JP6739737B2 - 正極材料、負極材料、リチウムイオン二次電池用正極、リチウムイオン二次電池用負極、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン二次電池用電解液、リチウムイオン二次電池用電極スラリー - Google Patents
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Description
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明の第一態様の正極材料は、正極活物質と、この正極活物質を被覆する下記一般式(1)および下記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材と、を含む材料である。
正極活物質としては、LiMnO2、LixMn2O4(0<x<2)等の層状構造を持つマンガン酸リチウムまたはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoO2、LiNiO2またはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Co1.5O4等のリチウム遷移金属酸化物;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの等が挙げられる。特に、LiαNiβCoγAlδO2(1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)またはLiαNiβCoγMnδO2(1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6、γ≦0.2)が好ましい。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
被覆材は、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる。被覆材を構成するポリマーは、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位以外に、(メタ)アクリレート、フッ化アルキル等の構成単位を含んでいてもよい。
また、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーは、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するコポリマー、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するランダムコポリマーであってもよい。
また、本実施形態の正極材料では、上記一般式(1)におけるn、すなわち、上記一般式(1)で表される構成単位の数は1〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。
また、本実施形態の正極材料では、上記一般式(1)で表される構成単位の分子量が、重量平均分子量で1000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。
また、本実施形態の正極材料では、上記一般式(2)におけるl、すなわち、上記一般式(2)で表される構成単位の数は1〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。
また、本実施形態の正極材料では、上記一般式(2)で表される構成単位の分子量が、重量平均分子量で1000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。
被覆材の厚みが、上記の下限以上であれば、サイクル特性を高められる。一方、被覆材の厚みが、上記の上限以下であれば、イオンの伝達の出入りを妨げ難く、レート特性を高められる。
被覆材の量が、上記の下限以上であれば、サイクル特性を高められる。一方、被覆材の量が、上記の上限以下であれば、イオンの伝達の出入りを妨げ難く、レート特性を高められる。
上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の配合量が、上記の下限以上であれば、サイクル特性を高められる。一方、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の配合量が、上記の上限以下であれば、イオンの伝達の出入りを妨げ難く、レート特性を高められる。
本発明の第二態様の負極材料は、負極活物質と、この負極活物質を被覆する上記一般式(1)または上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材と、を含む材料である。
負極活物質として、例えば、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る炭素材料(a)、リチウムと合金可能な金属(b)、リチウムイオンを吸蔵、放出し得る金属酸化物(c)等を用いることができる。
また、金属酸化物(c)は、金属(b)を構成する金属の酸化物であることが好ましい。
また、金属酸化物(c)の電気伝導性を向上させる観点から、金属酸化物(c)に、窒素、ホウ素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の元素を、例えば0.1質量%〜5質量%添加してもよい。
炭素材料(a)は、炭素材料(a)、金属(b)および金属酸化物(c)の合計に対し、2質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜30質量%であることが好ましい。
金属(b)は、炭素材料(a)、金属(b)および金属酸化物(c)の合計に対し、5質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜50質量%であることが好ましい。
金属酸化物(c)は、炭素材料(a)、金属(b)および金属酸化物(c)の合計に対し、5質量%〜90質量%であることが好ましく、40質量%〜70質量%であることが好ましい。
被覆材は、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる。被覆材を構成するポリマーは、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位以外に、(メタ)アクリレート、フッ化アルキル等の構成単位を含んでいてもよい。
また、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーは、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するコポリマー、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するランダムコポリマーであってもよい。
また、本実施形態の負極材料では、上記一般式(1)におけるn、すなわち、上記一般式(1)で表される構成単位の数は1〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。
また、本実施形態の負極材料では、上記一般式(1)で表される構成単位の分子量が、重量平均分子量で1000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。
また、本実施形態の負極材料では、上記一般式(2)におけるl、すなわち、上記一般式(2)で表される構成単位の数は1〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。
また、本実施形態の負極材料では、上記一般式(2)で表される構成単位の分子量が、重量平均分子量で1000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。
被覆材の厚みが、上記の下限以上であれば、サイクル特性を高められる。一方、被覆材の厚みが、上記の上限以下であれば、イオンの伝達の出入りを妨げ難く、レート特性を高められる。
被覆材の量が、上記の下限以上であれば、サイクル特性を高められる。一方、被覆材の量が、上記の上限以下であれば、イオンの伝達の出入りを妨げ難く、レート特性を高められる。
本実施形態の負極材料の製造方法では、上記の負極活物質と、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種とを、溶媒に投入し、撹拌して均一に分散させ、上述の負極材料の原料スラリーを調製する。
上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の配合量が、上記の下限以上であれば、サイクル特性を高められる。一方、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の配合量が、上記の上限以下であれば、イオンの伝達の出入りを妨げ難く、レート特性を高められる。
本発明の第三態様のリチウムイオン二次電池用正極(以下、「正極」と略すこともある。)は、正極集電体と、この正極集電体上に形成された正極活物質層と、を備え、正極活物質層は、上述の正極材料を含有する。
本実施形態の正極では、例えば、正極活物質層が正極集電体を覆うように形成される。正極活物質層は、上述の正極材料と正極用結着剤を含有し、正極用結着剤によって、正極集電体に正極材料が結着されている。
正極用結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。これらの中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。
正極集電体としては、電気化学的な安定性から、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、およびそれらの合金が好ましい。正極集電体の形状は、特に制限されず、例えば、箔、平板状、メッシュ状等が挙げられる。
正極活物質を含む正極活物質層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
正極の作製方法としては、例えば、正極集電体上に、正極材料と正極用結着剤を含む正極活物質層を形成する方法が挙げられる。
正極活物質層は、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法等によって形成することができる。
また、予め正極活物質層を任意の支持体上に形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を正極活物質層の上に形成して、この薄膜を正極集電体としてもよい。薄膜は、例えば、CVD法、スパッタリング法等によって形成することができる。
本発明の第四態様のリチウムイオン二次電池用正極(以下、「正極」と略すこともある。)は、正極集電体と、この正極集電体上に形成され、正極活物質を含む正極活物質層と、を備え、正極活物質層は、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材で被覆されている。
本実施形態の正極では、例えば、被覆材が、正極活物質層の表面を覆うように形成される。正極活物質層は、上述の正極活物質と正極用結着剤を含有し、正極用結着剤によって、正極集電体に正極活物質が結着されている。
正極用結着剤としては、上記の正極用結着剤と同様のものを用いることができる。
正極集電体としては、上記の正極集電体と同様のものを用いることができる。
正極の作製方法としては、例えば、正極集電体上に、正極活物質と正極用結着剤を含む正極活物質層を形成し、その正極活物質層の表面を、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材で被覆する方法が挙げられる。
正極活物質層は、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法等によって形成することができる。
また、予め正極活物質層を任意の支持体上に形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を正極活物質層の上に形成して、この薄膜を正極集電体としてもよい。薄膜は、例えば、CVD法、スパッタリング法等によって形成することができる。
塗膜は、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法等によって形成することができる。
本発明の第五態様のリチウムイオン二次電池用負極(以下、「負極」と略すこともある。)は、負極集電体と、この負極集電体上に形成された負極活物質層と、を備え、負極活物質層は、上述の負極材料を含有する。
本実施形態の負極では、例えば、負極活物質層が負極集電体を覆うように形成される。負極活物質層は、上述の負極材料と負極用結着剤を含有し、負極用結着剤によって、負極集電体に負極材料が結着されている。
負極用結着剤としては、上記の正極用結着剤と同様のものを用いることができる。これらの中でも、ポリイミドまたはポリアミドイミドが、結着性が強いため、好ましい。
負極集電体としては、上記の正極集電体と同様のものを用いることができる。
負極の作製方法としては、例えば、負極集電体上に、負極材料と負極用結着剤を含む負極活物質層を形成する方法が挙げられる。
負極活物質層は、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法等によって形成することができる。
また、予め負極活物質層を任意の支持体上に形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を負極活物質層の上に形成して、この薄膜を負極集電体としてもよい。薄膜は、例えば、CVD法、スパッタリング法等によって形成することができる。
本発明の第六態様のリチウムイオン二次電池用負極(以下、「負極」と略すこともある。)は、負極集電体と、この負極集電体上に形成され、負極活物質を含む負極活物質層と、を備え、負極活物質層は、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材で被覆されている。
本実施形態の負極では、例えば、被覆材が、負極活物質層の表面を覆うように形成される。負極活物質層は、上述の負極活物質と負極用結着剤を含有し、負極用結着剤によって、負極集電体に負極活物質が結着されている。
負極用結着剤としては、上記の負極用結着剤と同様のものを用いることができる。
負極集電体としては、上記の負極集電体と同様のものを用いることができる。
負極の作製方法としては、例えば、負極集電体上に、負極活物質と負極用結着剤を含む負極活物質層を形成し、その負極活物質層の表面を、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材で被覆する方法が挙げられる。
負極活物質層は、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法等によって形成することができる。
また、予め負極活物質層を任意の支持体上に形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を負極活物質層の上に形成して、この薄膜を負極集電体としてもよい。薄膜は、例えば、CVD法、スパッタリング法等によって形成することができる。
塗膜は、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法等によって形成することができる。
本発明の第七態様のリチウムイオン二次電池は、上述のリチウムイオン二次電池用正極と、上述のリチウムイオン二次電池用負極と、非水系溶媒およびリチウム塩を含む電解液と、を備える。
各正極1が有する正極集電体1Aは、正極活物質に覆われていない端部で互いに溶接されて電気的に接続され、さらにその溶接箇所に正極リードタブ1Bが溶接されている。各負極2が有する負極集電体2Aは、負極活物質に覆われていない端部で互いに溶接されて電気的に接続され、さらにその溶接箇所に負極リードタブ2Bが溶接されている。
本実施形態における電解液に含まれる非水系溶媒は、支持塩としてのリチウム塩を溶解可能であり、後述するフッ素含有エーテル化合物を安定に溶解可能フッ素含有エーテル化合物を安定に溶解可能な有機溶媒であることが好ましい。
このような有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、ビニレンカーボネート等の炭酸エステル化合物;前記炭酸エステル化合物の任意の水素原子のうち少なくとも1個がフッ素原子で置換された、モノフルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素含有炭酸エステル化合物;γ−ブチロラクトン等のラクトン化合物;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステル化合物;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;スルホラン等のスルホン化合物が挙げられる。前記有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態における電解液に含まれるリチウム塩としては、公知のリチウムイオン二次電池で使用されているリチウム塩を用いることができる。リチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ素リチウム(LiBF4)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(SO2CF3)2、LiTFSI)等が挙げられる。リチウム塩は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態における電解液は、下記一般式(3)で表されるフッ素含有エーテル化合物を含むことが好ましい。
R3で表されるフルオロアルキル基を構成する炭素数は、非水系溶媒中における溶解性を高める観点から、3〜6であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3または4であることがさらに好ましい。
R3で表されるフルオロアルキル基を構成する水素原子のうち、少なくとも6個はフッ素原子で置換されている。R3で表されるフルオロアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されていてもよいが、R3は少なくとも1個の水素原子を有することが好ましい。
上記一般式(4)中、X8〜X10のうちいずれか1個または2個が水素原子であることが好ましく、X8〜X10のうちいずれか1個が水素原子であることがより好ましい。
本実施形態における電解液は、非水系溶媒、リチウム塩、およびフッ素含有エーテル化合物以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、任意成分が配合されていてもよい。
任意成分は、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
本実施形態における電解液は、任意成分として、下記一般式(6)で表されるホウ素系化合物を含有してもよい。
上記一般式(6)のR5がアルケニル基である場合、リチウムイオン二次電池の充放電に伴う容量低下を低減する観点から、ビニル基、1−プロペニル基または2−プロペニル基(アリル基)であることが好ましく、ビニル基またはアリル基であることがより好ましく、ビニル基であることがさらに好ましい。
R6で表されるアルキル基を構成する炭素数は、非水系溶媒中における溶解性を高める観点から、1〜3であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
本実施形態における電解液に含まれる上記一般式(6)で表されるホウ素系化合物は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
セパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる多孔質フィルムや不織布、またはそれらを積層した積層体が挙げられる。
外装体は、電解液に安定で、かつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば特に限定されない。
例えば、積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池の場合、外装体としては、アルミニウム、シリカをコーティングしたポリプロピレン、ポリエチレン等のラミネートフィルムを用いることができる。特に、体積膨張を抑制する観点から、アルミニウムラミネートフィルムを用いることが好ましい。
本発明の第八態様のリチウムイオン二次電池用電解液(以下、「電解液」と略すこともある。)は、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含む非水系溶媒と、リチウム塩と、を含有する。
非水系溶媒としては、上記の非水系溶媒と同様のものが用いられる。
また、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーは、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するジブロックポリマー、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するトリブロックコポリマー、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するテトラブロックコポリマーであってもよい。
また、本実施形態の電解液では、上記一般式(1)におけるn、すなわち、上記一般式(1)で表される構成単位の数は1〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。
また、本実施形態の電解液では、上記一般式(1)で表される構成単位の分子量が、重量平均分子量で1000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。
また、本実施形態の正極材料では、上記一般式(2)におけるl、すなわち、上記一般式(2)で表される構成単位の数は1〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。
また、本実施形態の正極材料では、上記一般式(2)で表される構成単位の分子量が、重量平均分子量で1000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。
リチウム塩としては、上記のリチウム塩と同様のものが用いられる。
本実施形態の電解液は、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含む非水系溶媒およびリチウム塩以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、上記の任意成分が配合されていてもよい。
本実施形態の電解液の調製方法は、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種、非水系溶媒およびリチウム塩、並びに、フッ素含有エーテル化合物、必要に応じて添加する任意成分を混合し、各成分を均一に溶解または分散できる方法であればよく、公知の電解液と同様に調製することができる。
本発明の第九態様のリチウムイオン二次電池用電極スラリー(以下、「電極スラリー」と略すこともある。)は、電極活物質と、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種と、を含む。
本実施形態の電極スラリーは、上述の正極材料の原料スラリーまたは負極材料の原料スラリーとして用いられる。
電極活物質としては、上記の正極活物質または負極活物質が用いられる。
また、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーは、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するジブロックポリマー、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するトリブロックコポリマー、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するテトラブロックコポリマーであってもよい。
本実施形態の電極スラリーでは、上記一般式(1)におけるn、すなわち、上記一般式(1)で表される構成単位の数は1〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。
また、本実施形態の電極スラリーでは、上記一般式(1)で表される構成単位の分子量が、重量平均分子量で1000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。
また、本実施形態の電解液では、上記一般式(2)におけるl、すなわち、上記一般式(2)で表される構成単位の数は1〜100であることが好ましく、10〜50であることがより好ましい。
また、本実施形態の電解液では、上記一般式(2)で表される構成単位の分子量が、重量平均分子量で1000〜50000であることが好ましく、5000〜30000であることがより好ましい。
上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の配合量が、上記の下限以上であれば、サイクル特性を高められる。一方、上記一般式(1)および上記一般式(2)で表される構成単位の少なくともいずれか一方を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の配合量が、上記の上限以下であれば、イオンの伝達の出入りを妨げ難く、レート特性を高められる。
図1に示す構造を有する積層ラミネート型のリチウムイオン二次電池を作製した。
アルミニウム箔からなる正極集電体1A上に形成され、スピネル型LiNi0.5Mn1.5O4を含む正極活物質層に、下記式(8)で表わされるポリマー(式中、n1=26、n2=30)を溶解した溶液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を真空加熱オーブンにて120℃で3時間加熱乾燥させ、溶媒洗浄することで正極1を作製した。正極集電体1Aの両面に形成され、スピネル型LiNi0.5Mn1.5O4を含む正極活物質層に、下記式(8)で表わされるポリマー(式中、n1=26、n2=30)を溶解した溶液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥させて、両面電極も同様に作製した。下記式(8)で表わされるポリマーのEC/DEC溶液(ポリマー5wt%、ECとDECの体積比30:70)に正極を浸漬後、真空操作を二度行った後、加熱乾燥と洗浄をすることで、正極活物質層への均一な塗工をおこなった。
SiOおよびポリアミック酸を含むスラリーを、銅箔からなる負極集電体2A上に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥させて、負極2を作製した。作製した負極は窒素雰囲気下でアニールし、バインダを硬化させた。
表1に示す各成分を括弧内の最終濃度となるように混合し、電解液を調製した。すなわち、非水系溶媒であるエチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)を30:70の体積比で含む溶媒に、支持塩として、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を最終濃度1モル/リットルとなるように溶解した電解液を調製した。
上記方法で作製した正極および負極を成形した後、多孔質のフィルムセパレータを挟んで積層し、Al板からなる正極リードタブ1BおよびNi板からなる負極リードタブ2Bを各々溶接することで電池要素を作製した。この電池要素をアルミラミネートフィルムからなる外装体4で包み、三方(三辺)を熱融着により封止した後、上記電解液を適度な真空度にて含浸させた。その後、減圧下にて残りの一方(一辺)を熱融着封止し、活性化処理前のリチウムイオン二次電池を作製した。
作製した活性化処理前のリチウムイオン二次電池について、正極活物質1gあたり20 mAの電流で4.5Vまで充電し、同じく正極活物質1gあたり20 mAの電流で1.5Vまで放電するサイクルを2回繰り返した。その後、一旦、封口部(封止)を破り、減圧することで電池内部のガスを抜き、再び封止することにより、本発明に掛かる実施例1のリチウムイオン二次電池を作製した。
電解液に、非水系溶媒であるエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)、および、添加剤である1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルジフルオロメチルエーテルを27:68:5の体積比で含む溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明にかかる実施例2のリチウムイオン二次電池を作製した。
SiOおよびポリアミック酸を含むスラリーを、銅箔からなる負極集電体2A上に塗布して負極活物質層を形成し、その負極活物質層に、下記式(9)で表わされるポリマー(式中、n1=33、n2=34)を溶解した溶液を塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥させて、負極1を作製した。
また、電解液に、非水系溶媒であるエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)、および、添加剤である1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロピルジフルオロメチルエーテルを27:68:5の体積比で含む溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明にかかる実施例3のリチウムイオン二次電池を作製した。
正極を作製する際に、上記式(8)で表わされるポリマーを用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のリチウムイオン二次電池を作製した。
正極を作製する際に、上記式(8)で表わされるポリマーを用いなかったこと以外は、実施例2と同様にして、比較例2のリチウムイオン二次電池を作製した。
上記方法で作製したリチウムイオン二次電池を、45℃の恒温槽中、正極活物質1gあたり40mAの定電流で4.5Vまで充電し、さらに正極活物質1gあたり5mAの電流になるまで4.5Vの定電圧で充電を続けた。その後、正極活物質1gあたり5mAの電流で1.5Vまで放電し、初期容量を求めた。さらに初期容量測定後のリチウムイオン電池について、45℃の恒温槽中で、正極活物質1gあたり40mAの定電流で4.5Vまで充電し、さらに正極活物質1gあたり5mAの電流になるまで4.5Vの定電圧で充電を続け、その後、正極活物質1gあたり40mAの電流で1.5Vまで放電する充放電サイクルを100回繰り返した。そして、1サイクル目で得られた初期容量(単位:mAh/g)と50,100サイクル目で得られた放電容量(単位:mAh/g)の比から、各サイクル後の容量維持率を求めた。
上記評価の結果を表2に示す。表2中の「サイクル数」は、充放電サイクルの繰り返しの回数(サイクル目)を表し、「容量維持率」は、(所定のサイクル目の放電容量(mAh/g))/(1サイクル目の放電容量(mAh/g))(単位:%)を表す。
サイクル試験前のリチウムイオン二次電池の重さをA(g)、サイクル試験前のリチウムイオン二次電池を25℃の水に浸漬した場合の重さをA´(g)、サイクル試験後のリチウムイオン二次電池の重さをB(g)、サイクル試験後のリチウムイオン二次電池を25℃の水に浸漬した場合の重さをB´(g)とする。リチウムイオン二次電池から発生したガスの発生量(g)は、下記式(α)に基づいて算出した。
ガスの発生量=(B−B´)−(A−A´) (α)
結果を表3に示す。
また、実施例1〜実施例3のリチウムイオン二次電池は、比較例1および比較例2のリチウムイオン二次電池よりもガスの発生量が少ないことが分かった。
Claims (10)
- 正極活物質と、該正極活物質を被覆する下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材と、を含むことを特徴とする正極材料。
- 負極活物質と、該負極活物質を被覆する下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材と、を含むことを特徴とする負極材料。
- 正極集電体と、該正極集電体上に形成された正極活物質層と、を備え、
前記正極活物質層は、請求項1に記載の正極材料を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。 - 正極集電体と、該正極集電体上に形成され、正極活物質を含む正極活物質層と、を備え、
前記正極活物質層は、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材で被覆されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。
- 負極集電体と、該負極集電体上に形成された負極活物質層と、を備え、
前記負極活物質層は、請求項2に記載の負極材料を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。 - 負極集電体と、該負極集電体上に形成され、負極活物質を含む負極活物質層と、を備え、
前記負極活物質層は、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種からなる被覆材で被覆されたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
- 請求項3または4に記載のリチウムイオン二次電池用正極および請求項5または6に記載のリチウムイオン二次電池用負極のうちの少なくとも一方と、非水系溶媒およびリチウム塩を含む電解液と、を備えたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
- 下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種を含む非水系溶媒と、リチウム塩と、を含有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用電解液。
- 電極活物質と、該電極活物質を被覆するための下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリマーからなる群から選択される少なくとも1種と、を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極スラリー。
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