JP2013249398A - エチレン・α−オレフィン非共役ポリエン共重合体ゴムペレット - Google Patents

エチレン・α−オレフィン非共役ポリエン共重合体ゴムペレット Download PDF

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Abstract

【課題】ブロッキングが生じにくいエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレット、およびそれを用いた熱可塑性エラストマーの製造方法を提供する。
【解決手段】エチレン[A]、炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]、および下記式(I)または(CH=CH−)−で表される部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位を含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有するゴムペレットであって、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるエチレン[A]に由来する構造単位と、α−オレフィン[B]に由来する構造単位とのモル比([A]/[B])が、75/25〜90/10であることを特徴とするゴムペレット。
Figure 2013249398

【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン・α−オレフィン非共役ポリエン共重合体ゴムペレットに関し、ブロッキングしにくいゴムペレット、およびそれを用いた熱可塑性エラストマーの製造方法に関する。
熱可塑性エラストマーは、リサイクル可能なゴム材料として、近年、研究が盛んに行われている。熱可塑性エラストマーは、常温では加硫ゴムと同様にゴム弾性を示し、高温ではマトリックス相が可塑化し流動するため、熱可塑性樹脂と同様に取り扱うことが可能となる。さらに加硫ゴムと比べると省エネルギーおよび生産性向上が可能となる。このような特徴があるため熱可塑性エラストマーは、主に自動車、建材、スポーツ用品、医療用途や工業部品分野などで需要が拡大している。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、架橋型と非架橋型に大別されるが、引張強度や破断伸度、あるいはゴム的性質(例えば永久伸び、圧縮永久歪)や耐熱性の面から、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーに比べて架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーの方が優れている。このことはA. Y. Coranらの文献(Rubber Chemistry and Technology、53巻(1980)、P141)に詳細に記されているように、広く知られている。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、主鎖に不飽和結合を持たないため、共役ジエン系のゴムと比較して耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れる。エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含むゴム組成物、および該ゴム組成物の架橋体は上記性質を利用し、自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品、ゴム引布等のゴム製品等に広く用いられている。
近年、前記ゴム組成物の架橋体に代わって、生産性、環境対応性および軽量化の見地から、加硫工程が不要な熱可塑性エラストマー組成物が使用され始めている。その中でも、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマーは、優れた耐熱性、耐候性を有することから、自動車のウェザーストリップ用途に多く使用されている。一般に、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリプロピレンに代表される熱可塑性樹脂およびエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を架橋剤と共に押出機中で動的架橋して製造される。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、通常ペレット化して使用される。しかし、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットは、粘着性が強いため、生産および出荷工程や最終製品の製造および加工工程で、装置への供給や輸送が困難になったり、計量が難しくなったりする。また、ペレット保管中にペレット同士がくっついてしまい大きな塊状になってしまう、いわゆるブロッキング現象を起こして、貯蔵タンク内で固まり、排出ができなくなったり、充填した袋やコンテナ内で固まり、使用が困難になったりする問題がある。このブロッキング現象は、保管中の外気温度が高い程、また、保管中の寒暖の差が大きいほど顕著である。
ゴムペレットのブロッキングを防止する方法として、各種脂肪酸でペレットを被覆する方法、各種脂肪酸アマイドでペレットを被覆する方法、各種ワックスでペレットを被覆する方法、およびシリカ、タルク、マイカ等の無機微粉末でペレットを被覆する方法等のように、粘着防止剤をペレット表面に被覆する方法が提案されている。しかし、この方法では、粘着防止剤が樹脂加工製品中に混入するため、製品物性に悪影響を及ぼし、透明性、機械的性質、接着性または外観等を損ねる場合や、ステアリン酸カルシウム等の粘着防止剤が成形機内に凝集して、装置汚れなどの原因になる場合があった。
ゴムペレットのブロッキングを防止し、その形状を維持する他の方法としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの結晶性樹脂をエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に混ぜる方法が知られている。しかし、この方法では、結晶性樹脂をエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に混ぜる工程を追加しなければならないという問題があった。
ゴムペレットのブロッキングを防止する方法として、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のエチレン含量を高くする方法が知られている。しかし、この方法では、エチレン含量を高くしすぎると、低温特性を悪化させるという問題があった。
非共役ポリエンとしてビニリデンノルボルネンを使用して合成されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む熱可塑性エラストマーを得る技術に関する文献として特許文献1〜3が挙げられる。
特許文献1には、ブロッキングしにくいエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットを得る技術を開示しているが、そのようなエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体として実施例で開示されているのは非共役ポリエンとしてビニリデンノルボルネンを使用して合成されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のみであり、非共役ポリエンとして5−エチリデン−2−ノルボルネンを使用して合成されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体については耐ブロッキング性が劣るデータしか開示されていない。
特許文献2および特許文献3には、ビニリデンノルボルネンをエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の架橋性改善のために導入する技術が開示されているが、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体をペレット化した際のブロッキングに関する記述は無い。
WO2004/083299号 特開2010−241897号公報 特表平11−507696号公報
本発明は、ブロッキングが生じにくいエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレット、およびそれを用いた熱可塑性エラストマーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、エチレン由来の構造単位の割合が特定範囲であり、特定のパラメーター条件を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含むゴムペレットが耐ブロッキング性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、エチレン[A]、炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]、および下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン[C−1]
Figure 2013249398
(ただし、(I)は環状オレフィンの部分構造である。)
Figure 2013249398
に由来する構造単位を含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有するゴムペレットであって、
(1)前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるエチレン[A]に由来する構造単位と、α−オレフィン[B]に由来する構造単位とのモル比([A]/[B])が、75/25〜90/10であり、
(2)前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のガラス転移温度(Tg(℃))の数値が下記式(i)で表されるパラメーターXの数値以上である
Figure 2013249398
(式(i)のエチレン含量は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合
体に含まれる全構造単位に対するエチレン[A]に由来する構造単位の比率(mol%)を表わす。)
ことを特徴とするゴムペレット[I]である。
前記ゴムペレット[I]においては、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位をさらに含むことが好ましい。
前記ゴムペレット[I]においては、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位の含有量と非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位の含有量とのモル比([C−1]/[C−2])が85/15〜99.5/0.5であることが好ましい。
前記ゴムペレット[I]においては、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量が、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる全構造単位に対し0.5〜4.5mol%であることが好ましい。
前記ゴムペレット[I]は、軟化剤を含むことが好ましい。
他の発明は、前記ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]を混練装置に供給して動的架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマーの製造方法である。
前記熱可塑性エラストマーの製造方法においては、ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とを事前にブレンドすることなく別々に混練装置に供給して動的架橋することが好ましい。
前記熱可塑性エラストマーの製造方法においては、前記混練装置が押出機であることが好ましい。
本発明のゴムペレットは、ブロッキングが生じにくい。このため本発明のゴムペレットは、生産および出荷工程や最終製品の製造および加工工程で、装置への供給や輸送が困難になったり、計量が難しくなったりすることがなく、貯蔵タンク内で固まり、排出ができなくなったり、充填した袋やコンテナ内で固まり、使用が困難になったりすることがない。したがって本発明のゴムペレットに対しては、ブロッキング防止のために、粘着防止剤をペレット表面に被覆する方法や、結晶性樹脂をゴムペレットに混ぜる方法などを採る必要がない。
本発明のゴムペレットは上記のような性能を有するため、このゴムペレットを用いて熱可塑性エラストマーを製造する際に、ブロッキング防止のために予めゴムペレットに熱可塑性樹脂をブレンドしておく必要がなく、これらを別々に押出機等の混練装置に供給して動的架橋することができ、効率的な熱可塑性エラストマーの製造が可能になる。
<ゴムペレット[I]>
本発明のゴムペレット[I]は、エチレン[A]、炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]、および下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン[C−1]
Figure 2013249398
(ただし、(I)は環状オレフィンの部分構造である。)
Figure 2013249398
に由来する構造単位を含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有するゴムペレットであって、
(1)前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるエチレン[A]に由来する構造単位と、α−オレフィン[B]に由来する構造単位とのモル比([A]/[B])が、75/25〜90/10であり、
(2)前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムのガラス転移温度(Tg(℃))の数値が下記式(i)で表されるパラメーターXの数値以上である
Figure 2013249398
ことを特徴とする。
ゴムペレット[I]が含有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、少なくともエチレン[A]に由来する構造単位、前記α−オレフィン[B]に由来する構造単位、および前記非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位を含む。前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、さらに前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位を含むことが好ましい。
上記の条件を満たすゴムペレット[I]はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の融点が高く、微結晶構造を有しているため、硬度が高いことから、ブロッキングが生じにくい。このためゴムペレット[I]は、生産および出荷工程や最終製品の製造および加工工程で、装置への供給や輸送が困難になったり、計量が難しくなったりすることがなく、貯蔵タンク内で固まり、排出ができなくなったり、充填した袋やコンテナ内で固まり、使用が困難になったりすることがない。
(炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B])
前記炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]としては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのうち、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの炭素原子数3〜8のα−オレフィンが好ましい。これらのα−オレフィンは一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
なお、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、少なくとも1種の炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]に由来する構造単位を含んでおり、2種以上の炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]に由来する構造単位を含んでいてもよい。
このようなα−オレフィンは、原料コストが比較的安価で共重合性に優れるとともに、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有するゴムペレットが優れた機械的性質と良好な柔軟性を示すため好ましい。
(上記一般式(I)または(II)で表される部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン[C−1])
前記非共役ポリエン[C−1]は、上記一般式(I)で表される部分構造を分子中に1つ含み、上記一般式(II)で表される部分構造を分子中に含まない非共役ポリエン、または上記一般式(II)で表される部分構造を分子中に1つ含み、上記一般式(I)で表される部分構造を分子中に含まない非共役ポリエンである。
上記一般式(I)で表される部分構造は環状オレフィンの部分構造である。つまり、上記一般式(I)で表される部分構造は、環状オレフィンの環を構成する相互に隣り合い、二重結合で結ばれた2つの炭素原子と、該2つの炭素原子にそれぞれ1つずつ結合した2つの水素原子とを含む原子団からなる構造である。
たとえば、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)の場合は、上記一般式(I
)で表される部分構造を1分子中に1個含むので前記非共役ポリエン[C−1]に該当する。一方、ジシクロペンタジエン(DCPD)の場合は、上記一般式(I)で表され
る部分構造を1分子中に2個含むので後述の非共役ポリエン[C−2]に該当する。ビニリデンノルボルネンの場合は、上記一般式(I)で表される部分構造を1分子中に1
個と上記一般式(II)で表される部分構造を1分子中に1個とを含むので後述の非共役ポリエン[C−2]に該当する。
前記一般式(I)または(II)で表される部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン[C−1]としては、例えば分子両末端にビニル基(CH2=CH−)を有する脂肪族ポリエンは含まれない。前記非共役ポリエン[C−1]としては、下記のような脂肪族ポリエンおよび脂環族ポリエンなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリエンの具体例としては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−ノナジエン、1,8−デカジエン、1,12−テトラデカジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、3,3−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、6−プロピル−1,6−オクタジエン、6−ブチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−ノナジエン、4−エチル−1,4−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエン、5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−1,8−デカジエン、6−メチル−1,6−ウンデカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジエンなどが挙げられる。本発明においては、これらの脂肪族ポリエンを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくは7−メチル−1,6−オクタジエンなどが用いられる。
前記脂環族ポリエンとしては、例えば、1個の炭素・炭素二重結合(不飽和結合)を有する脂環部分と、その脂環部分を構成する炭素原子に対し炭素・炭素二重結合により結合している鎖状部分(エチリデン、プロピリデン等)とから構成されるポリエンが挙げられ、具体例としては、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−プロピリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネンなどが挙げられ、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)が好ましく用いられる。その他の脂環族ポリエンとしては、具体的には、例えば、2−メチル−2,5−ノルボルナジエン、2−エチル−2,5−ノルボルナジエンなどが挙げられる。
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、少なくとも1種の前記非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位を含んでおり、2種以上の前記非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位を含んでいてもよい。
(前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[C−2])
前記非共役ポリエン[C−2]は、上記一般式(I)で表される部分構造を分子中に2つ以上含み、上記一般式(II)で表される部分構造を分子中に含まない非共役ポリエン、上記一般式(II)で表される部分構造を分子中に2つ以上含み、上記一般式(I)で表される部分構造を分子中に含まない非共役ポリエン、または上記一般式(I)で表される部分構造を分子中に1つ以上含み、上記一般式(II)で表される部分構造を分子中に1つ以上含む非共役ポリエンである。
前記非共役ポリエン[C−2]としては、例えば、炭素・炭素二重結合(不飽和結合)を有する脂環部分と、脂環部分を構成する炭素原子に結合する鎖状部分であってビニル基を含む鎖状部分とを有する脂環族ポリエンおよび分子両末端にビニル基を有する脂肪族ポリエンが挙げられる。具体例としては、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、5−アリル−2−ノルボルネン等の5−アルケニル−2−ノルボルネン;2,5−ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン(DCPD)、ノルボルナジエン、テトラシクロ[4,4,0,12.5,17.10]デカ−3,8−ジエン等の脂環族ポリエン;1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等のα,ω−ジエン等の脂肪族ポリエンが挙げられる。
これらの中でも、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、5−アルケニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボルナジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンが好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)が特に好ましい。
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、2種以上の前記非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位を含んでいてもよい。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体がVNB等の非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位を含むと、ゴムペレット[I]はさらにブロッキングしにくくなる。これは、VNB等の非共役ポリエン[C−2]を用いると、後述のメタロセン触媒で共重合させた場合、長鎖分岐が増加し、低剪断領域による弾性率が上昇することによって、ゴムペレット[I]の変形が抑制されるために、ブロッキングしにくくなるものと考えられる。
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位の含有量と非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位とを含む場合、非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位の含有量と非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位の含有量とのモル比([C−1]/[C−2])は85/15〜99.5/0.5であることが好ましく、より好ましくは90/10〜99.5/0.5であり、さらに好ましくは95/5〜99.5/0.5である。前記モル比が前記範囲内であると、ゴムペレット[I]の変形が抑制されるという観点から好適である。
また、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる全構造単位に対し0.5〜4.5mol%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜4.5mol%であり、さらに好ましくは2.0〜4.5mol%である。非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量が前記範囲内であると、
ゴム的性質(例えば永久伸び、圧縮永久歪)の観点から好適である。なお、前記非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量とは、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるすべての非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量の合計を意味する。前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が前記非共役ポリエン[C−1]のほかに前記非共役ポリエン[C−2]を含む場合には、前記含有量は、非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位の含有量と前記非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位の含有量との合計を意味する。
前記非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量は13C−NMRにより求めることができる。
上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有するゴムペレット[I]は、前記要件(1)および(2)を満たす。以下、要件(1)および(2)につき説明する。
(要件(1))
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるエチレン[A]に由来する構造単位と、α−オレフィン[B]に由来する構造単位とのモル比([A]/[B])が75/25〜90/10である。前記モル比([A]/[B])は好ましくは75/25〜87.5/12.5であり、より好ましくは75/25〜85/15である。前記モル比が、前記範囲内であるとゴムペレットのブロッキングが起こりにくいという観点から好適である。
前記モル比は13C−NMRにより求めることができる。
(要件(2))
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のガラス転移温度(Tg(℃))の数値が下記式(i)で表されるパラメーターXの数値以上である。
Figure 2013249398
式(i)のエチレン含量は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合
体に含まれる全構造単位に対するエチレン[A]に由来する構造単位の比率(mol%)を意味する。
たとえば、前記エチレン含量が80mol%である場合、パラメーターXは−33.5mol%であるから、ガラス転移温度が−33.5℃であるか、−33.5℃より高いとき前記要件(2)を満たし、ガラス転移温度が−33.5℃より低いとき前記要件(2)を満たさない。ガラス転移温度はtanδ−Tgとして求められる温度である。tanδ−Tgの求め方は、実施例において詳述する。
要件(2)が満たされると、ゴムペレットのブロッキングが起こりにくいという観点から好適である。
要件(2)を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、特定のメタロセン触媒を用いて、エチレン[A]、α−オレフィン[B]および非共役ポリエン[C−1]を、さらに必要に応じてこれらおよび非共役ポリエン[C−2]等を重合させることによって得ることができる。
特定のメタロセン触媒を用いて共重合を行うと、ガラス転移温度(Tg(℃))の数値が上記式(i)で表されるパラメーターXの数値以上である共重合体が得られる。一
方、バナジウム触媒等で共重合を行うと、ガラス転移温度(Tg(℃))の数値が上記式(i)で表されるパラメーターXの数値より小さい共重合体が得られる。すなわち、
特定のメタロセン触媒を用いて共重合を行うと、バナジウム触媒等で共重合を行った場合と比較して、同じエチレン含量である場合、ガラス転移温度(Tg(℃))が高くなり、上記要件(2)が満たされる。これは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の主鎖中のエチレン配列の違いに起因すると推測される。
前記メタロセン触媒は、たとえば下記式(α)または(β)で表わされる構造を有し、好ましくは下記一般式(i)、より好ましくは下記式(ii)、(iii)、(iv)、(v)または(vi)構造を有する。これらの中でも、特に好ましくは(iii)で表わされる構造を有するメタロセン系触媒である。
このような触媒を用いて合成することにより、前記要件(2)を満たすエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得ることができる。
Figure 2013249398
(式(α)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R1およびR2の少なくとも1つは水素原子ではない。
3〜R6は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基である。
前記R1〜R6は、互いに結合して環を形成してもよい。
Mはチタンである。
Yは、−O−、−S−、−NR*−、−PR*−である。
*は、SiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2、CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2SiR* 2またはGeR* 2である。
*は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、またはハロゲン化アリール基であり、R*が水素でない場合には、R*は20個までの水素原子以外の原子を有する。Zが有する2つのR*(R*が水素原子でない場合)が環を形成してもよく、Z*が有するR*とYが有するR*が環を形成してもよい。
pは0、1または2である。
qはゼロまたは1である。
ただし、pが2である場合、qはゼロであり、Mは+4の酸化状態であり、Xはそれぞれ独立に、メチルまたはベンジルである。
pが1である場合、qはゼロであり、Mは+3の酸化状態であり、Xは2−(N、N−ジメチル)アミノベンジルであるか、Mは+4の酸化状態であり、Xは1,3−ブタジエニルである。
pが0である場合、qは1であり、Mは+2の形式酸化状態であり、X'は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、2,4−ヘキサジエン、または1,3−ペンタジエンである。)
Figure 2013249398
(式(β)中、Rは、それぞれ独立に、ヒドロカルビル、ハロヒドロカルビル、シリル、ゲルミルおよびこれらの組み合わせから選択される基または水素原子であり、該基が含有する水素原子以外の原子の数は20個以下である。
Mは、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。
Yは−O−、−S−、−NR*−または−PR*−である。
*は、水素原子、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン化アリール基であり、R*は水素でない場合には、R*は20個までの水素以外の原子を含有する。
Zは、ホウ素または14族元素を含有し、かつ、窒素、リン、硫黄または酸素を含有する二価の基であり、該二価の基が有する水素原子以外の原子の数は60個以下である。
Xは、Xが複数存在する場合にはそれぞれ独立に、原子数が60個以下のアニオン性配位子(但し、非局在化したπ結合を有する環状の配位子を除く)である。
X'は、原子数が20個以下の中性の連結用化合物である。
pは、0、1または2である。
qは、0または1である。
ただし、pが2でqが0の場合、Mは+4の酸化状態にあり、Xはハライド、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、ジ(ヒドロカルビル)アミド、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド、ヒドロカルビルスルフィド、シリル基、それらのハロ置換誘導体、ジ(ヒドロカルビル)アミノ置換誘導体、ヒドロカルビルオキシ置換誘導体およびジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換誘導体から選択されるアニオン性配位子であり、前記Xの水素原子以外の原子の数は20個以下である。
またpが1でqが0の場合、Mは+3の酸化状態にあり、Xはアリル、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニルおよび2−(N,N−ジメチル)アミノベンジルから選択されるアニオン性安定化配位子であるか、あるいはMは+4の酸化状態にあってXが共役ジエンの二価誘導体であり、MとXが一緒になってメタロシクロペンテン基を形成する。
またpが0でqが1の場合、Mは+2の酸化状態にあり、X'は場合により1つ以上のヒドロカルビル基で置換されている中性の共役もしくは非共役ジエンであり、前記X'が炭素原子を40個以下の数で有しており、かつMとπ錯体を形成する。)
Figure 2013249398
(式(i)中、R'は、水素原子、ヒドロカルビル基、ジ(ヒドロカルビルアミノ)基またはヒドロカルビレンアミノ基を表し、それらの基の炭素原子数は20以下である。
R"は、炭素原子数1〜20のヒドロカルビル基または水素原子を表す。
Mは、チタンを表す。
Yは、−O−、−S−、−NR*−、−PR*−、−NR2 *または−PR2 *を表す。
*は、Z*は、−SiR* 2−、−CR* 2−、−SiR* 2SiR* 2−、−CR* 2CR* 2−、−CR*=CR*−、−CR* 2SiR* 2−または−GeR* 2−を表す。
*は、複数存在する場合にはそれぞれ独立に、水素原子;または、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基およびハロゲン化アリール基からなる群から選択される少なくとも1種の基を表し、該基は原子数2〜20までの原子を含み、Z*が有する2つのR*(R*が水素原子でない場合)は、任意に環を形成してもよく、Z*が有するR*とYが有するR*とが、任意に環を形成してもよい。
Xは、環状の非局在化したπ−結合性リガンド基であるリガンドの類を除いた60までの原子を有する、一価のアニオン性リガンド基を表す。
X'は、20までの原子を有する中性の連結性基を表す。
X"は、60までの原子を有する二価のアニオン性リガンド基を表す。
pは、0、1または2を、qは、0または1を、rは、0または1を表す。
ただし、pが2である場合、qおよびrは0であり、Mは+4の酸化状態であり(または、Yが−NR* 2または−PR* 2を表す場合、Mは+3の酸化状態であり)、Xは、ハライド基、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ジ(ヒドロカルビル)アミド基、ジ(ヒドロカルビル)ホスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基ならびにシリル基、これらの基がハロゲン置換された誘導体、これらの基がジ(ヒドロカルビル)アミノ置換された誘導体、これらの基がヒドロカルビルオキシ置換された誘導体、およびこれらの基がジ(ヒドロカルビル)ホスフィノ置換された誘導体から選択されるアニオン性リガンドを表し、かつ30個までの水素原子以外の原子を有する。
ただし、rが1である場合、pおよびqは0を表し、Mは+4の酸化状態であり、X"は、ヒドロカルバジル基、オキシヒドロカルビル基およびヒドロカルビレンジオキシ基よりなる群から選択されるジアニオン性リガンドを表し、かつ30個までの水素原子以外の原子を有する。
ただし、pが1である場合、qおよびrは0を表し、Mは+3の酸化状態であり、Xは、アリル基、2−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基および2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル基よりなる群から選択される安定化用アニオン性リガンド基を表す。
ただし、pおよびrが0である場合、qは1を表し、Mは+2の酸化状態であり、X'は、1以上のヒドロカルビル基で任意に置換された、中性の共役ジエンまたは中性の非共役ジエンを表し、該X'は40までの炭素原子を有し、Mとπ−錯体を形成する。)
上記一般式(i)において、下記(1)〜(4)のいずれかの態様が好ましい。
(1)pが2、qおよびrが0を表し、Mは+4の酸化状態であり、Xは、それぞれ独立に、メチル、ベンジルまたはハライドを表す。
(2)qおよびqが0、rが1を表し、Mは+4の酸化状態であり、X"は、Mとメタロシクロペンテン環を形成する1,4−ブタジエニル基を表す。
(3)pが1、qおよびrは0を表し、Mは+3の酸化状態であり、Xは2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジルを表す。
(4)pおよびrが0、qは1を表し、Mは+2の酸化状態であり、X'は、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンを表す。
上記(1)〜(4)のいずれかの態様において、さらにR"が水素原子またはメチル基を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが特に好ましい。
Figure 2013249398
上記式(ii)は、(t−ブチルアミド)ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)2,4−ヘキサジエンである。
Figure 2013249398
上記式(iii)は、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)1,3−ペンタジエン(別名:[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−[(1,2,3,3A,8A−η)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−S−インダセン−1−yl]シランアミネート(2−)−κN][(1,2,3,4−η)−1,3−ペンタジエン]−チタニウム)である。
Figure 2013249398
上記式(iv)は、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2,3−ジメチルインデニル)シランチタニウム(II)1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンである。
Figure 2013249398
上記式(v)は、(t−ブチル−アミド)−ジメチル(η5−2,3−ジメチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(IV)ジメチルである。
Figure 2013249398
上記式(vi)は、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シラン−チタニウム(IV)ジメチルである。
上記式(iii)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いると、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を得るための重合反応において、非共役ポリエン[C−1]および[C−2]の共重合性が特に優れる。このため式(iii)で表される構造を有するメタロセン系触媒を用いて重合されたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体は、例えば5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)の有する二重結合を重合体中に効率よく取り込み、長鎖分岐を高い割合で導入することができる。
また、得られるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の分子量分布および組成分布が狭く、極めて均一な分子構造を有するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を調製することができるため、長鎖分岐生成に伴い懸念される、ゴム成形体表面のゲル状ブツの形成が顕著に抑制される。その結果、このようなエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含む組成物から形成されるゴム成形体は、ゲル状ブツを含まないためにその表面外観に優れ、また形状保持性に優れるため生産安定性も良好である。
上記式(i)〜(vi)で表される構造を有するメタロセン系触媒は、周知の合成方法を用いて調製することができる。例えば、国際公開第98/49212号パンフレットに開示されている。なお、必要に応じて、還元剤を用いて、より低い酸化状態の錯体(メタロセン系触媒)を製造することもできる。このような方法は、USSN8/241,523に開示されている。
前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を製造する方法は、下記重合反応液を得る工程を有することが好ましい。
重合反応液を得る工程とは、脂肪族炭化水素を重合溶媒として用いて、上述したメタロセン系触媒、好ましくは上記式(iii)で表される構造を有するメタロセン系触媒の存在下に、エチレン[A]、上記α−オレフィン[B]および上記非共役ポリエン[C−1]を、必要に応じてこれらと上記非共役ポリエン[C−2]とを共重合し、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の濃度が8〜12重量%、好ましくは8.5〜12.0重量%の重合反応液を得る工程である。
重合溶媒に対するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の濃度を上記範囲内にすることにより、得られるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が上記要件(2)を満たすことができる。重合溶媒に対するエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の濃度が12重量%を超える場合、重合溶液の粘度が高すぎるため、溶液が均一に攪拌せず、重合反応が困難になる場合がある。
重合溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素などが挙げられる。脂肪族炭化水素としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられ、これらのうち、得られるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体との分離、精製の観点から、ヘキサンが好ましい。
このような製造方法として、上記触媒を主触媒とし、共触媒としてホウ素系化合物および/またはトリアルキル化合物等の有機アルミニウム化合物を用い、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素を溶媒として用いた、攪拌機付き反応器による連続法またはバッチ法が挙げられる。
ホウ素系化合物としては、例えば、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(水素化タローアルキル)メチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムn−ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(4−(t−ブチルジメチルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(4−(トリイソプロピルシリル)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のアルキルアンモニウム塩;
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(o−トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の三置換されたホスホニウム塩;
ジフェニルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ−(o−トリル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(2,6−ジメチルフェニル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の二置換されたオキソニウム塩;
ジフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジ(o−トリル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(2,6−ジメチルフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の二置換されたスルホニウム塩;
トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ほう素(V)((C65)3CB(C65)4)などが挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、トリイソブチルアルミニウム(以下「TIBA」ともいう。)などが挙げられる。
反応温度は、高温でも触媒が失活しないので100℃まで上げることができる。
重合圧力は、0を超えて〜8MPa(ゲージ圧)、好ましくは0を超えて〜5MPa(ゲージ圧)の範囲である。
反応時間(共重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは10分間〜3時間である。
さらに、共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
エチレン[A]と上記α−オレフィン[B]との仕込みのモル比([A]/[B])は、好ましくは60/40〜95/5、より好ましくは65/35〜90/10である。
上記非共役ポリエン[C−1]と上記非共役ポリエン[C−2]との仕込みのモル比([C−1]/[C−2])は、好ましくは90/10〜99.5/0.5、より好ましくは95/5〜99/1である。
エチレン[A]と該非共役ポリエン[C−1]との仕込みのモル比([A]/[C−1])は、好ましくは90/10〜99/1、より好ましくは92/8〜98/2である。
エチレン[A]と該非共役ポリエン[C−2]との仕込みのモル比([A]/[C−2]は、好ましくは95.00/5.00〜99.95/0.05、より好ましくは97.50/2.50〜99.95/0.05である。
上記触媒を用いて重合することによって、非共役ポリエン等が高い転化率で共重合され、得られる共重合体に適量の長鎖分岐を導入することができるので好ましい。
ゴムペレット[I]は、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のほか、目的に応じて他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、例えば、軟化剤、無機充填剤、補強剤、老化防止剤(安定剤)、加工助剤、活性剤、吸湿剤などの種々の添加剤が挙げられる。
また、ゴムペレット[I]は、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体以外のゴム成分を配合することもできる。ゴムペレット[I]における上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30〜90重量%である。
ゴムペレット[I]は、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体および必要に応じて含有されるその他の成分を、ペレタイザーを備えた押出機等を用いて、混練、造粒することによって得ることができる。
例示した前記添加剤を以下詳述する。
(軟化剤)
ゴムペレット[I]が軟化剤を含むと、押出機等の混練装置を用いた混練が容易になるという観点から好適である。
軟化剤は、その用途により適宜選択でき、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。軟化剤の具体例としては、プロセスオイル(例えば、「ダイアナプロセスオイル PS−430」(商品名;出光興産(株)製)など)、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;マシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)などが挙げられる。これらのうち、石油系軟化剤が好ましく、特にプロセスオイルが好ましい。
ゴムペレット[I]が軟化剤を含有する場合には、軟化剤の配合量は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、通常は2〜100重量部、好ましくは10〜100重量部である。
(無機充填剤)
無機充填剤は、その用途により適宜選択でき、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。無機充填剤の具体例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。これらのうち、重質炭酸カルシウムが好ましい。重質炭酸カルシウムとして、市販されている「ホワイトンSB」(商品名;白石カルシウム株式会社)等を用いることができる。
ゴムペレット[I]が無機充填剤を含有する場合には、無機充填剤の配合量は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、通常は2〜50重量部、好ましくは5〜50重量部である。配合量が上記範囲内であると、ゴムペレット[I]を用いて製造される熱可塑性エラストマーの混練加工性、該熱可塑性エラストマーから得られるゴム成形体の機械的性質(例えば、引張強度、ゴム弾性など)が優れる。
(補強剤)
補強剤は、その用途により適宜選択でき、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。補強剤の具体例としては、市販されている「旭#55G」および「旭#50HG」(商品名;旭カーボン(株)製)、「シースト(商品名)」シリーズ:V、SO、SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT等のカーボンブラック(東海カーボン(株)製)、これらカーボンブラックをシランカップリング剤等で表面処理したのもの、シリカ、活性化炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸などが挙げられる。これらのうち、「旭#55G」、「旭#50HG」、「シーストV」、「シーストSO」等のカーボンブラックが好ましい。
ゴムペレット[I]が補強剤を含有すると、ゴムペレット[I]を用いて製造される熱可塑性エラストマーの引張強度、引裂強度、耐摩耗性などの機械的性質が向上することがある。
ゴムペレット[I]が補強剤を含有する場合には、補強剤の配合量は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、通常は30〜200重量部、好ましくは50〜180重量部、さらに好ましくは70〜160重量部である。配合量が上記範囲内であると、ゴムペレット[I]を用いて製造される熱可塑性エラストマーの混練加工性、該熱可塑性エラストマーから得られるゴム成形体の機械的性質(例えば、強度、柔軟性など)および圧縮永久歪みに優れる。
(老化防止剤(安定剤))
ゴムペレット[I]に老化防止剤(安定剤)を配合することにより、ゴムペレット[I]を用いて製造される熱可塑性エラストマーおよび該熱可塑性エラストマーから形成されるゴム成形体の寿命を長くすることが可能である。このような老化防止剤としては、従来公知の老化防止剤、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などを用いることができる。
さらに詳細には、老化防止剤として、フェニルブチルアミン、N,N−ジ−2−ナフチル−pフェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤などが挙げられる。
これらの老化防止剤は、1種単独であるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。ゴムペレット[I]が老化防止剤を含有する場合には、老化防止剤の配合量は、ゴム成分(ゴムペレット[I]に含まれるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体および該共重合体以外のゴム成分)100重量部に対して、通常は0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜7.0重量部、より好ましくは0.7〜5.0重量部である。老化防止剤の配合量が上記範囲内であると、ゴムペレット[I]の表面にブルームの発生がなく、さらに加硫阻害が発生しないことから好適である。
(加工助剤)
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く用いることができる。
加工助剤の具体例としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、エステル類などが挙げられる。これらのうち、ステアリン酸が好ましい。
ゴムペレット[I]が加工助剤を含有する場合には、加工助剤の配合量は、ゴム成分(ゴムペレット[I]に含まれるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体および該共重合体以外のゴム成分)100重量部に対して、通常は10重量部以下、好ましくは8.0重量部以下、より好ましくは5.0重量部以下の量である。加工助剤の配合量が上記範囲内であると、ゴムペレット[I]の表面にブルームの発生がなく、さらに加硫阻害が発生しないことから好適である。
(活性剤)
活性剤は、その用途により適宜選択でき、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。活性剤の具体例としては、ジ−n−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン、「アクチングB」(商品名;吉冨製薬(株)製)、「アクチングSL」(商品名;吉冨製薬(株)製)等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物(具体的には、「Struktol activator 73」、「Struktol IB 531」、「Struktol FA541」(商品名;Sch
ill & Seilacher社製)など)等の活性剤;「ZEONET ZP」(商品名;日本ゼオン(株)製)等の過酸化亜鉛調整物;クタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物(具体的には、「アーカード2HTF」(商品名;ライオン・アクゾ(株)製)など)などが挙げられる。これらのうち、「アーカード2HTF」が好ましい。
ゴムペレット[I]が活性剤を含有する場合には、活性剤の配合量は、ゴム成分(ゴムペレット[I]に含まれるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体および該共重合体以外のゴム成分)100重量部に対して、通常は0.2〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部、より好ましくは0.5〜4重量部である。
(吸湿剤)
吸湿剤は、その用途により適宜選択でき、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。吸湿剤の具体例としては、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンなどが挙げられる。これらのうち、酸化カルシウムが好ましい。
ゴムペレット[I]が吸湿剤を含有する場合には、吸湿剤の配合量は、ゴム成分(ゴムペレット[I]に含まれるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体および該共重合体以外のゴム成分)100重量部に対して、通常は0.5〜15重量部、好ましくは1.0〜12重量部、より好ましくは1.0〜10重量部である。
ゴムペレット[I]には、その他、通常ゴムに使用される添加剤を本発明の目的を損なわない範囲内で任意に配合することができる。
ゴムペレット[I]としては、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、2〜100重量部の軟化剤および2〜50重量部の無機充填剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含有することが、ゴムペレット[I]から得られる熱可塑性エラストマーの成形加工性の観点から好ましい。
<熱可塑性エラストマー>
ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とを動的架橋することにより熱可塑性エラストマーが得られる。
本発明において、動的架橋とは、ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]を溶融状態で混練することにより、少なくとも前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が有する炭素・炭素二重結合の一部を架橋反応させることを意味する。動的架橋を好適に行うため、ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]に架橋剤を加えて動的架橋することが好ましい。
(熱可塑性樹脂[II])
熱可塑性樹脂[II]としては、特に限定はないが、通常は、炭素数2〜20のα- オレフィンの単独重合体または共重合体が用いられる。なお、熱可塑性樹脂[II]としては、1種の重合体からなる樹脂でも2種以上の重合体からなる樹脂でもよい。
なお、熱可塑性樹脂[II]が、炭素数2〜20のα- オレフィンの共重合体である場合には、少なくとも2種の炭素数2〜20のα- オレフィンを単量体として用いて得られる共重合体であってもよく、少なくとも1種の炭素数2〜20のα- オレフィンと、ビニル基を含有するモノマー(但しα- オレフィンを除く)(ビニルモノマーとも記す)との共重合体であってもよい。
上記炭素数2〜20のα- オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂[II]の具体的な例としては、以下のような(共)重合体が挙げられる。
(1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法のいずれでも良い)
(2)エチレン由来の構成単位と、炭素数3〜20のα-オレフィンおよび/または酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニルモノマー由来の構成単位10モル%以下とを有するエチレン系ランダム共重合体
(3)プロピレン単独重合体
(4)プロピレン由来の構成単位と、他の炭素数2〜20のα-オレフィン由来の構成単位10モル%以下とを有するプロピレン系ランダムランダム共重合体
(5)プロピレン由来の構成単位と、他の炭素数2〜20のα-オレフィン由来の構成単位30モル%以下とを有するプロピレン系ブロック共重合体
(6)1-ブテン単独重合体
(7)1-ブテン由来の構成単位と、他の炭素数2〜20のα-オレフィン由来の構成単位10モル%以下とを有するブテン系ランダム共重合体
(8)4-メチル-1-ペンテン単独重合体
(9)4-メチル-1-ペンテン由来の構成単位と、他の炭素数2〜20のα- オレフィン由来の構成単位20モル%以下とを有する4-メチル-1-ペンテン系ランダム共重合体
熱可塑性樹脂[II]としては、プロピレン系重合体を用いることが好ましく、(3)プロピレン単独重合体、(4)プロピレン由来の構成単位と、他の炭素数2〜20のα-オレフィン由来の構成単位10モル%以下とを有するプロピレン系ランダムランダム共重合体、(5)プロピレン由来の構成単位と、他の炭素数2〜20のα-オレフィン由来の構成単位30モル%以下とを有するプロピレン系ブロック共重合体から選ばれる少なくとも一種のプロピレン系重合体を用いることがより好ましい。
熱可塑性樹脂[II]としては、230℃荷重2.16kgで測定したメルトフローレート(MFR:ASTM D 1238,230℃、荷重2.16kg)が通常は0.1〜100g/10分であり、好ましくは0.3〜60g/10分の範囲内である。
(架橋剤)
得られる熱可塑性エラストマーのゴム弾性の観点から、ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]に架橋剤を加えて動的架橋することが好ましい。架橋剤の添加量は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体100重量部に対して、0.1〜30重量部が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましい。
前記架橋剤としては、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄系化合物、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート等のゴムを架橋する際に一般に使用される架橋剤が挙げられる。これらの架橋剤の中でも有機過酸化物やフェノール樹脂が特に好ましい。
架橋剤が有機過酸化物である場合には、その具体例としては、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
これらのうち、反応性、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート等の1分子内に2つのペルオキシド結合(−O−O−)を有する2官能性の有機過酸化物が好ましく、中でも、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
これらの有機過酸化物は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
架橋剤として、有機過酸化物を用いる場合には、さらに下記架橋助剤を配合することが好ましい。
架橋剤として有機過酸化物を用いる場合に好ましい架橋助剤としては、例えば、イオウ、p−キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;その他マレイミド系架橋助剤;ジビニルベンゼンなどが挙げられる。架橋助剤の配合量は、用いる有機過酸化物1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは0.5〜7モル、より好ましくは1〜5モルである。
架橋剤がフェノール樹脂である場合には、その具体例としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化アルキルフェノール樹脂、臭素化メチロール化アルキルフェノール樹脂等が挙げられる。これらのフェノール樹脂としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
これらのフェノール樹脂は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
上記フェノール樹脂は、通常の方法で製造することができ、例えば、アルキル置換フェノールまたは非置換フェノールをアルカリ媒体中でアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドと縮合させることにより製造することができる。フェノール樹脂の別の製造方法としては、二官能性フェノールジアルコール類を縮合させることにより製造する方法が挙げられる。また、フェノール樹脂としては、市販のフェノール樹脂を使用することもできる。
上記フェノール樹脂の市販品としは、タッキロール201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、タッキロール250−I(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、タッキロール250−III(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、PR−4507(群栄化学工業社製)、Vulkaresat510E(Hoechst社製)、Vulkaresat532E(Hoechst社製)、Vulkaresen E(Hoechst社製)、Vulkaresen 105E(Hoechst社製)、Vulkaresen 130E(Hoechst社製)、Vulkaresol 315E(Hoechst社製)、Amberol ST 137X(Rohm&Haas社製)、スミライトレジンPR−22193(住友デュレズ社製)、Symphorm−C−100(Anchor Chem.社製)、Symphorm−C−1001(Anchor Chem.社製)、タマノル531(荒川化学社製)、Schenectady SP1059(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1045(Schenectady Chem.社製)、CRR−0803(U.C.C社製)、Schenectady SP1055(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1056(Schenectady Chem.社製)、CRM−0803(昭和ユニオン合成社製)、Vulkadur A(Bayer社製)等が挙げられ、その中でもタッキロール201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、タッキロール250−I(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)が好ましい。
(熱可塑性エラストマーの製造方法)
本発明の熱可塑性エラストマーの製造方法は、ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]を、さらに必要に応じて添加剤を混練装置に供給して混練装置中で動的架橋する。以下、ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]を用いた熱可塑性エラストマーの製造方法を説明するが、架橋剤を配合する場合には、ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]に適宜架橋剤を添加すればよい。
ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]を動的架橋して熱可塑性エラストマーの製造する際には、非開放型の混練装置、開放型の混練装置のいずれを用いてもよいが、非開放型の混練装置を用いることが好ましい。
動的架橋は、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。動的架橋を行う際の温度は、通常150〜270℃、好ましくは170〜250℃である。混練時間は、通常1〜20分間、好ましくは1〜10分間である。また、加えられる剪断
力は、剪断速度で10〜50,000sec-1、好ましくは100〜20,000sec-1の範囲である。
混練装置としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー(例えばバンバリーミキサー、ニーダー)、一軸または二軸押出機等を用いることができるが、非開放型の装置が好ましく、二軸押出機が特に好ましい。
ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]を混練装置に供給する際には、ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とを予めブレンドして、両者を混練装置に供給することもできるし、ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とを予めブレンドすることなく、両者を別々に混練装置に供給することもできる。
従来のゴムペレットはブロッキングしやすいので、ゴムペレットのブロッキングを防止するために、予めゴムペレットと熱可塑性樹脂とを予めアロイ化してペレットを作成してから混練装置に供給するなどの措置が採られていた。これに対して本発明に係るゴムペレット[I]は、前述のとおりブロッキングが生じにくい。このため、本発明に係るゴムペレット[I]を用いて熱可塑性エラストマーを製造する場合には、ブロッキング防止のために予めゴムペレット[I]を熱可塑性樹脂とアロイ化しておく必要がなく、これらを別々に混練装置に供給して動的架橋することができ、効率的な熱可塑性エラストマーの製造が可能になる。
なお、ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とを予めアロイ化して混練装置に供給するというのは、混練装置への供給前にゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とをブレンドしたエラストマー混合原料を調製し、このエラストマー混合原料を溶融混練後、ペレット化してから混練装置に供給することを意味する。これに対し、ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とを予めアロイ化することなく別々に混練装置に供給するというのは、混練装置への供給前に前記エラストマー混合原料を調製することなく、両者を別々に混練装置に供給することを意味する。ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とを予めブレンドすることなく別々に混練装置に供給する場合、ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]は、混練装置に供給されてから混練装置の混練部で溶融混練されている間にブレンドされる。
たとえば、ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とを予めブレンドすることなく押出機に供給する場合には、押出機のシリンダーに原料を導入する第1のホッパーとは別に、第1のホッパーに原料を供給する第2のホッパーを2つ設け、ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とをそれぞれ異なる第2のホッパーに入れ、ゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]を、それぞれ所定供給速度となるように各第2のホッパーから第1のホッパーに供給し、第1のホッパー内でブレンドし、シリンダーに導入して、動的架橋を行うことができる。
<成形体>
前記熱可塑性エラストマーから成形体を形成することができる。熱可塑性エラストマーから様々な成形体を得ることができる。前記熱可塑性エラストマーのみから成形体を形成することもでき、前記熱可塑性エラストマーと添加剤との混合物から成形体を形成することもできる。
前記添加剤としては、特に限定されず、軟化剤、無機充填剤、補強剤、老化防止剤(安定剤)、加工助剤、活性剤、吸湿剤、発泡剤、発泡助剤などの種々の添加剤を用いることができる。
例えば、前記成形体としては、自動車用のグラスランチャンネルや窓枠材などの自動車外装材、表皮材などの自動車内装材および建材やガスケットが挙げられる。
また、前記成形体は、ウェザーストリップスポンジ、内装表皮用スポンジ材等の発泡体であってもよい。このような発泡体は、少なくとも発泡剤を添加剤として用い、前記熱可塑性エラストマーと発泡剤を含む添加剤との混合物を発泡することにより得られる。なお、発泡剤と共に発泡助剤を添加剤として用いた、前記熱可塑性エラストマーと添加剤との混合物は、特に好適に発泡を行うことができるので好ましい。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔製造例1〕
攪拌翼を備えた容積300Lの重合器を用いて連続的に、エチレン、α−オレフィン[B]としてプロピレン、非共役ポリエン[C−1]として5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および非共役ポリエン[C−2]として5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)からなる四元共重合体の重合反応を90℃にて行った。
重合溶媒としてはヘキサン(フィード量74L/h)を用いて、連続的に、エチレンフィード量が5.7Kg/h、プロピレンフィード量が3.3Kg/h、ENBフィード量が1.34Kg/h、VNBフィード量が0.028Kg/hおよび水素フィード量が10.9NL/hとなるように、各成分を重合器に連続供給した。
重合圧力を1.8MPa、重合温度を90℃に保ちながら主触媒として、上記式(iii)で表される構造を有する触媒である[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−[(1,2,3,3A,8A−η)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−S−インダセン−1−yl]シランアミネート(2−)−κN][(1,2,3,4−η)−1,3−ペンタジエン]−チタニウムを用いて、主触媒をフィード量0.015mmol/hとなるよう連続的に供給した。また、共触媒として(C653CB(C654をフィード量0.075mmol/h、有機アルミニウム化合物としてトリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフィード量10mmol/hとなるように、それぞれ連続的に供給した。
なお、上記式(iii)で表される構造を有する触媒は、国際公開第98/49212
号パンフレットに記載されている方法に準じて合成して得た。
このようにして、エチレン、プロピレン、ENBおよびVNBからなるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、9.1重量%の溶液状態で得られた。重合器下部から抜き出した重合反応液中に少量のメタノールを添加して重合反応を停止させ、スチームストリッピング処理にてエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を溶媒から分離した後、80℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上の操作によって、エチレン、プロピレン、ENBおよびVNBから形成されるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が毎時5.3Kgの速度で得られた。
重合条件および得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの重合条件を表1に、組成、極限粘度〔η〕、ガラス転移温度〔tanδ−Tg〕、パラメーターXおよび融点(Tm)を表2に示す。
〔製造例2〕
表1に示す重合条件に変更した以外は、製造例1と同様に行い、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを得た。
重合条件および得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの重合条件を表1に、組成、極限粘度〔η〕、ガラス転移温度〔tanδ−Tg〕、パラメーターXおよび融点(Tm)を表2に示す。
また、実施例および比較例で使用したエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(EPDM−1)〜(EPDM−4)の組成、極限粘度〔η〕、ガラス転移温度〔tanδ−Tg〕、パラメーターXおよび融点(Tm)を表2に示す。
組成および物性の測定方法を以下に示す。
〔エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の組成〕
日本電子製 ECX400P型核磁気共鳴装置を用いて、測定温度120℃、測定溶媒としてODCB−d4を使用し、積算回数を512回として、1Hのスペクトルを測定し、前記製造例で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の組成を測定した。
〔極限粘度〔η〕〕
前記製造例で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの極限粘度〔η〕(dL/g)は、135℃デカリン中で測定した。
〔ガラス転移温度(tanδ−Tg)〕
粘弾性測定装置(ARES(TA Instrumens JAPAN Inc.社製))を用いて、下記測定条件で共重合体の粘度の温度依存性を測定した。当該測定で得られた、貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G”)との比(G”/G’:損失正接)をtanδとした。tanδを温度に対してプロットすると、上に凸の曲線となり、凸部の頂点時の温度を、ガラス転移温度、すなわちtanδ―Tgとした。
(測定条件)
Frequency :1.0Hz
Temperature :−70〜50℃
Ramp Rate :4.0℃/分
Strain :0.5%」
〔融点(Tm)〕
示差走査熱量計RDC220(Seiko Instruments社製)を用い、測定用アルミパンに試料約10mgを詰めて、50℃/分で200℃まで昇温し、200℃で10分間保持した後、10℃/分で−100℃まで降温し、次いで10℃/分で200℃まで昇温した吸熱曲線より融点(Tm)を求めた。
〔実施例1〕
製造例1で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを、ペレタイザーを備えた押出機を用いて、下記条件で混練および造粒することによって、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットを得た。
・押出機: 型式VG−50−30(田辺プラスチックス株式会社製)
・押出機回転数: 25 rpm
・温度:D / C4 / C3 / C2 / C1 / F = 260 / 260 / 240 / 200 / 140 / 50 ℃
・カッター回転数: 750 rpm
・水温: 15 ℃
・口金: φ6・2穴
・カッター刃: 2枚
得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットの耐ブロッキング性を下記測定方法にしたがって測定した。その結果を表2に示す。
製造例1で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム100重量部に対して、ゴム用軟化剤(D−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)を40重量部油展して得られた油展エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム組成物80重量部と、メルトフローレート(ASTM−D−1238−65T;230℃、2.16kg荷重)が10g/10分であるブロックタイプのポリプロピレン(エチレン単位含量14モル%、PP−1)20重量部と、架橋剤として有機過酸化物(パーヘキサ25B、日本油脂(株)製)0.3重量部と、架橋助剤としてジビニルベンゼン0.3重量部と、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(イルガノックス1010、日本チバガイギー(株)製)0.1重量部とをヘンシェルミキサーで充分に混合し、押出機(品番 KTX−46、神戸製鋼(株)製、シリンダー温度:C1〜C2 120℃、C3〜C4 140℃、C5〜C14 200℃、ダイス温度:200℃、スクリュー回転数:400rpm、押出量:80kg/h)にてゴム用軟化剤(D−1)(ダイアナプロセスオイルPW−380、出光興産製)25重量部をシリンダーに注入しながら混練を行い、部分的または完全に架橋された熱可塑性エラストマーのペレットを得た。
さらに、熱可塑性エラストマーの物性(圧縮永久歪み〔CS〕)を下記測定方法にしたがって測定した。その結果を表2に示す。
〔実施例2〕
製造例1で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを、製造例2で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムに替えた以外は実施例1と同様にしてエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットを得た。得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットの耐ブロッキング性を下記測定方法にしたがって測定した。その結果を表2に示す。このゴムペレットを用いて実施例1と同様にして熱可塑性エラストマーのペレットを得た。この熱可塑性エラストマーの物性(圧縮永久歪み〔CS〕)を下記測定方法にしたがって測定した。結果を表2に示す。
〔実施例3〕
製造例1で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを、表2に示すエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(EPDM−1)に替えた以外は実施例1と同様にしてエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットを得た。得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットの耐ブロッキング性を下記測定方法にしたがって測定した。その結果を表2に示す。このゴムペレットを用いて実施例1と同様にして熱可塑性エラストマーのペレットを得た。この熱可塑性エラストマーの物性(圧縮永久歪み〔CS〕)を下記測定方法にしたがって測定した。結果を表2に示す。
〔実施例4〕
製造例1で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを、表2に示すエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(EPDM−2)に替えた以外は実施例1と同様にしてエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットを得た。得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットの耐ブロッキング性を下記測定方法にしたがって測定した。その結果を表2に示す。
〔比較例1〕
製造例1で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを、表2に示すエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(EPDM−3)に替えた以外は実施例1と同様にしてエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットを得た。得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットの耐ブロッキング性を下記測定方法にしたがって測定した。その結果を表2に示す。このゴムペレットを用いて実施例1と同様にして熱可塑性エラストマーのペレットを得た。この熱可塑性エラストマーの物性(圧縮永久歪み〔CS〕)を下記測定方法にしたがって測定した。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
製造例1で得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを、表2に示すエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(EPDM−4)に替えた以外は実施例1と同様にしてエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットを得た。得られたエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットの耐ブロッキング性を下記測定方法にしたがって測定した。その結果を表2に示す。
〔耐ブロッキング性評価方法〕
直径約50mmの筒状ジグの中に、ステアリン酸カルシウムを0.05wt%塗布した上記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムペレットを50g入れ、このゴムペレットに4Kgの荷重をかけ、50℃で48時間放置した。放置後のゴムペレットの状態を肉眼で観察し、前記ゴムペレットの耐ブロッキング性を下記評点に基づき評価した。評点2〜5においてはゴムペレットのブロッキングは生じてないと評価される。
評点:
1:完全に固着する
2:小塊が残るが手でほぐせる
3:手で強く押してペレット形状までほぐせる
4:手で簡単にペレット形状までほぐせる
5:全くブロッキングしていない
〔圧縮永久歪み〔CS〕〕
熱可塑性エラストマーのペレットを用いて厚さ2mmシートを調製し、このシートから直径29mmの円盤を打ち抜き、この円盤を6枚積層して、ブロック状サンプルを得た。
このブロック状サンプルを圧縮永久歪み測定金型に取り付けた。サンプルの高さが荷重をかける前の高さの1/4になるようサンプルを圧縮した。圧縮後のサンプルを金型ごと0℃の低温器、70℃および100℃のオーブン中にセットして22時間熱処理した。
次いで、試験片を金型から取出し、0℃の熱処理を行ったサンプルは0℃にて、70℃の熱処理を行ったサンプルおよび100℃の熱処理を行ったサンプルは23℃にて、30分間開放後、試験片の高さを測定し、以下の計算式から各熱処理温度における圧縮永久歪み〔CS〕(%)を算出した。
圧縮永久歪み〔CS〕(%)={(t0−t1)/(t0−t2)}×100
t0:試験片の試験前の高さ。
t1:試験片を熱処理し30分間開放した後の高さ。
t2:試験片の測定金型に取り付けた状態での高さ。
Figure 2013249398
Figure 2013249398

Claims (8)

  1. エチレン[A]、炭素原子数3〜20のα−オレフィン[B]、および下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン[C−1]
    Figure 2013249398
    (ただし、(I)は環状オレフィンの部分構造である。)
    Figure 2013249398
    に由来する構造単位を含むエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含有するゴムペレットであって、
    (1)前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれるエチレン[A]に由来する構造単位と、α−オレフィン[B]に由来する構造単位とのモル比([A]/[B])が、75/25〜90/10であり、
    (2)前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のガラス転移温度(Tg(℃))の数値が下記式(i)で表されるパラメーターXの数値以上である
    Figure 2013249398
    (式(i)のエチレン含量は、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合
    体に含まれる全構造単位に対するエチレン[A]に由来する構造単位の比率(mol%)を表わす。)
    ことを特徴とするゴムペレット[I]。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体が、前記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のゴムペレット[I]。
  3. 前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる非共役ポリエン[C−1]に由来する構造単位の含有量と非共役ポリエン[C−2]に由来する構造単位の含有量とのモル比([C−1]/[C−2])が85/15〜99.5/0.5であることを特徴とする請求項2に記載のゴムペレット[I]。
  4. 前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる非共役ポリエンに由来する構造単位の含有量が、前記エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体に含まれる全構造単位に対し0.5〜4.5mol%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴムペレット[I]。
  5. 軟化剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴムペレット[I]。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のゴムペレット[I]および熱可塑性樹脂[II]を混練装置に供給して動的架橋することを特徴とする熱可塑性エラストマーの製造方法。
  7. ゴムペレット[I]と熱可塑性樹脂[II]とを事前にブレンドすることなく別々に混練装置に供給して動的架橋することを特徴とする請求項6に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  8. 前記混練装置が押出機であることを特徴とする請求項6または7に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
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