以下本発明に係る建物用遮蔽体(以下の説明では、単に「遮蔽体」と記載する)を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、遮蔽体は、ビル(建物の一例)の解体工事の際に、ビルにおける所定の複数階(例えば最上階である八階から五階)の側周を、全域に亘って遮蔽するものとして説明する。
図1に示すように、遮蔽体1は、ビル2の外壁面3側から所定距離Lだけ離間した位置に配置される。所定距離Lは、足場工4を設置するために設けられている。足場工4は、公知の技術であるので概略のみ説明する。足場工4は、ビル2の躯体にアンカー(図示せず)等の固定具によって固定される枠組体5を備える。
枠組体5は、複数の建枠部材6を備えている。建枠部材6どうしは、ビルの側周方向に沿って所定間隔L1だけ離間して配置されている。各建枠部材6は、一対の脚部材7と脚部材7どうしを連結する連結部材8とを備えて門型に形成されている。
各建枠部材6は、その幅方向を、外壁面3の対応する面部分に対して直交する方向の垂直平面に沿わせるよう配置されている。図2に示すように、各建枠部材6の脚部材7のうち、外側(ビル2から離れる側)の脚部材7に、第一パネル10または第二パネル11を保持するための、挿入部材であるフックFが取付けられている。足場工4は、複数の足場板9を備え、足場板9どうしは、隣り合う建枠部材6の間を挿通するようにして、建枠部材6に支持されている。
本実施形態では、遮蔽体1は、ビル2の側周方向に沿う長さを定めた寸法を有する複数の第一パネル10と、ビル2の側周方向に沿う長さを調節できる複数の第二パネル11とを備えている。第一パネル10と第二パネル11とが、ビル2の側周方向に並べて連結されることでビル2の側周に配置されて、遮蔽体1は、ビル2の側周を略等しい高さ範囲で遮蔽してなる。
第一パネル10の構成は公知の技術であるので、図3および図4に基づいて、以下に概略構成を説明する。第一パネル10は、決められた寸法の矩形に形成されたパネル本体100と、パネル本体100の四辺部(外辺部)101に装着されたフレーム部材102とを備える。このような構成の第一パネル10は、ビルの側周方向に沿う、決められた長さ(矩形の一辺の長さ)を、例えば、600、900、1200、1500、1800mmに設定されている。
フレーム部材102は、上フレーム部材103、下フレーム部材104、右フレーム部材105、および左フレーム部材106の組み合わせから構成されている。各フレーム部材103,104,105,106は、同一断面形状に形成されており、パネル本体100の四辺部101を嵌合させる嵌合溝107と、後方へ向けて延設されたフランジ部108とを一体的に備えている。特に、上フレーム部材103および下フレーム部材104のフランジ部108には、その端側寄りに、フックFが挿通される楕円孔109が形成されている。
図5、6、7、10に示すように、第二パネル11は、三個のパネル部を備えるパネル構造体である。すなわち、第二パネル11は、ビル2の側周方向両側に配置される一対の端側パネル部12,13と、双方の端側パネル部12,13に対して厚み方向(以下、「前後方向」と記載する)FRで重なって端側パネル部12,13どうしに亘る中央側パネル部14とを有する。なお、前後方向FRは、第二パネル11における厚み方向である。また、中央側パネル部14において、ビル2の側周方向に沿う長さは、端側パネル部12,13における、ビル2の側周方向に沿う長さの約2倍に設定されている。そして、第二パネル11はビル2の外壁面3に倣う方向に配置されるから、前後方向FRもまた、ビル2の外壁面3の方向に応じて変化する(図1参照)。
端側パネル部12,13どうしは、本実施形態においては、第二パネル11の側周方向両側において対称な構成である。このため、一方の端側パネル部12の構成の説明が、他方の端側パネル部13の構成の説明に兼用される。
端側パネル部12は、矩形の端側パネル本体15と、端側パネル本体15の四辺部(外辺部)に装着された端側フレーム部材120とを備える。換言すれば、端側パネル本体15は、矩形の端側フレーム部材120に保持されている。なお、端側パネル本体15は、遮音性に優れた材料で形成されている。
端側フレーム部材120は、端側上フレーム部材16、端側下フレーム部材17、端側右フレーム部材18、および端側左フレーム部材19を備える。端側上フレーム部材16は、端側パネル本体15の上辺部に装着される。端側下フレーム部材17は、端側パネル本体15の下辺部に装着される。端側右フレーム部材18は、端側パネル本体15の縦方向の一辺部(図5において右側の一辺)に装着される。端側左フレーム部材19は、縦方向の他辺部(図5において左側の一辺)に装着される。
端側上フレーム部材16、端側下フレーム部材17、および端側右フレーム部材18の断面形状は同一である。ここでは便宜上、端側下フレーム部材17の構成を、図10、11を参照しつつ説明する。端側下フレーム部材17の構成の説明が、端側上フレーム部材16および端側右フレーム部材18の構成の説明に兼用される。
端側下フレーム部材17は、表側保持部20と裏側保持部21とを備える。表側保持部20は、表側(ビル2から離れる側であり、正面側である)に配置されて端側パネル本体15を保持するよう構成されている。裏側保持部21は表側保持部20の裏側(ビル2側であり、背面側である)に配置されるとともに中央側パネル部14を保持して案内可能なように構成されている。表側保持部20と裏側保持部21とは、一体的に形成されている。
表側保持部20は、前フレーム本体22、前保持条片23、およびガイドレール24を備える。前フレーム本体22は、前板22a、後板22b、天板22c、および底板22dを備えて断面矩形に形成されている。この前フレーム本体22は、端側パネル本体15を保持できるよう、その下辺部の長さに比べて長く形成されている。
前保持条片23は、前板22aの上下方向途中部に一体的に形成され端側パネル本体15の下辺部を嵌合して保持するよう構成されている。具体的に、前保持条片23は、突出部23aと、立上部23bとを備えている。突出部23aは、前板22aの板面の上下方向途中部分から、端側パネル本体15の下辺部の厚みに相当する分だけ前方に向けて突出されている。立上部23bは、突出部23aの先端部から上方へ向けて延長されている。前保持条片23は、前フレーム本体22の前板22aの長手方向(側周方向)に沿って形成されている。
ガイドレール24は、前フレーム本体22の後板22bの上下方向途中にあって後方に向けて突出されている。ガイドレール24は、前フレーム本体22の後板22bの長手方向に沿って形成されている。ガイドレール24の位置は、前保持条片23に比べて低い位置に設定されている。ガイドレール24の断面形状は、特に限定されるものではなく、矩形、半円形、三角形等が考えられるが、この場合は、矩形に形成されている。
裏側保持部21は、前フレーム本体22の底板22dの後端から、さらに後方へ向けて延長するよう形成されている。裏側保持部21は、支持板部25と、突起26とを備えている。
支持板部25は、底板22dの後端からさらに後方へ向けて突出するよう延長され、前フレーム本体22の長手方向に沿って形成されている。突起26は、支持板部25の後端から上方へ向けて突出するよう形成され、支持板部25の長手方向に沿って形成されている。支持板部25の左右両側寄りに、左右方向を長径とする、係止用孔である楕円孔25a,25aが形成されている(図11参照)。楕円孔25a,25aは、建枠部材6の脚部材7に固定されたフックFに係止される。
楕円孔25a,25aは、端側パネル部12,13を左右方向で合わせて、第二パネル11を正面視した場合に、端側パネル部12,13の裏側に中央側パネル部14が隠蔽された際(図8参照)にでも、中央側パネル部14によって全部を隠されない位置に設定されている。
前述したように、端側上フレーム部材16、端側下フレーム部材17、および端側右フレーム部材18の断面形状は同一である。そして、端側下フレーム部材17の構成は、上述したとおりである。すなわち、端側上フレーム部材16は端側下フレーム部材17と同じ物を上下反転させて用いられている。
但し、端側右フレーム部材18は、上下方向に沿って配置される構成と、長手方向の長さ(端側下フレーム部材17においては側周方向の長さ、端側右フレーム部材18においては上下方向長さ)を異ならせている構成、楕円孔25a,25aの有無という構成で、端側下フレーム部材17の構成と異なる。
具体的には、端側右フレーム部材18は、端側下フレーム部材17に比べて短く形成されている。端側左フレーム部材19は、端側右フレーム部材18の断面構成(端側下フレーム部材17の断面構成でもある)に対して、裏側保持部21を省略した形態に形成されている。端側左フレーム部材19は、端側右フレーム部材18と等しい長さに設定されている。また、楕円孔25a,25aは、端側下フレーム部材17および端側上フレーム部材16には形成されているのに対して、端側右フレーム部材18には備えていない。また、端側左フレーム部材19は支持板部25を有しないから、端側左フレーム部材19も楕円孔25a,25aを有しない。
これら端側上フレーム部材16、端側下フレーム部材17、端側右フレーム部材18、および端側左フレーム部材19が、それぞれ端側パネル本体15の一辺部を保持している。具体的に、端側パネル本体15の四辺部が、端側上フレーム部材16、端側下フレーム部材17、端側右フレーム部材18、および端側左フレーム部材19における前フレーム本体22の前板22aと前保持条片23との間に嵌め込まれることで、端側パネル本体15は、各端側フレーム部材に保持されている。
端側パネル本体15は、各端側フレーム部材の前フレーム本体22の後板22bに、ねじ(皿ねじ)n1によって固定されている。各前フレーム本体22の後板22bには、ねじn1の頭部naを後板22bから突出させないようにする凹部22eが形成されている。すなわち、ねじn1を前フレーム本体22および端側パネル本体15に螺合して、前フレーム本体22を端側パネル本体15に固定した状態で、頭部naは凹部22eに没する。
端側上フレーム部材16、端側下フレーム部材17、端側右フレーム部材18、および端側左フレーム部材19のうち、端側上フレーム部材16および端側右フレーム部材18のうちの半分の領域は一体物であり、一つの型材において、隅部となる特定部位をほぼ90度に切欠いて、該型材を折り曲げることで形成されている。また、端側下フレーム部材17および端側右フレーム部材18のうちの残りの半分の領域は一体物であり、一つの型材において、隅部となる特定部位を同じくほぼ90度に切欠いて、該型材を折り曲げることで形成されている。
端側右フレーム部材18は、半分の領域の端面どうしを突き合わせて固定されている。なお、端側上フレーム部材16および端側左フレーム部材19、端側下フレーム部材17および端側左フレーム部材19は、それぞれ隅部どうしに亘れた連結部材(例えばL字形状に形成されたアングル部材)によって連結されている。
なお、図5、図8および図9に示すように、端側パネル部12において、端側右フレーム部材18の右側面には、遮蔽体1の設置に際して、隣り合うパネル(第一パネル10または第二パネル11)の側面に当接して隣り合うパネルどうしの側周方向の隙間を生じさせないようにするための、埋め部材27が取付けられている。埋め部材27は、平面視して筒状の部材を半割りした形状に形成され、開放側を側面に接触させて取付けられている。
図5ないし図11を参照して、中央側パネル部14は、矩形の中央側パネル本体30と、中央側パネル本体30の四辺部(外辺部)に装着された中央部フレーム部材とを備える。換言すれば、中央側パネル本体30は、矩形の中央側フレーム部材140に保持されている。なお、中央側パネル本体30は、遮音性に優れた材料で形成されている。特に採光のためには、遮音性のあるポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
中央側フレーム部材140は、中央側上フレーム部材31、中央側下フレーム部材32、中央側右フレーム部材33、および中央側左フレーム部材34を備える。中央側上フレーム部材31は、中央側パネル本体30の上辺部に装着される。中央側下フレーム部材32は、中央側パネル本体30の下辺部に装着される。中央側右フレーム部材33は、中央側パネル本体30の縦方向の一辺部(図6において左側の一辺)に装着される。中央側左フレーム部材34は、縦方向の他辺部(図6において右側の一辺)に装着される。
中央側上フレーム部材31、中央側下フレーム部材32、中央側右フレーム部材33、および中央側左フレーム部材34の断面形状は同一である。ここでは、中央側下フレーム部材32の構成を、図10を参照しつつ説明する。中央側下フレーム部材32の構成の説明が、中央側上フレーム部材31、中央側右フレーム部材33、および中央側左フレーム部材34の構成の説明に兼用される。
中央側下フレーム部材32は、上部に配置された上側保持部35と、下部に配置された被案内部36とを備える。上側保持部35と被案内部36とは、一体的に形成されている。
上側保持部35は、断面矩形形状に形成された後フレーム本体37と、中央側パネル本体30の下辺部を挟持して保持する後保持条片38,39とを備える。後フレーム本体37は、側周方向を長手方向として延長されている。
後保持条片38,39は、後フレーム本体37の天板37aに、上方へ向けて延長されるよう一体的に形成されている。後保持条片38,39は前後一対で設けられている。後保持条片38,39どうしは、前後方向FRに離間して配置されており、後保持条片38,39の間に、中央側パネル本体30の下辺部が嵌め込まれる。後保持条片38,39は、前保持条片23に平行に配置されている。
後フレーム本体37は、支持板部25の前後方向FR領域内に収まるよう配置されている。中央側パネル本体30は、支持板部25の前後方向FR領域内に収まる位置に配置されている。すなわち、後保持条片38,39における保持位置が、支持板部25の前後方向FR領域内に収まるよう配置されている。
後保持条片38,39の間に嵌め込まれた中央側パネル本体30の下辺部に、後側の後保持条片39から取付ねじn2が螺合して、中央側パネル本体30の下辺部が、中央側下フレーム部材32に固定されている。
被案内部36は、端側パネル部12,13の端側下フレーム部材17に、側周方向に沿って案内可能な部分である。被案内部36は、後フレーム本体37の底板37bに、下方へ突出するよう一体的に形成されている。被案内部36は、前面被案内溝部40と、下面被案内溝部41と、脱落防止条片42と、被案内突条45とを備える。
前面被案内溝部40の断面はガイドレール24の断面と相対形状に形成され、前面被案内溝部40は、ガイドレール24に遊嵌する溝である。下面被案内溝部41の断面は、裏側保持部21の突起26の断面に相対形状に形成されて突起26に遊嵌する溝である。被案内突条45は、前面被案内溝部40と下面被案内溝部41との間にあって、ガイドレール24と裏側保持部21との間に遊嵌されている。換言すれば、被案内突条45は、裏側保持部21にスライド可能に係止されている。
脱落防止条片42は、下面被案内溝部41の後側にあって、突起26をその後側で係止する部分である。脱落防止条片42は、被案内部36の上下方向途中部分から後方へ向けて突出する亘り部43と、亘り部43の後端から下方へ向けて延長された押え部44とを備える。
押え部44は、後保持条片38,39、中央側パネル部14等と平行な板状に形成されている。特に、押え部44の外端面44aは、支持板部25の外端面25cと面一となるよう設定されている。なお、外端面44a,25cとは、中央側パネル本体30の板面中心を基準として、該板面中心から板面に沿う方向の外方側に離れた端面である。
前述したように、中央側上フレーム部材31、中央側下フレーム部材32、中央側右フレーム部材33、中央側左フレーム部材34の断面形状は同一である。そして、中央側下フレーム部材32の構成は、上述したとおりである。すなわち、中央側上フレーム部材31は中央側下フレーム部材32と同じ物を上下反転させて用いられている。
但し、中央側右フレーム部材33および中央側左フレーム部材34は、上下方向に沿って配置される構成と、長手方向の長さ(中央側下フレーム部材32においては側周方向の長さ、中央側右フレーム部材33においては上下方向長さ)を異ならせている構成、図11に示すように、ストッパS,Sを備えるという構成の点で中央側下フレーム部材32の構成と異なる。
具体的に、中央側右フレーム部材33および中央側左フレーム部材34は、中央側下フレーム部材32に比べて短く形成されている。また、中央側右フレーム部材33および中央側左フレーム部材34は、ストッパS,Sを備えるが、中央側上フレーム部材31および中央側下フレーム部材32はストッパS,Sを備えない。
ストッパS,Sは、中央側右フレーム部材33および中央側左フレーム部材34のそれぞれにおいて、その前面側にあって、上下方向に沿って取付けられている。すなわちストッパS,Sは、端側パネル本体15と、中央側パネル本体30との間にある。ストッパS,Sは断面矩形の環状に形成され、その側面S1,S1が、端側右フレーム部材18、端側左フレーム部材19の前フレーム本体22の天板22cに当接可能な面である。
端側パネル部12,13の裏側に中央側パネル部14が隠蔽された際にでも、楕円孔25a,25aが中央側パネル部14によって全部を隠されない位置に設定されている構成は、前フレーム本体22の天板22cと、ストッパS,Sの側面S1,S1との位置関係の設定による。
これら中央側上フレーム部材31、中央側下フレーム部材32、中央側右フレーム部材33、および中央側左フレーム部材34が、それぞれ中央側パネル本体30の一辺部を保持している。具体的に、中央側パネル本体30の四辺部が、中央側上フレーム部材31、中央側下フレーム部材32、中央側右フレーム部材33、および中央側左フレーム部材34における後保持条片38,39に挟持されるよう嵌め込まれることで、中央側パネル本体30は、中央側フレーム部材140に保持されている。中央側パネル本体30は、中央側フレーム部材140の後保持条片39に、その後方から螺合するねじn2によって固定されている。
中央側上フレーム部材31、中央側下フレーム部材32、中央側右フレーム部材33、および中央側左フレーム部材34のうち、隣り合う中央側フレーム部材140は、隣り合う中央側フレーム部材140の隅部どうしに亘れた連結部材(例えばL字形状に形成されたアングル部材)によって連結されている。
上記構成の遮蔽体1は、ビル2の解体工事の際に用いられる。その場合、遮蔽体1は、ビル2における所定の複数階(例えば最上階である八階から五階)の側周を、全域に亘って遮蔽するように用いられる。
ビル2における所定の複数階の側周を遮蔽させるために、一つの遮蔽体1では上下方向高さが不足する場合は、複数の遮蔽体1を上下方向に組合せて設置することになる。但し、以下の説明では、一つの遮蔽体1の作用についての説明が、他の遮蔽体1の作用の説明に兼用される。
遮蔽体1は、ビル2の外壁面3に設置された足場工4に設置される。足場工4には、ビル2の側周方向に沿う長さが定められた寸法を有する複数の第一パネル10と、側周方向の長さを調節可能な第二パネル11とが、ビル2の側周方向に沿うよう、隣り合って配置される。また、図2に示すように、第一パネル10および第二パネル11は、何れも楕円孔25a,25a(但し、第一パネル10の長孔は図示していない)をフックFに係止することで、足場工4に保持される。
遮蔽体1の設置に際し、予めビル2の側周方向の距離は、わかっている。また、第一パネル10は、決められた寸法を有している。このため、遮蔽体1の設置に際し、何れの寸法を有する第一パネル10が幾つ準備されていればよいかを、知ることができる。しかしながら、特に、図1に示すビル2のように、平面視して単純な矩形でない形状のビル2では、第一パネル10のみではビル2の側周方向を隙間なく、全域にわたって遮蔽することはできない。
このため、第一パネル10の設置だけでは不足する側周方向領域に、第二パネル11が用いられる。第二パネル11は、側周方向の長さを調節可能であるから、遮蔽が不足する側周方向領域である、その側周方向の長さに応じて第二パネル11の長さを調節して、足場工4に設置する。これによって、ビル2の側周方向全領域を遮蔽することができる。
具体的に、第二パネル11の長さの調節は、端側パネル部12,13と中央側パネル部14とを、側周方向に相対的に移動させることで行うことができる。さらに具体的には、端側パネル部12と中央側パネル部14とが側周方向に相対的に移動可能であり、端側パネル部13と中央側パネル部14とが側周方向に相対的に移動可能である。
ここで、図5に示すような、端側パネル部12,13どうしを離間させた状態(開状態)から、例えば右側の端側パネル部12を動かさずに、中央側パネル部14を右方向へ移動させて、第二パネル11の側周方向の長さを小さくする場合を考えるとする。
この場合、中央側パネル部14および左側の端側パネル部13が、右方向へ移動して、第二パネル11の長さが変更され、図8に示すような、端側パネル部12,13の端側フレーム部材どうしが接触した状態(閉状態)に近付く。すなわち、第二パネル11の長さが短くなる。
このように、右側の端側パネル部12を動かさずに、中央側パネル部14を右方向へ移動する場合では、中央側パネル部14において、中央側下フレーム部材32が右側の端側パネル部12の端側下フレーム部材(裏側保持部21およびガイドレール24)に、側周方向(右方向)に案内される。すなわち、前面被案内溝部40がガイドレール24に案内され、下面被案内溝部41が突起26に案内され、被案内部36が端側下フレーム部材17の裏側保持部21に案内される。
そして、中央側右フレーム部材33のストッパSが、右側の端側パネル部12の表側保持部20における天板22cに当接すると、中央側パネル部14は、それ以上移動できなくなる。
以上の動作は、左側の端側パネル部13を動かさずに、中央側パネル部14(および右側の端側パネル部12)を左側へ移動させる場合においても同様である。
また、本実施形態の第二パネル11では、中央側パネル部14に対して、右側の端側パネル部12、または(および)左側の端側パネル部13を移動させることが可能である。この場合では、中央側パネル部14の中央側下フレーム部材32に、右側の端側パネル部12の端側下フレーム部材17、あるいは左側の端側パネル部13の端側下フレーム部材17が側周方向に案内される。
端側パネル部12,13に対して中央側パネル部14を移動させる場合も、中央側パネル部14に対して端側パネル部12,13を移動させる場合も、ストッパSが端側パネル部12,13の表側保持部20における天板22cに当接すると、それ以上縮まらない。すなわち、図8に示すように、端側パネル部12,13の端側フレーム部材どうしが接触した閉状態となる。
図8に示す閉姿勢から、第二パネル11の側周方向の長さを長くする場合は、中央側パネル部14に対して、端側パネル部12と端側パネル部13とを互いに側周方向に離間させる。この場合、中央側パネル部14の中央側下フレーム部材32と端側パネル部12,13の端側下フレーム部材17とにおける案内部分、被案内部分との関係は、端側パネル部12,13に対して中央側パネル部14を移動させる場合とは逆になる。すなわち、中央側下フレーム部材32に対して端側下フレーム部材17が案内される。
何れにしても、中央側パネル部14と端側パネル部12,13とを、側周方向に相対的に移動させることで、第二パネル11の側周方向の長さを調節することができる。したがって、遮蔽が不足する側周方向領域である、その側周方向の長さに応じて、第二パネル11の長さを調節して、足場工4に設置することで、ビル2の側周方向全領域が遮蔽される。これによって、遮蔽体1は、ビル2の外部へ騒音を漏らしたり、粉塵を飛散させたり、あるいはビル2から取り外されたボルト等が、ビル2の外部へ飛来落下するのを防止することができる。
特に、第二パネル11の長さを調節する際には、端側パネル部12,13のうちの一方をフックFに保持させた状態で、他方の端側パネル部12,13、中央側パネル部14を移動させるようにして、他方の端側パネル部12,13をフックFに保持させるようにすると、第二パネル11の長さ調節作業がし易く、しかも双方の端側パネル部12,13がフックFに保持されるから、第二パネル11を安定した状態で設置させることができる。
また、第二パネル11の長さを調節して遮蔽が不足する側周方向領域を遮蔽するから、パネル部を切断してその長さ調節をする必要がない。したがって、遮蔽体1の組立てに必要な手間を大幅に抑え得る。
さらに、第二パネル11では、押え部44の外端面44aは、支持板部25の外端面25cと面一となるよう設定されている。この構成により、第二パネル11の長さを調節して、端側パネル部12,13と中央側パネル部14が並ぶ状態となったとしても、端側パネル部12,13の端側上フレーム部材16と、中央側パネル部14の中央側上フレーム部材31との上端は面一になる。また、端側パネル部12,13の端側下フレーム部材17と、中央側パネル部14の中央側下フレーム部材32との下端とは面一になる。
このため、遮蔽体1を上下方向に複数並べたとしても、上下の遮蔽体1どうしの間に隙間が生じない。したがって、風が遮蔽体1の間から入り込んだり、逆に、塵芥がビル2の外へ排出されてしまったりする状態を防止することができ、作業環境の向上を図ることができる。
なお、第二パネル11では、中央側パネル部14が内側(ビル2側)に配置されるようにし、端側パネル部12,13が外側(ビル2から離れる側)に配置されるようにしてもよいし、中央側パネル部14が外側、端側パネル部12,13が内側に配置されるようにしてもよい。
本実施形態の第二パネル11では、端側パネル部12,13の裏側保持部21は、前フレーム本体22の底板22dの後端から後方へ向けて延長するよう形成され、第二パネル11の中央側下フレーム部材32が、端側パネル部12,13の裏側保持部21の内側にあって、裏側保持部21と前後方向で重なる位置にある。
具体的には、後フレーム本体37は、支持板部25の前後方向FR領域内に収まるよう配置されている。中央側パネル本体30は、支持板部25の前後方向FR領域内に収まる位置に配置されている。すなわち、後保持条片38,39における保持位置が、支持板部25の前後方向FR領域内に収まるよう配置されている。このため、大掛かりな保持部分を設けることなく端側パネル部12,13に中央側下フレーム部材32を保持させることができ、第二パネル11全体としてその前後方向FRの長さ(厚み)を増大させることがない。
また、支持板部25の板面に、フックFが係止する楕円孔25a,25aが形成されている。このように、フックFを係止する楕円孔25a,25aを支持板部25に形成することで、フックFを係止する部分を特別に設ける必要がないから、第二パネル11全体としてその前後方向FRの長さ(厚み)を増大させることがない。
さらに、突起26の前面が、被案内部36の被案内突条45の後面と前後方向FRで当接することで、中央側パネル部14が端側パネル部12,13に対して後方へ脱落するのを確実に防止できる。
本発明に係る遮蔽体1は、ビル(建物)2の側周方向に沿う長さを定めた寸法の第一パネル10と、ビル2の側周方向に沿う長さを調節できるよう、前後方向(厚み方向)に重ねられた別体のパネル部(中央側パネル部14および端側パネル部12,13)を有してパネル部どうしを相対的にスライド可能にしてなる第二パネル11とを備え、第一パネル10と第二パネル11とが、ビル2の側周方向に並べて連結されることでビル2の側周に配置されて、ビルの側周を略等しい高さ範囲で遮蔽してなる。
上記構成の遮蔽体1は、第一パネル10および第二パネル11を、ビル2の側周方向に沿わせて連結することで組立てられ、第一パネル10のみでは遮蔽しきれない側周部には、第二パネル11のパネル部どうしを相対的にスライドさせることで、第二パネル11の、側周方向に沿う長さを調節して、ビル2の側周を遮蔽することができる。
本発明に係る遮蔽体1では、第二パネル11は、端側パネル部(一側パネル部)12,13と、端側パネル部12,13に対して前後方向で重なる中央側パネル部(他側パネル部)14とを備え、端側パネル部12,13および中央側パネル部14のうちの何れか一方のパネル部の外辺部に、フレーム部材が装着され、フレーム部材は、前後方向に突出する支持板部25を備え、端側パネル部12,13および中央側パネル部14のうちの他方のパネル部を、支持板部25をガイドとしてスライド可能としている。
上記構成によれば、端側パネル部12,13と中央側パネル部14とは、支持板部25をガイドとして相対的にスライドすることで、側周方向に沿う長さが調節され、端側パネル部12,13と中央側パネル部14とは、前後方向に重なっていても、何れか一方のパネル部の外辺部に装着されたフレーム部材に備えた支持板部25がガイドとなるから、第二パネル11の厚みが増大するのを抑えられる。
本発明に係る遮蔽体1は、支持板部25の板面に、ビル2と第二パネル11との間に配置されたパネル部保持用のフックFに係止する長孔(係止用孔)25a,25aを形成している。なお、本実施形態では、フックFに係止する係止用孔は楕円孔25a,25aであるが、丸孔であってもよい。
上記構成のように、何れか一方のパネル部の外辺部に装着されたフレーム部材に備えた支持板部25に、パネル部保持用のフックFに係止する楕円孔25a,25aが形成されていれば、第二パネル11に、特別に楕円孔25a,25aを形成するための部材を設ける必要がなく、したがって、その分だけ第二パネル11の厚みが増大するのを抑えられる。
本発明に係る遮蔽体1では、第二パネル11は、側周方向両側にある端側パネル部12,13と、双方の端側パネル部12,13に対して前後方向FRで重なって端側パネル部12,13どうしに亘る中央側パネル部14とを有する三枚のパネル部を備え、端側パネル部12,13および中央側パネル部14のうち少なくとも双方の端側パネル部12,13のそれぞれの外辺部に、フレーム部材が装着され、フレーム部材は、前後方向FRに突出する支持板部25を備え、中央側パネル部14が、支持板部25をガイドとしてスライド可能とされている。
上記構成によれば、中央側パネル部14と双方の端側パネル部12,13とは、支持板部25をガイドとして相対的にスライドすることで、側周方向に沿う長さが調節され、中央側パネル部14と双方の端側パネル部12,13、前後方向FRに重なっていても、何れか一方のパネル部の外辺部に装着されたフレーム部材に備えた支持板部25がガイドとなるから、三枚のパネル部を備えていても、第二パネル11の厚みが増大するのを抑えられる。
本発明に係る第二パネル(パネル構造体)11は、ビル2の側周を略等しい高さ範囲で遮蔽する遮蔽体1に用いられ、ビル2の側周方向に沿う長さを調節できるよう、厚み方向に重ねられた、端側パネル部12,13、中央側パネル部14どうしを相対的にスライド可能にしてなる。
上記構成によれば、端側パネル部12,13、中央側パネル部14どうしを相対的にスライドを相対的にスライドさせることで、第二パネル11のビル2の側周方向に沿う長さを調節して、遮蔽体1が組立てられる。この構成では、何れのパネル部が内側、あるいは外側に位置するように、遮蔽体1に組み込まれてもよい。
本発明に係る遮蔽体1は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る遮蔽体1は、上記した作用効果に限定されるものではない。本発明に係る遮蔽体1は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、係止用孔は楕円孔とした。しかしながら、図12ないし図14に示すように、係止用孔を、左右方向(支持板部25の長手方向に沿う方向)を長径とするスライド用長孔25bとすることもできる。この場合、支持板部25の左側寄り(一方寄り)の係止用孔のみをスライド用長孔25bとしている。すなわち、一対の端側パネル部12,13のうち、端側パネル部13に係止用孔であるスライド用長孔25bが形成されている。
スライド用長孔25bは、楕円孔25aに比べて充分に長径を長く形成されている。具体的には、支持板部25の長さの半分以上の長さに設定されている。スライド用長孔25bは、端部フックF1を挿入した状態で後述する隙間δを形成でき、また、端側パネル部12に対して端側パネル部13を側周方向に移動して隙間δを閉じることができる長さを有する。
この実施形態における第二パネル11と、上記実施形態における第二パネル11との構造上の相違は、係止用孔としてスライド用長孔25bとしているか、楕円孔25aとしているかという点であり、他の構成は上記実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
そして上記構成の遮蔽体1は、ビル2の解体工事の際に用いられる。この場合、遮蔽体1は、例えばビル2における所定の複数階(例えば最上階である八階から五階である4階分に相当する高さ)の側周を、全域に亘って遮蔽するように用いられる。
ビル2における所定の複数階の側周を遮蔽させるために、一つの遮蔽体1では上下方向高さが不足する場合は、複数の遮蔽体1を上下方向に組合せて設置することになる。但し、以下の説明では、一つの遮蔽体1の作用についての説明が、他の遮蔽体1の作用の説明に兼用される。
遮蔽体1は、ビル2の外壁面3に設置された足場工4に設置される。足場工4には、ビル2の側周方向に沿う長さが定められた寸法を有する複数の第一パネル10と、側周方向の長さを調節可能な第二パネル11とが、ビル2の側周方向に沿うよう、隣り合って配置される。
また、各建枠部材6の脚部材7のうち、外側の脚部材7に、第一パネル10または第二パネル11を保持するための、挿入部材である端部フックF、中間フック(中間挿入部材に相当する)F1が取付けられている。本実施形態では、平面視して端部フックF、中間フックF1は、側周方向に並べられた一対の係止部Fa,Fbを備えている。各係止部Fa,Fbは、先端部が上方へ向けられた延設片を備えている。
第二パネル11の長さの調節は、端側パネル部12,13と中央側パネル部14とを、側周方向に相対的に移動させることで行うことができる。さらに具体的には、端側パネル部12と中央側パネル部14とが側周方向に相対的に移動可能であり、端側パネル部13と中央側パネル部14とが側周方向に相対的に移動可能である。すなわち、第二パネル11の長さを小さくしたり、大きくしたりする手順は、上記実施形態と同様であるので省略する。
次に、遮蔽体1の設置方法を説明する。本実施形態では、前記所定の複数階分の高さに相当するよう複数枚の第一パネル10を縦方向に並べて第一パネル縦群(図示および符号省略)とし、第一パネル縦群をビル2の側周方向に複数並べる。さらに、側周方向両端部の第一パネル縦群の間に、第二パネル11を配置する。この第二パネル11は、第一パネル縦群と同様に、前記所定の複数階分の高さに相当するよう複数枚の第二パネル11を縦方向に並べて第二パネル縦群(図示および符号省略)としたものである。
上記のように構成した遮蔽体1のうち、第一パネル縦群をビル2の下階から上階へ上昇させる。続いて、第二パネル縦群をビル2の下階から上階へ上昇させる。この場合、第二パネル縦群の各第二パネル11においては、端側パネル部12に対して端側パネル部13を側周方向に移動して側周方向の長さを縮めておき、第一パネル縦群における各第一パネル10との間に側周方向の隙間δを生じさせるようにする。
そうすると、第二パネル縦群をビル2の下階から上階へ上昇させた際に、例えば第二パネル縦群に風荷重が働いたり、第二パネル縦群が多少アンバランスな状態で上階へ向けて上昇させられたりしても、第二パネル縦群に働く負荷が隙間δによって吸収され、第二パネル縦群が第一パネル縦群に衝突したり、重なったりする状態を防止することが可能である。
遮蔽体1を所定の上階まで上昇させた後は、予め足場工4に固定してある端部フックFあるいは中間フックF1に、第一パネル縦群の各第一パネル10、第二パネル縦群の各第二パネル11を保持させる。
具体的には、第一パネル縦群においては、第一パネル10が備えた楕円孔109を、端部フックFの係止部Faあるいは係止部Fbにそれぞれ係止することで、各第一パネル10が端部フックFを介して足場工4に保持される。第二パネル縦群においては、端側パネル部12が備えた楕円孔25aを端部フックFの係止部Faに係止することで各第二パネル11の端側パネル部12側が端部フックFを介して足場工4に保持される。
また、第二パネル縦群においては、端側パネル部13が備えたスライド用長孔25bを端部フックFの両係止部Fa,Fbに係止(挿通)することで各第二パネル11の端側パネル部13側が端部フックFを介して足場工4に保持される。なお、中間フックF1は、端側パネル部13を移動させる際に案内機能を備えるフックである。また、第一パネル10においては、上フレーム部材103に形成された楕円孔109、下フレーム部材104に形成された楕円孔109は、それぞれ上下に並べられた端部フックFの係止部Fbに上方から係止される。第二パネル11においては、上端の支持板部25、下端の支持板部25に形成された楕円孔25a、スライド用長孔25bは端部フックFの係止部Fa、Fbに上方から係止される。
この状態では、第二パネル縦群の各第二パネル11においては、端側パネル部12に対して端側パネル部13が側周方向に移動されて端側パネル部12に近づいていることから、第一パネル縦群における各第一パネル10と、各第二パネル11の端側パネル部13の間に、側周方向の隙間δが形成されている。
ここで、第二パネル11の端側パネル部12の楕円孔25aには端部フックFの係止部Faが係止されていることで端側パネル部12はその場に保持されている。このため、端側パネル部13のみを側周方向に移動させることで、容易に第二パネル11の長さを長くすることができる。そして、端側パネル部13を側周方向に移動する際には、スライド用長孔25bの中間部(途中)に挿入された中間フックF1の係止部Fa,Fbおよびスライド用長孔25bが、端側パネル部13を側周方向へ移動案内させる手段として機能する。
端側パネル部13の側周方向への移動は、隙間δが閉じられるまで、すなわち端側パネル部12とは反対側の側周方向に配置された第一パネル10の側面に当接するまでであり、端部フックFをスライド用長孔25bの端部に挿入することができるまで行う。そしてスライド用長孔25bの端部を、反対側の側周方向で第一パネル10を係止している端部フックFにおける一方の係止部Fbに係止する。
本実施形態では、中央側パネル部14と端側パネル部13とを、側周方向に相対的に移動させること、具体的には中央側パネル部14に対して端側パネル部13を移動させることで、第二パネル11の側周方向の長さを調節することができる。したがって、足場工4に設置した第二パネル11の長さを調節することで、ビル2の側周方向全領域が遮蔽される。これによって、遮蔽体1は、ビル2の外部へ騒音を漏らしたり、粉塵を飛散させたり、あるいはビル2から取り外されたボルト等が、ビル2の外部へ飛来落下するのを防止することができる。
ここで、隙間δにおける側周方向の距離の一例を説明すると、本実施形態のように、所定の複数階(例えば最上階である八階から五階である4階分に相当する高さ)を遮蔽する場合では、隙間δの側周方向の距離は、210mm程度に設定した。
遮蔽体1の設置に際し、予めビル2の側周方向の距離は、わかっている。また、第一パネル10は、決められた寸法を有している。このため、遮蔽体1の設置に際し、何れの寸法を有する第一パネル10が幾つ準備されていればよいかを、知ることができる。しかしながら、特に、図1に示すビル2のように、平面視して単純な矩形でない形状のビル2では、第一パネル10のみではビル2の側周方向を隙間なく、全域にわたって遮蔽することはできない。
このため、第一パネル10の設置だけでは不足する側周方向領域に、第二パネル11が用いられる。第二パネル11は、側周方向の長さを調節可能であるから、遮蔽が不足する側周方向領域である、その側周方向の長さに応じて第二パネル11の長さを調節して、足場工4に設置する。これによって、上記のようにしてビル2の側周方向全領域を遮蔽することができる。
次に、所定の複数階分の高さに相当する領域でのビル2の解体を終了し、下階における所定の複数階分の解体を行うに際して、遮蔽体1を下階の複数階分の高さに相当する領域を遮蔽する場合での、遮蔽体1の設置方法を説明する。
遮蔽体1は、解体を終了した階から、その下階において所定の複数階分の高さに相当する領域まで降ろされる。この場合、第一パネル縦群において楕円孔25aから端部フックFを外し、第一パネル縦群を上階から下階へ下降させる。また、第二パネル11の端側パネル部13を端部フックF1および中間フックF1から外して、上述した設置の場合とは逆の側周方向へ移動して隙間δを形成しておき、そのうえで第二パネル縦群を下降させる。
このようにすることで、第二パネル縦群をビル2の上階から下階へ下降させた際に、例えば第二パネル縦群に風荷重が働いたり、第二パネル縦群がアンバランスな状態で下降させられたりしても、隙間δによって第二パネル縦群に働く負荷が吸収され、第一パネル縦群が第一パネル縦群に衝突したり、重なったりする状態を防止することが可能である。第二パネル縦群を下階へ下降させた後は、上述した設置方法により遮蔽体1を足場工4に設置する。
本実施形態では、第二パネル11の長さを調節して遮蔽が不足する側周方向領域を遮蔽するから、パネル部を切断してその長さ調節をする必要がない。したがって、遮蔽体1の組立てに必要な手間を大幅に抑え得る。
さらに、第二パネル11では、押え部44の外端面44aは、支持板部25の外端面25dと面一となるよう設定されている。この構成により、第二パネル11の長さを調節して、端側パネル部12,13と中央側パネル部14が並ぶ状態となったとしても、端側パネル部12,13の端側上フレーム部材16と、中央側パネル部14の中央側上フレーム部材31との上端は面一になる。また、端側パネル部12,13の端側下フレーム部材17と、中央側パネル部14の中央側下フレーム部材32との下端とは面一になる。
このため、遮蔽体1を上下方向に複数並べたとしても、上下の遮蔽体1どうしの間に隙間が生じない。したがって、風が遮蔽体1の間から入り込んだり、逆に、塵芥がビル2の外へ排出されてしまったりする状態を防止することができ、作業環境の向上を図ることができる。
上記実施形態では、第二パネル11は、二つの端側パネル部12,13と、端側パネル部12,13に対して前後方向で重なる一つの中央側パネル部14とを備える構成とした。しかしながら、第二パネル11は二つの端側パネル部12,13のうち、何れか一つのパネル部から構成されていてもよい。この場合、第二パネルは、二つのパネル部によって構成される。そして、これら二つのパネル部の側周長さが調節されて、遮蔽体1に用いられる。この場合、スライド用長孔25bは、何れか一方のパネル部に形成されていればよく、他方のパネル部に楕円孔25aが形成される。
上記実施形態では、端部フックF、中間フックF1として、側周方向に並べられた一対の係止部Fa,Fbを備え、各係止部Fa,Fbは、先端部が上方へ向けられた延設片を備えている構成のものを採用した。しかしながら、端部フックF、中間フックF1の何れも、一本の係止部のみを備える構成のものであってもよい。
この構成の端部フックF、中間フックF1を採用する場合では、端側パネル部13を側周方向に移動させた際に、スライド用長孔25bを端部フックFに係止することはできない。しかしながら端側パネル部13は、側周方向一端を端部フックFで支持され、他端側を中間フックF1で支持されているから、足場工4に確実に支持される。そして第二パネル11を長くして第一パネル10の側面に端側パネル部13を当接させればよい。
上記実施形態では、第二パネル11は、二つの端側パネル部12,13と、端側パネル部12,13に対して前後方向で重なる一つの中央側パネル部14とを備える構成とし、スライド用長孔25bを端側パネル部13にのみ形成した場合で説明した。しかしながら、端側パネル部12の楕円孔25aを端側パネル部13に形成したスライド用長孔25bとすることもできる。換言すれば、上記実施形態では端側パネル部13のみを移動して第二パネル11の長さを長くしたり短くしたりしたが、端側パネル部12の楕円孔25aを端側パネル部13に形成したスライド用長孔25bと同様の長さとすることで、遮蔽体1の設置において、端側パネル部12,13の双方を中間フックF1で支持しつつ、中央側パネル部14に対して移動することで第二パネル11の長さを長くすることもできる。
上記各実施形態では、第二パネル11は、二つの端側パネル部12,13と、端側パネル部12,13に対して前後方向で重なる一つの中央側パネル部14とを備える構成とした。しかしながら、第二パネル11は二つの端側パネル部12,13のうち、何れか一つのパネル部から構成されていてもよい。この場合、第二パネルは、二つのパネル部によって構成される。そして、これら二つのパネル部の側周長さが調節されて、遮蔽体1に用いられる。
上記各実施形態では、中央側パネル部14は中央側フレーム部材140を備えた。しかしながら、中央側フレーム部材140は必ずしも必要ではなく、中央側パネル本体30の外辺部(下辺部)が、支持板部25に直接的に案内される構成とすることも可能である。
本発明の第二パネル11では、端側パネル部12,13と、中央側パネル部14とを閉姿勢とした状態で、図15および図16に示すように、前フレーム本体22の前板22aに対する突出部23aの段差を利用して、複数個の第二パネル11を位置ずれさせることなく積載状態とする(積載状態として搬送する)ことが可能である。この場合、支持板部25の外端面25cを基準とした前板22aの幅(例えば、中央側パネル本体30の板面中心を基準として、該板面中心から板面に沿う方向の幅)を、押え部44の幅に比べてわずかに大きく設定した構成とする。
また、積載状態において、中央側パネル部14の脱落防止条片42が、積載される他の第二パネル11の構成部材と干渉してしまう場合では、中央側パネル部14における左右の脱落防止条片42を省く(切除する)ようにして、前記干渉を回避することが好ましい。このように構成することで、前板22aに対する突出部23aの段差に押え部44が係止するから、第二パネル11を積載状体で搬送するとして、端側パネル部12,13および中央側パネル部14の端側フレーム部材120および中央側フレーム部材140がアルミニウムのようなすべり易い金属で形成されていたとしても、荷崩れが生じにくく、しかも複数の第二パネル11をコンパクト化した状態で搬送することができる。
さらに、第二パネル50における複数のパネル部51,52のスライド機構として、図17に示す構成が考えられる。同図に示す実施形態では、前側のパネル53を保持する前側のフレーム部材54、および後側のパネル55を保持する後側のフレーム部材56が、ともに略矩形断面に形成されており、前側のフレーム部材54の後面に、後側のフレーム部材56の前面から突出する突条57がスライド自在に嵌合(係止)する案内溝58が形成された構成である。
このような構成の第二パネル50であっても、ビル2の側周方向の長さに応じて、長さがさめられた他の第一パネル(符号省略)と組み合わせて、ビル2を遮蔽することができる。なお、図示しないが、図17に示した実施形態の場合でも、後側のフレーム部材56には、フックFに係止される係止用孔を適宜の部位に形成する。
上記実施形態では、端側パネル部12,13のフレーム部材、中央側パネル部14が保持される構造の例を説明した。しかしながら、中央側パネル部14に端側パネル部12,13を保持するフレーム部材を設けて、中央側パネル部14に端側パネル部12,13が保持される構成とすることも可能である。