JP2011021647A - オートテンショナ - Google Patents

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Abstract

【課題】チェーンの振幅が大きい場合にもそのチェーンの振動を十分に吸収することができ、かつ、エンジン停止時にチェーンの張力が大きくなっても、円滑なエンジン始動が可能なオートテンショナを提供する。
【解決手段】ハウジング9内に作動油を充填し、ハウジング9内に挿入したプランジャ10とハウジング9の間の環状隙間をオイルシール15で密封し、ハウジング9内に設けたスリーブ23内にピストン25を摺動可能に挿入し、圧力室26とリザーバ室27とをチェックバルブ32を設けた第1通路31を介して連通し、ピストン25の移動範囲を規制する段部28を設け、プランジャ10の内周の雌ねじ17にねじ係合するスクリュロッド16を設け、スクリュロッド16を付勢するリターンスプリング21を設け、スクリュロッド16のプランジャ10からの突出端をピストン25で支持する。
【選択図】図2

Description

この発明は、主として自動車エンジンのカムシャフトを駆動するチェーンや歯付きベルトの張力保持に用いられるオートテンショナに関する。
自動車のエンジンは、一般に、クランクシャフトの回転をチェーン又は歯付きベルト(以下、チェーンを例に挙げて説明する)を介してカムシャフトに伝達し、そのカムシャフトの回転により燃焼室のバルブの開閉を行なう。ここで、チェーンの張力を適正範囲に保つために、支点軸を中心として揺動可能に設けたチェーンガイドと、そのチェーンガイドを介してチェーンを押圧するオートテンショナとからなる張力調整装置が多く用いられる。
この張力調整装置に組み込まれるオートテンショナとして、例えば、特許文献1に記載のオートテンショナのように、油圧ダンパ機構を用いたものが知られている。
特許文献1に記載のオートテンショナは、一端が開放し、他端が閉塞した筒状のハウジング内に作動油を充填し、そのハウジング内にロッドをハウジングから一端が突出した状態で軸方向に移動可能に挿入し、前記ロッドとハウジングの間の環状隙間をシール部材で密封し、前記ハウジング内にスリーブを同軸に設け、そのスリーブ内にピストンを摺動可能に挿入し、そのピストンのハウジングの閉塞端側に形成された圧力室と、前記ピストンのハウジングの開放端側に形成されたリザーバ室とを、リザーバ室側から圧力室側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブを設けた第1通路を介して連通し、作動油の流量を制限する第2通路を介して前記圧力室とリザーバ室を連通し、前記圧力室内に、前記ピストンをハウジングの開放端側に向かって付勢するスプリングを組み込み、前記ピストンで前記ロッドを支持したものである。
このオートテンショナは、エンジン作動中にチェーンの張力が大きくなると、そのチェーンの張力によって、ロッドがハウジング内に押し込まれる方向(以下、「押し込み方向」という)に移動し、チェーンの緊張を吸収する。このとき、作動油の流量を制限する第2通路を通って圧力室からリザーバ室に作動油が流れ、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用が生じるので、ロッドはゆっくりと移動する。
一方、エンジン作動中にチェーンの張力が小さくなると、スプリングの付勢力によってロッドがハウジングから突出する方向(以下、「突出方向」という)に移動し、チェーンの弛みを吸収する。このとき、チェックバルブが開き、第1通路を通ってリザーバ室から圧力室に作動油が流れるので、ロッドは速やかに移動する。
また、上記の張力調整装置に組み込まれるオートテンショナとして、特許文献2に記載のオートテンショナのように、ねじの摩擦を用いたものが知られている。
特許文献2に記載のオートテンショナは、一端が開放し、他端が閉塞した筒状のハウジング内に作動油を充填し、そのハウジング内にロッドをハウジングから一端が突出した状態で軸方向に移動可能に挿入し、前記ロッドとハウジングの間の環状隙間をシール部材で密封し、前記ハウジング内にナット部材を同軸に設け、そのナット部材の内周の雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するスクリュロッドを設け、そのスクリュロッドをハウジングの開放端側に向かって付勢するスプリングを設け、そのスクリュロッドで前記ロッドのハウジング内への挿入端を支持したものである。
このオートテンショナは、エンジン作動中にチェーンの張力が大きくなると、そのチェーンの張力によってロッドに負荷される押し込み方向の荷重をスクリュロッドの雄ねじとナット部材の雌ねじで受け止めるが、その後、チェーンの振動に伴う雄ねじと雌ねじの間の滑りが累積して、ロッドが押し込み方向に徐々に移動し、チェーンの緊張を吸収する。このとき、チェーンの振動に伴う雄ねじと雌ねじの間の滑りは微小なので、ロッドの移動速度が制限され、ダンパ作用が生じる。
一方、エンジン作動中にチェーンの張力が小さくなると、スプリングの付勢力によってロッドが突出方向に移動し、チェーンの弛みを吸収する。
特開2006−90440号公報 特開2007−24200号公報
ところで、エンジン停止時に、カムシャフトの停止位置によってチェーンの張力が大きくなる場合がある。
このとき、特許文献1に記載のオートテンショナは、チェーンの張力によって、ロッドが押し込み方向に大きく移動する。そのため、エンジンを再始動するときに、チェーンに弛みが生じ、円滑にエンジン始動できない可能性があった。
これに対し、特許文献2に記載のオートテンショナは、エンジン停止時にチェーンの張力が大きくなっても、チェーンが振動せずに静止しているので、スクリュロッドの雄ねじとナット部材の雌ねじの間に滑りが生じず、ロッドが移動しない。そのため、エンジンを再始動するときに、チェーンの弛みを生じにくく、円滑なエンジン始動が可能である。
その一方、特許文献1に記載のオートテンショナは、チェーンの振幅の大きさに応じてピストンの移動量が大きくなるので、エンジン作動中のチェーンの振幅が大きい場合(例えば、特定回転域でエンジンに共振が生じた場合や、燃焼サイクル中のカムシャフトやクランクシャフトの回転変動が大きい場合)にも、そのチェーンの振動を十分に吸収することが可能である。
これに対し、特許文献2に記載のオートテンショナは、チェーンの振幅の大きさが変化しても、雄ねじと雌ねじの間の滑り量は変化しないので、エンジン作動中のチェーンの振幅が大きい場合に、そのチェーンの振動を十分に吸収することができず、チェーンの張力が過大となることがあった。
この発明が解決しようとする課題は、チェーンの振幅が大きい場合にもそのチェーンの振動を十分に吸収することができ、かつ、エンジン停止時にチェーンの張力が大きくなっても、円滑なエンジン始動が可能なオートテンショナを提供することである。
上記の課題を解決するため、一端が開放し、他端が閉塞した筒状のハウジング内に作動油を充填し、そのハウジング内にプランジャをハウジングから一端が突出した状態で軸方向に移動可能に挿入し、前記プランジャとハウジングの間の環状隙間をシール部材で密封し、前記ハウジング内にスリーブを同軸に設け、そのスリーブ内にピストンを摺動可能に挿入し、そのピストンのハウジングの閉塞端側に形成された圧力室と、前記ピストンのハウジングの開放端側に形成されたリザーバ室とを、リザーバ室側から圧力室側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブを設けた第1通路を介して連通し、作動油の流量を制限する第2通路を介して前記圧力室とリザーバ室を連通し、前記圧力室内に前記ピストンをハウジングの開放端側に向かって付勢するピストンスプリングを組み込み、前記ピストンのハウジングの閉塞端側への移動範囲を規制するストッパを設け、前記プランジャをハウジング内への挿入端が開放する有底筒状に形成し、前記プランジャの内周に形成した雌ねじにねじ係合する雄ねじを外周に有するスクリュロッドを設け、そのスクリュロッドをプランジャから突出する方向に付勢するリターンスプリングを設け、そのスクリュロッドのプランジャからの突出端を前記ピストンで支持した構成をオートテンショナに採用した。
このオートテンショナは、エンジン作動中にチェーンの張力が大きくなると、そのチェーンの張力によって、プランジャがハウジング内に押し込まれる方向に移動し、チェーンの緊張を吸収する。このとき、作動油の流量を制限する第2通路を通って圧力室からリザーバ室に作動油が流れ、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用が生じるので、プランジャはゆっくりと移動する。
一方、エンジン作動中にチェーンの張力が小さくなると、ピストンスプリングの付勢力によって、プランジャがハウジングから突出する方向に移動し、チェーンの弛みを吸収する。このとき、チェックバルブが開き、第1通路を通ってリザーバ室から圧力室に作動油が流れるので、プランジャは速やかに移動する。
経時的にチェーンが伸びてきたときは、チェーンの振動によりスクリュロッドとプランジャが徐々に相対回転し、スクリュロッドのプランジャからの突出量が大きくなる。その結果、プランジャのハウジングからの突出量が大きくなり、チェーンの伸びを吸収することができる。
エンジン停止時に、カムシャフトの停止位置によってチェーンの張力が大きくなる場合があるが、このときは、チェーンが振動せずに静止しているので、スクリュロッドの雄ねじとプランジャの雌ねじの間に滑りが生じず、スクリュロッドとプランジャが相対回転しない。また、チェーンの張力によって、ピストンがハウジングの閉塞端側に向かって移動するが、その移動範囲がストッパで規制されているので、プランジャは僅かしか押し込み方向に移動しない。そのため、エンジンを再始動するときに、チェーンの弛みを生じにくく、円滑なエンジン始動が可能である。
前記ストッパは、例えば、前記スリーブの内周に、ハウジングの閉塞端側がハウジングの開放端側よりも小径となるように形成した段部を採用することができる。
前記ハウジング内に、前記プランジャをハウジングから突出する方向に付勢するアシストスプリングを組み込むと、チェーンの張力変動に対するプランジャの追従性を向上させることができる。
前記スリーブのハウジングの開放端側の端部内周に、前記ピストンをスリーブから抜け止めする抜け止め突起を設けることができる。このようにすると、プランジャに負荷される押し込み方向の荷重が解除されたとき(例えば、エンジンをメンテナンスするためにオートテンショナをエンジンから取り外したとき)に、ピストンスプリングの付勢力によってピストンがスリーブから抜け出るのを防止することができる。
前記抜け止め突起としては、例えば、スリーブの内周に装着した止め輪などを採用してもよいが、前記スリーブの端面をかしめて形成した抜け止め突起を採用すると低コストである。
前記ハウジングの上部に前記リザーバ室と連通する副リザーバ室を設け、その副リザーバ室内の作動油の上に空気溜りを設けることができる。このようにすると、その空気溜りにより、プランジャの移動に伴うハウジング内の容積変化を吸収することができ、プランジャの移動が円滑となる。
前記第1通路は、例えば、前記ハウジングとスリーブの内外周間に設けてもよく、前記ピストンに設けてもよい。前記ピストンに設ける場合、前記チェックバルブは、前記第1通路の圧力室側の開口を開閉する球状の弁体と、その弁体の移動範囲を規制するリテーナとで構成することができる。弁体としては、鋼球を用いることもできるが、セラミックボールを用いると弁体を軽量化することができ、圧力室の圧力変化に対するチェックバルブの応答性が向上する。
記第2通路としては、例えば、前記ピストンを貫通する小径孔を採用してもよいが、前記ピストンとスリーブの摺動面間に形成される微小隙間を採用すると低コストである。
前記雄ねじと雌ねじは、スクリュロッドをプランジャ内に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランクのフランク角が、遊び側フランクのフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されたものを採用することができる。
この発明のオートテンショナは、エンジン停止時にチェーンの張力が大きくなったときのプランジャの押し込み量が小さいので、円滑なエンジン始動が可能である。また、エンジン作動中のチェーンの振幅が大きい場合にも、そのチェーンの振動を十分に吸収することが可能である。
この発明の第1実施形態のオートテンショナを組み込んだチェーン伝動装置を示す正面図 図1のオートテンショナ近傍の拡大断面図 図2のIII−III線に沿った拡大断面図 図2に示すプランジャが突出方向に移動する過程を示すピストン近傍の拡大断面図 図2に示すプランジャが押し込み方向に移動する過程を示すピストン近傍の拡大断面図 この発明の第2実施形態のオートテンショナを示す拡大断面図 図6のVII−VII線に沿った拡大断面図
図1に、この発明の第1実施形態のオートテンショナ1を組み込んだチェーン伝動装置を示す。このチェーン伝動装置は、エンジンのクランクシャフト2に固定されたスプロケット3と、カムシャフト4に固定されたスプロケット5とがチェーン6を介して連結されており、そのチェーン6がクランクシャフト2の回転をカムシャフト4に伝達し、そのカムシャフト4の回転により燃焼室のバルブ(図示せず)の開閉を行なう。
チェーン6には、支点軸7を中心として揺動可能に支持されたチェーンガイド8が接触しており、オートテンショナ1は、そのチェーンガイド8を介してチェーン6を押圧している。
図2に示すように、オートテンショナ1は、一端が開放し、他端が閉じた筒状のハウジング9と、ハウジング9から一端が突出した状態でハウジング9内に挿入されたプランジャ10とを有する。ハウジング9は、ハウジング9の外周に一体に形成された複数の取り付け片11にボルト12を締め込むことによって、エンジンブロック13(図3参照)の側面に固定されている。
ハウジング9内には、作動油が充填されている。ハウジング9の開放端の内周には、プランジャ10の外周を軸方向に移動可能に支持するウエアリング14と、プランジャ10とハウジング9の間の環状隙間を密封するオイルシール15とが装着されている。
プランジャ10は、ハウジング9内への挿入端が開口する有底筒状に形成されている。プランジャ10には、プランジャ10のハウジング9内への挿入端から一端が突出した状態でスクリュロッド16が挿入され、プランジャ10の内周に形成された雌ねじ17に、スクリュロッド16の外周に形成された雄ねじ18がねじ係合している。
雄ねじ18と雌ねじ17は、スクリュロッド16をプランジャ10内に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク19のフランク角が、遊び側フランク20のフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されている。
ここで、圧力側フランク19のフランク角は、スクリュロッド16をプランジャ10内に押し込む方向の荷重が静的に負荷されたときに、雄ねじ18と雌ねじ17の圧力側フランク19,19間の摩擦抵抗によってスクリュロッド16の回転が阻止される大きさに設定されている。また、遊び側フランク20のフランク角は、スクリュロッド16をプランジャ10から突出させる方向の荷重が静的に負荷されたときに、雄ねじ18と雌ねじ17の遊び側フランク20,20間の滑りによってスクリュロッド16の回転が許容される大きさに設定されている。
プランジャ10とスクリュロッド16の間には、リターンスプリング21が組み込まれている。リターンスプリング21は、一端がスプリングシート22を介してプランジャ10で支持され、他端がスクリュロッド16をプランジャ10から突出する方向に押圧している。
ここで、プランジャ10は、リターンスプリング21の反力によってハウジング9から突出する方向に付勢されている。プランジャ10は、ハウジング9からの突出端がチェーンガイド8に当接しており、このチェーンガイド8を介してチェーン6を押圧する。
スプリングシート22は、プランジャ10との接触面がプランジャ10と点接触する球面状に形成され、これにより、スクリュロッド16とプランジャ10の間の回転抵抗を低減している。
ハウジング9内には、鉄製のスリーブ23がハウジング9と同軸に設けられている。スリーブ23は、ハウジング9の閉塞端側の端部が閉塞し、ハウジング9の開放端側の端部が開放している。スリーブ23の閉塞端は、プレス成形によってスリーブ23と一体に形成され、このプレス成形と同時に、スリーブ23の閉塞端の外周にフランジ24が形成されている。
スリーブ23内には、ピストン25が軸方向に摺動可能に挿入されている。ピストン25は、スクリュロッド16のプランジャ10からの突出端を支持している。このピストン25を介して、ピストン25のハウジング9の閉塞端側に圧力室26が形成され、ピストン25のハウジング9の開放端側にリザーバ室27が形成されている。
スリーブ23の内周には、ハウジング9の閉塞端側がハウジング9の開放端側よりも小径となる段部28が形成されており、この段部28よりもハウジング9の開放端側の部分をピストン25が摺動するようになっている。段部28は、ピストン25がハウジング9の閉塞端側に移動したときに、そのピストン25を受け止めて移動範囲を規制するストッパとして機能する。
圧力室26内には、ピストン25をハウジング9の開放端側に向かって付勢するピストンスプリング29が組み込まれている。また、スリーブ23のハウジング9の開放端側の端部内周には、ピストン25をスリーブ23から抜け止めする抜け止め突起30が設けられている。抜け止め突起30は、スリーブ23の端面をかしめて形成されている。
ピストン25には、圧力室26とリザーバ室27を連通する第1通路31が形成されている。第1通路31の圧力室26側の端部には、リザーバ室27側から圧力室26側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブ32が設けられている。
チェックバルブ32は、第1通路31の圧力室26側の開口を開閉する球状の弁体33と、その弁体33の移動範囲を規制するリテーナ34とからなる。弁体33としては、鋼球を用いることもできるが、セラミックボールを用いると弁体33を軽量化することができ、圧力室26の圧力変化に対するチェックバルブ32の応答性が向上する。
また、圧力室26とリザーバ室27は、作動油の流量を制限する第2通路35を介して連通している。ここで、第2通路35は、ピストン25とスリーブ23の摺動面間に形成された微小隙間である。
ハウジング9内には、アシストスプリング36が組み込まれている。アシストスプリング36は、一端が、スリーブ23の端部外周のフランジ24で支持され、他端がプランジャ10のハウジング9内への挿入端を押圧しており、その押圧によってプランジャ10をハウジング9から突出する方向に付勢している。このアシストスプリング36は、ピストンスプリング29の付勢力を補っており、チェーン6の張力変動に対するプランジャ10の追従性を向上させている。
ハウジング9の上部には、副リザーバ室37が設けられている。また、ハウジング9の内周には、ハウジング9の閉塞端側から開放端側に向かって順に小内径部38と大内径部39とが形成されている。副リザーバ室37は、ハウジング9の外周に形成された連通孔40と、ハウジング9の大内径部39とプランジャ10の間に形成された環状空間とを介してリザーバ室27に連通している。副リザーバ室37内の作動油の上には空気溜り41が設けられており、その上面開口がシールキャップ42で密閉されている。空気溜り41は、プランジャ10の移動に伴うハウジング9内の容積変化を吸収することにより、プランジャ10の移動を円滑化する。
次に、このオートテンショナ1の動作例を説明する。
エンジン作動中にチェーン6の張力が小さくなると、ピストンスプリング29とアシストスプリング36の付勢力によって、プランジャ10がハウジング9から突出する方向に移動し、チェーン6の弛みを吸収する。このとき、図4に示すように、圧力室26内の圧力がリザーバ室27内の圧力よりも低くなってチェックバルブ32が開き、第1通路31を通ってリザーバ室27から圧力室26に作動油が流れるので、プランジャ10は速やかに移動する。
一方、エンジン作動中にチェーン6の張力が大きくなると、そのチェーン6の張力によって、プランジャ10がハウジング9内に押し込まれる方向に移動し、チェーン6の緊張を吸収する。このとき、図5に示すように、圧力室26内の圧力がリザーバ室27内の圧力よりも高くなってチェックバルブ32が閉じるので、第2通路35を通って圧力室26からリザーバ室27に作動油が流れ、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用が生じ、プランジャ10はゆっくりと移動する。
経時的にチェーン6が伸びてきたときは、チェーン6の振動によりスクリュロッド16とプランジャ10が徐々に相対回転し、スクリュロッド16のプランジャ10からの突出量が大きくなる。その結果、プランジャ10のハウジング9からの突出量が大きくなり、チェーン6の伸びを吸収することができる。
エンジン停止時に、カムシャフト4の停止位置によってチェーン6の張力が大きくなる場合がある。このとき、チェーン6が振動せずに静止しているので、スクリュロッド16の雄ねじ18とプランジャ10の雌ねじ17の間に滑りが生じず、スクリュロッド16とプランジャ10が相対回転しない。また、チェーン6の張力によって、ピストン25がハウジング9の閉塞端側に向かって移動するが、スリーブ23の内周の段部28でピストン25の移動範囲が規制されているので、プランジャ10は僅かしか押し込み方向に移動しない。そのため、エンジンを再始動するときに、チェーン6の弛みを生じにくく、円滑なエンジン始動が可能である。
このように、このオートテンショナ1は、エンジン停止時にチェーン6の張力が大きくなったときのプランジャ10の押し込み量が小さいので、円滑なエンジン始動が可能である。
また、このオートテンショナ1は、チェーン6の振幅の大きさに応じてピストン25の移動量が大きくなるので、エンジン作動中のチェーン6の振幅が大きい場合(例えば、特定回転域でエンジンに共振が生じた場合や、燃焼サイクル中のカムシャフト4やクランクシャフト2の回転変動が大きい場合)にも、そのチェーン6の振動を十分に吸収することが可能である。
また、このオートテンショナ1は、ハウジング9に封入した作動油でダンパ作用を生じるので、エンジンのオイルポンプからの作動油の供給が不要であり、低コストである。
このオートテンショナ1は、スリーブ23に抜け止め突起30が設けられているので、プランジャ10に負荷される押し込み方向の荷重が解除されたとき(例えば、エンジンをメンテナンスするためにオートテンショナ1をエンジンブロック13から取り外したとき)に、ピストンスプリング29の付勢力によってピストン25がスリーブ23から抜け出るのを防止することができる。
上記実施形態では、ピストン25とスリーブ23の摺動面間の微小隙間を第2通路35として用いたが、ピストン25とスリーブ23の摺動面間をOリングなどで密封し、ピストン25に微小な貫通孔を形成してもよい。この場合、ピストン25に形成した微小な貫通孔が第2通路35となる。
また、上記実施形態では、プランジャ10とハウジング9の間の環状隙間を密封するシール部材としてオイルシール15を採用したが、オイルシール15にかえてOリングなどの他のシール部材を用いてもよい。
また、上記実施形態では、ピストン25の移動範囲を規制するストッパとして段部28を例に挙げて説明したが、スリーブ23とは別体の小径スリーブ(図示せず)をスリーブ23内に嵌め込んでストッパとしてもよい。また、ピストンスプリング29の隣り合うコイルの間隔を小さく設定し、そのピストンスプリング29の着座によってピストン25の移動範囲を規制するようにしてもよい。この場合、ピストンスプリング29の隣り合うコイルの対向面がストッパとなる。
図6、図7に、この発明の第2実施形態のオートテンショナ51を示す。第1実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
プランジャ10は、ハウジング9の内周で軸方向に移動可能に支持されている。また、ハウジング9の内周には、ハウジング9の全長にわたって軸方向溝52が形成されている。
圧力室26とリザーバ室27は、チェックバルブ32を設けた第1通路31を介して連通している。この第1通路31は、ハウジング9とスリーブ23の内外周間の環状空間と、ハウジング9の内周の軸方向溝52と、ハウジング9の閉塞端の径方向溝53と、スリーブ23の閉塞端54に形成された貫通孔55とからなる。スリーブ23の閉塞端54は、スリーブ23と別体に形成され、スリーブ23内に圧入して固定されている。
副リザーバ室37は、ハウジング9の外周に形成された連通孔40と、ハウジング9の内周の軸方向溝52とを介してリザーバ室27に連通している。
このオートテンショナ51は、プランジャ10のハウジング9内への挿入部分がハウジング9の内周で支持されているので、プランジャ10の軸心が傾きにくい。そのため、雄ねじ18と雌ねじ17の間に芯ずれが生じにくく、雄ねじ18と雌ねじ17の摩擦抵抗が安定している。
1 オートテンショナ
9 ハウジング
10 プランジャ
15 オイルシール
16 スクリュロッド
17 雌ねじ
18 雄ねじ
19 圧力側フランク
20 遊び側フランク
21 リターンスプリング
23 スリーブ
25 ピストン
26 圧力室
27 リザーバ室
28 段部
29 ピストンスプリング
30 抜け止め突起
31 第1通路
32 チェックバルブ
33 弁体
34 リテーナ
35 第2通路
36 アシストスプリング
37 副リザーバ室
41 空気溜り
51 オートテンショナ

Claims (10)

  1. 一端が開放し、他端が閉塞した筒状のハウジング(9)内に作動油を充填し、そのハウジング(9)内にプランジャ(10)をハウジング(9)から一端が突出した状態で軸方向に移動可能に挿入し、前記プランジャ(10)とハウジング(9)の間の環状隙間をシール部材(15)で密封し、前記ハウジング(9)内にスリーブ(23)を同軸に設け、そのスリーブ(23)内にピストン(25)を摺動可能に挿入し、そのピストン(25)のハウジング(9)の閉塞端側に形成された圧力室(26)と、前記ピストン(25)のハウジング(9)の開放端側に形成されたリザーバ室(27)とを、リザーバ室(27)側から圧力室(26)側への作動油の流れのみを許容するチェックバルブ(32)を設けた第1通路(31)を介して連通し、作動油の流量を制限する第2通路(35)を介して前記圧力室(26)とリザーバ室(27)を連通し、前記圧力室(26)内に前記ピストン(25)をハウジング(9)の開放端側に向かって付勢するピストンスプリング(29)を組み込み、前記ピストン(25)のハウジング(9)の閉塞端側への移動範囲を規制するストッパ(28)を設け、前記プランジャ(10)をハウジング(9)内への挿入端が開放する有底筒状に形成し、前記プランジャ(10)の内周に形成した雌ねじ(17)にねじ係合する雄ねじ(18)を外周に有するスクリュロッド(16)を設け、そのスクリュロッド(16)をプランジャ(10)から突出する方向に付勢するリターンスプリング(21)を設け、そのスクリュロッド(16)のプランジャ(10)からの突出端を前記ピストン(25)で支持したオートテンショナ。
  2. 前記ストッパ(28)は、前記スリーブ(23)の内周に、ハウジング(9)の閉塞端側がハウジング(9)の開放端側よりも小径となるように形成した段部(28)である請求項1に記載のオートテンショナ。
  3. 前記ハウジング(9)内に、前記プランジャ(10)をハウジング(9)から突出する方向に付勢するアシストスプリング(36)を組み込んだ請求項1または2に記載のオートテンショナ。
  4. 前記スリーブ(23)のハウジング(9)の開放端側の端部内周に、前記ピストン(25)をスリーブ(23)から抜け止めする抜け止め突起(30)を設けた請求項1から3のいずれかに記載のオートテンショナ。
  5. 前記抜け止め突起(30)を、前記スリーブ(23)の端面をかしめて形成した請求項4に記載のオートテンショナ。
  6. 前記ハウジング(9)の上部に前記リザーバ室(27)と連通する副リザーバ室(37)を設け、その副リザーバ室(37)内の作動油の上に空気溜り(41)を設けた請求項1から5のいずれかに記載のオートテンショナ。
  7. 前記第1通路(31)が前記ピストン(25)に設けられ、前記チェックバルブ(32)が、前記第1通路(31)の圧力室(26)側の開口を開閉する球状の弁体(33)と、その弁体(33)の移動範囲を規制するリテーナ(34)とからなる請求項1から6のいずれかに記載のオートテンショナ。
  8. 前記弁体(33)がセラミックボールである請求項7に記載のオートテンショナ。
  9. 前記第2通路(35)が前記ピストン(25)とスリーブ(23)の摺動面間に形成された微小隙間である請求項1から8のいずれかに記載のオートテンショナ。
  10. 前記雄ねじ(18)と雌ねじ(17)は、スクリュロッド(16)をプランジャ(10)内に押し込む方向の荷重が負荷されたときに圧力を受ける圧力側フランク(19)のフランク角が、遊び側フランク(20)のフランク角よりも大きい鋸歯状に形成されている請求項1から9のいずれかに記載のオートテンショナ。
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