JP2013248259A - 測定装置、眼科撮影装置、制御方法及びプログラム - Google Patents

測定装置、眼科撮影装置、制御方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 被検査物である眼底の高横分解能な平面画像を迅速に撮像し、眼底上の所望の位置を撮像することが可能となる装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 AOSLO装置においては、被検物に照射したビーコン光(測定光)206−3の戻り光に基づいて波面センサ255で収差を測定する。更に、収差を測定する測定光206−3を発生させるための光源201−3と、測定光206−3を被検物に合焦させるフォーカスレンズ235−16とを有する。制御PC106は特定の被検物の識別情報にそれぞれ対応するフォーカスレンズ235−16の状態を示す情報等の撮影パラメータを記憶部から取得する。そして、制御PC106は、取得された撮影パラメータに基づいて、当該特定の被検物に測定光206−3を照射するためにフォーカスレンズ235−16の位置を制御する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光画像撮像装置に関し、特に眼科診療等に用いられる光画像撮像装置に関するものである。
共焦点レーザー顕微鏡の原理を利用した眼科装置である走査型レーザー検眼鏡(SLO:Scanning Laser Ophthalmoscope)は、撮影光であるレーザーを眼底に対してラスタースキャンを行い、その戻り光の強度から平面画像を高分解能かつ高速に得る装置である。このSLOにおいて、被検眼による収差を波面センサでリアルタイムに測定し、被検眼にて発生する測定光やその戻り光による収差を波面補正デバイスで補正する補償光学系を有する補償光学SLO装置(AOSLO:Adaptive Optics SLO)が開発されている。これにより、収差の影響を低減した画像を得ることができる。特許文献1においては、広画角なSLO装置と小画角であるが高解像度なAOSLO装置とを組み合わせた複合装置が提案されている。
特開2010−259543号公報
高精細な画像が得られるAOSLO装置で撮影する場合、収差の測定時と撮影時とでは収差の値が変わってしまう恐れがある。そのため、撮影前の調整を短縮化させることが望ましい。しかしながら、同一の被検物で何回も撮影する場合、通常の撮影のための調整に加えて、前の撮影と同一の部位を測定するような調整が必要であり、手間と時間がかかるという問題があった。
そこで本発明の実施形態に係る被検物に照射した測定光の戻り光に基づいて収差を測定する測定装置は、測定光の光源と、前記測定光を被検物に合焦させる合焦手段と、特定の被検物の識別情報に対応する前記合焦手段の位置を示す情報を記憶部から取得する取得手段と、前記取得された前記合焦手段の位置を示す情報に基づいて前記合焦手段の位置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
これにより収差を測定する被検物の所望の位置の高横分解能な平面画像を迅速に撮像することができる。
実施例に係る撮影装置の外観構成を示す図である。図1(a)は撮影装置の上面図であり、図1(b)は撮影装置の側面図である。 実施例に係る撮影装置の光学系の構成を示す図である。 AOSLO装置にて用いられる光の波長分布を説明する図である。 実施例に係る制御装置の構成を示す図である。 実施例に係る制御ソフト画面を示す図である。 実施例に係る画像閲覧ソフトの画面を示す図である。 実施例に係る固視灯の表示画面を示す図である。 実施例に係るSLO装置による撮像手順を示すフローチャートである。 実施例に係る制御の流れを示すフローチャートである。
本発明を実施するための形態を、以下に例示する実施例に基づいて説明する。
実施例の1つに係るAOSLO装置を説明する。
本実施例に係るAOSLO装置では、補償光学系を備え、眼底の高横分解能の平面画像(AOSLO像)の撮像を行う装置である。この装置においては、被検物に照射したビーコン光(測定光)206−3の戻り光に基づいて波面センサ255で収差を測定する。更に、収差を測定する測定光206−3を発生させるための光源201−3と、測定光206−3を被検物に合焦させるフォーカスレンズ235−16と、特定の被検物の識別情報にそれぞれ対応するフォーカスレンズ235−16の状態を示す情報等の撮影パラメータを記憶部410から取得する撮影パラメータ取得部404を有する。そして、フォーカス制御部406が、取得された撮影パラメータに基づいて、当該特定の被検物に測定光206−3を照射するためにフォーカスレンズ235−16の位置を制御する。
また、AOSLO像の取得を補助する目的で、広画角の平面画像(WFSLO像)の撮像を行うWFSLO部、撮影光の入射位置を把握するための前眼部観察部、および撮像箇所を調整するために視線を誘導する固視灯表示部を付随させることができる。
実施例では、補償光学系として空間光変調器を用いて被検眼による光学収差を補正して平面画像を取得することができるため、被検眼の視度や、被検眼による光学収差によらず良好な平面画像が得られる。
ここでは、高横分解能の平面画像を撮像するために、補償光学系を備えているが、高解像度を実現できる光学系の構成であれば、補償光学系を備えていなくてもよい。
<装置全体構成>
図1に基づき、本実施例におけるAOSLO装置101の外観構成について説明する。図1(a)はAOSLO装置101を上側から見た上面図であり、図1(b)はAOSLO装置101を側面から見た側面図である。
AOSLO装置101は、収差測定用の光源、AOSLO撮影用の光源やフォーカスレンズ等の光学系を内蔵するヘッド部(測定部)102、ヘッド部102を水平垂直方向に移動させるステージ部103、被検者の顔を乗せ位置を調整する顔受け部104、操作画面を表示する液晶モニタ105、およびAOSLO装置101全体を制御する制御PC106からなる。
AOSLO装置101のヘッド部102は、フォーカスレンズ235−16、波面センサ255、空間光変調器259、光源201−1、光源201−2、フォーカスレンズ235−10、フォーカスレンズ235−14、ディテクタ238−1、ディテクタ238−2等と、これらを内蔵するための筐体を有する。またヘッド部102はステージ部103上に設置され、ジョイスティック107を倒すことによって水平方向に、回転させることによって垂直方向に移動できる。顔受け部104は、顎を乗せる顎受け108(調整部)と顎受け108を水平方向、垂直方向、前後方向に移動させる顎受けステージ部109からなる。
ステージ部103はヘッド部(測定部)102の被検物に対する位置を変更する変更部を構成する。ジョイスティックの操作量を制御PC106で検知し、制御PC106から制御される。顎受けステージ部109は制御PC106から制御され被検者の頭部を前後方向に動かしフォーカス位置を確保することと、ステージ部103で計測光と被検眼の位置合わせを行った後の位置合わせの微調節を行う。
制御PC106は被検者の情報を制御PC内部データベース、又は外部から通信等を使用し外部データベースとの取得、保存を行う。
<光学系の構成>
次に、図2を用いて、ヘッド部102に内蔵される光学系について、具体的に説明する。
光源201−1から出射した光は、光カプラー231によって参照光205と撮影光206−1とに分割される。撮影光206−1は被検物の画像を撮影するための光である。撮影光206−1は、シングルモードファイバー230−4、空間光変調器259、XYスキャナ219−1、ダイクロイックミラー270−1等を介して観察対象である被検眼207に導かれる。空間光変調器を経由することにより、収差が低減された画像を得ることができる。
256は固視灯であり、固視灯256からの光束257は、被検眼207の固視あるいは回旋を促す役割を有する。
撮影光206−1は、被検眼207によって反射あるいは散乱された戻り光208となり、光路を逆行し、光カプラー231を介して、ディテクタ238−1に入射される。ディテクタ238−1は、戻り光208の光強度を電圧に変換し、その信号を用いて、被検眼207の平面画像が構成される。本実施例では、光学系の全体を主にレンズを用いた屈折光学系を用いて構成しているが、レンズの代わりに球面ミラーを用いた反射光学系によっても構成することができる。
また、本実施例では、収差補正デバイスとして反射型の空間光変調器を用いたが、透過型の空間光変調器や、可変形状ミラーを用いても構成することができる。
<AOSLO部の光源>
つぎに、光源(第一の撮影光源)201−1の周辺について説明する。光源201−1は、代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。波長は840nmバンド幅50nmである。ここでは、スペックルノイズの少ない平面画像を取得するために低コヒーレント光源を選択している。また、光源の種類は、ここでは、SLDを選択したが低コヒーレント光が出射できればよくASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。
また、波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。さらに、波長は得られる平面画像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは840nmとする。観察対象の測定部位によっては他の波長を選んでも良い。
光源201−1から出射された光は、シングルモードファイバー230−1と光カプラー231とを介して、参照光205と撮影光206−1とに90:10の割合で分割される。253は偏光コントローラである。
<AOSLO部の参照光路>
次に、参照光205の光路について説明する。
光カプラー231によって分割された参照光205は、光ファイバー230−2を介して、光量測定装置264に入射される。光量測定装置264は参照光205の光量を測定し、撮影光206−1の光量をモニタする用途に用いられる。
<AOSLO部の撮影光路>
次に、撮影光206−1の光路について説明する。
光カプラー231によって分割された撮影光206−1は、シングルモードファイバー230−4を介してレンズ235−1に導かれ、ビーム径4mmの平行光になるよう調整される。
撮影光206−1は、ビームスプリッタ258−1を通過し、レンズ235−5〜6を通過し、空間光変調器259に入射される。
次に、撮影光206−1は、空間光変調器259にて変調され、レンズ235−7〜8を通過し、XYスキャナ219−1のミラーに入射される。ここでは、簡単のため、XYスキャナ219−1は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャナとYスキャナとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜227上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、撮影光206−1の中心は、XYスキャナ219−1のミラーの回転中心と一致するように調整されている。
ここで、Xスキャナは撮影光206−1を紙面に平行な方向に走査するスキャナであり、ここでは共振型スキャナを用いている。駆動周波数は約7.9kHzである。またYスキャナは、撮影光206−1を紙面に垂直な方向に走査するスキャナであり、ここではガルバノスキャナを用いている。駆動波形はのこぎり波であり、周波数は32Hz、デューティ比は16%である。Yスキャナの駆動周波数は、AOSLO像の撮像のフレームレートを決定する重要なパラメータである。
ここで、XYスキャナ219−1は制御PC106からドライバ部281内の光スキャナ駆動ドライバ282を介して制御される。
レンズ235−9〜10は、網膜227を走査するための光学系であり、撮影光206−1を被検眼207の瞳孔中心を支点として、網膜227をスキャンする役割がある。
ここで、撮影光206−1のビーム径は4mmであるが、より高分解能な光画像を取得するためにビーム径はより大径化してもよい。
電動ステージ217−1は図2の矢印で図示している方向、即ち光軸方向に移動することができる。これによって電動ステージ217−1に固定されたフォーカスレンズ235−10の位置を動かし、フォーカスを調整する。このように、フォーカスレンズ235−10や電動ステージ217−1はAOSLOの撮影光を被検物に合焦させる合焦部(第一の撮影光合焦部)を構成する。電動ステージ217−1は、制御PC(制御装置、制御部)106からドライバ部281内の電動ステージ駆動ドライバ283を介して制御される。レンズ235−10の位置を調整することで、被検眼207の網膜227における特定の深さ方向の位置で撮影光206−1を合焦させることができる。また、被検眼207が屈折異常を有している場合にも対応できる。
撮影光の合焦は、眼底の撮影対象の位置に対して行われればよいため、装置起因の収差、被検眼のディオプター値に加えて、眼底における撮影対象の位置に応じて合焦位置が決定される。合焦位置の設定は後述するUIで手動により行っても良いが、例えば専用のフォーカスセンサを設けることにより自動で行うこととすれば調整工程の短縮化が図れる。さらには、図2に示すようにAOSLOとは別の撮影光学系(WFSLO)により得られた画像の輝度値や統計値を用いることで専用のフォーカスレンズがなくとも自動フォーカス制御が可能となる。
撮影光206−1は、被検眼207に入射すると、網膜227からの反射や散乱により、戻り光208となり再び光カプラー231に導かれ、シングルモードファイバー230−3を介してディテクタ238−1に到達する。ディテクタ238−1は、例えば高速・高感度な光センサであるAPD(Avalanche Photo Diode)やPMT(Photomultiplier Tube)が用いられる。ディテクタ238−1は、空間光変調器及び撮影光合焦部を経由した撮影光の被検物からの戻り光を検出して被検物の画像を撮影する撮影部(第一の撮影部)を構成する。
<ビーコン(収差測定)部及び収差補正部の説明>
次に、被検眼207にて発生する収差を測定するためのビーコン(収差測定)部について説明する。
光源201−3から射出された測定光206−3は、レンズ235−15〜16、ダイクロイックミラー270−4等を介して観察対象である被検眼207に導かれる。被検眼207からの戻り光208の一部は、ダイクロイックミラー258−1、ピンホール298を介して、波面センサ255に入射され、被検眼207で発生する戻り光208の収差が測定される。
電動ステージ217−3は図2の矢印で図示している方向、即ち光軸方向に移動することができる。これによって電動ステージ217−3に固定されたフォーカスレンズ235−16の位置を動かし、フォーカスを調整する。このように、フォーカスレンズ235−16と電動ステージ217−3は収差を測定するための測定光206−3を被検物に合焦させる合焦部(フォーカス部)として機能する。電動ステージ217−3は、AOSLOのフォーカスレンズ217−1と同様に、制御PC(制御装置、制御部)106からドライバ部281内の電動ステージ駆動ドライバ283を介して制御される。
測定光の合焦は眼底に対して行われればよく、装置起因の収差を除けば被検眼のディオプター値に応じて決定される。
波面センサ255は、測定光を検出して光路中の収差を測定する収差測定部を構成する。波面センサ255は制御PC106に電気的に接続されている。波面センサ255は、シャックハルトマン方式の波面センサであり、測定レンジは−10D〜+5Dとなっている。得られた収差は、ツェルニケ多項式を用いて表現され、これは被検眼207による収差を示している。ツェルニケ多項式はチルト(傾き)の項、デフォーカスの項、アスティグマ(非点収差)の項、コマの項、トリフォイルの項等からなる。なお、光源201−3の中心波長は760nm、波長幅は20nmである。
ここで、測定光206−3は、角膜226からの反射を避けるために、被検眼207の中心から偏心して入射される。これについては図11および図12を用いて後述する。またピンホール298は、戻り光208以外の不要光を遮蔽する目的で設置されており、ピンホール298を通過した測定光の戻り光が波面センサ255により検出される。これにより被検眼の眼底を経由しない光が検出される可能性を低減することができるため、精度良く収差を測定することができる。更に、上述した測定光の合焦部を設けることにより、ピンホール298を適切に通過させ、精度良く収差を測定することができる。
ここで、角膜226とXYスキャナ219−1と波面センサ255と空間光変調器259とは光学的に共役になるようレンズ235−5〜10等が配置されている。そのため、波面センサ255は、被検眼207による収差を測定することが可能になっている。
空間光変調器259は被検眼207または装置の光学系等に起因する収差を補正する収差補正部として機能する。例えば空間光変調器259は液晶により光の位相を変調することができるため、測定された収差を打ち消すような状態とすることで収差を補償する。空間光変調器259は、制御PC106からドライバ部281内の空間光変調器駆動ドライバ288を介して状態が制御される。これにより、撮影光206−1及びその戻り光は、光路中の収差が補償され低減された状態でディテクタ238−1の入射面に結像する。ディテクタ238−1は収差の影響が低減された戻り光を検出し、被検物の画像を撮影することができる。
制御PC106は、測定光206−3のフォーカスレンズ235−14と、AOSLOの撮影光206−1のフォーカスレンズ235−10の状態とを連動させて制御する。フォーカス位置は被検者の視度に応じて変化するが、収差測定の光学系とAOSLOの撮影光学系を考慮することにより、各フォーカスレンズの位置を対応付けることができる。つまり、被検者の視度に合わせて一方の光を合焦させることができれば、かかる一方のフォーカスレンズの位置に対応する他方のフォーカスレンズの位置が一意に定まることとなる。係るフォーカスレンズの状態の対応関係を記憶部に記憶させておき適宜参照することにより一方の調整に応じて他方の調整が可能となる。これにより、個別の調整を行う場合に比べ、撮影準備の調整工程の手間及び時間を減らすことができる。
更に、収差測定部として機能する波面センサ255からの出力に応じて算出される収差の値には、上述の通りデフォーカスの値が含まれている。制御PC106は、このデフォーカス値に応じて更にAOSLOのフォーカスレンズ235−10の位置を制御することができる。かかる2段階の調整により、より詳細な調整を要するAOSLOのフォーカスレンズを微調整することができる。
<WFSLO部全体>
AOSLO装置101には、AOSLOよりも広画角の画像を撮影するためのWFSLO部を設けることができる。以下WFSLO部について説明する。
WFSLO部は基本的にAOSLO部と同様の構成となっている。重複する部分ついては説明を省略する。
光源(第二の撮影光源)201−2から出射した撮影光(WFSLOの撮影光)は、レンズ235−2、レンズ235−11〜14、XYスキャナ219−2、ダイクロイックミラー270−1〜3等を介して観察対象である被検眼207に導かれる。光源201−2は、AOSLO部と同様にSLDである。波長は920nmバンド幅20nmである。
<WFSLO部の撮影光路>
次に、撮影光206−2の光路について説明する。
光源201−2から射出された撮影光206−2は、レンズ235−2、レンズ235−11〜14、XYスキャナ219−2、ダイクロイックミラー270−1等を介して観察対象である被検眼207に導かれる。
ここで、XYスキャナ219−2の構成要素であるXスキャナは、撮影光206−2を紙面に平行な方向に走査するスキャナであり、ここでは共振型スキャナを用いている。駆動周波数は約3.9kHzである。また、Yスキャナは撮影光206−2を紙面に垂直な方向に走査するスキャナであり、ここでは、ガルバノスキャナを用いている。駆動波形はのこぎり波であり、周波数は15Hz、デューティ比は16%である。Yスキャナの駆動周波数は、WFSLO像のフレームレートを決定する重要なパラメータである。
電動ステージ217−2は図2の矢印で図示している方向、即ち光軸方向に移動することができる。これによって電動ステージ217−2に固定されたフォーカスレンズ235−14の位置を動かし、フォーカスを調整する。このように、フォーカスレンズ235−14と電動ステージ217−2はWFSLOの撮影光を被検物に合焦させる合焦部(第二の撮影光合焦部)として機能する。電動ステージ217−1は、制御PC(制御装置、制御部)106からドライバ部281内の電動ステージ駆動ドライバ283を介して制御される。
ここで、撮影光206−2のビーム径は1mmであるが、より高分解能な光画像を取得するために、ビーム径はより大径化してもよい。
撮影光206−2は、被検眼207に入射すると網膜227からの反射や散乱により戻り光208となりダイクロイックミラー270−1〜3、レンズ235−13〜14、レンズ235−2〜4、XYスキャナ219−2、ビームスプリッタ258−2等を介してディテクタ238−2に到達する。このディテクタ238−2がWFSLOの撮影光206−2を検出し、AOSLO画像よりも画角の広い広画角画像を撮影する撮影部(第二の撮影部)を構成する。
ここで制御PC106は、AOSLOの撮影光206−1のフォーカスレンズ234−10と、ビーコン光(測定光)206−3のフォーカスレンズ235−16と、WFSLOの撮影光206−2のフォーカスレンズ235−14とを連動させて制御する。いずれのフォーカスレンズについても被検眼の視度によりフォーカス位置が変動するが、その他の条件はおおよそ固定されているため、一のフォーカスレンズの位置が定まればその位置に応じて他のフォーカスレンズの位置を決定することができる。これにより、AOSLOと、収差の測定光と、WFSLOとのフォーカスを容易に制御することができる。
<固視灯部>
AOSLO装置101には、被検眼に固視させるための固視灯を設けることができる。固視灯256は、発光型のディスプレイモジュールからなり表示面(□27mm、128×128画素)をXY平面に有する。ここでは、液晶、有機EL、LEDアレイ等を用いることができる。被検眼207が、固視灯256からの光束257を注視することで、被検眼207の固視あるいは回旋が促される。固視灯256の表示面には例えば図7に示すように、任意の点灯位置265に十字のパターンが点滅して表示される。
固視灯256からの光束257は、レンズ235−17〜18、ダイクロイックミラー270−1〜3を介して網膜227に導かれる。また、レンズ235−17、18は、固視灯256の表示面と網膜227とが光学的に共役になるよう配置される。また、固視灯256は、制御PC106からドライバ部281内の固視灯駆動ドライバ284を介して制御される。
電動ステージ217−4は図2の矢印で図示している方向、即ち光軸方向に移動することができる。これによって電動ステージ217−4に固定されたフォーカスレンズ235−18の位置を動かし、フォーカスを調整する。このように、フォーカスレンズ235−18と電動ステージ217−4は固視灯の固視標を被検物に合焦させる合焦部(フォーカス部)として機能する。電動ステージ217−4は、制御PC(制御装置、制御部)106からドライバ部281内の電動ステージ駆動ドライバ283を介して制御される。
ここで制御PC106は、AOSLOの撮影光206−1のフォーカスレンズ234−10と、ビーコン光(測定光)206−3のフォーカスレンズ235−16と、WFSLOの撮影光206−2のフォーカスレンズ235−14と、固視灯のフォーカスレンズ235−18を連動させて制御する。これにより、AOSLOと、収差の測定光と、WFSLOと、固視灯のフォーカスを容易に制御することができる。
<前眼部観察部>
次に、前眼部観察部について説明する。
前眼部照明光源201−4から照射された光は、被検眼207を照らし、その反射光がダイクロイックミラー207−1、2、4、レンズ235−19、20を介してCCDカメラ260に入射する。光源201−4は中心波長740nmのLEDである。
<フォーカス、シャッタ、乱視補正>
以上のように、ヘッド部102に内蔵される光学系は、AOSLO部、WFSLO部、ビーコン部、固視灯部、前眼部観察部からなる。この中でAOSLO部、WFSLO部、ビーコン部、固視灯部はそれぞれ個別に電動ステージ217−1〜4を持ち、4つの電動ステージを連動させて動かしている。ただし、個別にフォーカス位置を調整したい場合には、個別に電動ステージを動かすことで調整可能である。
特に、AOSLO以外のWFSLO部、ビーコン部、固視灯のフォーカスレンズについては、被検眼の視度によって変化するものであるため連動させることができるが、AOSLOについては視度のほか、撮影対象となる被検眼の深さ方向における撮影位置によっても変わる。そこで、AOSLOのフォーカスレンズ235−10については制御PC106からの制御によりその他のフォーカスレンズとは独立に位置を変更できるようになっている。
また、AOSLO部、WFSLO部、ビーコン部はそれぞれシャッター(不図示)を備え、シャッタの開閉により個別に被検眼207に入射させるか否かを制御できる。ここではシャッタを用いたが、光源201−1〜3を直接ON/OFFすることにより、制御することもできる。同様に、前眼部観察部、固視灯部についても、光源201−4および固視灯256のON/OFFにより制御可能である。
また、235−10のレンズは交換可能になっており、被検眼207による収差(屈折異常)に合わせて球面レンズやシリンドリカルレンズを用いることができる。また1個のレンズに限らず、複数のレンズを組み合わせて設置することも可能である。
<波長>
AOSLO部、WFSLO部、ビーコン部、固視灯部、前眼部観察部に用いられている光源の波長分布を図3に示す。それぞれの光をダイクロイックミラー270−1〜4で分けるために、それぞれ異なる波長帯になるようにしている。なお、図3は各光源の波長の違いを示すものであり、その強度およびスペクトル形状を規定するものではない。
<画像化>
次に、撮像画像の構成方法について説明する。
ディテクタ238−1において入射された光は、光の強度が電圧に変換される。ディテクタ238−1で得られた電圧信号は、制御PC106内のADボード276−1にてデジタル値に変換され、制御PC106にて、XYスキャナ219−1の動作や駆動周波数と同期したデータ処理が行われ、AOSLO画像が形成される。ここで、ADボード276−1の取り込み速度は15MHzである。同様に、ディテクタ238−2で得られた電圧信号は、制御PC106内のADボード276−2にてデジタル値に変換され、WFSLO画像が形成される。
<制御PCの詳細>
図4に基づき、制御PC106の撮影条件の再利用に関する構成の詳細について説明する。制御PC106は、撮影情報取得部401と、撮影パラメータ生成部402と、記憶部制御部403と、撮影パラメータ取得部404と、識別情報取得部405と、フォーカス制御部406と、顎受け制御部407と、アラインメント制御部408と、表示制御部409と、記憶部410tを有する。また制御PC106は、ドライバ部281、操作部451、液晶モニタ105と接続されている。ドライバ部281には、フォーカスドライバ部としてAOSLOフォーカスドライバ部283−1、WFSLOフォーカスドライバ部283−2、Beacon(ビーコン)フォーカスドライバ部283−3、固視灯フォーカスドライバ部283−4を有する。また顎受け制御ドライバ部285と、アラインメントドライバ部286とを有する。
撮影情報取得部401は、AOSLO装置101による撮影に用いられたパラメータを取得する。例えば、フォーカスレンズ235−10,14,16、18の位置、顎受け108の位置、ヘッド部102の位置などの情報を取得する。また合わせて、撮影対象となる被検者に関する情報も取得する。ここで取得されるは例えば撮影対象の被検者の識別情報、左右眼いずれかを示す情報、その他氏名、年齢等の情報である。
撮影パラメータ取得部402は、ここでいう撮影に用いられるパラメータから、記憶部410に記憶し次回の撮影に利用するための撮影パラメータを生成する。ここでいう撮影パラメータは、フォーカスレンズ235−10,14,16,18の位置、顎受け部108の位置、ヘッド部102の位置の少なくともいずれかを含む。例えば、フォーカスレンズの位置を連動制御する場合には、いずれか1つのフォーカスレンズの位置を撮影パラメータとして生成すれば足りる。もちろん上述の全ての情報を撮影パラメータとして記憶させることとすれば、調整の手間が大きく低減されるため有用である。
撮影のための調整が完了してから、実際に撮影が開始され、完了するまでには少なくとも数秒以上の時間がかかると考えられる。ひとつの実施例では、撮影情報取得部401は測定開始が指示されたタイミングにおける撮影パラメータを取得する。例えば、ビーコン光(測定光)206−3のフォーカスレンズ235−16が継続的にオートフォーカス処理を行う場合には、測定が開始されたタイミングにおけるフォーカスレンズ235−16の位置を撮影パラメータとして生成(選択)する。別の実施例では、測定中や、測定終了後、または画像の記録が完了したタイミングや、撮影の終了を指示したタイミングとしてもよい。
また、制御PC106において、撮影されるハルトマン像またはWFSLOやAOSLO画像の画質評価値を継続的にモニタし、撮影パラメータ生成部402で特定の基準を満たす状況におけるパラメータに基づいて撮影パラメータを生成することができる。例えば、画質評価値が閾値以上となった際のパラメータの平均値や中央値を撮影パラメータとして記憶部410に記憶させることとすれば、精度良く調整させることができる、さらには撮影失敗や満足でない画質となってしまっていたパラメータを用いる状況を減らすことができる。或いは、画質評価値が上位10%である際のパラメータから撮影パラメータを生成することとしても同様に有用である。
その他撮影パラメータ生成部402について、AOSLOやWFSLOのフォーカス235−10、14については、画像の撮影の際の位置から撮影パラメータを生成することができる。またこれに合わせて、撮影の際のビーコン光のフォーカスレンズ235−16の位置から撮影パラメータを生成することとしてもよい。
また、収差測定の工程とAOSLOの撮影の工程を分けて行う装置の場合には、記録する撮影パラメータの元データを、異なるタイミングから取得することとしてもよい。例えば収差測定に関連するビーコン光(測定光)206−3のフォーカスレンズ235−16については、収差測定の際の位置に基づいて撮影パラメータを生成してもよい。また、撮影に関連するAOSLOの撮影光206−1のフォーカスレンズ235−10についてはAOSLO画像の撮影の際の位置に基づいて撮影パラメータを生成することとしてもよい。このようにすることで、より適切な撮影パラメータを利用した調整が可能となる。
一方で、リアルタイムに収差測定とAOSLOの撮影を同時に行なう場合は、時分割で切り替えながら行う場合には、記憶させる撮影パラメータの元データを略同じタイミングで取得することで、より適切な撮影パラメータを利用した調整が可能となる。
ここで、ビーコン光のフォーカスレンズ235−16の位置や固視灯256のフォーカスレンズ235−18の位置については、眼底に合焦させればよいため、被検者の視度の情報が調整の際に考慮すべき要素となる。或いはWFSLOのフォーカスレンズ235−14の位置についても、眼底にさえ合焦していればそれ以上の精度は必要ない場合も考えられ、その場合にはWFSLOのフォーカスについても視度の情報が主な考慮要素である。
その場合、これらフォーカスレンズについて撮影パラメータとして記憶部410に記憶しておく情報を、被検者の視度の情報とすることができる。これにより、関連する複数のフォーカスレンズについての撮影パラメータをまとめることができる。また、微調整を前提にする場合や、手動での調整を検査者にさせる場合には、AOSLOのフォーカスレンズ235−10の位置についても、被検者の視度の情報とすることができる。
ただ、AOSLOのフォーカスレンズ235−10については、被検者の視度に加えてフォーカスさせるべき網膜の深さ方向における位置についても考慮すべき必要がある。そこで、AOSLOのフォーカスレンズ235−10の撮影パラメータの情報としては、視度の情報と別に記憶部410に記憶させておくことで対応できる。または、視度の情報と、視度で定まるフォーカスレンズの位置からの差分値の情報とを合わせてフォーカスレンズ235−10の撮影パラメータ(位置を示す情報)とすることができる。この場合には、撮影パラメータ生成部402がかかる視度の情報とかかる差分値とを生成し、記憶部制御部403が記憶部410に被検者の識別情報と関連付けて記憶させる。
記憶部制御部403は、生成された撮影パラメータを記憶部410に記憶させる。この際に生成された撮影パラメータと、撮影対象の被検者の識別情報を関連付けて記憶させる。識別情報に加えて、得られた画像のサムネイルや、測定された収差値、被検眼の左右の別等の情報も付随させ記憶させておくこともできる。記憶部制御部403は制御PC106の内部に設けられている記憶部410に撮影パラメータの情報を記憶させることとしたが、制御PC106外や、あるいはAOSLO装置101とネットワークを通じて接続される外部のサーバーに記憶させることとしてもよい。
撮影パラメータ取得部404は、被検者の識別情報を検索キーとして、識別情報に対応する撮影パラメータを記憶部410から取得する。この点で撮影パラメータ取得部404は、特定の被検物の識別情報に対応するビーコン光(測定光)のフォーカスレンズ235−16の位置を示す情報を記憶部410から取得する取得部を構成する。なお、撮影パラメータ取得部404は記憶部制御部403を介して記憶部410内を検索することとしてもよいが、撮影パラメータ取得部404が直接記憶部410内を検索し、撮影パラメータを取得することとしてもよい。
識別情報取得部405は、操作部451にて入力された被検者の識別情報を取得する。個々で識別情報は被検者の名称、性別、及び年齢を組にしたデータでもよいが、重複防止の観点から各被検者に一意に付与されたID情報を当該識別情報として取得することができる。操作部451はたとえば後述する図5に示すGUIやGUIを操作するための操作デバイス或いはタッチパネル部により構成される。
フォーカス位置制御部406は、ドライバ部281のフォーカスドライバ部283−1至4のうち必要なユニットにフォーカスレンズの移動量、移動方向とともにフォーカスレンズを移動させる指示をする。これに応じて各フォーカスドライバ部は対応するフォーカスレンズを動かすための電動ステージ217−1〜4を駆動させる。このようにして、フォーカス位置制御部406は、取得されたフォーカスレンズ235−16の位置を示す情報に基づいてフォーカスレンズ235−16の位置を制御する。
顎受け制御部407は、撮影パラメータ取得部404から受け取った撮影パラメータに基づいて顎受け108の位置を特定の量特定の方向に動かすための指示信号を顎受けドライバ部285に送る。顎受けドライバ部285は顎受けステージ部109を駆動し、顎受け108を指示信号に応じた位置へと移動させる。
アラインメント制御部408は、撮影パラメータ404から受け取った撮影パラメータに基づいてヘッド部(測定部の筐体)102を特定の量特定の方向に動かすための指示信号をアラインメントドライバ部286に送る。アラインメントドライバ部286はステージ部103を駆動し、ヘッド部102を指示信号に応じた位置へと移動させる。
このようにフォーカス制御部406、顎受け制御部407、アラインメント制御部408等の制御部は、特定の被検物の識別情報に対応して記憶部410に記憶された撮影パラメータの情報に基づくAOSLO装置101の制御を行う。これにより、予め準備された撮影条件により容易に調整ができる。
ここで、上記の各制御部は、前回の撮影パラメータに応じた調整の後に微調整を行うこととすれば、前回の撮影からの時間経過による被検者その他の変化に対応することができる。フォーカス制御部406は、被検者の識別情報に応じて得られたフォーカスレンズの位置へとフォーカスレンズを移動させた上で、当該位置を初期位置としてフォーカスレンズの合焦位置の探索を開始させる。特に、AOSLOのフォーカスレンズ235−10については他のフォーカスレンズに比べて調整条件が厳しい。フォーカス制御部406はAOSLOのフォーカスレンズ235−10に限って微調整を指示することができる。その他、ビーコン光(測定光)206−3のフォーカスレンズについても、ピンホール298を透過するよう調整が必要であるため、微調整のメリットがある。
記憶及び再利用する撮影パラメータはこれに限らず、たとえば収差が測定され、空間光変調器259が十分に収差を低減できる状態となった後の空間光変調器259の状態を記憶部制御部403が記憶部410に記憶しておくことができる。同一の被検物の撮影の際にかかる空間光変調器259の状態情報を利用して次の撮影に用いることで、ある程度収差が低減された状態で空間光変調器259の状態が制御されるため、収差を補正するのに要する時間を低減させることができる。また、AOSLOの撮影範囲を眼底の移動をキャンセルするように動かす追尾を設けた場合には、AOSLOの撮影範囲、正確には深さ方向と直行する方向への撮影範囲も記憶しておくことができる。AOSLOの撮影範囲は、スキャナ219−1の位置を変更することにより達成可能である。
その他、表示制御部409は、表示部を構成する液晶モニタ105に図5、図6に示す制御用のGUIを表示させることができる。
記憶部410は制御PC106のメモリであり、記憶部制御部403からの指示に応じて被検者の情報や撮影パラメータ等を記憶する。
上述の制御PC106の各部は専用の回路を用いて構成する事もできるが、ソフトウェアと制御PC106のハードウェアを用いて構成する事もできる。この場合、制御PC106のCPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに展開し逐次実行することにより、図4に記載の各部として機能し、かつ図8乃至10を用いて後述する処理を実現することができる。また、当該プログラムには図5及び図6のGUIを形成する画像データ等も含まれる。CPUにより実行される指示に基づいて表示部に適切な画像データを表示させる。
<制御ソフトのGUI>
図5、図6に基づいて、表示制御部408により液晶モニタ105に表示されるGUIを説明する。図5は撮影前の調整を行うためのGUIの例である。実行ボタン501は、本装置による撮影を開始するボタンであり、押下により前眼部の撮影光源201−4が点灯し、CCDカメラ260による検出され撮影された画像が前眼部モニタ512に表示される。ストップボタン502は撮影を終了させるためのボタンである。電動ステージボタン503は顎受けを移動させるためのボタンであり、X方向、Y方向,Z方向それぞれに対応するボタンが設けられている。ボタン503の押下に応じて顎受け駆動部109を微動させることができる。また、ヘッド部102をX,Y、Z方向に移動させるためのボタンを設けても良い。
フォーカス調整ボタン504は、AOSLOの撮影光206−1のフォーカスレンズ235−10と、ビーコン光(測定光)206−3のフォーカスレンズ235−16と、WFSLOや固視灯がある場合にはそれらのフォーカスレンズとを連動させて移動させるためのボタン(第二の指示部)である。例えばフォーカス調整ボタン504に第一の方向にフォーカスレンズを動かすためのボタンと第二の方向にフォーカスレンズを動かすためのボタンを設けることとしてもよい。或いは、フォーカス調整ボタン504の押下に応じて自動的なフォーカス探索の開始がトリガされることとしてもよい。
WFSLO撮影指示ボタン505は、WFSLO画像のWFSLOモニタ515への画像の表示のON/OFFを切り替えるためのボタンである。或いは、WFSLOのスキャナやディテクタの起動、起動停止を指示するボタンであっても良い。WFSLOモニタ515への画像の表示と合わせて、WFSLO強度モニタ516にWFSLO画像の強度を示す情報が表示される。例えば、横軸時間、縦軸信号強度でWFSLO部で検出された信号強度が時系列に表示される。WFSLO画像を記録させたい場合には、WFSLO記録ボタン517を押下する事で記録開始が指示され、これに応じて記憶部410にWFSLOの動画像が記憶されることとなる。或いは、静止画像または1フレームを記憶する指示ボタンを合わせて設けることとしても良い。さらには、1フレーム分だけを不図示のプリンタで紙媒体等に出力する指示をするためのボタンを設けることとしてもよい。
なお、WFSLO撮影指示ボタン505を押下せずとも、前眼部が像を基準としたアラインメントが完了することに応じて自動的にWFSLOの撮影または画像表示を開始することとすれば、操作の手間を減らすことができる。
収差測定ボタン506は、ビーコン光(測定光)206−3の照射を開始するとともに、波面センサ255で得られるハルトマン像を波面センサモニタ514に表示させる。また、ハルトマン像から計算された収差が収差補正モニタ511に表示される。なお、ハルトマン像の取得と収差の計算までを波面センサ255の内部のモジュールで実行されることとするが、別のモジュールを設けてハルトマン像に基づく収差の計算を行うこととしてもよい。波面センサ255は得られたハルトマン像について逐次的に収差を計算するため、空間光変調器259の状態が制御され収差が低減されると、収差補正モニタ511に表示される収差は変動する。
自動フォーカスボタン521は、波面センサ255で得られたデフォーカス値を用いて、フォーカスレンズ235−10、14,16,18の位置を調整するためのボタン(第三の指示手段)である。かかるボタンの押下に応じて、制御PCのフォーカス位置制御部406は4つのフォーカスレンズを連動させて制御する。
収差補正ボタン522を押下することにより、収差量が小さくなるように自動的に空間光変調器259の状態が制御される。例えば、収差量が特定の閾値よりも低くなることに応じて、AOSLOの撮影が指示されることとすれば操作の手間が低減され、迅速な撮影が行える。
収差補正一時停止ボタン508は、収差測定ボタン506が押下された後、自動的には適切な値まで収差が低減されない場合、収差補正のための探索を一時停止するためのボタンである。
AOSLO測定ボタン507は、AOSLOの撮影開始を指示するためのボタンである。或いは、AOSLOで撮影された画像の表示開始を指示するためのボタンであってもよい。これに応じて、AOSLO206−1のシャッタが開いて撮影光206−1が被検物に照射され、AOSLOモニタ518に収差が低減されたAOSLO画像が表示される。また、AOSLO強度モニタ519にディテクタ238−1で検出された信号強度を示す情報が表示される。この情報は、WFSLO強度モニタ516で表示される情報と同様に、横軸時間、縦軸信号強度でWFSLO部で検出された信号強度が時系列に表示される。
深さ調整ボタン524は、AOSLOのフォーカスレンズ235−10をその他のフォーカスレンズとは独立に制御するためのボタン(第一の指示部)である。深さ調整ボタン524には、第一の方向と第二の方向にフォーカスレンズを移動させるためのボタンがそれぞれ設けられており、各ボタンの押下に応じて、制御PC106のフォーカス位置制御部406がフォーカスレンズ235−10の位置を変更することで、AOSLOの深さ方向に対する撮影位置を変更することができる。
AOSLO記録ボタン520は、AOSLOの記録開始/終了を指示するボタンである。記録開始が指示されてから終了が指示されるまでの間に得られたAOSLOの動画像が記憶部410に記憶される。
固視灯位置モニタ513は固視灯の位置を表示させる。
操作条件設定ボタン523は、撮影範囲、フレームレート、撮影時間を指定するためのGUIである。それぞれ適切な撮影条件を入力することができる。
以上、図5に示すGUIに配置されるボタンからの入力は、全て制御PC106に入力され、かかる入力に応じてAOSLO装置の各部が制御される。
図6は被検者情報を記憶部410から取得するための被検者選定画面の例である。表601には被検者IDとともに被検者の名称、性別、年齢がリスト形式で並べられている。このリストには、既に一度撮影が行われた被検者の情報と、いまだ撮影が行われていないが撮影予約が入った被検者の情報とが合わせて並べられる。リストに表示される患者情報は、被検者選定画面が起動することに応じて記憶部410に記憶された被検者情報を取得する。
選定ボタン602は、撮影を開始する被検者の選定するためのボタンである。ここでリスト中の一の被検者が選択された状態で選定ボタン602が押下されると、制御PC106の識別情報取得部405は選択された被検者に対応する識別情報を取得する。また撮影パラメータ取得部404は、かかる識別情報に対応する撮影パラメータが記憶部410に記憶されているか否かを参照する。ここで、識別情報に対応する被検者について、既に1度以上撮影が行われており、かつ被検者の情報と対応付けて撮影パラメータが保存されている場合には、撮影パラメータ取得部404がかかる撮影パラメータを記憶部410から取得する。なお被検者選定画面の起動時に被検者情報と合わせて対応付けられた撮影パラメータ情報も取得することとしてもよい。そして更にこの場合には、撮影パラメータ情報から過去の撮影履歴の概略や、過去撮影のサムネイル画像も合わせて記憶部410から取得し被検者選定画面に表示させることとすれば、検査者に検査の内容を利マインドさせることができるため有用である。さらには、過去に複数の撮影が行われている場合には、それらかこの撮影を撮影カテゴリ別に表示させ、どのカテゴリの撮影を行うかを選択するためのボタンを表示させることとしてもよい。このボタンの押下に応じて、選択された撮影カテゴリに対応する撮影パラメータを取得して次の撮影に用いることとすれば有用である。
このように、前の撮影に用いられた撮影パラメータを用いて撮影を行うことにより、調整の手間を減らし、かつ被検者の個人差に対応した調整を実行させることができる。
<撮像手順>
次に、本実施例のAOSLO装置における撮像手順について図8及び図5の制御ソフトのGUIを用いて説明する。
図8に撮像手順を示す。以下に、各工程について詳しく述べる。
(ステップS801) 装置を立ち上げ各種確認を行う
制御PC106及びAOSLO装置の電源を入れる。次に、測定用の制御ソフトを起動すると、図5に示す制御ソフト画面が液晶モニタ105に表示される。ここで被検者に顔を顔受け部104にセットしてもらう。
(ステップS802) 被検者情報を取得する
制御ソフト画面の実行ボタン501を押すと図6に示す被検者選定画面が表示され表601にて被検者を選定し選定ボタン602を押し被検者を確定する。
表に被検者の情報がない場合は表601に被検者情報を登録する。
(ステップS803) 撮影パラメータを検索する
被検者が選定されると、撮影パラメータ取得部404は対応する撮影パラメータを検索する。検索の結果、撮影パラメータが取得できない場合には、記憶部410から既定の初期値を取得することとしてもよい。あるいは、糖尿病や加齢黄斑変性など診断項目別に初期値を用意しておき、その値を記憶部410から取得することとすれば、全快の撮影パラメータが存在せずとも、診断項目に応じた調整を迅速に行わせることができる。
(ステップS804) 前眼部画像を取得する
制御ソフト画面の被検眼の左右選択ボタン509で右、又は左を選択すると、制御PC106は被検者情報に保存されている選択された眼に対応したステージ部103の位置、顎受けステージ部109、AOSLO部、WFSLO部、ビーコン部、固視灯部のフォーカス用レンズレンズ235−10、14、16、18の各々の電動ステージ217−1〜4の位置を呼び出し、その位置に駆動する。これらの位置は前撮像時のステップS810にて保存された、選択された被検者の前撮像した時の位置であり、初回撮像時は装置のデフォルト値が保存されている。
各ステージが駆動されたことにより眼部モニタ512に前眼部の画像が表示される。画面中央に瞳孔の中心が正しく表示されていない場合は、まずジョイスティック107を用いてヘッド部102を略正しい位置に動かす。さらに調整が必要な場合は、制御画面上の電動ステージボタン503を押し、顎受け駆動部109を微動させる。
(ステップS805) WFSLO像を取得する
略正しい状態で前眼部画像が表示された場合、WFSLO像がWFSLOモニタ515に表示される。固視灯位置モニタ513で固視灯を中央位置に設定し、被検眼207の視線を中心に誘導する。
次に、WFSLO強度モニタ516を見ながら、フォーカス調整ボタン504を調整して、WFSLO強度が大きくなるように調整する。ここで、WFSLO強度モニタ516には横軸時間、縦軸信号強度でWFSLO部で検出された信号強度が時系列に表示されている。ここで、フォーカス調整ボタン504を調整することで、レンズ235−14、16、18の位置が同時に調整される。
WFSLO像が鮮明に表示された場合、WFSLO記録ボタン517を押して、WFSLOデータを保存する。
(ステップS806) AOSLO像取得位置を決定する
表示されたWFSLO像を確認し、AOSLO像を取得したい位置を後述の手段を用いて決める。次に、その位置がWFSLOモニタ515の中央にくるように被検眼207の視線を誘導する。
AOSLO像を取得する位置を決める手段は2通りあり、一つは固視灯位置モニタ513において固視灯の位置を指示する方法、もう一つはWFSLOモニタ515において所望の位置をクリックする方法である。WFSLOモニタ515上の画素と固視灯の位置を関連付けており、固視灯の位置が自動的に移動し、視線を所望の位置に誘導することができる。
AOSLO像を取得したい位置がWFSLOモニタ515上中央に移動したのを確認して、次の工程に移る。
(ステップS807) 収差補正を行う
収差測定ボタン506を押すと、WFSLO撮影光である撮影光206−2が遮断され、ビーコン光のシャッタが開いてビーコン光である測定光206−3が被検眼207に照射される。波面センサモニタ514に波面センサ255で検出されたハルトマン像が表示される。このハルトマン像から計算された収差が収差補正モニタ511に表示される。収差はデフォーカス(defocus)成分(μm単位)と、全ての収差量(μmRMS単位)に分けて表示される。ここで、ステップS804において、AOSLO撮影光とビーコン光のフォーカスレンズであるレンズ235−10、16の位置が調整されているため、この工程で収差測定の準備が整っている。具体的には、測定光206−3に対する戻り光208が、ピンホール298をけられることなく通過し、波面センサ255に到達する状態になっている。
ここで自動フォーカスボタン521を押すと、デフォーカスの値が小さくなるようにレンズ235−10、14、16、18の位置が自動的に調整される。
次に収差補正ボタン522を押すと、収差量が小さくなる方向に自動的に空間光変調器259が調整され、リアルタイムに収差量の値が表示される。ここで、収差量の値が事前に決めておいた閾値(0.03μmRMS)以下になると自動的にAOSLO測定ボタン507が押され、次の工程に移動する。ここで、収差量の閾値は任意に設定できる。また、閾値以下にならない場合には、収差補正一時停止ボタン508を押し、収差補正を停止したのち、AOSLO測定ボタン507を押すことにより次の工程に移動する。
(ステップS808) AOSLO像を取得する
AOSLO測定ボタン507が押されると、ビーコン光である測定光206−3が遮断され、AOSLO撮影光206−1のシャッタが開いて撮影光206−1が被検眼207に照射される。AOSLOモニタ518に収差補正済みのAOSLO像が表示される。また、AOSLO強度モニタ519に、WFSLO強度モニタ516と同様に、AOSLO部で検出された信号強度が時系列に表示される。
信号強度が不十分な場合には、AOSLO強度モニタ519を見ながらフォーカス、顎受け位置を調整し、信号強度が大きくなるように調整する。
また、撮像条件設定ボタン523によって、撮像画角、フレームレート、撮像時間を指定することができる。
また、深さ調整ボタン524を調整して、レンズ235−10を移動させ、被検眼207の深さ方向の撮像範囲を調整することができる。具体的には、視細胞層や神経線維層や色素上皮層等の所望の層の像を取得することができる。
AOSLO像が鮮明に表示された場合、AOSLO記録ボタン520を押して、AOSLOデータを保存する。その後、撮影光206−1は遮断される。
(ステップS809) 被検者情報に位置合わせの情報を書き込む
ステージ部103の位置、顎受けステージ部109、AOSLO部、WFSLO部、ビーコン部、固視灯部のフォーカス用レンズレンズ235−10、14、16、18の各々の電動ステージ217−1〜4の位置をステップS803で選択された被検者のステップS804で選択された被検眼に対し書き込み保存する。
(ステップS810) 次の動作を選択する
撮像位置の変更を行う場合にはステップS806に、左右眼の切り替えを行う場合にはステップS804に戻る。撮像を終了する場合には、次の工程に移動する。
(ステップS811) 終了する
STOPボタン502を押すと、制御ソフトが停止する。
図9は、その他の実施形態に係る撮影制御の流れを示すフローチャートである。この例では多くの調整が自動で行われる。制御の主な主体は上述の図4示した制御PC106を例として説明する。
ステップS901で識別情報取得部405はGUI等の操作部451から被検者の識別情報を取得する。識別情報は例えば図6に示すGUIにて検査者が選択した被検者のIDである。図6に示すGUIは、図5に示すGUIにおける実行ボタン501の押下に応じて表示されることとなる。ここで制御ソフトの起動時や前の撮影の終了に応じて自動的に図6のGUIが表示されるよう、表示制御部509が制御することとすれば、操作の手間を減らすことができる。
ステップS902で撮影パラメータ取得部404は記憶部制御部403を介して、取得した識別情報に対応する撮影パラメータを検索する。検索の結果撮影パラメータが在ると判定された場合にはステップS903に進む。
ステップS903で撮影パラメータ取得部404は前回の撮影に用いられた情報に基づく撮影パラメータを取得する。ここで、複数の撮影パラメータが記憶されていた場合には、例えば操作部451を介したユーザの選択入力に応じて一の撮影パラメータが選択される。さらにここで、黄斑の血流解析と、黄斑の視細胞解析と、視神経乳頭の篩状板解析と、を連続で行いたい場合など、複数の撮影を連続して行う場合には、複数の撮影パラメータを取得することができる。この場合、最初に行われるべき撮影の撮影パラメータのみが後述する各制御部に通知され、残りの撮影パラメータセットについては一時メモリに記憶される。
ステップS902で検索の結果撮影パラメータを取得できなかった場合にはステップS904に進み、撮影パラメータ取得部404は既定のパラメータを初期値として取得する。
ステップS905―S912でフォーカス制御部406、顎受け制御部407、アラインメント制御部408等の各制御部は、過去の撮影パラメータに応じて撮影前の調整を行う。ステップS905で顎受け制御部407は取得された顎受け108の位置へと顎受け108を移動させる指示を行う。またアラインメント制御部408は取得されたヘッド部102の位置へとヘッド部102を移動させる指示を行う。顎受け制御部407の指示に応じて顎受け制御ドライバ部285が顎受け駆動部109を駆動する。アラインメント制御部408の指示に応じてアラインメントドライバ部286がステージ部103を駆動する。
ステップS906で顎受け制御部407及びアラインメント制御部408は、過去の撮影パラメータに応じた位置へと移動した後に、更に最適な位置へと調整する微調整を行う。かかる微調整は例えば、図5に示す前眼部モニタ512に表示される画像を制御PC106により解析し、例えば瞳孔の位置及び大きさが基準に収まるように顎受け108及びヘッド部102を移動させる。上述のステップS905は粗調整としての調整であり、本ステップにより微調整を行う。この微調整はステップS906で開始され、撮影が終了するまでの間は継続して行われることとなる。これは、被検者の動きや、被検眼の固視微動の影響をキャンセルするためのものである。したがって、ステップS906から撮影が終了するまでの間、各部位の位置は被検物に対して適応的に移動することとなる。この顎受け108及びヘッド部102の位置と対応させて記憶させ続ける。
ステップS907でフォーカス制御部406は、被検眼とヘッド部102との位置関係が調整された後、取得された位置へとフォーカスレンズ235−10、14、16、18の位置を移動させる指示をする。フォーカス制御部406の指示に応じて、AOSLOフォーカスドライバ部283−1は電動ステージ217−1を移動させる。また、WFSLOフォーカスドライバ部283−2は電動ステージ217−2を移動させる。また、Beaconフォーカスドライバ部283−3は電動ステージ217−3を移動させる。そしてまた、固視灯フォーカスドライバ部283−4は電動ステージ217−4を移動させる。このようにして、前の撮影の撮影パラメータを流用することで、撮影準備時間を短縮することができるとともに、被検者に応じて適応的な調整を容易に行うことができる。
なお、ステップS906の微調整が開始されると略同時にステップS907の調整を開始することとすれば、調整時間の短縮が図れる。
ステップS908でフォーカスレンズ235−10、14、16,18の粗調整が完了し、微調整を開始する。微調整には、例えば専用のフォーカスセンサを用いて制御PC106が行う。この微調整はステップS908で開始され、撮影が終了するまでの間は継続して行われることとなる。これは、被検者の動きや、被検眼の固視微動の影響をキャンセルするためのものである。したがって、ステップS908から撮影が終了するまでの間、各部位の位置は被検物に対して適応的に移動することとなる。このフォーカスレンズの値を、先述の顎受け108及びヘッド部102の位置と対応させて記憶させておく。
なお、ステップS907で開始されるフォーカス調整について、粗調整と微調整という二段階の調整を行わない場合には、S908は省略されうる。
また、この微調整の開始前か終了後に制御PC106がWFSLOの撮影を開始させる。さらにここで、制御PC106はWFSLO画像の画質指標値を算出し、先述のフォーカスレンズの位置と対応させて時系列順に記憶させる。画質指標値は、例えば輝度値の大きさやその平均値等の統計値、コントラスト値などを用いることができる。
ステップS909で波面センサ255にハルトマン像の形成を開始させる。また、得られたハルトマン像を制御PC106で取得する。表示制御部407は液晶モニタ105の波面センサモニタ514にハルトマン像を表示させる。更に、波面センサ255は得られたハルトマン像について逐次、収差を計算する。制御PC106は計算された収差を取得する。表示制御部407は液晶モニタ105の収差補正モニタ511に計算された収差を表示させる。収差の計算値が出力されることに応じて、制御PC106はドライバ部281の空間光変調器ドライバ288を介して空間光変調器259の状態を変更する。制御PC106は、計算された収差を低減するように空間光変調器259により生ずる位相差を制御する。
ここで、空間光変調器の制御は、計算により得られる収差のうちデフォーカスの項以外の項に対応して行われる。デフォーカスの項については、フォーカスレンズの位置を変更することで補償する。デフォーカスの値に応じてフォーカス位置制御部406はAOSLOのフォーカスレンズ235−10の位置を変更する。また、ビーコン光(測定光)のフォーカスレンズ235−16についてもAOSLOのフォーカスレンズ235−10の位置と連動させる。
ここで、制御PC106は得られる収差の値を先述のフォーカスレンズの位置と対応させて時系列順に記憶させる。
ステップS910でAOSLOの撮影を開始するために、撮影光206−1の光源201−1の光を遮蔽するシャッタを開き、スキャナ219−1を駆動させ、ディテクタ238−1に撮影駆動を開始させる。これにより、空間光変調器259及びフォーカスレンズ235−10を経由した撮影光206−1の戻り光により被検物の画像を撮影する。AOSLOの撮影開始タイミングは、収差の測定及び補正の開始と前後してもよい。
ここで、制御PC106はAOSLO画像の画質指標値を算出し、先述のフォーカスレンズの位置と対応させて時系列順に記憶させる。画質指標値は、例えば輝度値の大きさやその平均値等の統計値、コントラスト値などを用いることができる。
ステップS911乃至915は、上述のオートフォーカス制御に加えて、検査者の希望にあわせた手動での調整をするための処理である。制御PC106がフォーカス制御の指示を取得したか否かを判定する。指示がない場合にはステップS916に進み、指示があった場合にはステップS912に進む。
ステップS912で制御PC106は、ステップS911で受けた制御指示が、一のフォーカス位置のみを他のフォーカスレンズとは独立に個別に移動させる指示であるか否かを判定する。例えばフォーカス調整ボタン504が押下されたことによる制御指示なのか、深さ調整ボタン524が押下されたことによる制御指示なのかに基づき判定する。連動させると判定された場合には、ステップS913で複数のフォーカスレンズを連動させて調整する。連動させると判定されなかった場合には、ステップS914で個別に調整する。
ここで、特にAOSLOのフォーカス位置を個別に制御し目的とする(深さ方向における)撮影位置へと移動させる処理については、自動で行うこともできる。例えば、視細胞の観察を目的として撮影位置を決める場合には、AOSLO画像の周波数画像について、視細胞の繰り返しパターンに対応する特定の周波数成分にピークが現れるか否かを判定する。AOSLOのフォーカス位置を動かしながらかかる判定を行うことにより、視細胞画像が得られる位置に自動的にフォーカスを合わせることができる。その他、目的とする撮影位置について特徴的なパターンの出現を判別することにより、フォーカスを自動調整することができる。その他、ビーコン光(測定光)やWFSLOのフォーカス位置により、ワーキングディスタンスや眼軸長を考慮した眼底の概略位置を把握することができるため、より脈絡膜側を撮影したい場合には実験的にもとまる特定の値(第一の)だけ深い位置にフォーカスさせる。また硝子体側を撮影したい場合には特定の値(第二の値)だけ浅い位置にフォーカスさせる制御を行う。このように、被検物の深さ方向における撮影位置に応じてフォーカスレンズ235−10の状態を制御することにより、目的とする撮影位置またはそれに近い位置にAOSLOのフォーカスを自動的に調整することができる。
ステップS915で個別に調整を行うこととした場合、表示制御部409は液晶モニタ105に連動させて調整した場合からのずれ量を図5に示すGUIに表示させる。これにより、通常の場合とのずれ量を分かりやすく検査者に伝えることができる。
ステップS916で制御PC106はAOSLO記録ボタン520が押下された旨の入力を待機する。押下されない場合にはステップS911の手動による調整指示の待機と、記録指示の待機とを繰り返す。なお、収差が基準値以下に低減されたAOSLO画像が得られたことに応じて、制御PC106の制御により自動的に記録開始することで、高精細な眼底画像を容易に得ることができる。また別の例として、常にAOSLO画像を記録しておき、特に指示があった期間以外の期間については記録したAOSLO画像を削除するという処理を適用しても良い。このようにすることで、十分に収差が低減されたAOSLO画像が撮影されているにも関わらず記録指示をせずに記録ができない、といった可能性を減らすことができる。
ステップS917で制御PC106は、記録開始の指示に応じて記録を開始させる。
ステップS918で制御PC106は、記録終了の指示待ちを行う。記録終了の指示は、AOSLO記録ボタン520が押下され記録状態となっている場合において、再度AOSLO記録ボタン520が押下されることに応じて行われる。ステップS919で制御PC106は記録終了の指示に応じて、記録を終了する。
ステップS920で撮影情報取得部401は、撮影された被検者の識別情報とともに、顎受け108、ヘッド部102、フォーカスレンズ235−10,14,16,18、の位置情報を取得する。そして撮影パラメータ生成部402は、閾値以上の画質指標となった際の撮影パラメータ値を平均し、撮影パラメータとする。WFSLOの画質指標やAOSLOの画質指標、収差の値は、フォーカスレンズ、顎受け、ヘッド部の位置とともに時系列で記憶しておくこととする。画質指標には、時系列で記憶されるWFSLOやAOSLOの画質指標を用いることができる。
ステップS921で記憶部制御部403は、生成された撮影パラメータを被検者の識別情報及び左右眼の情報とともに記憶部410に記憶させる。本ステップにて、例えば測定光206−3を被検物に合焦させるためのフォーカスレンズ235−16の、収差を測定した際の位置を示す情報を、被検者の識別情報と関連付けて記憶部410に記憶させる。また例えば、AOSLO画像(第一の画像)の撮影する際の、AOSLO装置101のヘッド部(測定部)102の位置を示す情報と、顎受け108の位置を示す情報と、収差を測定するための測定光2063を被検眼に合焦させるためのフォーカスレンズ235−16の状態を示す情報と、AOSLO画像を撮影するための撮影光206−1を合焦させるためのフォーカスレンズ235−10の状態を示す情報と、AOSLO画像よりも広画角のWFSLO画像(第二の画像)を撮影するための撮影光206−2を合焦させるためのフォーカスレンズ235−14の状態を示す情報と、の少なくともいずれかを被検眼の識別情報と関連付けて記憶部410に記憶させる。
これにより、次回の撮影の調整時に記憶された撮影パラメータを利用することができ、撮影準備時間ひいては撮影サイクル時間の短縮につながる。
その他、上述の実施形態を適宜組み合わせたものについても、本発明の実施形態に含まれる。
あるいは、本発明の一部をプログラムとハードウェアとの協働により実現する場合も本発明の実施形態に含まれる。プログラムによる実施形態では、図8及び9に示す処理に対応するプログラム、ならびに図5及び6に示す表示画面に対応するプログラムを記憶部410に格納しておき、制御PC106のCPUがRAMに展開し、CPUでプログラムに含まれる指令を実行していくことにより達成される。
101 AOSLO装置
102 ヘッド部
103 ステージ部
104 顔受け部
105 液晶モニタ
106 制御PC

Claims (19)

  1. 被検物に照射した測定光の戻り光に基づいて収差を測定する測定装置であって、
    測定光の光源と、
    前記測定光を被検物に合焦させる合焦手段と、
    特定の被検物の識別情報に対応する前記合焦手段の位置を示す情報を記憶部から取得する取得手段と、
    前記取得された前記合焦手段の位置を示す情報に基づいて前記合焦手段の位置を制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする測定装置。
  2. 前記制御手段は、前記情報が示す前記合焦手段の位置を初期位置として合焦位置の探索を開始させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記合焦手段を経由した前記測定光に基づいて収差を測定する収差測定手段と、
    前記収差を測定した際の前記合焦手段の位置を示す情報を前記被検物の識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる記憶手段と、
    を有することを特徴とする請求項1または2に記載の測定装置。
  4. 前記制御手段は、合焦手段の位置の制御を継続して行い、
    前記測定された収差の値が特定の基準を満たす際の前記合焦手段の位置に基づいて前記記憶用の合焦手段の位置を示す情報を生成する生成手段と、
    を更に有することを特徴とする請求項3に記載の測定装置。
  5. 前記収差測定手段により測定された収差に基づいて前記収差を補正する補償光学系を更に有し、
    前記記憶手段は、前記測定された収差に基づいて状態が変更された後の前記補償光学系の状態を前記被検物の情報と関連付けて前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項3または4に記載の測定装置。
  6. 画像を撮影するための光を被検眼に照射する撮影光源と、
    前記撮影光源からの光を前記被検眼に合焦させる撮影光合焦手段と、
    前記撮影光合焦手段を経由した前記撮影光源からの光を検出して前記被検物の画像を得る撮影手段を更に有し、
    前記記憶手段は、前記画像の撮影の際の前記撮影光合焦手段の状態を前記被検物の識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の測定装置。
  7. 第一の画像を撮影するための第一の光を被検眼に照射する第一の撮影光源と、
    前記第一の撮影光源からの光を前記被検眼に合焦させる第一の撮影光合焦手段と、
    前記補償光学系及び前記第一の撮影光合焦手段を経由した前記第一の撮影光源からの光を検出して前記被検物の第一の画像を得る第一の撮影手段と、
    前記第一の画像よりも広画角の画像を撮影するための第二の光を被検眼に照射する第二の撮影光源と、
    前記第二の撮影光源からの光を前記被検眼に合焦させる第二の撮影光合焦手段と、
    前記第二の撮影光合焦手段を経由した前記第二の撮影光源からの光を検出して前記被検物の第二の画像を得る第二の撮影手段と、を有し、
    前記記憶手段は、前記第一の画像の撮影の際の前記第一の撮影光合焦手段の状態と、前記第二の画像の撮影の際の前記第二の撮影光合焦手段の状態とを前記被検物の識別情報と関連付けて前記記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする請求項5に記載の測定装置。
  8. 前記記憶手段は、前記画像の撮影の際の前記合焦手段の位置を前記被検物の識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする請求項6または7に記載の測定装置。
  9. 前記被検物は被検者の眼底であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の測定装置。
  10. 前記被検者の頭部の位置を調整するための調整部を更に有し、
    前記記憶手段は、前記測定の際の前記調整部の位置を前記被検物の識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
  11. 前記記憶手段は、前記被検者の被検眼の視度の情報を前記合焦手段の位置を示す情報として記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
  12. 少なくとも前記光源及び合焦手段を内蔵する測定部の前記被検物に対する位置を変更する変更手段を更に有し、
    前記記憶手段は、前記測定の際の前記測定部の位置を前記被検物の識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする請求項3乃至11のいずれか1項に記載の測定装置。
  13. 前記制御手段は、特定の被検物の識別情報に対応して前記記憶手段に記憶された情報に基づく制御を行うことを特徴とする請求項3乃至12のいずれか1項に記載の測定装置。
  14. 被検者の被検眼に照射する測定光を被検眼に合焦させる測定光合焦手段と、
    前記合焦手段を経由した測定光の戻り光に基づいて収差を測定する収差測定手段と、
    前記収差測定手段により測定された収差に基づいて前記収差を補正する補償光学系と、
    第一の画像を撮影するための第一の光を被検眼に照射する第一の撮影光源と、
    前記第一の撮影光源からの光を前記被検眼に合焦させる第一の撮影光合焦手段と、
    前記補償光学系及び前記第一の撮影光合焦手段を経由した前記第一の撮影光源からの光を検出して前記被検物の第一の画像を得る第一の撮影手段と、
    前記第一の画像よりも広画角の画像を撮影するための第二の光を被検眼に照射する第二の撮影光源と、
    前記第二の撮影光源からの光を前記被検眼に合焦させる第二の撮影光合焦手段と、
    前記第二の撮影光合焦手段を経由した前記第二の撮影光源からの光を検出して前記被検物の第二の画像を得る第二の撮影手段と、
    前記測定光合焦手段、前記収差測定手段、前記補償光学系、前記第一及び第二の撮影光源、前記第一の及び第二の撮影光合焦手段ならびに前記第一及び第二の撮影手段を内蔵する筐体と、
    前記筐体の位置を変更する変更手段と、
    前記被検者の頭部の位置を調整するための顎受け部と、
    前記第一の画像の撮影の際の、前記測定光合焦手段の状態、前記第一の撮影光合焦手段の状態、前記第二の撮影光合焦手段の状態、前記筐体の位置、及び前記顎受け部の位置の少なくともいずれかを前記被検眼の識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる記憶手段と、
    を有することを特徴とする眼科撮影装置。
  15. 前記記憶手段は、前記第一の画像の撮影の際の、前記測定光合焦手段の状態、前記第一の撮影光合焦手段の状態、前記第二の撮影光合焦手段の状態、前記筐体の位置、及び前記顎受け部の位置を前記被検眼の識別情報と関連付けて記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする請求項14に記載の眼科撮影装置。
  16. 前記記憶手段は、前記被検眼の視度の情報を前記測定光合焦手段の状態及び前記第二の撮影光合焦手段の状態を示す情報として記憶させるとともに、前記視度の情報とは別に前記第一の撮影光合焦手段の状態を示す情報を前記記憶部に記憶させる
    ことを特徴とする請求項15に記載の眼科撮影装置。
  17. 被検物に照射した測定光の戻り光に基づいて収差を測定する装置の制御方法であって、
    前記測定光を前記被検物に合焦させるための合焦手段の前記収差を測定した際の位置を示す情報を被検者の情報と関連付けて記憶部に記憶させるステップと、
    被検物の識別情報を取得するステップと、
    前記取得された被検物の識別情報を用いて該被検物に関連付けられた合焦手段の位置を示す情報を前記記憶部から取得するステップと、
    前記取得された合焦手段の位置を示す情報に基づいて前記測定光を合焦させる制御を指示するステップと、
    を有することを特徴とする制御方法。
  18. 収差を補正する収差補正デバイスを経由した光を照射することにより撮影される被検眼の第一の画像と、該第一の画像よりも広画角の第二の画像とを撮影するための、位置を変更可能な測定部と、被検者の頭部の位置を調整するための顎受けとを有する眼科撮影装置の制御方法であって、
    前記第一の画像の撮影する際の、眼科撮影装置の測定部の位置を示す情報と、顎受け部の位置を示す情報と、収差を測定するための測定光を被検眼に合焦させるための合焦手段の状態を示す情報と、第一の画像を撮影するための撮影光を合焦させるための合焦手段の状態を示す情報と、前記第一の画像よりも広画角の第二の画像を撮影するための撮影光を合焦させるための合焦手段の状態を示す情報と、の少なくともいずれかを前記被検眼の識別情報と関連付けて記憶部に記憶させるステップと、
    特定の被検眼の識別情報を用いて、前記被検眼に関連付けられた前記情報を前記記憶部から取得するステップと、
    前記情報に基づいて前記眼科撮影装置の各部を制御するステップと、
    を有することを特徴とする制御方法。
  19. 請求項17または18に記載の制御方法をコンピュータに実行させるための、コンピュータ読み取り可能なプログラム。
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