JP2016223099A - 建物の間仕切壁構造及びその施工方法 - Google Patents

建物の間仕切壁構造及びその施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】施工現場での作業効率の向上を図りつつそれに起因した見栄えの低下を抑制することができる建物の間仕切壁構造及びその施工方法の提供を目的とする。【解決手段】間仕切壁50の上端部が挿入される開放部分22が形成された上側受け部材21と、床スラブ12と間仕切壁50との間に介在するように形成された底板部27a及び当該底板部27aから上方に起立して設けられ間仕切壁50の一方の壁面に当接する起立部28aを有する第1下側受け部材25aと、床スラブ12と間仕切壁50との間に介在するように形成された底板部27b及び当該底板部27bから上方に起立して設けられ間仕切壁50の他方の壁面に当接する起立部28bを有する第2下側受け部材25bとを備えている。【選択図】 図3

Description

本発明は、建物の間仕切壁構造及びその施工方法に関する。
建物の屋内空間を仕切る間仕切壁構造においては、床や天井に設けられた受け材に対して間仕切壁が固定されているものがある。例えばランナやスタッド等のフレーム材を組み合わせてなる下地フレームに対して壁面材を固定することで間仕切壁を形成し、ユニット化された間仕切壁を受け材に対して後付けすることにより、施工現場での作業効率の向上に貢献することができる。
近年では、床側の受け材を断面が略L字状となるように形成して床面に固定し、その受け材の上に間仕切壁を載置するようにした間仕切壁構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。受け材の底面部によって間仕切壁の上下位置が規定され、底面部から起立する起立部によって間仕切壁の前後位置が規定されるため、間仕切壁の配置や位置合わせを容易とし、上記作業効率の更なる向上が図られている。
特開2013−217094号公報
しかしながら、上述した間仕切壁構造においては、施工時の作業効率の向上に貢献することができる反面、間仕切壁の姿勢の安定化等を実現する上で底面部の長さが嵩むことにより当該底面部の一部が間仕切壁から突出する可能性が高まる。これは、間仕切壁構造の外観を悪化させる要因となり得る。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、施工現場での作業効率の向上を図りつつそれに起因した見栄えの低下を抑制することができる建物の間仕切壁構造及びその施工方法を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.屋内空間を仕切る間仕切壁(間仕切壁50)を備えた建物の間仕切壁構造において、
前記間仕切壁の上端部が挿入される挿入部(開放部分22)が形成された上側受け部材(上側受け部材21)と、
床部(床スラブ12)及び前記間仕切壁の間に介在するようにして形成された第1底受け部(底板部27a)と、当該第1底受け部から上方に起立して設けられ前記間仕切壁の一方の壁面に沿って延びる第1起立部(起立部28a)とを有する第1下側受け部材(第1下側受け部材25a)と、
前記床部及び前記間仕切壁の間に介在するようにして形成された第2底受け部(底板部27b)と、当該第2底受け部から上方に起立して設けられ前記間仕切壁の他方の壁面にっ沿って延びる第2起立部(起立部28b)とを有する第2下側受け部材(第2下側受け部材25b)と
を備えていることを特徴とする建物の間仕切壁構造。
手段1に示す間仕切壁構造においては、間仕切壁用の下側受け部材として第1下側受け部材及び第2下側受け部材が設けられている。このような構成では、間仕切壁の上端部を上側受け部材に挿入した状態で当該間仕切壁を第1下側受け部材(第1底受け部)に載置し、その後に第2下側受け部材を取り付けることが可能である。このようにして、作業の簡素化を図ることにより、施工現場における作業効率の向上を実現することができる。
一の下側受け部材のみを利用しようとすれば、間仕切壁の姿勢の安定化等を実現する上で底受け部の長さが嵩み、当該底受け部の一部が間仕切壁から突出する可能性が生じる。これは、間仕切壁構造(壁と床との取り合い部分)の見栄えの低下等の要因になり得るため好ましくない。この点、本手段に示すように間仕切壁を挟むようにして第1下側受け部材及び第2下側受け部材を配置すれば、それら2つの下側受け部材によって間仕切壁の姿勢を安定させることができる。これにより、上述したような底受け部の突出を抑制し、上記作業効率の向上に起因した見栄えの低下を好適に抑制することができる。
手段2.前記第1起立部が前記第1底受け部の端部に沿うようにして形成されることにより前記第1下側受け部材は断面略L字状をなしており、
前記第2起立部が前記第2底受け部の端部に沿うようにして形成されることにより前記第2下側受け部材は断面略L字状をなしていることを特徴とする手段1に記載の建物の間仕切壁構造。
手段2に示すように略L字状に形成された2つの下側受け部材によって間仕切壁を挟み込むことにより、両下側受け部材の配置が完了した状態では間仕切壁と底受け部との当接箇所(載置箇所)を両壁面寄りとなる位置にて確保することができ、間仕切壁の姿勢のばらつきを好適に軽減することができる。また、例えば底受け部を床部への固定箇所として利用することができるため、間仕切壁からの下側受け部材の無駄な突出が抑制されることとなる。故に、間仕切壁の姿勢を安定させることが見栄え低下の要因になることを好適に回避できる。
手段3.前記第1下側受け部材及び前記第2下側受け部材は、前記間仕切壁の下方において前記第1底受け部と前記第2底受け部との間に隙間が形成されるように設けられていることを特徴とする手段1又は手段2に記載の建物の間仕切壁構造。
手段1等に示したように第1/第2下側受け部材の一方を後付けとする場合には、床部と間仕切壁との隙間に底受け部を押し込む必要が生じる。この際、上記隙間が十分に確保されているのであればよいが、製造ばらつき等の影響によって隙間が想定よりも小さくなる可能性を否定できない。仮にこのような状況にて底受け部を強く押し込もうとすれば、床部等が削れることで両底受け部の間に削粉が挟まる可能性が高くなる。また、施工時に出た切粉等が床に散乱している場合には、このような切粉等を拾ってしまう可能性も高くなる。これらは、下側受け部材の配置を妨げる要因になるため好ましくない。この点、本特徴に示すように底受け部間に敢えて隙間が形成される構成とすれば、下側受け部材の一方を後付けとすることによって生じる上記課題を好適に解消することができる。
手段4.前記第1下側受け部材は前記床部及び前記間仕切壁の両方に対して固定手段(ビス31a)により固定されており、前記第2下側受け部材は前記床部及び前記間仕切壁のうち前記間仕切壁に対して固定手段(ビス31b)により固定されていることを特徴とする手段1乃至手段3のいずれか1つに記載の建物の間仕切壁構造。
手段4によれば、床部に固定された第1下側受け部材に対して間仕切壁を配置した後に第2下側受け部材を配置することができる。このように第2下側受け部材の後付けが許容されることにより、手段1等に示した効果を好適に発揮させることができる。
手段5.前記第1下側受け部材及び前記第2下側受け部材は、前記間仕切壁の厚さ方向における前記第1底受け部の長さが前記第2底受け部の長さよりも長くなるように形成されていることを特徴とする手段4に記載の建物の間仕切壁構造。
2つの下側受け部材(底受け部)が間仕切壁の載置対象となる場合には、底受け部の長さに制約が生じる。ここで、第1底受け部を長くすることにより、第2下側受け部材が取り付けられるまでの間仕切壁の姿勢を無理なく安定させることができる。また、第2底受け部を短くすることにより当該第2底受け部の存在が第2下側受け部材の取付作業を難しくする要因になることを回避できる。このように、限られたスペースにて第1底受け部及び第2底受け部の長さを偏重させることには技術的意義がある。
手段6.前記第1下側受け部材は、前記間仕切壁の厚さ方向における前記第1底受け部の長さが前記間仕切壁の厚さよりも短く且つ当該厚さの半分よりも長くなるように形成されていることを特徴とする手段4又は手段5に記載の建物の間仕切壁構造。
第1底受け部を間仕切壁の厚さの半分よりも長くし且つ第2底受け部を間仕切壁の厚さの半分よりも短くすれば、手段5に示した安定性及び作業性の向上効果を好適に発揮させることができる。
なお、本特徴に示す構成を「前記第1下側受け部材は、前記第1底受け部の面積が前記第2下側受け部材の面積よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする手段4又は手段5に記載の建物の間仕切壁構造。」としてもよいし、「前記第1下側受け部材は、前記第1底受け部の先端部分が前記間仕切壁の重心位置と前記他方の壁面との間に位置するように形成されていることを特徴とする手段4又は手段5に記載の建物の間仕切壁構造。」としてもよい。
手段7.前記間仕切壁は、横フレーム材(ランナ61)及び縦フレーム材(スタッド71)が組み合わされてなる下地フレーム(下地フレーム51)と、前記縦フレーム材に固定され当該間仕切壁の壁面を構成する化粧材(パネル材81)とを有してなり、
前記第1底受け部及び前記第2底受け部は、前記横フレーム材のうち前記間仕切壁の下端横フレーム材を受けるものであり、
前記第1起立部及び前記第2起立部によって前記下端横フレーム材の上端部と前記縦フレーム材との境界部位(境界部位BL1)が覆われていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つに記載の建物の間仕切壁構造。
手段7によれば、下側受け部材を配置した状態では、横フレーム材の上端部と縦フレーム材との境界部位が起立部によって覆われることとなる。このように、下側受け部材によって境界部位の露出を抑える構成とすれば、構成の複雑化を回避しつつ見栄えの向上に貢献することができる。
なお、手段1等に示したように、第1下側受け部材及び第2下側受け部材を併用する構成においては、仮に起立部の底受け部からの起立量が大きくなったとしても実質的な作業性の悪化は回避される。故に、上記効果を享受するにあたり、横フレーム材と縦フレーム材との大きさ等に係る制約が生じることが回避される。
手段8.前記第1下側受け部材を前記床部に固定し、前記第1下側受け部材に前記間仕切壁を配置した後に、前記第2下側受け部材を前記間仕切壁に固定することを特徴とする手段1乃至手段7のいずれか1つに記載の建物の間仕切壁構造の施工方法。
手段8に示すように、第1下側受け部材→間仕切壁→第2下側受け部材の順に配置することにより、施工時の作業性の向上に起因した見栄えの低下を好適に回避し得る。
一実施の形態における建物の間仕切壁及びそれに関連する構成を示す斜視図。 間仕切壁及びそれに関連する構成を示す建物の縦断面図。 (a)間仕切壁の上側取付部分を示す図1の部分拡大図、(b)間仕切壁の下側取付部分を示す図2の部分拡大図。 間仕切壁の施行の流れを示す概略図。 変形例を示す概略図。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。本実施の形態では、住宅や店舗等の建物に設けられ屋内空間を仕切る間仕切壁構造について具体化されている。図1は建物の間仕切壁及びそれに関連する構成を示す斜視図、図2は間仕切壁及びそれに関連する構成を示す建物の縦断面図である。
図1に示すように、間仕切壁構造は、間仕切壁50と、間仕切壁50の取付対象(詳しくは天井の下地材11に固定された上側受け部材21及び床スラブ12に固定された複数の下側受け部材25)とにより構築されている。上側受け部材21は、間仕切壁50の幅方向に延びており、下方に開放された溝状(断面略コ字状)をなしている。各下側受け部材25についても間仕切壁50の幅方向に延びており、それらが全体として上方に開放された溝状(断面略コ字状)をなすように並設されている。これら受け部材21,25によって形成された各開放部分22,26に間仕切壁50の上端部分及び下端部分が挿入されている。
図2に示すように、間仕切壁50は、床及び天井に沿うように形成された1組のランナ61及びそれらランナ61を繋ぐ複数のスタッド71により構成された下地フレーム51と、下地フレーム51を挟んだ両側に設けられたパネル材81とを有してなり、パネル材81が下地フレーム51(詳しくはスタッド71)に固定されることでユニット化されている。間仕切壁50は工場にてユニット化された状態で施工現場に搬送される構成となっており、施工現場への搬送前に間仕切壁50を形成しておくことで施工現場での作業負担の軽減を図っている。このような方式を適用することにより、施工現場での作業の効率化や品質管理の容易化等の各種効果が期待できる。
パネル材81は、アルミ複合板であり「化粧材」又は「仕上材」としての機能が付与されている。図3(a)(図1の部分拡大図)に示すように、パネル材81にはコンセント85が取り付けられており、パネル材81によって挟まれた領域がコンセント85に接続された配線86の配設領域となっている。上側のランナ61には配線孔65が形成されており、上側受け部材21には当該配線孔65に連通するようにして連通孔23が形成されている。配線86はこれら配線孔65及び連通孔23を通じて間仕切壁50の外に延出している。
本実施の形態に示す間仕切壁構造においては、下側受け部材25及びそれに関連する構成が特徴的なものとなっている。以下、図3(b)を参照してこの特徴的な構成について説明する。図3(b)は図2の部分拡大図である。
床側のランナ61は、上記下側受け部材25を隔てて床スラブ12と対峙する長板状のベース部62と、ベース部62の各長辺から上方に起立して設けられた一対のフランジ部63とを有し、上方に開放された溝状をなしている。スタッド71の下端部にはランナ61の溝部64に挿入される挿入部74が形成されており、この挿入部74がランナ61に固定されている。
スタッド71は、上下に延びる長板状をなし板面がランナ61の長手方向を向くように形成されたベース部72と、ベース部72の各長辺から起立して設けられた一対のフランジ部73とを有し、全体として間仕切壁50の側方に開放された溝状をなしている。フランジ部73の間隔は、挿入部74にてランナ61のフランジ部63の間隔に合せて小さくなるように部分的に減縮されている。これにより、ランナ61のフランジ部63とスタッド71のフランジ部73とが同一平面上に位置し、ランナ61(フランジ部63)の上端部とスタッド71との境界部位BL1における段差の発生が回避されている。なお、下地フレーム51については、スタッド71のフランジ部73にて上記挿入部74よりも上側に位置する部分にパネル材81用の固定部としての機能が付与されている。
下側受け部材25は、間仕切壁50(詳しくはランナ61)と床スラブ12との間に介在し当該ランナ61に沿って延びる長板状の底板部27と、底板部27における一方の長辺から上方に起立し下地フレーム51にパネル材81の正面側から対峙する起立部28とを有しており、断面が略L字状をなすように形成されている。起立部28はパネル材81と同一平面上に位置しており、その起立量については先端部分(パネル材81との境界部位BL2)が上記境界部位BL1よりも上方に位置するように、具体的にはパネル材81の下端と近接又は当接するように形成されている。これにより、境界部位BL1が下側受け部材25によって覆われている。間仕切壁50における壁面の一部を補完する下側受け部材25を利用して境界部位BL1の露出を抑えることにより、構成の複雑化を回避しつつ間仕切壁50の見栄えを向上することができる。
下側受け部材25は、間仕切壁50の厚さ方向に並設された第1下側受け部材25a及び第2下側受け部材25bによって構成されている。これら第1下側受け部材25a及び第2下側受け部材25bについては一部の構成が相違している。以下、これら相違する構成について説明する。
第1下側受け部材25aは、固定具としてのビス31aによって底板部27aが床スラブ12に固定され且つ起立部28aが間仕切壁50の下地フレーム51(詳しくはランナ61)に固定されている。これに対して第2下側受け部材25bは、ビス31bによって起立部28bが下地フレーム51(詳しくはランナ61)に固定されているものの、底板部27bについては非固定となっている。つまり、第1下側受け部材25aと第2下側受け部材25bとでは固定対象が相違している。このような固定対象の違いについては、間仕切壁構造の施工の流れに関係している。そこで以下、図4の概略図を参照して、間仕切壁構造の施工の流れについて説明する。
間仕切壁構造の施工時には、先ずビス31aを用いて第1下側受け部材25aを床スラブ12に固定する(図4(a)参照)。その後、間仕切壁50の上端部を上側受け部材21の開放部分22に挿入し、当該間仕切壁50を第1下側受け部材25a(詳しくは底板部27a)に載せる。図4(b)に示すように、第1下側受け部材25aの起立部28aに対して間仕切壁50を当接させた後は、ビス31aを用いて間仕切壁50と第1下側受け部材25aとを固定する。
間仕切壁50と第1下側受け部材25aとを固定した後は、図4(c)に示すように、第2下側受け部材25bを配置する。具体的には、床スラブ12と間仕切壁50との隙間に底板部27bを挿入するようにして第2下側受け部材25bを配置する。第2下側受け部材25bの起立部28bが間仕切壁50に当接した後は、図4(d)に示すようにビス31bを用いて第2下側受け部材25bを間仕切壁50に固定する。固定作業を終えた後は、ビス31a,31bの頭部(間仕切壁50から露出している部分)にキャップを取り付ける。これにより、ビス31a,31bが保護される。以上の手順により間仕切壁構造の施工が完了した後に床スラブ12に床面を構成するタイルが敷設されることとなる。
なお、上記キャップを取り外すことによりビス31a,31bへのアクセスが可能となり、間仕切壁50の取り外しが許容されることとなる。このように、簡易な手順で間仕切壁50の取り外しを許容することは、例えば間仕切壁50の入れ替えやリユース等を促進する上で好ましい。
本実施の形態に示すように略L字状に形成された2つの下側受け部材25a,25bによって間仕切壁50を挟み込む構成とすれば、両下側受け部材25a,25bの配置が完了した状態では間仕切壁50と底板部27a,27bとの当接箇所(載置箇所)を当該間仕切壁50の両壁面寄りとなる位置にて確保することができ、間仕切壁50の姿勢のばらつきを好適に軽減することができる。また、底板部27aを床スラブ12への固定箇所として利用することにより間仕切壁50の壁面からの底板部27aの突出を回避している。これは、上記作業効率の向上に起因した間仕切壁構造(壁と床との取り合い部分)の見栄えの低下を抑制する上で有利な構成である。
ここで、上述の如く2つの下側受け部材25a,25bを併用する場合には、施工中に第1下側受け部材25a単独で間仕切壁50を受ける期間が生じる。この際に間仕切壁50の姿勢が不安定になってしまうと、ビス31aによる固定作業や第2下側受け部材25bの配置作業がやりづらくなると懸念される。本実施の形態においては、このような事情に配慮して、第1下側受け部材25aの底板部27a及び第2下側受け部材25bの底板部27bが工夫されている。
具体的には、間仕切壁50の厚さ方向における第1下側受け部材25aの底板部27aの長さ寸法L1については、間仕切壁50の厚さ寸法T1の半分よりも長くなっており、間仕切壁50の重心位置が底板部27aの上方に位置するように構成されている。このように、事前に固定される第1下側受け部材25aの底板部27aにある程度の長さを確保することにより、第1下側受け部材25a単独で間仕切壁50を受けている場合であっても、間仕切壁50の姿勢を安定させることが可能となっている。
これに対して、間仕切壁50の厚さ方向における、第2下側受け部材25bの底板部27bの長さ寸法L2は、間仕切壁50の厚さ寸法T1の半部よりも短く(詳しくは長さ寸法L1よりも短く)なるように構成されている。第2下側受け部材25bの配置完了後の「受け部材」としての機能を担保しつつ底板部27bを極力短くすることにより、底板部27bの存在が第2下側受け部材25bの配置作業の妨げになることを抑制できる。
但し、間仕切壁50→第2下側受け部材25bの順に配置する場合には、床スラブ12と間仕切壁50との隙間に当該第2下側受け部材25bの底板部27bを押し込む必要が生じる。この際、上記隙間が十分に確保されているのであればよいが、製造ばらつき等の影響によって隙間が想定よりも小さくなる可能性を否定できない。仮にこのような状況にて底板部27bを強く押し込もうとすれば、床スラブ12等が削れることで両下側受け部材25a,25b(底板部27a,27b)の間に削粉が挟まる可能性が高くなる。また、施工時に出た切粉等が床に散乱している場合には、このような切粉等を拾ってしまう可能性も高くなる。これらは、第2下側受け部材25bの配置を妨げる要因となったり第2下側受け部材25bの位置精度を低下させる要因になったりするため好ましくない。
この点、本実施の形態においては、図3(b)に示すように、第1下側受け部材25aの底板部27aの長さ寸法L1と第2下側受け部材25bの底板部27bの長さ寸法L2との和が間仕切壁50の厚さ寸法T1よりも小さくなっており、両底板部27a,27bの間に隙間が形成される構成となっている。つまり、この隙間を上述した削粉等の逃げ場として機能させることができる。これにより、第1下側受け部材25a→間仕切壁50→第2下側受け部材25bの順に配置する構成であっても、上述した不都合の発生を好適に抑制することができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記実施の形態では、第1下側受け部材25aの底板部27a(「第1底受け部」に相当)の長さ寸法L1を、第2下側受け部材25bの底板部27b(「第2底受け部」に相当)の長さ寸法L2よりも大きくしたが、これに限定されるものではない。両底板部27a,27bの長さ寸法L1、L2を揃えることも可能である。また、第1下側受け部材25aの底板部27aの長さ寸法を第2下側受け部材25bの底板部27bの長さ寸法よりも小さくすることも可能である。
但し、施工時に後で取り付けられる第2下側受け部材25bの底板部27bが長くなれば、第2下側受け部材25bの取り付けが難しくなえり得る。また、事前に取り付けられる第1下側受け部材25aの底板部27aが短くなることで間仕切壁50の姿勢が不安定になると懸念される。故に、望ましくは先に取り付けられる第1下側受け部材25aの底板部27aを後で取り付けられる第2下側受け部材25bの底板部27bよりも長くすることが好ましい。
(2)上記実施の形態では、第1下側受け部材25aの底板部27aの長さ寸法L1を間仕切壁50の厚さ寸法T1の1/2よりも大きくした。ここで、上記変形例(1)に示した課題に配慮した場合には、第1下側受け部材25aの起立部28aに間仕切壁50が当接している状態では当該第1下側受け部材25aの底板部27aの上方に間仕切壁50の重心位置が位置する構成であれば足り、必ずしも上記実施の形態に示した大きさとする必要はない。
(3)上記実施の形態では、間仕切壁構造の施工が完了した状態にて、第1下側受け部材25aの底板部27aと第2下側受け部材25bの底板部27bとの間に隙間が形成される構成としたが、この隙間の有無については任意である。間仕切壁構造の施工が完了した状態にて底板部27a,27b同士が当接する構成としてもよい。
(4)上記実施の形態では、下側受け部材25における起立部28の上端部がランナ61(「横フレーム材」に相当)の上端部(境界部位BL1)よりも上方に位置する構成とすることにより当該境界部位BL1を下側受け部材25によって覆う構成としたがこれに限定されるものではない。起立部28の上端部がランナ61の上端部と同じ高さ位置となるように構成してもよいし、ランナ61の上端部よりも下方に位置する構成としてもよい。
(5)上記実施の形態では、底板部27の端部に起立部28(「第1起立部」及び「第2起立部」に相当)を配設することにより下側受け部材25を略L字状に形成したが、底板部27と起立部28との位置関係を変更し下側受け部材25を略T字状に形成することも可能である。
但し、下側受け部材25の配置対象である床スラブ12(「床部」に相当)にタイル材が配設されることに鑑みれば、下側受け部材25にて間仕切壁50とは反対側へ突出する部分を不具備とすることがタイル材の配置や配置後の見栄えを向上させる上で有利である。故に、望ましくは上記実施の形態に示したように、下側受け部材25については間仕切壁50とは反対側に凸となる部分が不具備となるように形成するとよい。
(6)上記実施の形態では、パネル材81(「化粧材」に相当)の固定対象をスタッド71(「縦フレーム材」に相当)としたが、これに代えて又は加えてランナ61(「横フレーム材」に相当)をパネル材81の固定対象としてもよい。
(7)上記実施の形態では、下側受け部材25の起立部28に所謂「幅木」としての機能を付与したが、下側受け部材25とは別に幅木を取り付けることも可能である。この場合、幅木の固定対象については下側受け部材25としてもよいし、間仕切壁50(例えばランナ61)としてもよい。
(8)上記実施の形態に示した上側受け部材21についても下側受け部材25と同様に複数に分割することも可能である。例えば、図5の概略図に示すように、間仕切壁50の厚さ方向に離間して設けられた第1上側受け部材21aX及び第2上側受け部材21bXの隙間(スリット22X)を配線86の配設経路として利用する構成としてもよい。
(9)上記実施の形態では、工場にて組み立てられた間仕切壁50を施工現場にて組み付ける場合について例示したが、例えば施工現場にて組み立てられた間仕切壁の設置に際して上述した施工方法を適用してもよい。
(10)上記実施の形態に示した間仕切壁構造の施工手順については以下のように変更することも可能である。すなわち、第1下側受け部材25aを床スラブ12に固定した後に間仕切壁50を当該第1下側受け部材25aの底板部27aに載置し、第2下側受け部材25bの配置後に両下側受け部材25a,25bと間仕切壁50とを固定することも可能である。
12…床部としての床スラブ、21…上側受け部材、25a…第1下側受け部材、25b…第2下側受け部材、27a,27b…底受け部としての底板部、28a,28b…起立部、31a,31b…固定手段としてのビス、50…間仕切壁、61…横フレーム材としてのランナ、71…縦フレーム材としてのスタッド、81…化粧材としてのパネル材、BL1,BL2…境界部位。

Claims (8)

  1. 屋内空間を仕切る間仕切壁を備えた建物の間仕切壁構造において、
    前記間仕切壁の上端部が挿入される挿入部が形成された上側受け部材と、
    床部及び前記間仕切壁の間に介在するようにして形成された第1底受け部と、当該第1底受け部から上方に起立して設けられ前記間仕切壁の一方の壁面に沿って延びる第1起立部とを有する第1下側受け部材と、
    前記床部及び前記間仕切壁の間に介在するようにして形成された第2底受け部と、当該第2底受け部から上方に起立して設けられ前記間仕切壁の他方の壁面にっ沿って延びる第2起立部とを有する第2下側受け部材と
    を備えていることを特徴とする建物の間仕切壁構造。
  2. 前記第1起立部が前記第1底受け部の端部に沿うようにして形成されることにより前記第1下側受け部材は断面略L字状をなしており、
    前記第2起立部が前記第2底受け部の端部に沿うようにして形成されることにより前記第2下側受け部材は断面略L字状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の建物の間仕切壁構造。
  3. 前記第1下側受け部材及び前記第2下側受け部材は、前記間仕切壁の下方において前記第1底受け部と前記第2底受け部との間に隙間が形成されるように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建物の間仕切壁構造。
  4. 前記第1下側受け部材は前記床部及び前記間仕切壁の両方に対して固定手段により固定されており、前記第2下側受け部材は前記床部及び前記間仕切壁のうち前記間仕切壁に対して固定手段により固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の建物の間仕切壁構造。
  5. 前記第1下側受け部材及び前記第2下側受け部材は、前記間仕切壁の厚さ方向における前記第1底受け部の長さが前記第2底受け部の長さよりも長くなるように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の建物の間仕切壁構造。
  6. 前記第1下側受け部材は、前記間仕切壁の厚さ方向における前記第1底受け部の長さが前記間仕切壁の厚さよりも短く且つ当該厚さの半分よりも長くなるように形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の建物の間仕切壁構造。
  7. 前記間仕切壁は、横フレーム材及び縦フレーム材が組み合わされてなる下地フレームと、前記縦フレーム材に固定され当該間仕切壁の壁面を構成する化粧材とを有してなり、
    前記第1底受け部及び前記第2底受け部は、前記横フレーム材のうち前記間仕切壁の下端横フレーム材を受けるものであり、
    前記第1起立部及び前記第2起立部によって前記下端横フレーム材の上端部と前記縦フレーム材との境界部位が覆われていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の建物の間仕切壁構造。
  8. 前記第1下側受け部材を前記床部に固定し、前記第1下側受け部材に前記間仕切壁を配置した後に、前記第2下側受け部材を前記間仕切壁に固定することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載の建物の間仕切壁構造の施工方法。
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