴイミン系分散剤(1)に含まれる全繰り返し単位中、1〜80モル%含有されることが好ましく、3〜50モル%含有されることが特に好ましい。
一般式(II−2)は、原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを有する繰り返し単位であり、このような繰り返し単位は、保存安定性の観点から、オリゴイミン系分散剤(1)に含まれる全繰り返し単位中、10〜90モル%含有されることが好ましく、30〜70モル%含有されることが特に好ましい。
分散安定性及び親疎水性のバランスの観点からは、繰り返し単位(II−1)及び繰り返し単位(II−2)の含有比〔(II−1):(II−2)〕は、モル比で10:1〜1:100の範囲であることが好ましく、1:1〜1:10の範囲であることがより好ましい。
所望により併用される一般式(II−3)で表される繰り返し単位は、オリゴイミン系分散剤(1)の全繰り返し単位中、0.5〜20モル%含有されることが好ましく、1〜10モル%含有されることが特に好ましい。
オリゴイミン系分散剤(1)においては、分散性の観点から、特に一般式(I−1)で表される繰り返し単位と一般式(I−2)で表される繰り返し単位の双方を含む態様であることが特に好ましい。
<pKa14以下の官能基を有する部分構造X>
pKa14以下の官能基を有する部分構造Xについて説明する。
Xは、水温25℃でのpKaが14以下の官能基を有する。ここでいう「pKa」とは、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載されている定義のものである。
「pKa14以下の官能基」は、物性がこの条件を満たすものであれば、その構造などは特に限定されず、公知の官能基でpKaが上記範囲を満たすものが挙げられるが、特にpKaが12以下である官能基が好ましく、pKaが11以下である官能基が特に好ましい。部分構造Xとして具体的には、例えば、カルボン酸基(pKa:3〜5程度)、スルホン酸(pKa:−3〜−2程度)、−COCH2CO−(pKa:8〜10程度)、−COCH2CN(pKa:8〜11程度)、−CONHCO−、フェノール性水酸基、−RFCH2OH又は−(RF2CHOH(RFはペルフルオロアルキル基を表す。pKa:9〜11程度)、スルホンアミド基(pKa:9〜11程度)等が挙げられ、特にカルボン酸基(pKa:3〜5程度)、スルホン酸基(pKa:−3〜−2程度)、−COCH2CO−(pKa:8〜10程度)が好ましい。
部分構造Xが有する官能基のpKaが14以下であることにより、二酸化チタン粒子との相互作用を達成することができる。
このpKa14以下の官能基を有する部分構造Xは、前記塩基性窒素原子を有する繰り返し単位における塩基性窒素原子に直接結合することが好ましい。前記塩基性窒素原子を有する繰り返し単位の窒素原子と部分構造Xとは、共有結合のみならず、イオン結合して塩を形成する態様で連結していてもよい。
pKa14以下の官能基を含有する部分構造Xとしては、特に、下記一般式(V−1)、一般式(V−2)又は一般式(V−3)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2013257543
一般式(V−1)、一般式(V−2)中、
Uは単結合又は2価の連結基を表す。
d及びeは、それぞれ独立して0又は1を表す。
上記一般式(V−3)中、Qはアシル基又はアルコキシカルボニル基を表す。
Uで表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン(より具体的には、例えば、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CHMe−、−(CH25−、−CH2CH(n−C1021)−等)、酸素を含有するアルキレン(より具体的には、例えば、−CH2OCH2−、−CH2CH2OCH2CH2−等)、アリーレン基(例えば、フェニレン、トリレン、ビフェニレン、ナフチレン、フラニレン、ピロリレン等)、アルキレンオキシ(例えば、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、フェニレンオキシ等)等が挙げられるが、特に炭素数1〜30のアルキレン基又は炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、炭素数1〜20のアルキレン又は炭素数6〜15のアリーレン基が特に好ましい。また、生産性の観点から、dは1が好ましく、また、eは0が好ましい。
Qはアシル基又はアルコキシカルボニル基を表す。Qにおけるアシル基としては、炭素数1〜30のアシル基(例えば、ホルミル、アセチル、n−プロパノイル、ベンゾイル等)が好ましく、特にアセチルが好ましい。Qにおけるアルコキシカルボニル基としては、Qは、特にアシル基が好ましく、アセチル基が製造のし易さ、原料(Xの前駆体X’)の入手性の観点から好ましい。
本発明における部分構造Xは、塩基性窒素原子を有する繰り返し単位における該塩基性窒素原子と結合していることが好ましい。これにより、二酸化チタン粒子の分散性・分散安定性が飛躍的に向上する。この理由は不明であるが、次のように考えている。すなわち、部分構造Xは酸基として機能するため、二酸化チタン粒子が有する金属原子(Ti)と相互作用することができるため、吸着能が高まり、分散性・保存安定性が飛躍的に向上するものと考えられる。
また、部分構造Xは溶剤溶解性をも付与し、経時における樹脂の析出を抑え、これにより分散安定性に寄与すると考えられる。
さらに、部分構造Xは、pKa14以下の官能基を含むものであるため、アルカリ可溶性基としても機能する。それにより、本発明の感放射線性組成物により形成された塗膜にエネルギーを付与して部分的に硬化させ、未露光部を溶解除去してパターンを形成する場合、未硬化領域のアルカリ現像液への現像性が向上し、分散性・分散安定性・現像性の鼎立が可能になったと考えられる。
部分構造XにおけるpKa14以下の官能基の含有量は特に制限がないが、オリゴイミン系分散剤(1)1gに対し、0.01〜5mmolであることが好ましく、0.05〜1mmolであることが特に好ましい。この範囲において、二酸化チタン粒子の分散性、分散安定性が向上し、且つ、本発明の感放射線性組成物により硬化膜を形成する際において、未硬化部の現像性に優れることになる。また、酸価の観点からは、オリゴイミン系分散剤(1)の酸価が5〜50mgKOH/g程度となる量、含まれることが、本発明の感放射線性組成物により硬化膜を形成する際における現像性の観点から好ましい。
(原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Y)
原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yについて説明する。
Yとしては、オリゴイミン系分散剤(1)の主鎖部と連結できるポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等の公知のポリマー鎖が挙げられる。Yにおけるオリゴイミン系分散剤(1)との結合部位は、オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yの末端であることが好ましい。
Yは、ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の窒素原子を有する繰り返し単位の前記窒素原子と結合していることが好ましい。ポリ(低級アルキレンイミン)系繰り返し単位、ポリアリルアミン系繰り返し単位、ポリジアリルアミン系繰り返し単位、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物系繰り返し単位、及びポリビニルアミン系繰り返し単位から選択される少なくとも1種の塩基性窒素原子を有する繰り返し単位などの主鎖部とYとの結合様式は、共有結合、イオン結合、又は、共有結合及びイオン結合の混合である。Yと前記主鎖部の結合様式の比率は、共有結合:イオン結合=100:0〜0:100であるが、95:5〜5:95が好ましく、90:10〜10:90が特に好ましい。この範囲外であると、分散性・分散安定性が悪化し、且つ溶剤溶解性が低くなる。
Yは、前記塩基性窒素原子を有する繰り返し単位の前記窒素原子とアミド結合、又はカルボン酸塩としてイオン結合していることが好ましい。
前記オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yの原子数としては、分散性・分散安定性・現像性の観点から、50〜5,000であることが好ましく、60〜3,000であることがより好ましい。
前記オリゴマー鎖又はポリマー鎖Y1本あたりの原子数が40未満では、グラフト鎖が短いため、立体反発効果が小さくなり分散性が低下する場合がある。一方、前記オリゴマー鎖又はポリマー鎖Y1本あたりの原子数が10000を超えると、前記オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yが長くなりすぎ、二酸化チタン粒子への吸着力が低下して分散性が低下する場合がある。
また、Yの数平均分子量はGPC法によるポリスチレン換算値により測定することができる。Yの数平均分子量は、特に1,000〜50,000が好ましく、1,000〜30,000が分散性・分散安定性・現像性の観点から特に好ましい。
Yで示される側鎖構造は、主鎖連鎖に対し、樹脂1分子中に、2つ以上連結していることが好ましく、5つ以上連結していることが特に好ましい。
特に、Yは一般式(III−1)で表される構造を有するものが好ましい。
Figure 2013257543
一般式(III−1)中、Zはポリエステル鎖を部分構造として有するポリマー又はオリゴマーであり、下記一般式(IV)で表される遊離のカルボン酸を有するポリエステルからカルボキシル基を除いた残基を表す。
Figure 2013257543
一般式(IV)中、Zは一般式(III−1)におけるZと同義である。
オリゴイミン系分散剤(1)が一般式(I−3)又は(II−3)で表される繰り返し単位を含有する場合、Y’が一般式(III−2)であることが好ましい。
Figure 2013257543
一般式(III−2)中、Zは一般式(III−1)におけるZと同義である。
片末端にカルボキシル基を有するポリエステル(一般式(IV)で表されるポリエステル)は、(IV−1)カルボン酸とラクトンの重縮合、(IV−2)ヒドロキシ基含有カルボン酸の重縮合、(IV−3)二価アルコールと二価カルボン酸(もしくは環状酸無水物)の重縮合などにより得ることができる。
(IV−1)カルボン酸とラクトンの重縮合反応において用いるカルボン酸は、脂肪族カルボン酸(炭素数1〜30の直鎖又は分岐のカルボン酸が好ましく、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、n−ヘキサン酸、n−オクタン酸、n−デカン酸、n−ドデカン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸等)、ヒドロキシ基含有カルボン酸(炭素数1〜30の直鎖又は分岐のヒドロキシ基含有カルボン酸が好ましく、例えば、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−ヒドロキシドデカン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシドデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、2,2−ビス(ヒロドキシメチル)酪酸等)が挙げられるが、特に、炭素数6〜20の直鎖脂肪族カルボン酸又は炭素数1〜20のヒドロキシ基含有カルボン酸が好ましい。これらカルボン酸は混合して用いても良い。ラクトンは、公知のラクトンを用いることができ、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−オクタノラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラノラクトン、δ−オクタノラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ドデカノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等を挙げることができ、特にε−カプロラクトンが反応性・入手性の観点から好ましい。
これらラクトンは複数種を混合して用いてもよい。
カルボン酸とラクトンの反応時の仕込み比率は、目的のポリエステル鎖の分子量によるため一義的に決定できないが、カルボン酸:ラクトン=1:1〜1:1,000が好ましく、1:3〜1:500が特に好ましい。
(IV−2)ヒドロキシ基含有カルボン酸の重縮合におけるヒドロキシ基含有カルボン酸は、前記(IV−1)におけるヒドロキシ基含有カルボン酸と同様であり、好ましい範囲も同様である。
(IV−3)二価アルコールと二価カルボン酸(もしくは環状酸無水物)の重縮合反応における二価アルコールとしては、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール(炭素数2〜30のジオールが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等)が挙げられ、特に炭素数2〜20の脂肪族ジオールが好ましい。
二価カルボン酸としては、直鎖又は分岐の二価の脂肪族カルボン酸(炭素数1〜30の二価の脂肪族カルボン酸が好ましく、例えば、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、グルタル酸、スベリン酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸等)が挙げられ、特に炭素数3〜20の二価カルボン酸が好ましい。また、これら二価カルボン酸と等価な酸無水物(例えば、無水コハク酸、無水グルタル酸等)を用いてもよい。
二価カルボン酸と二価アルコールは、モル比で1:1で仕込むことが好ましい。これにより、末端にカルボン酸を導入することが可能となる。
ポリエステル製造時の重縮合は、触媒を添加して行うことが好ましい。触媒としては、ルイス酸として機能する触媒が好ましく、例えばTi化合物(例えば、Ti(OBu)4、Ti(O−Pr)4等)、Sn化合物(例えば、オクチル酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、モノブチルスズヒドロキシブチルオキシド、塩化第二スズ等)、プロトン酸(例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸等)等が挙げられる。触媒量は、全モノマーのモル数に対し、0.01モル%〜10モル%が好ましく、0.1モル%〜5モル%が特に好ましい。反応温度は、80℃〜250℃が好ましく、100℃〜180℃が特に好ましい。反応時間は、反応条件により異なるが、概ね1時間〜24時間である。
ポリエステルの数平均分子量はGPC法によるポリスチレン換算値として測定することができる。ポリエステルの数平均分子量は、1,000〜1,000,000であるが、2,000〜100,000が好ましく、3,000〜50,000が特に好ましい。分子量がこの範囲にある場合、分散性・現像性の両立ができる。
Yにおけるポリマー鎖を形成するポリエステル部分構造は、特に、(IV−1)カルボン酸とラクトンの重縮合、及び、(IV−2)ヒドロキシ基含有カルボン酸の重縮合、により得られるポリエステルであることが、製造容易性の観点から好ましい。
オリゴイミン系分散剤(1)を含むオリゴイミン系分散剤の具体的態様〔(A−1)〜(A−60)〕を、樹脂が有する繰り返し単位の具体的構造とその組合せにより以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。下記式中、k、l、m、及びnはそれぞれ繰り返し単位の重合モル比を示し、kは1〜80、lは10〜90、mは0〜80、nは0〜70であり、且つk+l+m+n=100である。p及びqはポリエステル鎖の連結数を示し、それぞれ独立に5〜100,000を表す。R’は水素原子又はアルコキシカルボニル基を表す。
Figure 2013257543
Figure 2013257543
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Figure 2013257543
Figure 2013257543
オリゴイミン系分散剤(1)を合成するには、(1)一級又は二級アミノ基を有する樹脂と、部分構造Xの前駆体x、及びYの前駆体yとを反応させる方法、(2)部分構造Xに対応する構造を含有するモノマーとYを含有するマクロモノマーとの重合による方法などにより製造することが可能である。まず、一級又は二級アミノ基を主鎖に有する樹脂を合成し、その後、該樹脂に、Xの前駆体x及びYの先駆体yを反応させて、主鎖に存在する窒素原子に高分子反応により導入することで製造することが好ましい。
一級又は二級アミノ基を有する樹脂としては、窒素原子を有する主鎖部を構成する1級又は2級アミノ基を含有するオリゴマー又はポリマーが挙げられ、例えば、ポリ(低級アルキレンイミン)、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、メタキシレンジアミン−エピクロルヒドリン重縮合物、ポリビニルアミン等が挙げられる。これらのうち、ポリ(低級アルキレンイミン)、又は、ポリアリルアミンから構成されるオリゴマー又はポリマーが好ましい。
pKa14以下の官能基を有する部分構造Xの前駆体xとは、前記一級又は二級アミノ基を有する樹脂と反応し、主鎖にXを導入することのできる化合物を表す。
xの例としては、環状カルボン酸無水物(炭素数4〜30の環状カルボン酸無水物が好ましく、例えば、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、アリルコハク酸無水物、ブチルコハク酸無水物、n−オクチルコハク酸無水物、n−デシルコハク酸無水物、n−ドデシルコハク酸無水物、n−テトラデシルコハク酸無水物、n−ドコセニルコハク酸無水物、(2−ヘキセン−1−イル)コハク酸無水物、(2−メチルプロペン−1−イル)コハク酸無水物、(2−ドデセン−1−イル)コハク酸無水物、n−オクテニルコハク酸無水物、(2,7−オクタンジエン−1−イル)コハク酸無水物、アセチルリンゴ酸無水物、ジアセチル酒石酸無水物、ヘット酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3又は4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラフルオロコハク酸無水物、3又は4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、フタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、ナフタル酸無水物、ナフタル酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンカルボン酸二無水物等)、ハロゲン原子含有カルボン酸(例えば、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、4−クロロ−n−酪酸等)、スルトン(例えば、プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン等)、ジケテン、環状スルホカルボン酸無水物(例えば、2−スルホ安息香酸無水物等)、−COCH2COClを含有する化合物(例えば、エチルマロニルクロリド等)、又はシアノ酢酸クロリド等が挙げられ、特に環状カルボン酸無水物、スルトン、ジケテンが、生産性の観点から好ましい。
原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yの前駆体yとは、前記一級又は二級アミノ基を有する樹脂と反応し、前記オリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを導入することのできる化合物を表す。
yは、オリゴイミン系分散剤(1)の窒素原子と共有結合又はイオン結合できる基を末端に有する原子数40〜10,000のオリゴマー又はポリマーが好ましく、特に、片末端に遊離のカルボキシル基を有する原子数40〜10,000のオリゴマー又はポリマーが特に好ましい。
yの例としては、一般式(IV)で表される片末端に遊離のカルボン酸を有するポリエステル、片末端に遊離のカルボン酸を有するポリアミド、片末端に遊離のカルボン酸を有するポリ(メタ)アクリル酸系樹脂等が挙げられるが、特に、一般式(IV)で表される片末端に遊離のカルボン酸を含有するポリエステルが特に好ましい。
yは公知の方法で合成することができ、例えば、一般式(IV)で表される片末端に遊離のカルボン酸を含有するポリエステルは、前記の通り、(IV−1)カルボン酸とラクトンの重縮合、(IV−2)ヒドロキシ基含有カルボン酸の重縮合、(IV−3)二価アルコールと二価カルボン酸(もしくは環状酸無水物)の重縮合より製造する方法が挙げられる。片末端に遊離のカルボン酸を含有するポリアミドは、アミノ基含有カルボン酸(例えば、グリシン、アラニン、β−アラニン、2−アミノ酪酸等)の自己縮合等により製造することができる。片末端に遊離のカルボン酸を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルはカルボキシル基含有連鎖移動剤(例えば、3−メルカプトプロピオン酸等)の存在下、(メタ)アクリル酸系モノマーをラジカル重合することにより製造することができる。
オリゴイミン系分散剤(1)は、(a)一級又は二級アミノ基を有する樹脂とx、yを同時に反応させる方法、(b)一級又は二級アミノ基を有する樹脂とxを反応させた後、yと反応させる方法、(c)一級又は二級アミノ基を有する樹脂とyを反応させた後、xと反応させる方法、により製造することができる。特に、(c)一級又は二級アミノ基を有する樹脂とyを反応させた後、xと反応させる方法が好ましい。
反応温度は、条件により適宜選択できるが、20〜200℃が好ましく、40〜150℃が特に好ましい。反応時間は、1〜48時間が好ましく、1〜24時間が生産性の観点からさらに好ましい。
反応は溶剤存在下で行ってもよい。溶剤としては、水、スルホキシド化合物(例えば、ジメチルスルホキシド等)、ケトン化合物(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル化合物(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート等)、エーテル化合物(例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、脂肪族炭化水素化合物(例えば、ペンタン、ヘキサン等)、芳香族炭化水素化合物(例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等)、二トリル化合物(例えば、アセトニトリル、プロピオンニトリル等)、アミド化合物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等)、カルボン酸化合物(例えば、酢酸、プロピオン酸等)、アルコール化合物(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、3−メチルブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等)、ハロゲン系溶剤(例えば、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等)が挙げられる。
溶剤を用いる場合、基質に対し、0.1〜100質量倍用いることが好ましく、0.5〜10質量倍用いることが特に好ましい。
本発明のオリゴイミン系分散剤(1)は、再沈法で精製してもよい。再沈法で、低分子量成分を除去することにより、得られたオリゴイミン系分散剤(1)を分散剤として使用した場合の分散性能が向上する。
再沈には、ヘキサン等の炭化水素計溶剤、メタノールなどのアルコール系溶剤を用いることが好ましい。
このようにして得られた本発明におけるオリゴイミン系分散剤(1)は、GPC法により測定された重量平均分子量が3,000〜100,000であることが好ましく、5,000〜55,000であることがさらに好ましい。分子量が上記範囲において、高現像性・高保存安定性を達成しうるという利点を有する。また、オリゴイミン系分散剤(1)における窒素原子を有する繰り返し単位(i)における窒素原子の存在は、酸滴定等の方法により確認することができ、pKaが14以下である官能基の存在、及び、その官能基が前記繰り返し単位の窒素原子と結合していることは塩基滴定・核磁気共鳴分光法・赤外分光法等の方法により確認することができる。また、(ii)原子数40〜10,000のオリゴマー鎖又はポリマー鎖Yを側鎖に有する点については、核磁気共鳴分光法・GPC法等の方法で確認することができる。
以下に、オリゴイミン系分散剤(1)の具体例をその分子量とともに記載する。
Figure 2013257543
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本発明の感放射線性組成物において、分散剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の感放射線性組成物の全固形分に対する分散剤の含有量(2種類以上用いる場合、その合計量)は、分散性、分散安定性の観点から、5〜50質量%の範囲が好ましく、5〜40質量%の範囲がより好ましく、5〜30質量%の範囲がさらに好ましく、5〜20質量%がよりさらに好ましい。
<重合開始剤>
本発明の組成物は、さらに重合開始剤を含有することが、さらなる感度向上の観点から好ましい。
本発明における重合開始剤としては、以下に述べる重合開始剤として知られているものを用いることができる。
前記重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、前記重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
また、上記以外の重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフラノイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
重合開始剤として、より好ましくはオキシム系化合物が挙げられる。オキシム系開始剤の具体例としては、特開2001−233842号記載の化合物、特開2000−80068号記載の化合物、特開2006−342166号記載の化合物を用いることができる。
本発明で重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.15
6−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE−OXE01(BASF社製)、IRGACURE−OXE02(BASF社製)も好適に用いられる。
また上記記載以外のオキシムエステル化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報および米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム系化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物、などを用いてもよい。
好ましくはさらに、特開2007−231000号公報、及び、特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985号公報、特開2010−185072号公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009−242469号公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
最も好ましくは、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム系重合開始剤としては、下記式(OX−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(syn)体のオキシム化合物であっても、(anti)体のオキシム化合物であっても、(syn)体と(anti)体との混合物であってもよい。
Figure 2013257543
(式(OX−1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。)
前記式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
前記式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(OX−2)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
Figure 2013257543
前記式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、式(OX−1)におけるAとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
前記式(OX−1)中、Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
式(OX−1)においては、前記式(OX−1)中のArとそれに隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 2013257543
オキシム化合物は、下記式(OX−2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2013257543
(式(OX−2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(OX−2)におけるR、A、及びArは、前記式(OX−1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(OX−2)中、Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
これらの中でも、式(OX−2)におけるXとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
前記式(OX−2)中、Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(OX−2)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
Figure 2013257543
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
Figure 2013257543
さらにオキシム化合物は、下記式(OX−3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2013257543
(式(OX−3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(OX−3)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記式(OX−2)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
以下好適に用いられるオキシム化合物の具体例(C−4)〜(C−13)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2013257543
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶剤を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
本発明に用いられる重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明の組成物に用いられる重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が最も好ましい。
特に、本発明の組成物を固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成するには重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが最も好ましい。
本発明の組成物に含有される重合開始剤の含有量(2種以上の場合は総含有量)は、組成物の全固形分に対し0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは1質量%以上20質量%以下である。この範囲で、良好な感度とパターン形成性が得られる。
<溶剤>
本発明の組成物は、一般には、溶剤を用いて構成することができる。溶剤は、各成分の溶解性や組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。また、本発明における組成物を調製する際には、2種類以上の溶剤を用いてもよい。
溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
これらの溶剤は、紫外線吸収剤及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
これらの有機溶剤は、感放射線性組成物の冷蔵経時での沈殿析出物の発生を防止できる観点から、エーテル類とケトン類の混合溶剤が好ましい。特に好ましくは、上記プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとシクロヘキサノンで構成される混合溶液である。混合溶液の比率は、感放射線性組成物の有機溶剤中のシクロヘキサノン比率が、5〜90質量%が好ましく、10〜85質量%より好ましく、15〜80質量%がさらに好ましい。特に、一般式(1)で表される重合性化合物を用いる本発明の組成物では、溶剤にシクロヘキサンを添加すると、レジスト冷蔵経時での異物欠陥の増加を効果的に抑制できる。これは、組成物中の各成分の相溶性が向上し、異物の経時析出を抑制できたと考えられる。
有機溶剤の感放射線性組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5〜75質量%が更に好ましく、10〜65質量%が特に好ましい。
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明の組成物は、バインダーポリマーとして、にアルカリ可溶性樹脂を含有することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂を含有することにより、現像性・パターン形成性が向上する。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられるが、溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーに酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。 なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶剤の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
アルカリ可溶性樹脂として用いられる線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、N―フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、下記一般式(ED)
Figure 2013257543
(式(ED)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を表す。)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を必須とする単量体成分を重合してなるポリマーを、アルカリ可溶性樹脂として含むことも好ましい。これにより、本発明の組成物は、耐熱性とともに透明性にも極めて優れた硬化塗膜を形成しうる。前記エーテルダイマーを示す前記一般式中、R1およびR2で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、ステアリル基、ラウリル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル基等のアリール基;シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、ジシクロペンタジエニル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、2−メチル−2−アダマンチル基等の脂環式基;1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基等のアルコキシ基で置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。
前記エーテルダイマーの具体例としては、例えば、ジメチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソプロピル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−アミル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ステアリル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ラウリル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−エチルヘキシル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−メトキシエチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(1−エトキシエチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジフェニル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチルシクロヘキシル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ジシクロペンタジエニル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(トリシクロデカニル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソボルニル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジアダマンチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(2−メチル−2−アダマンチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。これらの中でも特に、ジメチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。これらエーテルダイマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。前記一般式(ED)で示される化合物由来の構造体は、その他の単量体を共重合させてもよい。
アルカリ可溶性フェノール樹脂としては、本発明の組成物をポジ型の組成物とする場合に好適に用いることができる。アルカリ可溶性フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、又はビニル重合体等が挙げられる。
上記ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合させて得られるものが挙げられる。上記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、フェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ナフトール、又はビスフェノールA等が挙げられる。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、又はベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記フェノール類及びアルデヒド類は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ノボラック樹脂の具体例としては、例えば、メタクレゾール、パラクレゾール又はこれらの混合物とホルマリンとの縮合生成物が挙げられる。
上記ノボラック樹脂は分別等の手段を用いて分子量分布を調節してもよい。又、ビスフェノールCやビスフェノールA等のフェノール系水酸基を有する低分子量成分を上記ノボラック樹脂に混合してもよい。
また、本発明における組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂としては、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有したアルカリ可溶性樹脂等が有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、ダイヤナ-ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer. Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)などが挙げられる。これら重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂としては、予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂、カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂、酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂、OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂、OH基を含むアクリル樹脂とイソシアネートと重合性基を有する化合物を反応させた樹脂、特開2002-229207号公報及び特開2003-335814号公報に記載されるα位又はβ位にハロゲン原子或いはスルホネート基などの脱離基を有するエステル基を側鎖に有する樹脂を塩基性処理を行うことで得られる樹脂などが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他ノモノマーからなる多元共重合体が好適である。この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては好ましくは30mgKOH/g〜200mgKOH/g、より好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜120mgKOH/gであることが最も好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましく、7,000〜20,000が最も好ましい。
アルカリ可溶性樹脂を含む場合、その組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1〜40質量%が好ましく、より好ましくは、10〜35質量%であり、特に好ましくは、15〜30質量%である。アルカリ可溶性樹脂は1種類でも、2種類以上でよく、2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となる。
<紫外線吸収剤>
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、トリアジン系の紫外線吸収剤を使用することができる。
サリシレート系紫外線吸収剤の例としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレートなどが挙げられ、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例としては、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−イソブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチル)フェニル]ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
置換アクリロニトリル系紫外線吸収剤の例としては、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。さらに、トリアジン系紫外線吸収剤の例としては、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのモノ(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−プロピルオキシフェニル)−6−(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのビス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物;2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジンなどのトリス(ヒドロキシフェニル)トリアジン化合物等が挙げられる。
本発明の組成物は、紫外線吸収剤として、共役ジエン系化合物である下記一般式(I)で表される化合物を使用することも好ましい。
Figure 2013257543
前記一般式(I)において、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、R1とR2とは互いに同一でも異なっていてもよいが、同時に水素原子を表すことはない。
1、R2で表される炭素原子数1〜20のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、nーへキシル基、シクロへキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−オクタデシル基、エイコシル基、メトキシエチル基、エトキシプロピル基、2−エチルへキシル基、ヒドロキシエチル基、クロロプロピル基、N,N−ジエチルアミノプロピル基、シアノエチル基、フェネチル基、ベンジル基、p−t−ブチルフェネチル基、p−t−オクチルフェノキシエチル基、3−(2,4−ジーt−アミルフェノキシ)プロピル基、エトキシカルボニルメチル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル基、2−フリルエチル基などが挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、nーへキシル基が好ましい。
1、R2で表されるアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基を有するアルキル基の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換カルバモイル基、置換スルファモイル基、ニトロ基、置換アミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。
1、R2で表される炭素原子数6〜20のアリール基は、単環であっても縮合環であってもよく、置換基を有する置換アリール基、無置換のアリール基のいずれであってもよい。例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基等を挙げることができる。置換基を有する置換アリール基の置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、アシルアミノ基、アシル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、置換カルバモイル基、置換スルファモイル基、ニトロ基、置換アミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。中でも、置換又は無置換のフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が好ましい。
また、R1及びR2は、窒素原子と共に、環状アミノ基を形成してもよい。環状アミノ基としては、例えば、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基、ヘキサヒドロアゼピノ基、ピペラジノ基等が挙げられる。
上記のうち、R1、R2としては、炭素数1〜8の低級のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチルなど)、又は置換もしくは無置換のフェニル基(例えば、トリル基、フェニル基、アニシル基、メシチル基、クロロフェニル基、2,4−ジーt−アミルフェニル基など)が好ましい。また、R1とR2とが結合して、式中のNで表される窒素原子を含んで環(例えば、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環など)を形成していることも好ましい。
前記一般式(I)において、R3及びR4は、電子吸引基を表す。ここで、電子吸引基は、ハメットの置換基定数σp値(以下、単に「σp値」という。)が、0.20以上1.0以下の電子吸引性基である。好ましくは、σp値が0.30以上0.8以下の電子吸引性基である。
ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年にL. P. Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く
妥当性が認められている。ハメット則により求められた置換基定数には、σp値とσm値とがあり、これらの値は多くの一般的な成書に記載があるが、例えば、J.A. Dean編「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域増刊」、122号、96〜103頁、1979年(南江堂)、Chemical Reviews, 91巻、165頁〜195頁、1991年に詳しい。本発明では、これらの成書に記載の文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に含まれる限り包含されることは勿論である。
前記σp値が、0.20以上1.0以下の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキル基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σp値0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基、複素環基、塩素原子、臭素原子、アゾ基、又はセレノシアネート基が挙げられる。これらの置換基のうち、更に置換基を有することが可能な基は、先に挙げたような置換基を更に有してもよい。
上記のうち、本発明においては、R3としては、シアノ基、−COOR5、−CONHR5、−COR5、−SO25より選択される基が好ましく、また、R4としては、シアノ基、−COOR6、−CONHR6、−COR6、−SO26より選択される基が好ましい。R5及びR6は、各々独立に、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。R5、R6で表される炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基は、前記R1、R2における場合と同義であり、好ましい態様も同様である。
これらのうち、R3、R4としては、アシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましく、特にアシル基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、スルファモイル基が好ましい。
また、R3及びR4は互いに結合して環を形成してもよい。
また、上記のR1、R2、R3、及びR4の少なくとも1つは、連結基を介して、ビニル基と結合したモノマーより導かれるポリマーの形になっていてもよい。他のモノマーとの共重合体であっても良い。共重合体の場合、他のモノマーとしては、アクリル酸、α―クロロアクリル酸、α―アルアクリル酸(例えば、メタアクリル酸などのアクリル酸類から誘導されるエステル、好ましくは低級アルキルエステル及びアミド例えばアクリルアミド、メタアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、n−へキシルアクリレート、オクチルメタアクリレート、及びラウリルメタアクリレート、メチレンビスアクリルアミド等)、ビニルエステル(例えば、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート及びビニルラウレート等)、アクリロ二トリル、メタアクリロ二トリル、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン及びその誘導体、例えばビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルアセトフェノン、スルホスチレン、及びスチレンスルフィン酸等)、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ビニリデンクロライド、ビニルアルキルエーテル(例えば、ビニルエチルエーテル等)、マレイン酸エステル、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルピリジン、2−及び4−ビニルピリジン等がある。
このうち特にアクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物が好ましい。
上記コモノマー化合物の2種以上を一緒に使用することも出来る。例えば、n−ブチルアクリレートとジビニルベンゼン、スチレンとメチルメタアクリレート、メチルアクリレートとメタアクリレート酸等を使用できる。
以下、前記一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例〔例示化合物(1)〜(14)〕を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
Figure 2013257543
Figure 2013257543
Figure 2013257543
本発明における一般式(I)で表される化合物は、特公昭44−29620号公報、特開53−128333号公報、特開昭61−169831号公報、特開昭63−53543号公報、特開昭63−53544号公報、特開昭63−56651号公報に記載の方法により合成することができる。
市販品としては、例えばジエチルアミノ−フェニルスルホニル−ペンタジエノエイト系紫外線吸収剤(富士フイルムファインケミカル製、商品名:DPO)などが挙げられる。
本発明においては、前記各種の紫外線吸収剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
<重合禁止剤>
本発明の組成物においては、該組成物の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、溶剤を除く全成分の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
<界面活性剤>
本発明の組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
本発明の感放射線性組成物は、組成物を用いて得られる膜の特性(耐熱性、機械強度、塗布性、密着性等)を損なわない範囲で、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤などの添加剤を添加してもよい。
前記密着促進剤については、例えば特開2008−250074号公報の段落番号〔0107〕〜〔0109〕に詳細に記載されており、この内容は本願明細書に組み込まれる。
これらの添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;及びポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
本発明の感放射線性組成物は、該感放射線性組成物から得られる硬化膜の波長500nmの光に対する屈折率が1.55〜1.90であることが好ましい。
また、本発明の感放射線性組成物は、透明な組成物であり、より具体的には、組成物により膜厚0.6μmの硬化膜を形成した時、該硬化膜の厚み方向に対する光透過率が、400nm〜700nmの波長領域全域に渡って85%以上となるような組成物であることが好ましい。
本発明の感放射線性組成物に関し、光透過率が、400nm〜700nmの波長領域全域に渡って85%以上であることは、カラーフィルタに含まれる白色フィルタ画素が、白色フィルタ画素として充分な機能を果たす観点から好ましい(すなわち、イメージセンサにおける撮像を高感度で行う観点から好ましい。)。
上記光透過率は、400nm〜700nmの波長領域全域に渡って、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。
また、本発明の感放射線性組成物は、実質的には、着色剤を含有しない(着色剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0質量%であることが好ましい)。なお、ここで言う着色剤に、上述の二酸化チタン粒子及び併用可能な無機粒子及び紫外線吸収剤は、包含されない。
本発明の感放射線性組成物は、固体撮像素子用の感放射線性組成物であり、固体撮像素子が備えるカラーフィルタの画素形成に用いられることが好ましく、より具体的には、固体撮像素子のカラーフィルタにおける白色フィルタ画素用として用いられることが好ましい。
本発明の感放射線性組成物中には、不純物としての金属含量が充分に少ないことが好ましい。組成物中の金属濃度はICP−MS法等により高感度に測定可能であり、その場合の遷移金属以外の金属含有量は好ましくは300ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。
感放射線性組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、組成物に含有される各成分を有機溶剤に添加して、攪拌することにより得られる。
感放射線性組成物は、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルタで濾過することが好ましい。従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。
フィルタろ過に用いるフィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。
前記フィルタの材質の例としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む);等が挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)が好ましい。
前記フィルタの孔径には特に限定はないが、例えば0.01〜20.0μm程度であり、好ましくは0.01〜5μm程度であり、さらに好ましくは0.01〜2.0μm程度である。
フィルタの孔径を上記範囲とすることにより、微細な粒子をより効果的に取り除くことができ、濁度をより低減することができる。
ここで、フィルタの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
前記フィルタろ過では、2種以上のフィルタを組み合わせて用いてもよい。
例えば、まず第1のフィルタを用いてろ過を行い、次に、第1のフィルタとは孔径が異なる第2のフィルタを用いてろ過を行うことができる。
その際、第1のフィルタでのフィルタリング及び第2のフィルタでのフィルタリングは、それぞれ、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。
本発明の感放射線性組成物は、硬化して各種素子等の硬化膜として好ましく用いることができる。具体的には、カラーフィルタの着色層が挙げられる。
本発明のカラーフィルタを含む素子としては、固体撮像素子、液晶表示装置および有機EL表示装置が例示される。
本発明の硬化膜の製造方法は、
(1)本発明の感放射線性組成物を基板上に適用する工程、
(2)適用された感放射線性組成物を露光する工程、
(3)露光した感放射線性組成物を現像する工程、および、を含むことを特徴とする硬化膜の製造方法として開示される。
さらに、(4)現像した後の感放射線性組成物を熱硬化するポストベーク工程を含むことが好ましい。
[パターン形成方法、カラーフィルタ及びその製造方法]
本発明のパターン形成方法、カラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、(1)本発明の感放射線性組成物を基板上に適用する工程(以下、「感放射線性組成物層形成工程」ともいう)、(2)適用された感放射線性組成物を露光する工程以下、「露光工程」ともいう)、および(3)露光した感放射線性組成物を現像する工程を含むことを特徴とする。さらに、(4)現像した後の感放射線性組成物を熱硬化するポストベーク工程を含むことが好ましい。
本発明のパターン形成方法によりパターンを形成する基板としては、パターン形成に適用しうる基板であれば特に限定されない。
本発明のパターン形成方法における各工程については、本発明のカラーフィルタの製造方法を通じて以下に詳述する。
本発明のカラーフィルタは、本発明の感放射線性組成物を用いて形成された画素である透明(白色)パターン(白色フィルタ画素)を少なくとも有していればよい。
本発明のカラーフィルタの具体的形態としては、例えば、透明パターン(白色フィルタ画素)と他の着色パターンとを組み合わせた多色のカラーフィルタの形態(例えば、透明パターン、赤色パターン、青色パターン、及び緑色パターンを少なくとも有する4色以上のカラーフィルタ)が好適である。
以下、本発明のカラーフィルタを単に「カラーフィルタ」ということがある。
<感放射線性組成物層形成工程>
感放射線性組成物層形成工程では、基板上に、本発明の感放射線性組成物を付与して感放射線性組成物層を形成することが好ましい。
本工程に用いうる基板としては、例えば、基板(例えば、シリコン基板)上にCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の撮像素子(受光素子)が設けられた固体撮像素子用基板を用いることができる。
本発明における透明パターンは、固体撮像素子用基板の撮像素子形成面側(おもて面)に形成されてもよいし、撮像素子非形成面側(裏面)に形成されてもよい。
固体撮像素子用基板における各撮像素子間や、固体撮像素子用基板の裏面には、遮光膜が設けられていてもよい。
また、基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
基板上への本発明の感放射線性組成物層の付与方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
感放射線性組成物層の膜厚としては、0.1μm〜10μmが好ましく、0.2μm〜5μmがより好ましく、0.2μm〜3μmが更に好ましい。
基板上に塗布された感放射線性組成物層の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
<露光工程>
露光工程では、感放射線性組成物層形成工程において形成された感放射線性組成物層を、例えば、ステッパー等の露光装置を用い、所定のマスクパターンを有するマスクを介してパターン露光する。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味し、特に、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は30〜1500mJ/cm2が好ましく50〜1000mJ/cm2がより好ましく、80〜500mJ/cm2が特に好ましい。
<現像工程>
次いでアルカリ現像処理を行うことにより、露光工程における光未照射部分の感放射線性組成物層がアルカリ水溶液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、下地の撮像素子や回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は従来は20秒〜90秒であった。より残渣を除去するため、近年では120秒〜180秒実施する場合もある。更には、より残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返す場合もある。
現像液に用いるアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられ、これらのアルカリ剤を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が現像液として好ましく使用される。
なお、現像液には無機アルカリを用いてもよく、無機アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウムなどが好ましい。
なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
次いで、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。多色のパターンを形成するのであれば、各色ごとに前記工程を順次繰り返して硬化膜を製造することができる。これによりカラーフィルタが得られる。
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜240℃、好ましくは200℃〜240℃の熱硬化処理を行う。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。
なお、本発明の製造方法は、必要に応じ、上記以外の工程として、固体撮像素子用カラーフィルタの製造方法として公知の工程を有していてもよい。例えば、上述した、感放射線性組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された透明パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
また、本発明の感放射線性組成物を用いる場合、例えば、塗布装置吐出部のノズルや配管部の目詰まりや塗布機内への感放射線性組成物や無機粒子の付着・沈降・乾燥による汚染等が生じる場合がある。そこで、本発明の感放射線性組成物によってもたらされた汚染を効率よく洗浄するためには、前掲の本組成物に関する溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も本発明の感放射線性組成物の洗浄除去する洗浄液として好適に用いることができる。
上記のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
これら溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。なお、汚染物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には前掲の本組成物に関する界面活性剤を添加してもよい。
本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子や固体撮像素子や有機EL素子に用いることができ、特に固体撮像用途に好適である。液晶表示素子に用いた場合、分光特性及び耐熱性に優れた金属錯体色素を着色剤として含有しながらも、比抵抗の低下に伴なう液晶分子の配向不良が少なく、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れる。
<液晶表示装置>
本発明のカラーフィルタは、色相に優れ、且つ耐光性に優れた着色画素を有することから、特に液晶表示装置用のカラーフィルタとして好適である。このようなカラーフィルタを備えた液晶表示素子は、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた高画質画像を表示することができる。
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
本発明のカラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性は、前述のような通常の要求特性に加えて、層間絶縁膜に対する要求特性、すなわち低誘電率及び剥離液耐性が必要とされることがある。本発明のカラーフィルタにおいては、前記金属錯体色素とともに錯体形成性化合物を、上記割合で含有して硬化させて得られるものであり、液晶材料の比抵抗の低下が飛躍的に防止され、液晶分子の配向阻害、すなわち表示特性の低下が解消されるものと考えられる。これによって、色純度などの良い色合いに優れるので、解像度が高く長期耐久性に優れたCOA方式の液晶表示装置を提供することができる。なお、低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
さらに、COA方式により形成される着色層には、着色層上に配置されるITO電極と着色層の下方の駆動用基板の端子とを導通させるために、一辺の長さが1〜15μm程度の矩形のスルーホールあるいはコの字型の窪み等の導通路を形成する必要であり、導通路の寸法(即ち、一辺の長さ)を特に5μm以下にすることが好ましいが、本発明を用いることにより、5μm以下の導通路を形成することも可能である。これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
本発明の液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなど様々な部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示素子に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺
材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)などに記載されている。
本発明のカラーフィルタを液晶表示素子に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
[固体撮像素子]
本発明のカラーフィルタがイメージセンサに搭載されることにより、イメージセンサにおける撮像を、高感度かつ高品質で行うことができる。
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタは、CCD、CMOS等の固体撮像素子に好適に用いることができ、特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOS等に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えば、CCD又はCMOSを構成する各画素の受光部と、集光するためのマイクロレンズと、の間に配置されるカラーフィルタとして用いることができる。
本発明の固体撮像素子用カラーフィルタにおける着色パターン(着色画素)の膜厚としては、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。なお、ここで、着色パターン(着色画素)の“着色”とは、透明(白色)を含む概念である。
また、着色パターン(着色画素)のサイズ(パターン幅)としては、2.5μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.7μm以下が特に好ましい。
本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
[実施例1]
(1)二酸化チタン分散液の調製
下記組成の混合液に対し、循環型分散装置(ビーズミル)として、寿工業株式会社製ウルトラアペックスミル(商品名)を用いて、以下のようにして分散処理を行い、分散組成物として二酸化チタン分散液を得た。
<組成>
・無機粒子
二酸化チタン 石原産業(株)製、商品名:TTO−51(C)) :25.00部
・分散剤
下記特定分散樹脂(A)(20%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と略称する。)溶液) :33.75部
・PGMEA :20.78部
・シクロヘキサノン :20.48部
Figure 2013257543
特定分散樹脂(A)において、k:l:m:n=25:40:5:30(重合モル比)、p=60、q=60、重量平均分子量は10,000である。
また分散装置は以下の条件で運転した。
・ビーズ径:φ0.05mm
・ビーズ充填率:75体積%
・周速:8m/sec
・ポンプ供給量:10Kg/hour
・冷却水:水道水
・ビーズミル環状通路内容積:0.15L
・分散処理する混合液量:0.44Kg
得られた分散液に含まれる二酸化チタン粒子の300個について、透過型電子顕微鏡を用いて二酸化チタン粒子の投影面積をそれぞれ求め、対応する円相当径の算術平均値を求めたところ、40nmであった。
(2)感放射線性組成物の調製
上記で得られた二酸化チタン分散液(分散組成物)を用いて、以下の組成となるように各成分を混合して感放射線性組成物を得た。
<感放射線性組成物の組成>
・上記で調製した二酸化チタン分散液(分散組成物) :17.77部
・上記DGEA−2(東亜合成製、M−460 : 4.65部
・光重合開始剤(下記構造のオキシム化合物、商品名:IRUGACURE OXE−02、BASF社製) : 0.78部
・下記構造のバインダーポリマー(A)(20%PGMEA溶液) : 10.73部
・下記構造の紫外線吸収剤(A) : 1.32部
・界面活性剤
(フッ素系界面活性剤、1%PGMEA溶液、DIC(株)製、商品名:メガファックF−781) : 2.50部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール、三立ケミー(株)製) :0.0023部
・溶剤(PGMEAとシクロヘキサノン) :合計62.24部
Figure 2013257543
Figure 2013257543
Figure 2013257543
得られた感放射線性組成物について、以下の評価を行った。
<パターン形成性評価>
上記で得られた実施例および比較例の各感放射線性組成物を、塗布後の膜厚が0.6μmになるように、下塗り層付きシリコンウェハ上にスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で、100℃で2分間加熱して感放射線性組成物層を得た。
次いで、得られた感放射線性組成物層に対し、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を用い、1.2μmのベイヤーパターンを、マスクを介して露光した。次いで、露光後の感放射線性組成物層に対し、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗し、透明パターンを得た。
得られた透明パターンの形状を測長SEM(商品名:S−7800H、(株)日立製作所製)を用いてシリコンウェハ上から20000倍で観察した。
感放射線性組成物の調製直後は、いずれの感放射線性組成物を用いても、良好なパターン形状の透明画素が得られた。
上記パターン形成性評価を冷蔵1ヶ月液経時後に行い、パターン形状を評価した。(判定基準3以上が実用上望ましい。
4:パターン形状の悪化なし
3:解像するが、若干の線幅変動が観測される
2:解像するが、パターン形状の悪化が著しい
1:解像不可
<下塗り層付ガラスウェハ>
評価に用いた下塗り層付ガラスウェハは、以下のようにして作製した。
(1)下塗り層用組成物の調製
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 19.20部
・乳酸エチル 36.67部
・バインダー:(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル)共重合体(モル比=60:20:20)41%EL溶液 30.51部
・DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA) 12.20部
・重合禁止剤(p−メトキシフェノール) 0.006部
・界面活性剤(メガファックF−781、DIC(株)製、1.0%PGMEA溶液)
0.83部
・光重合開始剤TAZ−107(みどり化学社製) 0.59部
<下塗り層付シリコンウェハ>
評価に用いた下塗り層付シリコンウェハは、以下のようにして作製した。
8インチシリコンウェハ上に、前記下塗り層用組成物をスピンコートで均一に塗布して塗布膜を形成し、形成された塗布膜を120℃のホットプレート上で120秒間加熱処理した。尚、スピンコートの塗布回転数は、前記加熱処理後の塗布膜の膜厚が約0.5μmとなるように調整した。
前記加熱処理後の塗布膜を、更に220℃のオーブンで1時間処理し、塗布膜を硬化させ、下塗り層とした。
以上のようにして、8インチシリコンウェハ上に下塗り層が形成された、下塗り層付シリコンウェハを得た。
<異物欠陥評価>
上記で得られた各感放射線性組成物を、塗布後の膜厚が0.6μmになるように、シリコンウェハ上に塗布し、その後ホットプレート上で、100℃で2分間加熱して感放射線性組成物層を得た。
この感放射線性組成物層が形成された基板に対して、欠陥評価装置ComPLUSを使用して、3.0μm以上の大きさの異物をカウントした。
この評価を、感放射線性組成物の調製直後、冷蔵液経時1ヶ月後に実施し、異物増加率を下記の判定基準で評価した。
なお、異物増加率は、(冷蔵1ヵ月後の異物数/調製直後の異物数)で算出した。判定基準3以上が実用上望ましい。
4:異物増加率<1.1
3:1.1≦異物増加率<1.5
2:1.5≦異物増加率<3.0
1:3.0≦異物増加率
[実施例2〜14および比較例1〜14]
実施例1において、無機粒子、分散剤、バインダーポリマー、重合性化合物、溶剤のPEGMAとシクロヘキサノンの比率を、表に示すように変更し、他は同様に行った。
・無機粒子
二酸化チタン:テイカ(株)製、MT−01
・分散剤
Disperbyk101:BYK Chemie社製、ポリアミドアミン燐酸塩
Disperbyk110:BYK Chemie社製、酸基を含む共重合物
ソルスパース−5000:日本ルーブリゾール(株)製、フタロシアニン誘導体
ソルスパース−32000:日本ルーブリゾール(株)製、グラフト型高分子
特定分散樹脂B
Figure 2013257543
・バインダーポリマー
バインダーポリマー(B)
Figure 2013257543
バインダーポリマー(C)
Figure 2013257543
バインダーポリマー(D)
Figure 2013257543
・重合性化合物
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA
化合物B:日本化薬製、KAYARAD−1040(EO変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート)
化合物C:新中村化学製 A−DPH−12E(EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
Figure 2013257543
上記結果から明らかなとおり、一般式(1)で表される化合物(重合性化合物A)を用いたとき、経時後もパターン形成性が高く維持され、かつ、異物欠陥の上昇率を抑えることが可能になった(実施例1〜14)。これに対し、本発明と近似する重合性化合物を用いても、本発明の範囲を外れる場合、これらの効果が劣ることが分かった。
<感放射線性組成物>
熱拡散による色移り評価に用いた感放射線性組成物Red、感放射線性組成物Green、及び感放射線性組成物Blueは、以下のように調製した。
(1)顔料分散液の調製
(Red顔料分散液:PR254/PY139を含有する分散液)
Pigment Red 254を9.6部、Pigment Yellow 139を4.3部、顔料分散剤BYK−161(BYK社製)を6.8部、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と称する。)79.3部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。
この分散処理を10回繰り返し、Red顔料分散液を得た。
(Green顔料分散液:PG36/PY150を含有する分散液)
Pigment Green 36を6.4部、Pigment Yellow 150を5.3部、顔料分散剤BYK−161(BYK社製)を5.2部、PGMEA83.1部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。
この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液を得た。
(Blue顔料分散液:PB15:6/PV23を含有する分散液)
Pigment Blue 15:6を9.7部、Pigment Violet 23を2.4部、顔料分散剤BYK−161(BYK社製)を5.5部、PGMEA82.4部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合・分散して、顔料分散液を調製した。その後さらに、減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2000kg/cm3の圧力下で流量500g/minとして分散処理を行なった。
この分散処理を10回繰り返し、Blue顔料分散液を得た。
(2)感放射線性組成物の調製
(感放射線性組成物Redの調製)
上記で得られた顔料分散液1を用い、下記組成となるよう各成分を混合、撹拌して、赤色の着色感放射線性脂組成物Redを調製した。
<組成>
・Red顔料分散液 50.9部
・下記構造のバインダーポリマー(C)(40%PGMEA溶液) 8.6部
・重合性化合物(B) 0.6部
・光重合開始剤(OXE−01、BASF社製、下記構造) 0.3部
・界面活性剤(メガファックF−781、DIC(株)製、1.0%PGMEA溶液)
4.2部
・PGMEA 43.2部
Figure 2013257543
Figure 2013257543
(感放射線性組成物Greenの調製)
上記で得られたGreen顔料分散液を用い、下記組成となるよう各成分を混合、撹拌して、緑色の感放射線性組成物Greenを調製した。
<組成>
・Green顔料分散液 74.4部
・前記構造のバインダーポリマー(C)(40%PGMEA溶液) 0.5部
・DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、日本化薬(株)製、KAYARAD DPHA) 1.2部
・光重合開始剤(OXE−01、BASF社製、前記構造) 0.5部
・界面活性剤(メガファックF−781(DIC(株)製、1.0%PGMEA溶液)
4.2部
・紫外線吸収剤(A) 0.5部
・PGMEA 18.7部
(感放射線性組成物Blueの調製)
上記で得られたBlue顔料分散液を用い、下記組成となるよう各成分を混合、撹拌して、青色感放射線性組成物を調製した。
<組成>
・Blue顔料分散液 45.6部
・前記構造のバインダーポリマー(C)(40%PGMEA溶液) 1.5部
・DPHA 1.5部
・重合性化合物(B)(前記構造) 0.6部
・光重合開始剤(OXE−01、BASF社製、前記構造) 1.0部
・界面活性剤(メガファックF−781、DIC(株)製、1.0%PGMEA溶液)
4.2部
・PGMEA 45.5部
[実施例30]
固体撮像素子を以下のようにして作製した。
<下塗り層付デバイス形成済みシリコンウェハの作製>
予め公知の方法によりデバイスが形成されたシリコンウェハ上に、前記「下塗り層付ガラスウェハの作製」と同様にして下塗り層を形成して、下塗り層付デバイス形成済みシリコンウェハを作製した。
<固体撮像素子の作製及び評価>
実施例7の感放射線性組成物を、塗布後の膜厚が0.6μmになるように、下塗り層付デバイス形成済みシリコンウェハ上にスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で、100℃で2分間加熱して感放射線性組成物層を得た。
次いで、得られた感放射線性組成物層に対し、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を用い、1.0μmのドットアレイパターンを、マスクを介して露光した。次いで、露光後の感放射線性組成物層に対し、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗し、白色パターン(透明パターン)を得た。
次いで、白色パターンが形成されたシリコンウェハの上に、前記緑色感放射線性組成物を用いた以外は、白色パターンの形成と同様にして緑色パターンを形成した。
次いで、白色パターン、及び緑色パターンが形成されたシリコンウェハの上に、前記赤色感放射線性組成物を用いた以外は、白色パターンの形成と同様にして赤色パターンを形成した。
次いで、白色パターン、緑色パターン、及び赤色パターンが形成されたシリコンウェハの上に、前記青色感放射線性組成物を用いた以外は、白色パターンの形成と同様にして青色パターンを形成した。
以上のようにして、白色パターン、緑色パターン、赤色パターン、及び青色パターンを有する固体撮像素子用カラーフィルタを作製した。
更に、公知の方法に従い、得られた固体撮像素子用カラーフィルタを組み込んだ固体撮像素子を作製した。
得られた固体撮像素子にて画像を取り込み確認した結果、良好な画像であることを確認した。

Claims (12)

  1. 一般式(1)で表される化合物、無機粒子、分散剤、重合開始剤、溶剤を含有する、感放射線性組成物。
    一般式(1)
    Figure 2013257543
    (一般式(1)中、Lは、それぞれ、アルキレン基と−O−の組み合わせからなる基であり、Acは、それぞれ、(メタ)アクリロイルオキシ基である。)
  2. 一般式(1)中、Lは、−CH2−と−O−の組み合わせからなる基である、請求項1に記載の感放射線性組成物。
  3. 一般式(1)において、Lは、−C24−と−O−の組み合わせからなる基である、請求項1または2に記載の感放射線性組成物。
  4. 無機粒子が、二酸化チタンを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
  5. 分散剤がオリゴイミン系分散剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
  6. 溶剤として、エーテル類およびケトン類を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
  7. 溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートおよびシクロヘキサノンを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を硬化してなる硬化膜。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を硬化してなる着色層を有するカラーフィルタ。
  10. (1)請求項1〜7のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を基板上に適用する工程、
    (2)適用された感放射線性組成物を露光する工程、および、
    (3)露光した感放射線性組成物を現像する工程、
    を含むことを特徴とする硬化膜の製造方法。
  11. (1)請求項1〜7のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を基板上に適用する工程、
    (2)適用された感放射線性組成物を露光する工程、および、
    (3)露光した感放射線性組成物を現像する工程、
    を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  12. 請求項9に記載のカラーフィルタまたは請求項11に記載の製造方法により製造されたカラーフィルタを有する固体撮像素子、液晶表示装置または有機EL表示装置。
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