JP5146149B2 - トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの精製方法 - Google Patents
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Description
[発明1]
以下の3工程を含む、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド(CF3SO2F)の精製方法。
第1工程:トリフルオロメタンスルホニルフルオリドに、金属水酸化物を反応させた後、続いて酸で処理してトリフルオロメタンスルホン酸(CF3SO3H)を得る工程。
第2工程:第1工程で得られたトリフルオロメタンスルホン酸に、脱水剤を反応させ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物((CF3SO2)2O)を得る工程。
第3工程:第2工程で得られたトリフルオロメタンスルホン酸無水物に、フッ素化剤を反応させることにより、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドを得る工程。
[発明2]
トリフルオロメタンスルホニルフルオリドに、金属水酸化物を反応させた後、続いて酸で処理してトリフルオロメタンスルホン酸を得る(第1工程)際、金属水酸化物が水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、発明1に記載の方法。
[発明3]
第1工程で得られたトリフルオロメタンスルホン酸に、脱水剤を反応させ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を得る(第2工程)際、脱水剤が5酸化リン(P2O5)、又は5塩化リン(PCl5)である、発明1又は2に記載の方法。
[発明4]
第2工程で得られたトリフルオロメタンスルホン酸無水物に、フッ素化剤を反応させる(第3工程)際、以下の工程の何れかを経由することにより行うことを特徴とする、発明1に記載の方法。
第3工程(a):トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させて、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドを得る工程。
第3工程(b):トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させて、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドを得る工程。
[発明5]
トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、トリフルオロメタンスルホン酸無水物とフッ化水素を先に共存させた後に、続けて有機塩基を加えることにより行うことを特徴とする、発明4に記載の方法。
[発明6]
トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、有機塩基とフッ化水素を先に共存させた後に、続けてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を加えることにより行うことを特徴とする、発明4に記載の方法。
[発明7]
トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、有機塩基の量が、トリフルオロメタンスルホン酸無水物1モルに対し0.1〜100モルであることを特徴とする、発明4乃至6の何れかに記載の方法。
[発明8]
トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、フッ素化剤の量が、トリフルオロメタンスルホン酸無水物1モルに対し0.1〜100モルであることを特徴とする、発明4乃至7の何れかに記載の方法。
[発明9]
トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、反応を行う際の温度が−30℃〜90℃であることを特徴とする、発明4乃至8の何れかに記載の方法。
[発明10]
トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させる(第3工程(b))際、金属フッ化物が、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化カリウム(KF)、フッ化ルビジウム(RbF)、又はフッ化セシウム(CsF)である、発明4に記載の方法。
[発明11]
トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させる(第3工程(b))際、溶媒として水を共存させることにより行うことを特徴とする、発明4乃至10の何れかに記載の方法。
[発明12]
トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させる(第3工程(b))際、反応を行う際の温度が−5〜90℃であることを特徴とする、発明4乃至11の何れかに記載の方法。
[発明13]
トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させる(第3工程(b))際、金属フッ化物の量が、トリフルオロメタンスルホン酸無水物1モルに対し0.1〜100モルであることを特徴とする、発明4乃至12の何れかに記載の方法。
[発明14]
第1工程で用いるトリフルオロメタンスルホニルフルオリドが、メタンスルホニルクロリドを金属フッ化物でフッ素化し、得られたメタンスルホニルフルオリドを無水フッ化水素中、電解法によりフッ素化することにより得られることを特徴とする、発明1乃至13の何れかに記載の方法。
i)5酸化リン(P2O5)を用いた場合
5酸化リンを用いる場合、用いる量としては、トリフルオロメタンスルホン酸1モルに対して、通常0.1〜10モルであり、2〜6モルであることが好ましく、2〜4モルであることがさらに好ましい。0.1モルより少ないと、回収率が低下し、好ましくない。また、10モルより多いと、反応系内が固形化し、攪拌がしにくくなること、また不必要の量の5酸化リンを用いることは経済的な面から見ても、好ましくない。
ii)5塩化リン(PCl5)を用いた場合
5塩化リンを用いる場合、用いる量としては、トリフルオロメタンスルホン酸1モルに対して、通常、1モル以下の量で用いることができ、好ましくは、0.2〜0.6モルであり、より好ましくは0.2〜0.5モルである。1モルより多いと、それに伴い、トリフルオロメタンスルホン酸クロリドが副生成物として生成し、本工程の目的物であるトリフルオロメタンスルホン酸無水物の収率が低下することがあるので好ましくない。
第3工程(a):トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させて、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドを得る工程。
第3工程(b):トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させて、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドを得る工程。
の何れかを経由することによってなる。
を有する有機塩基(「イミン系塩基」)からなる群より選ばれる有機塩基である。
(a)一級アミン:メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、グアニジンなど。
(b)二級アミン:ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジブチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリンなど。
(c)三級アミン:トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン、ジ−イソプロピルエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリス(2−エチルへキシル)アミン、N,N−ジメチルデシルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、N−ブチルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチルピペコリン、N−メチルピロリドン、N−ビニル−ピロリドン、ビス(2−ジメチルアミノ−エチル)エーテル、N,N,N,N',N''−ペンタメチル−ジエチレントリアミン、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N,N',N',N''−ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、テトラメチルイミノ−ビス(プロピルアミン)、N−ジエチル−エタノールアミンなど。
(d)含窒素芳香族複素環式化合物:ピリジン、2−メチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ルチジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、3−(ジメチルアミノ)プロピルイミダゾール、ピラゾール,フラザン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、プリン、1H−インダゾール、キナゾリン、シンノリン、キノキサリン、フタラジン、プテリジン、フェナントリジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,2'−ビピリジン、4,4'−ジメチル−2,2'−ビピリジル、4,4'−ジメチル−2,2'−ビピリジル、5,5'−ジメチル−2,2'−ビピリジル、6,6'−t−ブチル−2,2'−ジピリジル、4,4'−ジフェニル−2,2'−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、2,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジメチル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンなど。
(e)イミン系塩基:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エンなど。
の有機塩基が挙げられる。
i)トリフルオロメタンスルホン酸無水物とフッ化水素を先に共存させた後に、続けて有機塩基を加える
ii)有機塩基とフッ化水素を先に共存させた後に、続けてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を加える
iii)トリフルオロメタンスルホン酸無水物と有機塩基を先に共存させた後に、続けてフッ化水素を加える
iv)トリフルオロメタンスルホン酸無水物を先に仕込み、続いてフッ化水素及び有機塩基を一度に加えるか、逐次的もしくは連続的に加える
v)有機塩基を先に仕込み、続いてトリフルオロメタンスルホン酸無水物及びフッ化水素を一度に加えるか、逐次的もしくは連続的に加える
等が挙げられる。
撹拌器、還流管、温度計を備えた四フッ化エチレン樹脂、又はハステロイ製反応器に水363.0kgを投入して、攪拌しながらフッ化ナトリウム130.86kgを加え、5℃に冷却した。そこへメタンスルホニルクロリド(CH3SO2Cl)255.0kgを徐々に加え、次に反応液を室温で1時間攪拌し、攪拌後の反応液を常圧で蒸留することで、メタンスルホニルフルオリド(CH3SO2F)384.8kg及び水176.9kgを含む混合溶液が得られた。次に二層分離させて水を取り除いた後、このメタンスルホニルフルオリドの一部を用いて電解フッ素化を行った。
結果、次のような組成のガスが得られた。
[第1工程]トリフルオロメタンスルホン酸の製造
前記A工程で製造した生成ガスを、水スクラバーに導いた後、60℃で12%水酸化カリウム水溶液38.73kgを1時間かけて供給してトリフルオロメタンスルホニルフルオリドと反応させた。
[第2工程]トリフルオロメタンスルホン酸無水物の製造
トリフルオロメタンスルホン酸無水物498g(1.766mol)、トリフルオロメタンスルホン酸348g(2.320mol)をガラス製の1000mlフラスコに入れ、攪拌しながら5酸化リン(P2O5)165g(1.162mol)を内温20℃以下に保ちながら添加した。添加後、反応器を15.96kPaに減圧し内温を20℃〜105℃まで64時間かけて上昇させながら受け器へ反応物を流出させた。(攪拌は20時間程度実施しその後は停止。)流出物粗体701g(純度98.2%)。反応終了後、粗体を減圧蒸留15.96kPaにて蒸留し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物635gを得た(純度99.9%)。
[第3工程(a)]トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの製造
撹拌器、還流管、温度計を備えたステンレス製の反応器(500ml)に無水フッ化水素酸55.8g(2.790mol)を投入し10℃以下に冷却、攪拌しながら、トリエチルアミン94.2g(0.931mol)を30分かけて滴下した。次にトリフルオロメタンスルホン酸無水物114.3g(0.405mol)を攪拌しながら10分間かけて滴下した(その間、反応液の内温は5〜15℃に維持した)。滴下と同時に気体が発生し還流管の先からその気体を液体アルゴンで冷却されたステンレス製ボンベ(200ml)に捕集した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物の滴下が終了した時点で気体の捕集を中止した。ステンレス製ボンベには53.1gの気体が捕集された。ガスクロマトグラフィーにより、この気体の組成を分析したところ、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの純度は97.3%であった(0.349mol)(トリフルオロメタンスルホン酸無水物からの単離収率86%)。
[第3工程(a)]トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの製造
撹拌器、還流管、温度計を備えたステンレス製の反応器(500ml)にトリフルオロメタンスルホン酸無水物169.0g(0.599mol)を投入し攪拌しながら無水フッ化水素酸10.4g(0.520mol)を投入し10℃以下に冷却した。次に攪拌しながら、トリエチルアミン13.2g(0.130mol)を30分かけて滴下した(その間、反応液の内温は5〜15℃に維持した)。滴下と同時に気体が発生し還流管の先からその気体を液体アルゴンで冷却されたステンレス製ボンベ(200ml)に捕集した。トリエチルアミンの滴下が終了した時点で気体の捕集を中止した。ステンレス製ボンベには16.0gの気体が捕集された。ガスクロマトグラフィー(GC)により、この気体の組成を分析したところ、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの純度は99.0%であった(0.105mol)(トリフルオロメタンスルホン酸無水物からの単離収率81%)。
[第3工程(a)]トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの製造
撹拌器、還流管、温度計を備えたステンレス製の反応器(500ml)とステンレス製ボンベ(200ml)を四フッ化エチレン樹脂製のチューブで接続した後、系内を600Paまで減圧しトリフルオロメタンスルホン酸無水物287.7g(1.020mol)を吸引させながら反応器へ投入後、攪拌しながら無水フッ化水素酸26.6g(1.330mol)を吸引で投入し10℃以下に冷却した。次に攪拌しながら、トリブチルアミン191.1g(1.031mol)を30分かけて滴下した(その間、反応液の内温は8〜44℃に維持した)。滴下と同時に気体が発生し還流管の先からその気体をアセトン-ド
ライアイス溶液で冷却されたステンレス製ボンベ(200ml)に捕集した。トリブチルアミンの滴下が終了した時点で気体の捕集を中止した。ステンレス製ボンベには135.8gの気体が捕集された。ガスクロマトグラフィーにより、この気体の組成を分析したところ、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの純度は99.9%であった(0.893mol)(トリフルオロメタンスルホン酸無水物からの単離収率88%)。
[第3工程(a)]トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの製造
撹拌器、還流管、温度計を備えたステンレス製の反応器(500ml)とステンレス製ボンベ(200ml)を四フッ化エチレン樹脂製のチューブで接続した後、系内を600Paまで減圧しトリフルオロメタンスルホン酸無水物285.3g(1.011mol)を吸引させながら反応器へ投入後、攪拌しながら無水フッ化水素酸12.4g(0.620mol)を吸引で投入し10℃以下に冷却した。次に攪拌しながら、ジエチルアミン74.4g(1.017mol)を30分かけて滴下した(その間、反応液の内温は8〜44℃に維持した)。滴下と同時に気体が発生し還流管の先からその気体をアセトン-ドライ
アイス溶液で冷却されたステンレス製ボンベ(200ml)に捕集した。ジエチルアミンの滴下が終了した時点で気体の捕集を中止した。ステンレス製ボンベには42.6gの気体が捕集された。ガスクロマトグラフィーにより、この気体の組成を分析したところ、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの純度は100.0%であった(0.280mol)(トリフルオロメタンスルホン酸無水物からの単離収率45%)。
[第3工程(a)]トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの製造
撹拌器、還流管、温度計を備えたステンレス製の反応器(500ml)とステンレス製ボンベ(200ml)を四フッ化エチレン樹脂製のチューブで接続した後、系内を600Paまで減圧しトリフルオロメタンスルホン酸無水物283.6g(1.005mol)を吸引させながら反応器へ投入後、攪拌しながら無水フッ化水素酸10.3g(0.515mol)を吸引で投入し10℃以下に冷却した。次に攪拌しながら、ピリジン83.1g(1.051mol)を30分かけて滴下した(その間、反応液の内温は12〜34℃に維持した)。滴下と同時に気体が発生し還流管の先からその気体をアセトン-ドライアイ
ス溶液で冷却されたステンレス製ボンベ(200ml)に捕集した。ピリジンの滴下が終了した時点で気体の捕集を中止した。ステンレス製ボンベには20.0の気体が捕集された。ガスクロマトグラフィーにより、この気体の組成を分析したところ、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの純度は99.6%であった(0.132mol)(トリフルオロメタンスルホン酸無水物からの単離収率26%)。
[比較例1]
比較例1では、A工程、第1工程、そして第2工程は実施例1と同様に行い、第3工程(a)として、トリフルオロメタンスルホン酸無水物169g(0.6mol)を原料として用い、無水フッ化水素酸15.9g(0.795mol)を滴下し、反応液の内温は8〜10℃に維持して反応系内にトリエチルアミンを加えない他は実施例1と操作、条件とも同様に行った。しかしながら、反応は全く進行せず、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドは生成しなかった(変換率0%、収率0%)。
[第3工程(b)]トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの製造
撹拌器、還流管、温度計を備えた硝子製の反応器(500ml)に水70gを投入し、攪拌しながら、フッ化カリウム37.2g(0.640mol)を加え5℃に冷却した。次にトリフルオロメタンスルホン酸無水物120.5g(0.427mol)を攪拌しながら10分間かけて滴下した(その間、反応液の内温は5〜20℃に維持した)。滴下と同時に気体が発生し還流管の先からその気体を液体アルゴンで冷却されたステンレス製ボンベ(200ml)に捕集した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物の滴下が終了した時点で気体の捕集を中止した。ステンレス製ボンベには59.1gの気体が捕集された。ガスクロマトグラフィーにより、この気体の組成を分析したところ、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの純度は99.9%であった(0.389mol)(トリフルオロメタンスルホン酸無水物からの単離収率91%)。
[第3工程(b)]トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの製造
撹拌器、還流管、温度計を備えたステンレス製の反応器(500ml)とステンレス製ボンベ(200ml)を四フッ化エチレン樹脂製のチューブで接続した後、反応器にフッ化カリウム50.2g(0.864mol)を加え系内を600Paまで減圧し水102gを吸引させながら反応器へ投入し5℃に冷却した。次に攪拌しながら、トリフルオロメタンスルホン酸無水物145.4g(0.515mol)を30分かけて滴下した(その間、反応液の内温は5〜18℃に維持した)。滴下と同時に気体が発生し還流管の先からその気体をアセトン−ドライアイス溶液で冷却されたステンレス製ボンベ(200ml)に捕集した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物の滴下が終了した時点で気体の捕集を中止した。ステンレス製ボンベには69.0gの気体が捕集された。ガスクロマトグラフィーにより、この気体の組成を分析したところ、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの純度は99.9%であった(0.454mol)(トリフルオロメタンスルホン酸無水物からの単離収率88%)。
[第3工程(b)]トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの製造
撹拌器、還流管、温度計を備えたステンレス製の反応器(500ml)とステンレス製ボンベ(200ml)を四フッ化エチレン樹脂製のチューブで接続した後、反応器にフッ化カリウム29.1g(0.501mol)を加え、系内を600Paまで減圧し、アセトニトリル144gを吸引させながら反応器へ投入し5℃に冷却した。次に攪拌しながら、トリフルオロメタンスルホン酸無水物139.2g(0.493mol)を30分かけて滴下した(その間、反応液の内温は5〜18℃に維持した)。滴下と同時に気体が発生し還流管の先からその気体をアセトン−ドライアイス溶液で冷却されたステンレス製ボンベ(200ml)に捕集した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物の滴下が終了した時点で気体の捕集を中止した。ステンレス製ボンベには43.6gの気体が捕集された。ガスクロマトグラフィーにより、この気体の組成を分析したところ、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドの純度は99.8%であった(0.287mol)(トリフルオロメタンスルホン酸無水物からの単離収率58%)。
Claims (14)
- 以下の3工程を含む、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド(CF3SO2F)の精製方法。
第1工程:トリフルオロメタンスルホニルフルオリドに、金属水酸化物を反応させた後、続いて酸で処理してトリフルオロメタンスルホン酸(CF3SO3H)を得る工程。
第2工程:第1工程で得られたトリフルオロメタンスルホン酸に、脱水剤を反応させ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物((CF3SO2)2O)を得る工程。
第3工程:第2工程で得られたトリフルオロメタンスルホン酸無水物に、フッ素化剤を反応させることにより、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドを得る工程。 - トリフルオロメタンスルホニルフルオリドに、金属水酸化物を反応させた後、続いて酸で処理してトリフルオロメタンスルホン酸を得る(第1工程)際、金属水酸化物が水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
- 第1工程で得られたトリフルオロメタンスルホン酸に、脱水剤を反応させ、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を得る(第2工程)際、脱水剤が5酸化リン(P2O5)、又は5塩化リン(PCl5)である、請求項1又は2に記載の方法。
- 第2工程で得られたトリフルオロメタンスルホン酸無水物に、フッ素化剤を反応させる(第3工程)際、以下の工程の何れかを経由することにより行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
第3工程(a):トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させて、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドを得る工程。
第3工程(b):トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させて、トリフルオロメタンスルホニルフルオリドを得る工程。 - トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、トリフルオロメタンスルホン酸無水物とフッ化水素を先に共存させた後に、続けて有機塩基を加えることにより行うことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、有機塩基とフッ化水素を先に共存させた後に、続けてトリフルオロメタンスルホン酸無水物を加えることにより行うことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、有機塩基の量が、トリフルオロメタンスルホン酸無水物1モルに対し0.1〜100モルであることを特徴とする、請求項4乃至6の何れかに記載の方法。
- トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、フッ素化剤の量が、トリフルオロメタンスルホン酸無水物1モルに対し0.1〜100モルであることを特徴とする、請求項4乃至7の何れかに記載の方法。
- トリフルオロメタンスルホン酸無水物に有機塩基存在下、フッ化水素を反応させる(第3工程(a))際、反応を行う際の温度が−30℃〜90℃であることを特徴とする、請求項4乃至8の何れかに記載の方法。
- トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させる(第3工程(b))際、金属フッ化物が、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化カリウム(KF)、フッ化ルビジウム(RbF)、又はフッ化セシウム(CsF)である、請求項4に記載の方法。
- トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させる(第3工程(b))際、溶媒として水を共存させることにより行うことを特徴とする、請求項4乃至10の何れかに記載の方法。
- トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させる(第3工程(b))際、反応を行う際の温度が−5〜90℃であることを特徴とする、請求項4乃至11の何れかに記載の方法。
- トリフルオロメタンスルホン酸無水物に、金属フッ化物を反応させる(第3工程(b))際、金属フッ化物の量が、トリフルオロメタンスルホン酸無水物1モルに対し0.1〜100モルであることを特徴とする、請求項4乃至12の何れかに記載の方法。
- 第1工程で用いるトリフルオロメタンスルホニルフルオリドが、メタンスルホニルクロリドを金属フッ化物でフッ素化し、得られたメタンスルホニルフルオリドを無水フッ化水素中、電解法によりフッ素化することにより得られることを特徴とする、請求項1乃至13の何れかに記載の方法。
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