図面を参照しながら本発明を実施するための形態の一例を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本願の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更を行って実施することも可能である。
[実施例]
本実施例においては、眼科装置として、本発明を適用したAOSLO装置について説明する。このAOSLO装置は、補償光学系を備え、被検眼の眼底の高横分解能の平面画像(以下、AOSLO像という場合がある)の撮像を行う装置である。
また、AOSLO装置は、AOSLO像の取得を補助する目的で、広画角の平面画像(以下、WFSLO像という場合がある)の撮像を行うWFSLO部を備える。さらに、AOSLO装置は、測定光の入射位置を把握するための前眼部観察部、および撮像箇所を調整するために視線を誘導する固視灯部を備えている。
本実施例に係るAOSLO装置は、被検眼による光学収差を空間光変調器を用いて補正して平面画像を取得するため、被検眼の視度や、被検眼による光学収差による影響を軽減した良好な平面画像が得ることが可能となる。
本実施例では、高横分解能の平面画像を撮像するために、補償光学系を備えているが、高解像度を実現できる光学系の構成であれば、補償光学系を備えていなくてもよい。
<装置の全体構成>
図1を用いて、まず、本実施例におけるAOSLO装置101の概略構成について説明する。図1は本実施例におけるAOSLO装置101の全体の構成の一例を示す図である。図1(a)は、本実施例おけるAOSLO装置の上面図、図1(b)は本実施例におけるAOSLO装置101の側面図である。なお、本実施例では、顔受け部104側から見たAOSLO装置101を正面としている。
AOSLO装置101は、ヘッド部102、ステージ部103、顔受け部104、液晶モニター105、制御PC106およびジョイスティック107を備える。
ヘッド部102は、例えば被検眼を撮像する手段を備えており、主要な光学系が内蔵されている。内蔵されている光学系についての詳細は後述する。なお、本実施例においては、ヘッド部102は、ステージ部103上に設置される。
ステージ部103は、検査者によるジョイスティック107への操作に応じてヘッド部102を水平垂直方向に移動させる。例えば、ジョイスティック107を傾倒することによって水平方向(X,Z方向)に、ジョイスティック107を回転させることによって垂直方向(Y方向)にヘッド部102を移動できる。
顔受け部104は被検者の顔を乗せることが可能となっており、顔受け部104を移動させることにより被検眼の位置を調整することができる。具体的には、顔受け部104は、顎を乗せる顎受け108と電動ステージによって顎受け108を移動させる顎受け駆動部109とを備える。
液晶モニター105は、種々の情報を表示可能であり、例えばAOSLO装置101の操作画面を表示する。液晶モニター105は、表示手段の一例に相当する。なお、本実施例ではモニターとして液晶を用いているがこれに限定されるものではなく、情報を表示可能なものであればよい。また、液晶モニター105はタッチパネル機能を備えていてもよい。
制御PC106は、AOSLO装置101全体を制御する。
ジョイスティック107は、検査者からの指示を受け付ける。例えば、ジョイスティック107を傾倒することによって水平方向に、回転させることによって垂直方向にヘッド部102を移動できる。なお、液晶モニター105がタッチパネル機能を備え、タッチパネルによりヘッド部102を移動させることが可能な場合にはジョイスティック107を設けないこととしてもよい。
ここで、ヘッド部102の側面に液晶モニター105が備えられているが、これに限定されるものではなく、ヘッド部102の背面など他の位置に液晶モニター105を設けることとしてもよい。さらに、液晶モニター105の位置は固定であってもよいし、移動可能に構成してもよい。また、制御PC106はヘッド部102の外部に設けられているが、これに限定されるものではなくヘッド部102またはステージ部103の内部に設けられることとしてもよい。また、ジョイスティック107はヘッド部102の側面に備えられているが、これに限定されるものではなくヘッド部102の背面など他の位置に備えられることとしてもよい。
<光学系の構成>
次に、図2を用いて、ヘッド部102に内蔵される光学系について、具体的に説明する。なお、図2に示す光学系は全てヘッド部102に内蔵されなくともよい。例えば、ヘッド部102およびステージ部103に図2に示す光学系が内蔵されることとしてもよい。図2は、本実施例におけるAOSLO装置101の光学系の構成の一例を示す図である。
なお本実施例では、光学系の全体を主にレンズを用いた屈折光学系を用いて構成しているが、レンズの代わりに球面ミラーを用いた反射光学系によっても構成することができる。
図2に示す光学系は、AOSLO部、ビーコン部、WFSLO部、固視灯部および前眼部観察部を備える。
AOSLO部は、光源201−1、シングルモードファイバー230−1、230−3、230−4、光ファイバー230−2、光カプラー231、偏光コントローラ253−2、253−24およびシャッター291−1を備える。さらに、AOSLO部は、レンズ235−1、235−5、235−6、235−7、235−8、235−9、235−10、ビームスプリッタ258−1、空間光変調器259、XYスキャナ219−1を備える。また、AOSLO部は、ダイクロイックミラー270−1、電動ステージ217−1、光量測定装置264およびディテクター238−1を備える。
ビーコン部は、光源201−3、レンズ235−5、235−6、235−7、235−8、235−9、235−10、235−15、235−16、XYスキャナ219−1、空間光変調器259、ピンホール298を備える。さらに、ビーコン部は、シャッター291−3、ダイクロイックミラー270−1、270−2、270−4、電動ステージ217−1、217−3、ビームスプリッタ258−1および波面センサ255を備える。
WFSLO部は、光源201−2、レンズ235−2、235−3、235−4、235−11、235−12、235−13、235−14、ビームスプリッタ258−2、XYスキャナ219−2を備える。さらにWFSLO部は、電動ステージ217−2、ダイクロイックミラー270−1、270−2、270−3、シャッター291−2およびディテクター238−2を備える。
固視灯部は、固視灯256、レンズ235−17、235−18、ダイクロイックミラー270−1、270−2、270−3、電動ステージ217−4を備える。
前眼観察部は、前眼部照明光源201−4、ダイクロイックミラー270−1、270−2、207−4、レンズ235−19、235−20およびCCDカメラ260を備える。
<AOSLO部>
AOSLO部は、AOSLO像を取得する。
まず、光源201−1について説明する。光源201−1は、代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。一例として光源201−1から射出される光の中心波長は840nm、バンド幅(半値全幅)50nmである。この中心波長等の値は、例えば被検眼(水晶体、硝子体等)による光の吸収による損失を考慮して定められる。なお、一般的に840nm付近は光の吸収による損失が近接する波長に比べ少ない。ここでは、スペックルノイズの少ない平面画像を取得するために低コヒーレント光源を選択している。また、光源の種類は、ここでは、SLDを選択したが低コヒーレント光が出射できればよくASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。
また、波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。さらに、波長は得られる平面画像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは一例として840nmとするが、観察対象の測定部位によっては他の波長を選んでも良い。
光源201−1から出射された光は、シングルモードファイバー230−1と光カプラー231とを介して、参照光205と測定光206−1とに90:10の割合で分割される。具体的には、光源201−1から出射した光は、光カプラー231によって参照光205と測定光206−1とに分割される。なお、光カプラー231による分岐比は上述の値に限定されるものではない。
<参照光205>
次に、参照光205の光路について説明する。
光カプラー231によって分割された参照光205は、光の偏光を制御する偏光コントローラ253−2を備える光ファイバー230−2を介して、光量測定装置264に入射される。光量測定装置264は参照光205の光量を測定し、測定光206−1の光量をモニターする用途に用いられる。例えば、光量測定装置264の測定値が所定の閾値を超えた場合、制御PC106は安全な光量を超えたと判断して光源201−1から射出される光の被検眼への入射を制限する。
<測定光206−1>
次に、測定光206−1の光路について説明する。
光カプラー231によって分割された測定光206−1は、光の偏光を制御する偏光コントローラ253−4を備えるシングルモードファイバー230−4を介してレンズ235−1に導かれる。そして、レンズ235−1によって測定光206−1は例えばビーム径4mmの平行光になる。なお、ビーム径の値は例示であり、この値に限定されるものではない。その後、測定光206−1はシャッター291−1を介してビームスプリッタ258−1に到達する。シャッター291−1は、光源201−1から射出された光を被検眼207に入射させるか否かを制御することができる。
測定光206−1は、ビームスプリッタ258−1を通過し、レンズ235−5〜6を通過し、空間光変調器259に入射する。なお、ビームスプリッタ258−1は、光源201−1から被検眼207へ向かう光および光源201−1による被検眼207からの戻り光を透過する一方、光源201−3から射出されて被検眼207から戻る光を波面センサ255へ反射する。すなわち、ビームスプリッタ258−1は波長800〜880nmの光を透過し、他の波長の光を反射する特性を有する。
また、本実施例では、収差補正デバイスとして反射型の空間光変調器を用いたが、透過型の空間光変調器や、可変形状ミラーを用いてもよい。
ここで、空間光変調器259は、制御PC106からドライバ部281内の空間光変調器駆動ドライバ288を介して制御される。すなわち、空間光変調機駆動ドライバ288は空間光変調器259と電気的に接続されている。なお、図2においてドライバ部281は制御PC106の外部に設けられているが、制御PC106の内部に備えられることとしてもよい。
測定光206−1は、空間光変調器259にて変調され、レンズ235−7〜8を通過し、XYスキャナ219−1のミラーに入射される。ここでは、簡単のため、XYスキャナ219−1は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャナとYスキャナとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜227上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。また、測定光206−1の中心は、XYスキャナ219−1のミラーの回転中心と一致するように調整されている。
ここで、Xスキャナは測定光206−1を紙面の水平方向に走査するスキャナであり、ここでは共振型スキャナを用いている。例えば、Xスキャナの駆動周波数は約7.9kHzである。またYスキャナは、測定光206−1を紙面に垂直な方向に走査するスキャナであり、ここではガルバノスキャナを用いている。駆動波形は例えばのこぎり波であり、例えば、周波数は32Hz、デューティ比は16%である。Yスキャナの駆動周波数は、AOSLO像の撮像のフレームレートを決定する重要なパラーメーターである。なお、Yスキャナの駆動周波数を変えることにより、AOSLO像の撮像のフレームレートを変えることができる。
ここで、XYスキャナ219−1は制御PC106からドライバ部281内の光スキャナ駆動ドライバ282を介して制御される。すなわち、光スキャナ駆動ドライバ282はXYスキャナ219−1と電気的に接続されている。
XYスキャナ219−1により走査された測定光206−1は、レンズ235−9〜10およびダイクロイックミラー270−1を介して観察対象である被検眼207に導かれる。すなわち、XYスキャナ219−1は、測定光を被検眼に対して走査する走査手段の一例に相当する。
レンズ235−9〜10は、網膜227を走査するための光学系であり、測定光206−1を被検眼207の瞳孔中心を支点として、網膜227をスキャンする役割がある。
ここで、測定光206−1のビーム径は4mmであるが、より高分解能な光画像を取得するためにビーム径をより大径化してもよいし、高分解能を必要としない場合にはビーム径を4mm未満としてもよい。すなわち、ビーム径は4mmに限定されるものではない。
また、217−1は電動ステージであり、矢印で図示している方向に移動することで付随するレンズ235−10の位置を動かし、フォーカスを調整することができる。
ここで、電動ステージ217−1は、制御PC106からドライバ部281内の電動ステージ駆動ドライバ283を介して制御される。すなわち、電動ステージ駆動ドライバ283は電動ステージ217−1と電気的に接続されている。レンズ235−10の位置を調整することで、被検眼207の網膜227の所定の層に、測定光206−1を合焦し観察することが可能になる。また、被検眼207が屈折異常を有している場合にも対応できる。
レンズ235−10を通過した測定光206−1はダイクロイックミラー270−1を介して被検眼へ入射する。
ここで、ダイクロイックミラー270−1は、光源201−1から被検眼へ向かう光および光源201−1から射出されて被検眼から戻ってくる光を透過する。一方、ダイクロイックミラー270−1は、201−2から被検眼へ向かう光および光源201−2から射出されて被検眼から戻ってくる光、前眼部照明光源201−4から射出されて被検眼から戻ってくる光を反射する。また、ダイクロイックミラー270−1は、固視灯256からの光を反射する。さらに、ダイクロイックミラー270−1は、光源201−3から被検眼へ向かう光および光源201−3から射出されて被検眼から戻ってくる光については、例えば半分反射し半分透過する。なお、反射と透過の比率は1:1に限定されるものではない。すなわち、ダイクロイックミラー270−1は波長800〜880nmの光を透過するとともに、波長750〜770nm程度の光は半分透過し半分反射する特性を有する。このダイクロイックミラー270−1により、光源201−1および光源201−3から射出される光と他の光源から射出される光とを分離することが可能となる。
測定光206−1は、被検眼207に入射すると、網膜227からの反射や散乱により、戻り光208となり上記の光路を逆行し、再び光カプラー231に導かれる。そして、シングルモードファイバー230−3を介してディテクター238−1に到達する。すなわち、空間光変調器259は、被検眼によって生じる、被検眼に照射された測定光の被検眼からの戻り光の収差を前記収差測定手段により測定された収差に基づいて補正する補正手段の一例に相当する。ディテクター238−1は、例えば高速・高感度な光センサであるAPD(Avalanche Photo Diode)やPMT(Photomultiplier Tube)が用いられるが、これらに限定されるものではない。ディテクター238−1は戻り光208の光強度を電圧に変換し、制御PC106はこの電圧信号を用いて、被検眼207の平面画像を構成する。すなわち、ディテクター238−1は、被検眼からの戻り光を受光する受光手段の一例に相当する。
<WFSLO部>
次に、WFSLO部について説明する。WFSLO部はWFSLO像を取得する。なお、WFSLO部は基本的にAOSLO部と同様の構成となっているため、重複する部分ついては簡単のため説明を省略する。
WFSLO部は光源201−2を備える。光源201−2は、AOSLO部と同様にSLDである。光源201−2から射出される光の中心波長は例えば920nm、バンド幅20nmである。なお、光源の種類は、ここでは、SLDを選択したが低コヒーレント光が出射できればよくASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。また、光源201−2から射出される光の波長やバンド幅は上記の値に限定されるものではなく、他の値とすることも可能である。
光源201−2から射出された測定光206−2の光路について説明する。光源201−2から射出された測定光206−2は、シャッター291−2、レンズ235−2、レンズ235−11〜14、ビームスプリッタ258−2、XYスキャナ219−2、ダイクロイックミラー270−1〜3等を介して観察対象である被検眼207に導かれる。なお、シャッター291−2は、光源201−3から射出された光を被検眼207に入射させるか否かを制御することができる。
ここで、ビームスプリッタ258−2は、光源201−2から被検眼へ向かう光を透過する一方、光源201−2から射出されて被検眼から戻ってくる光をディテクター238−2へ反射する。
さらに、ダイクロイックミラー270−2は、光源201−2から被検眼へ向かう光、光源201−2から射出されて被検眼から戻ってくる光および固視灯256からの光を透過する。一方、光源201−3から被検眼へ向かう光および光源201−3から射出されて被検眼から戻ってくる光を反射する。また、ダイクロイックミラー270−2は前眼部照明光源201−4から射出され被検眼207から戻ってくる光を反射する。すなわち、ダイクロイックミラー270−2は波長700〜880nmの光を反射し、他の波長の光を透過する特性を有する。このダイクロイックミラー270−2により、光源201−3および前眼部照明光源201−4から射出される光と光源201−2および固視灯256から射出される光とを分離することが可能となる。
また、ダイクロイックミラー270−3は、光源201−2から被検眼へ向かう光、光源201−2から射出されて被検眼から戻ってくる光および固視灯256からの光を透過する。一方、固視灯256から被検眼へ向かう光を反射する。すなわち、ダイクロイックミラー270−3は波長700nm以上の光を透過し、他の波長の光を反射する特性を有する。このダイクロイックミラー270−3により、固視灯256から射出される光と光源201−2から射出される光とを分離することが可能となる。
なお、図2においては簡単のため、XYスキャナ219−2は一つのミラーとして記したが、実際にはXスキャナとYスキャナとの2枚のミラーが近接して配置され、網膜227上を光軸に垂直な方向にラスタースキャンするものである。
ここで、XYスキャナ219−2の構成要素であるXスキャナは、測定光206−2を紙面の水平方向に走査するスキャナであり、ここでは共振型スキャナを用いている。例えば駆動周波数は約3.9kHzである。また、Yスキャナは測定光206−2を紙面に垂直な方向に走査するスキャナであり、ここでは、ガルバノスキャナを用いている。駆動波形は例えばのこぎり波であり、例えば、周波数は15Hz、デューティ比は16%である。Yスキャナの駆動周波数は、WFSLO像のフレームレートを決定する重要なパラーメーターである。なお、XYスキャナ219−2は制御PC106からドライバ部281内の光スキャナ駆動ドライバ282を介して制御される。すなわち、光スキャナ駆動ドライバ282はXYスキャナ219−2と電気的に接続されている。
ここで、測定光206−2のビーム径は1mmとなるように光学系は構成さされている。しかし、より高分解能な光画像を取得するために、ビーム径をより大径化してもよいし、高分解能を必要としない場合には1mm未満としてもよい。すなわち、ビーム径は1mmに限定されるものではない。
測定光206−2は、被検眼207に入射すると網膜227からの反射や散乱により戻り光208となりダイクロイックミラー270−1〜3、レンズ235−13〜14、レンズ235−2〜4、XYスキャナ219−2、ビームスプリッタ258−2等を介してディテクター238−2に到達する。
<ビーコン部>
次に、被検眼207にて発生する収差を測定するためのビーコン部について説明する。
ビーコン部は、光源201−3を備える。光源201−3から射出される光の中心波長は760nm、バンド幅は20nmである。なお、光源201−3から射出される光の中心波長やバンド幅は上記の値に限定されるものではなく、他の値とすることも可能である。
光源201−3から射出された測定光206−3は、シャッター291−3、レンズ235−15〜16、ダイクロイックミラー270−1、270−2、270−4を介して観察対象である被検眼207に導かれる。ここで、測定光206−3は、角膜226からの反射を避けるために、例えば被検眼207の中心から偏心して入射される。シャッター291−3は、光源201−3から射出された光を被検眼207に入射させるか否かを制御することができる。
ここで、ダイクロイックミラー270−4は、光源201−3から被検眼207へ向かう光を透過する一方、前眼部照明光源201−4から射出されて被検眼から戻ってくる光をCCDカメラ260へ反射する。すなわち、ダイクロイックミラー270−4は波長750nm以上の光を透過し、他の波長の光を反射する特性を有する。このダイクロイックミラー270−4により、前眼部照明光源201−4から射出される光と光源201−3から射出される光とを分離することが可能となる。
光源201−3による戻り光208の一部は、ビームスプリッタ258−1、ピンホール298を介して、波面センサ255に入射され、被検眼207で発生する戻り光208の収差が測定される。すなわち、波面センサ255は第1の測定光の前記被検眼からの戻り光を用いて前記被検眼による収差を測定する収差測定手段の一例に相当する。ここで、ピンホール298は、戻り光208以外の不要光を遮蔽する目的で設置されている。なお、波面センサ255は、制御PC106に電気的に接続されている。
波面センサ255は、シャックハルトマン方式の波面センサであり、測定レンジは例えば−10D〜+5Dとなっている。得られた収差は、ツェルニケ多項式を用いて表現され、これは被検眼207による収差を示している。ツェルニケ多項式はチルト(傾き)の項、デフォーカスの項、アスティグマ(非点収差)の項、コマの項、トリフォイルの項等からなる。
ここで、角膜226とXYスキャナ219−1と波面センサ255と空間光変調器259とは光学的に共役になるようレンズ235−5〜10等が配置されている。そのため、波面センサ255は、被検眼207による収差を測定することが可能になっている。また、空間光変調器259は被検眼207による収差を補正することが可能になっている。
<固視灯部>
固視灯256からの光束257は、被検眼207の固視あるいは回旋を促す役割を有する。
固視灯256は、発光型のディスプレイモジュールからなり表示面(□27mm、128×128画素)をXY平面に有する。ここでは、液晶、有機EL、LEDアレイ等を用いることができる。被検眼207が、固視灯256からの光束257を注視することで、被検眼207の固視あるいは回旋が促される。固視灯256の表示面には例えば図3に示すように、任意の点灯位置265に十字のパターンが点滅して表示される。固視灯256から射出される光束257は、可視光である。なお、図4に示すように、光束257の一部の波長(例えば、可視光に含まれる赤の波長)は700nm以上となっている。
固視灯256からの光束257は、レンズ235−17〜18、ダイクロイックミラー270−1〜3を介して網膜227に導かれる。また、レンズ235−17、18は、固視灯256の表示面と網膜227とが光学的に共役になるよう配置される。また、固視灯256は、制御PC106からドライバ部281内の固視灯駆動ドライバ284を介して制御される。すなわち、固視灯駆動ドライバ284は固視灯256と電気的に接続されている。
なお、固視灯256の表示面の大きさや画素数は上記の値に限定されるものではなく、他の値とすることが可能である。また、上記の例では固視のパターン十字としたが、これに限定されるものではなく、他の形状としてもよい。
<前眼部観察部>
次に、前眼部観察部について説明する。前眼観察部は被検眼の前眼部像を取得する。
前眼部照明光源201−4は例えば中心波長740nmのLED(Light Emitting Diode)である。また例えば、バンド幅は数十nmである。なお、中心波長やバンド幅はこれらの値に限定されるものではない。前眼部照明光源201−4から照射された光は、被検眼207を照らし、その反射光がダイクロイックミラー207−1、2、4、レンズ235−19、20を介してCCDカメラ260に入射する。
<フォーカス、乱視補正>
以上のように、ヘッド部102に内蔵される光学系は、AOSLO部、WFSLO部、ビーコン部、固視灯部、前眼部観察部を備える。この中でAOSLO部、WFSLO部、ビーコン部、固視灯部はそれぞれ個別に電動ステージ217−1〜4を持ち、4つの電動ステージを連動させて動かしている。ただし、個別にフォーカス位置を調整したい場合には、個別に電動ステージを動かすことで調整可能である。
また、235−10のレンズは交換可能になっており、被検眼207による収差(屈折異常)に合わせて球面レンズやシリンドリカルレンズを用いることができる。また1個のレンズに限らず、複数のレンズを組み合わせて設置することも可能である。
<シャッター>
AOSLO部、WFSLO部、ビーコン部は、光源201−1〜3の光路上に、シャッター291−1〜3をそれぞれ備え、それぞれのビームを個別に遮断し、被検眼207に入射させるか否かを制御することができる。シャッター291−1〜3の開閉の制御は制御PC106(駆動・制御手段114)により行われる。
なお、本実施例においては、被検眼207へ入射するビームの制御に、シャッターを用いたが、これに限らず、ミラー等で光路を変更することにより被検眼207へ入射するビームを制御してもよい。また、光源201を直接ON/OFFすることにより被検眼207へ入射するビームを制御することもできる。さらに、シャッターに代えて減衰フィルタ設け、光路に挿脱することで被検眼207への入射と入射の制限とを切り替えることとしてもよい。同様に、前眼観察部、固視灯部についても、光源201−4および発光型のディスプレイモジュールのON/OFFにより制御可能である。なお、シャッター291−1〜3を用いる場合、光源201−1〜3を点灯したまま被検眼207への光の入射を制御できる。従って、測定光の被検眼207への入射の制限を解除する際に、光源201−1〜3を消灯してから安定して光を射出するまでの時間が不要となり迅速な制御が可能となる。なお、ミラーやフィルタを用いた場合も同様の効果を得ることが可能である。
また、シャッター291−1〜3の開閉状態は、後述する表示制御手段112によって制御ソフト画面(図7)のシャッター状態表示領域509に表示される。シャッターの開閉状態を表示することにより、検者は、測定光206−1〜3のいずれが、被検眼207に照射されているかを明確かつ容易に知ることができる。これにより撮像操作の確実性が向上する。
<各光源の波長>
AOSLO部、WFSLO部、ビーコン部、固視灯部、前眼部観察部に用いられている光源の波長分布の一例を図4に示す。それぞれの光をダイクロイックミラー270−1〜4で分けることを可能とするために、それぞれ異なる波長帯になるようにしている。
被検眼の眩しさを低減するために、光源201−1〜4から射出される光の波長は700nm以上の赤外光であることが望ましい。ビーコン部の光源201−3については高い画質は求めておらずハルトマン像が得られればよいため光源201−1,201−2に比べて光量は少なくて良い。従って、光源201−3から射出される光の波長は可視光領域に近くても被検者に与える影響は比較的小さく、光源201−3から射出される光の波長は可視光領域に近くても良い。また,ディテクター238−1〜2に通常用いられるセンサはシリコンセンサでありシリコンセンサは1000nm付近では極端に感度が低くなるため光源201−1〜4から射出される光の波長は1000nm以下であることが望ましい。また、AOSLO装置101はAOSLO像を得ることを目的としており、所望AOSLO像を得る補助としてWFSLO像を用いている。従って、最終的に得たいAOSLO像を高分解能で得るため、光源201−1から射出される光の波長を光源201−2から射出される光の波長よりも短くしている。また、上述のように眼の特性により光源201−1の中心波長は840nm付近にすることが望ましい。
従って、眼底観察用のAOSLO装置101の場合、短波長側からビーコン部、AOSLO部,WFSLO部の順に配置し、ダイクロイックミラーで分離しやすいようにそれぞれの中心波長の間隔を開けると良い。
さらに、前眼部照明光源201−4から射出される光により得られる前眼部像は、ヘッド部102の初期の位置合わせに用いられるものである。なお、ヘッド部102の位置合わせはWFSLO像を見ながらも行われる。一方、光源201−3から射出される光は、最終的に得たいAOSLO像を高分解能で得るために必要な収差を測定するために用いられる。従って、前眼部照明光源201−4より光源201−3の光量を多くして精度高く収差を測定するため、前眼部照明光源201−4より光源201−3の波長を長くすることで、被験者に与える負担を軽減しつつ精度高く収差を測定することが可能となる。また、ヘッド部102の初期の位置合わせに用いる前眼部像が取得できればよいため、前眼部照明光源201−4の光量は他の光源に比べて小さくてもよい。なお、前眼部照明光源201−4の中心波長と光源201−2の中心波長とを入れ替えると、被検眼上で走査される光を射出する光源201−2の中心波長が可視光の波長に近づく。これにより、走査時に被検眼が光の軌跡を追ってしまい、固視が安定しなくなってしまう。従って、前眼部照明光源201−4の中心波長と光源201−2の中心波長とは上記の如き条件となっている。
ここで、中心波長同士の間隔は、隣り合う光源の半値全幅の2分の1の和の2倍以上であることが望ましい。本実施例において、光源201−1と光源201−2の中心波長の間隔を80nm、また、光源201−1と光源201−3の中心波長の間隔も80nmとしている。光源201−1〜3の半値全幅はそれぞれ50nm、20nm、20nmであるため、光源201−1と光源201−2の半値全幅の2分の1の和の2倍は70nm、光源201−1と光源201−3の半値全幅の2分の1の和の2倍も70nmとなり、中心波長の間隔をこれらの値よりも大きく設定した。こうすることで,それぞれの光の損失を極力抑えることができる。以下、波長の決定工程を含む波長決定方法を具体的に説明する。波長分布が一般的にガウス分布だとすると、ガウス分布のピーク(強度のピーク)の2分の1の位置におけるガウス分布の幅は半値全幅といわれ、この半値全幅の2倍の幅の位置での強度はガウス分布のピーク値の16分の1になる。言い換えれば、全光量の95%以上はガウス分布の幅が半値全幅の2倍未満の部分に含まれることとなる。従って、上記のように中心波長同士の間隔を隣り合う光源の半値全幅の2分の1の和の2倍以上にすることで光源間の波長の重なりを起こりづらくすることが可能となる。また、中心波長同士の間隔を隣り合う光源の半値全幅の2分の1の和の2倍にすれば、光源間の波長の重なりを回避しつつ中心波長の間隔を小さくすることが可能となり波長を有効に利用することができる。従って、分解能を上げるために極力短い波長を用いることができる。
また、上記の例では、中心波長同士の間隔を、隣り合う光源の半値全幅の2分の1の和の2倍以上とすることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、nを自然数として、中心波長同士の間隔を隣り合う光源の半値全幅のn分の1の和のn倍以上とすることとしてもよい。なお、上記の例ではn=2である。すなわち、中心波長の間隔は、隣り合う複数の測定光のそれぞれの半値全幅のn(nは自然数)分の1の値の和のn倍の値に基づいて決定される。具体的には、中心波長の間隔は、隣り合う複数の測定光のそれぞれの半値全幅のn分の1の値の和のn倍の値以上とする。
なお、中心波長の間隔を決定するのに用いる波長幅は半値全幅でなくともよく、任意の波長幅を用いることとしてもよい。例えば上記の除算を省くため最初から半値全幅の半分の波長幅を用いてもよいし、波長全幅の近傍の波長幅を用いることとしてもよい。すなわち、中心波長の間隔は、隣り合う複数の測定光のそれぞれの波長幅に基づいて決定されることとしてもよい。
さらに、中心波長同士の間隔を隣り合う光源の半値全幅の2分の1の和の2倍にする場合には光源間の波長の重なりが中心波長同士の間隔を隣り合う光源の半値全幅の2分の1の和の2より大きくする場合に比べ多くなる。この場合には、重なりあう部分の波長を減衰させる減衰フィルタを設けることとし、波長の重なりによる影響を低減させるようにしても良い。例えば、中心波長同士の間隔が狭くなる程波長の重なる部分が多くなるため、中心波長同士の間隔が狭くなる程広い範囲の波長を減衰させる減衰フィルタを用いることとしてもよい。なお、中心波長同士の間隔と減衰させる波長範囲とを関連付けたテーブルを備え、このテーブルを制御PC106が参照することで図示しない減衰フィルタを例えば被検眼207の手前または光源のそれぞれ等、光路中の任意の位置に挿脱する。このように減衰フィルタを用いることにより、中心波長同士をより近づけることが可能となり波長をより有効に利用することが可能となる。
また、光源201−3の中心波長と光源201−4の中心波長との間隔については、上記と同様の方法で間隔を決定してもよいし、決定しなくてもよい。中心波長の間隔を上記のように決定しなくてもよいのは、前眼部画像は他の画像に比べ精度を必要としないためである。
なお、図4は各光源の波長の違いを示すものであり、その強度およびスペクトル形状を規定するものではない。
<画像化>
次に、撮像画像の構成方法について説明する。
ディテクター238−1において、入射された光は光の強度が電圧に変換される。ディテクター238−1で得られた電圧信号は、制御PC106内のADボード276−1にてデジタル値に変換され、制御PC106にて、XYスキャナ219−1の動作や駆動周波数と同期したデータ処理が行われ、AOSLO像が形成される。ここで、ADボード276−1の取り込み速度は例えば15MHzである。同様に、ディテクター238−2で得られた電圧信号は、制御PC106内のADボード276−2にてデジタル値に変換され、制御PC106にてWFSLO像が形成される。
ここで、フレームレートf(Hz)で画素数N(画素)の画像を撮像する場合のサンプリング周波数は、f×N(Hz)となる。信号強度の劣化を低減して(好ましくは信号強度を損なうことなく)撮像するためには、サンプリング周波数はディテクター238−1のカットオフ周波数fc(Hz)より小さくしなければならない。したがって、
f×N<fc・・・(式1)
となり、この式をもとに、目的に応じてフレームレートfと画素数Nを調整すれば良い。すなわち、記憶手段に記憶された組み合わせにおけるフレームレートと画素数との積は、受光手段の遮断周波数よりも小さい。なお、ディテクター238−1のカットオフ周波数fc(Hz)を基準としてサンプリング周波数を定めているが、これに限定されるものではない。例えば、信号強度の劣化を確実に防止するためにカットオフ周波数より低い周波数を基準としてもよいし、信号強度の劣化をある程度許容できる場合はカットオフ周波数より高い周波数を基準にしてもよい。すなわち、記憶手段に記憶された組み合わせにおけるフレームレートと画素数とは、受光手段の周波数特性に基づいて定められた値である。
本実施例のAOSLO装置においては、後述する図7に示す撮像条件設定ボタン523でフレームレートが選択できる構成になっている。例えば、フレームレートは32Hz、64Hz、120Hzから選択可能となっている。また、画素数は例えば、縦400画素が固定で、横画素数は、32Hzのとき400画素、64Hzのとき200画素、120Hzのとき100画素である。なお、フレームレートは上記の値に限定されるものではなく、他の値としてもよい。また、画素数も上記の値に限定されるものではなく、他の値としてもよい。さらに、縦400画素を固定としているが、これに限定されるものではなく、横の画素を固定としてもよい。また、フレームレートと画素数との組み合わせは上記の組み合わせに限定されるものではなく、他の値の組み合わせとしてもよい。
ここで、ディテクター238−1のカットオフ周波数が例えば15MHzである場合、上記のフレームレートと画素との組み合わせはそれぞれ
32×400×400=5,120,000<15,000,000
64×400×200=5,120,000<15,000,000
120×400×100=4,800,000<15,000,000
と(式1)の条件を十分に満足するように決められている。このように選択肢を決めておくことで、信号強度の低下を引き起こす組み合せを避けることができる。
<制御PC106>
制御PC106の機能の一例について説明する。図5は、制御PC106の機能の一例を模式的に示す図である。
制御PC106はCPU等の処理部がメモリ等の記憶装置に格納された所定のプログラムを実行することで、ソフト制御手段110、画像生成手段111、表示制御手段112、収差決定手段113および駆動・制御手段114として機能する。
ソフト制御手段110は、測定用の制御ソフトおよびビューワーソフトの起動および停止を制御する。例えば、ソフト制御手段110は、AOSLO装置101の電源が投入された場合または制御用ソフトの実行ファイルが検査者により指定された場合に測定用の制御ソフトを起動する。また、ソフト制御手段110はビューワーソフトの実行ファイルが検査者により指定された場合にビューワーソフトを起動する。さらに、検査者によりソフトの終了の指示があった場合、ソフト制御手段110は測定用の制御ソフトおよびビューワーソフトを停止させる。なお、制御ソフトおよびビューワーソフトは制御PC106が備えるメモリ等の記憶手段に記憶されていてもよいし、制御PC106と無線または有線を介して通信可能な外部の記憶手段に記憶されていてもよい。
画像生成手段111は、各種の画像を生成する。例えば、画像生成手段111はADボード276−1の出力に基づいてAOSLO像を生成する。すなわち、収差が補正された被検眼からの戻り光を用いて、複数の組み合わせのうち1の組み合わせにおけるフレームレートおよび画素数で前記画像を取得する取得手段の一例に相当する。また、画像生成手段111は、ADボード276−2の出力に基づいてWFSLO像を生成する。また、画像生成手段111は波面センサ255の出力に基づいてハルトマン像を生成する。さらに、画像生成手段111は、CCDカメラ260の出力に基づいて前眼部像を生成する。
表示制御手段112は、画像生成手段111によって生成された画像等の各種の情報を液晶モニター105に表示させる。また、表示制御手段は、収差決定手段113により決定された収差のグラフや値を液晶モニター105に表示させる。
さらに、表示制御手段112は、シャッター291−1〜3の開閉状態を、シャッター状態表示領域509に表示させる。
ここで、シャッター状態表示領域509に表示させる情報は、シャッターの開閉状態に限定されるものではない。例えば、被検眼への測定光の入射状態を示す情報であればよく、シャッターの代わりにフィルタが用いられている場合にはフィルタが光路に挿入されているか離脱しているかを示す情報を表示することとしてもよいし、測定光が入射されているか否かを示す情報を表示することとしてもよい。
収差決定手段113は、波面センサ255の出力に基づいて被検眼207における収差を決定する。具体的には、収差決定手段113、ハルトマン像から被検眼207における収差を決定する。
駆動・制御手段114は、各種の可動部材を駆動する。具体的には、駆動・制御手段114は光スキャナ駆動ドライバ282を介してXYスキャナ219−1、219−2を駆動する。すなわち、駆動・制御手段114は、複数の組み合わせのうち1の組み合わせにおけるフレームレートで画像が取得されるように走査手段を制御する制御手段の一例に相当する。また、駆動・制御手段114は電動ステージ駆動ドライバ283を介して電動ステージ217−1〜4を駆動する。さらに、駆動・制御手段114は、固視灯駆動ドライバ284を介して固視灯256を駆動する。具体的には駆動・制御手段114は、点灯位置265の移動、点灯、点滅の切り替え、大きさや形状の変更を制御する。また、駆動・制御手段114は空間光変調器駆動ドライバ288を介して空間光変調器259を制御する。具体的には、駆動・制御手段114は収差決定手段113により決定された収差に基づいて空間光変調器259を制御することで被検眼207による収差を補正する。より具体的には、駆動・制御手段114は収差を低減するように空間光変調器259を制御する。
さらに、駆動・制御手段114は検査者の入力に応じて顎受け駆動部109を介して顎受け108を駆動する。
また、駆動・制御手段114はシャッター291−1〜3の開閉を制御する。さらに、駆動・制御手段114は光源の点灯および消灯を制御する。。
<撮像手順>
次に、本実施例のAOSLO装置101における撮像手順について図6および図7を用いて説明する。図6は本実施例におけるAOSLO装置の動作の一例を示すフローチャートである。図7は本実施例において液晶モニター105に表示されるAOSLO装置101の制御画面の一例を示す図である。
以下に、フローチャートの各ステップについて詳しく述べる。なお、初期状態においてシャッター291−1〜3は全て閉じているものとする。
まず、制御PC106を含むAOSLO装置101の電源が投入されるとAOSLO装置101による各処理がスタートする。
[ステップS1]
制御PC106を含むAOSLO装置101の電源が入ると、ソフト制御手段110は測定用の制御ソフトを起動する。測定用の制御ソフトが起動すると、表示制御手段112によって図7に示す制御ソフト画面が液晶モニター105に表示される。なお、測定用の制御ソフトが起動した後に被検者に顔を顔受け部104にセットしてもらう。
ここで、図7に示す制御画面の一例について説明する。なお、図7に示す制御ソフトの画面構成は一例であり、図7に示す例に限定されるものではない。すなわち、制御画面の配置等は任意に変更可能である。
図7に示す制御画面は、実行ボタン501、STOPボタン502、電動ステージボタン503、フォーカス調整ボタン504、WFSLO測定505、収差測定ボタン506、AOSLO測定ボタン507を備える。
さらに、図7に示す制御画面は、収差補正一時停止ボタン508、シャッター状態表示領域509、収差表示領域511、前眼部表示領域512、固視灯位置表示領域513、波面表示領域514、WFSLO表示領域515を備える。
また、図7に示す制御画面は、WFSLO強度表示領域516、WFSLO記録ボタン517、AOSLO表示領域518、AOSLO強度表示領域519、AOSLO記録ボタン520、自動フォーカスボタン521を備える。
さらに、図7に示す制御画面は、収差補正ボタン522、撮像条件設定ボタン523、深さ調整ボタン524を備える。
実行ボタン501がマウス等の指示手段により選択(例えばクリック)された後、駆動・制御手段114により前眼部照明光源201−4が点灯し前眼部照明光源201−4から射出された光が被検眼207に入射する。そして、表示制御手段112は前眼部表示領域512にCCDカメラ260の出力に基づいて生成された前眼部像を表示する。
なお、実行ボタン501が選択された場合、制御PC106は患者情報を選択または登録する画面を液晶モニター105に表示させることとしてもよい。この場合、患者情報が選択または登録された後に前眼部照明光源201−4が点灯し、表示制御手段112によって前眼部画像を前眼部表示領域512に表示することとしてもよい。なお、指示手段による選択はクリックに限定されるものではなく、液晶モニター105がタッチパネル機能を備える場合には、検査者がモニターをタッチすることで選択を行ってもよい。
STOPボタン502が選択された場合、ソフト制御手段110は制御ソフトを停止させる。
電動ステージ移動ボタン503は、Xステージ移動ボタン、Yステージ移動ボタン、Zステージ移動ボタンを備えている。電動ステージ移動ボタン503が選択された場合、駆動・制御手段114は顎受け駆動部109介して顎受け108を移動させる。例えば、Xステージ移動ボタン、Yステージ移動ボタン、Zステージ移動ボタンのそれぞれはスライダーであり、スライダーの移動量および移動方向に応じて駆動・制御手段114は顎受け108を移動させる。例えば、Yステージ移動ボタンが選択された場合には駆動・制御手段114は顎受け108をY方向に移動させる。同様に、選択されたボタンに応じて、駆動・制御手段114は顎受け108をX方向、Z方向に移動させる。なお、電動ステージ移動ボタン503はスライダーに限定されるものではなく、顎受け108に対して駆動指示を行うことができる形態であれば他の形態としてもよい。
フォーカス調整ボタン504は例えばスライダーであり、スライダーの移動量および移動方向に応じて駆動・制御手段114はレンズ235−10、14、16、18を駆動する。なお、フォーカス調整ボタン504はスライダーに限定されるものではなく、レンズ235−10、14、16、18に対して駆動指示を行うことができる形態であれば他の形態としてもよい。
WFSLO測定ボタン505が選択された場合、制御PC106は光源201−2から射出された光の被検眼への入射を許可する。具体的には、WFSLO測定ボタン505が選択される以前は、光源201−1〜3から射出された光の被検眼への入射が制限されていた状態から光源201−2から射出された光が被検眼へ入射する状態へと切り替える。この切り替えは、例えば、駆動・制御手段114が、消灯していた光源201−2を点灯させるか、被検眼と光源201−2とを結ぶ光路中に挿入されていたシャッターを光路から退避させることで行われる。
収差測定ボタン506が選択された場合、駆動・制御手段114は光源201−2から射出された光の被検眼への入射を制限する。射出された光の被検眼207への入射の制限は、例えば、被検眼207と光源201−2とを結ぶ光路のシャッター291−2を閉じるか、光源201−2を消灯することにより行われる。また、収差測定ボタン506が選択された場合、制御PC106は、光源201−3から射出された光の被検眼207への入射を許可する。具体的には、収差測定ボタン506が選択される以前は、光源201−1および光源201−3から射出された光の被検眼への入射が制限されていた状態から光源201−3から射出された光が被検眼へ入射する状態へと切り替える。この切り替えは、例えば、駆動・制御手段114が、消灯していた光源201−3を点灯させるか、被検眼207と光源201−3とを結ぶ光路中に挿入されていたシャッター291−3を開くことで行われる。なお、光源201−2から射出された光の被検眼207への入射の制限と光源201−3から射出された光の被検眼207への入射の許可とのタイミングは、どちらが先であってもよいし、同時であっても良い。但し、被検眼207へ入射する光量をなるべく多くしないように、光源201−2から射出された光の被検眼207への入射の制限を行った後に、光源201−3から射出された光の被検眼207への入射を許可することが好ましい。
AOSLO測定ボタン507が選択された場合、駆動・制御手段114は光源201−3から射出された光の被検眼への入射を制限する。射出された光の被検眼への入射の制限は、例えば、被検眼と光源201−3とを結ぶ光路のシャッター291−3を閉じるか、光源201−3を消灯することにより行われる。また、AOSLO測定ボタン507が選択された場合、制御PC106は、光源201−1から射出された光の被検眼207への入射を許可する。具体的には、AOSLO測定ボタン507が選択される以前は、光源201−1および光源201−2から射出された光の被検眼207への入射が制限されていた状態から光源201−1から射出された光が被検眼207へ入射する状態へと切り替える。この切り替えは、例えば、駆動・制御手段114が、消灯していた光源201−1を点灯させるか、被検眼207と光源201−1とを結ぶ光路中に挿入されていたシャッター291−1を開くことで行われる。なお、光源201−3から射出された光の被検眼207への入射の制限と光源201−1から射出された光の被検眼207への入射の許可とのタイミングは、どちらが先であってもよいし、同時であっても良い。但し、被検眼207へ入射する光量をなるべく多くしないように、光源201−3から射出された光の被検眼207への入射の制限を行った後に、光源201−1から射出された光の被検眼207への入射を許可することが好ましい。
収差補正一時停止ボタン508が選択されると、制御PC106は収差補正を一時停止する。例えば、収差決定手段113による収差の算出は続けるが駆動・制御手段114による空間光変調器259の制御を停止する。または、収差の算出自体を停止する。なお、図示しない再開ボタンを設け、再開ボタンが選択された場合に収差補正を再開するようにしてもよいし、収差補正一時停止ボタン508を再度選択した場合に収差補正を再開することとしてもよい。
シャッター状態表示領域509には、シャッター291−1〜3の開閉状態を示す情報が表示制御手段112によって表示される。図7に示す例ではシャッター291−1〜3に対して、それぞれのシャッターが開いている状態(図中OPENと記載)か閉じている状態(図中CLOSEと記載)かを示す領域を設けている。そして、シャッター291−1〜3の開閉状態に応じた領域が強調表示される。例えば、図7に示す状態は、シャッター291−1が開いており、シャッター291−2〜3が閉じた状態を示している。なお、シャッター状態表示領域509の形態はこれに限定されるものではなく、シャッター291−1〜3の開閉が確認できる表示形態であれば他の表示形態であってもよい。例えば、シャッター291−1〜3のそれぞれに対応したスイッチを表示し、シャッターが開いている場合スイッチが押し下げられた状態となり、シャッターが閉じている場合スイッチが押し下げられていない状態とすることとしてもよい。
収差表示領域511には、収差決定手段113が決定(算出)した収差が時系列のグラフとして表示制御手段112によって表示される。
前眼部表示領域512には、画像生成手段111がCCDカメラ260の出力に基づいて生成された前眼部像が表示制御手段112によって表示される。
固視灯位置表示領域513には、固視の位置を示す情報が表示制御手段112によって表示される。例えば、固視灯位置表示領域513には固視の座標を示すグリッドが表示され、固視の位置がグリッド上に例えば輝点として表示される。また、操作手段によりグリッド上のある点を選択すると、駆動・制御手段114は選択された位置に応じて固視灯256における点灯位置265を変更する。なお、固視灯位置表示領域513には現在の固視の位置を示す座標が数値で表示されることとしてもよい。この場合、表示された数値を変更することで点灯位置265を変更することが可能である。
波面表示領域514には、波面センサ255で検出されたハルトマン像が表示制御手段112によって表示される。なお、波面表示領域514は、常に設けることとしてもよいし、収差測定ボタン506が選択され収差の測定が開始されハルトマン像が得られた場合に別ウインドウとしてポップアップするように構成してもよい。ポップアップするように構成すれば、収差を測定していない状態において液晶モニター105の画面を有効に使うことが可能となる。
WFSLO表示領域515には、画像生成手段111により生成されたWFSLO像が表示制御手段112によって表示される。
WFSLO強度表示領域516にはWFSLO像の信号強度が表示制御手段112によって表示される。より具体的には、WFSLO像の信号強度が時系列でグラフとして表示される。
WFSLO記録ボタン517が選択された場合、駆動・制御手段114は、WFSLO像を例えばHDD(Hard Disk Drive)等の図示しない記憶手段に記録する。
AOSLO表示領域518には、収差補正済みのAOSLO像が表示制御手段112によって表示される。
AOSLO強度表示領域519に、AOSLO像の信号強度が表示制御手段112によって表示される。より具体的には、AOSLO像の信号強度が時系列でグラフとして表示される。
AOSLO記録ボタン520が選択された場合、駆動・制御手段114は、AOSLO像を例えばHDD等の図示しない記憶手段に記録する。
自動フォーカスボタン521が選択されると、駆動・制御手段114はデフォーカスの値が小さくなるようにレンズ235−10、14、16、18の位置が自動的に調整される。
収差補正ボタン522が選択されると、駆動・制御手段114は収差量が小さくなる方向に自動的に空間光変調器259を調整される。
撮像条件設定ボタン523は、例えば、撮像画角設定ボタン、フレームレート設定ボタン、撮像時間設定ボタンを備えている。例えば、撮像画角設定ボタンは複数の画角のそれぞれに対応した複数のボタンを備え、検査者は所望の画角に対応するボタンを選択することで、所望の画角で撮像を行うことが可能となる。フレームレート設定ボタン、撮像時間設定ボタンについても撮像画角設定ボタンと同様に構成されている。例えば、複数のフレームレート設定ボタンのうち所望のフレームレートに対応するフレームレート設定ボタンを選択することでこのフレームレートに対応付けられた画角が選択される。例えば、ここで画角は画素数を示しており、画素数が少ないほど画角は狭くなることとしている。また、複数の撮像画角設定ボタンのうち所望の画角に対応する撮像画角設定ボタンを選択することでこの画角(画素数)に対応付けられたフレームレートが選択される。
なお、撮像条件設定ボタン523として、撮像画角設定ボタンおよびフレームレート設定ボタンを別々に設けなくてもよい。例えば、1のフレームレートと画素数との組み合わせを1のボタンとしてもよい。この場合、異なる組み合わせに関して複数のボタンを設けることとする。この例を図8に示す。
ボタン51〜56のそれぞれにはフレームレートと画素数との組み合わせが割り振られている。ここで、フレームレートと画素数との組み合わせは制御PC106が備えるメモリ等に記憶されている。すなわち、制御PC106が備えるメモリは、被検眼の画像を取得するフレームレートと取得する画像の画素数との組み合わせをフレームレートの値に応じて複数記憶する記憶手段の一例に相当する。例えば、ボタン51にはフレームレート32Hzと横画素数400との組み合わせが、ボタン52にはフレームレート32Hzと横画素数200との組み合わせが割り振られている。さらに、ボタン53にはフレームレート64Hzと横画素数200との組み合わせが、ボタン54にはフレームレート64Hzと横画素数100との組み合わせが割り振られている。また、ボタン55にはフレームレート120Hzと横画素数100との組み合わせが、ボタン56にはフレームレート120Hzと横画素数50との組み合わせが割り振られている。なお、各フレームレートに対して設けられるボタンは2個に限定されるものではない。また、各フレームレートに設けられるボタンの数は全て2個で統一されていなくても良い。ここで、ボタン51〜56は、表示制御手段112によって表示される。すなわち、表示制御手段112は、組み合わせを示す表示形態をフレームレートの値に応じて複数表示手段に表示させる表示制御手段の一例に相当する。AOSLO装置101は、ボタン51〜56によって指定されたフレームレートおよび画素数でAOSLO像を取得する。すなわち、取得手段の一例である画像生成手段111は、表示手段に表示された複数の表示形態のうち選択された1の表示形態が示す組み合わせにおけるフレームレートおよび画素数で画像を取得する。
なお、簡単のため図8においては撮像時間設定ボタンを省略している。また、図8においてはボタン51〜56の横にそれぞれの横画素数が表示されているがこれに限定されるものではない。例えば、画素数ではなく、各フレームレートにおける画素数の大小に応じて「S」や「L」等の記号を表示することとしてもよい。例えば、ボタン51の横には「L」が表示され、ボタン52の横には「S」が表示される。
また、制御画面は、測定の目的を選択するボタンを更に備えることとしてもよい。例えば、血流測定ボタンおよび視細胞測定ボタンを備える。血流測定では、比較的高速なフレームレートを用いることで精度高く血流速を測定できる。従って、血流測定ボタンが選択された場合には、フレームレート32frame/sにかかるボタン51,52を選択できないようにする。例えば、ボタン51,52を表示させないようにするなど、ボタン51,52が選択できないことを示す表示を行う。また、視細胞分布の測定ではフレームレートの速度は血流測定に比べ高い値を求められず、有用な視細胞分布を得るために画素数の多い方が好ましい。従って、視細胞測定ボタンが選択された場合には、有用な視細胞分布を得るために画素数の多いボタン51のみを選択可能とする。例えば、ボタン52〜56を表示させないようにするなど、ボタン51,52が選択できないことを示す表示を行う。なお、ボタン51のみでなく、ボタン52,53を選択可能に表示することとしてもよいし、フレームレートが比較的低い32frame/sにかかるボタン51,52のみを選択可能とすることとしてもよい。すなわち、表示制御手段112は、被検眼に対する計測の種類に応じて表示手段に表示された複数の表示形態のうち少なくとも1の表示形態を選択不能にする。
このようにすれば、測定の目的に応じたフレームレート等を間違えずに確実に選択することが可能となる。従って、測定のやり直し等が発生しづらく被験者の負担を軽減することが可能となる。
深さ調整ボタン524は、例えばスライダーであり、スライダーの移動量および移動方向に応じて駆動・制御手段114はレンズ235−10を駆動する。なお、深さ調整ボタン524はスライダーに限定されるものではなく、レンズ235−10を駆動可能であれば他の形態としてもよい。
収差表示領域525には、収差決定手段113によって決定されたデフォーカス(defocus)成分(μm単位)の収差量および全ての収差量(μmRMS単位)が表示制御手段112によって表示される。なお、これら両者のいずれか一方のみを表示するようにしてもよい。なお、表示される収差量の単位は上記の単位に限定されるものではなく、他の単位を用いてもよい。
以下、図6に示すフローチャートの説明に戻る。
[ステップS2]
制御ソフト画面の実行ボタン501を押すと、前眼部表示領域512に前眼部の画像が表示される。画面中央に瞳孔の中心が正しく表示されていない場合は、まずジョイスティック107を用いてヘッド部102を略正しい位置に動かす。さらに調整が必要な場合は、制御画面上の電動ステージボタン503を押し、駆動・制御手段114によって顎受け108を微動させる。
[ステップS22]
続いて、駆動・制御手段114は、閉じていたWFSLO用のシャッター291−2を開く。シャッター状態表示領域509には、WFSLO用のシャッター291−2が開いている状態を示す表示が行われる。また、シャッター状態表示領域509にはシャッター291−1、29−3が閉じていることを示す表示が行われる。
なお、WFSLO用のシャッター291−2を開くタイミングは制御ソフト画面の実行ボタン501が選択された時または制御ソフト起動時であってもよいし、前眼部表示領域512に前眼部の画像が表示される前であってもよい。
[ステップS3]
略正しい状態で前眼部画像が表示された場合、WFSLO像がWFSLO表示領域515に表示される。例えば、検査者は固視灯位置表示領域513で固視灯を中央位置に設定し、被検眼207の視線を中心に誘導する。なお、例えば、制御ソフト起動時または実行ボタン501選択時にWFSLO測定ボタン505は自動的に選択されている。
次に、検査者はWFSLO強度表示領域516に表示されるWFSLO像の強度を見ながら、フォーカス調整ボタン504を調整して、WFSLO強度が大きくなるようにする。ここで、WFSLO強度表示領域516には横軸時間、縦軸信号強度でWFSLO部で検出された信号強度が時系列に表示される。なお、フォーカス調整ボタン504を調整することで、レンズ235−10、14、16、18の位置が駆動・制御手段114によって同時に調整される。
WFSLO像が鮮明に表示された場合、検査者はWFSLO記録ボタン517を押して、WFSLOデータ(WFSLO像)を保存する。
[ステップS4]
検査者はWFSLO表示領域515に表示されたステップS3で保存されたWFSLO像を確認し、AOSLO像を取得したい位置を後述の手段を用いて決める。次に、検査者は、その位置がWFSLO表示領域515の例えば中央にくるように被検眼207の視線を誘導する。
AOSLO像を取得する位置を決める手段は2通りあり、一つは固視灯位置表示領域513において固視灯の位置を指示する方法、もう一つはWFSLO表示領域515においてWFSLO像の所望の位置をクリックする方法である。WFSLO表示領域515上の画素と固視灯の位置を関連付けており、クリックされた位置に応じて駆動・制御手段114は固視灯の位置を自動的に移動し、視線を所望の位置に誘導する。なお、ステップS3で保存されたWFSLO像を用いて被検眼の視線を誘導しているため、WFSLO像取得のための光源201−2から射出される光をステップS4の処理中は被検眼207へ入射する必要はない。
AOSLO像を取得したい位置がWFSLO表示領域515の中央に移動したのを確認して、次の工程に移る。なお、本実施例ではAOSLO像が取得される領域は図2に示した光学系の光軸を中心とした所定の大きさの矩形領域であるものとしている。すなわち、AOSLO像が取得される領域はWFSLO表示領域515の中央を中心とした所定の大きさの矩形領域である。なお、AOSLO像が取得される領域はこれに限定されるものではなく、任意に変更可能である。
また、固視灯の位置を変更した後に再びWFSLO像を取得して被検眼207の所望の位置がWFSLO表示領域515の中央に位置しているか確認し、固視の位置を再調整することとしても良い。この場合、光源201−3からの測定光の被検眼207への入射を制限している場合には、この制限を解除し被検眼207へ測定光を入射させる。このようにすれば、被検眼207の所望の位置を確実にWFSLO表示領域515の中央位置させることが可能であるとともに、被検眼207に対して光が照射される時間を短くすることが可能である。
[ステップS44]
収差測定ボタン506が選択されると、駆動・制御手段114はシャッター291−2を閉じる。シャッター291−2が閉じることで、光源201−2から射出される光の被検眼207への入射が制限(例えば遮断)される。また、WFSLO像が保存されることを契機として駆動・制御手段114はシシャッター291−2を閉じてもよい。すなわち、ステップS44をステップS4の前に行ってもよい。
[ステップS45]
次に、駆動・制御手段114はシャッター291−3を開く。シャッター291−3が開かれることで、光源201−3から射出される光が被検眼207に入射する。なお、例えば、制御ソフトの起動時または実行ボタン501選択時に固視灯256は点灯している。
また、シャッター状態表示領域509にはシャッター291−3が開いていることを示し、シャッター291−1,291−3が閉じていることを示す表示が行われる。
[ステップS5、6]
次に、表示制御手段112によって波面表示領域514に波面センサ255で検出されたハルトマン像が表示される。このハルトマン像から計算された収差が表示制御手段112によって収差表示領域511に表示される。収差はデフォーカス(defocus)成分(μm単位)と、全ての収差量(μmRMS単位)に分けて表示される。ここで、ステップS3において、AOSLO測定光とビーコン光のフォーカスレンズであるレンズ235−10、16の位置が調整されているため、この工程での収差測定が可能な状態になっている。
ここで自動フォーカスボタン521を押すと、駆動・制御手段114はデフォーカスの値が小さくなるようにレンズ235−10、14、16、18の位置を自動的に調整する。
次に収差補正ボタン522を押すと、駆動・制御手段114は収差量が小さくなる方向に自動的に空間光変調器259を調整する。なお、表示制御手段112は、リアルタイムに収差量の値を液晶モニター105に表示させる。ここで、駆動・制御手段114によって収差量と事前に決めておいた閾値との比較が行われる。収差量の値が事前に決めておいた閾値(例えば0.03μmRMS)以下になると駆動・制御手段114によって自動的にAOSLO測定ボタン507が押され、次の工程に移動する。また、閾値以下にならない場合には、検査者は収差補正一時停止ボタン508を押し、収差補正を停止したのち、AOSLO測定ボタン507を押すことにより次の工程に移動することとしてもよい。なお、閾値は上記の値に限定されるものではなく任意の値とすることが可能である。また、収差決定手段113よって算出された収差量が所定時間にわたって閾値以下とならない場合には、駆動・制御手段114によって自動的にAOSLO測定ボタン507が選択されることとしてもよい。
[ステップS66]
収差量の値が事前に決めておいた閾値以下になると駆動・制御手段114によってシャッター291−3を閉じる。すなわち、駆動・制御手段114はAOSLO測定ボタン507が選択されると、シャッター291−3を閉じる。シャッター291−3が閉じることで、光源201−3から射出される光の被検眼207への入射が制限(例えば遮断)される。
[ステップS67]
シャッター291−3が閉じると、駆動・制御手段114はシャッター291−1を開く。すなわち、駆動・制御手段114はAOSLO測定ボタン507が選択されると、シャッター291−1を開く。シャッター291−1を開くことで、光源201−1から射出される光が被検眼207へ入射する。シャッター状態表示領域509にはシャッター291−1が開いていることを示し、シャッター291−2、291−3が閉じていることを示す表示が行われる。
[ステップS7]
AOSLO表示領域518に収差補正済みのAOSLO像が表示される。また、AOSLO強度表示領域519には、WFSLO強度表示領域516と同様に、AOSLO像の信号強度が時系列に表示される。
信号強度が不十分な場合には、検査者は、AOSLO強度表示領域519を見ながらフォーカス、顎受け位置を調整し、信号強度が大きくなるようにする。
また、検査者は、撮像条件設定ボタン523によって、撮像画角、フレームレート、撮像時間を指定することができる。視細胞分布を計測する場合にはフレームレート32Hz、血流速を計測する場合には64Hzまたは120Hzを選択することが望ましい。
さらに、検査者は、深さ調整ボタン524を調整することで、レンズ235−10を移動させ、被検眼207の深さ方向の撮像範囲を調整することができる。具体的には、深さ調整ボタン524を調整することで、視細胞層や神経線維層や色素上皮層等の所望の層の像を取得することができる。
AOSLO像が鮮明に表示された場合、検査者はAOSLO記録ボタン520を押して、AOSLOデータ(AOSLO像)を保存する。その後、駆動・制御手段114によって測定光206−1の被検眼207への入射が制限される。
[ステップS77]
AOSLO像が保存されると、AOSLO用のシャッター291−1が閉じ、測定光206−1被検眼の入射を制限する。シャッター状態表示領域509には、すべてのシャッター291−1〜3が閉じている状態が表示される。
[ステップS8]
検査者は撮像位置の変更を行うか否かを判断する。撮像位置の変更を行う場合にはステップS4に戻る。ステップS4に戻った後のステップS44は省略される。一方、撮像位置を変更しない場合には、次の工程へ進む。なお、撮像位置変更ボタンを液晶モニター105に表示させることとして、この撮像位置変更ボタンが選択された場合に制御PC106は撮像位置の変更が行われると判断することとしてもよい。また撮像位置変更ボタンがAOSLO像保存後、所定時間選択されなかった場合には制御PC106は撮像位置の変更は行われないと判断してもよい。
[ステップS9]
検査者は、左右眼の切り替えを行うか否かを判断する。切り替えを行う場合にはステップS2に戻る。一方、左右眼の切り替えを行わない場合には、次の工程へ進む。なお、左右眼切替ボタンを液晶モニター105に表示させることとして、この左右眼切替ボタンが選択された場合に制御PC106は右眼の切り替えが行われると判断することとしてもよい。また左右眼切替ボタンがAOSLO像保存後、所定時間選択されなかった場合には制御PC106は右眼の切り替えは行われないと判断してもよい。
なお、ステップS8とステップS9との実行順序は逆であってもよい。
[ステップS10]
検査者はSTOPボタン502を押し、制御ソフトを停止させる。制御ソフトが停止し一連の撮影動作が終了する。
<画像の確認>
次に、本実施例のAOSLO装置101において撮像したデータを画像化して確認する方法について図9を用いて説明する。図9は、本実施例における画像閲覧ソフトの画面の構成の一例を示す図である。
ソフト制御手段110によって撮像した画像データを可視化するビューワーソフトが起動すると、表示制御手段112によって図9に示すビューワーソフト画面が液晶モニター105に表示される。
本ビューワーソフトは、保存されたWFSLOデータ、もしくはAOSLOデータを読み込んで画像化することができる。
ビューワーソフト画面は、画像表示領域601、画像番号選択部602および画質調整部603を備える。
画像表示領域601には画像番号選択部602を用いて選択された画像、例えばAOSLO像が表示される。また、タブ等の表示切り替え手段を設けて画像表示領域601にAOSLO像に対応するWFSLO像を表示できるようにしてもよい。このようにすれば簡単にAOSLO像とWFSLO像とを見比べることが可能となる。また、AOSLO像とWFSLO像と並べて表示することとしてもよい。
画像番号選択部602は、AOSLO装置101によって取得した複数のAOSLO像のうち所望のAOSLO像を選択する手段である。例えば、画像番号選択部602はスライダーである。このスライダーの位置とAOSLO像の画像番号とが関連付けられており、検査者は指示手段を用いてこのスライダー移動させることで所望のAOSLO像を選択することができる。なお、測定時間によって撮像枚数が変わるが、時間順に画像番号が付けられる。なお、画像番号選択部602はスライダーに限定されるものではなく、画像番号を直接入力することができる領域であってもよい。
画質調整部603は、画像の明るさ、コントラスト、ガンマ(図中それぞれ「B」、「C」、「G」と標記)の調整を行うためのスライダーであり、このスライダーを左右にスライドさせることで画質を調整することができる。画質調整部603に対する入力に基づいて制御PC106はAOSLO像等の画像に対して画質調整を行う。
また、ビューワーソフト画面は上記の例に限定されるものではなく、例えば、画像表示領域601に表示されたAOSLO像を取得した際の固視の位置を座標値または図として表示することとしても良い。また、画像表示領域601に表示されたAOSLO像を取得した際の顔受け104の座標を表示することとしてもよい。さらに、画像表示領域601に表示されたAOSLO像を取得した際の走査時間に対するAOSLO像の輝度や振幅をグラフとして表示することとしてもよい。また、画像表示領域601に表示されたAOSLO像を取得した際のレンズ235−10、235−14、235−16、235−18のうち少なくとも一つのレンズ位置を示す情報を表示することとしてもよい。
なお、画像表示領域601にはAOSLO像を動画として表示することとしてもよい。この場合、上述のAOSLO像の取得時における固視の位置等のパラーメーターもAOSLO像に対応した値が順次表示される。
このように本実施例によれば、フレームレートと画素数との組み合わせを複数用意し、1の組み合わせに係るフレームレートと画素数とに基づいてAOSLO像を取得するため、ディテクターにより得られる信号強度の劣化を防止することができる。より具体的には、組み合わせに係るフレームレートと画素数とはディテクターの周波数特性(例えば遮断周波数)に基づいて定められた値であるため、ディテクターにより得られる信号強度の劣化を確実に防止することができる。
また、本実施例によれば、複数の光源から光を同時に被検眼に入射させることを防ぎながらAOSLO像を取得することができる。従って、安全性を確保しながら画質の低下を防止することが可能となる。
また、光源201−3から射出された光が被検眼207に入射している状態では固視灯256は点灯している。従って、被検眼207の動きを抑えることができ正確に収差の測定を行うことが可能となる。
さらにWFSLO像保存後に光源201−2から射出される測定光の被検眼207への入射を制限し、WFSLO像を用いてAOSLO像の取得位置を調整することとすれば、被検者に照射する光量をより抑えることが可能となる。
また、本実施例によれば、測定光の被検眼207への入射の制限を解除する際に、光源201−1〜3を消灯してから安定して光を射出するまでの時間が不要となる。従って、安全性を確保しながら画質の低下を防止するとともに検査時間の長時間化を防止することが可能となる。
また、シャッター291−1〜3の開閉状態がシャッター状態表示領域509に表示されるため、検査者は測定光206−1〜3のいずれが、被検眼207に照射されているかを明確かつ容易に知ることができ、撮像操作の確実性が向上する。
なお、上記の実施例では眼について述べたが眼以外の皮膚や臓器等に用いても良い。
[その他]
本件は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。