JP2014101415A - プロピレン系共重合体組成物に極性基含有化合物を付加する方法、該方法を用いて得られた極性基含有プロピレン系共重合体組成物、該共重合体組成物を含む組成物および該方法を含む極性基含有プロピレン系共重合体組成物の製造方法 - Google Patents

プロピレン系共重合体組成物に極性基含有化合物を付加する方法、該方法を用いて得られた極性基含有プロピレン系共重合体組成物、該共重合体組成物を含む組成物および該方法を含む極性基含有プロピレン系共重合体組成物の製造方法 Download PDF

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Mayumi Yasuda
真弓 安田
Makoto Nakano
誠 中野
Kyoko Kobayashi
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Abstract

【課題】高グラフト率で、特定のプロピレン系重合体および熱可塑性樹脂を含むプロピレン系共重合体組成物に極性基含有化合物を付加する方法、該方法を用いることで、高グラフト率であり高分子量、未反応残留極性基が少なく、伸びに優れる極性基含有プロピレン系共重合体組成物を低コストで製造することを目的とする。
【解決手段】本発明の方法は、プロピレン系共重合体組成物(X)に、極性基含有化合物(F)を付加する方法であり、該共重合体組成物(X)が、プロピレン系共重合体(A)1〜50重量部と、熱可塑性樹脂(B)99〜50重量部(ただし、(A)と(B)との合計を100重量部とする)を含み、該プロピレン系共重合体(A)が、プロピレンから導かれる構成単位〔i〕50〜95mol%と、プロピレンを除く炭素原子数2〜10のα−オレフィンから導かれる構成単位〔ii〕4.9〜49.9mol%と、非共役ポリエンから導かれる構成単位〔iii〕0.1〜10mol%を含み(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100mol%とする)、かつ、特定の要件(a)および(c)を満たすことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系共重合体組成物に極性基含有化合物を付加する方法、該方法を用いて得られた極性基含有プロピレン系共重合体組成物、該共重合体組成物を含む組成物および該方法を含む極性基含有プロピレン系共重合体組成物の製造方法に関する。
プロピレン系重合体は、機械特性、耐薬品性に優れ、安価であるため各成形分野に広く用いられている。また、プロピレン系重合体に接着性、塗装性、印刷性などを付与するために有機過酸化物等のラジカル発生剤存在下、エチレン性不飽和化合物、例えばビニル化合物あるいは不飽和カルボン酸等をグラフト変性させる方法がある。
グラフト反応の方法は、大別して、溶剤を使用して反応させるいわゆる溶液法と混練押出機を使用して、溶融状態で反応させるいわゆる溶融法とがある。溶液法は、大量の溶剤を使用するため、コスト高となり、昨今の環境問題からも好ましくない。一方、溶融法は、溶剤の使用がなく、簡便的な方法として注目されている。
しかしながら、特許文献1に記載の熱可塑性樹脂組成物で用いられている無水マレイン酸変性ポリプロピレンは、比較的低メルトフローレートの結晶性ポリプロピレンを、溶融状態で有機過酸化物の存在下に、無水マレイン酸とグラフト重合させて製造されたものであるが、一般に、溶融状態のポリプロピレンに、有機過酸化物および無水マレイン酸等のエチレン性不飽和結合含有モノマーを作用させると、該モノマーのグラフトと同時に分子切断による分子量低下が起こる。特許文献1に記載のグラフト変性ポリプロピレンは、ポリプロピレンの分子量が小さいため、所望する無水マレイン酸グラフト量での変性ポリプロピレンの分子量が非常に小さく、樹脂組成物の成形品の強度が低くなる場合が多い。
特許文献2および3では、押出機を使用して、重合体と不飽和カルボン酸とラジカル発生剤を溶融混練することで重合体のグラフト変性を行う方法が示されている。しかしながら、これらの変性方法では、ラジカル発生剤の影響により重合体の分子量が低下することが知られている。
また、特許文献3および4では、同様の方法で得られた変性重合体を、さらに他の重合体と混合することで、重合体組成物全体に接着性等の物性を付与する方法が示されている。しかしながら、変性重合体に由来する低分子量成分の組成物全体の物性に対する影響については、特に触れられておらず、前述のように、樹脂組成物の成形品の強度が低くなる場合が多く、重合体組成物の物性に改良の余地がある。
特開平5−9343号公報 特開平9−278956号公報 特開2000−290313号公報 特開2004−75984号公報 特開2001−261905号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、高グラフト率で、特定のプロピレン系重合体および熱可塑性樹脂を含むプロピレン系共重合体組成物に極性基含有化合物を付加する方法、該方法を用いることで、高グラフト率であり高分子量の極性基含有プロピレン系共重合体組成物を低コストで製造することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成した。
本発明は、プロピレン系共重合体組成物(X)に、極性基含有化合物(F)を付加する方法であり、該共重合体組成物(X)が、プロピレン系共重合体(A)1〜50重量部と、熱可塑性樹脂(B)99〜50重量部(ただし、(A)と(B)との合計を100重量部とする)を含み、該プロピレン系共重合体(A)が、プロピレンから導かれる構成単位〔i〕50〜95mol%と、プロピレンを除く炭素原子数2〜10のα−オレフィンから導かれる構成単位〔ii〕4.9〜49.9mol%と、非共役ポリエンから導かれる構成単位〔iii〕0.1〜10mol%を含み(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100mol%とする)、かつ、下記要件(a)および(c)を満たす。
(a)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が、0.1〜5.0(dL/g)、
(c)JIS K−6721に準拠して、230℃、10kg荷重にて得られたMFR10と、JIS K−6721に準拠して、230℃、2.16kg荷重にて得られたMFR2.16との比(MFR10/MFR2.16)が、8.0〜150.0。
また、プロピレン系共重合体組成物(X)が、プロピレン系共重合体(A)1〜50重量部と、熱可塑性樹脂(B)としてポリプロピレン(B1)99〜50重量部(ただし、(A)と(B)との合計を100重量部とする)を含むプロピレン系共重合体組成物(X1)であり、該プロピレン系共重合体(A)が、前記要件(a)〜(d)を満たし、かつ、プロピレンから導かれる構成単位50〜95mol%と、エチレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンから導かれる構成単位4.9〜49.9mol%と、5−ビニル−2−ノルボルネンから導かれる構成単位0.1〜10mol%を含む(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100mol%とする)プロピレン系共重合体(A1)であることが好ましい。
プロピレン系共重合体組成物(X1)の230℃における溶融張力MT(X1)と、ポリプロピレン(B1)の230℃における溶融張力MT(B1)との比(MT(X1)/MT(B1))(xa)が、2.0〜10.0であることも好ましい。
本発明の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)は、プロピレン系共重合体組成物(X)に極性基含有化合物(F)を付加する本発明の方法を用いて得られる。
本発明の組成物(Z)は、本発明の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)と、極性基含有化合物(F)が付加されていない熱可塑性樹脂(C)を含む。
本発明の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)の製造方法は、プロピレン系共重合体組成物(X)に極性基含有化合物(F)を付加する本発明の方法を含む。
本発明の組成物(Z)の製造方法は、本発明の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)に、極性基含有化合物(F)が付加されていない熱可塑性樹脂(C)を含む工程を含む。
本発明の成形体は、本発明の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)または本発明の組成物(Z)を用いて得られる。
本発明によれば、高グラフト率で、特定のプロピレン系重合体および熱可塑性樹脂を含むプロピレン系共重合体組成物に極性基含有化合物を付加することができる。
また、該方法を用いることで、高グラフト率であり高分子量、未反応残留極性基が少なく、伸びに優れる極性基含有プロピレン系共重合体組成物を低コストで製造することができる。
[プロピレン系共重合体組成物(X)および(X1)に、極性基含有化合物(F)を付加する方法]
本発明の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)は、プロピレン系共重合体組成物(X)および(X1)に、極性基含有化合物(F)を付加、すなわち、グラフト重合させることにより得られる。本発明では、このように変性可能なビニル基を分子中に均一に有するプロピレン系共重合体(A)を用いること、また、該プロピレン系共重合体(A)が組成物に均一に分散することで反応が連鎖的に進行しやすくなり、高グラフト率で、プロピレン系共重合体組成物に極性基含有化合物を付加することができる。また、溶剤を大量に用いない溶融法である該方法を用いることで、高グラフト率であり高分子量であり、特に伸びに優れる極性基含有プロピレン系共重合体組成物を低コストで製造することができる。
本発明では、プロピレン系共重合体組成物中のプロピレン共重合体(A)および熱可塑性樹脂(B)の、少なくとも一部または全部が極性モノマーによりグラフト変性されていても良い。例えば、共重合体(A)の一部または全部がグラフト変性されていても良く、樹脂(B)の一部または全部がグラフト変性されていてもよく、共重合体(A)、樹脂(B)のそれぞれについて一部または全部がグラフト変性されていても良い。
プロピレン系共重合体組成物(以下、被変性体とも称す)に、極性基含有化合物(F)(以下、極性モノマーとも称す)をグラフト重合させる際に、極性モノマーは、被変性体100重量部に対して、通常0.001〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の量で使用される。配合量が上記範囲であると、高グラフト率であり、未反応残留モノマーの少ない極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)を得られるため、好ましい。このグラフト重合は、特に限定されないが、ラジカル開始剤の存在下にて行なわれることが好ましい。
被変性体の極性モノマーによるグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、たとえば、被変性体を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、通常70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、通常0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることにより行うことができる。
また押出機などを用いて、被変性体と極性モノマーとを反応させ、必要に応じて、所定の添加剤を混合して、変性体を含む重合体組成物を製造することもできる。この反応は、通常、被変性体の融点以上、具体的には、樹脂(B)を変性する場合には、例えば通常120〜300℃、好ましくは120℃〜250℃の温度で、通常0.5〜10分間行なわれることが望ましい。また、共重合体(A)を変性する場合には、例えば、通常160〜300℃、好ましくは180℃〜250℃の温度で、通常0.5〜10分間行なわれることが望ましい。溶融混練に使用する装置としては、従来公知の溶融混練装置、たとえば一軸またはニ軸押出機、バンバリーミキサー、混練ロール、ブラベンダー、ニーダー、ヘンシェルミキサー、バッチ混練機などを挙げることができる。
また、本発明では、プロピレン系共重合体組成物(X)および(X1)を製造後、該組成物と極性基含有化合物(F)を押出機で溶融混練する等して、一旦、ペレット化し、得られたペレットに放射線を照射するようにして製造することもできる。
ペレットは、放射線が充分に透過する大きさがよく、好ましくは平均粒径が0.1〜10mmである。放射線には、α線、β線(電子線)、γ線、中性子線、X線などを包含するが、電子線が作業性およびグラフト率の向上のうえから好ましい。ペレットへの放射線の照射は、例えば、移動コンベア上に供給されてきたペレットに、放射線照射装置から放射線を照射することにより行うことができる。放射線の照射は、例えば電子線照射の場合に加速電圧が150〜5000kV、好ましくは800〜5000kVで、通常は空気雰囲気下、好ましくは不活性ガス(例えば窒素、アルゴン等)雰囲気下で行われる。また、照射線量は5〜500kGy,好ましくは50〜200kGy程度が適当である。照射線量が5kGy未満ではグラフトが充分に行われず、一方500kGyを超えるとグラフト率の向上が殆んどなく、基材の劣化が激しくなる。
この方法であれば、従来法に比較して、グラフト率が高い変性ポリオレフィンの製造が可能となり、同じ電子線照射量の下でもグラフト率が高く、電子線の照射量によりMFRを容易に調製でき、かつ、電子線照射量あるいはグラフト用モノマーの配合量でグラフト率を容易に調製でき、かつ、グラフト用モノマーの配合量を多くし、電子線照射量を低くすることで、高いグラフト率、低いMFRの変性ポリオレフィンを得ることができる。又、本発明では、触媒を使用しなくて済み、必要に応じて、組成物に架橋助剤を添加することにより、より一層、反応効率を向上させ、又、高いグラフト率のものを得ることができる。
本発明では、環境問題および低コストであるという理由から、加熱および/または電子線照射にて付加することが好ましく、特殊な装置を要せず、一般的に広く用いられ、付加処理の知見が多いという理由から、加熱がより好ましい。
このようにして得られる変性体の変性量(極性モノマーのグラフト量)は、変性体を100重量%とした場合に、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜25重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.6〜10重量%である。なお、この極性モノマーのグラフト量は、変性体から遊離の極性基含有化合物を除いた後に測定される、正味のグラフト量である。また、グラフト量は、13C-NMR、1H-NMR測定などの公知の手段で行うことが出来る。また、極性基含有化合物として、不飽和カルボン酸およびその無水物など酸性官能基を有する単量体を用いた場合、共重合体組成物に導入された官能基の量の目安となる量として、例えば、酸価を用いることも可能である。また、極性基含有化合物として無水マレイン酸を用いる場合には、赤外分光光度計を用いて、通常1780〜1790cm-1付近に検出される無水マレイン酸のカルボニル基の吸収スペクトルに基づいてグラフト量を求めることもできる。
〔極性基含有化合物(F):極性モノマー〕
極性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、カルボジイミド化合物などが挙げられる。特に、不飽和カルボン酸またはその誘導体が好ましい。不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物等を挙げることができ、不飽和基としては、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基などを挙げることができる。
具体的には、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸、またはその誘導体として、例えば、酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステル等が挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、例えば、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等が挙げられる。
好ましい官能基含有化合物としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体、特に好ましくは(無水)マレイン酸を挙げることが出来る。不飽和カルボン酸またはその誘導体は、本発明にかかるプロピレン系共重合体組成物、特にプロピレン系共重合体との反応性が比較的高く、それ自身が重合等による大きな構造変化が少なく、基本構造として安定な傾向がある。このため、安定した品質の極性基含有プロピレン系共重合体組成物を得られるなどの様々な優位点がある。
これらの極性モノマーは、1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
〔ラジカル開始剤〕
ラジカル開始剤としては、有機過酸化物あるいはアゾ化合物などを用いることができる。
ラジカル開始剤は、被変性体および極性モノマーとそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。
ラジカル開始剤は、特に限定されないが、被変性体100重量部に対して、通常0.001〜1重量部の量で使用される。
また被変性体に極性モノマーをグラフト重合させる際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、極性モノマーのグラフト量を向上させることができる。
〔その他〕
本発明では、本発明の効果を奏する限り、以下のその他の重合体や添加剤の存在下で、付加を行うこともできる。
本発明では、該変性体の有する特性を損なわない範囲で、他の重合体、例えば、エラストマー等を適宜配合して、付加反応をすることができる。なお、配合は、グラフト変性後の混合であってもよい。
エラストマーとしては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−1−ブテンゴム、プロピレン−1−ブテンゴム、スチレン−ブタジエンゴムやその水添物、イソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、或いはスチレン−ブタジエンブロック共重合体エラストマーやその水添物等のエラストマーが例示される。
また、本発明では、該変性体の有する特性を損なわない範囲で、公知のプロセス安定剤、耐熱安定剤、耐熱老化剤、フィラー、粘着剤等を適宜添加することも可能である。これらの添加剤は、例えば、後述するその他の成分(添加剤)を例示できる。
〔プロピレン系共重合体組成物(X)および(X1)〕
本発明のプロピレン系共重合体組成物(X)は、本発明に係るプロピレン系共重合体を1〜50重量部、好ましくは1〜40重量部と、熱可塑性樹脂(B)、好ましくは結晶性オレフィン樹脂(BB)を99〜50重量部、好ましくは99〜60重量部(但し、(A)と(B)の合計を100重量部とする)を含んでなる。この範囲にあると、高グラフト率であり高分子量の極性基含有プロピレン系共重合体組成物が得られる。また、プロピレン系共重合体が1重量部より少ない場合、ポリプロピレンの分解が進むおそれがあり、共重合体(A)を配合した効果が無く、高グラフト率を有する高分子量の極性基含有プロピレン系共重合体組成物を得られにくくなる。一方、プロピレン系共重合体が50重量部より多い場合、直ちに成形出来なくなるわけではないが、変性後の組成物のゲル化割合が高くなり、組成物をシート化した際にゲル分が目立つ可能性があり、品質に問題が出るおそれがある。
また、本発明のプロピレン系共重合体組成物(X1)は、本発明のプロピレン系共重合体(A1)を1〜50重量部、好ましくは1〜40重量部と、熱可塑性樹脂(B)としてポリプロピレン(B1)を99〜50重量部、好ましくは99〜60重量部(但し、(A)と(B)の合計を100重量部とする)を含んでなる。
組成物(X)および(X1)は、以下の要件(xa)を満たすことが好ましい。このような共重合体組成物は高グラフト率であり高分子量の極性基含有プロピレン系共重合体組成物が得られるため、好ましい。
要件(xa):〔比(MT(X1)/MT(B1))〕
本発明の共重合体組成物(XまたはX1)の230℃における溶融張力MT(X1)と、ポリプロピレン(B1)の230℃における溶融張力MT(B1)との比(MT(X1)/MT(B1))が、通常2.0〜10.0である。比(MT(X1)/MT(B1))が上記範囲にあることはポリプロピレン(B1)に比べて、共重合組成物における溶融特性が改良されていることを意味しており、成形加工性に優れる。
また、本発明では、本発明の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)と、共重合体(A)および樹脂(B)から選ばれる未変性体の1種以上を混練して、共重合体組成物(X)および(X1)を得ることも出来る。
本発明の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)を含むと、他の材料との相溶性又は接着性を付加することができ、得られた成形体表面の濡れ性が改良される場合がある。
<プロピレン系共重合体(A)および(A1)>
本発明に係るプロピレン系共重合体(A)および(A1)は、下記要件(a)および(c)を満たし、好ましくは(a)〜(d)を満たし、プロピレンから導かれる構成単位〔i〕50〜95モル%と、プロピレンを除く炭素原子数2〜10のα-オレフィンから選ばれる構成単位〔ii〕4.9〜49.9モル%と、非共役ポリエンから導かれる構成単位〔iii〕0.1〜10モル%とからなる(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100モル%とする)。構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕が上記範囲にあると、より成形加工性に優れる共重合体(A)を得ることができるため、好ましい。
なお、本発明において、「炭素原子数2〜10のα-オレフィン」というときは特に断らない限りプロピレンを含まない。
また、共重合体(A)は、前記構成単位〔i〕が55〜95モル%、前記構成単位〔ii〕が4.9〜44.9モル%、前記構成単位〔iii〕が0.1〜7.0モル%からなる共重合体であることが、熱可塑性樹脂、特にポリプロピレンへの相溶性と製造時におけるゲル成分が生成しない点から好ましい(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100モル%とする)。
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の共重合成分を含んでいてもよく、これらも本発明の範囲内である。
(α−オレフィン)
プロピレンを除く炭素原子数2〜10のα-オレフィンとしては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、たとえば、エチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの直鎖状または分岐状のα−オレフィン;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテンなどの環状オレフィンなどを挙げることができる。これらのα−オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましい。
(非共役ポリエン)
非共役ポリエンとしては、具体的には、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−エチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−エチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、5−エチル−1,5−ヘプタジエン、4−メチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,4−オクタジエン、4−エチル−1,4−オクタジエン、5−エチル−1,4−オクタジエン、5−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5−エチル−1,5−オクタジエン、6−エチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、6−エチル−1,6−オクタジエン、4−メチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,4−ノナジエン、4−エチル−1,4−ノナジエン、5−エチル−1,4−ノナジエン、5−メチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,5−ノナジエン、5−エチル−1,5−ノナジエン、6−エチル−1,5−ノナジエン、6−メチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,6−ノナジエン、6−エチル−1,6−ノナジエン、7−エチル−1,6−ノナジエン、7−メチル−1,7−ノナジエン、8−メチル−1,7−ノナジエン、7−エチル−1,7−ノナジエン、5−メチル−1,4−デカジエン、5−エチル−1,4−デカジエン、5−メチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,5−デカジエン、5−エチル−1,5−デカジエン、6−エチル−1,5−デカジエン、6−メチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、6−エチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエン、7−メチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,7−デカジエン、7−エチル−1,7−デカジエン、8−エチル−1,7−デカジエン、8−メチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−デカジエン、8−エチル−1,8−デカジエン、9−メチル−1,8−ウンデカジエンなどの非共役ジエン;
6,10− ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、6,9−ジメチル−1,5,8−デカトリエン、6,8,9−トリメチル−1,5,8−デカトリエン、6−エチル−10−メチル−1,5,9−ウンデカトリエン、4−エチリデン−1,6−オクタジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン(EMND)、7−メチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、7−エチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、6,7−ジメチル−4−エチリデン−1,6−ノナジエン、4−エチリデン−1,6−デカジエン、7−メチル−4−エチリデン−1,6−デカジエン、7−メチル−6−プロピル−4−エチリデン−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−1,7−ノナジエン、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン等の非共役トリエンなどが挙げられる。これらの非共役ポリエンは、単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらのうちでも、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、4− エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン(EMND)が好ましく、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)がより好ましい。特に、共重合体(A)を、共重合体組成物(X1)に用いる場合、共重合体(A1)として、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)を含むことが、長鎖分岐の生成と制御および均一な変性点の導入の点から好ましい。
(共役ポリエン)
本発明では、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の重合成分として、たとえば、共役ポリエンを含んでいてもよい。
共役ポリエンとしては、たとえば、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、1-フェニル-1,3-ブタジエン、1-フェニル-2,4-ペンタジエン、イソプレン、2-エチル-1,3-ブタジエン、2-プロピル-1,3-ブタジエン、2-ブチル-1,3-ブタジエン、2-ペンチル-1,3-ブタジエン、2-ヘキシル-1,3-ブタジエン、2-ヘプチル-1,3- ブタジエン、2-オクチル-1,3-ブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエンなどの共役ジエン;1,3,5-ヘキサトリエンなどの共役トリエンなどが挙げられる。
次に、要件(a)〜(d)を示す。
要件(a):〔極限粘度[η]〕
本発明に係るプロピレン系共重合体は、135℃のデカリン中での極限粘度[η]が、通常0.1〜5.0(dL/g)の範囲にある。極限粘度がこの範囲にあると、樹脂の流動性と溶融張力のバランスに優れる。
要件(b):〔分子量分布[Mz/Mw]〕
本発明に係るプロピレン系共重合体は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定したz−平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との割合(Mz/Mw)が、通常3.0〜20.0の範囲にある。Mz/Mwの値が大きいと、長鎖分岐量が大きく、溶融張力が高くなる。
要件(c):〔比(MFR10/MFR2.16)〕
本発明に係るプロピレン系共重合体は、JIS K−6721に準拠して、230℃、10kg荷重にて得られたMFR10と、JIS K−6721に準拠して、230℃、2.16kg荷重にて得られたMFR2.16との比(MFR10/MFR2.16)が、通常8.0〜150.0の範囲にある。比(MFR10/MFR2.16)が上記範囲にあると、2つの荷重での樹脂の流動性が変化しやすく、せん断速度に対する粘度の変化率が小さい。そのため、この範囲にあると、特定のせん断速度範囲で樹脂の粘度変化が小さく加工性に優れる。
要件(d):〔比(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))〕
レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数(ω=0.1rad/s)の複素粘度η*(ω=0.1)と、周波数(ω=100rad/s)の複素粘度η*(ω=100)との比(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))が、通常5〜100である。比(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))が上記範囲にあることは、長鎖分岐構造を有していることを意味し、溶融張力に優れる。
また、本発明に係る共重合体は、上記要件に加えて、以下の要件(e)、(f)および(g)から選ばれるいずれか1つを満たすことが好ましく、要件(e)および(f)を満たすことがより好ましく、要件(e)〜(g)の全てを満たすことがさらに好ましい。
要件(e):〔ガラス転移点[Tg]〕
本発明に係るプロピレン系共重合体は、示差走査熱量計(DSC)により測定したガラス転移点(Tg)が、好ましくは−60〜0℃、より好ましくは−55〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−10℃である。この範囲であれば、得られる材料が低温特性に優れる。
要件(f):〔融点[Tm]〕
本発明に係るプロピレン系共重合体は、得られる組成物が柔軟性に優れるため、好ましくは、DSCにより測定した融点(Tm)が、100℃以下であるかまたは融点が観測されない。ここで、融点が観測されないとは、−150〜200℃の範囲において、結晶融解熱量が1J/g以上の結晶融解ピークが観測されないことをいう。測定法は、後述する実施例と同じである。
要件(g):〔分子量分布[Mw/Mn]〕
本発明に係るプロピレン系共重合体は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と重量平均分子量(Mn)との割合(Mw/Mn)が、通常3.5〜20.0、好ましくは3.5〜15.0、より好ましくは3.5〜13.0、さらに好ましくは4.5〜10.0、より好ましくは5.5〜10.0の範囲にある。Mw/Mnの値が大きいと、長鎖分岐量が大きく、溶融張力が高くなり、変性時の押出加工性に優れる傾向にある。
要件(h):〔分岐指数〕
本発明に係るプロピレン系共重合体は、以下の式(h)で表される分岐指数が、2〜20であることが好ましい。
分岐指数=[Log(η0.01)−Log(0.116×η8)1.2367]×10・・(h)
[式中、η0.01は190℃における0.01rad/secの粘度(Pa・sec)を示し、η8は8rad/secの粘度(Pa・sec)を示す。]
分岐指数は、共重合体(A)が有する長期分岐の量の尺度であり、分岐指数が大きいほど長鎖分岐の量が多い傾向にある。分岐指数が、前記範囲内にあると、組成物の押出し成形性、プレス成形性、インジェクション成形性等の成形性、及びロール加工性等に優れ、さらに組成物から得られる成形体の強度、柔軟性にも優れるため、好ましい。
長鎖分岐構造の量の指標として用いている分岐指数は、非共役ジエンを含まない2元系共重合体のポリマー構造を基準として、第3成分である非共役ジエンを含んだ3元系共重合体で生成する分岐度を示している。
分岐指数を求めるために、長鎖分岐構造によってポリマー構造に最も影響を与える低周波数側の複素粘度(0.01rad/sec)と、ゴム(共重合体)の指標であるムーニー粘度の測定周波数(8rad/sec)に相当するところの溶融粘度を取り、その比を算出する。
その算出値の比が大きいほど、低周波数と高周波数での溶融粘度の変化が大きいことを示し、この変化はポリマーの分子構造を現している。溶融粘度の変化が大きいことは、分子構造としては、主鎖が少なく、分岐が多く存在することであり、外部応力に対して敏感に反応して挙動が大きく現れる(分岐の影響が大きい)。一方、主鎖が多く、分岐が少なく存在する場合は、分子鎖が比較的均一であり、分子鎖の絡み合いが強く、外部応力に対して鈍感であり挙動が小さく現れる(主鎖の影響が大きい)。
従って、長鎖分岐構造を有しているポリマーでは、主鎖に対して分岐が多く存在し、分岐指数式から算出される値は大きくなり、ポリマー中に分岐が多く導入されたことになる。但し、ポリマー中に分岐構造が多く導入されると、加工性全般は向上する結果となるが、主鎖構造の減少でポリマーの強度低下を導く。そのため、長鎖分岐構造が多ければ多いほど良いものではなく、加工性と強度をバランスよく持ったポリマーが最適となる。
特定の分岐指数を有する共重合体(A)、すなわち、長鎖分岐構造が制御され共重合体(A)を用いることによりゴム組成物の加工性と強度のバランスに優れる。
なお、メタロセン触媒(好ましくは、特開2011−16907号公報の式(iii)で表わされる構造を有する触媒)を用いて、共重合体(A)を製造することにより、上記の分岐指数を有するオレフィン系ゴムを得ることができる。一般に、共重合体を製造する際の重合温度を高くすることにより、分岐指数が高くなる傾向にあり、重合圧力を下げることにより、分岐指数が高くなる傾向にある。
なお、分岐指数は、粘弾性試験機を用いて、周波数を変えて測定することにより求めた、190℃における0.01rad/secの粘度(Pa・sec)及び190℃おける8rad/secの粘度(Pa・sec)から算出することができる。
<プロピレン系共重合体の製造方法>
次に、本発明に係るプロピレン系共重合体の製造方法について説明する。本発明の共重合体は、その製造方法は特に限定されないが、好ましくは、以下の方法を用いて合成される。
本発明に係る共重合体は、例えば
(A)下記一般式[I]で表される架橋型メタロセン化合物、並びに
(B)(b-1)有機アルミニウムオキシ化合物、(b-2)前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および(b-3)有機アルミニウム化合物とから選ばれる少なくとも1種以上の化合物(助触媒と呼ぶ場合がある)とからなるオレフィン重合触媒の存在下に、プロピレンおよびα-オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを、通常50〜300℃の温度で溶媒の共存下で溶液重合(以下の説明では、「高温溶液重合」と呼ぶ場合がある。)することによって製造することができる。なお、本発明において、共重合体の製造方法は、上記要件を満たす限り、例えば一般式[I]とは異なる構造のメタロセン化合物を使用しても良いし、前記(B)成分とは異なる助触媒を使用してもよいし、公知の2種類以上の共重合体を反応器ブレンドや物理ブレンド等の手法によって調製してもよい。
Figure 2014101415
上記一般式[I]において、Mは遷移金属を表し、pは遷移金属の原子価を表し、Xは同一でも異なっていてもよく、それぞれは水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を表し、R1およびR2は同一でも異なっていてもよいMに配位したπ電子共役配位子を表し、Qは2個のπ電子共役配位子R1とR2とを架橋する2価の基を表す。
一般式[I]中、Mで表される遷移金属としては、たとえば、Zr、Ti、Hf、V、Nb、Ta及びCrが挙げられ、好ましい遷移金属はZr、TiまたはHfであり、さらに好ましい遷移金属はZrまたはHfである。
一般式[I]中、R1およびR2で表されるπ電子共役配位子としては、η-シクロペンタジエニル構造、η-ベンゼン構造、η-シクロヘプタトリエニル構造、およびη-シクロオクタテトラエン構造を有する配位子が挙げられ、特に好ましい配位子はη-シクロペンタジエニル構造を有する配位子である。η-シクロペンタジエニル構造を有する配位子として、たとえば、シクロペンタジエニル基、インデニル基、水素化インデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。これらの基は、ハロゲン原子、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシなどの炭化水素基、トリアルキルシリル基などの炭化水素基含有シリル基、鎖状または環状アルキレン基などでさらに置換されていてもよい。
一般式[I]中、Qで表されるR1とR2とを架橋する基は、2価の基であれば特に限定されないが、たとえば、直鎖または分枝鎖アルキレン基、非置換または置換シクロアルキレン基、アルキリデン基、非置換または置換シクロアルキリデン基、非置換または置換フェニレン基、シリレン基、ジアルキル置換シリレン基、ゲルミル基、ジアルキル置換ゲルミル基などが挙げられる。
本発明においては、上記一般式[I]を満たすメタロセン化合物として、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル) (オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、(t−ブチルアミド)−ジメチル(η5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタニウム(II)1,3−ペンタジエンが好ましいが、これに何ら限定されるものではない。
次に前記したメタロセン化合物(A)を、本発明の共重合体を製造するための重合触媒成分として使用する際の好ましい実施態様について説明する。
メタロセン化合物(A)を含むメタロセン系触媒を、プロピレン系共重合体を製造するためのオレフィン重合触媒として用いる場合、重合触媒は上述のように、(A)前記一般式[I]で表される架橋型メタロセン化合物、並びに(B)(b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、(b-2) 前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物および(b-3)有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物から構成されることが好ましい。ここで、触媒成分(B)としては、重合活性と生成するプロピレン系共重合体の性状の視点から、次の[c1]〜[c4]のいずれかが好ましく用いられる。
[c1]化合物(b-1)のみ、
[c2]化合物(b-1)と化合物(b-3)の混合物、
[c3]化合物(b-2)と化合物(b-3)の混合物、
[c4]化合物(b-1)と化合物(b-2)の混合物。
ただし、(A)成分の一般式[I]において、Qがシリレン基であるメタロセン化合物を用いる場合は、(B)成分としては、化合物(b-2)が使用されることはなく、従って、上記の中で、[c1]と[c2]が採用される。
以下、(B)成分を構成しうる各成分について具体的に説明する。
(b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物
有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)としては、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用できる。アルミノキサンとしては、下記一般式[II]および/または一般式[III]が例示される。
Figure 2014101415
式[II]または[III]中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す。
特にRがメチル基であるメチルアルミノキサンでnが3以上、好ましくは10以上のものが利用される(一般式[II]または[III]において、Rがメチル基である有機アルミニウムオキシ化合物を、以下「メチルアルミノキサン」と呼ぶ場合がある。)
メチルアルミノキサンは、その入手容易性と重合活性の高さからポリオレフィン業界で多用されてきた有機アルミニウムオキシ化合物であるが、飽和炭化水素に溶解し難いことから、止む無く環境負荷が大きなトルエンやベンゼン等の芳香族炭化水素溶液として用いられてきた経緯がある。このような背景下、飽和炭化水素に溶解するメチルアルミノキサン類縁体が開発されている。このような類縁体としては下記一般式[IV]のような修飾メチルアルミノキサンを例示できる。本発明においては、有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)として、このような修飾メチルアルミノキサンも包含する。
Figure 2014101415
式[IV]中、Rは炭素数2〜20の炭化水素基、m、nは2以上の整数を示す。
前記一般式[IV]で表わされる修飾メチルアルミノキサンは、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製される(例えば、調製法としては、特許公報US4960878やUS5041584等を参照できる)。また、東ソー・ファインケム社等からトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いて調製された、Rがイソブチル基である、MMAOやTMAOといった商品名で商業生産されている(例えば、「東ソー研究・技術報告」第47巻55(2003)参照)。しかし、MMAOやTMAOを飽和炭化水素溶液の形態で、本願発明の高温溶液重合法の技術的範囲外で重合しても、メチルアルミノキサンを超える活性を達成できないことを本出願人は確認している。本発明に係る高温溶液重合法によれば、前記一般式[IV]で示される修飾アルミノキサンの飽和炭化水素溶液を用いた場合でも高い重合活性を発現する。
なお、本発明に関わる高温溶液重合においては、有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)として、特開平2-78687号公報に例示されているベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物も適用できる。
さらに、本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物(b-1)としては、下記一般式[V]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
Figure 2014101415
式[V]中、Rcは炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。Rdは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。
なお、上述した(b-1)有機アルミニウムオキシ化合物中には若干の有機アルミニウム化合物が混入していても差し支えない。
(b-2) メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b-2)(以下、「イオン性化合物」と略称する場合がある。)としては、特開平1-501950号公報、特開平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、特許公報US5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、イオン性化合物(b-2)としては、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。
本発明において、好ましく採用されるイオン性化合物(b-2)は、下記一般式[VI]で表される化合物である。
Figure 2014101415
式[VI]中、Re+としては、H+、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。Rf〜Riは、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基である。
前記カルベニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオンなどの三置換カルベニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n-プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N, N-ジメチルアニリニウムカチオン、N, N-ジエチルアニリニウムカチオン、N, N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN, N-ジアルキルアニリニウムカチオン、ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
上記のうち、Re+としては、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルベニウムカチオン、N, N-ジメチルアニリニウムカチオン、N, N-ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
カルベニウム塩であるイオン性化合物(b-2)としては、具体的には、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4-メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができる。
アンモニウム塩であるイオン性化合物(b-2)としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩などを挙げることができる。
トリアルキル置換アンモニウム塩であるイオン性化合物(b-2)としては、具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o-トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムなどが挙げられる。
N, N-ジアルキルアニリニウム塩であるイオン性化合物(b-2)としては、具体的には、たとえばN, N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、 N, N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、 N, N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N, N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N, N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、 N, N-ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5-ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N, N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N, N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1-プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
その他のイオン性化合物(b-2)としては、特開2004-51676号公報に記載されているイオン性化合物も制限無く使用が可能である。
上記のイオン性化合物(b-2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いることもできる。
(b-3) 有機アルミニウム化合物
オレフィン重合触媒を形成する(b-3)有機アルミニウム化合物としては、例えば下記一般式[VII]で表される有機アルミニウム化合物、下記一般式[VIII]で表される、第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などを挙げることができる。
a mAl(ORbnpq ・・・ [VII]
式[VII]中、RaおよびRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
上記一般式[VII]で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn-ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリn-アルキルアルミニウム;
トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリtert-ブチルアルミニウム、トリ2-メチルブチルアルミニウム、トリ3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;
トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;
ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;
一般式(i-C49)xAly(C510)z (式中、x、y、zは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
一般式Ra 2.5Al(ORb)0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
2AlRa 4 ・・・ [VIII]
式[VIII]中、M2はLi、NaまたはKを示し、Raは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。式[VIII]で表される、周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物としては、LiAl(C25)4、LiAl(C715)4 などを例示することができる。
また、上記一般式[VII]で表される化合物に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、(C25)2AlN(C25)Al(C25)2などを挙げることができる。
入手容易性の点から、(b-3)有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましく用いられる。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、例えば触媒成分(A)および触媒成分(B)を任意の順序で重合器に添加する方法を例示することができる。
上記方法においては、各触媒成分の2つ以上が予め接触されていてもよい。
反応温度は、高温でも触媒が失活しないので100℃まで上げることができる。重合圧力は通常0MPaを超えて〜8MPa(ゲージ圧)、好ましくは0MPaを超えて〜5MPa(ゲージ圧)の範囲である。反応時間(共重合が連続法で実施される場合は平均滞留時間)は、触媒濃度および重合温度などの条件によって異なるが、通常0.5分間〜5時間、好ましくは10分間〜3時間である。さらに、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
プロピレン[A]とプロピレンを除く炭素原子数2〜10のα−オレフィン[B]とのモル比(仕込み比)([A]/[B])は、通常40/60〜95/5、好ましくは50/50〜95/5である。
プロピレン[A]と非共役ポリエン[C]とのモル比(仕込み比)([A]/[C])は、通常99.9/0.1〜90/10、好ましくは99.5/0.5〜90/10である。
上記触媒を用いて重合することによって、プロピレン系共重合体に適量の長鎖分岐を導入することができるので好ましい。
また、本発明の共重合体を製造するための重合触媒として、(i)下記一般式(I)または(II)で表される遷移金属化合物と、(ii)(b-1)上記遷移金属化合物(i)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物(イオン化イオン性化合物とも称す)、(b-2)有機アルミニウム化合物、(b-3)アルミノキサンから選ばれる少なくとも1種の化合物とからなるメタロセン触媒を用いることも好ましい。
Figure 2014101415
式(I)、(II)中、Mは、Ti、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuを示し、Cp1およびCp2は、Mとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基であり、X1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子または硫黄原子を含有する配位子であり、Zは、C、O、B、S、Ge、SiもしくはSn原子またはこれらの原子を含有する基である。
上記遷移金属化合物の一般式(I)において、Mは、Ti、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuを示し、好ましくはTi、ZrまたはHfである。Cp1およびCp2は、Mとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基である。さらに詳説すると、Cp1およびCp2は遷移金属に配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、具体的には、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホン酸含有基(−SO3a、但し、Raはアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である)、ハロゲン原子、水素原子などが挙げられる。
Zは、C、O、B、S、Ge、SiもしくはSn、またはこれらの原子を含有する基、例えば炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、−CO−、−SO−、−SO2−、−BR5−(ただしR5は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)などである。
一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体例としては、たとえば、特開平2002-97228号公報の段落〔0050〕および〔0051〕が挙げられる。
上記遷移金属化合物の一般式(II)において、Mは、周期表第4族またはランタニド系列の遷移金属であり、具体的には、Ti、Zr、Hf、Rn、Nd、SmまたはRuであって、好ましくはTi、Zr、Hfである。Cp1は、Mとπ結合しているシクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基またはそれらの誘導体基である。さらに詳説すると、Cp1は、遷移金属に配位する配位子であり、シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基あるいはそれらの誘導体基などのシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
1およびX2は、アニオン性配位子または中性ルイス塩基配位子であり、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子であるか、または20個以下の炭素原子を含有する炭化水素基、20個以下のケイ素原子含有するシリル基もしくは20個以下のゲルマニウム原子を含有するゲルミル基である。Yは、窒素原子、酸素原子、リン原子または硫黄原子を含有する配位子である。
Zは、炭素、酸素、硫黄、硼素または周期表第14族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたはスズ)であり、好ましくは炭素、酸素、ケイ素のいずれかであり、Zはアルキル基、アルコキシ基などの置換基を有していてもよく、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。また、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
一般式(II)で表される遷移金属化合物の具体例としては、たとえば、特開平2002-97228号公報の段落〔0056〕が挙げられる。本発明においては、これらの中でも、(1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−1,2,3,4,7,8,9,10−オクタヒドロジベンズ(b,h)−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドが好ましい。
遷移金属化合物(i)は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記のような遷移金属化合物(i)は、粒子状担体に担持させて用いることもできる。粒子状担体としては、SiO2、Al23、B23、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、ZnO、SnO2、BaO、ThOなどの無機担体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体などの有機担体を用いることができる。これらの粒子状担体は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
また、(ii)(b-1)上記遷移金属化合物(i)中の遷移金属Mと反応してイオン性の錯体を形成する化合物、(b-2)有機アルミニウム化合物、(b-3)アルミノキサンから選ばれる少なくとも1種の化合物の具体的としては、オレフィン重合の分野において従来公知のもの、たとえば、上記に記載の化合物や、国際公開第01/027124号パンフレットに記載された具体例が挙げられる。
本発明において、これらのメタロセン触媒は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、上述の(i)成分および(ii)成分からなるメタロセン触媒の存在下に、プロピレンと、プロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィンと、非共役ポリエンとを、通常液相で共重合させることにより製造することもできる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、プロピレンや1−ブテンなどのα−オレフィンを溶媒として用いてもよい。共重合はバッチ法または連続法のいずれの方法でも行うことができる。
上記のようなメタロセン触媒を用い、バッチ法で実施する場合には、重合系内の遷移金属化合物(i)は、重合容積1リットル当り、通常0.00005〜1ミリモル、好ましくは0.0001〜0.5ミリモルとなるような量で用いられる。
ここで、上記(ii)成分として、イオン化イオン性化合物(b-1)を用いる場合には、イオン化イオン性化合物(b-1)と、遷移金属化合物(i)とのモル比((b-1)/(i))が、通常0.5〜20、好ましくは1〜10となるような量で用いられることが望ましい。また上記(ii)成分として、有機アルミニウム化合物(b-2)を用いる場合には、重合容積1リットル当り、通常約0〜5ミリモル、好ましくは約0〜2ミリモルとなるような量で用いられることが望ましい。
また、上記(ii)成分として、アルミノキサン(b-3)を用いる場合には、有機アルミノキサン(b-3)中のアルミニウム原子(Al)と、遷移金属化合物(i)中の遷移金属原子(M)とのモル比(Al/M)が、通常1〜10000、好ましくは10〜5000となるような量で用いられるのが望ましい。共重合反応は、通常、温度が−20〜150℃、好ましくは0〜120℃、さらに好ましくは0〜100℃の範囲で、圧力が0を超えて80kg/cm2以下、好ましくは0を超えて50kg/cm2以下の範囲の条件下に行なわれる。
また反応時間(重合が連続法で実施される場合には平均滞留時間)は、触媒濃度、重合温度などの条件によっても異なるが、通常5分間〜3時間、好ましくは10分間〜1.5時間である。共重合に際しては、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
本発明では、メタロセン触媒の存在下にて、プロピレンと、プロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィンと、非共役ポリエンとを、最終的に上述した特性を有するように重合させる。重合は懸濁重合、溶液重合などの液相重合法あるいは気相重合法のいずれにおいても実施できる。
このような重合を液相重合法により行う場合には、重合媒体として、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン 、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などの不活性炭化水素溶媒を用いることができ、またプロピレンを溶媒として用いることもできる。
また、このような重合を、懸濁重合法により行う場合には、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度で行われることが望ましく、溶液重合法を実施する際には、通常0〜250℃、好ましくは20〜200℃の温度で行われることが望ましい。また、気相重合法を実施する際には、重合は通常0〜120℃、好ましくは20〜100℃の温度で行われることが望ましい。重合は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2の圧力下で行われる。
重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。このようにして得られる本発明のプロピレン系共重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度、重合圧力を変化させることによって調節することができる。
<熱可塑性樹脂(B)>
熱可塑性樹脂(B)としては、公知の樹脂が挙げられ特に限定されないが、結晶性オレフィン樹脂(BB)が好ましく、ポリプロピレン(B1)がより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルなどが挙げられる。
結晶性オレフィン樹脂(BB)は、本発明に係る共重合体とは異なり、DSCで測定した融点が70℃以上、好ましくは110〜250℃の樹脂である。
結晶性オレフィン樹脂(BB)としては、例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、1−ブテン・α−オレフィンランダム共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン、酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体、アイオノマー、エチレン・ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリエチレンおよびポリブテン-1から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが、プロピレン系重合体との相溶性に優れるため、高グラフト率であり高分子量の極性基含有プロピレン系共重合体組成物を得ることができ、好ましい。
ポリプロピレン(B1)は、プロピレン単独重合体、またはプロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体およびプロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体などの、プロピレンと、炭素数2〜20(プロピレンを除く)のα−オレフィンとのランダム共重合体もしくはブロック共重合体であり、通常、プロピレンから導かれる構成単位および炭素数2〜20(プロピレンを除く)のα−オレフィンから導かれる構成単位の合計100モル%中、プロピレンから導かれる構成単位を50モル%以上の量で含む。また、立体規則性としてはアイソタクティック構造またはシンジオタクティック構造のどちらでも構わない。
また、ポリプロピレン(B1)は、示差走査熱量分析(DSC)で得られる融点が通常110〜170℃の範囲にある。ポリプロピレン(B1)の融点が上記の範囲であると、耐熱性と機械特性のバランスに優れるので好ましい。
ポリプロピレン(B1)の230℃における溶融張力MT(B1)は、通常1〜200(mN)である。
これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの熱可塑性樹脂の製造方法は、特に限定されず、種々の触媒さらに種々公知の製造方法で製造できる。
<その他の成分(添加剤)>
本発明に係るプロピレン系共重合体およびプロピレン系共重合体組成物(以下、該共重合体または該組成物と称することもある)には、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤(安定剤)、塩酸吸収剤、酸化防止剤、二次抗酸化剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。配合量は特に制限されないが、該共重合体または該組成物100重量部に対して、それぞれ通常0.001〜10重量部程度である。
さらに必要に応じて、発泡剤、発泡助剤、分散剤、分散助剤、分散強化剤、核剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、補強剤、充填剤、軟化剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、難燃剤、離型剤、顔料、染料、などのその他の添加剤を配合することができる。
これらの添加剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの添加剤は、例えば、押出機により押出したストランドを切断する等して樹脂粒子を製造する際に、押出機内で溶融した本基材樹脂に添加、混練することによって樹脂粒子中に含有させることができる。
<プロピレン系共重合体組成物の製造方法>
本発明のプロピレン系共重合体組成物は、公知の任意の方法を採用して製造することができ、たとえば、プロピレン系共重合体と、熱可塑性樹脂、および所望により添加される他成分や変性体などを、種々公知の方法、たとえばヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等で溶融混練した後、造粒あるいは粉砕する方法を採用して製造することができる。
なお、本発明のプロピレン系共重合体も同様の方法を適宜採用できる。
[極性基含有プロピレン系共重合体組成物]
本発明の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)は、不飽和結合含有モノマーのグラフトと同時に分子切断による分子量低下が起こりにくく、高グラフト率かつ高分子量であり、未反応の極性基含有化合物が少ないため、引張弾性率、伸びおよび強度などの機械物性のバランスに非常に優れ、特に伸びに優れる。
また、本発明の組成物(Y)は、下記要件(i)および(ii)を満たすことが、組成物中にゴム成分を含み、かつ高グラフト率を有し、優れた機械物性と接着性の双方を有するので好ましい。また、高グラフト化のためには、極性基含有化合物(F)が、下記要件(ii)を満たすことが好ましい。
(i)23℃における組成物(Y)中のn−デカンに可溶な成分(Dsol)に由来する含量が、通常1重量%以上、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。なお、上限値は、本発明の効果を奏する限り限定されないが、たとえば、50重量%以下である。
(ii)23℃におけるn−デカンに不溶な成分(Dinsol)中の極性基含有化合物(F)に由来する含量が、通常、組成物(Y)中の化合物(F)に由来する含量×50%以上、好ましくは、組成物(Y)中の化合物(F)に由来する含量×75%以上、より好ましくは、組成物(Y)中の化合物(F)に由来する含量×90%以上である。
なお、n−デカンに可溶な成分(Dsol)は、主に非晶性の共重合体に由来する成分であり、n−デカンに不溶な成分(Dinsol)は、主に結晶性の共重合体に由来する成分である。
また、本発明の組成物(Y)は、熱可塑性樹脂(B)としてポリプロピレンを含み、前記要件(i)および(ii)を満たし、組成物(Y)中に、〔i〕プロピレンの含有量が75〜99mol%、〔ii〕プロピレンを除く炭素数2〜10のα−オレフィンの含有量が0.999〜24.999mol%、および〔iii〕非共役ポリエン由来の含有量が0.001〜5mol%(ただし、〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計量を100mol%とする)を含み、かつ、極性基含有化合物(F)に由来する成分が、組成物100重量部に対して0.1〜10重量部でグラフト変性されてなる極性基含有プロピレン系重合体組成物であることが、好ましい。
組成物(Y)には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記に記載の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。配合量は特に制限されないが、該組成物100重量部に対して、通常0.001〜10重量部程度である。
また、組成物(Y)は、前記に記載の公知の任意の方法を採用して製造することができる。
本発明によれば、以下のような変性体を得ることも可能である。
〔i〕プロピレンの含有量が75〜99mol%、〔ii〕プロピレンを除く炭素数2〜10のα−オレフィンの含有量が0.999〜24.999mol%、および〔iii〕非共役ポリエン由来の含有量が0.001〜5mol%(ただし、〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計量を100mol%とする)であり、かつ、極性基含有化合物(F)に由来する成分が、組成物100重量部に対して0.1〜10重量部でグラフト変性されてなる極性基含有プロピレン系重合体組成物(Y’)であり、下記(i)および(ii)を満たす組成物(Y’)。
(i)23℃における組成物(Y’)中のn−デカンに可溶な成分(Dsol)に由来する含量が、通常1重量%以上であり、好ましくは4重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。なお、上限値は、本発明の効果を奏する限り限定されないが、たとえば、50重量%以下である。
(ii)23℃におけるn−デカンに不溶な成分(Dinsol)中の極性基含有化合物(F)に由来する含量が、通常、組成物(Y’)中の化合物(F)に由来する含量×50%以上、好ましくは、組成物(Y’)中の化合物(F)に由来する含量×75%以上、より好ましくは、組成物(Y’)中の化合物(F)に由来する含量×90%以上である。
[組成物]
本発明の組成物(Z)は、極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)と極性基含有化合物(F)が付加されていない熱可塑性樹脂(C)を含む。組成物(Z)は、実用上問題ない程度の接着力を有し、引張弾性率、伸びおよび強度などの機械物性のバランスにも優れるため、好ましい。
組成物(Z)は、特に限定されないが、通常、組成物(Y)を1〜99重量部、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは1〜10重量部と、樹脂(C)を99〜1重量部、好ましくは99〜50重量部、より好ましくは99〜75重量部、さらに好ましくは99〜90重量部(但し、(Y)と(C)の合計を100重量部とする)を含んでなる。組成物(Y)が1重量部より少ないと充分な接着性が得られないおそれがあり、組成物(Y)が99重量部より多いと、樹脂(C)を配合することによる機械物性の改善効果が得られない傾向にある。
また、熱可塑性樹脂(C)は、本発明の効果を奏する限り、極性基含有化合物(F)が付加されていなければ、特に限定されない。樹脂(C)としては、公知の樹脂が挙げられ特に限定されず、熱可塑性樹脂(B)と同一であっても、異なっていてもよい。樹脂(C)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、樹脂(C)の製造方法は、特に限定されず、種々の触媒さらに種々公知の製造方法で製造できる。
組成物(Z)には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記に記載の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。配合量は特に制限されないが、該組成物100重量部に対して、通常0.001〜10重量部程度である。
また、組成物(Z)は、前記に記載の公知の任意の方法を採用して製造することができる。
[成形体および用途]
本発明のプロピレン系共重合体組成物(YまたはZ)は、従来公知のポリオレフィン用途に広く用いることができ、架橋成形体、架橋発泡成形体およびグラフト変性体などに好適に利用することができる。成形方法としては押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形及び発泡成形などの公知の成形方法により成形することができる。
用途としては例えばシート、フィルム、パイプ、ホース、電線被膜及びフィラメントなどが挙げられる。また、成形体の一部に本発明の組成物(YまたはZ)を用いて、多層積層体として用いることもできる。多層積層体としては、少なくともその1層が該組成物を含有してなる層である積層体であって、多層フィルム及びシート、多層容器、多層チューブ、水系塗料の一構成成分として含まれる多層塗膜積層体などが挙げられる。
<積層体>
本発明に係るプロピレン系共重合体組成物(YまたはZ)からなる組成物層を2層積層体の一の層として、また、3層積層体の中間層として形成し、これらの積層体の他の層を樹脂層とすることにより、層間接着性に優れた積層体が得られる。
本発明に係る積層体は、2層または3層構造の積層体であって、上記の本発明に係る組成物(YまたはZ)からなる組成物層と、この組成物層の片面または両面上に設けられた樹脂層とから構成されている。
前記樹脂層を形成する樹脂としては、極性基を有するモノマーの単独重合体、または無極性モノマーと有極性モノマーとの共重合体が好ましい。極性基を有するモノマーの単独重合体としては、具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。中でも、ポリビニルアルコール、ナイロン、エポキシ樹脂、ポリウレタンが好ましい。
また、無極性モノマーと有極性モノマーとの共重合体としては、具体的には、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などが挙げられる。中でも、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物が好ましい。
上記のような樹脂中に、必要に応じて、通常ポリオレフィンに用いられるフェノール系抗酸化剤、リン系抗酸化剤、イオウ系抗酸化剤、および金属化合物、高級脂肪酸の金属塩などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させることができる。
<積層体の調製方法>
本発明に係る組成物(YまたはZ)からなる組成物層と、極性基を有するモノマーの単独重合体または無極性モノマーと有極性モノマーとの共重合体からなる樹脂層との積層方法は、最終製品の形状、大きさ、要求物性により異なり、特に限定されないが、たとえば以下のような積層方法が挙げられる。
(1)予め成形された組成物層および樹脂層の少なくとも一方の層が溶融する温度以上の温度でカレンダーロール成形機、圧縮成形機などを用いて両層を熱融着する方法。
(2)予めどちらか一方がシート成形された組成物層あるいは樹脂層を押出成形、カレンダー成形をしている他方の層に熱融着する方法。
(3)多層押出成形機で組成物層と樹脂層とを同時に押出成形して熱融着する方法(共押出成形)。
これらの中では、上記(3)の共押出成形が好ましい。なお、本発明においては、溶融した変性ポリプロピレン組成物と溶融樹脂を、射出のタイミングをずらして金型内に射出する成形法(2層射出成形法)により組成物層と樹脂層とからなる積層体を得ることもできる。
さらには、2層射出成形法の場合と同様に、溶融した変性ポリプロピレン組成物と溶融樹脂を射出のタイミングをずらして金型内に射出する、いわゆるサンドイッチ射出成形法により樹脂層、組成物層、樹脂層という順に構成された3層積層体を得ることができる。
本発明に係る積層体が組成物層と樹脂層の2層からなる場合、積層体の用途により異なるが、組成物層の厚さは2〜1000μm、また、樹脂層の厚さは2〜1000μmであることが、一般的に好ましい。
また、本発明に係る積層体が樹脂層と組成物層と樹脂層の3層からなる場合、積層体の用途により異なるが、組成物層の厚さは2〜1000μm、また、樹脂層の厚さは2〜1000μmであることが、一般的に好ましい。
本発明に係る組成物(YまたはZ)は、加熱処理が行われる包装材料・被覆材料、もしくは、壁紙等の装飾材料、または、繰り返し加熱・冷却を受ける環境下で使用される包装材料・被覆材料、もしくは壁紙等の装飾材料などの用途に用いられる積層体に好適に用いることができる。
実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。
〔実施例の各種測定条件〕
〔コモノマー組成〕
プロピレン系共重合体中のプロピレン、α−オレフィン、非共役ポリエンの含量は、13C−NMRおよび1H−NMRにより以下の装置および条件にて実施した。
プロピレン、α−オレフィン含量の定量化は日本電子(株)製JECX400P型核磁気共鳴装置を用いて、溶媒としてオルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒、試料濃度60mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は13C(100MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は4.62μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は5.5秒、積算回数は8000回、29.73ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。
また、1H−NMRにより末端および内部の二重結合量を測定した。測定装置には日本電子(株)製ECX400P型核磁気共鳴装置を用い、溶媒としてオルトジクロロベンゼン、試料濃度20mg/0.6mL、測定温度120℃、観測核は1H(400MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンデカップリング、パルス幅は6.00μ秒(45°パルス)、繰り返し時間は7.0秒、積算回数は512回以上、7.1ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。
〔非共役ポリエンに由来する見かけのヨウ素価〕
プロピレン系共重合体の非共役ポリエンに由来する見かけのヨウ素価は、1H−NMRスペクトルメーター、13C−NMRスペクトルメーターによる強度測定および下記式によって求めた。
上記方法により、13C−NMRを用いて、プロピレン、α−オレフィン、非共役ポリエンの各構造単位の重量%を決定した。なお、各構成単位の重量%は、13C−NMRにより求めた、各構成単位のモル%から換算した。該換算においては、エチレンの分子量を28.05、プロピレンの分子量を42.08、ENBおよびVNBの分子量をそれぞれ120.2として計算した。
次いで1H−NMRスペクトルメーターより、ENBに由来するピークの積分値とVNBのビニル基に由来するピークの積分値を以下のように求めた。
(1)〔ENBに由来するピークの積分値〕;(a)、{(4.7〜5.3ppm付近の複数ピークの合計)−2×(c)}
なお、4.7〜5.3ppm付近の複数ピークには(a)ピークと(b)ピークが合わせて検出されるため、上記式より(a)を算出する。
(2)〔VNBのビニル基に由来するピークの積分値〕;(c)、5.5〜6.0ppm付近ピークの合計
なお、上記式(1)、(2)中、(a)、(b)および(c)は、それぞれ下記式(X)、(Y)中の(a)、(b)および(c)を示す。
Figure 2014101415
得られた積分値を用いてVNB(非共役ポリエン)(分子量120.2)に由来するみかけのヨウ素価を以下の式より算出した。なお、ヨウ素の分子量は253.81である。
VNB(非共役ポリエン)に由来するみかけのヨウ素価=〔VNB(非共役ポリエン)のビニル基に由来するピークの積分値〕/〔ENBに由来するピークの積分値〕×〔13C−NMRスペクトルメーターより求めたENBの重量%〕×253.81/120.2
〔極限粘度[η](dL/g)〕
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。具体的には、重合パウダー、ペレットまたは樹脂塊約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〔分子量分布(Mz/Mw)および(Mw/Mn)〕
分子量分布は、カラムとして東ソー株式会社製TSKgelGMH6−HT×2本およびTSKgelGMH6−HTL×2本(カラムサイズはいずれも直径7.5mm、長さ300mm)を直列接続した、液体クロマトグラフ(Waters製Alliance/GPC2000型)を用いて、測定した。得られたクロマトグラムはWaters製データ処理ソフトEmpower2を用いて、公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、Mz/MwおよびMw/Mnを算出した。
〔MFR(g/10分)〕
共重合体のMFRは、JIS K−6721に準拠して、230℃で2.16kgの荷重および230℃で10kgの荷重にて測定した。測定結果より、比(MFR10/MFR2.16)を算出した。
組成物のMFRは、JIS K−6721に準拠して、190℃で2.16kgの荷重および230℃で2.16kgの荷重にて測定した。
〔線形粘弾性測定〕
厚さ2mmのプレスシートを25mmφのディスク状に打ち抜きサンプルとした。測定はANTONPaar社製MCR301(レオメーター)、冶具は25mmφのパラレルプレートを用いた。
測定結果より、周波数(ω=0.1rad/s)の複素粘度η*(ω=0.1)と、周波数(ω=100rad/s)の複素粘度η*(ω=100)との比(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))を算出した。
〔融点(Tm)〕
示差走査熱量計(装置:DSC220C、セイコーインスツルメンツ社製)により、発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度をTmとした。測定は、試料の約5mgを測定用アルミパンに詰め、(i)100℃/分で200℃まで昇温して、200℃で5分間保持したのち、(ii)10℃/分で−150℃まで降温し、次いで(iii)10℃/分で200℃まで昇温し、得られた吸熱曲線を解析して求めた。
〔残留マレイン酸(ppm)〕
試料をキシレンと水混合溶媒で加熱溶解させた。冷却後メタノールを加えて抽出溶液中のポリマーを析出させ、桐山ロート(40mm No.5A)を用いて樹脂部と溶液部を分別ろ過した。ろ液部を加熱濃縮し、液体クロマトグラフ(日本分光製液体クロマトグラフ)で水溶液中のマレイン酸を定量した。
(日本分光製液体クロマトグラフ)
・ポンプ:PU−2080plus
・検出器:UV−2045plus
・カラム恒温槽:CO−2065plus
・デガッサー:DG−2085−53
・カラム:Shim−pack WAX−1(4.6mmφ×50mm)
〔無水マレイン酸含有率(%)およびグラフト率(%)〕
サンプルを210℃卓上プレス機で閉環処理した後、赤外分光光度計(日本分光製:FT/IR−610)を用いて1790cm-1付近にある無水カルボン酸由来ピークの吸光度を求め、予め作成してある検量線よりサンプル中の無水マレイン酸濃度を算出した。この値を全無水マレイン酸含有率(%)とした。次にサンプルをスチレンに溶解させ、アセトンにて抽出後、80℃で6時間真空乾燥させた。このサンプルの無水マレイン酸量を上記と同様の方法で算出し、この値を樹脂にグラフトした無水マレイン酸含有率(%)とした。グラフト無水マレイン酸含有率を全無水マレイン酸含有率で除した値をグラフト率(%)とした。
〔引張試験〕
JIS K7161に従って、島津製作所(株)社製万能材料試験機AG-Xを用いて、試験片温度23℃、試験速度30mm/分の条件にて、ダンベル型サンプルの引張弾性率(MPa)、伸び(%)および強度(MPa)を測定した。
〔5層積層シートの製造〕
以下に示した構成からなる各層を、下記の条件で共押出して、3種5層積層体を成形した。
(最外層および最内層)
ポリプロピレン(MFR(2.16kg、230℃=2.5g/10分)を、直径40mm、有効長さ1000mmのスクリューを用いて230℃で押出した。
(接着層)
ペレットサンプル(組成物Z−1またはz−2)を直径30mm、有効長さ750mmのスクリューを用いて230℃で押出した。
(中間層)
エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH、(MFR(2.16kg、190℃=1.6g/10分))を直径40mm、有効長さ1000mmのスクリューを用いて230℃で押出した。
(積層体成形条件)
最外内層、接着層、及び中間層用として押し出された樹脂は、フィードブロック内で最内層、接着層、中間層、接着層、最外層の順に積層される。ダイス温度は230℃であり、厚さ約850μmのシート状に共押出された各樹脂の積層体は、チルロールで冷却を受けつつ、1m/分の速さで引き取られる。各層の厚さは最外層/接着層/中間層/接着層/内層=350/50/50/50/350(μm)とした。
〔接着力(剥離強度:N/15mm)〕
JIS K6854−3に従って、剥離試験機(島津製作所社製、AGS−500B)を用いて、試験片:フィルム、試験片幅:15mm、剥離速度300mm/minにて、剥離試験を行った。接着性の評価は、接着層と中間層の間を評価した。
〔n−デカン分別〕
極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Yまたはy)をn−デカン溶媒で1時間加熱溶解した後、室温まで放冷した。スクリーンを通して不溶部と可溶部を分離し、不溶部の無水マレイン酸含有率(%)を上記の方法により測定した。
〔実施例1〕(A−1)
充分に窒素置換した容量1500mlの攪拌翼付SUS製重合装置に、23℃で750mlの乾燥ヘキサン、5−ビニル−2−ノルボルネン10ml、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)の0.75mmolを常温で仕込んだ後、重合装置内温を80℃に昇温し、水素200mlを挿入し、プロピレンで系内圧力を0.5MPaに加圧した後に、エチレンで、系内圧力を0.55MPaに調整した。
次いで、ジ(p-クロロフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル) (オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド 0.0005mmolと0.0025mmolのトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを重合器内に添加し、内温80℃、系内圧力を0.55MPaを保ちながら10分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、4Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたプロピレン系共重合体(A-1)は、21.6gであった。また、該ポリマーの物性を表1に示す。
Figure 2014101415
〔実施例2〕(Y−1)
プロピレン系共重合体(A-1)5重量部と、ポリプロピレン(融点160℃)(B-1)95重量部の合計100重量部に、耐熱安定剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を0.1重量部、無水マレイン酸1.2重量部、架橋剤(ラジカル開始剤)としてパーヘキサ25Bを0.4重量部配合した。しかる後に株式会社プラスチック工学研究所社製2軸押出機BT−30(スクリュー径30mmφ、L/D=46)を用い、設定温度200℃、樹脂押出量65g/minおよび200rpmの条件で溶融混練後、ペレットを得た。このペレットサンプルの残留マレイン酸量、無水マレイン酸含有量、グラフト率、n−デカン不溶部中の無水マレイン酸含有量、[η]、MFRおよび機械物性の測定結果を表2に示す。
〔実施例3〕(Y−2)
プロピレン系共重合体(A-1)10重量部と、ポリプロピレン(B-1)90重量部の合計100重量部とした以外は、実施例2と同様にして、ペレットを得た。このペレットサンプルの物性評価結果を表2に示す。
〔実施例4〕(Y−3)
プロピレン系共重合体(A-1)20重量部と、ポリプロピレン(B-1)80重量部の合計100重量部とした以外は、実施例2と同様にして、ペレットを得た。このペレットサンプルの物性評価結果を表2に示す。
〔実施例5〕(Y−4)
プロピレン系共重合体(A-1)40重量部と、ポリプロピレン(B-1)60重量部の合計100重量部とした以外は、実施例2と同様にして、ペレットを得た。このペレットサンプルの物性評価結果を表2に示す。
〔比較例1〕(y−5)
プロピレン系共重合体(B-1)100重量部を用いて、実施例2と同様にして、ペレットを得た。このペレットサンプルの物性評価結果を表2に示す。
Figure 2014101415
〔実施例6〕(Z−1)
実施例2で得られたペレットサンプル(Y−1)を用いて、PP(C−1、MFR:2.16kg、230℃=7.3g/10分)/PP(C−2、MFR:2.16kg、230℃=0.5g/10分)/LLDPE(C−3、MFR:2.16kg、190℃=3.8g/10分、密度=903kg/m3)/LLDPE(C−4、MFR 2.16kg、190℃=2.0g/10分、密度=918kg/m3)/(Y−1)=37.5/35/10/10/7.5(重量部)の合計100重量部に、耐熱安定剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.1重量部を配合し、混練して、組成物(Z−1)を製造した。このペレットサンプルの残留マレイン酸量(ppm)、MFR(230℃、2.16kg)の評価結果を表3に示す。
また、上記に従い、3種5層積層体を作製し、接着性を評価した。評価結果を表3に示す。
〔比較例2〕(z−2)
比較例1で得られたペレットサンプル(y−5)を用いて、実施例6と同様にしてペレット(組成物z−2)を作製した。このペレットサンプルの残留マレイン酸量およびMFRの評価結果を表3に示す。また、実施例6と同様に剥離試験を行った。接着性を表3に示す。
Figure 2014101415

Claims (10)

  1. プロピレン系共重合体組成物(X)に、極性基含有化合物(F)を付加する方法であり、
    該共重合体組成物(X)が、プロピレン系共重合体(A)1〜50重量部と、熱可塑性樹脂(B)99〜50重量部(ただし、(A)と(B)との合計を100重量部とする)を含み、
    該プロピレン系共重合体(A)が、プロピレンから導かれる構成単位〔i〕50〜95mol%と、プロピレンを除く炭素原子数2〜10のα−オレフィンから導かれる構成単位〔ii〕4.9〜49.9mol%と、非共役ポリエンから導かれる構成単位〔iii〕0.1〜10mol%を含み(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100mol%とする)、かつ、下記要件(a)および(c)を満たすことを特徴とする方法。
    (a)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が、0.1〜5.0(dL/g)、
    (c)JIS K−6721に準拠して、230℃、10kg荷重にて得られたMFR10と、JIS K−6721に準拠して、230℃、2.16kg荷重にて得られたMFR2.16との比(MFR10/MFR2.16)が、8.0〜150.0。
  2. 前記プロピレン系共重合体(A)が、下記要件(b)および(d)をさらに満たすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
    (b)ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により測定したz‐平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との割合(Mz/Mw)が、3.0〜20.0、
    (d)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数(ω=0.1rad/s)の複素粘度η*(ω=0.1)と、周波数(ω=100rad/s)の複素粘度η*(ω=100)との比(η*(ω=0.1)/η*(ω=100))が、5〜100。
  3. 前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリエチレンおよびポリブテン−1から選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記プロピレン系共重合体組成物(X)が、プロピレン系共重合体(A)1〜50重量部と、熱可塑性樹脂(B)としてポリプロピレン(B1)99〜50重量部(ただし、(A)と(B)との合計を100重量部とする)を含むプロピレン系共重合体組成物(X1)であり、
    該プロピレン系共重合体(A)が、前記要件(a)〜(d)を満たし、かつ、プロピレンから導かれる構成単位50〜95mol%と、エチレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセンおよび1−オクテンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンから導かれる構成単位4.9〜49.9mol%と、5−ビニル−2−ノルボルネンから導かれる構成単位0.1〜10mol%を含む(但し、構成単位〔i〕、〔ii〕および〔iii〕の合計を100mol%とする)プロピレン系共重合体(A1)である
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
  5. 前記付加が、前記プロピレン系共重合体組成物(X)100重量部に対して、前記極性基含有化合物(F)として不飽和カルボン酸および/またはその誘導体0.1〜10重量部を用いて、加熱および/または電子線照射をすることで行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 請求項1〜5に記載の方法を用いて得られた、極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)。
  7. 前記極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)において、
    (i)23℃における組成物(Y)中のn−デカンに可溶な成分(Dsol)に由来する含量が、2重量%以上であり、
    (ii)23℃におけるn−デカンに不溶な成分(Dinsol)中の極性基含有化合物(F)に由来する含量が、組成物(Y)中の化合物(F)に由来する含量×50%以上である
    ことを特徴とする請求項6に記載の組成物(Y)。
  8. 請求項6または7に記載の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)と、極性基含有化合物(F)が付加されていない熱可塑性樹脂(C)を含むことを特徴とする組成物(Z)。
  9. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法を含む、極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)の製造方法。
  10. 請求項6または7に記載の極性基含有プロピレン系共重合体組成物(Y)に、極性基含有化合物(F)が付加されていない熱可塑性樹脂(C)を含む工程を含む、組成物(Z)の製造方法。
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