JP2013248681A - 多関節ロボットの弾性変形補償制御装置および制御方法 - Google Patents

多関節ロボットの弾性変形補償制御装置および制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットにおいて、各軸の弾性変形の影響を補償して高い軌跡精度でウィービング動作させる。
【解決手段】弾性変形補償制御装置10は、関節角度指令値計算部100、軸力トルク計算部200、第1の動特性演算部300、第2の動特性演算部400、フィードバック制御部500およびモータ角度指令値計算部600で構成される。第1の動特性演算部300は、モータ角度指令値計算部600から出力されたモータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して処理後のモータ角度目標値θmdを出力する。第2の動特性演算部400は、第1の動特性演算部300よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、軸力トルク計算部200からの出力をフィルタリング処理して、処理後の軸力トルク補償値fdを出力する。
【選択図】図2

Description

本発明は、たとえば、アーク溶接に用いられる多関節ロボットの制御に関し、特に、高い軌跡精度でウィービング動作を可能とする多関節ロボットの軌跡制御に関する。
アーク溶接により複数の母材の溶接を行う際には、溶接電極を溶接方向に進ませつつ、溶接線の左右方向に正弦波ウィービング動作をさせながら溶接するウィービング溶接が採用される。このウィービング溶接は、従来から、溶接トーチ自体を左右に揺動させるか、または溶接トーチ自体を中心として左右に傾動させることにより行っている。このようなウィービング溶接を多関節ロボットに行わせる場合、高い軌跡精度が要求される。
このような多関節ロボットにおいては、各軸単位でサーボ制御されているが、固有振動数が低いため、振動抑制の観点から、速度フィードフォワードなどはほとんど適用されず、目標値に対して実際のフィードバック値の位相遅れは大きく、サーボ制御部の速度制御部の応答特性が軸毎に異なり、軌跡誤差に繋がっていた。また、このような多関節ロボットの各軸を動作させるモータは、減速器を介してアームに結合されている。この減速器の剛性不足などに起因する弾性変形を補正する場合、モータが指令値どおりに動作することが前提となっているが、フィードフォワードなど十分機能していないため、モータが指令値どおりに動作することはほぼ不可能であり、弾性変形補償は十分に機能していなかった。このような多関節ロボットの弾性変形補償制御について、以下のような技術が公知である。
特開昭61−201304号公報(特許文献1)は、減速器等の関節郡の機械的な剛性が低い場合でも、位置指令値に対してロボットアームを高精度に位置制御する方法を開示する。この位置制御方法は、ロボットを構成する各アームの位置指令値と、それを1階微分して得た速度と、2階微分して得た加速度とを、各アーム間の関節の機械的剛性を考慮したロボットアームの運動方程式に代入することにより各関節に加わるトルクを算出し、求めたトルクを定数あるいは関数あるいは制御装置内のテーブルとして与えられた各関節の機械的ばね剛性で除することによって各関節の機械的剛性に因るたわみ角を求め、求めたたわみ角を各関節のたわみを打ち消すように位置指令値と和して新たな位置指令値とすることを特徴とする。
また、特開2005−186235号公報(特許文献2)は、互いに干渉する複数軸で構成されるロボットを、干渉力が作用しても各軸が指令どおり動作するロボットの制御装置を開示する。この制御装置は、互いに干渉する複数軸から構成されるロボットであって、モータと、モータに減速機等を介して結合されたアームと、モータの位置を検出するモータ位置検出器とから構成された各軸を、各軸毎の指令通りに動作させるための位置制御部および速度制御部を備えたロボットの制御装置であって、自軸の指令から他軸に作用する干渉力を計算で求める干渉力計算部と、他軸から作用する干渉力がある場合も自軸が指令どおり動作するようなモータトルク指令信号を、自軸の指令と他軸から作用する干渉力の計算値から求める非干渉トルク信号作成部と、他軸から作用する干渉力がある場合も自軸が指令どおり動作するようなモータ位置信号を、自軸の指令と他軸から作用する干渉力の計算値から求める非干渉位置信号作成部とを備えたことを特徴とする。
特開昭61−201304号公報 特開2005−186235号公報
上述した特許文献1では、減速器等の剛性不足から生じる撓み(弾性変形)を関節角目標値等から算出し,その弾性変形を補償するようにモータへの角度指令値に弾性変形量を加算することによって位置精度の改善を図っている。しかしながら、上述のように良好な
フィードフォワード制御などが行われていないのでモータは指令値どおりに動作せず、弾性変形補償は十分に機能していない。
また、特許文献2では、各軸間の干渉を含めた弾性変形補償補償について記載されている。しかしながら、アーム加速度の1階微分値、2階微分値が必要であり、非常にノイズに弱く、また少し急峻な動作をさせただけで、アーム加速度の2階微分値は天文学的な値を示すなど、実現する上で非常に制約が大きい。
すなわち、従来技術では、以下のような問題を解決できていない。
(1)ロボットの固有振動が低い状態で、弾性変形補償および軸力トルク補償を有効に作用させることができないため、弾性変形の影響を補償できず、精度劣化につながっている。
(2)サーボ制御部の位相遅れがある状態において、弾性変形補償制御を有効に作用せせることができないため、弾性変形の影響を補償できず、精度劣化につながっている。
(3)軸毎にサーボ制御特性が異なるため、各軸の応答に差が発生し、軌跡精度の劣化につながっている。
(4)指令値の計算周期がサーボ制御部における計算周期よりも遅い場合に発生する位相差により軌跡精度の劣化につながっている。
(5)溶接ロボットのウィービング動作では、ウィービング周期での位相遅れおよびゲイン特性を各軸そろえることが非常に重要であるが、減速器による弾性変形によるサーボ特性変化や軸毎での特性の差異によって、位相・ゲイン特性を高周波ウィービング動作でそろえることが非常に困難である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、複数軸を備えた多関節ロボットにおいて、各軸の弾性変形の影響を補償して高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる、多関節ロボットの弾性変形補償制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る多関節ロボットの弾性変形補償制御装置は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明に係る多関節ロボットの弾性変形補償制御装置は、多関節ロボットの関節軸を駆動するモータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットに取り付けられたツールに所望の動作を行わせるように複数の関節軸を駆動させる。この弾性変形補償制御装置は、所望のツール動作を実現するための各関節軸の関節角度指令値θlcを算出して出力する関節角度指令値計算部と、前記関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する軸力トルク計算部と、関節軸の剛性パラメータを含むパラメータに基づいて、関節角度指令値θlcと軸力トルクfcとからモータ角度指令値θmcを算出して出力するモータ角度指令値計算部と、ロボットの固有振動周波数よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記モータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して、処理後のモータ角度目標値θmdを出力する第1の動特性演算部と、前記モータ角度目標値θmdが前記モータに対する目標値として入力されるモータ角度制御部と、前記第1の動特性演算部よりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記軸力トルク計算部への入力および前記軸力トルク計算部からの出力の少なくともいずれかをフィルタリング処理して、処理後の軸力トルク補償値fdを出力する第2の動特性演算部と、前記モータ角度制御部から出力されるモータトルク指令値に、前記軸力トルク補償値fdが加算された値が目標値として入力されるモータ電流制御部と、を含んで構成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記モータ角度制御部の応答が遅い軸の第1の動特性演算部の位相遅れを、前記モータ角度制御部の応答が速い軸の第1の動特性演算部の位相遅れよりも短く与えるように構成することができる。
さらに好ましくは、各軸間の軸力がない状態でのモータ角度目標値θmcから実際のモータ角度θmまでのフィードバック制御動特性を、位置フィードバックゲインおよび速度
フィードバックゲインの少なくともいずれかを含むパラメータに基づいて算出するように構成され、前記第2の動特性演算部におけるカットオフ周波数を前記第1の動特性演算部におけるカットオフ周波数よりも低くするとともに、前記第2の動特性演算部における特性を前記フィードバック制御動特性で除した特性に対応するように、前記第1の動特性演算部の特性を与えるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記モータ電流制御部の電流制御特性を考慮する場合、前記第2の動特性演算部における特性を前記フィードバック制御動特性で除すとともに、電流制御特性を乗じた特性に対応するように、前記第1の動特性演算部の特性を与えるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記モータ角度指令値計算部における計算周期が、前記モータ角度制御部における制御周期よりも遅い場合、前記モータ角度指令値計算部において、軸力トルク計算値または弾性変形量計算値と関節角度指令値との位相差を合わせ、位相補正後の軸力トルク計算値または弾性変形量計算値と位相補正後の関節角度指令値とから、モータ角度指令値を算出するように構成することができる。
また、本発明の別の形態に係る多関節ロボットの弾性変形補償制御方法は、所望のツール動作を実現するための各関節軸の関節角度指令値θlcを算出して出力する関節角度指令値計算ステップと、前記関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する軸力トルク計算ステップと、関節軸の剛性パラメータを含むパラメータに基づいて、関節角度指令値θlcと軸力トルクfcとからモータ角度指令値θmcを算出して出力するモータ角度指令値計算ステップと、ロボットの固有振動周波数よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記モータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して、処理後のモータ角度目標値θmdを出力する第1の動特性演算ステップと、前記モータ角度目標値θmdが前記モータに対する目標値として入力されるモータ角度制御ステップと、前記第1の動特性演算ステップよりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記軸力トルク計算ステップへの入力および前記軸力トルク計算ステップからの出力の少なくともいずれかをフィルタリング処理して、処理後の軸力トルク補償値fdを出力する第2の動特性演算ステップと、前記モータ角度制御ステップから出力されるモータトルク指令値に、前記軸力トルク補償値fdが加算された値が目標値として入力されるモータ電流制御ステップと、を含んで構成されていることを特徴とする。
本発明に係る弾性変形補償制御装置または制御方法を用いることにより、複数軸を備えた多関節ロボットにおいて、各軸の弾性変形の影響を補償して高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
本発明の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置が適用される多関節ロボットの全体構成を示す概略図である。 本発明の第1の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置の制御ブロック図である。 図2に示す制御ブロック図により制御された多関節ロボットのウィービング軌跡を示す図である。 従来技術(その1)に係る弾性変形補償制御装置の制御ブロック図である。 図4に示す制御ブロック図により制御された多関節ロボットのウィービング軌跡を示す図である。 従来技術(その2)に係る弾性変形補償制御装置の制御ブロック図である。 図6に示す制御ブロック図により制御された多関節ロボットのウィービング軌跡を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置(図2の動特性とは異なる特性)により制御された多関節ロボットのウィービング軌跡を示す図である。 本発明の第2の実施の形態の変形例に係る弾性変形補償制御装置に係る制御ブロック図である。 本発明の第3の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置(図2の動特性とは異なる特性)により制御された多関節ロボットのウィービング軌跡を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置(動特性を軸毎に変更)により制御された多関節ロボットのウィービング軌跡を示す図である。 本発明の第5の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置の制御ブロック図である。 本発明の第5の実施の形態の変形例に係る弾性変形補償制御装置の制御ブロック図である。 本発明の第6の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置の制御ブロック図(その1)である。 本発明の第6の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置の制御ブロック図(その2)である。
以下、本発明の実施の形態に係る多関節ロボットの弾性変形補償制御装置および制御方法を、図面に基づき詳しく説明する。なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、以下においては、制御対象として溶接トーチを傾動動作(ウィービング動作)させる多関節ロボットを説明するがこれは一例に過ぎない。本発明に係る弾性変形補償制御装置は、多関節ロボットの関節軸を駆動するモータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットに取り付けられたツールに所望の動作を行わせるように複数の関節軸を駆動させるための制御に広く適用が可能である。
<第1の実施の形態>
[全体構成]
まず、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置が適用される垂直多関節ロボット(以下、単に多関節ロボットと記載する場合がある)の概要について説明する。
図1は、溶接トーチを傾動動作(ウィービング動作)させるロボットの一例であって、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置が適用される多関節ロボット1の概要を示す図である。この多関節ロボット1は、垂直多関節型であってJ1〜J6の6関節を備え、J6軸の先端に溶接トーチが設けられ、溶接トーチから送りだされる溶接ワイヤによりアーク溶接が行われる。この多関節ロボット1は、予め定められた溶接開始点と溶接終了点との間が溶接作業区間であって、溶接開始点と溶接終了点とを結ぶ溶接線方向に移動しつつ、溶接ワイヤを予め定められた振幅および周波数で傾動する動作(ウィービング動作)を行うようにセットされている。
このような多関節ロボット1は、図示した多関節ロボット1の本体に加えて、教示ペンダントを備え各軸をサーボ制御する制御装置(サーボ制御部)と、上位コンピュータ(上位CPU)とを含む。これらの制御装置および上位コンピュータにより、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置が実現されている。
制御装置(サーボ制御部)は、多関節ロボット1に設けられた溶接トーチを、予め教示したプログラムに従って、上述した溶接線に倣ってウィービング動作して移動するように制御する。教示プログラムは、制御装置に接続された教示ペンダントを使用して作成する場合や、上位コンピュータを利用したオフライン教示システムを使用して作成する場合がある。いずれの場合であっても、教示プログラムは、実際の動作の前に予め作成される。上位コンピュータでは、溶接パスが生成されたり、それに基づくウィービング動作指令が生成されたりする。
[制御ブロック]
図2に、図1の多関節ロボット1を制御する弾性変形補償制御装置10の制御ブロック図を示す。上述したように、この弾性変形補償制御装置10は、上位CPUで実現される部分とサーボ制御部で実現される部分とを含んで構成されている。
図2に示すように、この弾性変形補償制御装置10は、多関節ロボット1に取り付けら
れたツール(ここでは溶接トーチ)に所望の動作(ここではウィービング動作)を行わせるように複数の関節軸を駆動させる。
この弾性変形補償制御装置10は、上位CPUで実現される、関節角度指令値計算部100、軸力トルク計算部(「軸力FF」として図示)200およびモータ角度指令値計算部(「弾性変形補償」として図示)600と、サーボ制御部で実現される、第1の動特性演算部(「動特性(1)」として図示)300、第2の動特性演算部(「動特性(2)」として図示)400およびフィードバック制御部(「サーボ制御FB特性」として図示)500とで構成される。フィードバック制御部500は、モータ角度制御部510およびモータ電流制御部(「電流制御」として図示)520を含んで構成されている。なお、以下において、制御ブロックにおける要素の特性は(動特性との記載がなくても)全て動特性である。また、FBの記載はフィードバックを意味し、FFの記載はフィードフォワードを意味する。
関節角度指令値計算部100は、溶接トーチのウィービング動作を実現するための各関節軸の関節角度指令値θlcを算出して出力する。
軸力トルク計算部200は、関節角度指令値計算部100から出力された関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する。
モータ角度指令値計算部600は、関節軸の剛性パラメータを含むパラメータに基づいて、関節角度指令値θlcと軸力トルクfcとからモータ角度指令値θmcを算出して出力する。
より詳しくは、軸力トルク計算部200が、関節角度指令値θlcに基づいて指令値どおりに動作した際に各軸に作用する軸力トルクfcを算出し、モータ角度指令値計算部600が、軸力トルクfcから軸剛性Kや粘性Bなどに基づいて(粘性は小さいため省略可能)弾性変形量ecを算出し、関節角度指令値θlcと弾性変形量ecとからモータ角度指令値θmcを算出する。
第1の動特性演算部300は、モータ角度指令値計算部600から出力されたモータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して処理後のモータ角度目標値θmdを出力する。この第1の動特性演算部300は、多関節ロボット1の固有振動周波数よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備える。
第2の動特性演算部400は、軸力トルク計算部200への入力および軸力トルク計算部200からの出力の少なくともいずれかをフィルタリング処理して、処理後の軸力トルク補償値fdを出力する。なお、図2において、第2の動特性演算部400は、軸力トルク計算部200からの出力をフィルタリング処理している。この第2の動特性演算部400は、第1の動特性演算部300よりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備える。
モータ角度制御部510には、モータ角度目標値θmdがモータに対する目標値として入力される。
モータ電流制御部520には、モータ角度制御部510から出力されるモータトルク指令値に、第2の動特性演算部400から出力された軸力トルク補償値fdが加算された値が目標値として入力される。
図2に示すブロック図で示される弾性変形補償制御装置10は、以下のような特徴を備える。
非線形項である軸力トルク計算部200の前および/または後(ここでは後のみ)に第2の動特性演算部400を配置し、この第2の動特性演算部400を第1の動特性演算部300の高周波遮断特性以上の高周波帯域を遮断する特性を与えている(第2の動特性演算部400のカットオフ周波数は、第1の動特性演算部300のカットオフ周波数よりも低いか同等)。
このように構成することにより、第1の動特性演算部300により、関節角度指令値θlcに含まれる固有振動成分を含む高周波を抑制することができることに加えて、第2の動特性演算部400により、軸力トルクfcに含まれる固有振動成分を含む高周波を抑制
することができる。これにより、多関節ロボット1に発生する高周波振動を抑制することができる。
また、多関節ロボット1では、XYZ空間で低周波動作をさせても特異点近傍などのヤコビアンが急峻に変化するところでは、関節角度に変化すると2倍や3倍成分の高周波が発生する。さらに、関節角度空間にて低周波動作をさせても、非線形項は速度の2乗項などを有しているため、関節角度の2倍や3倍成分の高周波が発生する。このため、非線形項である軸力トルク計算部200からの出力である軸力トルクfcを、第1の動特性演算部300の高周波遮断特性以上の高周波遮断特性を備えた第2の動特性演算部400で処理して軸力トルク補償値fdとすることにより、多関節ロボット1に発生する高周波振動をさらに抑制している。
[制御特性(ウィービング軌跡)]
以上のような構成を備えた弾性変形補償制御装置10を用いて多関節ロボット1を制御した場合の制御特性(ウィービング軌跡)について説明する。
図3に、第2の動特性演算部400の高周波遮断特性として、第1の動特性演算部300と同等の高周波遮断特性を与えた場合のウィービング軌跡を示す。
これを評価するにあたり、まず従来技術(制御ブロック図およびウィービング軌跡)について説明する。
図4に、最も一般的な多関節ロボットの制御ブロック図を示す。図4に示すように、この制御ブロックは、位置制御部と速度制御部と電流制御部とから構成され、位置制御部は関節角度をフィードバック制御し、角度偏差を比例制御(P制御)し、速度指令として速度制御部に指令する。速度制御部は関節角速度をフィードバック制御し、与えられた速度指令との偏差を比例積分制御(PI制御)し、電流制御指令として電流制御に指令する。電流制御は与えられた電流制御指令に基づきモータ電流を制御する。
なお、多関節ロボットはメカの固有振動数が低く、目標値に固有振動を励起する成分が含まれないように、図4に示す第1の動特性演算部(動特性1)などでのフィルタ処理にて、それらの成分を抑制している。
ただし、多関節ロボットでは各軸間で干渉トルクが、重力項などを含めて非線形項として各リンクに作用し、リンクとモータとがバネ要素として作用する減速器を介して結合されており、軸力がリンクとモータとに作用・反作用として作用する。この軸力および弾性変形の影響は甚大である。特に溶接ロボットのウィービング動作では、上下にぶれることなく(上下方向の動きを発生させることなく)所望方向に所望の振幅で溶接トーチを揺動させることが必要であるために、非常に高精度な動的制御が必要とされる。
図5には、図4の制御ブロックで示される制御装置で多関節ロボットを制御した場合のウィービング軌跡を示す。この図5に示すように、非線形項、軸力および弾性変形が作用すると上下方向の動きが発生してしまい、ウィービング動作として全くふさわしくない。これを抑制するためには、目標値ベースで軸力を算出し、フィードフォワード補償することが考えられる。
図6には、このような考えに基づく、目標値ベースの従来技術に係る非線形フィードフォワード補償を実現する制御ブロック図を示す。
図7には、図6の制御ブロックで示される制御装置で多関節ロボットを制御した場合のウィービング軌跡を示す。目標値ベースのフィードフォワード補償であるため、位相遅れの影響によりフィードフォワードタイミングがずれてしまい、却って、上下方向の動きを悪化させる結果となっている。
一般に、このような従来技術に係る制御では、フィードバック制御部(サーボ制御フィードバック特性)における位相特性やゲイン特性が各軸毎に異なるため、フィードフォワード制御などの位相を合わせることが困難であり、上記のような軸力トルク補償や弾性変形補償はほとんど実用化されておらず、弾性変形などの影響を抑制することは困難となっていた。
なお、図6では非線形フィードフォワード計算を上位CPUで行っている。非線形項の計算が非常に複雑で計算量が多いため、サーボ制御部で計算することが難しく、上位CP
Uにて目標値ベースでおこなっているのが一般的である。
このような従来技術に係る制御による結果(ウィービング軌跡)を示す図5および図7に対して、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10による結果(ウィービング軌跡)は、図3に示すように、上下動成分は発生しているものの従来技術に係る制御と比較して格段に上下動成分が抑制されていることがわかる。なお、図3は、第2の動特性演算部400における高周波遮断特性を、第1の動特性演算部300における高周波遮断特性と同等とした場合の結果である。
本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10においては、第1の動特性演算部300により、関節角度指令値θlcに含まれる固有振動成分を含む高周波を抑制し、かつ、第2の動特性演算部400により、軸力トルクfcに含まれる固有振動成分を含む高周波を抑制することにより、上述した従来技術における非線形項に起因する振動を抑制している。
以上のようにして、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置によると、多関節ロボットにおいて、各軸の弾性変形の影響を補償して高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置は、上述した第1の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10の第1の動特性演算部300の与え方が異なる。それ以外は、第1の実施の形態と同じであるので、上述した説明と重複する部分についてはここでは繰り返さない。
上述した第1の実施の形態においては、第1の動特性演算部300と同等以上の高周波遮断特性を第2の動特性演算部400に与えた。本実施の形態においては、第2の動特性演算部400として、第1の実施の形態と同じように非常に強い高周波遮断特性を備えるように与えて、第1の動特性演算部300として、第2の動特性演算部400の動特性に各軸サーボ制御にて想定されるフィードバック特性の逆特性を乗じたものとして与える。これは、第2の動特性演算部400における特性をフィードバック制御動特性で除した特性に対応するように、第1の動特性演算部300の特性を与えるように構成されていることを示す。
図2に示す制御ブロックの場合、各軸サーボフィードバック制御の動特性は、以下の式(1)で与えられる。なお、以下に示す式においては、「動特性1」は、第1の動特性演算部300における動的特性を、「動特性2」は、第2の動特性演算部400における動的特性をそれぞれ示している。
Figure 2013248681
したがって、第1の動特性演算部300は、以下の式(2)で与えられる。
Figure 2013248681
ただし、式(2)がプロパーな伝達関数(分子多項式の次数が分母多項式のそれに比べて等しいかまたは低い)となるように、第2の動特性演算部400には強い高周波遮断特性を与える必要がある。
このようにして、第1の動特性演算部300および第2の動特性演算部400を与えた場合のウィービング軌跡を図8に示す。図8に示すように、第1の実施の形態におけるウィービング軌跡(図3)よりも、さらに上下方向の振動が抑制されていることがわかる。
以上のようにして、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置によると、多関節ロボッ
トにおいて、各軸の弾性変形の影響を補償して、さらに高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
<第2の実施の形態の変形例>
次に、第2の実施の形態の変形例に係る弾性変形補償制御装置について説明する。
上述したように、第2の動特性演算部400の特性は、所望の動特性(非常に強い高周波遮断特性と備える)として与えていた。しかしながら、モータ電流制御部520の電流制御特性が無視できない場合には、所望の動特性を電流制御特性で除した特性として、第2の動特性演算部400の特性を与える。これは、モータ電流制御部520の電流制御特性を考慮する場合、第2の動特性演算部400における特性をフィードバック制御動特性で除すとともに、電流制御特性を乗じた特性に対応するように、第1の動特性演算部300の特性を与えるように構成されていることを示す。
この場合、第2の動特性演算部400の特性は、以下の式(3)で与えられる。
Figure 2013248681
このため、上述した式(2)で表された第1の動特性演算部300の特性は、以下の式(4)で与えられる。
Figure 2013248681
図9には、上述のようにして、第1の動特性演算部300および第2の動特性演算部400を与える場合の制御ブロック図を示す。図9に示すように、この弾性変形補償制御装置20における第2の動特性演算部2400の特性が、所望の動特性2410に電流制御特性の逆特性2420を乗じたものとなっている。
以上のようにして、本変形例に係る弾性変形補償制御装置によると、多関節ロボットにおいて、モータ電流制御部520の電流制御特性を考慮して、各軸の弾性変形の影響を補償して、さらに高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置は、上述した第1の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10の第1の動特性演算部300の与え方が異なる。それ以外は、第1の実施の形態と同じであるので、上述した説明と重複する部分についてはここでは繰り返さない。
電流制御特性は、非常に高速応答のため1として近似しても良い性能が得られることを考慮すると、式(1)は、以下の式(5)に変形される。
Figure 2013248681
そして、第1の動特性演算部300を与える式(2)は、以下の式(6)に変形される。
Figure 2013248681
これは、第2の動特性演算部400におけるカットオフ周波数を第1の動特性演算部300におけるカットオフ周波数よりも低くするとともに、第2の動特性演算部400にお
ける特性をフィードバック制御動特性(サーボFB制御動特性)で除した特性に対応するように、第1の動特性演算部300の特性を与えるように構成されていることを示す。
なお、この場合、各軸間の軸力がない状態でのモータ角度目標値θmcから実際のモータ角度θmまでのフィードバック制御動特性を、位置フィードバックゲインおよび速度フィードバックゲインの少なくともいずれかを含むパラメータに基づいて算出するように構成されている。
図10には、このようにして、第1の動特性演算部300および第2の動特性演算部400を与えた場合のウィービング軌跡を示す。図10に示すように、当然ながら電流制御特性を1で近似しているため、第2の実施の形態におけるウィービング軌跡(図8)の性能には及ばないが、従来技術に比べて良好な性能(実用に十分耐え得る性能)を発揮していることがわかる。このように電流制御特性を1で近似することにより、実用に十分耐え得る性能を満足しつつ、演算時間を短縮することができる。
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置は、上述した第1の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10の第1の動特性演算部300の与え方が異なる。それ以外は、第1の実施の形態と同じであるので、上述した説明と重複する部分についてはここでは繰り返さない。
本実施の形態においては、モータ角度制御部510の応答が遅い軸の第1の動特性演算部300の位相遅れを、モータ角度制御部510の応答が速い軸の第1の動特性演算部300の位相遅れよりも短く与えるように構成されている。
上述した第2および第3の実施の形態においては、各軸毎に所望の動特性を与えていたが、実際のウィービング動作では各軸の動特性を揃える必要がある。このためには、全軸で同じ(共通の)所望の動特性を与えればよい。上述した図8および図10は、既に全軸で同じ所望の動特性を与えている。
図11に、所望の動特性を軸毎に少し変更したときのウィービング軌跡を示す。図11に示すように、軸毎に動特性を変更させると(各軸の応答を異ならせると)、上下動が発生することがわかる。すなわち、上述した実施の形態(および従来技術)においては、各軸の応答をそろえた結果であり、各軸の応答を揃えない場合、ウィービング精度は悪化する。
また、第1〜第3の実施の形態においては、所望の動特性を全軸について同じとしている。式(1)および式(2)から明らかなように、サーボFB制御動特性の逆特性を「動特性1」に乗じているため、サーボFB制御動特性が遅い軸では、速い軸に比べて「動特性1」の応答は速く、サーボFB制御動特性が速い軸では、遅い軸に比べて「動特性1」の応答は遅くなる。
式(1)および式(2)により「動特性1」を与えることが一番良い方法であるが、関節角度指令値θlcから関節角度θまでの位相特性やゲイン特性が軸毎に異なるため、サーボFB制御動特性の遅い軸に比べて速い軸の「動特性1」を遅くすることにより、図11の状態から、全軸で同じ動特性を「動特性1」として与えた図3、図8または図9の状態に徐々に近づけることができる。
<第5の実施の形態>
以下、本発明の第5の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置は、上述した第1の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10が備えなかった速度フィードフォワード制御および/または加速度フィードフォワード制御が加えられている点が異なる。それ以外は、第1の実施の形態と同じであるので、上述した説明と重複する部分についてはここでは繰り返さない。
上述した実施の形態においては、速度フィードフォワード制御および/または加速度フィードフォワード制御を備えていなかったが、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置30においては、速度フィードフォワード制御および加速度フィードフォワード制御を備える。
図12は、第5の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置30(速度フィードフォワード制御および加速度フィードフォワード制御を備える)のブロック図を示す。
図12に示すように、弾性変形補償制御装置30は、モータ角度制御部510に代えてモータ角度制御部3510を備える。
この図12に示す弾性変形補償制御装置30では、式(1)は、以下の式(7)で与えられる。
Figure 2013248681
この式(7)に基づいて、式(2)、式(4)および式(6)を用いて「動特性1」を算出すればよい。電流制御特性を無視して「ゲイン=1」としても、従来技術よりも良い性能が得られる。
なお、ここで、GdaおよびGdvは加速度フィードフォワードおよび速度フィードフォワードゲインであり、0〜1の値をとる。また、JdはJmの予測値である。
また、上述したように、電流制御特性も、電流制御ゲインおよびモータパラメータ(インダクタンスや抵抗)から算出可能である。
以上のようにして、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置によると、速度フィードフォワード制御および加速度フィードフォワード制御を加えて、各軸の弾性変形の影響を補償して、高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
<第5の実施の形態の変形例>
次に、第5の実施の形態の変形例に係る弾性変形補償制御装置について説明する。
図13に示すように、本変形例では、非線形項である軸力トルク計算部200の前後に、第2の動特性演算部4400を配置した。より詳しくは、軸力トルク計算部200の前に動特性(21)4410を、軸力トルク計算部200の後に動特性(22)4420を、それぞれ配置した。
ここで、動特性(21)×動特性(22)が上述した動特性(2)と一致するように与えれば、これまでの実施の形態と同等の効果が得られる。ここで、θleは関節角度指令値θlcを動特性(21)4410に入力したときの出力値であり、θleに基づいて軸力トルク計算部200にて算出された軸力トルクfcを動特性(22)4420に入力したときの出力値が軸力トルク補償値fdである。
以上のようにして、本変形例に係る弾性変形補償制御装置によると、多関節ロボットにおいて、各軸の弾性変形の影響を分割して配置された第2の動特性演算部により補償して、高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
<第6の実施の形態>
以下、本発明の第6の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置について説明する。
図14および図15に、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置の制御ブロック図を示す。図14に示す制御ブロックと、図15に示す制御ブロックと、逆変換(逆ヤコビ)要素の数および位置が異なる。
本実施の形態においては、「動特性2」(または「所望動特性」)によって目標値から実値への動特性が決定されるため、与えられた「動特性2」にしたがって、ウィービング動作時の周期におけるゲイン特性および位相特性を逆算することが可能となる。その特性に応じてウィービング指令を補正することにより、所望のウィービング動作を実現することができるようになる。
<第7の実施の形態>
以下、本発明の第7の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置は、上述した第1の実施の形態に係る弾性変形補償制御装置10とは、軸力トルク計算値または弾性変形量計算値と関節角度指令値との位相差を合わせる点が異なる。それ以外は、第1の実施の形態と同じであるので、上述した説明と重複する部分についてはここでは繰り返さない。
本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置においては、モータ角度指令値計算部における計算周期が、モータ角度制御部における制御周期よりも遅い場合には、以下のように処理する。モータ角度指令値計算部600において、軸力トルク計算値または弾性変形量計算値と関節角度指令値との位相差を合わせ、位相補正後の軸力トルク計算値または弾性変形量計算値と位相補正後の関節角度指令値とから、モータ角度指令値を算出する。
本実施の形態に係る弾性変形補償制御装置について、以下に詳しく説明する。軸力を算出する際、関節角度の速度および加速度が必要となるが、通常ではこれらは差分処理により算出された速度および加速度を用いる。軸力を算出する軸力トルク計算部200はサーボ制御周期よりも非常に遅い周期dTで処理が行われるため、差分による位相遅れの影響も非常に大きく、それらの位相を揃えるための位相補正を行う。
たとえば、加速度を以下の式(8)により導出した際には、速度を以下の式(9)により導出することにより、位相を揃えることが可能になる。
Figure 2013248681
Figure 2013248681
また、位置は、以下の式(10)または式(11)で与えれば良い。
Figure 2013248681
Figure 2013248681
このように、位相を合わせた関節角度指令値θlcを用いて弾性変形量ecを算出し、さらにモータ指令値を算出する際は位相を合わせた関節角度指令値θlcに対して弾性変形量ecで補正し、モータ角度指令値θmcを算出すればよい。
<実施の形態の作用効果>
上述した第1〜第7の実施の形態のように、以下のように弾性変形補償制御装置を構成したため、モータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットにおいて、高い軌跡精度でウィービング等の動作を可能とすることができる。
(1)目標値から固有振動周期を遮断するローパスフィルタ特性を与え、振動成分を目標角度から除去するとともに、軸力トルクについてもローパスフィルタ処理し、目標値と軸力トルクの位相を揃え、振動抑制しつつ弾性変形補償を行う。
(2)サーボ制御部の位相遅れがある状態においても、軸力トルク補償に関するローパスフィルタの特性を遅らせる事で、目標値と軸力補償トルクの位相を揃え、振動抑制しつつ弾性変形補償を行う。
(3)軸毎のサーボ制御特性の違いを、上記ローパスフィルタにて吸収することにより、軸毎の特性差を揃える。
(4)モータ角度指令値計算部における計算周期が、モータ角度制御部における制御周期よりも遅い場合には、モータ角度指令値計算部において、軸力トルク計算値または弾性変形量計算値と関節角度指令値との位相差を合わせる。
(5)上述した対応の上、ウィービング周期毎にウィービング振幅補正を行う。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 多関節ロボット
10、20、30、40 弾性変形補償制御装置
100 関節角度指令値計算部
200 軸力トルク計算部(軸力FF)
300 第1の動特性演算部(動特性(1))
400、2400、4400 第2の動特性演算部(動特性(2))
500 フィードバック制御部(サーボ制御FB特性)
600 モータ角度指令値計算部(弾性変形補償)
510 モータ角度制御部
520 モータ電流制御部(電流制御)

Claims (6)

  1. 多関節ロボットの関節軸を駆動するモータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットに取り付けられたツールに所望の動作を行わせるように複数の関節軸を駆動させる多関節ロボットの弾性変形補償制御装置において、
    所望のツール動作を実現するための各関節軸の関節角度指令値θlcを算出して出力する関節角度指令値計算部と、
    前記関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する軸力トルク計算部と、
    関節軸の剛性パラメータを含むパラメータに基づいて、関節角度指令値θlcと軸力トルクfcとからモータ角度指令値θmcを算出して出力するモータ角度指令値計算部と、
    ロボットの固有振動周波数よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記モータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して、処理後のモータ角度目標値θmdを出力する第1の動特性演算部と、
    前記モータ角度目標値θmdが前記モータに対する目標値として入力されるモータ角度制御部と、
    前記第1の動特性演算部よりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記軸力トルク計算部への入力および前記軸力トルク計算部からの出力の少なくともいずれかをフィルタリング処理して、処理後の軸力トルク補償値fdを出力する第2の動特性演算部と、
    前記モータ角度制御部から出力されるモータトルク指令値に、前記軸力トルク補償値fdが加算された値が目標値として入力されるモータ電流制御部と、
    を含んで構成されていることを特徴とする多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。
  2. 前記モータ角度制御部の応答が遅い軸の第1の動特性演算部の位相遅れを、前記モータ角度制御部の応答が速い軸の第1の動特性演算部の位相遅れよりも短く与えるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。
  3. 各軸間の軸力がない状態でのモータ角度目標値θmcから実際のモータ角度θmまでのフィードバック制御動特性を、位置フィードバックゲインおよび速度フィードバックゲインの少なくともいずれかを含むパラメータに基づいて算出するように構成され、
    前記第2の動特性演算部におけるカットオフ周波数を前記第1の動特性演算部におけるカットオフ周波数よりも低くするとともに、前記第2の動特性演算部における特性を前記フィードバック制御動特性で除した特性に対応するように、前記第1の動特性演算部の特性を与えるように構成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。
  4. 前記モータ電流制御部の電流制御特性を考慮する場合、前記第2の動特性演算部における特性を前記フィードバック制御動特性で除すとともに、電流制御特性を乗じた特性に対応するように、前記第1の動特性演算部の特性を与えるように構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。
  5. 前記モータ角度指令値計算部における計算周期が、前記モータ角度制御部における制御周期よりも遅い場合、
    前記モータ角度指令値計算部において、軸力トルク計算値または弾性変形量計算値と関節角度指令値との位相差を合わせ、位相補正後の軸力トルク計算値または弾性変形量計算値と位相補正後の関節角度指令値とから、モータ角度指令値を算出するように構成されて
    いることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の多関節ロボットの弾性変形補償制御装置。
  6. 多関節ロボットの関節軸を駆動するモータとアームとが弾性変形する減速器を介して結合された多関節ロボットに取り付けられたツールに所望の動作を行わせるように複数の関節軸を駆動させる多関節ロボットの弾性変形補償制御方法において、
    所望のツール動作を実現するための各関節軸の関節角度指令値θlcを算出して出力する関節角度指令値計算ステップと、
    前記関節角度指令値θlc通りに動作した際に発生する各関節軸に作用する軸力トルクfcを、動力学モデルに基づいて関節角度指令値θlcから算出して出力する軸力トルク計算ステップと、
    関節軸の剛性パラメータを含むパラメータに基づいて、関節角度指令値θlcと軸力トルクfcとからモータ角度指令値θmcを算出して出力するモータ角度指令値計算ステップと、
    ロボットの固有振動周波数よりも低いカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記モータ角度指令値θmcをフィルタリング処理して、処理後のモータ角度目標値θmdを出力する第1の動特性演算ステップと、
    前記モータ角度目標値θmdが前記モータに対する目標値として入力されるモータ角度制御ステップと、
    前記第1の動特性演算ステップよりも低いまたは同等のカットオフ周波数を有する高周波遮断特性を備え、前記軸力トルク計算ステップへの入力および前記軸力トルク計算ステップからの出力の少なくともいずれかをフィルタリング処理して、処理後の軸力トルク補償値fdを出力する第2の動特性演算ステップと、
    前記モータ角度制御ステップから出力されるモータトルク指令値に、前記軸力トルク補償値fdが加算された値が目標値として入力されるモータ電流制御ステップと、
    を含んで構成されていることを特徴とする多関節ロボットの弾性変形補償制御方法。
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