JP2013239307A - 電解液およびそれを備えるリチウムイオン二次電池 - Google Patents

電解液およびそれを備えるリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池等に使用することで、広い温度範囲において充放電サイクル特性に優れた二次電池が得られる電解液を提供する。
【解決手段】非水系溶媒と、該非水系溶媒に溶解させた電解質塩と、を含む電解液であって、
前記非水系溶媒は、該非水系溶媒を100体積%としたときに、少なくとも1つのフッ素を含有する含フッ素環状カーボネートを10体積%以上含み、
さらに添加剤として、前記電解質全体を1Lとしたとき、下記一般式(1)で表される硼酸リチウム塩の一種以上を0mol/Lを越え0.2mol/L以下含む。
【化1】
Figure 2013239307

【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等の非水系二次電池に使用される電解液に関する。
リチウムイオン二次電池は、小型で大容量であるため、携帯電話やノート型パソコンといった幅広い分野で用いられている。また、近年、電池を車両に搭載して使用することが検討されている。リチウムイオン二次電池は、主として、正極と負極と電解液とを備える。各電極は、活物質と、活物質で被覆された集電体と、を有する。
正極に含まれる正極活物質は、たとえば、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物などのリチウムと遷移金属との金属複合酸化物を含む。
負極に含まれる負極活物質としては、近年、珪素(Si)または錫(Sn)を含む負極活物質材料の使用が検討されている。SiまたはSnを含む負極活物質材料は、リチウムイオンの吸蔵・放出により体積が膨張したり収縮したりする。負極活物質の表面には、充放電時に被膜が形成される。被膜は、電解液が負極活物質と直接接触するのを防止して電解液の劣化を抑えている。しかし、この被膜には、負極活物質の体積変化で亀裂が発生する場合がある。被膜に亀裂が生じると、電解液が負極活物質と直接接触して、電解液が劣化し、充放電サイクル特性(以下、単に「サイクル特性」と記載)が低下するおそれがある。
サイクル特性を改善するために、特許文献1には、電解液にリチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)を添加することで、負極活物質表面に形成される被膜を安定化させることが示されている。また、特許文献2には、フッ素を含有するエチレンカーボネートを0.1〜3質量%含む電解液が開示されている。
また、特許文献3には、電解液にLiBOBとともに、1,2−ビス(ジメチルフルオロシリル)エタンなどのフッ化珪素化合物を添加することで、負極活物質表面に安定な被膜が形成されることが開示されている。しかし、電解液中のフルオロエチレンカーボネート(FEC)の配合割合は、10重量%以下であり、溶媒全体に対する体積割合に換算しても10体積%に満たない。
特開2010−010095号公報 特開2011−049114号公報 特開2010−238506号公報
標準的な非水系溶媒として、環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)ならびに鎖状カーボネートであるエチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)を混合して調製した混合溶媒に、電解質としてLiPFを溶解させた標準電解液がある。この標準電解液を用いたリチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させる一手段として、ECを、同じく環状カーボネートであるフルオロエチレンカーボネート(FEC)に変更することが挙げられる。なお、ここで想定されているFECの
含有量は、特許文献3に開示されているよりも多い。
FECは、酸化還元電位が高く、電解液の成分の中でも還元分解されやすい成分である。このため、FECを含む電解液を用いたリチウムイオン二次電池で充放電を行うと、負極活物質表面や正極活物質表面に、FECの還元生成物を含む固体電解質界面被膜(SEI(SolidElectrolyteInterface)膜)が形成されやすい。このFEC由来の被膜により、電解液と活物質との直接接触が防止されることで、サイクル特性が向上すると考えられる。その理由は、以下の通りであると考えられる。
FECなどの含フッ素環状カーボネートは、酸化還元電位が高く、還元されて分解されやすい成分である。含フッ素環状カーボネートの一部が還元分解されることにより、電解液中の電解質や残りの溶媒がそれ以上分解されにくくなる。そのため、電解液の劣化が抑えられ、電池のサイクル特性が高くなるものと考えられる。また、分解された含フッ素環状カーボネートは、リチウムイオン二次電池の使用初期に、負極活物質表面全体に薄く安定な被膜を形成する。薄い被膜は、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う負極活物質の体積変化に柔軟に追従しやすく、応力が集中しにくい。そのため、充放電が繰り返されても、負極活物質と電解液との直接接触が長期に渡って抑えられ、電解液のさらなる劣化が抑制される。つまり、電解液として含フッ素環状カーボネートが多く含まれる非水系溶媒を用いても、電解液の劣化が抑制され、ひいては、被膜のさらなる生成も抑えることができる。また、形成される被膜は薄膜であるため、負極の電気抵抗を低く抑えることができる。
正極活物質表面においても、負極と同様の現象が生じ、電解液のさらなる劣化を抑制するとともに、被膜のさらなる生成を抑え、正極の電気抵抗を低く抑えることができる。
ところが、本発明者等の検討によれば、FECを多く含む電解液を用いたリチウムイオン二次電池で充放電を行うと、55℃の高温環境下では、室温で充放電を行った場合と比較して、サイクル特性が低下することがわかった。これは、FEC自体の高温安定性が低いこと、FEC由来の被膜が高温で電解液に溶解すること、等に起因すると推察される。
また、上記の標準的な非水系溶媒にLiPFを溶解させた標準電解液に、LiBOBを添加することでも、それを用いたリチウムイオン二次電池のサイクル特性が改善されることが予測される。しかし、本発明者等の検討によれば、55℃の高温環境下では、標準電解液に対してLiBOBを添加したものと添加しないものとで、リチウムイオン二次電池のサイクル特性に大きな差が生じないことがわかった。つまり、FECやLiBOBを使用しても、使用量や充放電条件によっては、必ずしもサイクル特性を向上させることができないことがわかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池等に使用することで、広い温度範囲においてサイクル特性に優れた二次電池が得られる電解液を提供することを目的とする。
本発明者等は、十分な量のFECを含む電解液を用いたリチウムイオン二次電池のサイクル特性を改善させるべく、さらに検討を重ねた。検討の成果を発展させることで、以下に説明する発明を完成させるに至った。
本発明は、非水系溶媒と、該非水系溶媒に溶解させた電解質塩と、を含む電解液であって、
前記非水系溶媒は、該非水系溶媒を100体積%としたときに、少なくとも1つのフッ素を含有する含フッ素環状カーボネートを10体積%以上含み、
さらに添加剤として、前記電解質全体を1Lとしたとき、下記一般式(1)で表される硼酸リチウム塩の一種以上を0mol/Lを越え0.2mol/L以下含むことを特徴とする。
Figure 2013239307
式(1)においてRおよびRは、それぞれ独立に下記一般式(1−1)〜(1−6)のいずれかで表される。
Figure 2013239307
式(1−1)〜(1−6)において、X01〜X18は、それぞれ独立に、水素基、アルキル基、ハロゲン基またはハロゲン化アルキル基である。
上記特定の硼酸リチウム塩は、含フッ素環状カーボネートと同様に、酸化還元電位が高く、還元分解しやすい性質をもつ。このため、硼酸リチウム塩を含む電解液を備える二次電池は、使用初期に、負極活物質や正極活物質の表面全体に、硼酸リチウム塩由来の薄く安定な被膜を形成しやすい。
また、前述の通り、含フッ素環状カーボネートを含む非水系溶媒を用いた電解液は、二次電池において使用されると、活物質の表面全体に、含フッ素環状カーボネート由来の被膜が形成される。しかし、この被膜は、高温において電解液に溶解しやすい。さらに、高温安定性が低い含フッ素環状カーボネートからは、高温での充放電に伴いフッ化水素(HF)が発生すると考えられる。したがって、高温で充放電が行われると、含フッ素環状カーボネート由来の被膜は溶解し、発生したHFが活物質と接触しやすくなり、活物質が腐食されることでサイクル特性が低下すると推察される。含フッ素環状カーボネートを上記所定量で含む非水系溶媒を用いた電解液に対して、上記特定の硼酸リチウム塩を少量添加することで、高温で充放電する際に生じる、含フッ素環状カーボネート由来の被膜の性能低下を補うことができる。その結果、高温におけるサイクル特性が改善される。
一方、被膜の溶解やHFの発生が生じにくい室温においては、含フッ素環状カーボネー
ト由来の被膜に加えて硼酸リチウム塩に由来する被膜が形成されると考えられる。過剰な被膜の形成は、電極の抵抗上昇に繋がる。しかしながら、本発明の電解液では、含フッ素環状カーボネートと硼酸リチウム塩との相乗効果により、硼酸リチウム塩の添加量が少量(0.2mol/L以下)であっても高温におけるサイクル特性が改善される。そのため、室温での充放電のように、被膜が溶解しにくい条件において硼酸リチウム塩由来の被膜が形成されても、その厚さはサイクル特性が大きく低下する程ではない。
本発明の電解液では、含フッ素環状カーボネートと上記特定の硼酸リチウム塩との相乗効果により、二次電池の電解液として使用された場合に広い温度域においてサイクル特性が改善されるものである。そのため、特許文献3に記載されているようなフッ化珪素化合物を添加する必要がない。
つまり、本発明の電解液をリチウムイオン二次電池等の二次電池に使用することで、広い温度範囲においてサイクル特性に優れた二次電池が得られる。なお、本明細書で想定している「広い温度範囲」とは、具体的に規定するのであれば、0℃を越え65℃以下さらには15〜65℃程度を想定している。
また、本発明は、リチウムイオン二次電池として捉えることも可能である。すなわち、本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る負極活物質を有する負極と、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る正極活物質を有する正極と、本発明の電解液と、を備えることを特徴とする。
本発明の電解液をリチウムイオン二次電池等の二次電池に使用することで、広い温度範囲においてサイクル特性に優れた二次電池が得られる。
実施例または比較例の電解液を用いて作製された電池1〜4の室温(25℃)におけるサイクル特性を示す線図である。 実施例または比較例の電解液を用いて作製された電池1〜4の高温(55℃)におけるサイクル特性を示す線図である。
以下に、本発明の電解液を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限aおよび上限bをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。
<電解液>
本発明の電解液は、以下に説明する特定の非水系溶媒と、該非水系溶媒に溶解させた電解質塩と、さらに、以下に説明する特定の添加剤と、を含む。それぞれの成分について説明する。
<非水系溶媒>
非水系溶媒は、少なくとも1つのフッ素を含有する含フッ素環状カーボネートを含む。含フッ素環状カーボネートは、少なくとも1つのフッ素を含有すればよく他のハロゲンを含有してもよいが、下記の式(2)で表されるのが好ましい。
Figure 2013239307
(式(2)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素基、アルキル基、フッ素基あるいはフッ化アルキル基であり、R〜Rのうちの少なくとも1つはフッ素基またはフッ化アルキル基を表す)
非水系溶媒は、式(2)で表される含フッ素環状カーボネートの一種以上を必須で含めばよい。R〜Rがアルキル基またはフッ化アルキル基である場合、それらの炭素数は1または2であるのが好ましい。特に好ましくは、環状構造を構成する1以上の炭素に少なくとも1つのフッ素が結合した構造を有する含フッ素環状カーボネートであり、具体的には、下記の式(2−I)〜(2−III)で表される。
Figure 2013239307
なかでも、水に対する安定性の観点から、(2−I)で表される4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート:FEC)が好ましい。
含フッ素環状カーボネートは、非水系溶媒全体を100体積%としたときに、10体積%以上含まれる。10体積%未満では、含フッ素環状カーボネート由来の被膜の形成が不十分となり、サイクル特性の向上が期待できないからである。含フッ素環状カーボネートの好ましい含有割合は15〜40体積%、さらに好ましくは25〜35体積%である。含フッ素環状カーボネートの含有割合がこの範囲にあれば、サイクル特性を効果的に向上させることができるとともに、電解液の粘性も低く抑えて電解質イオンを移動させやすくして電池容量をさらに向上させることができる。
非水系溶媒は、含フッ素環状カーボネートとともに、他の有機溶媒を含んでもよい。他の有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒であることがよく、たとえば、環状カーボネート(ただし、含フッ素環状カーボネートを除く)、鎖状カーボネート、エーテル類などを用いるとよい。特に、含フッ素環状カーボネートを含む環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を併用することが好ましい。環状カーボネートは誘電率が高く、鎖状カーボネートは粘性が低い。このため、電解液が環状カーボネートと鎖状カーボネートとの双方を含むことにより、電解質イオンの移動を妨げず、電池容量を向上させることができる。
非水系溶媒全体を100体積%としたとき、環状カーボネートは10〜50体積%、15〜40体積%さらには25〜35体積%であり、鎖状カーボネートは50〜90体積%、60〜75体積%さらには65〜75体積%であるとよい。環状カーボネートは、電解
液の誘電率を高くする一方、粘性が高い。誘電率が上がると電解液の導電性が向上する。粘性が高いと電解質イオンの移動が妨げられ導電性が悪くなる。鎖状カーボネートは、誘電率は低いが、粘性が低い。両者を上記の配合比の範囲でバランスよく配合することで、溶媒の誘電率をある程度高く、また粘性も低くして、導電性のよい溶媒を調整でき、電池容量を向上させることができる。
環状カーボネートは、含フッ素環状カーボネートを必須成分とし、そのほか、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネート、2−メチル−ガンマブチロラクトン、アセチル−ガンマブチロラクトンおよびガンマバレロラクトンの群から選ばれる1種以上を含んでもよい。室温におけるサイクル特性の低下を抑制するためには、非水系溶媒に、環状カーボネートとしてECのようなフッ素を含有しない環状カーボネートを含まないことが望ましい。特に望ましくは、環状カーボネートとして含フッ素環状カーボネートを主成分とし、他の環状カーボネートを実質的に含まない非水系溶媒である。
鎖状カーボネートは、鎖状である限り特に限定はない。たとえば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステルおよび酢酸アルキルエステルから選ばれる一種以上を用いることができる。
また、非水系溶媒はエーテル類を含んでもよく、たとえば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等が挙げられる。エーテル類は、非水系溶媒全体を100体積%としたとき、10体積%以下さらには0.1〜7体積%が望ましい。
本発明において特に望ましい非水系溶媒は、含フッ素環状カーボネート(特にFEC)、EMCおよびDMCの混合溶媒である。この場合、非水系溶媒を100体積%として、EMCが20〜40体積%さらには25〜35体積%、DMCが30〜50体積%さらには35〜45体積%、残部がFECであることが好ましい。電解液の誘電率が高くなり、かつ、粘性が比較的低くなることで、電解液の導電性が高くなり、その結果、電池容量が高くなる。
<電解質塩>
電解液は、電解質塩が非水系溶媒に溶解されてなる。電解質塩としては、非水系溶媒に可溶なアルカリ金属フッ化物が好ましい。特に好ましくは、リチウムフッ化物のようなリチウムを含む塩である。具体的には、LiPF、LiBF、LiAsF、NaPF、NaBF、およびNaAsF等が好ましく、これらのうちから選ばれる少なくとも1種を用いるとよい。電解質塩の濃度は、電解質1Lに対して、0.5〜1.7mol/L程度であればよい。
<添加剤>
本発明の電解液は、添加剤として、下記一般式(1)で表される硼酸リチウム塩を含む。
Figure 2013239307
式(1)においてRおよびRは、それぞれ独立に下記一般式(1−1)〜(1−6)のいずれかで表される。
Figure 2013239307
式(1−1)〜式(1−6)において、X01〜X18は、それぞれ独立に、水素基、アルキル基、ハロゲン基またはハロゲン化アルキル基である。
硼酸リチウム塩は、式(1)で表されるように、中心元素として硼素(B)を含み、Bに酸素(O)以外の元素(ハロゲンなど)が直接結合していない。また、硼酸リチウム塩は、式(1)で表されるように、Bを共通して含む二つの環構造を有する。このような構造が本発明の電解液の添加剤として好ましい理由は、次の通りである。
式(1)において、Bに対し、−O−R−O−のかわりにハロゲン基が直接結合する場合を仮定すると、Bの電子は、電気陰性度の高いハロゲン基側に偏り、Bはわずかに正電荷を帯びる。この場合には、Bは、環構造を形成している酸素の電子を引き寄せる傾向にあり、BとOとの間で開環しやすくなっている。このような硼酸リチウム塩は、酸化還元電位が非常に高く、含フッ素環状カーボネートの還元分解に先立ち、容易に還元分解されると考えられる。
一方、式(1)で表される硼酸リチウム塩は、Bを共通して含む二つの環構造を有し、Bに他の元素(Oを除く)が直接結合していない。そのため、Bの電子の偏りは緩和される。このような硼酸リチウム塩は、還元分解されてもネットワーク構造を形成するため、熱安定性の高い被膜が得られる。
式(1−1)〜式(1−6)において、アルキル基はC2n+1で表されるが、炭素数nは1〜4、1〜3さらには1または2が好ましい。ハロゲン基およびハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲンは、周期表17族の中でもF、Cl、特にFであるのが好ま
しい。Bを共通して含む二つの環は、同じ構造であっても異なる構造であってもよいが、少なくとも一方の環が式(1−1)で表されるのが好ましい。このような硼酸リチウム塩は、具体的には、下記の式(1−I)〜式(1−X)で表され、これらのうちの化合物の一種あるいは二種以上を含むことが望ましい。
Figure 2013239307
式(1−I)および式(1−III)〜(1−X)で表されるように、式(1)においてRおよびRのうちの少なくとも一方が式(1−1)で表される硼酸リチウム塩を含むのが好ましい。これは、前述のネットワーク構造が形成されやすいためである。なかでも、式(1)においてRおよびRがいずれも式(1−1)で表されるリチウムビス(オキサレート)ボレート(式(1−I)に相当)を必須で含有するのが、特に望ましい。
上記の硼酸リチウム塩は、電解質全体を1Lとしたとき、0mol/Lを越え0.2mol/L以下、望ましくは0.03〜0.1mol/L含む。0.2mol/Lを越えると、電池の初期内部抵抗が増加するおそれがある。上記の硼酸リチウム塩は、前述の通り、還元分解されやすい化合物であり、その還元分解物は、負極活物質および正極活物質の表面全体に形成される被膜成分となる。このため、このような硼酸リチウム塩が電解液に過剰に含まれると、被膜が厚膜化して、活物質の電気抵抗増加を招くことになる。室温での充放電では、被膜の厚膜化が特に顕著となる。そのため、室温でのサイクル特性を維持するために、硼酸リチウム塩の含有割合を0.2mol/L以下さらには0.1mol/
L以下に抑えるとよい。また、上記の硼酸リチウム塩を少量でも含めば、高温での充放電におけるサイクル特性は改善されるが、0.03mol/L以上とするのが望ましい。
<リチウムイオン二次電池>
以上説明した本発明の電解液は、各種二次電池の電解液として好適に使用することができる。特に、たとえば正極としてリチウムと金属との複合酸化物、たとえば負極として珪素を含む珪素系材料、を用いるリチウムイオン二次電池が好適である。以下に、上記本発明の電解液を用いたリチウムイオン二次電池を説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る負極活物質を有する負極と、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る正極活物質を有する正極と、上記本発明の電解液と、を備える。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る材料を、使用可能である。したがって、リチウムイオンを吸蔵および放出可能である単体、合金または化合物であれば特に限定はない。たとえば、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Ti、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、SbおよびBiのうちの少なくとも一種を含む負極活物質材料が挙げられる。具体的には、Cu−Sn合金、Co−Sn合金等の錫系材料、各種黒鉛などの炭素系材料、単体珪素、SiO(0.5≦x≦1.5)などの珪素系材料が挙げられ、これらのうちの一種以上を使用可能である。特に、充放電に伴う体積変化が顕著である珪素系材料を含む負極活物質を有する負極と本発明の電解液とを組み合わせて用いることで、サイクル特性を効果的に向上させられる。
珪素系材料は、珪素を含み、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であれば特に限定はない。珪素系材料は、珪素および/または珪素化合物からなるとよく、特に、SiO(0.3≦x≦1.6)で表される珪素酸化物からなるとよい。
珪素酸化物は、Si相とSiO相とを有することが好ましい。Si相は、珪素単体からなり、Liイオンを吸蔵・放出し得る相であり、Liイオンの吸蔵・放出に伴って膨張・収縮する。SiO相は、SiOからなり、Si相の膨張・収縮を吸収する。Si相がSiO相により被覆されることで、Si相とSiO相とからなる珪素系材料を形成しているとよい。さらには、微細化された複数のSi相がSiO相により被覆されて一体となって粒子を形成しているとよい。この場合には、珪素系材料全体の体積変化を効果的に抑制することができる。
珪素系材料でのSi相に対するSiO相の質量比は、1〜3であることが好ましい。質量比が1以上であれば、珪素系材料の膨張・収縮が緩和され、珪素系材料から構成された負極活物質層に生じるクラックが抑制されるため好ましい。質量比が3以下であれば、負極活物質でのLiイオンの吸蔵・放出量が十分に行われ、高い電気容量が維持されるため好ましい。珪素系材料は、Si相とSiO相とのみから構成されていてもよい。また、珪素系材料は、Si相とSiO相とを主成分としているが、その他に、公知の活物質を含んでいてもよい。
珪素系材料の原料として、上記の珪素酸化物を含む原料粉末を用いるとよい。この場合、原料粉末中の珪素酸化物を、SiO相とSi相との二相に不均化して使用するとよい。珪素酸化物の不均化では、SiとOとの原子比が概ね1:1の均質な固体である珪素酸化物が固体内部の反応により、SiO相とSi相との二相に分離する。不均化により得られる酸化珪素粉末は、SiO相とSi相とを含む。
原料粉末の珪素酸化物の不均化は、原料粉末にエネルギーを与えることにより進行する。一例として、原料粉末を加熱する、ミリングする、などの方法が挙げられる。
原料粉末を加熱する場合、一般に、酸素を絶った状態であれば800℃以上で、ほぼすべての珪素酸化物が不均化して二相に分離すると言われている。具体的には、非結晶性の珪素酸化物粉末を含む原料粉末に対して、真空中または不活性ガス中などの不活性雰囲気中で800〜1200℃、1〜5時間の熱処理を行うことにより、非結晶性のSiO相と結晶性のSi相の二相を含む酸化珪素粉末が得られる。
原料粉末をミリングする場合には、ミリングの機械的エネルギーの一部が、原料粉末の固相界面における化学的な原子拡散に寄与し、酸化物相と珪素相などを生成する。ミリングでは、原料粉末を、真空中、アルゴンガス中などの不活性ガス雰囲気下で、V型混合機、ボールミル、アトライタ、ジェットミル、振動ミル、高エネルギーボールミル等を使用して混合するとよい。ミリング後にさらに熱処理を施すことで、珪素酸化物の不均化をさらに促進させてもよい。また、珪素酸化物を含む原料粉末は、黒鉛粉末などの炭素系材料とともにミリングされてもよい。
上記の負極活物質は、集電体の少なくとも表面を被覆する負極活物質層を構成する。一般的に、負極は、負極活物質層で集電体を被覆することで形成される。集電体は、たとえば、銅や銅合金などの金属製のメッシュや多孔質体、金属箔などを用いるとよい。
負極活物質層には、前記負極活物質の他に、結着剤、導電助剤等を含むのが望ましい。
結着剤は、特に限定されるものではなく、既に公知のものを用いればよい。たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂など高電位においても分解しない樹脂を用いることができる。結着剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:結着剤=1:0.05〜1:0.5であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤としては、リチウムイオン二次電池の電極で一般的に用いられている材料を用いればよい。たとえば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック(炭素質微粒子)、炭素繊維などの導電性炭素材料を用いるのが好ましく、導電性炭素材料の他にも、導電性有機化合物などの既知の導電助剤を用いてもよい。これらのうちの1種を単独でまたは2種以上を混合して用いるとよい。導電助剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.5であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると電極材の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
リチウムイオン二次電池に用いられる正極は、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る正極活物質を有する。正極は、集電体と、正極活物質を有し集電体の表面を被覆する正極活物質層とからなるとよい。正極活物質は、結着剤および/または導電助剤とともに正極材を構成するとよい。導電助剤および結着剤は、特に限定はなく、リチウムイオン二次電池で使用可能なものであればよい。
正極活物質としては、LiCoO、LiNiCoMn(0<p<1、0+p<q<1−p、0+(p+q)<r<1−(p+q))、LiMnO、LiMnO、LiNiMn(0<s<1、0+s<t<1−s)、LiFePO、LiFeSO、を基本組成とするリチウム含有金属酸化物あるいはそれぞれを1種または2種以上含む固溶体材料などが挙げられる。いずれの金属酸化物も上記を基本組成とす
ればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換した化合物も使用可能である。また、正極活物質として、充放電における電解質イオンとなるリチウムを含まない正極活物質材料、たとえば硫黄単体(S)、ポリアクリロニトリル(PAN)などの有機化合物にSを導入した硫黄変性化合物やTiSなどの金属硫化物、ポリアニリン、共役二酢酸系有機物などを用いることもできる。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極および/または負極に、公知の方法により、予め電解質イオンを添加させておく必要がある。
正極集電体は、金属製のメッシュや多孔質体、金属箔などを採用することができるが、目的に応じた形状であれば特に限定されない。集電体は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼など、リチウムイオン二次電池の正極で一般的に使用されるものであればよい。
バインダー樹脂および導電助剤は上記の負極で記載したものと同様のものが使用できる。なお、正極活物質、結着剤および導電助剤の配合割合は、従来のリチウムイオン二次電池に倣って設定すればよい。
通常、活物質およびバインダー樹脂に、必要に応じて導電助剤および適量の有機溶剤を加えて混合し、スラリーにしたものを、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの方法で集電体上に塗布し、バインダー樹脂を硬化させることによって電極を作製することができる。活物質の種類によってはこの限りではなく、シート状の硫黄変性化合物であれば、そのまま正極活物質層として集電体に圧着して正極としてもよい。
セパレータは、必要に応じて用いられる。セパレータは、正極と負極とを分離し電解液を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
正極および負極に必要に応じてセパレータを挟装させ電極体とする。正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後に電極体に非水電解液を含浸させてリチウムイオン二次電池とするとよい。
リチウムイオン二次電池の形状は、特に限定なく、円筒型、積層型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
このようなリチウムイオン二次電池は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を行えばよい。ただし、本発明の電解液に含まれる含フッ素環状カーボネートおよび特定の構造を有する硼酸リチウム塩は、1.6〜1.7V付近で被膜が生成される。そのため、Liの酸化還元電位を基準電位としたときに、リチウムイオン二次電池の充放電の電圧範囲を、2〜4.5Vさらには2.25〜4.25Vで行うとよい。
リチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、たとえば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池は、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。
以上、本発明の電解液およびリチウムイオン二次電池の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、本発明の電解液の実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
非水電解液の特性を評価するために、電解液の種類が異なる四種類のリチウムイオン二次電池を作製し、電池のサイクル特性を測定した。
(電解液の調製)
非水系溶媒として、環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)およびフルオロエチレンカーボネート(FEC)、鎖状カーボネートであるエチルメチルカーボネート(EMC)およびジメチルカーボネート(DMC)、を準備した。添加剤として、LiBOBを準備した。また、電解質としてLiPFを準備した。ECまたはFECとEMCとDMCとを所定の体積割合で混合した非水系溶媒に、LiPF、さらに必要に応じてLiBOBを溶解させて電解液を得た。LiPFは、電解液1Lに対して1mol/Lとなるように調製した。LiBOBは、電解液1Lに対して0.05mol/Lとなるように調製した。各電解液の配合を、表1に示した。電解液4が、本発明の非水電解液に相当する。
Figure 2013239307
(電池1)
負極活物質として、熱処理により不均化された珪素酸化物粉末(シグマアルドリッチジャパン株式会社製SiO(xは0.3〜1.6)、平均粒径5μm)および塊状人造黒鉛粉末(MAG:粒径20μm以下)の混合粉末を準備した。
負極活物質としての上記の珪素酸化物粉末(SiO)および上記の黒鉛粉末(MAG)と、導電助剤としてのケッチェンブラック(KB)と、結着剤としてのポリアミドイミド(PAI)と、を混合し、溶媒を加えてスラリー状の混合物を得た。溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた。SiOとMAGとKBとPAIとの質量比は、SiO/MAG/KB/PAI=32/50/8/10であった。
次に、スラリー状の混合物を、ドクターブレードを用いて集電体である銅箔の片面に成膜し、所定の圧力でプレスし、200℃、2時間加熱し、放冷した。これにより、負極活物質を含む負極活物質層が集電体表面に固定されてなる負極が形成された。
次に、正極活物質としての複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、を混合してスラリーとなし、このスラリーを集電体としてのアルミニウム箔の片面に塗布し、プレスし、焼成した。複合酸化物とABとPVDFとの質量比は、複合酸化物/AB/PVDF=88/6/6とした。これにより、正極活物質を含む正極活物質層が集電体表面に固定されてなる正極を得た。
正極と負極との間に、セパレータとしてのポリプロピレン多孔質膜を挟み込んだ。この正極、セパレータおよび負極からなる電極体を複数積層した。2枚のアルミニウムフィルムの周囲を、一部を除いて熱溶着することにより封止して、袋状とした。袋状のアルミニ
ウムフィルムの中に、積層された電極体を入れ、さらに、「電解液1」を入れた。
その後、真空引きしながら、アルミニウムフィルムの開口部分を完全に気密に封止した。このとき、正極側および負極側の集電体の先端を、フィルムの端縁部から突出させ、外部端子に接続可能とし、リチウムイオン二次電池(電池1)を得た。電池1に25℃で初期充放電を行うコンディショニング処理を行った。
(電池2)
電池2は、電解液1のかわりに電解液2を使用したことを除いて、電池1と同様の構成とした。電池作製後、電池1と同様の条件でコンディショニング処理を施した。
(電池3)
電池3は、電解液1のかわりに電解液3を使用したことを除いて、電池1と同様の構成とした。電池作製後、電池1と同様の条件でコンディショニング処理を施した。
(電池4)
電池4は、電解液1のかわりに電解液4を使用したことを除いて、電池1と同様の構成とした。電池作製後、電池1と同様の条件でコンディショニング処理を施した。
なお、電解液の評価を異なる温度条件で行うために、電池1〜4は、それぞれ二つずつ準備した。
(サイクル試験)
電池1〜4の充放電サイクル試験を行った。サイクル試験は、室温(25℃)および高温(55℃)で行った。サイクル試験の充電条件を1Cで4.2VまでのCC(定電流)充電とし、放電条件を1Cで2.5VまでのCC放電とした。コンディショニング処理後の最初の充放電を1サイクル目とし、500サイクル目まで同様の充放電を繰り返し行った。そして、1サイクル目の放電容量に対する各サイクルでの放電容量を「放電容量維持率(%)」として計算した。その結果を、図1および図2に示した。
電解液1を用いた電池1のサイクル特性は、室温では100サイクルを越えてから容量維持率が大きく低下した。しかし、電池1の高温でのサイクル特性は、500サイクル目まで70%以上の容量維持率を示した。電解液3を用いた電池3のサイクル特性は、室温では、電池1よりも向上したが、高温では電池1と同程度であった。また、電池3の室温でのサイクル特性は、200サイクルあたりから容量維持率が大きく低下した。電池3に用いられた電解液3は、電解液1にLiBOBを添加したものである。LiBOBの添加は、室温で見られた急激な放電容量維持率の低下を抑制することはできず、また、高温時のサイクル特性の向上を期待できないことがわかった。
電解液2は、電解液1に含まれるECをFECに変更した非水系溶媒を用いた電解液である。電解液2を用いた電池2の室温におけるサイクル特性は、四種類の電池のうち最も優れていた。これは、室温においては、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴う負極活物質の体積変化に追従できる、柔軟なFEC由来の被膜が充放電の初期段階に負極活物質表面に形成され、負極活物質と電解液とが接触することで生じる電解液の劣化を何サイクルにも渡って長期に抑制することができるためである。しかし、電池2の高温におけるサイクル特性は、四種類の電池のうち最も劣っていた。高温においては、FEC由来の被膜が電解液に溶融することで電解液が劣化し、さらにはFECの劣化に伴いHFが発生すると推察される。そのため、電池2は、LiBOBを含む電解液3を用いた電池3はもちろんのこと、電解液にLiBOBを含まず被膜が形成されにくい電池1よりも、サイクル特性が低下したと推察される。
電解液2にLiBOBを添加した電解液4を用いた電池4は、室温でのサイクル特性は電池2に劣ったが、電池1や電池3で生じた放電容量維持率の急激な低下が抑制され、優れた二次電池であった。また、電池4は、電池2に比べて、高温におけるサイクル特性が大きく向上した。これは、少量のLiBOBの添加により、LiBOB由来の被膜が負極活物質表面に形成され、FEC由来の被膜の性能劣化が補われたためであると推察される。室温でのサイクル特性の低下は、負極活物質表面に形成されるLiBOB由来の被膜に起因すると考えられるが、添加量が0.05mol/Lと少量であるため、室温におけるサイクル特性が大きく低下することはなく、高く維持された。なお、電解液4において、LiBOBの添加量が0.03〜0.07mol/Lであれば、図1および図2と同等の結果が得られると推察される。
すなわち、FECのような含フッ素環状カーボネートを多く含む非水系溶媒を用いた電解液に対して、LiBOBOのような硼酸リチウム塩を少量添加した電解液は、室温においても高温においてもサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られる電解液であることがわかった。

Claims (10)

  1. 非水系溶媒と、該非水系溶媒に溶解させた電解質塩と、を含む電解液であって、
    前記非水系溶媒は、該非水系溶媒を100体積%としたときに、少なくとも1つのフッ素を含有する含フッ素環状カーボネートを10体積%以上含み、
    さらに添加剤として、前記電解質全体を1Lとしたとき、下記一般式(1)で表される硼酸リチウム塩の一種以上を0mol/Lを越え0.2mol/L以下含むことを特徴とする電解液。
    Figure 2013239307
    式(1)においてRおよびRは、それぞれ独立に下記一般式(1−1)〜(1−6)のいずれかで表される。
    Figure 2013239307
    式(1−1)〜(1−6)において、X01〜X18は、それぞれ独立に、水素基、アルキル基、ハロゲン基またはハロゲン化アルキル基である。
  2. 前記硼酸リチウム塩を0.03〜0.1mol/L含む請求項1に記載の電解液。
  3. 前記硼酸リチウム塩は、式(1)においてRおよびRがいずれも式(1−1)で表されるリチウムビス(オキサレート)ボレートを含有する請求項1または2に記載の電解液。
  4. 前記非水系溶媒は、該非水系溶媒全体を100体積%としたときに前記含フッ素環状カーボネートを15〜40体積%含む請求項1〜3のいずれかに記載の電解液。
  5. 前記非水系溶媒は、さらに、鎖状カーボネートを含む請求項1〜4のいずれかに記載の電解液。
  6. 前記含フッ素環状カーボネートは、環状構造を構成する1以上の炭素に少なくとも1つのフッ素が結合した構造を有する請求項1〜5のいずれかに記載の電解液。
  7. 前記非水系溶媒は、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(フルオロエチレンカーボネート)を含む請求項1〜6のいずれかに記載の電解液。
  8. 前記非水系溶媒は、前記フルオロエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、およびジメチルカーボネートからなる請求項7に記載の電解液。
  9. リチウムイオンを吸蔵・放出し得る負極活物質を有する負極と、リチウムイオンを吸蔵・放出し得る正極活物質を有する正極と、請求項1〜8のいずれかに記載の電解液と、を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  10. 前記負極活物質は、珪素を含む珪素系材料を含む請求項9に記載のリチウムイオン二次電池。
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