JP2013249823A - 吸気マニホールド - Google Patents

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Abstract

【課題】 エンジンの吸気ポートやバキューム配管への凝縮水の流入を防止した吸気マニホールドを提供する。
【解決手段】 吸気チャンバ12内にはチャンバ室51が設けられ、レゾネータ17内には共鳴室52が設けられている。チャンバ室51と共鳴室52とは、吸気チャンバ12の底面に開口を有する共鳴連通路53によって連通されており、エンジン1の運転時に共鳴連通路53を介してチャンバ室51と共鳴室52との間で吸入空気が移動できる。共鳴連通路53の開口53aは吸気チャンバ12の底面12aに位置しており、吸気導入管11は、その開口11aの下縁が共鳴連通路53の開口53aよりも若干上方に位置している。また、第1〜第4分岐管13〜16の開口13a〜16aは、それぞれの下縁が共鳴連通路53の開口53aの下縁よりも上方に位置している。
【選択図】 図6

Description

本発明は、多気筒エンジンに付設される吸気マニホールドに係り、詳しくはエンジンの吸気ポートやバキューム配管への凝縮水の流入を防止する技術に関する。
自動車用多気筒エンジンでは、シリンダヘッドにおける吸気ポート側壁面に吸気マニホールドを締結し、この吸気マニホールドを介して新気(空気や混合気)を各気筒の燃焼室に供給することが一般的である。吸気マニホールドには、エアクリーナやスロットルボディを通過した新気を一時的に貯留する吸気チャンバと、吸気チャンバ内の新気を各気筒の吸気ポートに分配する分岐管とから構成されたものがある。吸気マニホールドの製造方法としては、アルミニウム合金を素材とするダイキャスト成型が採用されることもあるが、近年では軽量化や低コスト化等を図るべく樹脂を素材とする射出成形品が出現している(特許文献1参照)。特許文献1の吸気マニホールドでは、吸気導入管が並設された4本の分岐管のうち2本の内側を略水平に通過した後、上方に向けてL字状に屈曲して上部の吸気チャンバに連通する構造となっている。
一方、吸気マニホールドには、吸気チャンバにレゾネータ(レゾナンスチャンバとも呼ぶ)を接続し、共鳴過給(共鳴効果による吸気の動的過給)を行なうものが公知となっている(特許文献2参照)。共鳴過給は、吸気行程で吸気管内に生じた圧力振動(吸気脈動)にレゾネータの固有気柱振動数を同調させることによる過給方法であり、同調点において吸気脈動が減衰する一方、同調点を挟むエンジン回転域では過給効果が生じてエンジントルクの上昇が実現される。
国際公開第WO2012/014377号 特開平9−264142号公報
近年の自動車用エンジンでは、有害排出ガス成分の低減や燃費の向上等を図るため、吸気マニホールドの上流側(吸気導入管等)にEGR(Exhaust Gas Recirculation system:排気ガス再循環システム)ガスが導入される。EGRガスは未燃燃料やオイル等とともに燃焼生成物である水分を含んでいるため、その水分が吸気チャンバ内(チャンバ室の内壁)で結露して凝縮水となる。通常、凝縮水はチャンバ室の下部に溜まることになるが、自動車が旋回走行や悪路走行を行った際には、凝縮水が吸気チャンバから分岐管に流れ込んでエンジンの吸気ポートに流入することがあった。この場合、点火プラグが濡れることで失火等が生じ、エンジンの出力低下や振動がもたらされる虞があった。
一方、ガソリンエンジン搭載車等では、運転者の制動意志(すなわち、ブレーキペダルの踏込量)に応じた十分な制動を可能とすべく、負圧作動式の真空倍力装置(バキュームサーボ)がブレーキに付設されている。バキュームサーボは、吸気マニホールドや吸気管に形成された負圧ジョイントにバキューム配管(バキュームホース,バキュームパイプ)およびチェックバルブ(逆流防止弁)を介して接続されており、エンジンの運転時に吸気負圧によって真空引きされる。しかしながら、負圧ジョイントを吸気チャンバに形成した場合、上述した凝縮水が負圧ジョイントを介してバキューム配管に流れ込み、チェックバルブの機能不良(弁体の固着や閉塞等)を引き起こす虞があった。
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、エンジンの吸気ポートやバキューム配管への凝縮水の流入を防止した吸気マニホールドを提供することを目的とする。
本発明の第1の側面では、車載用多気筒型のエンジン(1)に付設される吸気マニホールド(10)であって、スロットルバルブ(8)からの吸入空気を導入する吸気導入管(11)と、前記吸気導入管から導入された吸入空気を貯留するチャンバ室(51)が形成された吸気チャンバ(12)と、前記エンジンの気筒列方向に沿って並設され、上流側から下流側に向けて下方に延設されるとともに、前記チャンバ室に分岐管開口(13a〜16a)をもってそれぞれ開口し、当該チャンバ室内の吸入空気を当該エンジンの各吸気ポート(5a〜5d)にそれぞれ供給する複数本の分岐管(13〜16)と、前記チャンバ室に共鳴連通路(53)を介して連通する共鳴室(52)を有するレゾネータ(17)とを備え、前記エンジンが車両に搭載された状態で、前記分岐管開口の下縁が前記チャンバ室の底面(12a)より上方に位置し、前記共鳴連通路の前記チャンバ室側の開口(53a)が当該分岐管開口の下縁よりも下方に位置する部分を含む。
また、本発明の第2の側面では、前記吸気チャンバには前記チャンバ室に負圧開口(39a)をもって開口する負圧ジョイント(39)が形成され、前記負圧開口は、前記共鳴連通路の上方に位置するとともに、底面が下り勾配または水平に形成された連通溝(40)をもって当該共鳴連通路に連通する。
本発明の第1の側面に係る吸気マニホールドによれば、吸気チャンバ内に生じた凝縮水は、分岐管に流れ込むことなく共鳴連通路を介してレゾネータに落下し、エンジンの吸気ポートに流入して失火等を引き起こすこと等が防止される。また、第2の側面に係る吸気マニホールドによれば、負圧ジョイント付近の凝縮水が連通溝および共鳴連通路を介してレゾネータに落下し、バキュームラインに設けられたチェックバルブの機能不良等を引き起こすこと等が防止される。
実施形態に係る自動車用エンジンの斜視図である。 実施形態に係る吸気マニホールドの分解斜視図である。 実施形態に係る吸気マニホールドの背面図である。 実施形態に係る第1分割体の正面図である。 図4中のV部拡大図である。 実施形態に係る第2分割体の背面図である。 実施形態に係る吸気マニホールドの縦断面図である。 図7中のVIII−VIII階段断面図である。 図8中のIX部拡大図である。
以下、図面を参照して、本発明を自動車用直列4気筒エンジン(以下、単にエンジンと記す)の吸気マニホールドに適用した実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態のエンジンは前方吸気の前傾搭載型であるが、吸気マニホールドにおける各部位の説明にあたっては、上下方向については図1中に上下の矢印で示し、前後方向および左右方向については便宜上図1中に前後・左右を矢印で示し、位置や方向をこれらに沿って表記する。
≪実施形態の構成≫
図1,図2に示すように、本実施形態のエンジン1は、図示しないシリンダブロックの上面に締結されたシリンダヘッド2、シリンダヘッド2の上面に締結されたヘッドカバー3等を有している。シリンダヘッド2の吸気サイド(前面)に形成された吸気フランジ2aには、4つの吸気ポート5a〜5dが左右方向に並んで開口するとともに、右端側の吸気ポート5dの右方にEGRガス供給孔6が開口している。シリンダヘッド2には、EGRガス供給孔6を覆うかたちでEGRブロック7が締結され、このEGRブロック7を介してEGRガス供給孔6からのEGRガスが後述の吸気導入管11内に供給される。
<吸気マニホールド>
図1,図2に示すように、吸気マニホールド10は、シリンダヘッド2の吸気フランジ2aおよびEGRブロック7の前面(図2参照)に締結されており、右端に締結されたスロットルバルブ8からの新気(吸入空気)が流入する吸気導入管11と、吸気導入管11から新気が流入する吸気チャンバ12と、吸気チャンバ12内の新気をエンジン1の各吸気ポート5a〜5dにそれぞれ導く第1〜第4分岐管13〜16と、吸気チャンバ12に連通するレゾネータ17(図3参照)とを備えている。
図3にも示すように、吸気導入管11は、右方(上流側)から吸気マニホールド10の中央部まで延びた後に上方に向けて略L字状に屈曲し、下流端が吸気チャンバ12の前面に接続している。吸気チャンバ12は、吸気マニホールド10の最上部に位置しており、内部にチャンバ室51(図7,図8参照)を有している。図1に示すように、第1〜第4分岐管13〜16は、上流端が吸気チャンバ12の前面に接続しており、前方に向けて略円弧状に屈曲した後、下流端が締結フランジ18(図3参照)を介してシリンダヘッド2の吸気フランジ2aに締結されている。
第3,第4分岐管15,16は、吸気導入管11の外周に一部が巻き回されており、少なくともその下部が吸気導入管11と一体となっている。一方、レゾネータ17は、吸気導入管11と第1,第2分岐管13,14と吸気チャンバ12とによって画成される空間(すなわち、吸気導入管11の立上り部の左側)に配設されている。これにより、レゾネータ17を吸気マニホールド10の外部に設置する場合等に較べ、吸気装置のコンパクト化(すなわち、省スペース化)が実現される。
図2に示すように、吸気マニホールド10は、熱可塑性樹脂の射出成形品である第1〜第3分割体21〜23を構成要素としており、これら分割体21〜23が振動溶着によって互いに接合されることで製造される。
図2,図4に示すように、第1分割体21は、吸気導入管11の後方部分を構成する導入管後半部31と吸気チャンバ12の後方部分を構成するチャンバ後半部32と、第1〜第4分岐管13〜16の下流端部分を構成する第1〜第4分岐管端部33〜36と、レゾネータ17の後方部分を構成するレゾネータ後半部37と、吸気チャンバ12とレゾネータ17とを連通させる共鳴連通路18(図7,図8参照)の後方部分を構成する連通路後半部38とを有している。なお、図5にも示すように、チャンバ後半部32の左後面には、図示しないバキュームサーボにバキューム配管およびチェックバルブを介して接続される負圧ジョイント39が形成されており、その負圧開口39aが下り勾配の凝縮水排出溝40をもって連通路後半部38に連続している。
また、図2,図6に示すように、第2分割体22は、吸気導入管11の前方部分を構成する導入管前半部41と吸気チャンバ12の前方部分を構成するチャンバ前半部42と、第1〜第4分岐管13〜16の後方部分を構成する第1〜第4分岐管後半部43〜46と、レゾネータ17の前方部分を構成するレゾネータ前半部47(図2には図示せず)と、共鳴連通路18の前方部分を構成する連通路前半部48(図2には図示せず)を有している。
また、第3分割体23は、第1〜第4分岐管13〜16の前方部分を構成する第1〜第4分岐管前半部53〜56を有している。
図7に示すように、吸気チャンバ12内にはチャンバ室51が設けられ、レゾネータ17内には共鳴室52が設けられている。チャンバ室51と共鳴室52とは、吸気チャンバ12の底面に開口を有する共鳴連通路53によって連通されており、エンジン1の運転時に共鳴連通路53を介してチャンバ室51と共鳴室52との間で吸入空気が移動できるようになっている。図4,図6〜図9に示すように、チャンバ室51には吸気導入管11とと共鳴連通路53との間に隔壁55が設けられている。隔壁55はエンジン1の気筒列方向でその左端55aが第2分岐管14の開口14aの略中央まで延設されており、この隔壁55に隔てられることにより、吸気導入管11の開口11aの縁部と共鳴連通路53の開口53aの縁部とが距離L(例えば、50mm程度)をもって離間している。
図7,図8に示すように、共鳴連通路53の開口53aは吸気チャンバ12の底面12aに位置しており、吸気導入管11は、その開口11aの下縁が共鳴連通路53の開口53aよりも若干上方に位置している。また、第1〜第4分岐管13〜16の開口13a〜16aは、それぞれの下縁が共鳴連通路53の開口53aの下縁よりも上方に位置している。
≪実施形態の作用≫
エンジン1が運転を開始すると、ピストンのレシプロ運動に伴ってエアクリーナから新気が負圧吸引され、この新気がスロットルバルブ8を介して吸気マニホールド10に流入する。吸気マニホールド10に流入した新気は、吸気導入管11から吸気チャンバ12のチャンバ室51に導入された後、第1〜第4分岐管13〜16を介してシリンダヘッド2の吸気ポート5a〜5dに供給され、吸気弁が開放した際に燃焼室に供給される。
吸気チャンバ12(チャンバ室51)に導入された吸入空気は、共鳴連通路53を介して共鳴室52(レゾネータ17)にも流れ込むが、この際、吸気導入管11の開口11aの縁部と共鳴連通路53の開口53aの縁部とが離間しているため、図9(a)に示すように吸入空気の共鳴室52への流入が抑制され、第1〜第4分岐管13〜16(特に、第2分岐管14)への吸入空気の分配が阻害されにくくなり、エンジン1の出力低下やトルク変動等が効果的に防止される。なお、吸気導入管11と共鳴連通路53との間に隔壁が設けられていない場合、図9(b)に示すように吸入空気の一部が共鳴室52に流入し、第2分岐管14に適正な量の吸入空気が導入されなくなる。
一方、エンジン1を制御するエンジンECU(図示せず)は、エンジン回転速度や冷却水温、吸気温、エンジン負荷等の各種運転情報に基づいてEGRガスの環流量を設定し、EGRバルブ等を駆動制御してEGRガス供給孔6からEGRブロック7にEGRガスを供給する。EGRガスは、EGRブロック7内のEGRガス通路を通過して吸気導入管11内に放出され、吸気チャンバ12、分岐管13〜16を経て吸気ポート5a〜5dに導入される。
EGRガスやブローバイガスは燃焼生成物である水分を含んでおり、この水分が吸気チャンバ12の内壁に付着した後、冷却されることによって凝縮水61となる。凝縮水61は、吸気チャンバ12の内壁を伝って流れ落ち、図7,図8に示すように、吸気チャンバ12の底面12aに溜まり62を形成する。本実施形態の場合、上述したように、吸気チャンバ12の底面12aには共鳴連通路53の開口53aが位置し、吸気導入管11の開口11aの下縁や第1〜第4分岐管13〜16の開口13a〜16aの下縁が共鳴連通路53の開口53aよりも上方に位置している。そのため、吸気チャンバ12の底面12aに溜まり62を形成した凝縮水61は、図7,図8中に矢印で示すように、吸気導入管11や第1〜第4分岐管13〜16に流れ込むことなく、共鳴連通路53を介して共鳴室52(レゾネータ17)に流入する。なお、共鳴室52に流入した凝縮水61は、エンジン1の運転に伴う吸入空気の流れによって次第に蒸発し、無害な水蒸気となって第1〜第4分岐管13〜16から各吸気ポート5a〜5dに流入する。
また、負圧ジョイント39の負圧開口39aの付近に溜まった凝縮水61は、図5に示すように、下り勾配の凝縮水排出溝40を流れ下り、共鳴連通路53を介して共鳴室52(レゾネータ17)に流入する。これにより、負圧ジョイント62からバキューム配管(すなわち、バキュームサーボ側)への凝縮水61の流入が防止され、チェックバルブの機能不良(弁体の固着や閉塞等)が効果的に抑制される。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれら実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態は、自動車用直列4気筒エンジンの吸気マニホールドに本発明を適用したものであるが、本発明は、自動車や産業機械等に用いられる直列6気筒エンジンやV型6気筒エンジン等の吸気マニホールドにも当然に適用可能である。また、上記実施形態では吸気チャンバにおける吸気導入管の開口を共鳴連通路の開口より上方に設置したが、例えば、吸気導入管を吸気チャンバの底面に開口させ、第3,第4分岐管側の凝縮水を吸気導入管に落下させるようにしてもよい。その他、吸気マニホールドや第1,第2分割体の具体的構造や形状等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設定可能である。
1 エンジン
2 シリンダヘッド
5a〜5d 吸気ポート
8 スロットルバルブ
10 吸気マニホールド
11 吸気導入管
12 吸気チャンバ
12a 底面
13〜16 分岐管
13a〜16a 分岐管開口
17 レゾネータ
18 締結フランジ
39 負圧ジョイント
39a 負圧開口
40 凝縮水排出溝(連通溝)
51 チャンバ室
52 共鳴室
53 共鳴連通路
53a 開口

Claims (2)

  1. 車載用多気筒型のエンジンに付設される吸気マニホールドであって、
    スロットルバルブからの吸入空気を導入する吸気導入管と、
    前記吸気導入管から導入された吸入空気を貯留するチャンバ室が形成された吸気チャンバと、
    前記エンジンの気筒列方向に沿って並設され、上流側から下流側に向けて下方に延設されるとともに、前記チャンバ室に分岐管開口をもってそれぞれ開口し、当該チャンバ室内の吸入空気を当該エンジンの各吸気ポートにそれぞれ供給する複数本の分岐管と、
    前記チャンバ室に共鳴連通路を介して連通する共鳴室を有するレゾネータとを備え、
    前記エンジンが車両に搭載された状態で、前記分岐管開口の下縁が前記チャンバ室の底面より上方に位置し、前記共鳴連通路の前記チャンバ室側の開口が当該分岐管開口の下縁よりも下方に位置する部分を含むことを特徴とする吸気マニホールド。
  2. 前記吸気チャンバには前記チャンバ室に負圧開口をもって開口する負圧ジョイントが形成され、
    前記負圧開口は、前記共鳴連通路の上方に位置するとともに、底面が下り勾配または水平に形成された連通溝をもって当該共鳴連通路に連通することを特徴とする、請求項1に記載された吸気マニホールド。
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