JP2009037988A - リチウム電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】正極層の電気抵抗を確実に低下させることで、容量を大きくしたリチウム電池を提供する。
【解決手段】リチウムを吸蔵・放出する正極層および負極層と、これらの層の間でリチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備えるリチウム電池である。このリチウム電池は、正極層に含有される正極層活物質がMnO2-δである。ここで、δは、酸素欠損量を示す値である。酸素欠損を有する二酸化マンガン(MnO2-δ)を正極活物質とすることで、正極活物質の導電性が向上するため、正極層の電気抵抗を低くすることができる。従って、この正極活物質を使用してリチウム電池を作製した場合、リチウム電池の内部抵抗を低減することができ、その結果、リチウム電池の容量を向上させることができる。
【選択図】なし
【解決手段】リチウムを吸蔵・放出する正極層および負極層と、これらの層の間でリチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備えるリチウム電池である。このリチウム電池は、正極層に含有される正極層活物質がMnO2-δである。ここで、δは、酸素欠損量を示す値である。酸素欠損を有する二酸化マンガン(MnO2-δ)を正極活物質とすることで、正極活物質の導電性が向上するため、正極層の電気抵抗を低くすることができる。従って、この正極活物質を使用してリチウム電池を作製した場合、リチウム電池の内部抵抗を低減することができ、その結果、リチウム電池の容量を向上させることができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、正極活物質に高い導電性を持たせることで電池容量を向上させたリチウム電池に関する。
リチウム電池は、負極集電体上に負極層(負極層が負極集電体を兼ねる場合もある)を形成した負極積層体と、正極集電体上に正極層を形成した正極積層体と、両電極の間に介在される電解質層とを有する。
このようなリチウム電池の正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)など種々の物質が知られているが、これら正極活物質は、総じて導電性が低い。そのため、正極活物質がリチウム電池の内部抵抗となって、電池の容量を下げてしまう。このような問題点を解決するために、従来から正極層に導電助剤を含有させて、正極層全体の導電性を高める試みがなされている(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、正極層の導電性を向上させるために導電助剤を使用した正極層では、リチウム電池の内部抵抗を十分に低減できない虞があった。
導電助剤を含む正極層は、短時間で効率的に形成できるという理由で、スクリーン印刷などの湿式法を使用して形成することが一般的であるが、湿式法では、正極層中に導電助剤を均等に分散させることが難しい。正極層における導電助剤の分散が不十分だと、正極層の導電性が所望の値に達しないので、リチウム電池の内部抵抗が高い状態のままとなる虞がある。なお、気相堆積法などの乾式法により導電助剤と正極活物質とを含有する正極層を形成することもできるが、気相堆積法も、湿式法よりはましなものの、やはり導電助剤の分散に偏りが生じやすい。
そこで、本発明の目的の一つは、正極層の電気抵抗を確実に低下させることで、容量を大きくしたリチウム電池を提供することにある。
本発明は、正極活物質として酸素欠損を生じさせた二酸化マンガン(MnO2-δ)を使用することで上記の目的を達成する。
本発明は、リチウムを吸蔵・放出する正極層および負極層と、これらの層の間でリチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備えるリチウム電池である。このリチウム電池は、正極層に含有される正極層活物質がMnO2-δであることを特徴とする。なお、δは、酸素欠損量を示す値である。
酸素欠損を有する二酸化マンガン(MnO2-δ)を正極活物質とすることで、正極活物質の導電性が向上するため、正極層の電気抵抗を低くすることができる。従って、この正極活物質を使用してリチウム電池を作製した場合、リチウム電池の内部抵抗を低減することができ、その結果、リチウム電池の容量を向上させることができる。
ここで、例えば、特開2002-145618号公報や特開2003-128421号公報には、正極活物質として一般的なマンガン酸リチウム(LiMn2O4)に酸素欠損が生じると、電池の性能が低下することが記載されている。そのため、正極活物質に酸素欠損を生じさせると、電池の性能が低下するとの認識があった。ところが、本発明者らが検討した結果、MnO2において酸素欠損を生じさせ、導電性を向上させたMnO2-δを正極活物質として使用した場合、電池の性能が低下することなく電池容量を大きくできることが明らかとなった。
上記本発明の正極活物質の材料として使用するMnO2は、正極活物質として優れた特性を発揮するものであり、非常に安価で入手が容易である。また、MnO2は、二元系化合物であるので酸素欠損を生じさせることも比較的簡単であり、例えば、MnO2の結晶をN2ガスフロー中でアニールすることでMnO2-δを作製することができる。すなわち、正極活物質に導電性を付与するにあたって、MnO2を使用すると、低コストで生産性よくリチウム電池を作製することができる。
また、本発明の一形態として、MnO2-δの酸素欠損の度合いを規定するδを0超、0.15未満とすることが挙げられる。ここで、δが、大きすぎると二酸化マンガンの結晶構造が崩れて、正極活物質として機能しなくなる虞がある。特に、δが0.15程度から二酸化マンガンの結晶構造が不安定になり、0.30では崩壊する虞がある。
本発明の一形態として、正極層は、酸素欠損により導電性を付与された正極活物質に加えて、さらに、導電助剤を含有することが好ましい。正極層は、導電助剤を含有することで、さらに電気抵抗が小さくなる。
本発明の一形態として、正極層は、スクリーン印刷法、ゾル−ゲル法、溶融法、インクジェット法、塗布法などの湿式法で形成されていることが挙げられる。湿式法は、非常に短時間で比較的厚い膜を容易に形成することができるので、正極層の生産性を向上させることができる。ここで、既に述べたように、本発明のリチウム電池は、正極活物質自体が高い導電性を有するので、正極層における正極活物質の分散が多少不十分であっても、高い容量を確保することができる。
本発明リチウム電池の構成によれば、正極活物質自体に高い導電性を付与することで、正極層の電気抵抗を低くすることができる。従って、本発明のリチウム電池によれば、リチウム電池の内部抵抗が低いので、容量の大きなリチウム電池とすることができる。また、リチウム電池に使用する正極活物質の原料が、安価に入手可能で、しかも酸素欠損を生じさせることが容易な二酸化マンガンであるので、生産性の高いリチウム電池とすることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
≪リチウム電池の全体構成≫
本実施の形態におけるリチウム電池は、集電機能を有する正極集電体層と負極集電体層、活物質を含有する正極層と負極層、および、正・負極間のリチウムイオンの移動を媒介する電解質層とを備えることを基本構成とする。通常、いずれの層も薄膜状に形成されている。このうち、正極層と負極層は、電池を平面視した場合に、互いに重複する箇所がある積層構造の場合でもよいし、重複する箇所がない構造でもよい。前者の場合、電池の面積を小さくしやすい。この電池の代表例は、ほぼ同じ大きさの正極積層体と負極積層体を重ね合わせたボタン型電池である。一方、電池を平面視した場合に両電極層に重複する箇所のない後者の場合、電解質層の厚さ方向にピンホールが生じていても、両電極層間の短絡を抑制しやすい。このような電極の構成としては、正極層と負極層とを各々櫛歯状に形成して、互いに櫛歯が嵌め合わされるように並列することが挙げられる。
≪リチウム電池の全体構成≫
本実施の形態におけるリチウム電池は、集電機能を有する正極集電体層と負極集電体層、活物質を含有する正極層と負極層、および、正・負極間のリチウムイオンの移動を媒介する電解質層とを備えることを基本構成とする。通常、いずれの層も薄膜状に形成されている。このうち、正極層と負極層は、電池を平面視した場合に、互いに重複する箇所がある積層構造の場合でもよいし、重複する箇所がない構造でもよい。前者の場合、電池の面積を小さくしやすい。この電池の代表例は、ほぼ同じ大きさの正極積層体と負極積層体を重ね合わせたボタン型電池である。一方、電池を平面視した場合に両電極層に重複する箇所のない後者の場合、電解質層の厚さ方向にピンホールが生じていても、両電極層間の短絡を抑制しやすい。このような電極の構成としては、正極層と負極層とを各々櫛歯状に形成して、互いに櫛歯が嵌め合わされるように並列することが挙げられる。
≪各構成部材≫
[正極集電体層]
正極集電体としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、これらの合金、ステンレスから選択される1種が好適に利用できる。正極集電体は、絶縁体上に金属膜として形成すれば良い。金属膜からなる集電体は、例えば、PVD法やCVD法により形成することができる。特に、所定のパターンに金属膜(集電体)を形成する場合、適宜なマスクを用いることで、絶縁体上に、容易に所定のパターンの集電体を形成することができる。
[正極集電体層]
正極集電体としては、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、これらの合金、ステンレスから選択される1種が好適に利用できる。正極集電体は、絶縁体上に金属膜として形成すれば良い。金属膜からなる集電体は、例えば、PVD法やCVD法により形成することができる。特に、所定のパターンに金属膜(集電体)を形成する場合、適宜なマスクを用いることで、絶縁体上に、容易に所定のパターンの集電体を形成することができる。
[正極層]
正極層は、リチウムイオンの吸蔵及び放出を行う正極活物質を含む層である。本発明では、MnO2に酸素欠損を生じさせたMnO2-δを正極活物質として使用する。MnO2に酸素欠損を生じさせることで、正極活物質の導電性が向上するため、δは、0超であれば良い。逆に、δが大きくなり過ぎると、MnO2の結晶構造が壊れてしまう虞がある。好ましい、δの値は、0.15未満である。
正極層は、リチウムイオンの吸蔵及び放出を行う正極活物質を含む層である。本発明では、MnO2に酸素欠損を生じさせたMnO2-δを正極活物質として使用する。MnO2に酸素欠損を生じさせることで、正極活物質の導電性が向上するため、δは、0超であれば良い。逆に、δが大きくなり過ぎると、MnO2の結晶構造が壊れてしまう虞がある。好ましい、δの値は、0.15未満である。
MnO2に酸素欠損を生じさせるには、MnO2の結晶に含まれるMnの一部を還元すれば良い。Mnの一部を還元すると、MnO2結晶のO2-の位置に空孔が生じ、酸素欠損が生じたMnO2の結晶、すなわち、MnO2-δが生成する。酸素欠損が生じた結晶では、結晶の電気的な中性を保つために結晶に電子が導入され、この電子が電子伝導を担うので、導電性が向上する。
正極層は、さらに導電助剤を含んでいることが好ましい。導電助剤は、高導電性の粒子であり、例えば、アセチレンブラックといったカーボンブラック、天然黒鉛、熱膨張黒鉛、炭素繊維、酸化ルテニウム、酸化チタン、アルミニウムやニッケルなどの金属繊維からなるものを利用できる。
上述した正極層の形成方法としては、気相堆積法や湿式法(代表的にはスクリーン印刷法や塗布法)などを利用することができる。ここで、正極層は、リチウム電池の高容量化を実現するために、後述する負極層に比べて厚く形成されることがある。そのため、正極層を形成する方法として、湿式法、特にスクリーン印刷法を使用することが好ましい。スクリーン印刷法は、比較的厚膜の正極層を短時間で形成できるので、正極層の生産性を向上できる。
また、湿式法を使用する場合、活物質を含有するスラリーに結着剤を含有させて、このスラリーを正極集電体上に塗布したときに、スラリーが液だれしないようにすることが好ましい。結着剤は、塗布したスラリーが固まって正極層が形成された後も、正極層中に残るので、結着剤として、電子伝導性の良いものを使用することが好ましい。このようにすることにより、正極層の電気抵抗、すなわち、リチウム電池の内部抵抗が低下して、電池としたときの電池特性が向上する。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)や、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などを使用することができる。
[負極集電体層]
負極集電体としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、及びこれらの合金から選択される1種が好適に利用できる。これらの金属は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しないため、リチウムとの金属間化合物による不具合、具体的には、充放電による膨張・収縮によって、後述する負極層との接合性が低下して負極層が負極集電体から脱落し易くなるといった不具合を防止できる。なお、負極集電体(金属膜)も、正極の場合と同様に、PVD法やCVD法で形成することができる。
負極集電体としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、及びこれらの合金から選択される1種が好適に利用できる。これらの金属は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しないため、リチウムとの金属間化合物による不具合、具体的には、充放電による膨張・収縮によって、後述する負極層との接合性が低下して負極層が負極集電体から脱落し易くなるといった不具合を防止できる。なお、負極集電体(金属膜)も、正極の場合と同様に、PVD法やCVD法で形成することができる。
[負極層]
負極層は、リチウムイオンの吸蔵及び放出を行う負極活物質を含む層で構成する。例えば、負極層として、Li金属及びLi金属と合金を形成することのできる元素よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物又は合金が好適に使用できる。Liと合金を形成することのできる元素としては、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、及びインジウム(In)よりなる群より選ばれる少なくとも一つ(以下、合金化材料という)が良い。具体的な負極層の例として、例えば、Li−Al、Li−Mn−Al、Si、Si−N、Si−Co、Si−Feなどが挙げられる。なお、負極層は、正極層と同様に導電助剤を含んでいても良いし、負極層を塗布法で作製するのであれば結着剤を含んでいても良い。
負極層は、リチウムイオンの吸蔵及び放出を行う負極活物質を含む層で構成する。例えば、負極層として、Li金属及びLi金属と合金を形成することのできる元素よりなる群より選ばれる1つ、若しくはこれらの混合物又は合金が好適に使用できる。Liと合金を形成することのできる元素としては、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、錫(Sn)、ビスマス(Bi)、及びインジウム(In)よりなる群より選ばれる少なくとも一つ(以下、合金化材料という)が良い。具体的な負極層の例として、例えば、Li−Al、Li−Mn−Al、Si、Si−N、Si−Co、Si−Feなどが挙げられる。なお、負極層は、正極層と同様に導電助剤を含んでいても良いし、負極層を塗布法で作製するのであれば結着剤を含んでいても良い。
このような元素を含有した負極層は、負極層自体に集電体としての機能を持たせることができ、かつリチウムイオンの吸蔵・放出能力が高く好ましい。特に、シリコン(Si)はリチウムを吸蔵・放出する能力がグラファイト(黒鉛)よりも大きく、電池のエネルギー密度を高くすることができる。
また、負極層としてLi金属との合金相を用いることで、Li金属と合金化した合金化材料とLiイオン伝導性の固体電解質層との界面でのLiイオンの移動抵抗が低減される効果があり、第1サイクル目の充電初期における合金化材料の高抵抗化が緩和される。
さらに、合金化材料の金属単体を負極層とした場合には、第1サイクル目の充放電サイクルにおいて、充電容量に対して放電容量が大幅に小さくなる問題があるが、予めLi金属と合金化材料とを合金化した負極層材料を用いることにより、この不可逆容量は殆どなくなる。このことにより、正極活物質量を不可逆容量分だけ余分に充填する必要がなくなり、リチウム電池の容量密度を向上させることができる。
上述した負極層の形成方法は、気相堆積法が好ましい。その他、負極層は、プレスあるいは電気化学的手法により形成しても良いし、塗布法を使用して形成しても良い。
[電解質層]
電解質層は、正・負極間でリチウムイオンの伝導を媒介する層である。電解質層には、有機電解液やイオン液体などを使用した液体状の電解質と、リチウムイオン伝導性のガラスなどで構成した固体状の電解質を使用したものがある。これら電解質層に要求される特性は、リチウムイオン伝導性が高く、導電性が低いことである。具体的な数値としては、リチウムイオン伝導性が、10-4S/cm以上、導電性が10-8S/cm以下であることが好ましい。
電解質層は、正・負極間でリチウムイオンの伝導を媒介する層である。電解質層には、有機電解液やイオン液体などを使用した液体状の電解質と、リチウムイオン伝導性のガラスなどで構成した固体状の電解質を使用したものがある。これら電解質層に要求される特性は、リチウムイオン伝導性が高く、導電性が低いことである。具体的な数値としては、リチウムイオン伝導性が、10-4S/cm以上、導電性が10-8S/cm以下であることが好ましい。
〔液体状の電解質層〕
電解質層に使用する有機電解液は、有機溶媒にリチウム含有塩を溶解したものである。有機溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などが挙げられ、これらを単独あるいは混合して溶媒とする。リチウム含有塩としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2Nなどが挙げられる。
電解質層に使用する有機電解液は、有機溶媒にリチウム含有塩を溶解したものである。有機溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などが挙げられ、これらを単独あるいは混合して溶媒とする。リチウム含有塩としては、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO2)2Nなどが挙げられる。
一方、電解質層にイオン液体を使用する場合は、有機カチオンとアニオンとの組み合わせからなるイオンのみからなるイオン液体に、リチウム含有塩を溶解したものを使用する。
有機カチオンとしては、ジアルキルイミダゾリウムカチオン『DI+』、トリアルキルイミダゾリウムカチオン『TI+』等のイミダゾリウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオン、ジアルキルピロリジニウムイオン、ジアルキルピペリジニウムイオンの少なくとも一種が挙げられる。
特に、ジアルキルイミダゾリウムイオンの中でも、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン『EMI+』が好ましい。また、トリアルキルイミダゾリウムイオンの中では、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン『DMPI+』が好ましい。また、テトラアルキルアンモニウムイオンとしては、ジメチルエチルメトキシアンモニウムイオン『DMEMA+』が望ましい。さらに、アルキルピリジニウムイオンとしては、1−ブチルピリジニウムイオン『BP+』、ジアルキルピロリジニウムイオンとしては、メチルプロピルピロリジニウムイオン『Py13 +』、ジアルキルピペリジニウムイオンとしては、メチルプロピルピペリジニウムイオン『PP13 +』が好ましい。
これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、PF6 -、PF3(C2F5)3 -、PF3(CF3)3 -、BF4 -、BF2(CF3)2 -、BF3(CF3)-、C(CF3SO2)3 -、ビスオキサラトホウ酸アニオン『BOB-』、Tf-、Nf-、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン『FSI-』、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオン『TFSI-』、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォニル)イミドアニオン『BETI-』、ジシアノアミドアニオン『DCA-』などを用いることができる。
実際に使用するイオン液体としては、例えば、『DI・BF4』、『DI・C(CF3SO2)3』、『DI・PF6』、『TI・C(CF3SO2)3』、『EMI・BF4』、『EMI・C(CF3SO2)3』、『DMPI・C(CF3SO2)3』、『EMI・FSI』、『PP13・TFSI』等を挙げることができる。中でも、『DI・BF4』、『DI・C(CF3SO2)3』及び『TI・C(CF3SO2)3』は、イオン伝導性、化学安定性及び電気化学安定性に優れている。
なお、これらのイオン液体は、単独で用いてもよく、2種類以上混合して用いてもよい。また、電解質層溶液には、有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒を添加することで電解質層の粘度の調整が容易にでき、しかも電解質層の導電率の向上が期待できる。
イオン液体に溶解させるリチウム含有塩(電解質)は、カチオンがリチウムイオンであるリチウム塩を用いる。リチウムイオンのカウンターとなるアニオンとしては、塩化物アニオン『Cl-、ClO4 -』、臭化物アニオン『Br-』、ヨウ化物アニオン『I-』、フッ化物アニオン『BF4 -、PF6 -、CF3SO3 -、BETI-、TFSI-、C(CF3SO2)3 -』、『BOB-』、『DCA-』よりなる群から選択される1種類もしくは2種類以上からなる塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
《セパレータ》
液体状の電解質層を用いて積層タイプのリチウム電池を作製する場合、正・負極間の短絡を防止するセパレータを使用する。セパレータとしては、イオンの透過性に優れ、機械的強度のある絶縁性薄膜を用いることができる。セパレータ材料としては、耐非水電解質性からポリプロピレンやポリエチレンといったポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニレンテレフタレートといったポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ガラス繊維、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース等が挙げられる。セパレータ形状としては、シート、微孔膜、不織布等が用いられる。
液体状の電解質層を用いて積層タイプのリチウム電池を作製する場合、正・負極間の短絡を防止するセパレータを使用する。セパレータとしては、イオンの透過性に優れ、機械的強度のある絶縁性薄膜を用いることができる。セパレータ材料としては、耐非水電解質性からポリプロピレンやポリエチレンといったポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニレンテレフタレートといったポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ガラス繊維、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、セルロース等が挙げられる。セパレータ形状としては、シート、微孔膜、不織布等が用いられる。
〔固体状の電解質層〕
固体電解質としては、リチウム(Li)、リン(P)、イオウ(S)を含有するものや、さらに酸素(O)を含有するものなどを使用すれば良い。特に、正極層側と負極層側とでそれぞれ組成の異なる2層以上の構造とし、各極と固体電解質層との間の界面抵抗を低くすることもできる。例えば、正極層上に、Li-P-S-NやLi-P-O-Nなどからなるアモルファス膜、あるいは多結晶膜を形成し、負極層上に、Li-P-S-Oなどからなるアモルファス膜、あるいは多結晶膜を形成する。
固体電解質としては、リチウム(Li)、リン(P)、イオウ(S)を含有するものや、さらに酸素(O)を含有するものなどを使用すれば良い。特に、正極層側と負極層側とでそれぞれ組成の異なる2層以上の構造とし、各極と固体電解質層との間の界面抵抗を低くすることもできる。例えば、正極層上に、Li-P-S-NやLi-P-O-Nなどからなるアモルファス膜、あるいは多結晶膜を形成し、負極層上に、Li-P-S-Oなどからなるアモルファス膜、あるいは多結晶膜を形成する。
なお、固体電解質にイオン液体を含浸させて電解質層を構成しても良い。イオン液体は、既に述べたものを使用すれば良い。ここで、固体電解質に含浸させるイオン液体は、リチウム含有塩を含んでいても良いし、含んでいなくても良い。固体電解質にイオン液体を含浸させることで、固体電解質のリチウムイオン伝導度を高めることができる。
以上の構成を備えるリチウム電池によれば、正極活物質が導電性を有するため、電池の内部抵抗を低減することができる。また、正極活物質自身が、導電性を有するため、正極層における正極活物質や導電助剤の分散が十分でないことによる正極層の電気抵抗の増加を抑制することができる。そのため、リチウム電池の内部抵抗を低く抑えることができるので、容量の高い電池とすることができる。
以下、実施の形態において説明した構成のリチウム電池を作製し、電池の容量を測定することで、電池の性能を評価した。
<実施例1>
本例では、絶縁性の基材上に、正極集電体層、正極層、固体電解質層、負極層、負極積層体層を順次積層した、いわゆる積層タイプのリチウム電池を作製した。なお、この電池では、固体電解質層にピンホールが生じた場合の正・負極間の短絡を防止するために固体電解質層にイオン液体を含浸させており、後述する試験例において、電池の容量に対する酸素欠損量の影響を正確に測定できるようにした。
本例では、絶縁性の基材上に、正極集電体層、正極層、固体電解質層、負極層、負極積層体層を順次積層した、いわゆる積層タイプのリチウム電池を作製した。なお、この電池では、固体電解質層にピンホールが生じた場合の正・負極間の短絡を防止するために固体電解質層にイオン液体を含浸させており、後述する試験例において、電池の容量に対する酸素欠損量の影響を正確に測定できるようにした。
まず、気相堆積法により、絶縁性を有するポリフェニレンサルファイド製の基材上に正極集電体層を形成した。正極集電体層は、Niから構成される薄膜であり、その厚さは、0.2μmであった。
正極活物質としてMnO2粉末を用意した。そして、このMnO2粉体を、400℃窒素雰囲気中でアニールして、MnO2結晶の一部を還元して、MnO2-δを作製した。本例のδは、0.01であった。つまり、MnO2結晶の酸素原子量を1000としたとき、MnO2-δ結晶の酸素原子量は995である。
上記のようにして作製したMnO2-δ粉末を20重量部と、導電助剤としてカーボンブラックを5重量部と、結着剤としてPVdFを21重量部とをN-メチルピロリドン(NMP)溶液中で混合し、スラリーを調整した。得られたスラリーをNi箔からなる集電体に塗布し、乾燥後、プレスすることにより集電体上に正極層を形成した。正極層の厚さは、100μmであった。
次に、正極層の上に、気相堆積法により固体電解質層を形成した。固体電解質層は、Li2SとP2S5とから構成され、その厚さは10μmであった。また、固体電解質層におけるLiとPのモル比(Li/P)は、2.0とした。
続いて、固体電解質層の上に、気相堆積法により負極層を形成した。負極層は、Liから構成され、その厚さは5μmであった。
負極層の上に、気相堆積法によりさらに負極集電体層を形成した。負極集電体層は、Ni薄膜であり、その厚さは0.2μmであった。
最後に、上述のようにして作製した積層体の固体電解質層にイオン液体を染み込ませて、この積層体を外挿材で覆うことでリチウム電池を完成させた。イオン液体は、カチオンとしてEMI+、アニオンとしてFSI-を使用したイオン液体に、リチウム含有塩であるLiTFSIを0.35mol/kgの濃度となるように溶解させたものを使用した。なお、リチウム電池は、正・負極の集電体から端子を取れるようにしてある。
<実施例2>
実施例2では、酸素欠損量の指標であるδを0.05としたリチウム電池を作製した。なお、MnO2の結晶をN2ガスフロー中で酸素ゲッターの金属Vや金属Zrと共にアニールすることでδの値を大きくすることができる。本例の電池は、δの値が異なる以外は、実施例1と同様である。
実施例2では、酸素欠損量の指標であるδを0.05としたリチウム電池を作製した。なお、MnO2の結晶をN2ガスフロー中で酸素ゲッターの金属Vや金属Zrと共にアニールすることでδの値を大きくすることができる。本例の電池は、δの値が異なる以外は、実施例1と同様である。
<実施例3>
実施例3では、酸素欠損量の指標であるδを0.14としたリチウム電池を作製した。本例の電池は、δの値が異なる以外は、実施例1と同様である。
実施例3では、酸素欠損量の指標であるδを0.14としたリチウム電池を作製した。本例の電池は、δの値が異なる以外は、実施例1と同様である。
<比較例1>
比較例1では、酸素欠損のないMnO2を正極活物質として使用し、リチウム電池を作製した。本例の電池は、酸素欠損がない以外は、実施例1と同様である。
比較例1では、酸素欠損のないMnO2を正極活物質として使用し、リチウム電池を作製した。本例の電池は、酸素欠損がない以外は、実施例1と同様である。
<比較例2>
比較例2では、酸素欠損量の指標であるδを0.20としたリチウム電池を作製した。本例の電池は、δの値が異なる以外は、実施例1と同様である。
比較例2では、酸素欠損量の指標であるδを0.20としたリチウム電池を作製した。本例の電池は、δの値が異なる以外は、実施例1と同様である。
<試験例>
上述した実施例1〜3と比較例1,2のリチウム電池について、初期容量を測定した。測定した容量は、0.1mAの一定電流で放電して、電圧が1Vまで低下したときの容量である。この測定結果を表1に示す。
上述した実施例1〜3と比較例1,2のリチウム電池について、初期容量を測定した。測定した容量は、0.1mAの一定電流で放電して、電圧が1Vまで低下したときの容量である。この測定結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜3のリチウム電池は、比較例1,2の電池に比べて、いずれも初期容量が極めて大きかった。これは、酸素欠損により正極活物質の導電性が向上したことにより、リチウム電池の内部抵抗が減少したためと考えられる。これに対して、比較例1のリチウム電池は、酸素欠損がないため、正極活物質の導電性が低く、リチウム電池の内部抵抗が高いため、容量が低くなったと考えられる。また、比較例2のリチウム電池は、酸素欠損量が大きすぎて、正極活物質の結晶構造が壊れてしまったため、電池の容量が低くなったと推察される。実際に、充放電操作を行った比較例2の電池の正極活物質をX線構造解析した結果、結晶構造が崩壊していることが明らかになった。
なお、本発明は上述の実施の形態に何ら限定されることはない。即ち、上述した実施の形態に記載のリチウム電池の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
本発明リチウム電池は、携帯電子機器の電源として好適に利用可能である。
Claims (4)
- 正極層と、負極層と、これら両層の間でリチウムイオンの伝導を媒介する電解質層とを備えるリチウム電池であって、
前記正極層に含有される正極活物質は、MnO2-δであることを特徴とするリチウム電池。
但し、δは、酸素欠損量を示す値である。 - 前記δは、0超、0.15未満であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池。
- 前記正極層は、スクリーン印刷法などの湿式法で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム電池。
- 正極層は、さらに導電助剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム電池。
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CN111640920A (zh) * | 2020-05-22 | 2020-09-08 | 大连海事大学 | 一种室温调控氧化物材料缺陷量的方法及其在水系电池中的应用 |
CN116462244A (zh) * | 2023-06-19 | 2023-07-21 | 浙江帕瓦新能源股份有限公司 | 改性三元锂电正极材料及前驱体、制备方法、锂离子电池 |
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2007
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CN116462244A (zh) * | 2023-06-19 | 2023-07-21 | 浙江帕瓦新能源股份有限公司 | 改性三元锂电正极材料及前驱体、制备方法、锂离子电池 |
CN116462244B (zh) * | 2023-06-19 | 2023-09-05 | 浙江帕瓦新能源股份有限公司 | 改性三元锂电正极材料及前驱体、制备方法、锂离子电池 |
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