JP2013255964A - 研削加工装置および研削加工装置の制御方法 - Google Patents

研削加工装置および研削加工装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】研削加工装置の構成を簡素化し低コストに製造すること。
【解決手段】
研削加工装置1は、研削対象物保持部を移動させるための移動部13と、移動部13を制御するための制御部3とを備える。制御部3は、移動部13により研削対象物保持部10を研削部20に向けて移動させることで研削加工する。制御部3は、研削部20による研削加工の前後に、研削対象物保持部10を移動部13により、研削対象物保持部10の移動軸O1上に設定される所定の基準位置RPまで移動させ、研削対象物保持部10の保持面14が研削部20により研削されて厚み寸法が減少した場合は、その減少分を補うようにして研削対象物保持部10を移動させることで、所定の基準位置RPに位置させる。これにより搬送装置40およびチャッククリーナ50の構成を簡素化できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、研削加工装置および研削加工装置の制御方法に関する。
ウェーハ等の研削対象物を回転させながら、その回転方向と同一方向または逆方向に回転する砥石を押し当てて、研削対象物を所定の厚さまで研削するインフィード加工を行う研削加工装置は、従来から知られている(特許文献1,2)。
特開2005−21998号公報 特開2003−77871号公報
ウェーハに砥石を押し当てると砥石が摩耗し、砥石の厚みが変化するため、従来のインフィード加工を行う装置では、ウェーハ側の送りを固定し、砥石をウェーハに向けて移動させている。
ところで、ウェーハを保持するチャック装置は、チャック面の平坦度を維持するために、時々チャック面をセルフカットする必要がある。チャック面を研削すると、研削された分だけチャック面が後退する。このため、ウェーハを搬入または搬出する搬送装置のウェーハ吸着位置を調整したり、チャック面を清掃するための清掃装置の清掃位置を調整したりする必要を生じる。
この結果、それら搬送装置および清掃装置は、作業位置を調整できる構造を備える必要があり、例えば搬送ハンドや清掃装置にウェーハの厚み方向の位置を調整できる機構を持たせたり、ロボット装置の多軸による移動機能を使うことになる。搬送装置および清掃装置を複雑な機構の装置として構成するため、それらのコストが増加し、ひいては研削加工装置のコスト増大につながる。
また、搬送装置および清掃装置の作業位置を調整する必要があるため、その分だけ作業工数が増加し、生産効率が低下する。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、研削対象物を研削部に向けて移動させて研削加工できるようにした研削加工装置および研削加工装置の制御方法を提供することにある。本発明の他の目的は、研削対象物保持部の保持面が研削されて厚み寸法が減少した場合でも、その減少分を補うようにして研削対象物保持部を所定の基準位置に移動させることにより、付属機構部の構成を簡素化し、作業効率を向上できるようにした研削加工装置および研削加工装置の制御方法を提供することにある。
本発明の一つの観点に係る研削加工装置は、研削対象物を保持する研削対象物保持部と、砥石により研削対象物を研削する研削部とを備えた研削加工装置であって、研削対象物保持部を移動させるための移動部と、移動部を制御するための制御部と、を備え、制御部は、移動部により研削対象物保持部を研削部に向けて移動させることで研削加工することを特徴とする。
制御部は、研削部による研削加工の前後に、研削対象物保持部を移動部により、研削対象物保持部の移動軸上に設定される所定の基準位置まで移動させるようになっており、かつ、研削対象物保持部の保持面が研削部により研削されて厚み寸法が減少した場合は、その減少分を補うようにして研削対象物保持部を移動させることで、所定の基準位置に位置させることができる。
制御部からの指示により、研削対象物保持部が所定の基準位置にある場合に、研削対象物保持部に対して所定の操作を行うための付属機構部を少なくとも一つ備えており、付属機構部は、所定の操作を行うためのアーム部を有しており、アーム部を所定の方向から研削対象物保持部に向けて出し入れすることで所定の操作を実行することもできる。
研削対象物保持部は、研削対象物を回転させながら保持するものであり、研削部は、砥石を研削対象物の回転方向と同一方向または反対方向に回転させながら研削対象物に一定速度で近づけることで研削するインフィード研削部であり、移動部は、制御部からの制御信号に従って、研削対象物の回転軸に沿って研削対象物保持部を移動させるものであり、付属機構部は、研削対象物の回転軸と同一平面上で直交する方向を所定の方向として、アーム部を研削対象物保持部に向けて出し入れしてもよい。
本発明によれば、研削対象物保持部を研削部に向けて移動させることで研削加工を行うことができる。
研削加工装置の正面図。 研削加工装置の平面図。 チャックスピンドルの移動を制御する処理を示すフローチャート。 ウェーハの交換作業を比較して示す説明図。 チャックの清掃作業を比較して示す説明図。 比較例の研削加工装置の正面図。 比較例の研削加工装置の平面図。 砥石スピンドルの移動を制御する処理を示すフローチャート。
本実施形態では、以下に詳述する通り、固定された研削装置20に向けてチャック装置10を所定量移動させることで、チャック装置10に保持されたウェーハWを研削するようになっている。
また、チャック面の平坦度を維持するためにセルフカット処理が行われた場合、チャック面の後退量を補うようにしてチャック装置10を移動させて、基準位置RPに位置させ、ウェーハWの交換およびチャック14のウェーハ吸着面の清掃を行う。
本発明に係る実施例を説明する前に、図6〜図8を参照して比較例としての研削加工装置を説明する。以下に述べる研削加工装置は、本発明に係る実施例と比較するために用意されたものであり、従来技術として記載したものではない。
図6は研削加工装置1Pの正面図、図7は研削加工装置の平面図である。研削加工装置1Pは、ベッド2と、制御装置3Pと、ベッド2の一方の側に固定されたチャック装置10Pと、ベッド2の他方の側に移動可能に設けられた研削装置20Pと、厚みセンサ30と、チャック装置10Pと研削装置20Pの間に位置して設けられた搬送装置40Pおよびチャッククリーナ50Pとを備えている。制御装置3Pは、研削加工装置1Pの作動を制御する。
詳しくは、チャック装置10Pと研削装置20Pとが接触してインフィード加工を行う領域は、ケース(不図示)によって覆われており、所定の各部にはクーラント供給ノズル(不図示)から研削水が所定の流量で吹き付けられる。制御装置3Pは、図外の操作盤または情報端末などからの入力に応じて、研削加工装置1Pの作動を制御する。図中では、説明の理解のために、砥石24およびチャック14にハッチングを入れている。
チャック装置10Pは、半導体等のウェーハWを保持しつつ回転させるものである。チャック装置10Pは、チャック装置本体11と、チャック装置本体11をベッド2上に固定するための取付部12とを備えており、チャック装置本体11の前面にはウェーハWを吸着するためのチャック14が設けられている。チャック14は、図示せぬ真空ポンプの作る負圧力を利用してウェーハWを吸着する。チャック14は、ウェーハWを吸着した状態で、チャックスピンドル軸O1を中心として所定の方向に所定の速度で回転する。
研削装置20Pは、ウェーハWを砥石24で研削する装置である。研削装置20Pは、研削装置本体21と、研削装置本体21をベッド2上に移動可能に取り付けるための取付部22と、研削装置本体21を研削スピンドル軸O2に沿って前進または後進させるための送り機構23と、研削装置本体21の前面に設けられる砥石24とを備える。
研削装置20Pは、ウェーハWの回転方向と同一方向または反対方向に砥石24を所定の速度で回転させながら、送り機構23によりチャック装置10Pに向けて前進し、砥石24をウェーハW表面に接触させて、ウェーハWを研削する。このように、研削加工装置1Pは、砥石24がウェーハWと同一方向または反対方向に回転しながら研削し、ウェーハWとの距離を所定の速度で詰めていく、インフィード加工を行う。
厚みセンサ30は、複数の接触プローブ31を有する。非測定時は、厚みセンサ30の各プローブ31は研削加工領域の外にある。測定時になると、各プローブ31は所定の位置で対象物に接触する。一方の接触プローブ31は、チャック14の表面(チャック面)に接触し、他方の接触プローブ31はチャック面に吸着されたウェーハWの表面に接触する。
従って、一方の接触プローブ31の位置(一方の検出信号)と他方の接触プローブ31の位置(他方の検出信号)との差分は、ウェーハWの厚み寸法となる。ウェーハWの研削に応じて、一方の検出信号と他方の検出信号の差が少なくなっていく。また、ウェーハWに接触した直後からの砥石24の前進量から、ウェーハWの厚み寸法の減少量を差し引いた値は、砥石24の摩耗量となる。
図7を参照する。搬送装置40Pは、チャック装置10Pのチャック14の表面近傍までウェーハWを搬入したり、チャック14から研削の完了したウェーハWを受け取って搬出したりする装置である。搬送装置40Pは、例えば、5軸ロボット、6軸ロボットのように多軸多関節のロボットとして構成される。複数の方向に移動可能なアーム41の先端側には吸着パッド42が設けられている。吸着パッド42は、真空ポンプ(不図示)により作られる負圧力を用いてウェーハWを吸着する。アーム41は、吸着パッド42でウェーハWを吸着した状態でチャック14に向けて伸長し、チャック14にウェーハWを吸着させる。チャック14にウェーハWを吸着させた後、搬送装置40Pは、研削加工に干渉しない所定位置までアーム41を退避させる。
研削装置20Pによる研削加工が終了すると、搬送装置40Pのアーム41が再びチャック14に向けて伸長し、研削されたウェーハWを吸着パッド42に吸着し、そのウェーハWを所定位置に搬出する。ウェーハWは吸着パッド42から取り外され、図示せぬ次工程に送られる。
チャッククリーナ50Pは、チャック14を清掃するための装置であり、搬送装置40Pに対向するようにして設けられている。チャッククリーナ50Pも、搬送装置40Pと同様に、多軸多関節のロボットとして構成される。複数の方向に移動可能なアーム51の先端側にはクリーナ52が取り付けられている。ウェーハWがチャック14から取り外されると、チャッククリーナ50Pは、アーム51をチャック14に向けて伸長し、クリーナ52をチャック14の面に接触させる。クリーナ52がチャック面に接触した状態で、チャック14が回転し、かつ、アーム51が所定範囲で揺動すれば、クリーナ52によりチャック面に付着した異物を除去することができる。
使用環境によっても相違するが、ウェーハWの研削加工を続けるうちに、チャック面の平坦度が低下し、微小な凹凸を生じることがある。チャック面の平坦度が低いと、ウェーハWの研削加工の精度も低下する。そこで、チャック面を砥石で研削することで、所定の平坦度を維持するためのセルフカット処理が、適宜実行されるようになっている。
セルフカット処理を行うための準備として、研削装置20Pでは、砥石を取り付けている複数の取付ボルトを取り外して、ウェーハ研削用の砥石14を研削装置本体21から取り外す。そして、チャック14を研削するための砥石を研削装置本体21に取り付けて、各取付ボルトで締着する。
ウェーハWを吸着していないチャック14を回転させながら、同一方向または反対方向に回転する砥石を押し当てることで、チャック面を研削して平坦にする。セルフカット処理の終了後、上記の手順とは逆に、ウェーハ用の砥石24が研削装置本体21に取り付けられる。
セルフカット処理を行うことにより、チャック14の表面(チャック面)は僅かながら削り取られるため、チャック面の位置は、セルフカット処理前よりもチャック装置本体11側に変位する。このことをチャック面が後退すると表現する場合がある。
セルフカット処理により削り取られる量(チャック14の厚み寸法の減少量)によっても相違するが、ある値以上チャック面が後退すると、搬送装置40Pの搬送位置とチャック面の位置とが一致しなくなり、ウェーハWの円滑な搬入および搬出に支障を生じるおそれがある。同様に、チャック面の後退により、チャッククリーナ50Pの清掃位置とチャック面の位置とが一致しなくなり、チャック面を十分に清掃することができなくなるおそれもある。
そこで、セルフカット処理の終了後には必要に応じて、搬送装置40Pの搬送位置を調整したり、チャッククリーナ50Pの清掃位置を調整したりする。
図8は、比較例の研削加工装置1Pによる研削スピンドルの移動を制御するための処理を示すフローチャートである。
研削加工装置1Pは、上述の通り、回転する砥石24を回転するウェーハWに押し当てながら一定速度で距離を縮めることにより、ウェーハWを所定の厚みとなるまで研削する(S100)。
ステップS100では、複数枚のウェーハWを研削することができる。最後の研削終了時の砥石24の摩耗量をδとする。予め設定される所定枚数のウェーハWを研削加工した後、チャック面の平坦度が測定される。平坦度が所定の平坦度以下になった場合、チャック面の修正が必要であると判定することができる(S101)。なお、チャック面の測定およびステップS101の判定は、作業者により行われてもよいし、自動的に行う構成としてもよい。
チャック面の修正が必要であると判定された場合(S101:YES)、上述したセルフカット処理が行われる(S102)。セルフカット処理により、チャック14の厚み寸法はtだけ小さくなったものとする。
セルフカット処理の終了後に、チャック後退量が大きく調整が必要な場合、搬送装置40Pの位置調整(S103)とチャッククリーナ50Pの位置調整(S104)が行われる。これにより、ウェーハWを研削する準備が整う。
研削加工装置1Pは、研削スピンドルの位置(砥石24の位置)を前回の砥石摩耗量δだけ多く前進させて、ウェーハWの研削を開始する(S105)。なお、チャック面の修正が不要と判定された場合(S101:NO)、ステップS102〜S104はスキップされてステップS105に移る。
このように比較例の研削加工装置1Pでは、チャック装置10Pを固定し、研削装置20Pを移動可能とし、砥石24をチャック14に向けて移動させる。そのため、上述の通り、セルフカット処理によって所定量以上チャック面の位置が変化した場合には、搬送装置40Pおよびチャッククリーナ50Pの位置をそれぞれ調整する必要がある。
換言すれば、それらの位置調整が必須であるため、比較例の研削加工装置1Pでは、搬送装置40Pおよびチャッククリーナ50Pをそれぞれ多軸多関節のロボットまたは移動機構として構成する必要があり、研削加工装置1Pのコストを増大させている。さらに、各装置40P、50Pの位置調整をそれぞれ個別に行う必要があるから、作業工数が多くなり、段取りのための時間が長くなり、作業効率が低下する。そこで、以下に述べるように、本発明では、従来の固定観念を打ち破り、チャック装置10を移動可能とし、研削装置20を固定して、チャック装置10を研削装置20に向けて移動させる構成とした。
図1〜図5を参照して本発明の実施例を説明する。本実施例の説明に際して、図6〜図8で述べた説明が適宜援用される。図1は本実施例に係る研削加工装置1の正面図であり、図2は研削加工装置1の平面図である。
インフィード加工を行う研削加工装置1は、ベッド2と、ベッド2上に対向して配置される「研削対象物保持部」としてのチャック装置10および「研削部」としての研削装置20と、厚みセンサ30と、「付属機構部」としての搬送装置40およびチャッククリーナ50とを備える。「制御部」としての制御装置3は、各装置10,20,30,40,50と電気的に接続されており、それら各装置10〜50を適宜制御する。
研削加工装置1は、比較例とは逆に、研削装置20がベッド2上に固定されており、チャック装置10はベッド2上を移動可能となっている。このため、チャック装置10には、送り機構13が設けられており、研削装置20には送り機構が設けられていない。送り機構13は、例えばサーボモータ等の回転力を軸方向の力に変換して、チャック装置10をチャックスピンドル軸O1の方向に進退させる。
チャック14は、所定の基準位置RPで停止中に、搬送装置40によりウェーハWが搬入または搬出される。また、チャック14は基準位置RPで送り軸が停止中に、チャッククリーナ50によりチャック面が清掃される。
チャック14は、所定タイミングで基準位置RPで停止するように、送り機構13の送り量と方向とが制御される。従って、搬送装置40は、基準位置RPで停止するチャック14に対して、ウェーハWの搬入または搬出を行えばよい。同様に、チャッククリーナ50も、基準位置RPで停止するチャック14に対して清掃作業を行えばよい。このように、搬送装置40およびチャッククリーナ50の作業位置は基準位置RPであることが保証されている。
従って、搬送装置40は、チャック14および砥石24の外側から、基準位置RPで停止しているチャック14の面に向けて、アーム41を伸縮できる構造であればよい。同様に、チャッククリーナ50も、チャック14および砥石24の外側から、基準位置RPで停止しているチャック14の面に向けて、アーム51を伸縮できる構造であればよい。従って、搬送装置40およびチャッククリーナ50は、チャックスピンドル軸O1と同一平面上で直交する方向(例えば図2中の左右方向)にアーム41,51を伸縮する一軸の移動機構、または、2軸の移動機構のように簡易な構造でよい。このような機構は、例えば、電動シリンダなどから容易かつ低コストに製造することができる。少なくとも、本実施例の搬送装置40およびチャッククリーナ50は、比較例の搬送装置40Pおよびチャッククリーナ50Pよりも、少ない軸および関節を有する機構として構成できる。
図3のフローチャートを参照して、本実施例の研削加工装置1によるチャックスピンドルの移動を制御するための処理を説明する。図3の処理の全部または多くは、制御装置3により実行される。図3に示す処理の少なくとも一部、例えばステップS12を作業者が行う構成としてもよい。
研削加工装置1は、通常のインフィード加工処理を実行する(S11)。研削加工装置1は、基準位置RPでチャック14を停止させ、搬送装置40によりチャック14までウェーハWを搬入し、チャック14に吸着させる。ウェーハWを吸着したチャック14は所定方向に回転しながら、研削装置20の砥石24に向けて前進する。砥石24はウェーハWと同一方向または反対方向に回転しながらウェーハWの表面を研削する。研削が終了すると、チャック装置10は基準位置RPまで後退する。研削のために前進した量と同じ量だけ後進することで、チャック14は基準位置RPに到達する。
チャック14が基準位置RPに戻って停止すると、搬送装置40のアーム41がチャック14に向けて進入し、研削加工済みのウェーハWを吸着パッド42で吸着する。搬送装置40は、アーム41を縮小させることで、ウェーハWを搬出する。搬出されたウェーハWは図示せぬ次工程に送られる。
ウェーハWがチャック14から取り外されると、チャッククリーナ50のアーム51がチャック14に向けて進入し、クリーナ52がチャック面に接触する。クリーナ52が接触したままチャック14が回転することで、チャック面が清掃される。
研削加工装置1は、例えば所定枚数のウェーハWの研削後で、チャック面の平坦度を測定し、チャック面の修正が必要か判定する(S12)。修正が必要であると判定した場合(S12:YES)、研削加工装置1は、セルフカット処理を実行する(S13)。
セルフカット処理を行う場合は、比較例で述べたように、研削装置20からウェーハ研削用の砥石24を取り外し、チャック研削用の砥石に付け替える。その後、チャック装置10を前進させてチャック面に砥石を接触させることで、チャック面を僅かに削って平坦にする。セルフカット量をtとする。
セルフカット処理によりチャック14は寸法tだけ薄くなるため、チャック14を基準位置RPから前進させた量と同じ量だけ後進させても、チャック面の位置は基準位置RPに一致しない。そこで、研削加工装置1は、チャック装置10を寸法tだけ前進させて、チャック面を基準位置RPに位置させる。
研削装置20では、チャック研削用の砥石をウェーハ研削用の砥石に付け替える。基準位置RPで、チャック装置10のチャック14は新たなウェーハWを吸着する。そして、研削加工装置1は、送り機構13によってチャック装置10を研削装置20に向けて前進せしめ、チャック14に吸着されたウェーハWを砥石24で研削する(S14)。
このようにセルフカット処理の終了後は、チャック14はセルフカット量tだけ前進して基準位置RPに到達し、そこでウェーハWが取り付けられた後、前回の送り量に砥石摩耗量δを加えた量だけ前進する。研削加工装置1は、チャック14を、基準位置RPを基準として進退させる。
チャック面の修正が不要であると判定した場合(S12:NO)、セルフカット処理は行われない。従って、研削加工装置1は、前回の送り量に砥石摩耗量δを加えた量だけ、チャック14を砥石24に向けて前進させ、ウェーハWを研削する(S15)。
図4は、本実施例と比較例とによる搬送作業の相違を示す説明図である。図4(a)は比較例の場合を示し、図4(b)は本実施例の場合を示す。比較例の研削加工装置1Pでは、搬送装置40Pのアーム41がチャック14に向けて移動する。従って、上述の通り、チャック面の位置がセルフカット処理によって変化すると、アーム41の挿入位置も調整する必要がある。これに対し、本実施例の研削加工装置1は、チャック面が常に基準位置RPを基準として移動するように制御するため、搬送装置40のアーム41の挿入位置(作業位置)を固定することができる。従って、本実施例では、搬送装置40の構成を比較例の場合よりも簡素にでき、動作の軸および関節の数を減らして低コストに製造することができる。
図5は、本実施例と比較例とによる清掃作業の相違を示す説明図である。図5(a)は比較例の場合を示し、図5(b)は本実施例の場合を示す。比較例の研削加工装置1Pでは、チャッククリーナ50Pのアーム51がチャック14に向けて移動する。従って、チャック面の位置が変化すると、それに合わせてアーム51の挿入位置も調整しなければならない。これに対し、本実施例の研削加工装置1は、チャック面が基準位置RPを基準として移動するように制御するため、チャッククリーナ50のアーム51の挿入位置(作業位置)を固定できる。従って、搬送装置40で述べたと同様に、本実施例では、チャッククリーナ50の構成を簡素化することができ、製造コストを低減できる。
このように構成される本実施例によれば、チャック14を砥石24に向けて移動させるため、セルフカット処理によりチャック面の位置が変化した場合でも、その変化を補償するようにチャック14を移動させて基準位置RPに位置させることができる。従って、本実施例では、搬送装置40およびチャッククリーナ50の作業位置を固定したままで、所定の作業を行わせることができる。この結果、搬送装置40およびチャッククリーナ50の構成を簡素化して低コストに製造することができ、ひいては研削加工装置1のコストを低減することができる。
また本実施例では、チャック面の変化はチャック装置自体の移動量によって吸収され、搬送装置40とチャッククリーナ50の位置調整を行う必要がないため、調整作業を廃止できる分、作業効率を向上することができる。これにより、研削加工装置1の利便性も向上する。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
1:研削加工装置、2:ベッド、3:制御装置、10:チャック装置、11:チャック装置本体、12:取付部、13:送り機構、14:チャック、20:研削装置、21:研削装置本体、22:取付部、24:砥石、30:厚みセンサ、31:接触プローブ、40:搬送装置、41:アーム、42:吸着パッド、50:チャッククリーナ、51:アーム、52:クリーナ、RP:基準位置

Claims (7)

  1. 研削対象物を保持する研削対象物保持部と、砥石により前記研削対象物を研削する研削部とを備えた研削加工装置であって、
    前記研削対象物保持部を移動させるための移動部と、
    前記移動部を制御するための制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記移動部により前記研削対象物保持部を前記研削部に向けて移動させることで研削加工することを特徴とする、
    研削加工装置。
  2. 前記制御部は、
    前記研削部による研削加工の前後に、前記研削対象物保持部を前記移動部により、前記研削対象物保持部の移動軸上に設定される所定の基準位置まで移動させるようになっており、かつ、
    前記研削対象物保持部の保持面が前記研削部により研削されて厚み寸法が減少した場合は、その減少分を補うようにして前記研削対象物保持部を移動させることで、前記所定の基準位置に位置させる、請求項1に記載の研削加工装置。
  3. 前記制御部からの指示により、前記研削対象物保持部が前記所定の基準位置にある場合に、前記研削対象物保持部に対して所定の操作を行うための付属機構部を少なくとも一つ備えており、
    前記付属機構部は、前記所定の操作を行うためのアーム部を有しており、前記アーム部を所定の方向から前記研削対象物保持部に向けて出し入れすることで前記所定の操作を実行する、請求項2に記載の研削加工装置。
  4. 前記付属機構部には、前記研削対象物保持部への前記研削対象物の搬入または搬出を行う研削対象物搬送部が含まれる、請求項3に記載の研削加工装置。
  5. 前記付属機構部には、前記研削対象物保持部を清掃するための清掃部が含まれる、請求項4に記載の研削加工装置。
  6. 前記研削対象物保持部は、前記研削対象物を回転させながら保持するものであり、
    前記研削部は、前記砥石を前記研削対象物の回転方向と同一方向または反対方向に回転させながら前記研削対象物に一定速度で近づけることで研削するインフィード研削部であり、
    前記移動部は、前記制御部からの制御信号に従って、前記研削対象物の回転軸に沿って前記研削対象物保持部を移動させるものであり、
    前記付属機構部は、前記研削対象物の回転軸と同一平面上で直交する方向を前記所定の方向として、前記アーム部を前記研削対象物保持部に向けて出し入れする、
    請求項3〜5のいずれかに記載の研削加工装置。
  7. 研削対象物を砥石により研削する研削加工装置を制御する方法であって、
    前記研削加工装置を制御する制御部から指令を出力することにより、
    前記研削対象物を保持する研削対象物保持部を、予め設定される所定の基準位置に位置させ、
    研削対象物を搬入または搬出するための研削対象物搬送部のアーム部を前記所定の基準位置に位置する前記研削対象物保持部に向けて出し入れすることで、前記研削対象物を前記研削対象物保持部に保持させ、
    前記研削対象物を保持した前記研削対象物保持部を前記研削部に向けて移動させ、
    前記研削対象物保持部に保持された前記研削対象物を前記研削部の保持する前記砥石により研削し、
    研削が終了した前記研削対象物を保持する前記研削対象物保持部を前記所定の基準位置に戻し、
    前記研削対象物搬送部のアーム部を前記所定の基準位置に位置する前記研削対象物保持部に向けて出し入れすることで、研削が終了した前記研削対象物を前記研削対象物保持部から取り外して次工程に送り、
    前記研削対象物保持部の保持面を研削するセルフカット処理が必要であると判定された場合は、前記研削対象物保持部を研削対象物を保持しない状態で前記研削部に向けて移動させて、前記研削対象物保持部の保持面を前記研削部により研削し、
    前記研削対象物保持部の保持面が前記セルフカット処理により研削されて厚み寸法が減少した場合、その減少分を補うようにして前記研削対象物保持部を移動させることで、前記所定の基準位置に位置させる、
    研削加工装置の制御方法。
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