JP2013241353A - イミド酸化合物の製造方法 - Google Patents

イミド酸化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲン化スルフリルとアンモニアを反応させ、ビス(ハロゲン化スルホニル)イミド酸を得る工業的有効な方法の提供。
【解決手段】有機塩基Bの存在下、ハロゲン化スルフリルとアンモニアとを反応させる[反応工程]、及び、反応工程で得られた反応混合物を水洗浄する[洗浄工程]、及び、水洗工程で得られた水層から、イミド酸と有機塩基Bからなる塩または錯体を有機塩基Aによって抽出する[回収工程]、を含む、イミド酸と有機塩基Bからなる塩または錯体の製造方法(スキーム1)。
Figure 2013241353

得られた該イミド酸化合物はアルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩、又はアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を反応させることにより、容易にイミド酸金属塩に誘導できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、電池電解質、酸触媒、イオン液体として有用なイミド酸化合物、具体的にはビス(ハロゲン化スルホニル)イミド酸化合物の工業的な製造方法に関する。
ビス(フルオロスルホニル)イミド塩は電池電解質溶媒やイオン液体、帯電防止剤としても有用な化合物である。
ビス(フルオロスルホニル)イミド酸化合物の製造方法として、特許文献1に尿素とフルオロスルホン酸とを反応させて、ビス(フルオロスルホニル)イミド酸を得る方法が、非特許文献1には、ビス(クロロスルホニル)イミド酸に金属フッ化物を反応させて、ビス(フルオロスルホニル)イミド酸を得る製造法が知られている。
しかしながら、特許文献1の方法では、毒性・腐食性の高いフルオロスルホン酸を使用しており、さらにこの反応で得られるビス(フルオロスルホニル)イミド酸とフルオロスルホン酸の分離が困難なため低収率となることから、工業的な製造法として採用するには難がある。また、非特許文献1の方法は、毒性が高く、高価である三フッ化砒素や三フッ化アンチモンを使用することから、工業的に量産を行うには不利である。
本出願人らは、ビス(フルオロスルホニル)イミド酸化合物のより大量規模製造に適した方法として、ハロゲン化スルフリルとアンモニアを反応させて、ビス(ハロゲン化スルホニル)イミド酸誘導体を得る方法を提案している(特許文献2)。
米国特許第3379509号明細書 特開2010−254554号公報 特開2011−144086号公報
Inorganic Chemistry, 37(24), 6295−6303頁(1998年)
特許文献2の方法は、高収率で高純度なビス(ハロゲン化スルホニル)イミド酸化合物が得られる有用な製法であるが、工業的スケールでは、反応後の後処理での水洗操作において、目的物の一部が水層に溶解し大幅に収率が低下する場合があり、改善の余地があった。
そこで、本発明は、ハロゲン化スルフリルとアンモニアを反応させて、ビス(ハロゲン化スルホニル)イミド酸誘導体を得る方法において、従来よりも収率が向上し工業的に有効な方法を提供することを課題とする。
発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討したところ、ハロゲン化スルフリルとアンモニアを反応させて、ビス(ハロゲン化スルホニル)イミド酸誘導体を得る方法において、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」(以下、単に「目的物」ということがある)を含む水層と有機塩基Aとを接触させることで、水層に溶解した目的物を効率的に回収でき、目的物の収率が向上することを見出した。
すなわち、本発明は、式[1]で表される「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」
Figure 2013241353
[式中、Rはそれぞれ独立してハロスルホニル基(−SO;XはX2又はX3を表し、X2、X3は同一、又は異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素))を表す。Bは有機塩基を表す。]
の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする方法を提供するものである。
有機塩基B存在下、ハロゲン化スルフリル(SO23;X2、X3は同一、又は異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を表す。)とアンモニアとを反応させ、反応混合物を得る工程(以下、「反応工程」ということもある)
前記反応混合物に水を添加し、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む有機混合物と、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む水層とに分離する工程(以下、「洗浄工程」ということもある)
前記洗浄工程において分離された水層と有機塩基Aとを接触させ、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を有機塩基Aに抽出する工程(以下、「回収工程」ということもある)
また、本発明は、前記方法であって、式[1]で表される「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」中のX、及び、ハロゲン化スルフリルのX、Xがそれぞれフッ素又は塩素のいずれかであることを特徴とする方法を提供するものである。
また、本発明は、前記方法において、反応工程で用いる有機塩基Bが、式[2]で表される3級アミン
Figure 2013241353
[式[2]中、R、R、Rは同一、又は異なり、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、又はアリール基(アリール基の水素原子の一部又は全てが、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、アミノ基、ニトロ基、アセチル基、シアノ基もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い。)を示す。]、含窒素芳香族複素環式化合物、又はイミン骨格(−C=N−C−)を有する化合物であることを特徴とする「イミド酸と有機塩基Bからなる塩または錯体」の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記回収工程において、前記洗浄工程で分離された水層と有機塩基Aとを接触させる際に、アルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩、又は、アルカリ土類金属の炭酸塩を存在させることを特徴とする方法を提供するものである。
また、本発明は、前記の何れかに記載の方法で得られた「イミド酸と有機塩基Bからなる塩または錯体」に、アルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩、又はアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を反応させカチオン交換を行うことを特徴とする、式[3]で表されるイミド酸金属塩
Figure 2013241353
[式[3]中、Rは前記に同じ。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。nはMの価数と同数の整数を示す。]の製造方法を提供するものである。
特許文献3には、クロロスルホニルイミド又はその塩を原料とするフルオロスルホニルイミド塩の製造において、精製工程の分液抽出を行う際に水層に流出するフルオロスルホニルイミド塩の一部を有機溶媒で回収する方法が開示されているが、本発明とは反応原料や条件が異なるものである。
本発明によれば、水層に溶解した「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を効率的に回収でき、工業スケールにおいても、高純度な「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を高収率で製造できる。
本発明は、式[1]で表される「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」
Figure 2013241353
[式中、Rはそれぞれ独立してハロスルホニル基(−SO;XはX2又はX3を表し、X2、X3は同一、又は異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素))を表す。Bは有機塩基を表す。]
の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする。
有機塩基Bの存在下、ハロゲン化スルフリル(SO23;X2、X3は同一、又は異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を表す)とアンモニアとを反応させ、反応混合物を得る工程(反応工程)
前記反応混合物に水を添加し、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む油分と、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む水層とに分離する工程(洗浄工程)
前記洗浄工程において分離された水層と有機塩基Aとを接触させ、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を有機塩基Aに抽出する工程(回収工程)
[反応工程]
まずは、本発明の反応工程について説明する。
反応工程で用いるハロゲン化スルフリルとしては、フッ化スルフリル、塩化スルフリル、臭化スルフリル、ヨウ化スルフリルが挙げられるが、これらの中で、フッ化スルフリル、塩化スルフリルは工業的規模での入手がしやすいため好ましく、特にフッ化スルフリルが好ましい。よって、式[1]におけるX(つまり、ハロゲン化スルフリルにおけるX、X)は、フッ素又は塩素である場合が好ましく、特にフッ素が好ましい。
ハロゲン化スルフリルの量が、アンモニア1モルに対して、通常、1〜10モルで行い、好ましくは1〜8モル、より好ましくは2〜5モルで行う。
反応工程で使用する有機塩基(本明細書では、反応工程で使用する有機塩基を「有機塩基B」、後述する回収工程で使用する有機塩基を「有機塩基A」と記載し区別することもある。)は、式[2]で表される3級アミン、含窒素芳香族複素環式化合物、又は次のイミン骨格
−C=N−C−
を有する化合物(以下、「イミン系塩基」ということもある)であるが、それぞれの化合物の具体的な例を、以下、明示する。
(a)3級アミン:トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリス(2−エチルへキシル)アミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、N−ブチルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチルピペコリン、N−メチルピロリドン、N−ビニル−ピロリドン、ビス(2−ジメチルアミノ−エチル)エーテル、N,N,N,N',N''−ペンタメチル−ジエチレントリアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N,N',N',N''−ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、テトラメチルイミノ−ビス(プロピルアミン)、N−ジエチル−エタノールアミンなど。
(b)含窒素芳香族複素環式化合物:ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、3−(ジメチルアミノ)プロピルイミダゾール、ピラゾール,フラザン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、プリン、1H−インダゾール、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジン、プテリジン、フェナントリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,2'−ビピリジン、4,4'−ジメチル−2,2'−ビピリジル、4,4'−ジメチル−2,2'−ビピリジル、5,5'−ジメチル−2,2'−ビピリジル、6,6'−t−ブチル−2,2'−ジピリジル、4,4'−ジフェニル−2,2'−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、2,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジメチル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンなど。
(c)イミン系塩基:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンなど。
これらの中でもトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の3級アミン、ジイソプロピルアミン等の2級アミン、ピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、3,5,6−コリジン等の含窒素芳香族複素環式化合物が好ましい。さらに、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン等がより好ましい。
前記有機塩基Bの使用量は、化学量論的には、アンモニア1モルに対して3モルであり、ハロゲン化スルフリル1モルに対して1.5モルであるが、反応を円滑に進行させる為には、化学量論量より多く用いることが好ましい。
従って、前記有機塩基Bの使用量として、アンモニア1モルに対し1〜50モル(好ましくは1〜10モル)であり、又、該スルフリル1モルに対して1.5〜10モル(好ましくは2〜5モル)である。
なお、有機塩基Bが該スルフリル1モルに対して1.5モル未満の場合、反応自体は進行するが、この場合、反応系内にアンモニアの割合が多くなり、スルファミドが多く生成し、変換率が低下することもあるので、前述の当量で反応を行うことが好ましい。
また、本工程は、有機溶媒又は水を共存させて反応を行うこともできる。ここで有機溶媒とは、本発明の反応に直接関与しない不活性な有機化合物のことを言う。反応溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
その中でも酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシドが好ましく、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類がより好ましい。これらの反応溶媒は単独又は組み合わせて使用することができる。
有機溶媒又は水の使用量としては、特に制限はないが、アンモニア1モルに対して0.1L(リットル)以上を使用すればよく、通常は0.1〜20Lが好ましく、特に0.1〜10Lがより好ましい。
なお、上述の有機塩基Bが液体である場合には、これら有機塩基B(例えばトリエチルアミンなど)が溶媒としての役割も兼ねるため、これらを過剰に用いて溶媒として機能させることもできる。
温度条件としては、特に制限はないが、−50〜+150℃の範囲で行えばよい。通常は−20〜+100℃が好ましく、特に−10〜+70℃がより好ましい。−50℃よりも低い温度であれば反応速度が遅くなり、+150℃を超える温度であれば、生成物の分解等が生じることもある。
圧力条件としては、特に制限はなく、常圧条件(0.1MPa(絶対圧。以下同じ。))、又は圧力に耐えられる反応器を用いて減圧条件もしくは加圧条件の下で行うことができる。すなわち、0〜5MPaの範囲で行えば良いが、0.01〜2MPaが好ましく、0.02〜1MPaがより好ましい。
反応工程に使われる反応容器としては、ステンレス鋼、モネル、ハステロイ、ニッケル、又はこれらの金属やポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテル樹脂などのフッ素樹脂でライニングされた耐圧反応容器などが挙げられる。
反応時間としては、特に制限はない。反応に必要な時間は、基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、NMR等の分析手段により、反応の進行状況を追跡して原料が殆ど消失した時点を終点とすることが好ましい。例えば、反応開始直後に原料が消失しているのであれば、その時点で反応を終わらせて良いし、逆に一週間程度反応を続けても良い。
以下、[反応工程]において好ましい条件を述べる。
有機塩基Bの存在下、ハロゲン化スルフリル、及びアンモニアを反応させることで、式[ 1 ] で表される、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」が得られるが、例えば、反応器への仕込みの順番として、オートクレーブ等の耐圧反応容器に有機溶媒、有機塩基B、ハロゲン化スルフリルを加えた後に、アンモニアを加えた後、容器を密閉して反応させることが好ましい。また、反応させる際、アンモニア1モルに対して、ハロゲン化スルフリルが2〜5 モル、有機塩基Bが2〜5モルで行うのが好ましい。
また、有機溶媒の使用量として、アンモニア1モルに対して0.1〜20L が好ましく、温度条件として、0〜100℃が好ましい。また、圧力条件としては、0.02〜1MPaが好ましい。
前記反応工程を経ることで、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む反応混合物が得られる。該反応混合物中には、以下の副生成物(以下、単に「副生成物」ということもある)、
XSO2NHSO2NHSO2
が微量、生成することがある(スキーム1参照)。
Figure 2013241353
該副生成物は、水洗などの簡便な操作により除去することが可能である。本発明で後述する洗浄工程のように、水を添加して洗浄する工程を経ることは、該目的物である「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」の化学純度を向上させるという点でも、好ましいものである。
[洗浄工程]
次に、得られた反応混合物を水洗し、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む水層を得る工程(洗浄工程)について説明する。
洗浄工程は、前記反応混合物に水を添加して洗浄し(以下、単に「水洗浄」ということもある)、分離操作によって「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む有機混合物(以下、これを「有機混合物」ということもある)、及び、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む水層(以下、単に「塩又は錯体を含む水層」ということもある)を得る工程である。洗浄工程は、特にその操作は限定されないが、主な方法について以下に記載する。
まず、反応混合物にアセトニトリルやテトラヒドロフラン等の水に可溶な溶媒が含まれる場合、水を添加する前に、該溶媒を蒸留等で濃縮することが好ましい。濃縮の際に蒸留等で留去した該溶媒は再度反応に使用することも出来る。濃縮により残った「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む残渣に、水を添加し、水洗浄した後に、分離操作により有機混合物と塩又は錯体を含む水層とがそれぞれ得られる(スキーム2の(b)参照)。この時、水と共に、水に不溶・難溶な溶媒を添加し、水洗浄・分離操作を行い、有機溶媒で希釈された有機混合物としても良い(スキーム2の(a)参照)。
次に、反応混合物中に水に不溶・難溶な溶媒が含まれる場合、前記のように濃縮を行っても良いし、そのまま水を添加して、水洗浄・分離によって有機混合物と塩又は錯体を含む水層とを得ても良い(スキーム2の(c)参照)。反応工程において、無溶媒で反応を行った場合も同様である。
Figure 2013241353
前記水洗浄で用いられる水の量は特に限定されないが、通常、反応混合物中の「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」に対して、50〜300質量%程度を用いることが好ましい。また、前記の量の水を数回に分けて洗浄・分離を繰り返すことも好ましい操作の一つである。
前記水洗浄は通常は常温行うことが好ましいが、温度条件に特に制限はなく、加温してもよい。また、水洗浄に使われる反応容器としては、ステンレス鋼、モネル、ハステロイ、ニッケル、又はこれらの金属やポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテル樹脂などのフッ素樹脂でライニングされた耐圧反応容器などが挙げられる。
洗浄工程において、水洗浄した後の分離操作とは、有機混合物と、塩又は錯体を含む水層とを分けられる方法であれば特に限定はない。一般的には簡便な分液やろ過、遠心分離等で行うことが出来る。
洗浄工程によって得られた有機混合物は、さらにアルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩、又は、アルカリ土類金属の炭酸塩による洗浄・分離操作を行うことが好ましい。該有機混合物には、反応工程で生成した、有機塩基Bとハロゲン化水素とからなる塩が含まれる(スキーム1参照)。そのため、該炭酸塩もしくは該炭酸水素塩による洗浄・分離操作を行うことで、有機塩基Bとハロゲン化水素とからなる塩が効果的に除かれ、目的物である「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」の粗体を得ることが出来る(スキーム2(d)参照。該有機混合物が溶媒で希釈されている場合、さらに濃縮を行うことで粗体が得られる)。該粗体は、溶媒濃縮や洗浄等の操作によって精製を行うことができる。また、後述する[カチオン交換工程]に用いることで、式[3]で表されるビスハロゲン化スルホニルイミド酸金属塩に変換することが出来る。カチオン交換工程へは、アルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩による洗浄・分離を経ずに有機混合物のまま用いることも出来る(スキーム2(e))が、有機塩基Bとハロゲン化水素とからなる塩を取り除いた粗体を用いる(スキーム2(f))方が、カチオン工程における、アルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩、又はアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩の使用量を抑えることが出来るため、好ましいといえる。また、該分離操作によって得られた水層は、微量の「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含むことがあるため、洗浄工程で得られた塩又は錯体を含む水層に混ぜて回収工程に用いることも本発明の好ましい形態といえる(スキーム2(g))。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ルビジウム(RbCO)、炭酸セシウム(CsCO)が、アルカリ金属の炭酸水素塩としては炭酸水素リチウム(LiHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ルビジウム(RbHCO)、炭酸水素セシウム(CsHCO)アルカリ土類金属の炭酸塩としては炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)が挙げられる。中でも炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ルビジウム(RbCO)、炭酸セシウム(CsCO)が好ましい。
[回収工程]
回収工程は、洗浄工程によって得られた「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む水層から、目的物である「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を回収するものである。回収工程では、塩又は錯体を含む水層と有機塩基Aとを接触させることで、目的物である「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を効率よく選択的に有機塩基Aに抽出することが出来る(スキーム3(h)参照)。この際、水層中には目的物と共に、反応工程において生成した前記副生成物が含まれていることがあるが、回収工程によって得られた目的物を含む有機塩基A中には前記副生成物が混入することはなく、高純度で目的物を回収することができる。
水層と接触させる有機塩基Aは、水と混合した時に2層に分離するものであれば特に限定はされない。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等の3級アミン、ジイソプロピルアミン等の2級アミン、ピリジン、2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、3,5,6−コリジン等の含窒素芳香族複素環式化合物等が挙げられる。中でもトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミンは、工業的規模での入手がし易く且つ、安価である点で好ましい。
該水層には、反応工程で生成した有機塩基Bとハロゲン化水素とからなる塩が含まれていることがある(スキーム1参照)。そこで、回収工程において、該水層と有機塩基Aとを接触させる際に、アルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩を添加し、該有機塩基Bとハロゲン化水素からなる塩を取り除くことは好ましい操作の一つである(スキーム3(i))。この際、ハロゲン化水素と塩をなしていた有機塩基Bが遊離する。遊離した有機塩基Bは目的物抽出用の有機塩基Aとして機能するため、該水層に添加する有機塩基Aの量を低減させる効果があり、その点でも好ましい。また、前記遊離した有機塩基Bのみを回収工程の有機塩基Aとして用いることも可能であり、この場合、追加の有機塩基Aを添加せずに分離操作を行ってよい(スキーム3(j))
Figure 2013241353
前記アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ルビジウム(RbCO)、炭酸セシウム(CsCO)が、アルカリ金属の炭酸水素塩としては炭酸水素リチウム(LiHCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)、炭酸水素ルビジウム(RbHCO)、炭酸水素セシウム(CsHCO)アルカリ土類金属の炭酸塩としては炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)が挙げられる。中でも炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ルビジウム(RbCO)、炭酸セシウム(CsCO)が好ましい。
前記有機塩基Aの量は、水層中に含まれる目的物の含有量に合わせて適宜検討すればよいが、通常、目的物に対して0.1〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.3〜3質量%であり、特に好ましくは0.5〜2質量%である。水層中の目的物の含有量については、19F−NMR測定によって確認することができる。
該水層と有機塩基Aとの接触時間は特に限定されないが、通常0.5〜12時間程度で充分である。好ましくは0.5〜5時間であり、さらに好ましくは0.5〜3時間がよい。また、接触方法は特に限定はなく、通常、反応器内にて水層と有機塩基Aとの混合溶液を攪拌すればよい。
水層と有機塩基Aとを接触させた後、分離を行うことで、目的物である「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む有機層が得られる。該有機層を濃縮することで、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」の粗体を得ることが出来る。該粗体は、そのまま単独で再結晶などの精製に用いてもよく、単独で、又は洗浄工程で得られた有機混合物又は「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」の粗体と混合して、[カチオン交換工程]に使用してもよい。また、前記の量の有機塩基Aを数回に分けて抽出・分離を繰り返して該粗体を得ることも好ましい操作の一つである。また、抽残液である水層を分析し、目的物が残っていた場合は、注残液にさらに有機塩基Aを加えて抽出・分離を行うことも好ましい。
[カチオン交換工程]
本工程は、洗浄工程及び回収工程において得られた有機混合物又は「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」の粗体を用いて、アルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩、又はアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を反応させ、式[3]で表されるビスハロゲン化スルホニルイミド酸金属塩を得る工程である。
アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)、水酸化セシウム(CsOH)が、アルカリ金属の炭酸塩としては炭酸リチウム(LiCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ルビジウム(RbCO)、炭酸セシウム(CsCO)が、アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化バリウム(Ba(OH))、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))、アルカリ土類金属の炭酸塩としては炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸ストロンチウム(SrCO)が挙げられ、好ましくは水酸化リチウム(LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)、水酸化セシウム(CsOH)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化バリウム(Ba(OH))、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))が挙げられる。また、これらのアルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩、又はアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩は1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を用いる場合、同一のアルカリ金属の水酸化物と炭酸塩(例えば、水酸化カリウムと炭酸カリウム)の組み合わせ、又は同一のアルカリ土類金属の水酸化物と炭酸塩(例えば、水酸化マグネシウムと炭酸マグネシウム)の組み合わせを用いることが好ましい。
アルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩、又はアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩の使用量は、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」1モルあたり1〜5モルが好ましく、より好ましくは1〜3モルである。5モルを超える量、すなわち過剰量の塩基を反応させた場合、反応は進行するが、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」が分解してしまい、収率が低下してしまうことがある為、過剰量の塩基を用いることは好ましくない。また、1モルよりも少ないと、変換率が低下することからも、好ましくない。
アルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩、又はアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を反応させる際、溶媒を用いることができる。例えば水を溶媒として用いた場合、塩基の濃度を、通常10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%、より好ましくは20〜40質量%となるように水を加えると良い。水の量が少なすぎると反応系内における攪拌が困難になり、また多すぎる場合は、反応後の処理が煩雑になることや、通常よりも大きな反応容器が必要となる。
なお、水以外の有機溶媒を用いることもできる。ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類等の溶媒が使用できる。また、水と共に組み合わせて使用することもできる。溶媒の使用量としては、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」に対して通常0.5〜10倍容量、好ましくは1〜7倍容量の範囲から適宜選択される。しかしながら、水を用いても十分反応が進行する為、水以外の有機溶媒を特に用いるメリットは少ない。
反応温度に特別に制限はないが、通常−10℃〜+110℃、好ましくは+25〜+80℃である。−10℃未満であると反応が充分に進行せず、収率低下の原因となり、経済的に不利となる、あるいは、反応速度が低下して反応終了までに長時間を要するなどの問題を生ずる場合がある。一方、+110℃を超えると、副生物が生じやすく、また過剰な加熱はエネルギー効率が悪い。
反応時間としては、特に制限はないが、通常は24時間以内の範囲で行えばよく、イオンクロマトグラフィー、NMR等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質が殆ど消失した時点を終点とするのが好ましい。
カチオン交換工程に用いられる反応器は、ステンレス鋼、ハステロイ、モネルなどの金属製容器や、四フッ化エチレン樹脂、クロロトリフルオロエチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、PFA樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、そしてガラスなどを内部にライニングしたもの等、常圧又は加圧下で十分反応を行うことができる反応器を使用することができる。
本工程で得られた反応混合物は、中和や再結晶等の簡便な操作によって、精製された高純度のビスハロゲン化スルホニルイミド酸金属塩を得ることが出来る。この際、得られる水を含む有機塩基Bは、蒸留等の脱水操作を行うことにより再度反応に使用することができる。
次に本発明を実施例に基づき詳細に説明する。なお、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
[反応工程]
1Lオートクレーブにアセトニトリルを186g、トリエチルアミンを186g(1.84 mоl)仕込み、氷水で5℃に冷却し、フッ化スルフリルを129g(1.27 mоl)導入した。フッ化スルフリルを導入した後、続いて、無水アンモニアを9.8g(0.58mоl)、3時間掛けて導入した。反応器を室温まで昇温させ、12時間攪拌した。この反応における目的物の生成比は、99.9%であり、FSO2NHSO2NHSO2Fが0.1%であった。この反応液を19F−NMRにより定量を行ったところ出発原料のアンモニアに対するビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の収率は100.3%であった。
[洗浄工程]
上記反応工程で得られた反応液の溶媒を留去し、残渣に水を加え、水洗浄・分離を行い、トリエチルアンモニウム塩を含む有機混合物とトリエチルアンモニウム塩を含む水層とを得た。得られた有機混合物を20%炭酸カリウム水溶液で洗浄し、ビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の粗体を150g得た。この粗体を19F−NMRにより定量を行ったところ出発原料のアンモニアに対する収率は74.3%(0.431mol)であった(なお、粗体をここでは単離精製せずに、このままカチオン交換反応に用いた)。水洗浄で得られた水層に、20%炭酸カリウム水溶液洗浄にて得られた水層を加えて19F−NMRにより定量を行ったところ、出発原料のアンモニアに対する収率は20.9%(0.114mоl)であった。
[回収工程]
上記、洗浄工程における水洗浄および、20%炭酸カリウム水溶液洗浄にて、分離した水層に対し攪拌下、炭酸カリウムを23g添加した。その後、トリエチルアミンを70g添加し、水層と有機層を分離した。得られた有機層を濃縮し、ビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の粗体を33.2g得た。この水層から回収した粗体を19F−NMRにより定量を行ったところ、出発原料のアンモニアに対するビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の収率は19.5%(0.112mоl)であり、回収工程における回収率は98.2%であった。回収後の抽残液についても同様に19F−NMRにより定量を行ったところ出発原料のアンモニアに対するビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の収率は0.4%(0.0024mоl)であった。回収工程を経ることで、洗浄工程で水層に溶解したビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩を効率的に回収できた。
[カチオン交換工程]
次に、洗浄工程及び回収工程で得られたビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の粗体を混合し、水酸化カリウム31.8gを含む水溶液を1時間、室温で混合した。反応混合物のトリエチルアミンおよび水を留去して、ビスフルオロスルホニルイミドカリウムを得た。さらにこれにイソプロパノールを加え、60℃に加温し未溶解成分を濾別後、冷却することで結晶を析出させて、分離、乾燥後、純度99%以上のビスフルオロスルホニルイミドカリウムを107.3g、収率85.1%(0.469mоl)であった。
[実施例2]
実施例1と同様の手法により反応および洗浄を行ったところ水層のビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の19F−NMRによる定量値は0.074molであった。
[回収工程]
上記、洗浄工程で分離した水層に対し攪拌下、ジイソプロピルエチルアミンを100g添加し、水層と有機層を分離した。得られた有機層を濃縮し、ビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の粗体を21.3g得た。この粗体を19F−NMRにより定量を行ったところ、回収工程における回収率は82.4%(0.061mоl)であった。
[実施例3]
トリエチルアミンの代わりにジイソプロピルエチルアミンを238g(1.84 mоl)用いた以外は実施例1と同様の手法により反応および洗浄を行ったところ水層のビスフルオロスルホニルイミドジイソプロピルエチルアンモニウム塩の19F−NMRによる定量値は0.052molであった。
[回収工程]
上記、洗浄工程で分離した水層に対し攪拌下、トリエチルアミンを100g添加し、水層と有機層を分離した。得られた有機層を濃縮し、ビスフルオロスルホニルイミドジイソプロピルエチルアンモニウム塩の粗体を13.7g得た。この粗体を19F−NMRにより定量を行ったところ、回収工程における回収率は88.8%(0.046mоl)であった。
[実施例4]
トリエチルアミンの代わりにジイソプロピルエチルアミンを238g(1.84 mоl)用いた以外は実施例1と同様の手法により反応および洗浄を行ったところ水層のビスフルオロスルホニルイミドジイソプロピルエチルアンモニウム塩の19F−NMRによる定量値は0.052molであった。
[回収工程]
上記、洗浄工程で分離した水層に対し攪拌下、ジイソプロピルエチルアミンを100g添加し、水層と有機層に分離した。得られた有機層を濃縮し、ビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の粗体を16.7g得た。この粗体を19F−NMRにより定量を行ったところ、回収工程における回収率は75.4%(0.039mоl)であった。
[比較例1]
[反応工程]
1Lオートクレーブにアセトニトリルを121g、トリエチルアミンを121g(1.20 mоl)仕込み、氷水で5℃に冷却し、フッ化スルフリルを84.7g(0.83 mоl)導入した。フッ化スルフリルを導入した後、続いて、無水アンモニアを6.5g(0.38mоl)、3時間掛けて導入した。反応器を室温まで昇温させ、12時間攪拌した。この反応における目的物の生成比は、99.9%であり、FSO2NHSO2NHSO2Fが0.1%であった。この反応液を19F−NMRにより定量を行ったところ出発原料のアンモニアに対するビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の収率は99.3%であった。
[洗浄工程]
上記反応工程で得られた反応液の溶媒を留去し、残渣に水を加え、水洗浄・分離を行い、トリエチルアンモニウム塩を含む有機混合物とトリエチルアンモニウム塩を含む水層とを得た。得られた有機混合物を20%炭酸カリウム水溶液で洗浄し、ビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の粗体を100g得た。この粗体を19F−NMRにより定量を行ったところ出発原料のアンモニアに対する収率は73.7%(0.280mol)であった(なお、粗体をここでは単離精製せずに、このままカチオン交換反応に用いた)。水洗浄で得られた水層に、20%炭酸カリウム水溶液洗浄にて得られた水層を加えて19F−NMRによりビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の定量を行ったところ、出発原料のアンモニアに対する収率は19.5%(0.074mоl)であった。
[回収工程]
上記、洗浄工程で分離した水層に対しジイソプロピルエーテル100gを添加し、水層と有機層に分離した。得られた有機層を濃縮し、ビスフルオロスルホニルイミドトリエチルアンモニウム塩の粗体を14.1g得た。この水層から回収した粗体を19F−NMRにより定量を行ったところ、回収工程における回収率は54.1%(0.040mоl)であった。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
Figure 2013241353
このように、エーテルなどの有機溶媒を用いても該イミド酸塩は回収可能であるが、有機塩基Aを用いることでより効率的に回収が行えることがわかる。

Claims (5)

  1. 式[1]で表される「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」
    Figure 2013241353
    [式中、Rはそれぞれ独立にハロスルホニル基(−SO;XはX2又はX3を表し、X2、X3は同一、又は異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素))を表す。Bは有機塩基を表す。]
    の製造方法であって、以下の3工程を含むことを特徴とする製造方法。
    有機塩基Bの存在下、ハロゲン化スルフリル(SO23;X2、X3は同一、又は異なるハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を表す。)とアンモニアとを反応させ、反応混合物を得る工程(反応工程)
    前記反応混合物に水を添加し、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む有機混合物と、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を含む水層とに分離する工程(洗浄工程)
    前記洗浄工程において分離された水層と有機塩基Aとを接触させ、「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」を有機塩基Aに抽出する工程(回収工程)
  2. 請求項1に記載の方法であって、式[1]で表される「イミド酸と有機塩基Bからなる塩又は錯体」中のX、及び、ハロゲン化スルフリルのX、Xがそれぞれフッ素又は塩素のいずれかであることを特徴とする「イミド酸と有機塩基Bからなる塩または錯体」の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法において、反応工程で用いる有機塩基Bが、式[2]で表される3級アミン
    Figure 2013241353
    [式[2]中、R、R、Rは同一、又は異なり、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、又はアリール基(アリール基の水素原子の一部又は全てが、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、アミノ基、ニトロ基、アセチル基、シアノ基もしくはヒドロキシル基で置換されていても良い。)を示す。]、含窒素芳香族複素環式化合物、又はイミン骨格(−C=N−C−)を有する化合物であることを特徴とする「イミド酸と有機塩基Bからなる塩または錯体」の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の回収工程において、洗浄工程で分離された水層と有機塩基Aとを接触させる際に、アルカリ金属の炭酸塩もしくは炭酸水素塩、又はアルカリ土類金属の炭酸塩を存在させることを特徴とする「イミド酸と有機塩基Bからなる塩または錯体」の製造方法。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の方法で得られた「イミド酸と有機塩基Bからなる塩または錯体」に、アルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩、又はアルカリ土類金属の水酸化物もしくは炭酸塩を反応させカチオン交換を行うことを特徴とする、式[3]で表されるイミド酸金属塩
    Figure 2013241353
    [式[3]中、Rは前記に同じ。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。nはMの価数と同数の整数を示す。]の製造方法。
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