JP2007252402A - 眼科測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定間隔が短く、高速に繰り返し測定が可能なシャックハルトマン波面センサーを提供する。
【解決手段】 照明光学系10は、第1の偏光と第2の偏光とに偏光条件を交互に変更する第1偏光光学部材12を含み、第1偏光光学部材12を介してレーザ光源部11からのパルス光を被測定眼100の眼底に照明する。受光光学系20は、第1偏光光学部材12の偏光条件に応じて照明された被測定眼100からの反射光の各偏光成分を選択する第2偏光光学部材23と、選択された各偏光成分の反射光をそれぞれ交互に受光する第1及び第2の受光部21−1、21−2とを含む。眼科測定装置は、第1及び第2の受光部21−1、21−2からの出力に基づき、被測定眼100の波面収差を短い間隔で測定する。
【選択図】図1
【解決手段】 照明光学系10は、第1の偏光と第2の偏光とに偏光条件を交互に変更する第1偏光光学部材12を含み、第1偏光光学部材12を介してレーザ光源部11からのパルス光を被測定眼100の眼底に照明する。受光光学系20は、第1偏光光学部材12の偏光条件に応じて照明された被測定眼100からの反射光の各偏光成分を選択する第2偏光光学部材23と、選択された各偏光成分の反射光をそれぞれ交互に受光する第1及び第2の受光部21−1、21−2とを含む。眼科測定装置は、第1及び第2の受光部21−1、21−2からの出力に基づき、被測定眼100の波面収差を短い間隔で測定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、眼科測定装置に係り、特に、短時間に波面収差測定を繰り返し行える眼科測定装置に関する。
従来の眼科光学装置において、特許文献1、2には、2つのシャックハルトマン波面センサーを用いて眼の波面収差を測定するものが開示されている。
特許文献1では、その図12において、第1受光部と第3受光部がシャックハルトマン波面センサーに相当するが、第1受光部が角膜からの反射光束を受光して角膜形状を測定し、第3受光部は、網膜からの反射光束を受光して光学特性を測定するように対象が異なる。
特許文献1では、その図12において、第1受光部と第3受光部がシャックハルトマン波面センサーに相当するが、第1受光部が角膜からの反射光束を受光して角膜形状を測定し、第3受光部は、網膜からの反射光束を受光して光学特性を測定するように対象が異なる。
特許文献2では、網膜からの反射光を低感度のシャックハルトマン波面センサーと高感度のシャックハルトマン波面センサーとで受光する構成が開示されている。ここでは、2台のシャックハルトマン波面センサーは、感度に差を持たせたものであり、高速撮影を意図したものではない。
また、特許文献3は、第一カメラの不感時間の開始時点と第二カメラの不感時間の終了時点とを同期させ、第一発光の発光開始時点を第一カメラの不感時間の開始直前とし、一方、第二発光の発光開始時点を第一カメラの不感時間内であって第二カメラの不感時間の終了後とする、高速度連続撮影システムが開示されている。
特許文献4は、複数の光ビームを発生させる光源と、対象となる光学システム内の異なる位置に光ビームを投射する光学イメージングシステムとこれらの異なる位置のそれぞれから散乱光を受け取り、散乱光の個々の波面を検出する波面センサーとを備えた、3次元構造の収差を測定するためのシステムが開示されている。
さらに、特許文献5は、投影光学システムと眼との間に位置決めされ、眼の収差に関して被測定眼に入射する光ビームを補償する前補正システムによって、視覚システムの端から端までの収差解析を可能とした、波面センサーのためのダイナミックレンジ拡大技術が開示されている。
特開平11−137520号公報
特開2004−81725号公報
特開2005−275305号公報
特表2005−506107号公報
特表2004−500195号公報
測定される眼の収差は、眼球運動により、変動する。また、角膜上の涙液も時間変化しており、これもまた収差の変化の原因となる。さらに、水晶体は、近くや遠くのものをみるときに、距離に応じて調節をしており、これによっても収差が変化する。この変化にはいろいろな周波数成分があるが、おおむね20Hz程度であろうと考えられている。一部では、例えば、100Hz程度の変化を測定したいとする研究者もいる。そこで、眼の収差を、例えば、秒間50回以上測定することが必要になり、眼の収差の高速測定の必要性が高まってきている。
シャックハルトマン波面センサーは、例えば、2次元に配列されたレンズレットを持つレンズレットアレイと1000x1000ピクセルのディジタルCCDで構成されている。シャックハルトマン波面センサーを用いた波面収差測定では、1000x1000程度のノイズの少ないディジタルCCDで測定すると精度良く、測定することができる。
しかしながら、このような仕様のCCDの場合、露光後にCCDに蓄えられた電荷を読み出す時間があまり高速にできない、という性能上の限界があることが考えられる。例えば、1000x1000程度のディジタルCCDの場合、現在繰り返し測定回数は秒間20回程度である。これは、露光時間と画像データの読み出し時間の合計で決まってしまっている。ディジタルCCDの、しかもノイズの少ないCCDでは画像の読み出しに数十ミリ秒程度かかってしまう。これは、シャックハルトマン波面センサーで必要とされる露光時間に匹敵することもある。
本発明は、以上の点に鑑み、測定間隔が短く、高速に(例えば、50frames/s程度等)繰り返し測定が可能なシャックハルトマン波面センサーを提供することを目的とする。また、本発明は、2台のCCDを使い、1台が露光中に、他のもう1台が画像データの読み出しを行うことにより、1台のCCDで繰り返し測定を行うのに比較して、理想的には測定回数を2倍の回数にすることが可能である眼科測定装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の解決手段によると、
所定のタイミングで高輝度の光束を発する光源部と、
上記光源部からの光束を被測定眼の眼底に照明する照明光学系と、
照明された被測定眼の眼底からの反射光束を選択的に、少なくとも17本の光束に分割する第1及び第2変換部材を介してそれぞれ交互に第1受光部及び第2の受光部に導く受光光学系と、
上記第1及び第2の受光部からの出力に基づき、被測定眼の波面収差を短い間隔で測定する測定部とを有する眼科測定装置が提供される。
所定のタイミングで高輝度の光束を発する光源部と、
上記光源部からの光束を被測定眼の眼底に照明する照明光学系と、
照明された被測定眼の眼底からの反射光束を選択的に、少なくとも17本の光束に分割する第1及び第2変換部材を介してそれぞれ交互に第1受光部及び第2の受光部に導く受光光学系と、
上記第1及び第2の受光部からの出力に基づき、被測定眼の波面収差を短い間隔で測定する測定部とを有する眼科測定装置が提供される。
本発明によると、測定間隔が短く、高速に(例えば、50frames/s程度等)繰り返し測定が可能なシャックハルトマン波面センサーを提供することができる。また、本発明によると、2台のCCDを使い、1台が露光中に、他のもう1台が画像データの読み出しを行うことで、1台のCCDで繰り返し測定を行うのに比較して、理想的には測定回数を2倍の回数にすることが可能である眼科測定装置を提供することができる。
1.装置構成
1.1 光学系
図1は、眼科測定装置の光学配置図である。
本装置は、第1照明光学系10と、第1光源部11と、第1受光光学系20と、前眼部観察部40と、第1調整光学部50と、前眼部照明部60とを備える。なお、被測定眼100については、角膜(前眼部)、水晶体、網膜(眼底)が示されている。
1.1 光学系
図1は、眼科測定装置の光学配置図である。
本装置は、第1照明光学系10と、第1光源部11と、第1受光光学系20と、前眼部観察部40と、第1調整光学部50と、前眼部照明部60とを備える。なお、被測定眼100については、角膜(前眼部)、水晶体、網膜(眼底)が示されている。
第1光源部11は、所定のタイミングで光を発光し、第1波長の光束を発する。第1光源部11は、空間コヒーレンスが高く、時間コヒーレンスは高くないものが望ましい。ここでは、一例として、第1光源部11には、SLD(スーパールミネセンスダイオード)が採用されており、輝度が高い点光源を得ることができる。なお、第1光源部11は、SLDに限られるものではなく、レーザー光源の様に空間、時間ともコヒーレンスが高いものでも、回転拡散板などを挿入することにより、適度に時間コヒーレンスを下げることで利用できる。そして、LEDの様に、空間、時間ともコヒーレンスが高くないものでも、光量さえ充分であれば、ピンホール等を光路の光源の位置に挿入することで、使用可能になる。また、照明用の第1光源部11の波長は、例えば、赤外域の波長(例、860nm)を使用することができる。
第1照明光学系10は、例えば、第1偏光光学部材(偏光子1)12、プリズム13、ビームスプリッタ14、集光レンズ、シリンダーレンズ及び/又はリレーレンズ等のレンズL1、L2、L3を備える。第1照明光学系10は、第1光源部11からの光束で被測定眼100の眼底上で微小な領域を照明するためのものである。第1照明光学系10は、第1偏光光学部材12を介して第1光源部11からのパルス光を被測定眼100の眼底に照明する。第1偏光光学部材12は、第1の偏光と第2の偏光とに偏光条件を交互に変更する。第1及び第2の偏光は、例えば、それぞれP偏光及びS偏光又はその逆である。ビームスプリッタ14は、例えば、第1波長の光束を反射し、第2波長の光束を透過するダイクロイックミラーで構成されている。第1偏光光学部材12は、偏光板を光軸周りに回転可能に構成される。
第1光源部11から被測定眼100への入射光は絞りを偏心させることで光束の入射位置を光軸に直交する方向に変更し、レンズや角膜の頂点反射を防いでノイズを押さえられる。絞りは、径が第1及び第2変換部材22−1及び22−2のハルトマン板の有効範囲より小さく、受光側だけに眼の収差が影響する、いわゆるシングルパスの収差計測が成り立つことができる様になっている。
なお、第1光源部11から出た入射光線は、眼底から拡散反射された測定光線と共通光路になった後は、近軸的には、眼底から拡散反射された測定光線と同じ進み方をする。但し、シングルパス測定のときは、それぞれの光線の径は違い、入射光線のビーム径は、測定光線に比べ、かなり細く設定される。具体的には、入射光線のビーム径は、例えば、被測定眼100の瞳位置で1mm程度、測定光線のビーム径は、7mm程度になることもある。なお、光学系を適宜配置することで、ダブルパス測定を行うこともできる。
第1受光光学系20は、シャックハルトマン波面センサー1_25−1、シャックハルトマン波面センサー2_25−2、第2偏光光学部材(偏光子2)23、偏光ビームスプリッタ24、レンズL4、L5を備える。第1受光光学系20は、例えば、被測定眼100の網膜から反射して戻ってきた光束を受光し第1受光部21−1及び第2受光部21−2に導くためのものである。第2偏光光学部材23は、第1偏光光学部材12の偏光条件に応じて照明された被測定眼100からの反射光の各偏光成分を選択する。第1受光部21−1及び第2受光部21−2は、選択された各偏光成分の反射光をそれぞれ交互に受光する。偏光ビームスプリッタ24は、第1の偏光を第1受光部21−1に導き、第2の偏光を第2受光部21−2に導く。第2偏光光学部材23は、偏光板を光軸周りに回転可能に構成される。第1及び第2の偏光は、例えば、それぞれP偏光及びS偏光又はその逆である。
シャックハルトマン波面センサー1_25−1は、例えば、CCD2で構成される第1受光部21−1と第1変換部材22−1(例、ハルトマン板)を備える。第1変換部材22−1は、反射光束を少なくとも17本の複数のビームに変換するためのレンズ部を有する波面変換部材である。第1変換部材22−1には、光軸と直交する面内に配置された複数のマイクロフレネルレンズを用いることができる。眼底からの反射光は、第1変換部材22−1を介して第1受光部21−1上に集光する。第1受光部21−1は、第1変換部材22−1を通過した偏光ビームスプリッタ24からの光を受光し、第1信号を生成するためのものである。
シャックハルトマン波面センサー2_25−2は、例えば、CCD3で構成される第2受光部21−2と第2変換部材22−2(例、ハルトマン板)を備える。第2変換部材22−2は、反射光束を少なくとも17本の複数のビームに変換するためのレンズ部を有する波面変換部材である。第2変換部材22−2には、光軸と直交する面内に配置された複数のマイクロフレネルレンズを用いることができる。眼底からの反射光は、第2変換部材22−2を介して第2受光部21−2上に集光する。第2受光部21−2は、第2変換部材22−2を通過した偏光ビームスプリッタ24からの光を受光し、第2信号を生成するためのものである。
前眼部観察部40は、例えば、リレーレンズとCCD1で構成される第3受光部41を備え、例えば、プラチドリング、ケラトリング等の前眼部照明部60のパターンが、被測定眼100の前眼部から反射して戻ってくる光束を観察する。なお、テレセン絞りを設ければ、瞳孔径が正確に測定できる。
第1調整光学部50は、例えば、作動距離調整を主に行うものであって、光源部と、集光レンズと、受光部とを備える。ここで、作動距離調整は、例えば、光源部から射出された光軸付近の平行な光束を、被測定眼100に向けて照射すると共に、この被測定眼100から反射された光を、集光レンズを介して受光部で受光することにより行われる。また、被測定眼100が適正な作動距離にある場合、受光部の光軸上に、光源部からのスポット像が形成される。一方、被測定眼100が適正な作動距離から前後に外れた場合、光源部からのスポット像は、受光部の光軸より上又は下に形成される。なお、受光部は、光源部、光軸、受光部を含む面内での光束位置の変化を検出できればいいので、例えば、この面内に配された1次元CCD、ポジションセンシングデバイス(PSD)等を適用できる。
前眼部照明部60は、第2波長の光束を発する第2光源部を備え、第2光源部からの光束で、例えば、プラチドリング又はケラトリング等を用いて前眼部を所定パターンで照射する。ケラトリングの場合、ケラト像により角膜の曲率中心付近だけのパターンを得ることができる。なお、第2光源部から発せられる光束の第2波長は、例えば、第1波長(ここでは、860nm)と異なると共に、長い波長を選択できる(例えば、940nm)。
上述の光学系は、主に、入射光線が細いシングルパスとして説明したが、本発明は、入射光線が太いダブルパスとしての眼科測定装置に適用することも可能である。その際、光学系がダブルパス用構成で配置されるが、演算部による測定・計算処理は同様である。
(共役関係)
被測定眼100の眼底、第1光源部11、第1及び第2受光部21−1及び21−2が共役である。また、被測定眼100の眼の瞳(虹彩)、第1変換部材22−1、第2変換部材22−2、第1照明光学系10の測定光入射側の絞りが共役である。
被測定眼100の眼底、第1光源部11、第1及び第2受光部21−1及び21−2が共役である。また、被測定眼100の眼の瞳(虹彩)、第1変換部材22−1、第2変換部材22−2、第1照明光学系10の測定光入射側の絞りが共役である。
1.2 電気系
図2は、眼科測定装置のブロック図である。
本実施の形態の電気系は、測定部600、制御部610、第1駆動部620、表示部700、メモリ800を備える。また、測定部600には、前眼部観察部40の第3受光部41からの信号(2)と、第1受光部21−1からの信号(6)と、第2受光部21−2からの信号(7)と、第1調整光学部50の受光部からの信号(5)とが入力される。
図2は、眼科測定装置のブロック図である。
本実施の形態の電気系は、測定部600、制御部610、第1駆動部620、表示部700、メモリ800を備える。また、測定部600には、前眼部観察部40の第3受光部41からの信号(2)と、第1受光部21−1からの信号(6)と、第2受光部21−2からの信号(7)と、第1調整光学部50の受光部からの信号(5)とが入力される。
測定部600は、第1受光部21−1及び第2受光部21−2からの出力に基づき、被測定眼100の収差を短い間隔で測定する。測定部600は、第1受光部21−1からの信号(6)、第2受光部21−2からの信号(7)、前眼部観察部40の第3受光部41からの信号(2)を入力し、例えば、光束の傾き角に基づき被測定眼100の光学特性を求める。測定部600は、これら演算結果に応じた信号又は他の信号・データを、電気駆動系の制御を行う制御部610と、表示部700と、メモリ800とにそれぞれ適宜出力する。
制御部610は、測定部600からの制御信号に基づいて、第1光源部11、前眼部照明部60の第2光源部及び第1調整光学部50の光源の点灯・消灯等を制御したり、第1受光部21−1及び第2受光部21−2のCCD2及びCCD3の露光・読み出し等を制御するためのものである。制御部610は、測定部600での演算結果に応じた信号に基づいて、第1光源部11に対して信号(1)を出力し、前眼部照明部60に対して信号(3)を出力し、第1調整光学部50の光源に対して信号(4)を出力し、第1受光部21−1に対して信号(6)を出力し、第2受光部21−2に対して信号(7)を出力し、第1偏光光学部材12及び第2偏光光学部材23に対して信号(8)を出力する。
第1駆動部620は、測定部600及び制御部610により制御され、第1偏光光学部材12の偏光子1の偏光条件・方向を制御して、被測定眼100への入射光の偏光条件・方向を第1の偏光(P偏光)又は第2の偏光(S偏光)に交互に変更する。同様に、第1駆動部620は、第2偏光光学部材23の偏光子2の偏光条件・方向は、第1偏光光学部材12の偏光条件・方向に応じて、被測定眼100からの反射光を透過するように偏光条件・方向を制御し、第1の偏光(P偏光)又は第2の偏光(S偏光)に交互に変更する。
偏光子1,2の偏光方向の制御は、CCD1,CCD2の取り込み終了タイミングにあわせて実行されることもある。
偏光子1,2の偏光方向の制御は、CCD1,CCD2の取り込み終了タイミングにあわせて実行されることもある。
表示部700は、演算処理中又は、処理後の結果(収差解析等)を、図、表、データ、グラフィック、動画・静止画等として表示する。または、他装置へ出力する。
メモリ800は、測定されたデータ、中間データ、計算結果データ等の各種データ、予め設定した露光時間t、測定回数P等の設定値を必要に応じて適宜記憶する。測定部600は、メモリ800に適宜データを読み出し/書込みする。
メモリ800は、測定されたデータ、中間データ、計算結果データ等の各種データ、予め設定した露光時間t、測定回数P等の設定値を必要に応じて適宜記憶する。測定部600は、メモリ800に適宜データを読み出し/書込みする。
2.収差解析
2.1 概要
測定の対象物、眼は、網膜、水晶体、角膜からなる。角膜と水晶体による収差が発生する。これから光学系を説明するが、実線が本来の光線で(一部図示)、第1光源部11から射出して、網膜上で結像し、二次光源を形成し、それが眼の光学系を透過し、さらに本装置の光学系を透過し、シャックハルトマン波面センサー1_25−1又は2_25−2に導かれて、それにより測定が可能になる。点線で示されているのは(一部図示)、瞳共役を示すための仮想の光線である。L1は、ここで示した3つの系で共通な対物レンズである。ダイクロイックミラー14により、第1光源部11から網膜へ、網膜からシャックハルトマン波面センサー1_25−1及び2_25−2へ向かう光線は反射される。
2.1 概要
測定の対象物、眼は、網膜、水晶体、角膜からなる。角膜と水晶体による収差が発生する。これから光学系を説明するが、実線が本来の光線で(一部図示)、第1光源部11から射出して、網膜上で結像し、二次光源を形成し、それが眼の光学系を透過し、さらに本装置の光学系を透過し、シャックハルトマン波面センサー1_25−1又は2_25−2に導かれて、それにより測定が可能になる。点線で示されているのは(一部図示)、瞳共役を示すための仮想の光線である。L1は、ここで示した3つの系で共通な対物レンズである。ダイクロイックミラー14により、第1光源部11から網膜へ、網膜からシャックハルトマン波面センサー1_25−1及び2_25−2へ向かう光線は反射される。
前眼部照明部60の第2光源部は、波面測定に使っているのとは異なる波長で、前眼部を照明しており、この波長は、ダイクロイックミラー14を透過する。これが結像レンズL2を介して、第3受光部(CCD1)41に導かれ、前眼部像が第3受光部(CCD1)41上に形成され、前眼部観察が可能になる。前眼部には、人眼の瞳や、この観察光学系と同軸に平行光が眼に向かって入れられていれば、角膜の反射像(プルキンエ第1像)を見ることができる。これによって、装置と眼の横方向のアライメントが可能である。
第1光源部11からの光は、集光レンズL3を介して、偏光子1を透過し、直線偏光になって、さらにプリズムにより反射された成分が、先のダイクロイックミラー14で反射されて眼に入射する。この測定光が網膜で散乱反射され、一部の偏光面が回転した光は、眼の光学系、対物レンズL1を経て、ダイクロイックミラー14で反射され、プリズム13に返ってくる。反射された網膜からの測定光はプリズム13を透過して、偏光子1_12と垂直の方向に向いた偏光子2_23を透過して、最後に偏光ビームスプリッタ24を透過して、シャックハルトマン波面センサー1_25−1に入射する。さて、測定部600が制御部610を介して制御することで、先ほどの偏光子1_12と偏光子2_23がともに90度光軸に対して回転したとする。そうすると、すべてのことが同様に起こるが、最後に偏光ビームスプリッタ24で測定光が反射することになる。よって、測定光はシャックハルトマン波面センサー2_25−2に入射する。
さて、ここまででは、ふれなかったが、プリズムは、偏光に関係のない、ビームスプリッタとする。反透鏡でも良い。しかし、第1光源部11からの光の中央部例えば直径1mm(眼の瞳上で)程度に対応する部分(プリズムは眼の瞳と完全に共役にすることもできる)を反射し、それ以外を、測定光が透過するように、配置することにより、効果的な波面測定が可能になる。中央部は測定できないが、高速な測定が必要な補償光学系の波面センサーとして、特に有効である。例えば、眼底像の結像系にドーナッツ型の反射部を設け、瞳上で外側の光のみを使って高解像眼底像を得るようになっている補償光学系との組み合わせでは、本波面センサーは有効である。
図3は、CCD1個及び2個のときのタイムチャートの説明図である。図3(a)に、CCD1個のときのタイムチャート、図3(b)に、CCD2個のときのタイムチャートの説明図をそれぞれ示す。
測定部600は、第1受光部21−1が露光している間に第2受光部21−2からデータを読み出し、一方、第2受光部21−2が露光している間に第1受光部21−1からデータを読み出す。例えば、図3(b)が示すように、1台目の第1受光部(CCD2)21−1が露光を行っている間に、測定部600は、2台目の第2受光部(CCD3)21−2のデータ読み出しと第2受光部(CCD3)21−2の露光を開始するための信号(この例では、Grab可能信号という。)を制御部610へ送信する。同様に、第2受光部(CCD3)21−2が露光を行っている間に、測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1のデータ読み出しと第1受光部(CCD2)21−1の露光を開始するためのGrab可能信号を制御部610へ送信する。
なお、Grab可能信号は、以下の本実施の形態の説明では、一例として、1:待機状態、0:動作状態、とする。
なお、Grab可能信号は、以下の本実施の形態の説明では、一例として、1:待機状態、0:動作状態、とする。
2.2 フローチャート
図4は、全体フローチャートである。
まず、測定部600は、露光時間t、測定回数Pを設定する。なお、露光時間t及び測定回数Pは、表示部700より適宜入力してもよいし、予めメモリ800に記憶しておき必要なときに読み出してもよい(ステップS101)。次に、測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1及び第2受光部(CCD3)21−2を待機状態にする(ステップS103)。例えば、測定部600は、Grab可能信号をF2=1、F3=1にセットし、制御部610により第1受光部(CCD2)21−1、第2受光部(CCD3)21−2を待機状態にする。
図4は、全体フローチャートである。
まず、測定部600は、露光時間t、測定回数Pを設定する。なお、露光時間t及び測定回数Pは、表示部700より適宜入力してもよいし、予めメモリ800に記憶しておき必要なときに読み出してもよい(ステップS101)。次に、測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1及び第2受光部(CCD3)21−2を待機状態にする(ステップS103)。例えば、測定部600は、Grab可能信号をF2=1、F3=1にセットし、制御部610により第1受光部(CCD2)21−1、第2受光部(CCD3)21−2を待機状態にする。
次に、測定部600は、第3受光部(CCD1)41上で得られた前眼部像等により眼のアライメントを行う(ステップS105)。次に、測定部600は、測定済み回数を初期値(例えば、i=1)に設定する(ステップS107)。つぎに、測定部600は、第1受光部21−1が露光している間に第2受光部21−2からデータを読み出し、一方、第2受光部21−2が露光している間に第1受光部21−1からデータを読み出すことにより、ふたつのCCDを用いて被測定眼100の波面測定を実行する(<測定サブルーチン1>)(ステップS111)。測定サブルーチン1についての詳細は後述する。設定した測定回数終了後、測定部600は、測定データをメモリ800から読み出し、それを基に収差解析を行う(ステップS113)。測定部600は、求めた波面収差の解析結果をメモリ(記憶部)800から読み出し、その解析結果に基づいて、例えば、眼の収差データ・マップ、角膜収差データ・マップ、俯瞰図、数値データ、ゼルニケ係数・多項式等を適宜表示するための処理を実行し、その結果を表示部700に表示し、メモリ800に保存する(ステップS115)。
図5は、測定サブルーチン1のフローチャートである。
測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1の露光を開始する(ステップS200)。そのために、測定部600は、例えば、Grab可能信号をF2=0にセットし、制御部610により第1受光部(CCD2)21−1の露光を開始する。測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1の露光終了を待つ(ステップS201)。
測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1の露光を開始する(ステップS200)。そのために、測定部600は、例えば、Grab可能信号をF2=0にセットし、制御部610により第1受光部(CCD2)21−1の露光を開始する。測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1の露光終了を待つ(ステップS201)。
ステップS201で露光が終了すると、測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1のデータを読み出してメモリ800に測定回数iに対応したデータIMiとして保存する(ステップS203)。なお、このときCCD2の識別情報をデータIMiに対応して記憶してもよい。次に、測定部600は、P回以上測定したか否かの判断をする(ステップS205)。測定部600は、測定が終了していない場合iの値を加算(i=i+1)し(ステップS207)、制御部610により第1受光部(CCD2)21−1を待機状態(F2=1)にする(ステップS209)。また、ステップS201で露光が終了すると、第1受光部(CCD2)21−1のデータ読み出し処理中(ステップS201〜S209)に、さらに一方で、測定部600は、第2受光部(CCD3)21−2の状態が待機状態(F3=1)か否かの判断をし(ステップS211)、待機状態でなければ待機状態になるまで判断を繰り返す。
測定部600は、第2受光部(CCD3)21−2が待機状態であれば第2受光部(CCD3)21−2が露光を開始する(ステップS213)。そのために、測定部600は、例えば、Grab可能信号をF3=0にセットし、制御部610により第2受光部(CCD3)21−2の露光を開始する。測定部600は、第2受光部(CCD3)21−2の露光終了を待つ(ステップS215)。ステップS215で露光が終了すると、測定部600は、第2受光部(CCD3)21−2のデータを読み出してメモリ800に測定回数iに対応したデータIMiとして保存する(ステップS217)。なお、このときCCD3の識別情報をデータIMiに対応して記憶してもよい。次に、測定部600は、P回以上測定したか否かの判断をする(ステップS219)。測定部600は、測定が終了していない場合iの値を加算(i=i+1)し(ステップS221)、制御部610により第2受光部(CCD3)21−2を待機状態に(F3=1)する(ステップS223)。
また、測定部600は、ステップS215で露光が終了すると、第2受光部(CCD3)21−2の処理(ステップS217〜S223)と平行して、第1受光部(CCD2)21−1の状態が待機状態(F2=1)か否かの判断をし(ステップS225)、待機状態でなければ待機状態になるまで判断を繰り返す。
測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1が待機状態であれば第1受光部(CCD2)21−1の露光を開始する(ステップS227)。そのために、測定部600は、例えば、Grab可能信号をF2=0にセットし、制御部610より第2受光部(CCD2)21−1の露光を開始する。
以上のように、測定部600は、測定回数P回データ取得の処理を繰り返し行い、ステップS205又はS209で所定の測定回数Pの測定を終了すると測定サブルーチン1の処理を終了する(C2)。
以上のように、測定部600は、測定回数P回データ取得の処理を繰り返し行い、ステップS205又はS209で所定の測定回数Pの測定を終了すると測定サブルーチン1の処理を終了する(C2)。
2.3 波面収差の解析(ゼルニケ解析とRMS)
以下に、シャックハルトマン波面センサーで波面収差を求める手法の詳細を説明する。
図8は、波面を求めるためのフローチャートである。
測定部600は、ハルトマンイメージから点像の位置を得る(ステップS91)。測定部600は、それぞれの点像(位置)をメモリ800から読み出し、参照位置の対応を得る(ステップS93)。つぎに、測定部600は、点像位置と参照位置の対応より点像位置のずれΔx、Δyを得る(ステップS95)。つぎに、測定部600は、参照点の位置(X、Y)とずれΔx、Δyから、次に説明するように波面W(X、Y)を求めることで、波面収差を解析する(ステップS97)。
以下に、シャックハルトマン波面センサーで波面収差を求める手法の詳細を説明する。
図8は、波面を求めるためのフローチャートである。
測定部600は、ハルトマンイメージから点像の位置を得る(ステップS91)。測定部600は、それぞれの点像(位置)をメモリ800から読み出し、参照位置の対応を得る(ステップS93)。つぎに、測定部600は、点像位置と参照位置の対応より点像位置のずれΔx、Δyを得る(ステップS95)。つぎに、測定部600は、参照点の位置(X、Y)とずれΔx、Δyから、次に説明するように波面W(X、Y)を求めることで、波面収差を解析する(ステップS97)。
つぎに、波面収差の解析について説明する。そこで、一般に知られているゼルニケ多項式からゼルニケ係数ci 2j−iを算出する方法について説明する。ゼルニケ係数ci 2j−iは、例えば、各受光部(ハルトマンセンサー)により、ハルトマン板を介してCCDで得られた光束の傾き角に基づいて被測定眼100の光学特性を把握するための重要なパラメータである。
また、波面収差W(X,Y)は、CCDの縦横の座標を(x、y)、ハルトマン板とCCDの距離(ハルトマン板のマイクロレンズの焦点距離)をf、CCDで受光される点像の移動距離を(Δx、Δy)とすると、次式の関係が成り立つ。
なお、ゼルニケ係数ci 2j−iは、次式で表される自乗誤差を最小にすることにより具体的な値を得ることができる。
ただし、W(X、Y):波面収差、(X、Y):ハルトマン板座標、(Δx、Δy):CCDで受光される点像の移動距離、f:ハルトマン板とCCDとの距離。
演算部600は、ゼルニケ係数ci 2j−iを算出し、これを用いて球面収差、コマ収差、非点収差等の眼光学特性を求める。また、演算部600は、ゼルニケ係数ci 2j−iを用いて次式により収差量RMSi 2j−iを算出する。
3.変形例
3.1 半画素分ずらす構成
図6は、複数の受光部(CCD)を半画素分ずらす構成を示す説明図である。この図の例では、第1受光部(CCD2)21−1と第2受光部(CCD3)21−2の配置を示す。
3.1 半画素分ずらす構成
図6は、複数の受光部(CCD)を半画素分ずらす構成を示す説明図である。この図の例では、第1受光部(CCD2)21−1と第2受光部(CCD3)21−2の配置を示す。
CCDの1画素の形状には、例えば、正方形と長方形がある。長方形の場合、長辺側の単位長さあたりの情報量は、短辺側のそれと比べて少なくなる。そこで、本変形例では、2台のCCDを、長辺側に半画素分ずれるようにして配置する。なお、短辺側に半画素分ずらしてもよい。これにより長辺側の情報量を増やすことができ、高精度な測定が可能となる。例えば、1台目の第1受光部(CCD2)21−1は、中心にある画素の中心と光軸が一致するように配置すると、2台目の第2受光部(CCD3)21−2は、中心にある画素とその隣の画素の境目に光軸が一致するように配置する。または、この逆に配置してもよい。
このように、第1受光部21−1及び第2受光部21−2は、互いに半画素分ずれて配置されており、測定部600は、第1受光部21−1及び第2受光部21−2からの出力に基づき、一つの受光部からの出力に基づくよりも高精度に収差測定を行うように構成することができる。
3.2 装置の収差解析
測定部600は、被測定眼100の測定に先立ち、模型眼などの移動しない対象物を測定対象物として、その際の第1受光部21−1及び第2受光部21−2の出力から、アフィン変換などの変換処理を利用して、互いの位置関係を求める校正モードを実行するようにしてもよい。
測定部600は、被測定眼100の測定に先立ち、模型眼などの移動しない対象物を測定対象物として、その際の第1受光部21−1及び第2受光部21−2の出力から、アフィン変換などの変換処理を利用して、互いの位置関係を求める校正モードを実行するようにしてもよい。
以下に、装置の収差を解析する手法を説明する。
まず、被測定眼100の位置に、収差が分かっている模型眼を配置する。この模型眼を測定すると、既知の収差の他に装置の光学系の収差が加算されている。観察される点像から、収差は式(前に使った式を流用)で算出される。そこから、模型眼の収差を差し引いた量が、装置の収差となる。この収差を点像のずれに直して、そのずれた点像を新たに、本当の参照点とし、測定の際に用いる。
まず、被測定眼100の位置に、収差が分かっている模型眼を配置する。この模型眼を測定すると、既知の収差の他に装置の光学系の収差が加算されている。観察される点像から、収差は式(前に使った式を流用)で算出される。そこから、模型眼の収差を差し引いた量が、装置の収差となる。この収差を点像のずれに直して、そのずれた点像を新たに、本当の参照点とし、測定の際に用いる。
図7は、装置の収差を求めるフローチャートである。
被検眼100の位置に、収差が予め分かっている模型眼を配置する(ステップS301)。測定部600は、第3受光部(CCD1)41上に形成される前眼部像等により眼のアライメントを行う(ステップS303)。測定部600は、上述の「2.2 フローチャート」で説明したように、又は、第1駆動部620を制御して通常のハルトマン板を利用した波面測定により、制御部610により第1受光部(CCD2)21−1及び第2受光部(CCD3)21−2により点像を取得する(ステップS305)。測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1及び第2受光部(CCD3)21−2から読み出した点像から収差解析を行う(ステップS307)。測定部600は、ステップS307により得た解析結果から、模型眼の収差を差し引くことにより、CCD2及び3毎に装置の収差を得る(ステップS309)。測定部600は、ステップS309で求めた装置の収差を点像のずれに変換し(ステップS311)、CCD2及び3にそれぞれ対応してずれた点像を真の参照点とし、メモリ800に記憶する(ステップS313)。測定部600は、各CCD2及び3毎に参照点を基準として測定値Δx、Δyを求め、それに基づき、上述の「2.2 フローチャート」で説明したように波面収差を測定する。
被検眼100の位置に、収差が予め分かっている模型眼を配置する(ステップS301)。測定部600は、第3受光部(CCD1)41上に形成される前眼部像等により眼のアライメントを行う(ステップS303)。測定部600は、上述の「2.2 フローチャート」で説明したように、又は、第1駆動部620を制御して通常のハルトマン板を利用した波面測定により、制御部610により第1受光部(CCD2)21−1及び第2受光部(CCD3)21−2により点像を取得する(ステップS305)。測定部600は、第1受光部(CCD2)21−1及び第2受光部(CCD3)21−2から読み出した点像から収差解析を行う(ステップS307)。測定部600は、ステップS307により得た解析結果から、模型眼の収差を差し引くことにより、CCD2及び3毎に装置の収差を得る(ステップS309)。測定部600は、ステップS309で求めた装置の収差を点像のずれに変換し(ステップS311)、CCD2及び3にそれぞれ対応してずれた点像を真の参照点とし、メモリ800に記憶する(ステップS313)。測定部600は、各CCD2及び3毎に参照点を基準として測定値Δx、Δyを求め、それに基づき、上述の「2.2 フローチャート」で説明したように波面収差を測定する。
3.3 アフィン変換によるCCDの配置誤差の校正
図11に、各シャックハルトマン波面センサーのCCDの配置誤差の校正についての説明図を示す。
図11(a)に、CCDでの無収差の模型眼を測定したときに得られた点像、図11(b)に、第1受光部21−1又は第2受光部21−2のCCDで得られる点像をそれぞれ示す。図11(b)は、各CCDでアフィン変換のパラメータをもとめる必要がある。さきに計測的に得た、参照点の絶対位置から、決まる点像位置を示す。図示のように整然とならんでいるとは限らないが、ここでは図化が簡単のためにこのように示した。
図11に、各シャックハルトマン波面センサーのCCDの配置誤差の校正についての説明図を示す。
図11(a)に、CCDでの無収差の模型眼を測定したときに得られた点像、図11(b)に、第1受光部21−1又は第2受光部21−2のCCDで得られる点像をそれぞれ示す。図11(b)は、各CCDでアフィン変換のパラメータをもとめる必要がある。さきに計測的に得た、参照点の絶対位置から、決まる点像位置を示す。図示のように整然とならんでいるとは限らないが、ここでは図化が簡単のためにこのように示した。
一般にCCDは光学器械として、良い精度で組み立てられる。しかし、わずかながら光軸を軸に回転したり、いわゆるあおりがあったり、光軸と垂直の面内で位置ずれしていたりする場合がある。これは、わずかな量であるが、図示のように(図は誇張してある)、無収差模型眼を測定したときの、それぞれのCCDで観察できる点像は、移動したりゆがんだりしている場合がある。例えば、図11(a)は、レンズレットアレイに起因するゆがみや位置移動のみ、図11(b)のCCD上ではCCD起因のゆがみや位置ずれが加わる。
図11(a)に示すCCD上での点像と、図11(b)に示す、先立った計測によって得られたCCDの位置、回転誤差がないときの点像の配置(参照点)との間には1対1対応がある。測定部600は、この対応をつけ、2つの点像のアレイ間での関係を、次式に示すアフィン変換によって近似する。
x’=AC1x+BC1y+DC1
y’=AC2x+BC2y+DC2
次に示す各CCDに対する校正パラメータは、メモリ(記憶装置)800に記憶される。
AC1、BC1、DC1
AC2、BC2、DC2
x’=AC1x+BC1y+DC1
y’=AC2x+BC2y+DC2
次に示す各CCDに対する校正パラメータは、メモリ(記憶装置)800に記憶される。
AC1、BC1、DC1
AC2、BC2、DC2
3.4 バリエーション
対物レンズの前にλ/4板を挿入して、第1光源部11から第1偏光光学部材(偏光子1)12を通って来た直線偏光を一度円偏光にし、網膜の一部で反射して、位相が反転した円偏光を、このλ/4板で、先ほどと90度偏波面の回転した偏光光にして、第2偏光光学部材(偏光子2)23を透過して、波面測定部分に光が導かれる方法も考えられる。この場合も、第1偏光光学部材(偏光子1)12及び第2偏光光学部材(偏光子2)23の回転により、2つのCCDを使った、高速な波面測定が可能になる。
対物レンズの前にλ/4板を挿入して、第1光源部11から第1偏光光学部材(偏光子1)12を通って来た直線偏光を一度円偏光にし、網膜の一部で反射して、位相が反転した円偏光を、このλ/4板で、先ほどと90度偏波面の回転した偏光光にして、第2偏光光学部材(偏光子2)23を透過して、波面測定部分に光が導かれる方法も考えられる。この場合も、第1偏光光学部材(偏光子1)12及び第2偏光光学部材(偏光子2)23の回転により、2つのCCDを使った、高速な波面測定が可能になる。
3.5 照明光学系と受光光学系との変形例
上述の説明において、照明光学系と受光光学系において、偏光を利用して光束切り替えを行う例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく他の方法も採用可能である。他の例としては、第1照明光学系10において、第1偏光光学部材12また、第1受光光学系20に第1偏光光学部材23を設けず、第1受光光学系20の偏光ビームスプリッタ24を、通常の反射ミラーに交換し、光路から挿脱自在に構成する。反射ミラーは、制御部610からの信号によって、第1受光部と第2受光部との露光タイミングに応じて光路から挿脱自在に制御される。その結果、その反射ミラーが光路から離脱した際には、眼底からの反射光が第1受光部21−1に導かれ、光路に挿入された際には、第2変換部材22−2に導かれるようになる。
上述の説明において、照明光学系と受光光学系において、偏光を利用して光束切り替えを行う例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく他の方法も採用可能である。他の例としては、第1照明光学系10において、第1偏光光学部材12また、第1受光光学系20に第1偏光光学部材23を設けず、第1受光光学系20の偏光ビームスプリッタ24を、通常の反射ミラーに交換し、光路から挿脱自在に構成する。反射ミラーは、制御部610からの信号によって、第1受光部と第2受光部との露光タイミングに応じて光路から挿脱自在に制御される。その結果、その反射ミラーが光路から離脱した際には、眼底からの反射光が第1受光部21−1に導かれ、光路に挿入された際には、第2変換部材22−2に導かれるようになる。
この発明は、眼科用の測定装置や手術装置等に、幅広く適用することができる。
10 第1照明光学系11 第1光源部
12 第1偏光光学部材
13 プリズム
14 ビームスプリッタ
20 第1受光光学系
21−1 第1受光部
21−2 第2受光部
22−1 第1変換部材
22−2 第2変換部材
23 第2偏光光学部材
24 偏光ビームスプリッタ
25−1 シャックハルトマン波面センサー1
25−2 シャックハルトマン波面センサー2
40 前眼部観察部
41 第3受光部
50 第1調整光学部
60 前眼部照明部
600 演算部
610 制御部
620 第1駆動部
700 表示部
800 メモリ
12 第1偏光光学部材
13 プリズム
14 ビームスプリッタ
20 第1受光光学系
21−1 第1受光部
21−2 第2受光部
22−1 第1変換部材
22−2 第2変換部材
23 第2偏光光学部材
24 偏光ビームスプリッタ
25−1 シャックハルトマン波面センサー1
25−2 シャックハルトマン波面センサー2
40 前眼部観察部
41 第3受光部
50 第1調整光学部
60 前眼部照明部
600 演算部
610 制御部
620 第1駆動部
700 表示部
800 メモリ
Claims (9)
- 所定のタイミングで高輝度の光束を発する光源部と、
上記光源部からの光束を被測定眼の眼底に照明する照明光学系と、
照明された被測定眼の眼底からの反射光束を選択的に、少なくとも17本の光束に分割する第1及び第2変換部材を介してそれぞれ交互に第1及び第2の受光部に導く受光光学系と、
上記第1及び第2の受光部からの出力に基づき、被測定眼の波面収差を短い間隔で測定する測定部とを有する眼科測定装置。 - 上記照明光学系は、第1の偏光と第2の偏光とに偏光条件を交互に変更する第1偏光光学部材を含み、上記第1偏光光学部材を介して上記光源部からの光束を被測定眼の眼底に照明し、
上記受光光学系は、上記第1偏光光学部材の偏光条件に応じて照明された被測定眼からの反射光の各偏光成分を選択する第2偏光光学部材と、選択された各偏光成分の反射光をそれぞれ交互に少なくとも17本の光束に分割する光学素子を介して受光する第1及び第2の受光部とを含むように構成されていることを特徴とする眼科測定装置。 - 上記第1及び第2偏光光学部材は、偏光板を光軸周りに回転可能に構成したことを特徴とする請求項2記載の眼科測定装置。
- 上記第1及び第2の受光部は、互いに半画素分ずれて配置されており、
上記測定部は、上記第1及び第2の受光部からの出力に基づき、一つの受光部からの出力に基づくよりも高精度に波面収差測定を行うように構成されていることを特徴とする請求項1記載の眼科測定装置。 - 上記測定部は、被測定眼の測定に先立ち、模型眼などの移動しない対象物を測定対象物として、その際の上記第1及び第2の受光部の出力から、アフィン変換などの変換処理を利用して、互いの位置関係を求める校正モードを実行することを特徴とする請求項1記載の眼科測定装置。
- 上記測定部は、上記第1の受光部が露光している間に上記第2の受光部からデータを読み出し、一方、上記第2の受光部が露光している間に上記第1の受光部からデータを読み出すことを特徴とする請求項1記載の眼科測定装置。
- 上記受光光学系は、第1の偏光を上記第1の受光部に導き、第2の偏光を上記第2の受光部に導く偏光ビームスプリッタをさらに備えたことを特徴とする請求項2記載の眼科測定装置。
- 上記第1偏光光学部材の偏光方向を制御して、被測定眼の入射光の偏光条件・方向を第1の偏光又は第2の偏光に交互に変更し、上記第2偏光光学部材の偏光条件・方向を、上記第1偏光光学部材の偏光条件・方向に応じて、被測定眼からの反射光を透過するように、第1の偏光又は第2の偏光に交互に変更するための駆動部をさらに備えた請求項1記載の眼科測定装置。
- 上記第1及び第2の偏光は、それぞれP偏光及びS偏光又はその逆であることを特徴とする請求項1記載の眼科測定装置。
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