JP2013249939A - 油圧式テンショナ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エンジンにより駆動されるチェーン伝動装置のチェーンに張力を付与するテンショナ100の油室には、エンジン1のオイルポンプからの作動油が、リザーブ室Rを経て導かれる。リザーブ室Rには、オイルポンプからの作動油をリザーブ室Rに導く導入口151と、リザーブ室Rの作動油を前記油室に導く導出口152とが開口している。リザーブ室Rは、仕切壁145により、導入口151が開口する導入リザーブ室R1と、導出口152が開口する供給リザーブ室R2とに分けられる。仕切壁145は、導入リザーブ室R1の作動油を供給リザーブ室R2に導く連通路160を形成し、連通路160は導出口152よりも上方に位置する。
【選択図】図4
Description
巻掛け伝動体は、例えばチェーンであり、巻掛け伝動装置は、例えば、エンジンとしての内燃機関において、動弁装置のカム軸などを駆動するタイミングチェーン伝動装置である。
油室内の作動油は、チェーンの張力増大時に、チェーンからの反力が作用するプランジャに押されて油室からリークすることにより、プランジャの後退速度を減少させて、チェーンの振動であるバタツキを減衰させるので、該バタツキの発生が抑制されて、バタツキにより発生する騒音が低減する。
A=Vc−Vr+Qs
ここで、
A:供給貯留容積の最小値
Vc:長期放置時間が経過した時点での油室の容積よりも大きく設定された、
油室の基準容積
Vr:長期放置時間が経過した時点で油室内に残留している作動油が占める
油室残留容積
Qs:長期放置時間の経過後のエンジンの始動時でのプランジャの往復運動に
よる油室からの作動油の始動時リーク量
により設定されることにより、前述した課題を解決したものである。
さらに、供給可能油量は、上下方向での連通路および導出口の位置に基づいて設定されるので、導入口に対する導出口の、上下方向での配置の自由度が大きくなって、エンジンに対するテンショナの配置の自由度を大きくすることができる。
A=Vc−Vr+Qs
ここで、
A:供給貯留容積の最小値
Vc:長期放置時間が経過した時点での油室の容積よりも大きく設定された、
油室の基準容積
Vr:長期放置時間が経過した時点で油室内に残留している作動油が占める
油室残留容積
Qs:長期放置時間の経過後のエンジンの始動時でのプランジャの往復運動に
よる油室からの作動油の始動時リーク量
により設定されることにより、エンジンが長期放置状態にあるときに、油室には、侵入した空気が占めるエア空間が形成されていて、このエア空間のエア空間容積は、長期放置時間が経過した時点での油室残留容積以外の容積に相当すると共に、油室内での作動油の不足量の指標であるため、長期放置状態での油室の容積よりも大きい基準容積に基づいて算出される算出エア空間容積に対応する油量に加えて、エンジンの始動時の巻掛け伝動体の張力変動に基づいてプランジャが進退方向に往復運動をすることで生じる油室からのリーク量である始動時リーク量の作動油を補充する油量が、最少の油量として、供給リザーブ室に確保されるので、長期放置状態のエンジンの始動時におけるテンショナの始動時過渡期が短縮されて、バタツキの抑制効果を向上させることができる。
テンショナにより張力が付与される巻掛け伝動体は、チェーンまたはベルトを含む帯状で可撓性の部材であり、巻掛け伝動装置は、チェーン伝動装置またはベルト伝動装置である。
給油源は、ポンプまたはポンプ以外のもの(例えば、アキュムレータ)であってよい。また、給油源とリザーブ室との間に、エンジンの運転および停止に応じて開閉されることでリザーブ室への作動油の供給および供給停止を行う開閉弁が設けられてもよい。
図1を参照すると、本発明の実施例において、油圧式テンショナ100は、例えば機械としての自動車に搭載されるエンジン1が備える巻掛け伝動装置としてのチェーン伝動装置10に備えられる。本実施例では、エンジン1は内燃機関であり、エンジン1により駆動されるチェーン伝動装置10は、エンジン1の動弁装置を駆動するタイミングチェーン伝動装置である。
なお、図1には、自動車に搭載された状態でのテンショナ100が示されている。
前記複数のスプロケットは、クランク軸3により回転駆動される駆動スプロケット13と、1対のカム軸4,5にそれぞれ結合されている1対の被動スプロケット14,15である。
前記ガイド装置は、チェーン16に張力を付与するテンショナ100により付勢されることでチェーン16を押圧可能な可動ガイド17と、エンジン1の本体であるエンジンブロック2に固定される固定ガイド18である。可動ガイド17は、その支点部17aにて、エンジンブロック2に揺動可能に支持される。
バネ112および油室111内の作動油は、チェーン16に張力を付与するために前進するプランジャ110を前進方向に付勢する付勢手段を構成する。
なお、「ほぼ」との表現は、「ほぼ」との修飾語がない場合を含むと共に、「ほぼ」との修飾語がない場合とは厳密には一致しないものの、「ほぼ」との修飾語がない場合と比べて作用効果に関して有意の差異がない範囲を意味する。
ボディ101は、取付部104にて、固定手段としてのボルト(図示されず)によりエンジンブロック2に着脱可能に固定される。前記ボルトは、各取付部104の取付穴104bに挿通されて、エンジンブロック2の各取付穴2bにねじ込まれる。エンジンブロック2は、エンジン1におけるテンショナ100の設置部である。
そして、テンショナ100は、自動車が鉛直方向に対する標準姿勢としての水平姿勢にあるときに、軸線方向またはプランジャ110の進退方向が水平面H(図3参照)に対して傾斜角αを形成するように、エンジンブロック2に固定されている。傾斜角αは、プランジャ110の前進方向が上方に傾斜するときを正の角度とする。
油路Cは、作動油が貯留されるリザーブ室R(図4も参照)と、オイルポンプ20とリザーブ室Rとを接続すると共にオイルポンプ20から供給された作動油をリザーブ室Rに導く導入油路C1とを有する。オイルポンプ20は、その作動および停止に対応して、リザーブ室Rに対する作動油の供給および供給停止を行う。
逆止弁120は、給油路102に連通する弁油路122が設けられた弁シート121と、弁油路122を開閉する弁体であるチェックボール123と、チェックボール123を弁シート121に対して離座および着座可能に保持すると共にその移動量を制限するリテーナ124と、チェックボール123を弁シート121に押し付ける弁バネ125とを備える。
逆止弁120は、開弁時に、給油路102からの作動油をリテーナ124の開口126を経て油室111へ流入させ、閉弁時に、給油路102への油室111の作動油の流出を制限する。
ラチェット機構130は、第1ラチェット爪132とラック歯137との係合により、プランジャ110の後退を規制し、第2ラチェット爪133とラック歯137との係合状態に応じて、プランジャ110の前進を許容し、さらに、第2ラチェット爪133とラック歯137との係合解除位置および第1ラチェット爪132とラック歯137との係合位置との間の距離で規定されるプランジャ110のストローク量であるバックラッシュ量のバックラッシュを有する。
リザーブ室Rは、エンジンブロック2に設けられた凹部2cと、取付面2aに開放している該凹部2cを覆うボディ101により形成される。このため、リザーブ室Rは、エンジンブロック2の一部であるエンジン側室壁141およびボディ101の一部であるテンショナ側室壁142から構成されるリザーブ室壁140により形成される。
リザーブ室Rは、仕切壁145により、導入口151からの作動油が流入する導入リザーブ室R1と、導出口152が開口する供給リザーブ室R2と、導入リザーブ室R1および供給リザーブ室R2よりも上方に位置すると共に連通路160により連通している上部室R3とに分けられる。
導入口151は、本実施例では導入リザーブ室R1に開口する。そして、連通路160は、導入口151から導入リザーブ室R1に流入して該導入リザーブ室R1に貯留した作動油を供給リザーブ室R2に導く。供給リザーブ室R2に貯留した作動油は、導出口152から給油路102に流出する。
囲い壁143において、底壁143bは、後述の第2導入油面L1bまたは第2供給油面L2bよりも下方の部位であり、天井壁143uは、第1導入油面L1aおよび第1供給油面L2aよりも上方の部位である。
また、部材が「ある方向」に延びている旨の表現は、該部材が、「ある方向」にほぼ平行に延びている場合および「ある方向」に対して斜めに延びている場合を含む。
導入口151は、導入リザーブ室R1において導入口151よりも下方に作動油が貯留されるように、導入リザーブ室R1の最下部R1bから上方に離隔している。このため、導入リザーブ室R1は、オイルポンプ20の停止時に作動油が残留する導入残留容積Viを有する。
また、供給リザーブ室R2において、導出口152からテンショナ100に供給可能な作動油の油量、すなわち供給可能油量の最大値を定める供給貯留容積Voは、第1供給油面L2aと、作動油の油面が導出口152の最上部位に接するときの第2供給油面L2bとの間の容積である。
エンジン1の長期放置時間Tは、エンジンブロック2に傾斜角αで取り付けられているテンショナ100において、エンジン1の停止により、オイルポンプ20が停止して、リザーブ室Rへの作動油の供給停止直後から、テンショナ100に存するリーク隙間(例えば、ボディ101とプランジャ110との間に存する微小隙間)を通じて油室111からリーク可能な最大油量(以下、「リーク可能油量」という。)の作動油が、油室111からリークするまでの、リザーブ室Rへの作動油の供給停止状態の継続時間である。
本実施例では、前記特定位置は、チェーン16の摩耗伸びを考慮して、予め設定された摩耗伸びが生じたときに前記最後退位置から前進したプランジャ110が占める位置(図5に示されている。)であり、最後退位置よりも前進方向寄りの位置である。
算出エア空間容積Vaは、長期放置時間Tが経過した時点での、基準容積Vcの油室111内で空気が占めるエア空間115の容積である。
基準容積Vc、油室残留容積Vrおよび算出エア空間容積Vaの間には、次の式が成立する。
Va=Vc−Vr
なお、油室111の容積、したがって基準容積Vcは、傾斜角αに応じて変更可能であり、また、油室111の容積を減少させる体積部材(例えば、柱状の部材)を油室111内に設けることにより変更可能である。
そして、プランジャ110が前記特定位置に達する前までは、基準容積Vcは長期放置状態での油室111の容積よりも大きく、その場合には、算出エア空間容積Vaは、長期放置状態での油室111内のエア空間容積よりも大きい。
また、長期放置状態でのエンジン1の始動時に、プランジャ110は、チェーン16の張力変動により進退方向で複数回の往復運動(以下、「始動時往復運動」という。)を行う。そして、この複数回の始動時往復運動により、テンショナ100には、プランジャ110が後退するときに油室111内の作動油が油室111外にリークする始動時リークが発生する。この始動時リークにおいて、本実施例では、油室111内の作動油がボディ101とプランジャ110との間のリーク隙間を通じてリークする。
A=Vc−Vr+Qs
=Va+Qs
=Va+Ns×Qu
ここで、
Ns:始動時往復運動の回数
Qu:始動時単位リーク量
なお、始動時単位リーク量Quは、始動時リークによる、設定ストロークSsでのプランジャ110の始動時往復運動の1往復運動当たりの作動油のリーク量である。
また、長期放置時間T、基準容積Vc、油室残留容積Vr、回数Nsおよび始動時単位リーク量Quは、実験やシミュレーションなどに基づいて予め設定される。
より具体的には算出エア空間容積Vaと油室111の始動時容積変化量Vsとが、次式で定義されるエア空間115の容積変化率Rが所定値Rc以上となるように設定されている。
R=Vs/Va
ここで、始動時容積変化量Vsは、設定ストローク量Ssによる油室111の容積変化量である。所定値Rcは、設定ストローク量Ssでのプランジャ110の前進によるエア空間115での圧力低下が、逆止弁120を開弁させる容積変化率Rの最小値である。
エンジン1により駆動されるチェーン伝動装置10のチェーン16に張力を付与するテンショナ100の油室111には、オイルポンプ20により作動油の供給および供給停止が行われるリザーブ室Rを経た作動油が導かれる。
これにより、エンジン1の停止に伴うリザーブ室Rへの作動油の供給停止が行われた後のエンジン1の始動時には、オイルポンプ20から供給される作動油に先立って、リザーブ室Rに貯留されている作動油が、プランジャ110の前進に応じて、油室111に供給されるので、リザーブ室Rから供給された油室111内の作動油によりエンジン1の始動時のチェーン16のバタツキの発生が抑制されて、該バタツキにより発生する騒音を低減することができる。
また、エンジン1の始動完了後のチェーン16の張力増大時には、チェーン16からの反力が作用するプランジャ110に押された油室111内の作動油が、テンショナ100の前記リーク隙間を通じて油室111からリークすることにより、プランジャ110の後退速度を減少させるダンパ機能が奏される。
これにより、リザーブ室Rへの作動油の供給停止後に、供給リザーブ室R2からテンショナ100の油室111に供給され得る作動油の供給可能油量は、上下方向での連通路160および導出口152の位置に基づいて設定されるので、リザーブ室Rへの作動油の供給停止時に、導出口152を通じてテンショナ100の油室111の空気が供給リザーブ室R2に侵入した場合には、該侵入空気は、導出口152よりも上方の、連通路160が位置する上部室R3に溜まるだけで、供給可能油量はこの侵入空気の影響を受けないこと、および、リザーブ室Rへの作動油の供給停止後に、導入口151の圧力が低下した場合には、該圧力低下は、連通路160よりも下方に位置する導出口152が供給リザーブ室R2での作動油の油面上に露出するような油面低下を招来しないことから、いずれの場合にも、供給リザーブ室R2に貯留されている作動油は給油路102へ確実に供給される。このため、エンジン1の始動時において、リザーブ室Rから油室111へ供給された作動油により、チェーン16のバタツキの抑制効果を向上させることができ、したがってバタツキ騒音の低減効果を向上させることができる。
さらに、供給可能油量は、上下方向での連通路160および導出口152の位置に基づいて設定されるので、導入リザーブ室R1における導入口151の位置に対する導出口152の、上下方向での配置の自由度が大きくなって、エンジン1に対するテンショナ100の配置の自由度を大きくすることができる。
これにより、供給可能油量は、上下方向での導入口151と導出口152との位置関係および導入リザーブ室R1における上下方向での導入口151の位置とは無関係に、上下方向での連通路160および導出口152の位置に基づいて設定されるので、供給可能油量を上下方向での導入口151の位置とは無関係に設定することを可能としながら、導入口151に対する導出口152の、上下方向での配置の自由度が大きくなるため、エンジン1に対するテンショナ100の配置の自由度を大きくすることができる。
これにより、リザーブ室Rへの作動油の供給停止後に、導入リザーブ室R1に作動油を残留させることが可能になるので、リザーブ室Rへの作動油の供給再開時に、作動油が残留している分だけ、連通路160を介して導入リザーブ室R1から供給リザーブ室R2への作動油の供給開始時期が早くなるため、給油源から油室111への作動油の供給遅れが小さくなって、エンジン1の始動時に対応するテンショナ100の始動時過渡期が短縮されて、バタツキの抑制効果を向上させることができる。
そして、基準容積Vcは、プランジャ110が前記特定位置に達する前の値であることにより、プランジャ110が前記特定位置に達する前では、油室111の容積が基準容積Vcよりも小さい。
これにより、エンジン1が長期放置状態にあるときに、油室111には、侵入した空気が占めるエア空間115が形成されていて、このエア空間115のエア空間容積は、長期放置時間Tが経過した時点での油室残留容積Vr以外の容積に相当すると共に、油室111内での作動油の不足量の指標であるため、長期放置状態での油室111の容積よりも大きい基準容積Vcに基づいて算出される算出エア空間容積Vaに対応する油量に加えて、エンジン1の始動時のチェーン16の張力変動に基づいてプランジャ110が始動時往復運動をすることで生じる始動時リークにより、油室111からリークする始動時リーク量Qsの作動油を補充する油量が、最少の油量として、供給リザーブ室R2に確保されるので、供給リザーブ室R2を小型化しながら、長期放置状態のエンジン1の始動時におけるテンショナ100の始動時過渡期が短縮されて、バタツキの抑制効果を向上させることができる。
これにより、長期放置状態のエンジン1の始動時に、エンジン1の始動時のプランジャ110の前進に基づくエア空間115の圧力低下により逆止弁120が開弁するので、供給リザーブ室R2に貯留している作動油が、導出口152、給油路102および逆止弁120を介して、効率よく油室111に導かれるため、長期放置状態のエンジン1の始動時におけるテンショナ100の始動時過渡期が短縮されて、バタツキの抑制効果を向上させることができる。
テンショナ100は、ラチェット機構130を備えていなくてもよい。この場合に、設定ストローク量Ssは、始動時におけるチェーン16のバタツキの振れ量に応じたプランジャ110の前進移動量であり、好ましくは該前進移動量の最大値である。そして、この前進移動量は、実験やシミュレーションに基づいて予め設定される。
なお、この別の実施例において、前述の実施例の部材等と同一の部材等または対応する部材等については、基本的に前述の実施例における名称または符号と同一の名称または符号が使用されている。
図示の例では、第2導入油面L1bは、両油面L1a,L2aよりも上方に位置するので、長期放置状態のエンジン1の始動時に、上部室R3に貯留されている作動油の一部を、供給リザーブ室R2に供給できるため、供給可能油量を増加させることができる。
図6に示されるリザーブ室Rにおいて、連通路160よりも下方の位置で、仕切壁245に補助油路167(二点鎖線で示される。)が設けられる場合にも、供給可能油量を増加させることができる。
仕切壁145,245は、囲い壁143において、底壁143b以外の部分から延びていてもよい。
前記特定位置は、最後退位置と最前進位置との間の距離を二等分する中間位置から最後退位置に達するまでの任意の位置、または、最前進位置と前記中間位置との間において該中間位置寄りの任意の位置であってもよい。
テンショナ100は、自動車が水平姿勢にあるときに、軸線方向が水平面Hに平行となるように、または傾斜角αが負となるように、エンジンブロック2に取り付けられてもよい。
101・・・ボディ
102・・・給油路
110・・・プランジャ
111・・・油室
112・・・バネ
115・・・エア空間
120・・・逆止弁
130・・・ラチェット機構
140・・・リザーブ室壁
145,245・・・仕切壁
151・・・導入口
152・・・導出口
160・・・連通路
R ・・・リザーブ室
R1 ・・・導入リザーブ室
R2 ・・・供給リザーブ室
L1a,L1b・・・導入油面
L2a,L2b・・・供給油面
Vc ・・・基準容積
Vr ・・・油室残留容積
Va ・・・算出エア空間容積
Vo ・・・供給貯留容積
Vi ・・・導入残留容積
Ss ・・・始動時設定前進ストローク量
Qs ・・・始動時リーク量
Claims (5)
- エンジンにより駆動される巻掛け伝動装置の巻掛け伝動体に張力を付与する油圧式テンショナであって、前記エンジンの運転および停止に応じて給油源からの作動油の供給および供給停止が行われるリザーブ室を経た作動油が導かれる給油路が設けられたボディと、前記エンジンに取り付けられている前記ボディに進退方向に移動可能に収容されたプランジャと、前記プランジャを前進方向に付勢する付勢部材と、前記ボディおよび前記プランジャにより形成される油室への前記給油路からの作動油の流入を許容する一方で前記給油路への前記油室からの作動油の流出を制限する逆止弁とを備え、前記リザーブ室には、前記給油源からの作動油を前記リザーブ室に導く導入口と、前記リザーブ室の作動油を前記給油路に導く導出口とが開口しており、前進する前記プランジャが、前記巻掛け伝動体に張力を付与する油圧式テンショナにおいて、
前記リザーブ室が、仕切壁により、前記導入口からの作動油が流入する導入リザーブ室と、前記導出口が開口する供給リザーブ室とに分けられ、
前記仕切壁が、前記導入リザーブ室の作動油を前記供給リザーブ室に導く連通路を形成し、
前記連通路が、前記導出口よりも上方に位置することを特徴とする油圧式テンショナ。 - 前記連通路が、前記導入リザーブ室に貯留されている作動油の油面および前記供給リザーブ室に貯留されている作動油の油面よりも上方に位置し、
前記仕切壁が、前記連通路よりも下方において前記導入リザーブ室と前記供給リザーブ室とを非連通状態に仕切ることを特徴とする請求項1に記載の油圧式テンショナ。 - 前記導入口が、前記導入リザーブ室において前記導入口よりも下方に作動油が貯留されるように、前記導入リザーブ室の最下部から上方に離隔していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油圧式テンショナ。
- 前記供給リザーブ室における作動油の供給貯留容積の最小値が、前記エンジンの長期放置時間が経過した時点における前記油室内に残留している作動油が占める油室残留容積と、前記長期放置時間の経過後の前記エンジンの始動時の前記プランジャの往復運動による前記油室からの作動油の始動時リーク量とに基づいて、次式により設定されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の油圧式テンショナ。
A=Vc−Vr+Qs
ここで、
A:供給貯留容積の最小値
Vc:長期放置時間が経過した時点での油室の容積よりも大きく設定された、
油室の基準容積
Vr:長期放置時間が経過した時点で油室内に残留している作動油が占める
油室残留容積
Qs:長期放置時間の経過後のエンジンの始動時でのプランジャの往復運動に
よる油室からの作動油の始動時リーク量 - 前記エンジンの長期放置時間が経過した時点における前記油室内でのエア空間のエア空間容積が、前記長期放置時間の経過後の前記エンジンの始動時に前記プランジャが始動時設定前進ストローク量で前進するときの前記エア空間の圧力低下により、前記逆止弁が開弁する値に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の油圧式テンショナ。
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