JP2013246305A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着ベルトの定着温度制御において、定着ベルトに大きな温度変化が生じることを抑制して、定着ベルトの加熱時の消費電力を低減する。
【解決手段】定着制御部52は、第1〜第3のヒーターランプ35〜37から選択される1つまたは2つの組み合わせにより得られる異なる電力容量の中から選択される1つの電力容量を基準モードに設定して、複数枚の記録シートに対する熱定着動作中に、定着ベルト33が目標温度を下回ると定着ベルト33を基準モードで加熱する。定着ベルト33が目標温度を上回ると定着ベルト33の加熱を停止する。定着ベルト33の加熱の停止時に、定着ベルト33がオーバーシュートにより上限温度を上回ると、基準モードを、前回設定された電力容量よりも小さい電力容量に更新する。
【選択図】図2

Description

本発明は、未定着画像が形成された記録シートが、加熱回転体と加圧回転体との圧接によって形成された定着ニップを通過する間に、記録シートに未定着画像を定着する定着装置、および、このような定着装置を有する画像形成装置に関する。
電子写真方式によってトナー画像を形成するプリンター等の画像形成装置では、通常、記録シートに転写されたトナー画像が、定着装置において記録シート上に定着される。
定着装置では、加熱ローラー、定着ベルト等の加熱回転体と、加圧ローラー等の加圧体とを圧接させることによって定着ニップを形成して、定着ニップを通過する記録シート上のトナー画像を、加熱および加圧することによって記録シートに定着するようになっている。定着ニップを通過する記録シートは、例えば、ヒーターランプによって加熱される。
定着装置において熱定着動作を実行する場合には、まず、ヒーターランプによって加熱回転体を目標温度(160℃程度)以上に加熱するウォームアップを実行し、ウォームアップが終了すると、プリントジョブが開始されて記録シートが定着ニップに搬送される。ヒーターランプは、ジョブの実行中、加熱回転体の温度が目標温度を上回るとオフされ、オフにより加熱回転体の温度が目標温度を下回ると、再度、オンされる。
ウォームアップを開始する時点では、加熱回転体の温度が、例えば、室温程度等の低い状態であれば、これに圧接する加圧体も室温程度等の低温状態になっている場合がある。この場合、ウォームアップの開始後、ヒーターランプの熱により加熱回転体が昇温し、加熱回転体の熱の一部が定着ニップを介して加圧回転体に移動する。このような熱の移動により加熱回転体の昇温が遅れることを抑制するために、単位時間当たりの発熱量が大きなヒーターランプが用いられている。
単位時間当たりの発熱量が大きなヒーターランプを用いると、加熱回転体の昇温が速くなり、ウォームアップが早く終了してプリントジョブの開始を早めることができる。
特開2010−96969号公報
しかし、複数枚の記録シートを連続搬送するジョブの実行中、ヒーターランプのオンおよびオフが繰り返されると、加熱回転体の温度が目標温度で安定せずに、上下に大きく変動する温度リップルが生じ易くなる。
すなわち、ウォームアップの終了時点では、加熱回転体の表面温度が目標温度近辺まで昇温していても、ウォームアップの開始時に加圧体が低温状態であればウォームアップが終了しても、加圧体の内部は低温状態になっており、加圧体の内部に熱が行き渡るまで、加熱回転体から加圧体への熱の移動がウォームアップ終了後も継続していることが多い。このような状態でジョブが開始されると、加熱回転体の熱が、定着ニップを通過する記録シートと、定着ニップで圧接される加圧体との両方に奪われるために、ジョブ開始後も、発熱量の大きなヒーターランプによる加熱を継続しても、記録シートが定着ニップを通過する毎に加熱回転体の温度が大きく低下し、次の記録シートが定着ニップに到達するまでの間に、加熱回転体の温度が大きく上昇する。
また、ジョブの開始からの時間経過により加圧体の内部に熱が蓄積されると、加熱回転体から加圧体への熱の移動がほとんどなくなり、ヒーターランプからの熱のほとんどが加熱回転体を介して記録シートに移動することになる。この場合、ヒーターランプから発せられる単位時間当たりの熱量は、ヒーターランプがオンしている間、ほぼ一定であり、また、定着ニップを通過する記録シートに奪われる単位時間当たりの熱量も、記録シートのサイズと搬送速度が一定であれば、ジョブ実行中、ほぼ一定になる。
従って、加圧体に奪われていた熱が低減すると、ヒーターランプからの熱が加熱回転体を介して記録シートに奪われても、加圧体への熱の移動がほとんどなくなるために、発熱量が大きいヒーターランプの加熱によって、加熱回転体の温度が急激に上昇し、比較的短時間で目標温度を越えてしまう(オーバーシュート)。しかも、オーバーシュートの直後に、発熱量が大きいヒーターランプがオフされると、加熱回転体の熱容量が小さいために、ヒーターランプ加熱回転体の温度が比較的短時間で目標温度以下に下降し、ヒーターランプがオンされる。その結果、加圧体が蓄熱状態になっても、ヒーターランプのオンおよびオフが短い周期で頻繁に繰り返され易くなり、温度変化の大きな温度リップルが発生するおそれがある。
ヒーターランプを用いる構成では、通常、加熱回転体の温度をセンサーで検出し、加熱回転体の温度が目標温度で安定するように、センサーの検出温度に基づいてヒーターランプへの電力供給(オン)と停止(オフ)をスイッチで切り替える回路構成がとられる。
このようにスイッチで電力の供給および停止を切り替える回路では、センサーの温度検出からスイッチの切り替えまでの応答遅れが少なからずあり、この応答遅れにより、加熱回転体の温度リップルがさらに大きくなるおそれがある。
特に、近年ではウォームアップに要する時間をできるだけ短縮するべく、低熱容量の加熱回転体を用いることが行われるが、低熱容量にするほど昇温と降温の速度が速くなるために、加熱回転体の温度の上昇と下降の周期がより短くなると共に、上下の温度のピーク値も大きくなって、熱定着を安定して行えない状態になり易くなる。
また、ヒーターランプの抵抗値は温度に依存しており、ヒーターランプの抵抗値が低い状態で電力が供給されると、一時的に大きな電流(突入電流)がヒーターランプに供給されることが知られている。
このために、前述したように、ヒーターランプに対する電力供給および停止が短時間で繰り返されると、突入電流の発生回数が増加するために、ヒーターランプの消費電力が増加し、省エネ性能が損なわれるおそれがある。また、突入電流が発生することによって、加熱回転体の表面温度が一時的に上昇することから、加熱回転体の表面の温度変化も大きくなるおそれがある。
なお、上記のような問題は、ヒーターランプに限らず、他の電気−熱変換方式の加熱手段を用いる場合も同様に発生する。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、複数枚の記録シートが連続して定着ニップを通過する際における加熱回転体の温度変化を抑制することができ、しかも、消費電力を低減することができる定着装置を提供することを目的としている。
本発明の他の目的は、そのような定着装置を用いた画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、加熱回転体とこれに圧接される加圧体との間に確保される定着ニップを記録シートが通過する際に、当該記録シート上の未定着画像を熱定着する定着装置であって、前記加熱回転体を加熱する複数の加熱手段と、前記加熱回転体の温度を検出する検出手段と、前記複数の加熱手段のうちの1つまたは複数の組み合わせにより得られる異なる電力容量の中から選択された1つの電力容量を基準モードとして設定し、前記定着ニップを連続して通過する複数枚の記録シートに対する熱定着動作中に、前記検出手段の検出温度が目標温度を下回ると、基準モードで前記加熱回転体を加熱し、前記目標温度を上回ると前記加熱回転体の加熱を停止する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記基準モードで前記加熱回転体が加熱された後における前記加熱回転体の加熱の停止により前記加熱回転体の温度が前記目標温度に対しオーバーシュートして、目標温度よりも高い所定の上限温度まで上昇した場合には、基準モードを、前回設定された電力容量よりも小さ電力容量に更新することを特徴とする。
また、本発明に係る他の定着装置は、加熱回転体とこれに圧接される加圧体との間に確保される定着ニップを記録シートが通過する際に、加熱により当該記録シート上の未定着画像を定着する定着装置であって、前記加熱回転体を加熱する複数の加熱手段と、前記加熱回転体の温度を検出する検出手段と、前記複数の加熱手段のうちの1つまたは複数の組み合わせにより得られる電力容量の中から選択された1つの電力容量を基準モードとして設定し、前記定着ニップを連続して通過する複数枚の記録シートに対する熱定着動作中に、前記検出手段の検出温度が目標温度を下回ると、基準モードで前記加熱回転体を加熱し、前記目標温度を上回ると前記加熱回転体の加熱を停止する制御手段と、を備え、前記制御手段は、基準モードで前記加熱回転体が加熱された後における前記加熱回転体の加熱の停止により前記加熱回転体の温度が前記目標温度に対しオーバーシュートした場合に、当該目標温度を下回るまでに要する時間が所定時間以上になると、基準モードを、前回設定された電力容量よりも小さい電力容量に更新することを特徴とする。
さらに、本発明に係る画像形成装置は、前記定着装置を有することを特徴とする。
本発明の定着装置では、加熱回転体を基準モードで加熱した後における加熱回転体の加熱停止時に、加熱回転体が目標温度に対してオーバーシュートして上限温度まで上昇すると、基準モードが前回に設定された電力容量よりも小さい電力容量に更新される。これにより、熱定着動作が実行されている間に、加熱回転体の熱が加圧体等に移動することによって加圧体等の蓄熱量が増加するに連れて、加熱回転体は、小さい電力容量に更新されて加熱されることになる。
従って、加熱回転体の加熱時に、加熱回転体が目標温度に対してオーバーシュートしても、上限温度まで上昇することを抑制することができる。その結果、加熱回転体に、温度変化の大きな温度リップルが生じることを抑制することができる。しかも、電力容量が小さくなった基準モードで加熱回転体を加熱することにより、加熱時における消費電力を低減することができる。
本発明の他の定着装置では、加熱回転体を基準モードで加熱した後における加熱回転体の加熱停止時に、加熱回転体が目標温度に対するオーバーシュートした場合、目標温度を下回るまでに所定時間以上を要すると、基準モードが前回に設定された電力容量よりも小さい電力容量に更新される。これにより、熱定着動作が実行されている間に、加熱回転体の熱が加圧体等に移動することによって加圧体等の蓄熱量が増加するに連れて、加熱回転体は、小さい電力容量に更新されて加熱されることになる。
従って、この場合にも、加熱回転体の加熱時に、加熱回転体が目標温度に対してオーバーシュートして上限温度まで上昇することを抑制することができる。その結果、加熱回転体に、温度変化の大きな温度リップルが生じることを抑制することができる。しかも、電力容量が小さくなった基準モードで加熱回転体を加熱することにより、加熱時における消費電力を低減することができる。
好ましくは、前記制御手段は、前記加熱回転体の加熱時に、前記検出手段の検出温度が前記目標温度よりも低い所定の下限温度を下回ると、基準モードを、前回設定された電力容量よりも大きい電力容量に更新した後に、更新後の基準モードで前記加熱回転体を加熱することを特徴とする。
好ましくは、前記制御手段は、前記下限温度を下回った場合に、基準モードを、最大の電力容量に更新することを特徴とする。
好ましくは、前記制御手段は、前記熱定着動作の開始時に、基準モードを、最大の電力容量に設定して、設定された基準モードで前記加熱回転体を加熱することを特徴とする。
好ましくは、前記制御手段は、前記加熱回転体を前記目標温度まで昇温させた後に、前記熱定着動作が指示されるまでの待機状態の間、前記加熱回転体を前記目標温度よりも低い所定温度を上回らないように加熱する省電力モードになり、前記省電力モードにおいて前記熱定着動作が指示されると、基準モードを、前記待機状態の経過時間に基づいて選択された電力容量に設定し、設定された基準モードで前記加熱回転体を加熱して昇温させることを特徴とする。
好ましくは、前記制御手段は、前記待機状態の経過時間が閾値に達するまでは、基準モードを、最大の電力容量に設定し、前記閾値以上の場合に、基準モードを、最大の電力容量よりも小さい電力容量に設定することを特徴とする。
好ましくは、前記制御手段は、前記熱定着動作の開始時に、前記基準モードを、前記検出手段の検出温度に基づいて選択される電力容量に設定して、設定された電力容量で前記加熱回転体を加熱することを特徴とする。
好ましくは、前記制御手段は、前記熱定着動作の開始時における前記検出手段の検出温度が、目標温度よりも低く設定された閾値温度よりも低い場合に、基準モードを、最大の電力容量に設定し、前記閾値温度以上の場合に、基準モードを、最大の電力容量よりも小さい電力容量に設定することを特徴とする。
また、本発明に係る他の定着装置において、好ましくは、前記制御手段は、前記検出手段の検出温度が、前記目標温度と、当該目標温度よりも低い所定の下限温度との間で下降状態になっている場合に、基準モードで前記加熱回転体を加熱し、前記目標温度と前記下限温度との間で下降状態から上昇状態になっている場合に、基準モードに設定された電力容量も小さな電力容量に切り替えて前記加熱回転体を加熱することを特徴とする。
さらに、本発明に係る他の定着装置において、好ましくは、前記制御手段は、前記検出手段の検出温度が前記下限温度を下回ると、基準モードを、最大の電力容量に更新して、更新後の電力容量で前記加熱回転体を加熱することを特徴とする。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンターの概略構成を示す模式図である。 そのカラープリンターに設けられた定着装置の構成を説明するための模式的な断面図である。 定着装置に設けられた制御系の構成を示すブロック図である。 定着制御部に設定された第1〜第4の電力モードを説明するための表である。 定着制御部において実行される定着温度制御の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の定着温度制御において、基準モードが第4電力モードに切り替えられた後の第1ヒーターランプに対する供給電力の変化および加熱ローラーの表面温度の変化を示すグラフである。 (a)は、比較例の定着温度制御における定着ベルトの表面温度の変化を示すグラフ、(b)は、その比較例における定着ベルトを加熱する際の制御信号のタイムチャートである。 図6に示されたグラフにおける第1ヒーターランプに対する供給電力(消費電力)の平均値と、プリントTEC値とを示す表である。 定着制御部において実行される定着温度制御の他の例を示すフローチャートである。 定着制御部において実行される定着温度制御のさらに他の例を示すフローチャートである。 定着制御部において実行される定着温度制御のさらに他の例を示すフローチャートである。 定着制御部に設定された電力モードの他の例を説明するための表である。 (a)〜(e)のそれぞれは、定着制御部において実行される定着温度制御のさらに他の例において、基準モードとして設定された電力モードと、定着ベルトを加熱する際の電力モードとの関係を示す表である。 定着制御部において実行される定着温度制御のさらに他の例を示すフローチャートである。 図14のフローチャートに続く定着温度制御の処理手順を示すフローチャートである。 (a)は、実施形態5における定着温度制御での定着ベルトの表面温度の変化の一例を示すグラフ、(b)は、その定着温度制御において定着ベルトを加熱する電力モードの変化を示すグラフである。 (a)は、比較例における定着ベルトの表面温度の変化の一例を示すグラフ、(b)は、その場合における電力モードを示すグラフである。 他の比較例における定着温度制御の条件を説明するための表である。 (a)は、図18の表に示す条件で定着温度制御を実行した場合における加熱回転体の表面温度の変化を示すグラフ、(b)は、その場合における供給電力の変化を示すグラフである。
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態について説明する。
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるタンデム型カラープリンター(以下、単に「プリンター」とする)の概略構成を示す模式図である。このプリンターは、ネットワーク(例えばLAN)を介して外部の端末装置から入力される画像データ等に基づいて、周知の電子写真方式によりトナー画像を形成し、下部の給紙カセット22からシート搬送経路21に沿って搬送される記録シートPにトナー画像を転写する。トナー画像が転写された記録シートPは、定着装置30に搬送され、定着装置30において、トナー画像が記録シートPに定着される。
プリンターの上下方向の略中央部には、周回移動域が水平方向に沿って長くなった中間転写ベルト18が設けられている。中間転写ベルト18は、矢印Xで示す方向に周回移動(走行)する。中間転写ベルト18の下方には、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kが設けられている。画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、中間転写ベルト18の下側のベルト走行部分に対向して、走行方向に沿ってその順番で配置されている。
各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kには、中間転写ベルト18の下側のベルト走行部分の下方において、中間転写ベルト18に対向した状態で矢印Z方向に回転可能に配置された感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kがそれぞれ設けられており、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kを用いて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー画像が形成される。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれは、トナー画像を形成するために使用されるトナーの色のみがそれぞれ異なっていること以外は概略同様の構成になっていることから、画像形成ユニット10Yの構成のみを詳細に説明して、他の画像形成ユニット10M、10C、10Kの構成の詳細な説明については省略する。
画像形成ユニット10Yは、感光体ドラム11Yの下部に対向して配置された帯電器12Yを有している。感光体ドラム11Yは、帯電器12Yによって表面が一様に帯電される。また、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの下方には露光装置13Yが配置されており、帯電された感光体ドラム11Yの表面に、露光装置13Yから照射されるレーザ光によって静電潜像が形成される。
なお、他の画像形成ユニット10M、10C、10Kにおける感光体ドラム11M、11C、11Kのそれぞれにも、露光装置13から照射されるレーザ光が照射されて、感光体ドラム11M、11C、11Kの表面に静電潜像が形成される。
感光体ドラム11Yの表面に形成された静電潜像は、現像器14YによってY色のトナーにより現像される。これにより、感光体ドラム11Yの表面に、Y色のトナー画像が形成される。
中間転写ベルト18の周回移動域の内側の領域には、中間転写ベルト18を挟んで感光体ドラム11Yに対向する1次転写ローラー15Yが配置されている。感光体ドラム11Y上に形成されたトナー画像は、転写バイアス電圧が印加された1次転写ローラー15Yによる電界の作用により、中間転写ベルト18上に1次転写される。
他の画像形成ユニット10M、10C、10Kの上方にも、中間転写ベルト18を挟んでそれぞれの感光体ドラム11M、11C、11Kに対向する1次転写ローラー15M、15C、15Kがそれぞれ設けられており、各感光体ドラム11M、11C、11Kの表面上に形成されたトナー画像は、それぞれ、転写バイアス電圧が印加された1次転写ローラー15M、15C、15Kによる電界の作用により、中間転写ベルト18上に1次転写される。
なお、フルカラー画像を形成する場合には、各感光体ドラム11Y、11M、11C、11K上に形成されたそれぞれのトナー画像が中間転写ベルト18上の同一の領域に多重転写されるように、各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kのそれぞれの画像形成動作のタイミングがずらされる。これに対して、モノクロ画像を形成する場合には、選択された1つの画像形成ユニット(例えばKトナー用の画像形成ユニット10K)のみが駆動されて、その画像形成ユニットに設けられた感光体ドラム上に形成されたトナー画像が、中間転写ベルト18における所定領域上に転写される。
トナー画像が形成された中間転写ベルト18の下側のベルト走行部分における走行方向の下流側の端部(図1において右側の端部)には、中間転写ベルト18を周回移動させる駆動ローラー17が配置されている。駆動ローラー17に巻き掛けられた中間転写ベルト18には、2次転写ローラー19が圧接されており、相互に圧接された部分に転写ニップNtが形成されている。
シート搬送経路21を搬送される記録シートPは、転写ニップNtへ搬送される。中間転写ベルト18上に転写されたトナー画像は、記録シートPが転写ニップNtを通過する間に、2次転写ローラー19に印加された転写バイアス電圧によって形成される電界の作用によりに記録シートP上に2次転写される。トナー画像が2次転写された記録シートSは、2次転写ローラー19の上方に配置された定着装置30へ搬送される。
記録シートSは、定着装置30を通過する間に、所定の定着温度に加熱されて、記録シートS上のトナー画像が記録シートS上に定着される。定着装置30の具体的な構成については後述する。
トナー画像が定着された記録シートPは、排紙ローラー24によって排紙トレイ23上に排出される。
<定着装置の構成>
図2は、定着装置30の構成を説明するための模式的な断面図である。図2に示すように、定着装置30は、加熱ローラー31および定着ローラー32に巻き掛けられて矢印F方向に周回移動(走行)する定着ベルト33と、定着ローラー32に巻き掛けられた定着ベルト33を押圧する加圧ローラー34とを有している。
定着ローラー32は、図示しない側板に回転可能に支持されている。加熱ローラー31は、バネなどを用いた図示しないテンション機構によって定着ローラー32から離れる方向に付勢された状態になっている。これにより、定着ローラー32と加熱ローラー31とに巻き掛けられた定着ベルト33にはテンションが付加されている。
加圧ローラー34は、バネなどを用いた図示しない加圧機構によって所定の圧力で定着ベルト33に圧接されており、両者の間に定着ニップNfが確保されている。定着ニップNfには、トナー画像が転写された記録シートPが、画像面を定着ベルト33に向けられた状態で搬送されて、定着ニップNfを通過する
本実施形態では、定着ニップNfのニップ荷重が50〜500Nになっており、ニップ幅(定着ベルト33の周回方向に沿った長さ)が8mm、ニップ長さ(定着ベルト33の走行方向とは直交する幅方向に沿った長さ)が320mmになっている。
加熱ローラー31は中空の円筒状に構成されており、その内部に、電気−熱変換方式で加熱ローラー31を加熱する第1ヒーターランプ35、第2ヒーターランプ36、第3ヒーターランプ37の3つの加熱手段が設けられている。第1〜第3のヒーターランプ35〜37のいずれか1つまたは複数によって加熱ローラー31が加熱されると、加熱ローラー31に巻き掛けられて走行する定着ベルト33が加熱され、加熱された定着ベルト33によって、定着ニップNfを通過する記録シートPが加熱される。
第1ヒーターランプ35、第2ヒーターランプ36、第3ヒーターランプ37のそれぞれは、例えばハロゲンヒーターランプによって構成されており、加熱ローラー31の軸心を中心とした一定半径の円周上に、それぞれが周方向に等しい間隔をあけた状態で、加熱ローラー31の軸心に沿って配置されている。
第1ヒーターランプ35、第2ヒーターランプ36、第3ヒーターランプ37のそれぞれの定格電力(電力容量)は異なっており、第1ヒーターランプ35の定格電力が700W、第2ヒーターランプ36の定格電力が500W、第3ヒーターランプ37の定格電力が300Wになっている。
第1ヒーターランプ35、第2ヒーターランプ36、第3ヒーターランプ37のそれぞれは、電力が供給されることによって点灯(発熱)状態になり、供給される電力にほぼ比例した発熱量で加熱ローラー31を加熱する。従って、定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35が最大の発熱量になっており、次いで、定格電力が500Wの第2ヒーターランプ36の発熱量が多く、定格電力が300Wの第3ヒーターランプ37が最小の発熱量になっている。
第1〜第3のヒーターランプ35〜37のそれぞれは290mmの同じ長さになっており、定着ベルト33における幅方向(走行方向とは直交する方向)の両側の各端部での定着性を確保するために、それぞれ、長手方向の両側の各端部における配光(光の強度、加熱強度に相当)が、長手方向の中央部における配光よりも大きくなっている。本実施形態では、第1〜第3のヒーターランプ35〜37のそれぞれの両側の各端部における20mmの長さの部分の配光は、両側の端部以外の長さ250mmの中央部の配光を100%とすると、それぞれ115%になっている。
加圧ローラー34は、図示しない駆動モーターによって、所定の表面速度(本実施形態では165mm/s)で回転される。これにより、加圧ローラー34に対して定着ベルト33を挟んで圧接状態になった定着ローラー32が、加圧ローラー34に追従して回転し、また、定着ベルト33が、定着ローラー32と一体となって走行する。
加熱ローラー31の近傍には、加熱ローラー31に巻き掛けられた定着ベルト33の表面温度を検出する温度センサー38が設けられている。温度センサー38は、加熱ローラー31に巻き掛けられた定着ベルト33における走行方向の上流側部分に対向して配置されている。温度センサー38としては、本実施形態では非接触サーミスターが使用されている。
加熱ローラー31は、例えば円筒状の芯金31aの外周面(表面)にPTFEコート31bが積層されており、外径が25mmになっている。芯金31aは、厚さが0.5mmのアルミニウム板によって構成されている。このような構成の加熱ローラー31は、比較的小さな熱容量になっている。
定着ローラー32は、厚さ0.5mmの鉄によって外径が18mmの円筒状に構成された芯金32aと、芯金32aの外周面(表面)に積層された弾性層32bと、弾性層32bの外周面(表面)に積層された弾性層32cとを有している。定着ローラー32の外径は30mmになっている。弾性層32bは、厚さ4mmのシリコーンゴムによって構成されており、弾性層32cは、厚さ2mmのシリコーンスポンジによって構成されている。定着ローラー32の硬度は30°になっている。このような構成の定着ローラー32は、比較的大きな熱容量になっている。
定着ベルト33は、厚さが35μmのニッケルによって外径50mmの円筒状に構成された基材33aと、基材33aの表面(外周面)上に積層された弾性層33bと、弾性層33bの表面(外周面)上に積層された離型層33cとを有している。定着ベルト33は、加熱ローラー31および定着ローラー32に、所定のテンションで巻き掛けられることにより、水平方向に沿った長円形状になっている。
定着ベルト33の弾性層33bは、厚さ200μmのシリコーンゴムによって構成されており、離型層32cは、厚さが20μmPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体のチューブによって構成されている。このような構成の定着ベルト33は、比較的小さな熱容量になっている。
加圧ローラー34は、外径30mmの円筒状に構成された鉄製(厚さ2.5mm)の芯金34aと、芯金34aの外周面(表面)上に積層された弾性層34bと、弾性層34bの外周面(表面)上に積層された離型層34cとを有している。弾性層34bは、例えば厚さが1.0mmのシリコーンゴムによって構成されている。離型層34cは、例えば厚さが30μmのPFAチューブによって構成されている。加圧ローラー34の硬度は、例えば80°になっている。このように、加圧ローラー34は、厚さ2.5mmの鉄製の芯金34aを有することによって高剛性に構成されており、しかも、定着ベルト33よりも大きな熱容量になっている。
<定着装置の制御系>
図3は、定着装置30に設けられた制御系の構成を示すブロック図である。定着装置30には、CPU、RAM、ROM等を有する定着制御部52が設けられており、定着装置30には、前述した定着ベルト33の表面温度を測定する温度センサー38の出力が与えられている。
定着装置30に設けられた第1ヒーターランプ35、第2ヒーターランプ36、第3ヒーターランプ37のそれぞれには、電源部51から供給される電力が、スイッチング素子として設けられた第1リレー55、第2リレー56、第3リレー57を介して供給されるようになっている。第1リレー55、第2リレー56、第3リレー57のそれぞれは、定着制御部52によって、電力供給(オン)状態および電力供給停止(オフ)状態に制御される。
定着制御部52は、定着ベルト33を加熱する際に、第1ヒーターランプ35、第2ヒーターランプ36、第3ヒーターランプ37から選択される1以上のハロゲンヒータが点灯(発熱)状態になるように、第1リレー55、第2リレー56、第3リレー57のそれぞれから選択されたリレーをオン状態およびオフ状態に制御する。
定着制御部52は、プリンターに対して連続プリントジョブが指示された場合に、温度センサー38によって検出される定着ベルト33の表面温度Tsが、予め設定された目標温度Tuになるように制御する定着温度制御を実行する。
本実施形態では、定着温度制御において定着ベルト33を加熱する際の電力容量が異なるように、定着ベルト33の加熱に使用される1つのヒーターランプまたは複数のヒーターランプの組み合わせがそれぞれ予め設定されている。
定着制御部52は、定着温度制御において定着ベルト33を加熱する際に選択される1つの電力容量(以下、選択された1つの電力容量を基準モードとする)を、温度センサー38によって測定された定着ベルト33の表面温度Tsの変化に基づいて更新するようになっている。
本実施形態では、異なる4つの電力容量が、第1電力モードM1、第2電力モードM2、第3電力モードM3、第4電力モードM4として定着制御部52のROMに記憶されている。図4は、本実施形態において定着制御部52のROMに記憶された第1〜第4の電力モードM1〜M4のそれぞれを説明するための表である。
本実施形態では、プリンター全体の最大許容電力が1500Wであり、定着装置30における最大許容容量(最大電力容量)が1200Wになっている。このために、電力容量が最大の第1電力モードM1は、定着装置30における最大電力容量である1200Wの電力容量になるように、定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35と、定格電力が500Wの第2ヒーターランプ36とを使用して加熱ローラー31を介して定着ベルト33を加熱するようになっている。
第2電力モードM2は、定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35と、定格電力が300Wの第3ヒーターランプ37との両方を使用して、定着ベルト33を加熱するようになっており、電力容量は1000Wになっている。
第3電力モードM3は、定格電力が500Wの第2ヒーターランプ36と、定格電力が300Wの第3ヒーターランプ37とを使用して定着ベルト33を加熱するようになっており、電力容量は800Wになっている。
第4電力モードM4は、定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35のみを使用して定着ベルト33を加熱するようになっており、従って、電力容量は700Wになっている。
なお、第1〜第3のヒーターランプ35〜37の抵抗値は温度に依存しており、それぞれのヒーターランプ35〜37の温度が低くなるほど抵抗値が低くなる。このために、ヒーターランプ35〜37の抵抗値が低い状態で電力が供給されると、一時的に大きな電流(突入電流)がヒーターランプ35〜37に供給される。
<定着制御部による定着温度制御>
次に、連続プリントジョブが指示された場合に定着制御部52において実行される定着温度制御の処理手順を、図5のフローチャートに基づいて説明する。
プリンターに対して連続プリントジョブが指示されると、定着制御部52は、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmになるように加熱するウォームアップを実行する。本実施形態では、目標温度Tmは、記録シートPにトナー画像を定着させる際に必要とされる定着温度(160℃)程度に設定されている。
なお、以下においては、定着ベルト33を加熱するために設定される電力モードを、基準モードMnで表し、基準モードMnとして設定された電力モードを示す指標値n(n=1〜4のいずれか)をモード基準値とする。
定着制御部52は、ウォームアップにおける定着ベルト33の加熱を、最大の電力容量になった第1電力モードM1で実行するために、モード基準値nを「1」とする(n=1、図5のステップS11)。これにより、基準モードMnとして第1電力モードM1が設定される。
次いで、定着制御部52は、設定された基準モードMn(第1電力モードM1)によって定着ベルト33を加熱する(ステップS12)。定着制御部52は、第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱するために、第1リレー55および第2リレー56の両方をオン状態として、700Wの第1ヒーターランプ35および500Wの第2ヒーターランプ36の両方に対して電力を供給する。
これにより、定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35および定格電力500Wの第2ヒーターランプ36の両方が点灯(発熱)状態になり、加熱ローラー31は、発熱状態となった第1ヒーターランプ35および第2ヒーターランプ36の両方によって加熱される。加熱ローラー31が加熱されると、加熱ローラー31に付与された熱が定着ベルト33に伝達されて、定着ベルト33の温度が上昇する。
この場合、加熱ローラー31を加熱するための第1ヒーターランプ35および第2ヒーターランプ36両方に対して、定着装置30における最大許容電力に等しい1200Wの電力が供給されるために、加熱ローラー31に巻き掛けられた定着ベルト33の表面温度Tsは、目標温度Tmにまで迅速に昇温する。
定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tm以上になったことが温度センサー38によって検出されると、プリンターによるプリント動作が開始される。これにより、定着装置30も熱定着動作を開始し、定着ニップNfを連続して通過する記録シートPを加熱する。
定着制御部52は、熱定着動作が開始された当初は、設定された基準モードMnとして設定された第1電力モードM1で定着温度制御を実行する。この場合、基準モードMnとして、すでに第1電力モードM1が設定されているために、その設定状態が維持される。
熱定着動作が開始されると、定着制御部52は、温度センサー38によって検出される定着ベルト33の表面温度Tsが、目標温度Tmよりも所定温度(本実施形態では3℃)だけ高く設定された上限温度Tu(Tm+3℃)を上回っているかを確認する(ステップS13)。
このような上限温度Tuは、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmを上回って、定着ベルト33の加熱を停止させるべく、定着制御部52からオン状態になったリレーをオフさせる制御信号が出力されても、リレーの応答遅れ等によって定着ベルト33の加熱が継続された場合に、オーバーシュートによって発生する。
定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回っていない場合には(ステップS13おいて「NO」)、ステップS14に進んで、指示された連続プリントジョブが終了したかを確認する。連続プリントジョブが終了した場合には(ステップS14において「YES」)、プリンターによるプリント動作が終了するために、定着制御部52による定着温度制御も終了する。これにより、全てのヒーターランプ35〜37に対する電力供給が停止される。
ステップS14において、指示された連続プリントジョブが終了していない場合には(ステップS14において「NO」)、温度センサー38によって検出される定着ベルト33の表面温度Tsが、目標温度Tmを上回っているかを確認する(ステップS15)。定着ベルト33の表面温度Tsが、目標温度Tmを上回っている場合には(ステップS15において「YES」)、第1ヒーターランプ35および第2ヒーターランプ36の両方に対する電力供給を停止することによって、加熱ローラー31の加熱を停止し(ステップS16)、ステップS13に戻る。
ステップS15において、温度センサー38によって検出される定着ベルト33の表面温度が目標温度Tmを上回っていない場合には(ステップS15において「NO」)、設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱する(ステップS17)。その後、ステップS13に戻る。
定着ベルト33に圧接されて定着ニップNfを形成する加圧ローラー34および定着ベルト33に巻き掛けられた定着ローラー32は、定着ベルト33よりも熱容量が大きくなっているために、熱定着動作が開始された当初は、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が少ない状態になっている。
このような状態で、定着ニップNfを記録シートPが通過すると、記録シートPには、定着ベルト33の熱が大量に移動することになる。これにより、熱容量が比較的小さな定着ベルト33の表面温度Tsが急激に低下し、定着ベルト33の表面温度Tsは、比較的短時間で、目標温度Tm以下に低下する。
定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tm以下に低下すると、定着ベルト33は基準モードMnで加熱される。この場合、熱定着動作が開始された当初であり、電力容量が最大の第1電力モードM1に設定された基準モードMnで加熱される。従って、定着ベルト33は、定格電流が700Wの第1ヒーターランプ35および定格電流が500Wの第2ヒーターランプ36によって多くの熱量が付与され、定着ベルト33の表面温度Tsは、比較的短時間で目標温度Tmよりも高くなる。
定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmを上回ると、定着ベルト33の加熱が停止され、以下、上述したように、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tm以下になることにより、基準モードMnとして設定された第1電力モードM1で定着ベルト33が加熱される。
これにより、定着ベルト33の表面温度Tsは、目標温度Tmよりも高い状態と低い状態とが比較的短い周期で繰り返されることになり、第1ヒーターランプ35および第2ヒーターランプ36に対する電力の供給と、電力供給の停止とが、比較的短い周期で繰り返される。従って、第1ヒーターランプ35および第2ヒーターランプ36に対する電力の供給開始時に、比較的頻繁に突入電流が発生し、定着ベルト33の表面温度Tsは、大きな温度変化の温度リップルが発生する。
この場合、定着ベルト33に付与された熱量の一部は、加圧ローラー34および定着ローラー32にも移動し、ジョブの開始からの時間の経過とともに、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が徐々に増加する。しかも、電力容量が最大の第1電力モードM1で定着ベルト33が加熱されることから、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量は、比較的大きな割合で増加する。
加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が増加すると、その増加に伴って、定着ニップNfを記録シートPが通過する際の定着ベルト33の表面温度Tsの低下が抑制される。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmを上回ったことが検出されて、定着制御部52から第1リレー55および第2リレー56をオフさせる制御信号を出力しても、第1リレー55および第2リレー56の応答遅れ等によって、第1ヒーターランプ35および第2ヒーターランプ36に対する電力供給が継続すると、定着ベルト33の表面温度Tsは、オーバーシュートによって、上限温度Tuを上回る場合がある。
このために、ステップS13において、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回っているかを確認する。定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回っていない場合には(ステップS13において「NO」)、ステップS14に進む。
定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回っている場合には(ステップS13において「YES」)、ステップS21に進んで、モード基準値nを「n+1」に変更する(n+1→n)。これにより、定着ベルト33を加熱する際の基準モードMnは、定着ベルト33の加熱に使用されるヒーターランプの電力容量(消費電力に相当)が、1段階小さいレベルの電力モードに切り替えられる(更新される)。
定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回ることは、リレー等の応答遅れによって、定着ベルト33の大きな熱量での加熱が継続されるためと考えられる。このため、基準モードMnを電力容量が1段階小さく設定された第2電力モードM2に切り替えると、その後は、定着ベルト33が第2電力モードM2で加熱されるために、定着ベルト33の加熱時におけるオーバーシュートによる温度上昇を抑制することができる。
モード基準値nが変更されると、ステップS22に進んで、モード基準値nが「4」であるかを確認し、変更された基準モードMnが、最小レベルの電力容量である第4電力モードM4に設定されているかを確認する。モード基準値nが「4」でない場合には(ステップS23において「NO」)、ステップS13に戻り、その後は、加熱ローラー31の表面温度Tsが上限温度Tuになるまで(ステップS13において「YES」)、または、指示されたプリントジョブが終了するまで(ステップS14において「YES」)、変更された基準モードMnで定着ベルト33を加熱する定着温度制御を実行する(ステップS13〜S17)。
変更された基準モードMnが第4電力モードM4になっている場合には(n=4、ステップS22において「YES」)は、ステップS14に進み、それ以降は、指示されたプリントジョブが終了するまで(ステップS14において「NO」)、第4電力モードM4で定着ベルト33を加熱する定着温度制御を実行する(ステップS13〜S17)。
前述したように、熱定着動作が開始された当初は、基準モードMnが第1電力モードM1になっているために、ステップS21において、基準モードMnは第2電力モードM2に変更される。第2電力モードM2で定着ベルト33を加熱する場合には、第1リレー55および第3リレー57がオン状態とされて、定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35および定格電力が300Wの第3ヒーターランプ37の両方に対して電力が供給される。加熱ローラー31の加熱を停止する場合には、第1リレー55および第3リレー57はオフ状態とされる。
このように、基準モードMnとして第2電力モードM2が設定された状態での定着温度制御は、定着ベルト33を加熱するために第1ヒーターランプ35および第3ヒーターランプ37を使用すること以外、基準モードMnとして第1電力モードM1が設定された状態での定着温度制御の場合と同様の処理手順になっている。従って、第2電力モードM2で定着ベルト33を加熱する場合には、第1ヒーターランプ35および第3ヒーターランプ37に対して合計1000Wの電力が供給されるために、第2電力モードM2での定着ベルト33の加熱時における消費電力が、第1電力モードM1での加熱時(1200W程度)よりも、200W程度、減少する。
基準モードMnが第2電力モードM2に切り替えられると、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が、第1電力モードM1に設定された状態での定着温度制御の開始時よりも増加していることから、記録シートPが定着ニップNfを連続して通過することによる定着ベルト33の表面温度Tsの低下が緩やかになる。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tm以下に低下することによって定着ベルト33が加熱される周期は、第1電力モードM1での定着温度制御を行う場合よりも長くなる。
その結果、ヒーターランプがオン・オフされる回数が低減され、従って、加熱時に発生する突入電流によって消費電力が急激に上昇する回数が減少する。しかも、第2電力モードM2では、第1ヒーターランプ35および第3ヒーターランプ37の定格電流の合計(1000W)が、第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱する際の電力容量よりも小さくなっていることから、突入電流の発生時における電流値も低下するために、オーバーシュートによる定着ベルト33の表面温度Tsの変化を抑制することができる。
基準モードMnとして第2電力モードM2が設定された状態での定着温度制御においても、指示されたプリントジョブが終了する前に、定着ベルト33の加熱によって、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回ると(ステップS13において「YES」)、ステップS21に進み、基準モードMnが、第2電力モードM2から第3電力モードM3に切り替えられて、ステップS13に戻る(ステップS21〜S22)。従って、その後は、第3電力モードM3に設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱する定着温度制御が、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回るまで、または、指示されたプリントジョブが終了されるまで実行される。
基準モードMnとして第3電力モードM3が設定された状態での定着温度制御では、定着ベルト33を加熱する場合に、第2リレー56および第3リレー57がオン状態とされて、定格電力が500Wの第2ヒーターランプ36および定格電力が300Wの第3ヒーターランプ37の両方に対して電力が供給される。定着ベルト33の加熱を停止する場合には、第2リレー56および第3リレー57の両方がオフ状態とされる。
このこと以外は、基準モードMnとして第2電力モードM2が設定された状態での定着温度制御の処理手順と同様である。従って、第3電力モードM3で定着ベルト33を加熱する場合における消費電力は、第2電力モードM2での加熱時(1000W)よりも、200W程度、減少する。
第3電力モードM3での定着温度制御の開始時には、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱量が、基準モードMnとして第2電力モードM2が設定された状態での定着温度制御の開始時よりも増加していることから、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmを下回ることによる定着ベルト33の加熱の周期が、第2電力モードM2での定着温度制御の実行時よりも長くなる。これにより、第2ヒーターランプ36および第3ヒーターランプ37の定格電流の合計(800W)以上の一時的な突入電流によって消費電力が急激に上昇することが抑制される。
しかも、突入電流によるオーバーシュートによって、定着ベルト33に温度リップルが発生しても、定着ベルト33に生じる表面温度Tsの変化を、第2電力モードM2での定着ベルト33の加熱時よりも抑制することができる。
このような第3電力モードM3での定着温度制御においても、指示されたプリントジョブが終了する前に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回った場合には(ステップS13において「YES」)、ステップS21に進んで、基準モードMnが第3電力モードM3から第4電力モードM4に切り替えられる。
この場合には、モード基準値nが「4」になるために、ステップS22において「YES」となってステップS14に進み、その後は、第4電力モードM4に設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱する定着温度制御が、指示されたプリントジョブが終了するまで実行される。
基準モードMnが第4電力モードM4に設定された状態での定着温度制御では、定着ベルト33を加熱する場合に、第1リレー55をオン状態として、定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35に対して電力を供給する。定着ベルト33の加熱を停止する場合には、第1リレー55をオフ状態とする。
このように、基準モードMnとして第4電力モードM4が設定された状態での定着温度制御では、定着ベルト33を加熱するために第1ヒーターランプ35のみを使用すること以外は、基準モードMnとして第3電力モードM3が設定された状態での定着温度制御の処理手順と同様である。従って、第4電力モードM4で定着ベルト33を加熱する場合の消費電力(700W程度)が、第3電力モードM3での消費電力(800W程度)に対して、100W程度、減少する。
基準モードMnとして第4電力モードM4が設定された状態での定着温度制御の開始時には、基準モードMnとして第3電力モードM3が設定された状態での定着温度制御の開始時よりも、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が増加しており、記録シートPが定着ニップNfを通過することによる定着ベルト33の表面温度Tsの低下が緩やかになる。その結果、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tm以下に低下することによって定着ベルト33の加熱が開始されると、その後に定着ベルト33の加熱が停止されるまでの周期(加熱時間)が、第3電力モードM3よりも長くなる。
この場合、第4電力モードM4で定着ベルト33を加熱する場合の消費電力が700W程度と小さくなっており、定着ベルト33の加熱時間が長くなっても、第3電力モードM3で定着ベルト33を加熱する場合よりも消費電力が抑制される。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmを上回ると、第1ヒーターランプ35のみによる定着ベルト33の加熱が停止される。この場合は、定着ベルト33の表面温度Tsの上昇が緩やかであるために、表面温度Tsは目標温度Tmを上回っても、目標温度Tmに対する温度差は小さく、上限温度Tuに達するおそれがない。また、定着ベルト33の加熱が停止されると、比較的短時間で目標温度Tm以下に低下し、定着ベルト33の加熱が再開される。
定着ベルト33の加熱を開始する場合には、第1ヒーターランプ35に突入電流が発生する。しかし、電力容量が700Wになった第4電力モードM4では、電力容量が800Wになった第3電力モードM3よりも、発生する突入電流の電流値が小さいために、突入電流の発生による無駄な電力の消費が抑制される。しかも、突入電流が小さくなることにより、突入電流による定着ベルト33の温度変化は、第3電力モードM3よりも小さくなる。
以下、指示されたプリントジョブが終了するまで、700Wという低消費電力による比較的長い時間の定着ベルト33の加熱と、比較的短い時間の定着ベルト33の加熱停止とが繰り返されることになる。
このように、第4電力モードM4での定着温度制御では、定着ベルト33を目標温度Tmに制御するために要する消費電力を低減することができる。しかも、プリントジョブが終了までの間に突入電流が発生する回数を低減することができるために、突入電流による消費電力の増加を抑制することがき、また、定着ベルト33に大きな温度変化の温度リップルが発生することも抑制することができる。
図6は、基準モードMnの設定が第4電力モードM4に切り替えられた後の定着温度制御の実行時における第1ヒーターランプ35に対する供給電力の変化と、加熱ローラー31の表面温度の変化とをそれぞれ示すグラフである。
なお、加熱ローラー31は、第1ヒーターランプ35によって直接加熱されるために、加熱ローラー31の表面温度は、定着ベルト33の表面温度よりも2〜3℃程度高くなっており、従って、加熱ローラー31が163℃程度になると、定着ベルト33の表面温度が160℃程度になる。
比較のために、定格電力が1000Wのヒーターランプを1つだけ用いて定着ベルト33を加熱する構成としたこと以外は、前記実施形態の定着装置30と同様の構成の定着装置で、定着ベルト33の表面温度が160℃になるように定着温度制御を実行した場合における1000Wのヒーターランプに対する供給電力の変化を、図6に破線で示している。また、この場合における加熱ローラー31の表面温度の変化も、図6に破線で示している。
本実施形態では、第4電力モードM4に設定された基準モードでの定着温度制御において、定着ベルト33の表面温度が160℃よりも低下した状態になると、定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35による加熱ローラー31の加熱によって、加熱ローラー31の表面温度が緩やかに上昇する。これにより、定着ベルト33の表面温度も同様に緩やかに上昇し、定着ベルト33の表面温度が160℃に達するまで、比較的長い時間にわたって、第1ヒーターランプ35に対する電力供給が継続する。
その後、定着ベルト33の表面温度が160℃に達すると、第1ヒーターランプ35に対する電力供給が停止されて、定着ベルト33の表面温度が下降する。そして、定着ベルト33の表面温度が160℃よりも低くなると、第1ヒーターランプ35に対する電力供給が開始される。
第1ヒーターランプ35に対する電力供給の開始時には突入電流が発生するが、第1ヒーターランプ35に供給される電力が700Wと比較的小さいために、突入電流の電流値が比較的小さく、加熱ローラー31におけるオーバーシュートが抑制され、加熱ローラー31には大きな温度変化の温度リップルは発生しない。その後は、比較的長い時間にわたって、第1ヒーターランプ35に対する電力供給が継続する。
これに対して、定格電力が1000Wのヒーターランプによって加熱ローラーを加熱する比較例の場合には、定着ベルトの表面温度が目標温度Tmになっていても、定着ニップNfを記録シートが通過する毎に目標温度Tm以下に低下し、その度に、ヒーターランプに対する電力供給が行われる。この場合、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmになっても、ヒーターランプに対する電力供給までの間に応答遅れが生じる。
図7は、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmになってからヒーターランプに対する電力供給までの間に生じる応答遅れの説明図であり、図7(a)は、定着ベルトの表面温度Tsの変化を示すグラフ、図7(b)は、制御部から出力される制御信号のタイムチャートである。
図7(a)に示すように、定着ベルトの表面温度が目標温度Tmよりも低くなったことが温度センサーによって検出されると、図7(b)に示すように、リレーをオンする制御信号(オン信号)が制御部から出力される。この場合には、リレー、制御部等の応答遅れにより、定着ベルト33の加熱が時間tだけ遅れ、定着ベルト33の表面温度Tsは、目標温度Tmに対して比較的大きく低下する。
その後、ヒーターランプによって定着ベルトが加熱されると、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmよりも高くなり、リレーを遮断状態とする制御信号(オフ信号)が制御部から出力される。この場合にも、リレーあるいは制御部の応答遅れによって、定着ベルト33の表面温度Tsは、目標温度Tmに対して比較的大きく上昇する。
また、ヒーターランプに供給される電力が1000Wと大きくなっているために、ヒーターランプに対する電力供給時に発生する突入電流が大きくなる。これにより、加熱ローラーには、大きな温度変化の温度リップルが発生している。また、大きな突入電流が生じることによって、本実施形態の場合よりも消費電力量が増加する。
図8は、図6に示されたグラフにおける第1ヒーターランプ35に対する供給電力(消費電力:36枚換算)の平均値と、プリントTEC値(Typical Electricity Consumption:36枚換算)とを示す表である。なお、表7には、図6に示された比較例の場合における消費電力の平均値およびプリントTEC値も併記している。
定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35を使用する本実施形態では、平均電力が619.1Wであるのに対して、定格電力が1000Wのヒーターランプを使用する比較例の場合には、平均電力が681.4Wであった。従って、本実施形態では、比較例に対して、平均電力が62.3Wだけ低下していた。また、本実施形態においては、TEC値が825.5Whであるのに対して、比較例では、TEC値が908.6Whであり、本実施形態のTEC値は、比較例に対して、83.1Whだけ低下していた。
以上のように、本実施形態では、連続プリントジョブの定着温度制御において、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回ると、定着ベルト33を加熱する際の基準モードMnを、電力容量が小さく設定された電力モードに切り替えるようになっているために、定着ベルト33を加熱する周期が長くなる。これにより、定着ベルト33を加熱する回数を低減することができる。
このために、第1〜第3のヒーターランプ35〜37のいずれかに対する電力供給を制御する定着制御部52、第1〜第3のリレー55〜57等に応答遅れが発生する場合にも、定着ベルト33を加熱する回数が低減されることから、それらの応答遅れによる定着ベルト33の表面温度Tsが大きく変化することを抑制することができる。
また、第1〜第3のヒーターランプ35〜37のいずれかに対する電力供給の回数が低減されることから、突入電流の発生回数も低減されるために、定着ベルト33の表面温度Tsが大きく変化することをさらに抑制することができる。しかも、突入電流の発生回数が低減されることにより、突入電流による消費電力の増加も抑制することができる。
さらに、定着ニップNfを通過する記録シートPの枚数が増加するほど、定着ベルト33を加熱する際の電力量が低減されることによって、連続プリントジョブにおける消費電力量を効果的に低減することができる。
また、ウォームアップ時には、電力容量が大きく設定された第1電力モードM1によって加熱ローラー31を加熱しているために、定着ベルト33の表面温度Tsを迅速に目標温度Tmにまで昇温させることができる。
なお、本実施形態では、定着ベルト33の表面温度Tsが、上限温度Tuを上回った時点で、定着ベルト33を加熱する際の基準モードを、設定された電力容量よりも小さい電力容量の電力モードに切り替える構成であったが、このような構成に限らない。例えば、定着ベルト33の表面温度Tsが、上限温度Tuを上回る状態が所定時間以上にわたって継続した場合に、基準モードを、電力容量の小さい電力モードに切り替える構成としてもよい。
[実施形態2]
本実施形態では、目標温度Tmよりも所定温度(本実施形態では3℃)だけ低い下限温度Tdが予め設定されている。
この下限温度Tdは、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmを下回ったことが検出されて、定着ベルト33を加熱させるべく、定着制御部52から、所定のリレーをオンさせる制御信号を出力した場合に、リレーの応答遅れ等によって、定着ベルト33の加熱停止が継続されることによるアンダーシュートの許容範囲の下限の温度である。定着ベルト33がこのような下限温度Tdに達すると、以後、基準モードとして設定された電力モードを、電力容量の小さな電力モードに切り替えることなく定着ベルト33を加熱しても、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmを上回るまでに長時間を要し、定着不良等を招来するおそれがある。
次に、定着制御部52において実行される本実施形態の定着温度制御の処理手順を、図9のフローチャートに基づいて説明する。
なお、図9に示すフローチャートにおけるステップS11〜S14は、図5に示された実施形態1のフローチャートのステップS11〜S14と同様であり、基準モードMnとして第1モードM1〜第4モードM4のいずれかが設定された状態で定着温度制御を実行する。このような定着温度制御の実行の間に、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度を下回って加熱された状態で、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdよりも下回っているかを確認する(図9のフローチャートにおけるステップS18)。
定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdを下回っている場合には(ステップS18において「YES」)、モード基準値nを「1」に変更する(ステップS19)。これにより、基準モードMnが第1〜第3の電力モードM1〜M4のいずれに設定されていても、基準モードMnは、最大の電力容量に設定された第1電力モードM1に切り替えられる。
このように、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdよりも下回っていると、定着制御部52は、第1電力モードM1に設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱するために、第1リレー55および第2リレー56をオン状態として、第1ヒーターランプ35および第2ヒーターランプ36へ電力を供給する。これにより、定着ベルト33は、消費電力が1200W程度になった第1ヒーターランプ35および第2ヒーターランプ36によって加熱され、定着ベルト33の表面温度Tsは、迅速に、下限温度Td以上に上昇する。
その後は、ステップS13に戻り、第1電力モードM1に設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱する定着温度制御が実行され、以降は、実施形態1において説明したように、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回る毎に、基準モードMnは、電力容量が1段階小さいレベルに設定された電力モードに切り替えられる。
従って、例えば、低温の記録シートP、大きなサイズの記録シートP等に対する熱定着動作の実行中に、基準モードMnとして第4電力モードM4が設定されて、定着ベルト33が第4電力モードM4で加熱された状態であっても、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdを下回ると、第1電力モードM1で定着ベルト33が加熱されることになる。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsを短時間で目標温度Tm以上に上昇させることができる。
なお、本実施形態では、基準モードMnとして第4電力モードM4が設定されている場合には、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdを下回ることによって、基準モードMnを第2電力モードM2に変更する構成としてもよい。
また、本実施形態において、目標温度Tmに対して所定温度(例えば3℃)だけ低い第1下限温度Td1(=157℃)と、さらに、第1下限温度Td1よりも所定温度(例えば2℃)だけ低い第2下限温度Td2(例えば目標温度Tmに対して5℃だけ低い155℃)とを予め設定して、基準モードMnとして第3電力モードM3または第4電力モードM4が設定されている場合に、定着ベルト33の表面温度Tsが第1下限温度Td1を下回ると、基準モードMnを第2電力モードM2に切り替え、定着ベルト33の表面温度Tsが第2下限温度Td2を下回ると、基準モードMnを第1電力モードM1に切り替える構成としてもよい。
このように、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmを下回る場合に、表面温度Tsの低下状態に対応した電力モードで定着ベルト33を適切に加熱することができる。従って、定着ベルト33の表面温度Tsが比較的緩やかに低下している場合に、定着ベルト33の表面温度Tsが、急激に目標温度Tmを上回って、上限温度Tuを上回ることを確実に防止することができる。
[実施形態3]
本実施形態では、プリンターが起動されると、定着制御部52は、温度センサー38によって検出される定着ベルト33の表面温度Tsが、目標温度Tmにまで加熱する立ち上げ制御を実行した後に、プリントジョブが指示されるまでの待機状態の間、目標温度Tmよりも低い所定温度(例えば100℃)を上回らないように、例えば、第3のヒーターランプ37のみに電力を供給して定着ベルト33を加熱する省電力モードになる。なお、立ち上げ制御は、例えば、前述したウォームアップと同様に、第1電力モードで定着ベルト33が加熱される。
このような構成において、本実施形態では、立ち上げ制御が終了してから省電力モードの待機状態に移行すると、待機状態(省電力モード)での経過時間を計測し、立ち上げ制御後における最初のプリントジョブとして連続プリントジョブが指示されると、待機状態での経過時間に基づいて、基準モードMnを、適切な電力モードに設定するようになっている。これは以下の理由による。
すなわち、待機状態では、定着ベルト33が省電力モードで加熱されているために、待機状態の経過時間が長くなると、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が増加する。このような状態では、定着ニップNfを記録シートPが通過しても、定着ベルト33の表面温度Tsが大きく低下するおそれがない。このことから、本実施形態では、待機状態の経過時間が長くなるほど、基準モードMnを、電力容量が小さい電力モードに設定するようにしている。
以下、本実施形態の定着制御部52において実行され定着温度制御の処理手順を図10のフローチャートに基づいて説明する。定着制御部52は、定着装置30の起動時に実行された立ち上げ制御後における最初のプリントジョブの指示が連続プリントジョブであることが確認されることにより、図10のステップS31に進み、まず、連続プリントジョブが指示された時点で、タイマーによって計測された待機状態の経過時間が、5分以上になっているかを確認する。
待機状態の経過時間が5分未満の場合には(ステップS31において「YES」)、立ち上げ制御が終了してからの待機状態での経過時間が比較的短いために、待機状態の間に、加圧ローラー34および定着ローラー32に蓄熱量が少ないと判断して、モード基準値nを「1」とする(ステップS32)。これにより、基準モードMnは、電力容量が最大に設定された第1電力モードM1に設定される。そして、設定された第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱する(ステップS33)。この場合は、700Wの第1ヒーターランプ35および500Wの第2ヒーターランプ36の両方に対して電力が供給される。
その後は、図5のフローチャートにおいて示された実施形態1と同様に、定着ベルト33の表面温度Tsが目標温度Tmに達すると、プリンターによるプリント動作が開始され、定着ニップNfを連続して記録シートPが通過する。この場合、定着制御部55は、基準モードMnとして第1電力モードM1が設定された状態での定着温度制御を実行し(ステップS13〜S17)。また、ステップS21〜S23において、基準モードMnを切り替える。
ステップS31において、タイマーによって計測された待機状態での経過時間が5分以上になっている場合には(ステップS31において「NO」)、待機状態での経過時間が30分以下であるかを確認する(ステップS34)。待機状態での経過時間が30分以下の場合には(ステップS34において「YES」)、モード基準値nを「2」とし(ステップS35)、基準モードMnを、第1電力モードM1よりも電力容量が小さく設定された第2電力モードM2に設定する。そして、第2電力モードM2に設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱する(ステップS33)。この場合は、700Wの第1ヒーターランプ35と300Wの第3ヒーターランプ37の両方に対して電力が供給される。
このように、待機状態の経過時間が5分以上、30分以下の場合には、待機状態の間に加圧ローラー34および定着ローラー32に比較的多くの熱量が蓄積されているものとして、基準モードMnを第2電力モードM2に設定し、第2電力モードM2に設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱する。その後は、第2電力モードM2に設定された基準モードMnでステップS13〜S17の定着温度制御を実行し、また、ステップS21〜S23において、基準モードMnを切り替える。
ステップS34において、タイマーによって計測された待機状態の時間が30分よりも長くなっている場合には(ステップS34において「NO」)、モード基準値nを「3」とし(ステップS36)、基準モードMnを、第2電力モードM2よりも電力容量が小さくなった第3電力モードM3に設定する。そして、設定された第3電力モードM3で定着ベルト33を加熱するために、700Wの第1ヒーターランプ35に対して電力を供給する(ステップS33)。その後は、第3電力モードM3に設定された基準モードMnでステップS13〜S17の定着温度制御を実行し、また、ステップS21〜S23において基準モードMnを切り替える。
このように、タイマーによって計測された待機状態の時間が30分よりも長くなっている場合には、待機状態の間にかなり多くの熱量が加圧ローラー34および定着ローラー32に蓄積されているものして、基準モードMnを、第2電力モードM2よりも電力容量が小さくなった第3電力モードM3に設定する。そして、第3電力モードM3に設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱する。この場合には、比較的短時間で、定着ベルト33の表面温度Tsを目標温度Tmにまで上昇させることができる。
このように、立ち上げ制御の終了後における省電力モードでの待機状態で連続プリントジョブが指示された場合に、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱状態に応じた適切な電力モードに設定された基準モードMnで定着ベルト33が加熱される。しかも、その後の定着温度制御においても、適切な電力モードに設定された基準モードMnで定着ベルト33が加熱される。従って、定着ベルト33の加熱時に電力が無駄に消費されることを防止することができ、適切な消費電力とすることができる。
なお、本実施形態は、プリンターのメインスイッチがオフ状態からオン状態になった起動時に限らず、例えば、プリントジョブが終了した後に、省電力モードでの待機状態に移行した場合にも適用することができる。この場合には、基準モードMnは、待機状態での経過時間に基づいて選択される適切な電力モードに設定される。
[実施形態4]
本実施形態では、例えば、連続プリントジョブが指示された時点、あるいは、連続プリントジョブの途中における紙詰まり処理が終了した後の熱定着動作の再開時に、温度センサー38によって検出された定着ベルト33の表面温度に基づいて、基準モードMnを適切な電力モードに設定する構成としている。
以下、この場合の定着制御部52における制御の処理手順を図11のフローチャートに基づいて説明する。定着制御部52は、連続プリントジョブが指示された場合、あるいは、連続プリントジョブの指示による連続熱定着動作が中断された後に熱定着動作が再開された場合(通常、紙詰まりの発生による熱定着動作が中断された後に、紙詰まり処理の終了による熱定着動作が再開された場合)に、図11のステップS41に進み、まず、温度センサー38によって検出された定着ベルト33の表面温度が50℃未満であるかを確認する。
定着ベルト33の表面温度が50℃未満の場合には(ステップS41において「YES」)、モード基準値nを「1」とする(ステップS42)。これにより、基準モードMnは、電力容量が最大に設定された第1電力モードM1に設定される。そして、設定された第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱する(ステップS43)。この場合は、700Wの第1ヒーターランプ35および500Wの第2ヒーターランプ36の両方に対して電力が供給される。その後は、基準モードMnとして設定された第3電力モードM3で、ステップS13〜S17の定着温度制御を実行し、また、ステップS21〜S23において基準モードMnを切り替える。
ステップS41において、温度センサー38によって検出された定着ベルト33の表面温度が50℃以上になっている場合には(ステップS41において「NO」)、温度センサー38によって検出された定着ベルト33の表面温度Tsが100℃以下であるかを確認する(ステップS44)。定着ベルト33の表面温度が100℃以下の場合には(ステップS44において「YES」)、モード基準値nを「2」とし(ステップS45)、基準モードMnを、第1電力モードM1よりも電力容量が小さくなった第2電力モードM2に設定する。そして、定着ベルト33を、第2電力モードM2に設定された基準モードMnで加熱するために、700Wの第1ヒーターランプ35と300Wの第3ヒーターランプ37の両方に対して電力を供給する(ステップS43)。
このように、定着ベルト33の表面温度Tsが50℃以上、100℃以下の場合には、すでに、プリントジョブの指示による連続熱定着動作が実行された状態であり、加圧ローラー34および定着ローラー32に比較的多くの熱が蓄積されていると判断して、基準モードMnを、第1電力モードM1よりも電力容量が小さく設定された第2電力モードM2に設定して定着ベルト33を加熱するようにしている。
その後は、基準モードMnとして設定された第2電力モードM2で前述したステップS13〜S17の定着温度制御を実行し、また、ステップS21〜S23において基準モードMnを切り替える。
ステップS44において、温度センサー38によって検出された定着ベルト33の表面温度Tsが100℃以上の場合には(ステップS44において「NO」)、モード基準値nを「3」とし(ステップS46)、基準モードMnを、第2電力モードM2よりも電力容量が小さくなった第3電力モードM3に設定する。そして、第3電力モードM3に設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱するために、700Wの第1ヒーターランプ35に対して電力を供給する(ステップS43)。
このように、定着ベルト33の表面温度Tsが100℃以上の場合には、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が多くなっているために、基準モードMnとして、電力容量が第2電力モードM2よりも小さくなった第3電力モードM3に設定し、設定された第3電力モードM3によって定着ベルト33を加熱する。この場合は、消費電力が少なくなっているにもかかわらず、比較的短時間で、定着ベルト33の表面温度Tsを目標温度Tmにまで上昇させることができる。
その後は、基準モードMnとして設定された第3電力モードM3でステップS13〜S17の定着温度制御を実行し、また、ステップS21〜S23において基準モードMnを切り替える。
このような構成により、連続プリントジョブが指示された場合、あるいは、連続プリントジョブ実行時における紙詰まりの処理が終了した場合に、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱状態に応じた適切な基準モードMnによって定着ベルト33を加熱することができ、しかも、定着温度制御においても、定着ベルト33を、基準モードMnとして適切に設定された電力モードで加熱することができる。従って、定着ベルト33の加熱時に電力が無駄に消費されることを防止することができ、適切な消費電力とすることができる。
[実施形態5]
本実施形態では、定着制御部52は、温度センサー38によって検出される定着ベルト33の表面温度Tsを、1秒以下の所定の間隔でサンプリングして、定着ベルト33の表面温度Tsが、定着温度Tfよりも2℃だけ低く設定された下限温度Tdと、定着温度Tfよりも3℃だけ高く設定された上限温度(目標温度に相当)Tuとの範囲になるように定着温度制御を実行する。
そして、このような定着温度制御において、定着ベルト33の表面温度Tsが、上限温度Tu近傍から大きく低下せず、上限温度Tuの近傍において上下変動を繰り返す状態(上限はり付き)、および、下限温度Tdから大きく低下せず、下限温度Tdの近傍において上下変動を繰り返す状態(下限はり付き)のそれぞれを防止するようになっている。
このために、本実施形態では、定着ベルト33を加熱する際の電力モードとして、第1〜第6の電力モードM1〜M6が設定されている。
図12は、本実施形態において定着制御部52に設定された第1〜第6の電力モードM1〜M6のそれぞれにおいて、定着ベルト33の加熱に使用される1つヒーターランプまたは複数のヒーターランプの組み合わせを説明するための表である。
図12に示された第1〜第4の電力モードM1〜M4は、図4に示された実施形態1の第1〜第4の電力モードM1〜M4と同じである。図12の第5電力モードM5は、定格電力が500Wの第2ヒーターランプ36のみを使用する設定になっている。従って、第5電力モードM5の電力容量は500Wである。第6電力モードM6は、定格電力が300Wの第3ヒーターランプ37のみを使用する設定になっている。従って、第6電力モードM6の電力容量は300Wである。
本実施形態では、連続プリントジョブが指示されると、基準モードMnを第1電力モードM1に設定し、基準モードMnとして設定された第1電力モードM1でウォームアップを行う。その後の定着温度制御では、定着ベルト33の表面温度Tsが、予め設定された上限温度Tuを上回ると、加熱停止状態に制御される。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsが下降し、その後に、上限温度Tuを下回って下降状態が継続される場合には、基準モードMnとして設定された電力モードで定着ベルト33を加熱する。
その後に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回って、その状態が所定時間以上(本実施形態では1秒以上)継続した場合に、基準モードMnを、電力容量が1段階小さいレベルに設定された電力モードに切り替える。以降、同様に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回って、その状態が所定時間以上継続する度に、基準モードMnを、電力容量が1段階小さいレベルに設定された電力モードに切り替える。
但し、基準モードMnの切り替えは第5電力モードM5まで行われ、基準モードMnとして第6電力モードM6は設定されない。このために、基準モードMnとして第5電力モードM5が設定されている場合に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを下回って下降状態が継続されると、基準モードMnとして設定された第5電力モードM5よりも電力容量が大きくなった第4電力モードM4で定着ベルト33を加熱する。
また、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdを下回ると、基準モードMnが第2電力モードM2〜第5電力モードM5のいずれに設定されていても、第1電力モードM1に切り替える。
さらに、基準モードMnとして、第1電力モードM1〜第5電力モードM5のそれぞれが設定されている場合には、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲において上昇状態になった場合には、基準モードMnとして設定された電力モードよりも小さい電力容量になった電力モードで定着ベルト33を加熱する。
図13(a)〜(e)は、本実施形態の定着温度制御において、基準モードとして、第1電力モードM1〜第5電力モードM5のそれぞれが設定された場合における定着ベルト33の表面温度Tsと、定着ベルト33を加熱する際の電力モードとの関係を示す表である。
図13(a)〜(e)のそれぞれに示されるように、基準モードMnとして第1電力モードM1〜第5電力モードM5のいずれが設定されていても、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回ると、定着ベルト33の加熱を停止し(OFF、電力供給0W)、定着ベルト33の加熱から1秒以上経過しても、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回っていると、基準モードMnを、電力容量が1段階小さいレベルに設定された電力モードに切り替えるようになっている。
また、図13(a)〜(e)のそれぞれに示すように、基準モードMnとして第1電力モードM1〜第5電力モードM5のいずれが設定されていても、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdを下回った場合には、基本モードMnを第1電力モードM1に切り替えて(基準モードMnとして第1電力モードM1が設定されている場合には、第1電力モードM1の設定を維持)、切り替えられた基準モードMnである第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱する。
さらに、図13(a)〜(d)のそれぞれに示すように、基準モードMnとして、第1電力モードM1〜第4電力モードM4のそれぞれが設定されている場合には、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲において上昇状態になると、基準モードMnとして設定された電力モードよりも電力容量が3段階小さいレベルの電力モードM(n+3)で定着ベルト33をそれぞれ加熱する。この場合、基準モードMnとして設定された電力モードは変更されない。
なお、図13(e)に示すように、基準モードMnとして、第5電力モードM5が設定されている場合には、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲において上昇状態になると、定着ベルト33の加熱を停止する。この場合も、基準モードMnとして設定された電力モードは変更されない。
さらに、図13(a)〜(d)のそれぞれに示すように、基準モードMnとして、第1電力モードM1〜第4電力モードM4のそれぞれが設定されている場合に、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲において下降状態になると、基準モードMnとして設定された電力モードで定着ベルト33をそれぞれ加熱する。この場合も、基準モードMnとして設定された電力モードは変更されない。
また、図13(e)に示すように、基準モードMnとして、第5電力モードM5が設定されている場合には、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲において下降状態になると、基準モードとして設定された第5電力モードM5よりも電力容量が1段階大きいレベルに設定された第4電力モードM4で定着ベルト33を加熱する。この場合も、基準モードMnとして設定された電力モードは変更されない。
図14は、本実施形態の定着制御部52において実行される定着温度制御の処理手順を示すフローチャートである。
定着制御部52は、連続プリントジョブが指示されると、基準モードMnを第1電力モードM1に設定するために、モード基準値nを「1」とする(図14のステップS61)。これにより、基準モードMnは第1電力モードM1(n=1)に設定される。
次いで、基準モードMnとして設定された第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱する(ステップS62)。この場合、第1および第2のリレー55および56をそれぞれオン状態として、第1電力モードM1で使用される第1および第2のヒーターランプ35および36にそれぞれ電力を供給する。
このような第1電力モードM1での定着ベルト33の加熱(ウォームアップ)によって、定着ベルト33の表面温度Tsが定着温度Tf以上になると、プリンターによるプリント動作が開始され、定着ニップNfを連続して記録シートPが通過する。これにより、加熱状態になった定着ベルト33の表面温度Tsが低下する。
プリント動作が開始されると、定着制御部52は、定着ベルト33の表面温度Tsを、下限温度Td〜上限温度Tuに制御する定着温度制御を開始する。
このために、定着制御部52は、まず、ステップS63において、指示された連続プリントジョブが終了したかを確認する。指示された連続プリントジョブが終了した場合には(ステップS63において「YES」)、プリンターによるプリント動作が終了するために、定着制御部52による定着温度制御も終了する。これにより、第1〜第3のリレー55〜57の全てをオフして、ヒーターランプに対する供給電力を停止する。
ステップS63において、指示されたプリントジョブが終了していない場合には(ステップS63において「NO」)、1秒以下の間隔で温度センサー38によって検出される定着ベルト33の表面温度Tsが、上限温度Tuよりも高くなっているかを確認する(ステップS64)。
ステップS64おいて、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuよりも高くなっている場合には(ステップS64おいて「YES」)、ステップS65に進み、全てのリレー55〜57をオフにして、全てのヒーターランプ35〜37に対する電力供給を停止し、定着ベルト33の加熱を停止する。
なお、定着制御部52は、熱定着動作が継続して実行されている間は、ステップS64において、1秒以下の所定のサンプリング周期で、温度センサー38によって測定された定着ベルト33の表面温度Tsを取得して、取得された定着ベルト33の表面温度Tsを、次の表面温度Tsが取得されるまで保持するようになっている。
プリント動作が開始された当初は、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱量が比較的少ないために、定着ニップNfを記録シートPが通過することによって定着ベルト33の表面温度Tsが比較的急激に低下するが、電力容量が最大に設定された第1電力モードM1で定着ベルト33が加熱されることにより、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱量が徐々に増加し、また、表面温度Tsにおける温度の下降も徐々に抑制される。
このような状態で、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuよりも高くなることによって、第1電力モードM1での定着ベルト33の加熱が停止されると、定着ベルト33の表面温度Tsは下降する。
定着ベルト33の加熱が停止されると、ステップS66に進み、定着ベルト33の加熱が停止されてから1秒が経過するまでの間に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを下回ったかを確認する。1秒が経過するまでの間に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tu以下になっている場合には(ステップS66において「NO」、かつ、ステップS64おいて「YES」)、ステップS71に進む。
このように、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回ることによる定着ベルト33の加熱停止から1秒が経過する前に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tu以下に下降する場合には、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱量が少ないと考えられる。このために、基準モードMnを、設定された第1電力モードM1を変更しない。
定着ベルト33の加熱を停止してから1秒が経過しても、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tu以下に下降しない場合には(ステップS64おいて「NO」、かつ、ステップS66おいて「YES」)、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱量が比較的多くなっているものとして、ステップS67に進む。
この場合、まず、モード基準値nが「4」以下であるかを確認する(ステップS67)。モード基準値nが「4」以下である場合には(ステップS67おいて「YES」)、ステップS68に進み、モード基準値nを「n+1」に変更する。その後は、ステップS63に戻る。
ステップS67おいて、モード基準値nが「4」以下でない場合には(ステップS68おいて「NO」)、基準モードMnが第5電力モードM5に設定されており、この場合には、設定された基準モードMn(第5電力モードM5)を変更することなく、ステップS63に戻る。
なお、本実施形態では、基準モードMnを、第5電力モードM5よりも電力容量が小さくなった第6電力モードM6に設定しないようにしている。これは、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを下回って下降が継続される場合に、第5電力モードM5よりも電力容量が小さくなった第6電力モードM6で定着ベルト33を加熱すると、定着ベルト33に付与される熱量が少ないために、定着ニップNfを通過する記録シートPによって、定着ベルト33の表面温度Tsが急激に低下するおそれがあるからである。
ステップS64において、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回っていない場合には(ステップS64おいて「NO」)、ステップS71に進み、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Td(Tm−2℃)を下回っているかを確認する。定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdを下回っている場合には(ステップS71において「YES」)、ステップS72に進む。
ステップS72では、モード基準値nが「1」になっているかを確認する。モード基準値nが「1」の場合には(ステップS72において「YES」)、基準モードMnが第1電力モードM1に設定されているために、ステップS73をスキップして、ステップS74に進み、基準モードMnとして設定された第1電力モードM1での定着ベルト33の加熱を継続する。
ステップS72において、モード基準値nが「1」でない場合には(ステップS72において「NO」)、基準モードMnが第1電力モードM1でないために、ステップS73に進んで、モード基準値nを「1」に変更して、基準モードMnを第1電力モードM1に切り替える。そして、基準モードMnとして設定された第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱する(ステップS74)。その後、ステップS63に戻る。
このように、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdを下回っている場合には、基準モードMnを、最大電力容量に設定された第1電力モードM1に設定し、第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱する。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsを迅速に下限温度Td以上に上昇させることができる。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Td以上になると(ステップS71において「NO」)、図15のステップS81に進む。
図15のステップS81では、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Td以上、上限温度Tu以下になっており、このような適正温度範囲において、定着ベルト33の表面温度Tsが上昇状態、下降状態のいずれであるかを確認するために、温度センサー38の最新の検出結果である最新検出表面温度Ts2と、最新の検出結果の前回の検出結果である前回検出表面温度Ts1とを比較して、最新検出表面温度Ts2が前回検出表面温度Ts1を上回っているか(Ts1<Ts2)を確認する(ステップS81)。
最新検出表面温度Ts2が前回検出表面温度Ts1を上回っている場合には(ステップS81において「YES」)、定着ベルト33の表面温度Tsが適正温度範囲において上昇状態であると判断して、定着ベルト33を所定の電力モードで加熱していることを示す昇温フラグFuがセット状態(Fu=1)であるかを確認する(ステップS82)。
昇温フラグFuがセット状態でない場合には(ステップS82において「NO」)、所定の電力モードでの定着ベルト33の加熱が実行されていないために、モード基準値nが「3」以下になっているかを確認する(ステップS83)。
モード基準値nが「3」以下の場合には(ステップS83において「YES」)、基準モードMnとして設定された電力モードの電力容量よりも3段階小さいレベルの電力容量になった電力モードM(n+3)で定着ベルト33を加熱する(ステップS84)。
すなわち、基準モードMnが第1電力モードM1の場合には第4電力モードM4、基準モードが第2電力モードM2の場合には第5電力モードM5、基準モードが第3電力モードM3の場合には第6電力モードM6で、それぞれ定着ベルト33を加熱する。この場合、モード基準値nは変更されず、従って、基準モードMnとして設定された電力モードは変更されない。
このように、下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲において昇温状態になった定着ベルト33が、基準モードMnとして設定された電力モードよりも電力容量が3段階小さいレベルに設定された電力モードM(n+3)で加熱されることにより、昇温状態になっている定着ベルト33の表面温度Tsが、急激に昇温されるおそれがない。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回って定着ベルト33の加熱が停止された場合に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを越えて大きく温度上昇することを防止できる。
ステップS84において定着ベルト33が所定の電力モードで加熱されると、その後、昇温フラグFuをセット状態(Fu=1)として(ステップS84)、ステップS63に戻る。
ステップS83において、モード基準値nが「3」以下でない場合には(ステップS83において「NO」)、ステップS86に進み、モード基準値nが「4」であるかを確認する。モード基準値nが「4」の場合には(ステップS86において「YES」)、最も小さい電力容量に設定された第6電力モードM6によって定着ベルト33を加熱する(ステップS87)。
このように、基準モードMnとして第4電力モードM4が設定されている場合には、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が比較的多くなっているが、記録シートPが定着ニップNfを連続して通過していても、定着ベルト33の表面温度Tsが上昇していることから、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が十分でないと考えられる。このために、電力容量が最も小さく設定された第6電力モードM6で定着ベルト33を加熱するようにしている。
なお、第6電力モードM6は最小の電力容量であるために、基準モードMnとして第4電力モードM4が設定された状態であっても、第6電力モードM6によって定着ベルト33を加熱することにより、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを大きく上回るおそれがない。
第6電力モードM6で定着ベルト33が加熱されると、昇温フラグFuをセット状態(Fu=1)として(ステップS84)、ステップS63に戻る。この場合も、モード基準値nは変更されず(n=4)、基準モードMnは、第4電力モードM4に維持される。
ステップS86において、モード基準値nが「4」でない場合には(ステップS86において「NO」)、モード基準値nが「5」になっており、基準モードMnは、第5電力モードM5に設定されている。この場合には、500Wの第2ヒーターランプ36のみによる比較的小さな消費電力で定着ベルト33が加熱されているにもかかわらず、定着ベルト33が昇温状態になっていることから、定着ベルト33の加熱を継続すると、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを越えて大きく温度上昇するおそれがある。このために、定着ベルト33の加熱を停止する(ステップS88)。
その後、昇温フラグFuをセット状態(Fu=1)として(ステップS84)、ステップS63に戻る。
なお、このように、所定の電力モードでの定着ベルト33の加熱または加熱停止によっても、定着ベルト33の昇温状態が継続する場合には(ステップS81において「YES」)、昇温フラグFuがセット状態(Fu=1)になっていることにより(ステップS82において「YES」)、定着ベルト33の所定電力モードでの定着ベルト33の加熱または加熱停止が維持されて、ステップS63に戻ることになる。
ステップS81において、定着ベルト33の表面温度Tsが上昇状態でない場合には(ステップS81において「NO」)、ステップS91に進んで、最新検出表面温度Ts2と前回検出表面温度Ts1とを比較して、最新検出表面温度Ts2が前回検出表面温度Ts1を下回っているか(Ts2<Ts1)を確認する。
最新検出表面温度Ts2が前回検出表面温度Ts1を下回っている場合には(ステップS91において「YES」)、定着ベルト33の表面温度Tsが下降状態になっているものとして、定着ベルト33を所定の電力モードで加熱することを示す降温フラグFdがセット状態(Fd=1)であるかを確認する(ステップS92)。
降温フラグFdがセット状態でない場合には(ステップS92において「NO」)、モード基準値nが「4」以下になっているかを確認する(ステップS93)。モード基準値nが「4」以下の場合には(ステップS93において「YES」)、所定の電力モードでの定着ベルト33の加熱が実行されていないために、基準モードMnとして設定された電力モードで定着ベルト33を加熱する(ステップS94)。この場合、モード基準値nは変更されず、基準モードMnとして設定された電力モードは変更されない。
このように、定着ベルト33が下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲で降温状態になっている場合には、設定された基準モードMnで定着ベルト33を加熱するために、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱量に対応した熱量で、定着ベルト33が加熱される。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsは緩やかな下降状態、あるいは、下降しない状態になる。
特に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回って、定着ベルト33の加熱が停止されることによって定着ベルト33の表面温度Tsが下降しても、上限温度Tuが1秒以上にわたって継続される場合には、上限温度Tuを下回っても下降状態が継続すると、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱状態に対応した電圧モードに切り替えられた基準モードMnで定着ベルトが加熱されることになる。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsは比較的緩やかな下降状態になり、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuよりも大きく下回って下限温度Tdを下回るおそれがない。
その後、降温フラグFdをセット状態(Fd=1)として(ステップS95)、ステップS63に戻る。
ステップS93において、モード基準値nが「4」でない場合には(ステップS93において「NO」)、モード基準値nが「5」であり、基準モードMnは、第5電力モードM5に設定されている。この場合には、第4電力モードM4によって定着ベルト33を加熱する(ステップS96)。
基準モードMnが電力容量の小さな第5電力モードM5に設定されている場合には、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱量が多くなっているために、第5電力モードM5で定着ベルト33を加熱すると、定着ベルト33の降温状態を効果的に抑制することができないおそれがある。このために、電力容量が第5電力モードM5よりも1段階大きいレベルの第4電力モードM4で定着ベルト33を加熱するようにしている。
その後、降温フラグFdをセット状態(Fd=1)として(ステップS95)、ステップS63に戻る。
なお、定着ベルト33の表面温度Tsが適正温度範囲において昇温状態の場合に(ステップS81において「YES」)、定着ベルト33の加熱または加熱停止によって、昇温状態および降温状態のいずれでもない状態になると(ステップS81において「NO」、かつ、ステップS91において「NO」)、定着ベルト33の加熱状態または加熱停止状態が維持されることになる。
同様に、定着ベルト33の表面温度Tsが適正温度範囲において降温状態の場合に(ステップS91において「YES」)、定着ベルト33が加熱されることによって、昇温状態および降温状態でもない状態になると(ステップS81において「NO」、かつ、ステップS91において「NO」)、定着ベルト33の加熱状態が維持されることになる。
以上のような定着温度制御が実行されている間に、指示された連続プリントジョブが終了すると(ステップS63において「YES」)、定着制御部52による定着温度制御は終了する。
図16(a)は、本実施形態の定着温度制御における定着ベルト33の表面温度Tsの変化の一例を示すグラフ、図16(b)は、図16(a)に示された定着ベルト33の表面温度Tsの変化による定着ベルト33を加熱する電力モードの変化を示すグラフである。なお、図16(b)のグラフでは、第1ヒーターランプ35、第2ヒーターランプ36、第3ヒーターランプ37を、それぞれ、第1HL35、第2HL36、第3HL37と表記している。
図16(a)のグラフは、連続プリントが指示されることにより、基準モードMnが第1電力モードM1に設定されて、定着ベルト33を、第1電力モードM1で加熱した状態で熱定着動作が開始された後に、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを下回ってから後の表面温度Tsの変化を示している。
この場合、定着ニップNfを記録シートPが連続して通過することによって、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを下回っても下降し続けている。これにより、定着制御部52は、基準モードMnとして設定された第1電力モードM1(700Wの第1ヒーターランプ35と500Wの第2ヒーターランプ36)での定着ベルト33の加熱を継続する。
熱定着動作が開始された当初は、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が少ないために、定着ベルト33は、電力容量が1200Wに設定された第1電力モードM1で加熱されても、定着ニップNfを記録シートPが連続して通過することにより、表面温度Tsは下降し続ける。この場合、第1電力モードM1で定着ベルト33が加熱されることによって、加圧ローラー34および定着ローラー32の蓄熱量も徐々に増加し、定着ベルト33の表面温度Tsの下降が徐々に緩やかになる。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Td以下になると、基準モードMnが第1電力モードM1に設定されていることから、第1電力モードM1での定着ベルト33の加熱が継続される。これにより、定着ニップNfを記録シートPが連続して通過しても、比較的短時間で定着ベルト33の表面温度Tsは上昇に転じる。
第1電力モードM1での定着ベルト33の加熱により、定着ベルト33の表面温度Tsは、下限温度Tdを上回り、その後も上昇し続ける。従って、定着ベルト33の表面温度Tsは適正温度範囲において上昇状態になり、定着制御部52は、基準モードMnとして設定された第1電力モードM1よりも、電力容量が3段階小さく設定された第4電力モードM4(700Wの第1ヒーターランプ35のみを使用)で定着ベルト33を加熱する。なお、この場合は、基準モードMnの設定は変更されず、第1電力モードM1の設定が維持される。
定着ベルト33が、第4電力モードM4で加熱されると、定着ベルト33の表面温度Tsは、第1電力モードM1で加熱される場合よりも、緩やかな上昇状態になる。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuに達すると、定着制御部52は、定着ベルト33の加熱を停止するために、第1リレー55をオフする信号を出力する。この場合、第1リレー55の応答遅れ等により第1ヒーターランプ35に対する電力の供給停止が遅れて、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuに対してオーバーシュートする。しかし、定着ベルト33は、電力容量が基準モードMnとして設定された第1モードよりも電力容量が小さくなった第4電力モードM4で加熱されていることによって、表面温度Tsの上昇が緩やかになり、従って、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回って大きく温度上昇することが抑制される。
定着ベルト33の加熱が停止されると、定着ベルト33の表面温度Tsは、上限温度Tu以上での上昇を継続した後に下降状態に転じる。
この場合、定着ベルト33の表面温度Tsは、定着制御部52が第1リレー55をオフする信号を出力してから1秒が経過しても上限温度Tuを上回っており、定着制御部52は、基準モードMnの設定を、第1電力モードM1から第2電力モードM2に切り替える。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsは下降し続け、上限温度Tuを下回っても下降状態が継続する。これにより、定着制御部52は、基準モードMnとして新たに設定された第2電力モードM2(700Wの第1ヒーターランプ35および300Wの第3ヒーターランプ37を使用)で定着ベルト33を加熱する。
この場合、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量が、熱定着動作開始当初よりも増加しているために、第1電力モードM1よりも電力容量が小さいレベルに設定された第2電力モードM2で定着ベルト33を加熱することにより、定着ベルト33の表面温度Tsの下降が抑制され、表面温度Tsは比較的緩やかに下降する。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Tdにまで下降することなく、上昇状態になる。このような状態になると、定着ベルト33は、基準モードMnとして設定された第2電力モードM2よりも、電力容量が3段階小さいレベルに設定された第5電力モードM5(500Wの第2ヒーターランプ36のみを使用)で加熱される。
このように、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲で下降している状態で、第2電力モードM2で定着ベルト33を加熱することによって表面温度Tsが上昇に転じた場合に、第2電力モードM2での定着ベルト33の加熱を継続すると、表面温度Tsが急激に上昇するおそれがある。
このことから、定着ベルト33の表面温度Tsが適正温度範囲で下降状態から上昇状態に転じた場合には、定着ベルト33の加熱を、基準モードMnとして設定された第2電力モードM2よりも電力容量が3段階小さいレベルに設定された第5電力モードM5で行い、表面温度Tsを比較的緩やかに上昇させている。なお、この場合も、基準モードMnは、第2電力モードM2に設定された状態を維持している。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回ると、定着ベルト33の加熱を停止するために、定着制御部52は、第3リレー57をオフする信号を出力する。この場合、第3リレー57の応答遅れ等により第3ヒーターランプ37に対する電力停止が遅れて定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuに対してオーバーシュートしても、定着ベルト33の表面温度Tsの下降が比較的緩やかになっているために、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回って大きく温度上昇することが抑制される。
定着ベルト33の加熱が停止されると、定着ベルト33の表面温度Tsは、上限温度Tu以上での上昇を継続した後に下降状態に転じる。
この場合、定着ベルト33の表面温度Tsは、定着制御部52が第1リレー55をオフする信号を出力してから1秒が経過しても上限温度Tuよりも高くなっていると、定着制御部52は、基準モードMnの設定を、第2電力モードM2から第3電力モードM3に切り替える。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsは、上限温度Tuを下回っても下降状態を継続する。これにより、定着制御部52は、基準モードMnとして新たに設定された第3電力モードM3(500Wの第2ヒーターランプ36および300Wの第3ヒーターランプ37を使用)で定着ベルト33を加熱する。
この場合、加圧ローラー34および定着ローラー32における蓄熱量がさらに増加しており、第2電力モードM2よりも電力容量が小さいレベルの第3電力モードM3に設定された基準モードで定着ベルト33を加熱することにより、定着ベルト33の表面温度Tsは、比較的緩やかに下降する。
その後、定着ニップNfを連続して通過する記録シートPによって定着ベルト33から奪われる熱量が多いために、第3電力モードM3で定着ベルト33を加熱した状態であっても、定着ベルト33の表面温度Tsが下降し続け、下限温度Tdを下回る。
このような状態になると、定着制御部52は、基準モードMnを、第3電力モードM3から第1電力モードM1に切り替える。そして、切り替えられた第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱するために、第1リレー55および第2リレー56をそれぞれオンする信号を出力する。
この場合、第1リレー55および第2リレー56の応答遅れ等により第1ヒーターランプ35および第1ヒーターランプ36に対する電力供給が遅れると、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdに対してアンダーシュートする。しかし、定着ベルト33の表面温度Tsは緩やかな下降状態になっているために、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Tdを下回って大きく下降することが抑制される。
その後、定着ベルト33が第1電力モードM1で加熱されると、定着ベルト33の表面温度Tsは、下限温度Td以下での下降を継続した後に上昇状態に転じ、下限温度Tdを上回っても上昇状態を継続する。このような状態になると、定着制御部52は、定着ベルト33を、第4電力モードM4(700Wの第1ヒーターランプ35のみを使用)で加熱する。なお、この場合、基準モードMnの設定は変更されず、第1電力モードM1に設定された状態を維持する。
以後、同様にして、定着ベルト33は、定着ベルト33の表面温度Tsの温度変化に応じた適切な電力モードで加熱される。
以上のように、本実施形態では、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuよりも大きく上昇した状態、および、下限温度Tdよりも大きく低下した状態になることが抑制されることにより、上限はり付きおよび下限はり付きが防止される。従って、定着ベルト33の表面温度Tsは、下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲において、上昇および下降を繰り返すことになり、定着温度Tfに対して小さな温度差の範囲の温度に制御される。
図17(a)は、本実施形態の定着温度制御において、基準モードMnとして第3電力モードM3が設定された後の定着ベルト33の表面温度Tsの変化を示すグラフ、図17(b)は、その定着温度制御における電力モードの変化を示すグラフである。
図17(a)に示すように、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲において下降状態になると、基準モードMnとして設定された第3電力モードM3(定格電力500Wの第2ヒーターランプ36と定格電力300Wの第3ヒーターランプ37とを使用)で定着ベルト33が加熱される。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsは、比較的緩やかに低下する。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsは、下限温度Tdを下回る前に上昇状態になると、第3電力モードM3における電力容量よりも2段階小さい電力容量に設定された第6電力モードM6(定格電力300Wの第3ヒーターランプ37のみを使用)で定着ベルト33が加熱される。
これにより、定着ベルト33は、比較的緩やかに上昇し、定着ベルト33の表面温度Tsは、上限温度Tuに達する前に下降状態になり、定着ベルト33は第3電力モードM3で加熱される。
その後は、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲における上昇および下降が繰り返され、定着温度Tfに対する小さな温度差の範囲の温度内に維持される。
以上のように、本実施形態では、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Tdを下回ることが抑制され、第1電力モードM1で定着ベルト33が加熱される回数が低減される。その結果、電力容量が最大に設定された第1電力モードM1で定着ベルト33を加熱することによる消費電力の増加を抑制することができる。
また、定着ベルト33の加熱回数が低減されることによって、突入電流の発生回数も低減することができる。その結果、突入電流の発生によって消費電力が増加すること、および、定着ベルト33に温度変化の大きな温度リップルが発生することを抑制することができる。
比較のために、定格電力が1200Wの1つのヒーターランプを用いて定着ベルト33を加熱する構成としたこと以外は、前記実施形態の定着装置30と同様の構成の定着装置により連続熱定着動作を実行した場合において、図18の表に示された条件で定着温度制御を実行した。図19(a)は、このような定着温度制御において、定着ベルト33の表面温度Tsの温度変化を示すグラフ、図19(b)は、その定着温度制御における定着ベルトを加熱する際の供給電力の変化を示すグラフである。
この場合、図18の表に示すように、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを上回ると、定格電力が1200Wのヒーターランプに対する電力の供給を停止して(OFF)、定着ベルト33の加熱を停止し、下限温度Tdを下回ると、ヒーターランプに対して電力を供給して(ON)、定着ベルト33を加熱するようになっている。
さらに、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Td〜上限温度Tuの適正温度範囲において上昇状態になると、ヒーターランプに対する電力供給を停止(OFF)して定着ベルト33の加熱を停止するが、適正温度範囲において下降状態になると、ヒーターランプに対して電力を供給(ON)して定着ベルト33を加熱する。
このような定着温度制御では、ヒーターランプの定格電力が1200Wと大きく、定着ベルト33に付与される熱量が大きくなっているために、ヒーターランプに対する電力供給の停止により定着ベルト33の加熱が停止されると、定着ベルト33の表面温度Tsは比較的急激に上昇する。
定着ベルト33の加熱が停止された状態では、定着ニップNfを記録シートPが連続して通過することによって、定着ベルト33の表面温度Tsの上昇は徐々に抑制され、定着ベルト33の表面温度Tsは、オーバーシュートによって上限温度Tuを上回った後に下降する。
その後、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを下回って下降状態が継続すると、定着ベルト33がヒーターランプによって加熱される。この場合、ヒーターランプによって定着ベルト33に付与される熱量が大きいために、定着ベルト33の表面温度Tsは、下限温度Tdを下回ることなく上昇状態に転じる。これにより、ヒーターランプはオフ状態とされて定着ベルト33の加熱が停止されるが、リレー等の応答遅れにより、定着ベルト33の表面温度Tsは、上昇状態を継続する。
ヒーターランプのオフ状態は、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tu以上になっても継続し、その後に、定着ベルト33の表面温度Tsは下降状態に転じる。そして、定着ベルト33の表面温度Tsが上限温度Tuを下回っても下降状態が継続すると、ヒーターランプがオン状態とされる。これにより、定着ベルト33の表面温度Tsの下降が抑制され、その後に上昇状態に転じ、前述したように、ヒーターランプはオフ状態とされるが、定着ベルト33の表面温度Tsは、リレー等の応答遅れにより、上限温度Tu以上にオーバーシュートする。
以後、このような動作が繰り返されて、定着ベルト33の表面温度Tsは、上限温度Tu近傍において、上昇と下降とを繰り返すことになる(上限はり付き)。
このような上限はり付きになると、定着ベルト33の表面温度Tsが頻繁に上限温度Tu以上になる。これにより、定着ニップNfを通過する記録シートPに対して熱定着動作を安定的に行うことができないおそれがある。また、上限温度Tu以上の高温が頻繁に発生すると、無駄なエネルギー消費が発生することになる。
本実施形態では、このように、定着ベルト33の表面温度Tsが頻繁に上限温度Tu以上になるおそれがなく、定着ニップNfを通過する記録シートPに対して熱定着動作を安定的に行うことができる。
なお、本実施形態では、定着ベルト33の表面温度Tsが、下限温度Tdと上限温度Tuとの間で、下降状態になっている場合と上昇状態になっている場合とで、定着ベルト33を加熱する電力モードを変更する構成としたが、このような構成に限らない。
例えば、定着ベルト33の表面温度Tsが下限温度Tdと上限温度Tuとの適正温度範囲において上昇状態になっている場合においても、下降状態になっている場合と同様に、基準モードMnで加熱する構成としてもよい。このような構成とすることによっても、定着ベルト33の加熱時における消費電力を低減することができ、しかも、定着ベルト33の表面温度Tsが大きく変動することを抑制することができる。
<変形例>
上記の実施形態では、加熱ローラー31を加熱する手段として、定格電力が700Wの第1ヒーターランプ35と、定格電力が500Wの第2ヒーターランプ36と、定格電力が300Wの第3ヒーターランプ37をと用いる構成としたが、ヒーターランプの本数、定格電力等については、定着装置の構成等によって適宜変更することができる。
また、ヒーターランプを用いる構成に限らず、ニクロム線ヒーター等の電熱器を用いる構成としてもよい。ヒーターランプ、ニクロム線ヒーター等の電熱器は、加熱ローラー31の内部に配置する構成に限らず、加熱ローラー31の外側に配置して定着ベルト33を直接加熱する構成としてもよい。さらに、定着ベルト33を設けることなく、加熱ローラー31と加圧ローラー34とによって定着ニップを形成してもよい。また、加圧ローラー34に替えて、加圧ベルトを用いる構成、回転しないように固定的に配置された加圧体を用いる構成等としてもよい。
本発明は、未定着画像が形成された記録シートが、加熱回転体と加圧体との圧接によって形成された定着ニップを通過する際に、記録シートを加熱および加圧することによって未定着画像を定着する定着装置において、連続熱定着動作における消費電力を低減して加熱回転体の温度変化を抑制する技術として有用である。
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
30 定着装置
31 加熱ローラー
32 定着ローラー
33 定着ベルト
34 加圧ローラー
35 第1ヒーターランプ
36 第2ヒーターランプ
37 第3ヒーターランプ
38 温度センサー
52 定着制御部
55 第1リレー
56 第2リレー
57 第3リレー

Claims (12)

  1. 加熱回転体とこれに圧接される加圧体との間に確保される定着ニップを記録シートが通過する際に、当該記録シート上の未定着画像を熱定着する定着装置であって、
    前記加熱回転体を加熱する複数の加熱手段と、
    前記加熱回転体の温度を検出する検出手段と、
    前記複数の加熱手段のうちの1つまたは複数の組み合わせにより得られる異なる電力容量の中から選択された1つの電力容量を基準モードとして設定し、前記定着ニップを連続して通過する複数枚の記録シートに対する熱定着動作中に、前記検出手段の検出温度が目標温度を下回ると、基準モードで前記加熱回転体を加熱し、前記目標温度を上回ると前記加熱回転体の加熱を停止する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記基準モードで前記加熱回転体が加熱された後における前記加熱回転体の加熱の停止により前記加熱回転体の温度が前記目標温度に対しオーバーシュートして、目標温度よりも高い所定の上限温度まで上昇した場合には、基準モードを、前回設定された電力容量よりも小さ電力容量に更新することを特徴とする定着装置。
  2. 前記制御手段は、前記加熱回転体の加熱時に、前記検出手段の検出温度が前記目標温度よりも低い所定の下限温度を下回ると、基準モードを、前回設定された電力容量よりも大きい電力容量に更新した後に、更新後の基準モードで前記加熱回転体を加熱することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記制御手段は、前記下限温度を下回った場合に、基準モードを、最大の電力容量に更新することを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記制御手段は、前記熱定着動作の開始時に、基準モードを、最大の電力容量に設定して、設定された基準モードで前記加熱回転体を加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. 前記制御手段は、前記加熱回転体を前記目標温度まで昇温させた後に、前記熱定着動作が指示されるまでの待機状態の間、前記加熱回転体を前記目標温度よりも低い所定温度を上回らないように加熱する省電力モードになり、
    前記省電力モードにおいて前記熱定着動作が指示されると、基準モードを、前記待機状態の経過時間に基づいて選択された電力容量に設定し、設定された基準モードで前記加熱回転体を加熱して昇温させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記制御手段は、前記待機状態の経過時間が閾値に達するまでは、基準モードを、最大の電力容量に設定し、前記閾値以上の場合に、基準モードを、最大の電力容量よりも小さい電力容量に設定することを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記制御手段は、前記熱定着動作の開始時に、前記基準モードを、前記検出手段の検出温度に基づいて選択される電力容量に設定して、設定された電力容量で前記加熱回転体を加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の定着装置。
  8. 前記制御手段は、前記熱定着動作の開始時における前記検出手段の検出温度が、目標温度よりも低く設定された閾値温度よりも低い場合に、基準モードを、最大の電力容量に設定し、前記閾値温度以上の場合に、基準モードを、最大の電力容量よりも小さい電力容量に設定することを特徴とする請求項7に記載の定着装置。
  9. 加熱回転体とこれに圧接される加圧体との間に確保される定着ニップを記録シートが通過する際に、加熱により当該記録シート上の未定着画像を定着する定着装置であって、
    前記加熱回転体を加熱する複数の加熱手段と、
    前記加熱回転体の温度を検出する検出手段と、
    前記複数の加熱手段のうちの1つまたは複数の組み合わせにより得られる電力容量の中から選択された1つの電力容量を基準モードとして設定し、前記定着ニップを連続して通過する複数枚の記録シートに対する熱定着動作中に、前記検出手段の検出温度が目標温度を下回ると、基準モードで前記加熱回転体を加熱し、前記目標温度を上回ると前記加熱回転体の加熱を停止する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、基準モードで前記加熱回転体が加熱された後における前記加熱回転体の加熱の停止により前記加熱回転体の温度が前記目標温度に対しオーバーシュートした場合に、当該目標温度を下回るまでに要する時間が所定時間以上になると、基準モードを、前回設定された電力容量よりも小さい電力容量に更新することを特徴とする定着装置。
  10. 前記制御手段は、前記検出手段の検出温度が、前記目標温度と、当該目標温度よりも低い所定の下限温度との間で下降状態になっている場合に、基準モードで前記加熱回転体を加熱し、前記目標温度と前記下限温度との間で下降状態から上昇状態になっている場合に、基準モードに設定された電力容量も小さな電力容量に切り替えて前記加熱回転体を加熱することを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
  11. 前記制御手段は、前記検出手段の検出温度が前記下限温度を下回ると、基準モードを、最大の電力容量に更新して、更新後の電力容量で前記加熱回転体を加熱することを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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