以下に添付図面を参照して、印刷制御装置、印刷制御システム、印刷制御方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る画像形成システムの構成について図1を用いて説明する。本実施の形態においては、画像形成システムは、プリンタ制御装置(DFE:Digital Front End)50(以下、「DFE50」という。)と、インタフェースコントローラ(MIC:Mechanism I/F Controller)60(以下、「MIC60」という。)と、プリンタ機70と、後処理機としてグロッサ80及び低温定着機90とが接続されて構成される。DFE50は、MIC60を介してプリンタ機70と通信を行い、プリンタ機70での画像の形成を制御する。また、DFE50には、PC(Personal Computer)等のホスト装置10が接続され、DFE50は、ホスト装置10から画像データを受信して、当該画像データを用いて、プリンタ機70がCMYKの各トナー及びクリアトナーに応じたトナー像を形成するための画像データを生成してこれをMIC60を介してプリンタ機70に送信する。プリンタ機70には、CMYKの各トナーとクリアトナーとが少なくとも搭載されており、各トナーに対して感光体、帯電器、現像器及び感光体クリーナを含む作像ユニット、露光器及び定着機が各々搭載されている。
なお、プリンタ機70と、グロッサ80および低温定着機90とで印刷装置30を構成している。
ここで、クリアトナーとは、色材を含まない透明な(無色の)トナーである。なお、透明(無色)とは、例えば、透過率が70%以上であることを示す。
プリンタ機70は、MIC60を介してDFE50から送信された画像データに応じて、露光器から光ビームを照射して各トナーに応じたトナー像を感光体上に形成して、これを記録媒体としての用紙に転写しこれを定着機によって所定の範囲内の温度(通常温度)での加熱及び加圧で定着させる。これによって用紙に画像が形成される。このようなプリンタ機70の構成については周知であるため、ここでその詳細な説明を省略する。なお、用紙は記録媒体の一例であり、記録媒体としてはこれに限定されるものではない。例えば、記録媒体として、合成紙やビニール紙等も適用することができる。
グロッサ80は、DFE50から指定されるオンオフ情報によりオン又はオフが制御され、オンにされた場合に、プリンタ機70により用紙に形成された画像を高温及び高圧で加圧し、その後、冷却して本体から画像が形成された用紙を剥離する。これにより用紙に形成された画像全体において所定以上のトナーが付着した各画素のトナーの総付着量は均一に圧縮される。低温定着機90には、クリアトナー用の感光体、帯電器、現像器および感光体クリーナを含む作像ユニット、露光器及び当該クリアトナーを定着させるための定着機が搭載されており、低温定着機90を用いるためにDFE50が生成した後述のクリアトナー版の画像データ(以下、「クリアトナー版データ」という場合もある。)が入力される。低温定着機90は、当該低温定着機90が用いるためのクリアトナー版データ(クリアトナー版データ)をDFE50が生成した場合にはこれを用いてクリアトナーによるトナー像を形成して、グロッサ80が加圧した用紙上に当該トナー像を重ねて、定着機によって通常よりも低い加熱または加圧で用紙に定着させる。
ここで、ホスト装置10から入力される画像データ(原稿データ)について説明する。ホスト装置10では、予めインストールされた画像処理アプリケーションにより画像データが生成されて、DFE50に送信される。このような画像処理アプリケーションでは、RGB版やCMYK版などの各色版における各色の濃度の値(濃度値という)を画素毎に規定した画像データに対して、特色版の画像データを取り扱うことが可能である。特色版とは、CMYKやRGBなどの基本的なカラーの他に、白、金、銀といった特殊なトナーやインクを付着させるための画像データであり、このような特殊なトナーやインクを搭載したプリンタ向けのデータである。特色版は色再現性を向上させるためにCMYKの基本カラーにRを追加することや、RGBの基本カラーにYを追加することもある。通常、クリアトナーも特色の1つとして取り扱われていた。
本実施の形態では、この特色としてのクリアトナーを、用紙に付与する視覚的または触覚的な効果である表面効果を形成するため、および、用紙に、上記表面効果以外のウォータマークやテクスチャ等の透明画像を形成するために用いる。
このため、ホスト装置10の画像処理アプリケーションは、入力された画像データに対して、有色版の画像データ(以下、「有色版データ」という場合もある。)の他、特色版の画像データとして、ユーザの指定により、光沢制御版の画像データ(以下、「光沢制御版データ」という場合もある。)および/またはクリア版の画像データ(以下、「クリア版データ」という場合もある。)とを生成する。
ここで、有色版データとは、画素毎にRGBやCMYK等の有色の濃度値を規定した画像データである。この有色版データでは、ユーザによる色の指定により、1画素を8ビットで表現される。図2は、有色版データの一例を示す説明図である。図2において、「A」、「B」、「C」等の描画オブジェクトごとにユーザが画像処理アプリケーションで指定した色に対応する濃度値が付与される。
また、光沢制御版データとは、用紙に付与する視覚的または触覚的な効果である表面効果に応じたクリアトナーを付着させる制御を行うため、当該表面効果の与えられる領域および当該表面効果の種類を特定した画像データである。
この光沢制御版は、RGBやCMYK等の有色版と同様に画素毎に8ビットで「0」〜「255」の範囲の濃度値で表され、この濃度値に、表面効果の種類が対応付けられる(濃度値は16ビットや32ビット、または0〜100%で表してもよい)。また、同一の表面効果を与えたい範囲には実際に付着するクリアトナーの濃度と関係なく同一の値が設定されるため、領域を示すデータがなくとも必要に応じて画像データから容易に領域が特定できる。即ち、光沢制御版によって、表面効果の種類と、表面効果を与える領域とが表される(領域を表すデータを別途付与しても良い)。
ここで、ホスト装置10は、ユーザが画像処理アプリケーションにより指定した描画オブジェクトに対する表面効果の種類を、描画オブジェクトごとに光沢制御値としての濃度値として設定してベクタ形式の光沢制御版データを生成する。
この光沢制御版データを構成する各画素は、有色版データの画素に対応する。尚、各画像データにおいては各画素の表す濃度値が画素値となる。また、有色版データ及び光沢制御版データは共にページ単位で構成される。
表面効果の種類としては、大別して、光沢の有無に関するものや、表面保護や、情報を埋め込んだ透かしや、テクスチャなどがある。光沢の有無に関する表面効果については、図3に例示されるように、大別して4種類あり、光沢の度合い(光沢度)の高い順に、鏡面光沢(PG:Premium Gloss)、ベタ光沢(G:Gloss)、網点マット(M:Matt)及びつや消し(PM:Premium Matt)等の各種類がある。これ以降、鏡面光沢を「PG」、ベタ光沢を「G」、網点マットを「M」、つや消しを「PM」と呼ぶ場合がある。
鏡面光沢やベタ光沢は、光沢を与える度合いが高く、逆に、網点マットやつや消しは、光沢を抑えるためのものであり、特に、つや消しは、通常の用紙が有する光沢度より低い光沢度を実現するものである。同図中において、鏡面光沢はその光沢度Gsが80以上、べた光沢は一次色あるいは二次色のなすベタ光沢度、網点マットは一次色、かつ網点30%の光沢度、つや消しは光沢度10以下を表している。また、光沢度の偏差をΔGsで表し、10以下とした。このような表面効果の各種類に対して、光沢を与える度合いが高い表面効果に高い濃度値が対応付けられ、光沢を抑える表面効果に低い濃度値が対応付けられる。その中間の濃度値には、透かしやテクスチャなどの表面効果が対応付けられる。透かしとしては、例えば、文字や地紋などが用いられる。テクスチャは、文字や模様を表すものであり、視覚的効果の他、触覚的効果を与えることが可能である。例えば、ステンドグラスのパターンをクリアトナーによって実現することができる。表面保護は、鏡面光沢やベタ光沢で代用される。尚、処理対象の画像データによって表される画像のどの領域に表面効果を与えるのかやその領域にどの種類の表面効果を与えるのかについては、画像処理アプリケーションを介してユーザにより指定される。画像処理アプリケーションを実行するホスト装置10では、ユーザにより指定された領域を構成する描画オブジェクトについて、ユーザが指定した表面効果に対応する濃度値がセットされることにより、光沢制御版データが生成される。濃度値と表面効果の種類との対応関係については後述する。
図4は、光沢制御版データの一例を示す説明図である。図4の光沢制御版の例では、ユーザにより、描画オブジェクト「ABC」に表面効果「PG(鏡面光沢)」が付与され、描画オブジェクト「(長方形の図形)」に表面効果「G(ベタ光沢)」が付与され、描画オブジェクト「(円形の図形)」に表面効果「M(網点マット)」が付与された例を示している。なお、各表面効果に設定された濃度値は、後述の濃度値選択テーブル(図6参照)で、表面効果の種類に対応して定められた濃度値である。
クリア版データとは、上記表面効果以外のウォータマークやテクスチャ等の透明画像を特定した画像データである。図5は、クリア版データの一例を示す説明図である。図5の例では、ユーザにより、ウォータマーク「Sale」が指定されている。
このように、特色版の画像データである、光沢制御版データおよびクリア版データは、ホスト装置10の画像処理アプリケーションにより、有色版データとは別のプレーンで生成される。また、有色版データ、光沢制御版データ、クリア版データの各形式は、PDF(Portable Document Format)形式が用いられるが、各版のPDFの画像データを統合して原稿データとして生成される。なお、各版の画像データのデータ形式は、PDFに限定されるものではなく、任意の形式を用いることができる。
ここで、ホスト装置10の画像処理アプリケーションは、ユーザが指定した表面効果の種類を、濃度値に変換して、光沢制御版データを生成する。かかる変換は、ホスト装置10の記憶部に予め記憶された濃度値選択テーブルを参照して行われる。濃度値選択テーブルは、表面効果の種類と、当該表面効果の種類に対応する光沢制御版の濃度値とを対応付けたテーブルデータである。図6は、濃度値選択テーブルの一例を示す図である。図6の例では、ユーザにより「PG」(鏡面光沢)が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「98%」に相当する画素値であり、「G」(ベタ光沢)が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「90%」に相当する画素値であり、「M」(網点マット)が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「16%」に相当する画素値であり、「PM」(つや消し)が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「6%」に相当する画素値である。
この濃度値選択テーブルは、DFE50で記憶している表面効果選択テーブル(後述)の同一のデータであり、ホスト装置10の制御部が所定のタイミングで表面効果選択テーブルを取得して、取得した表面効果選択テーブルから生成して(コピーして)記憶部に保存する。ここで、図6では、濃度値選択テーブルの例を簡略化して示しているが、実際は、濃度値選択テーブルは図11の表面効果選択テーブルと同一のテーブルとなっている。なお、インターネット等のネットワーク上のストレージサーバ(クラウド)に表面効果選択テーブルを保存しておき、制御部15が当該サーバから表面効果選択テーブルを取得して、取得した表面効果選択テーブルから生成(コピー)するように構成してもよい。ただし、DFE50で記憶している表面効果選択テーブルとホスト装置の記憶部に保存されている表面効果選択テーブルとは同じデータである必要がある。
具体的には、ホスト装置10の画像処理アプリケーションは、図6に示す濃度値選択テーブルを参照しながら、ユーザにより所定の表面効果が指定された描画オブジェクトの濃度値(光沢制御値)を、当該表面効果の種類に応じた値に設定することで、光沢制御版データを生成する。例えばユーザにより、図2に示した有色版データである対象画像のうち、「ABC」と表示される領域に「PG」、長方形の領域に「G」、円形の領域に「M」を与えることが指定された場合を想定する。この場合、ホスト装置10は、濃度値選択テーブルを参照して、ユーザにより「PG」が指定された描画オブジェクト(「ABC」)の濃度値を「98%」に相当する画素値に設定し、「G」が指定された描画オブジェクト(「長方形」)の濃度値を「90%」に相当する画素値に設定し、「M」が指定された描画オブジェクト(「円形」)の濃度値を「16%」に相当する画素値に設定することで、光沢制御版データを生成する。ホスト装置10で生成された光沢制御版データは、点の座標と、それを結ぶ線や面の方程式のパラメータ、および、塗り潰しや特殊効果などを示す描画オブジェクトの集合として表現されるベクタ形式のデータである。図4は、この光沢制御版データをイメージとして示した図であり、図7は、図4の光沢制御版データにおいて、描画オブジェクト、座標、濃度値との対応関係を示す図である。
ホスト装置10は、光沢制御版データと、対象画像の画像データ(有色版データ)と、クリア版データとを統合した原稿データを生成する。
そして、ホスト装置10は、この原稿データに基づいて印刷データを生成する。印刷データは、対象画像の画像データ(有色版データ)と、光沢制御版データと、クリア版データと、例えばプリンタの設定、集約の設定、両面の設定などをプリンタに対して指定するジョブコマンドとを含んで構成される。図8は、印刷データの構成例を概念的に示す模式図である。図8の例では、ジョブコマンドとして、JDF(Job Definition Format)が用いられているが、これに限られるものではない。図8に示すJDFは、集約の設定として「片面印刷・ステープル有り」を指定するコマンドである。また、印刷データは、PostScriptのようなページ記述言語(PDL)に変換されてもよいし、DFE50が対応していれば、PDF形式のままでもよい。
次に、DFE50の機能的構成について説明する。DFE50は、図9に例示されるように、レンダリングエンジン51と、si1部52と、TRC(Tone Reproduction Curve)53と、si2部54と、ハーフトーンエンジン55と、クリアプロセッシング56と、si3部57と、入力部58と、表示部59とを有する。レンダリングエンジン51と、si1部52と、TRC(Tone Reproduction Curve)53と、si2部54と、ハーフトーンエンジン55と、クリアプロセッシング56と、si3部57とは、DFE50の制御部が主記憶部や補助記憶部に記憶されている各種プログラムを実行することにより実現されるものである。si1部52、si2部54及びsi3部57はいずれも、画像データを分離する(separate)機能と、画像データを統合する(integrate)機能とを有するものである。
なお、これ以降、印刷データは、有色版データと光沢制御版データとから構成され、クリア版データは含まれていない場合を例にあげて説明するが、印刷データにクリア版データを含む構成としてもよい。
入力部58は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。表示部59は、ディスプレイ装置等の表示デバイスである。
レンダリングエンジン51には、ホスト装置10から送信された印刷データ(図8に示した印刷データ)が入力される。レンダリングエンジン51は、入力された画像データを言語解釈して、ベクタ形式で表現される画像データをラスタ形式に変換すると共に、RGB形式等で表現された色空間をCMYK形式の色空間に変換して、CMYKの各8ビットの有色版データ及び8ビットの光沢制御版データを出力する。si1部52は、CMYKの各8ビットの有色版データをTRC53に出力し、8ビットの光沢制御版データをクリアプロセッシング56に出力する。ここで、DFE50は、ホスト装置10から出力されたベクタ形式の光沢制御版データをラスタ形式の光沢制御版データに変換し、この結果、DFE50は、ユーザが画像処理アプリケーションにより指定した描画オブジェクトに対する表面効果の種類を、画素を単位として濃度値として設定して光沢制御版データを出力する。
TRC53には、si1部52を介してCMYKの各8ビットの画像データが入力される。TRC53には、入力された画像データに対してキャリブレーションにより生成された1D_LUTのガンマカーブでガンマ補正を行う。画像処理としては、ガンマ補正の他にトナーの総量規制等がある。総量規制とは記録媒体上の1画素において、プリンタ機70でのせることが可能なトナー量に限界があるため、ガンマ補正後のCMYK各8ビットの有色版データを制限する処理である。ちなみに、総量規制を越えて印刷した場合、転写不良や定着不良により画質が劣化してしまう。当実施例では関連するガンマ補正のみを取り上げて説明している。
si2部54は、TRC53でガンマ補正されたCMYKの各8ビットの有色版データを、インバースマスク(後述する)を生成するためのデータとしてクリアプロセッシング56へ出力する。ハーフトーンエンジン55には、si2部54を介してガンマ補正後のCMYKの各8ビットの有色版データが入力される。ハーフトーンエンジン55は、入力された画像データをプリンタ機70に出力するための、例えばCMYKの各2ビット等の有色版データのデータ形式に変換するハーフトーン処理を行い、ハーフトーン処理後のCMYK各2ビット等の有色版データを出力する。なお、2ビットは一例であり、これに限定されるものではない。
クリアプロセッシング56には、レンダリングエンジン51が変換した8ビットの光沢制御版データがsi1部52を介して入力されると共に、TRC53がガンマ補正を行ったCMYKの各8ビットの有色版データがsi2部54を介して入力される。
図10は、クリアプロセッシング56の機能的構成を示すブロック図である。クリアプロセッシング56は、図10に示すように、表面効果選択テーブル記憶部561と、光沢制御版記憶部562と、表面効果選択テーブル決定部564と、クリアトナー版生成部563と、用紙情報取得部565と、入出力制御部567とを主に備えている。
表面効果選択テーブル記憶部561には、用紙ごとの後述する表面効果選択テーブルが記憶される。光沢制御版記憶部562は、si1部52から入力された8ビットの光沢制御版データが記憶される。
クリアトナー版生成部563は、si1部52から入力され、光沢制御版記憶部562に記憶された光沢制御版データを用いて、後述の表面効果選択テーブルを参照して、光沢制御版データを構成する各画素の表す濃度値(画素値)に対する表面効果を判断する。そして、クリアトナー版生成部563は、当該判断に応じて、グロッサ80のオン又はオフを決定すると共に、入力されたCMYKの各8ビットの有色版データを用いてインバースマスクやベタマスクを適宜生成することにより、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナー版データを適宜生成する。そして、クリアトナー版生成部563は、表面効果の判断の結果に応じて、プリンタ機70で用いるクリアトナー版データと、低温定着機90で用いるクリアトナー版データとを適宜生成してこれらを出力すると共に、グロッサ80のオン又はオフを示すオンオフ情報を出力する。
ここで、インバースマスクとは、表面効果を与える対象の領域を構成する各画素上のCMYKのトナー及びクリアトナーを合わせた総付着量が均一になるようにするためのものである。具体的には、CMYK版の画像データにおいて当該対象の領域を構成する画素の表す濃度値を全て加算し、その加算値を所定値から差し引いた画像データがインバースマスクとなる。例えば、上述のインバースマスク1は以下の式1で表される。
Clr=100−(C+M+Y+K) 但し、Clr<0となる場合、Clr=0
・・・(式1)
式1において、Clr,C,M,Y,Kは、クリアトナー及びC,M,Y,Kの各トナーのそれぞれについて、各画素における濃度値から換算される濃度率を表すものである。即ち、式1によって、C,M,Y,Kの各トナーの総付着量にクリアトナーの付着量を加えた総付着量を、表面効果を与える対象の領域を構成する全ての画素について100%にする。なお、C,M,Y,Kの各トナーの総付着量が100%以上である場合には、クリアトナーは付着させずに、その濃度率は0%にする。これは、C,M,Y,Kの各トナーの総付着量が100%を超えている部分は定着処理により平滑化されるためである。このように、表面効果を与える対象の領域を構成する全ての画素上の総付着量を100%以上にすることで、当該対象の領域においてトナーの総付着量の差による表面の凸凹がなくなり、この結果、光の正反射による光沢が生じるのである。但し、インバースマスクには、式1以外により求められるものがあり、インバースマスクの種類は複数有り得る。
例えば、インバースマスクは、各画素にクリアトナーを均一に付着させるものであってもよい。この場合のインバースマスクは、ベタマスクともいい、以下の式2で表される。
Clr=100・・・(式2)
尚、表面効果を与える対象の画素の中でも、100%以外の濃度率が対応付けられるものがあるようにしても良く、ベタマスクのパターンは複数有り得る。
また、例えばインバースマスクは、各色の地肌露出率の乗算により求められるものであってもよい。この場合のインバースマスクは、例えば以下の式3で表される。
Clr=100×{(100−C)/100}×{(100−M)/100}×{(100−Y)/100}×{(100−K)/100}・・・(式3)
上記式3において、(100−C)/100は、Cの地肌露出率を示し、(100−M)/100は、Mの地肌露出率を示し、(100−Y)/100は、Yの地肌露出率を示し、(100−K)/100はKの地肌露出率を示す。
また、例えばインバースマスクは、最大面積率の網点が平滑性を律すると仮定した方法により求められるものであってもよい。この場合のインバースマスクは、例えば以下の式4で表される。
Clr=100−max(C,M,Y,K)・・・(式4)
上記式4において、max(C,M,Y,K)は、CMYKのうち最大の濃度値を示す色の濃度値が代表値となることを示す。
要するに、インバースマスクは、上記式1〜式4の何れかの式により表されるものであればよい。
表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている表面効果選択テーブルについて説明する。表面効果選択テーブルは、表面効果を示す光沢制御値である濃度値と当該表面効果の種類の対応関係を示すと共に、これらと、画像形成システムの構成に応じた後処理機に関する制御情報と、プリンタ機70で用いるクリアトナー版データ及び後処理機で用いるクリアトナー版データとの対応関係を示すテーブルである。
画像形成システムの構成は、様々に異なり得るが、本実施の形態においては、プリンタ機70に後処理機としてグロッサ80及び低温定着機90が接続される構成である。このため、画像形成システムの構成に応じた後処理機に関する制御情報とは、グロッサ80のオン又はオフを示すオンオフ情報となる。また、後処理機で用いるクリアトナー版データとしては、低温定着機90で用いるクリアトナー版データがある。
本実施の形態では、表面効果選択テーブル記憶部561は、用紙種類ごとに異なる表面効果選択テーブルを記憶している。本実施の形態では、用紙種類として、光沢度が高いコート紙、光沢度が中程度の普通紙、光沢度が低いマット紙の3種類あり、このため、コート紙用の表面効果選択テーブル、普通紙用のコート紙用の表面効果選択テーブル、マット紙用のコート紙用の表面効果選択テーブルが、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている。
図11は、コート紙用の表面効果選択テーブルのデータ構成を例示する図である。図12は、普通紙用の表面効果選択テーブルのデータ構成を例示する図である。図13は、マット紙用の表面効果選択テーブルのデータ構成を例示する図である。
尚、表面効果選択テーブルは、異なる画像形成システムの構成毎に、後処理機に関する制御情報と、プリンタ機70で用いるクリアトナー版1の画像データ及び後処理機で用いるクリアトナー版2の画像データと、濃度値及び表面効果の種類との対応関係を示すように構成され得るが、図11〜13では、本実施の形態に係る画像形成システムの構成に応じたデータ構成を例示している。同図に示される表面効果の種類及び濃度値の対応関係においては、濃度値の範囲毎に表面効果の各種類が対応付けられている。また、その濃度値の範囲の代表となる値(代表値)から換算される濃度の割合(濃度率)に対して2%単位で表面効果の各種類が対応付けられている。具体的には、濃度率が84%以上となる濃度値の範囲(「212」〜「255」)に対して光沢を与える表面効果(鏡面効果及びベタ効果)が対応付けられており、濃度率が16%以下となる濃度値の範囲(「1」〜「43」)に対して光沢を抑える表面効果(網点マット及びつや消し)が対応付けられている。また、濃度率が20%〜80%となる濃度値の範囲には、テクスチャや地紋透かしなどの表面効果が対応付けられている。
図11のコート紙用の表面効果選択テーブルを例にあげてより具体的に説明すると、例えば、「238」〜「255」の画素値に対しては表面効果として鏡面光沢(PM:Premium Gross)が対応付けられており、このうち、「238」〜「242」の画素値、「243」〜「247」の画素値及び「248」〜「255」の画素値の3つの範囲に対して各々異なるタイプの鏡面光沢が対応付けられている。
また、「212」〜「232」の画素値に対しては、ベタ光沢(G:Gross)が対応付けられており、このうち、「212」〜「216」の画素値、「217」〜「221」の画素値、「222」〜「227」の画素値及び「228」〜「232」の画素値の4つの範囲に対して各々異なるタイプのベタ光沢が対応付けられている。
また、「23」〜「43」の画素値に対しては、網点マット(M:Matt)が対応付けられており、このうち、「23」〜「28」の画素値、「29」〜「33」の画素値、「34」〜「38」の画素値及び「39」〜「43」の画素値の4つの範囲に対して各々異なるタイプの網点マットが対応付けられている。また、「1」〜「17」の画素値に対しては、つや消し(PM:Premium Matt)が対応付けられており、このうち、「1」〜「7」の画素値、「8」〜「12」の画素値及び「13」〜「17」の画素値の3つの範囲に対して各々異なるタイプのつや消しが対応付けられている。これらの同一の表面効果の異なるタイプはプリンタ機70や低温定着機90で使用するクリアトナー版データを求める式に違いがあり、プリンタ本体や後処理機の動作は同じである。尚、「0」の濃度値には、表面効果を与えないことが対応付けられている。
また、図11には、画素値及び表面効果に対応して、グロッサ80のオン又はオフを示すオンオフ情報と、プリンタ機70で用いるクリアトナー版1の画像データ(図1のClr−1)及び低温定着機90で用いるクリアトナー版2の画像データの内容とが各々示されている。例えば、表面効果が鏡面光沢である場合、グロッサ80をオンにすることが示されると共に、プリンタ機70で用いるクリアトナー版1の画像データは、インバースマスクを表すものであり、低温定着機90で用いるクリアトナー版2の画像データ(図1のClr−2)は、ないことが示されている。当該インバースマスクは、例えば上述した式1により求められるものである。尚、図11に示される例は、表面効果として鏡面効果が指定された領域が、画像データによって規定される領域全体に相当する場合の例である。表面効果として鏡面効果が指定された領域が、画像データによって規定される領域の一部に相当する場合の例については後述する。
また、濃度値が「228」〜「232」であり表面効果がベタ光沢である場合、グロッサ80をオフにすることが示されていると共に、プリンタ機70で用いるクリアトナー版1の画像データは、インバースマスク1であり、低温定着機90で用いるクリアトナー版2の画像データは、ないことが示されている。
尚、当該インバースマスク1は、上記式1〜式4の何れかの式により表されるものであればよい。これはグロッサ80がオフなので平滑化されるトナーの総付着量が異なるため、鏡面光沢により表面の凹凸が増え、その結果、鏡面光沢により光沢度が低いベタ光沢が得られる。また、表面効果が網点マットである場合、グロッサ80をオフにすることが示されていると共に、プリンタ機70で用いるクリアトナー版1の画像データは、ハーフトーン(網点)を表すものであり、低温定着機90で用いるクリアトナー版2の画像データは、ないことが示されている。また、表面効果がつや消しである場合、グロッサ80をオン又はオフのいずれにしても良いことが示されていると共に、プリンタ機70で用いるクリアトナー版1の画像データは、なく、低温定着機90で用いるクリアトナー版2の画像データは、ベタマスクを表すものであることが示されている。当該ベタマスクは、例えば上述の式2により求められるものである。
普通紙用の表面効果選択テーブル、マット紙用の表面効果選択テーブルは、図12、図13に示すように、鏡面光沢のタイプ、ベタ光沢のタイプ、網点マットのタイプ、つや消しのタイプが、各紙の光沢度に応じて、コート紙用の表面効果選択テーブルと異なっている。例えば、表面効果が鏡面光沢やベタ光沢の場合、用紙種類が光沢度が低い用紙ほど、クリアトナーまたは有色トナーの付着量を増加させるようなタイプに設定している。なお、網点マット、つや消しの表面効果についても、同様に、コート紙、普通紙、マット紙に応じて、タイプが異なっている。
より具体的には、コート紙用の表面効果選択テーブルでは、鏡面光沢のタイプが、濃度「98%」で「A」、濃度「96%」で「B」、濃度「94%」で「C」と登録されているのに対し(図11参照)、コート紙より光沢度の低い普通紙用の表面効果選択テーブルでは、図12に示すように、鏡面光沢のタイプが濃度「98%」および濃度「96%」で「A」、「94%」で「B」と登録されている。ここで、「A」、「B」、「C」の順に光沢度が高いものとする。また、図11〜13に示すように、鏡面光沢のタイプA,B,Cの相違により、プリンタ機70用のクリアトナー版1の画像データのインバースマスクが異なるものとなり、これにより、コート紙より光沢度の低い普通紙の場合、コート紙に設定された濃度と同じ濃度でも、高いタイプの鏡面光沢のタイプが設定されることになる。
また、さらに光沢度の低いマット紙用の表面効果選択テーブルでは、図13に示すように、濃度「98%」、「96%」、「94%」のすべてにおいて、鏡面光沢のタイプが最も光沢度の高い「A」と登録されている。
また、ベタ光沢の場合も同様に、コート紙用の表面効果選択テーブルでは、ベタ光沢のタイプが濃度「90%」で「1」、濃度「88%」で「2」、濃度「86%」で「3」、濃度「84%」で「4」、と登録されているのに対し(図11参照)、コート紙より光沢度の低い普通紙用の表面効果選択テーブルでは、図12に示すように、ベタ光沢のタイプが濃度「90%」および濃度「88%」で「1」、「86%」で「2」、「84%」で「3」と登録されている。ここで、タイプ「1」、「2」、「3」、「4」の順に光沢度が高いものとする。また、図11〜13に示すように、ベタ光沢のタイプ1,2,3,4の相違により、プリンタ機70用のクリアトナー版1の画像データのインバースマスクが異なるものとなる。
また、さらに光沢度の低いマット紙用の表面効果選択テーブルでは、図13に示すように、濃度「90%」、「88%」、「86%」、「84%」のすべてにおいて、ベタ光沢のタイプが最も光沢度の高い「1」と登録されている。
図10に戻り、用紙情報取得部565は、MIC60を介してプリンタ機70から、プリンタ機70の印刷対象の用紙の用紙情報を取得し、取得した用紙情報を、表面効果選択テーブル決定部564へ出力する。ここで、用紙情報には、用紙種類と、用紙の光沢度と、用紙の凹凸情報とが含まれる。
用紙種類は、上述のとおり、「コート紙」、「普通紙」、「マット紙」のいずれかであり、コート紙、普通紙、マット紙の順に光沢度が高い。なお、用紙種類の内容は一例であり、「コート紙」、「普通紙」、「マット紙」に限定されるものではない。用紙の光沢度は、「高光沢」、「中光沢」、「低光沢」のいずれかが指定される。用紙の凹凸情報は、平滑度を意味し、「粗い」または「細かい」が指定される。
ここで、用紙種類と、用紙の光沢度と、用紙の凹凸情報とは、互いに関連がある。図14は、用紙種類、用紙の光沢度、用紙の凹凸情報の関連性を示す図である。図14に示すように、用紙種類が「コート紙」の用紙は、光沢度が「高光沢」、凹凸情報(平滑度)が「細かい」となる。用紙種類が「普通紙」の用紙は、光沢度が「中光沢」、凹凸情報(平滑度)が指定なしとなる。となる。用紙種類が「マット紙」の用紙は、光沢度が「低光沢」、凹凸情報(平滑度)が「粗い」となる。
従って、光沢度、平滑度がわかれば、用紙種類は、図14の関連性から求めることができることになる。
図10に戻り、入出力制御部567は、表示部59に対する各種画面の表示制御、および入力部58からの各種指定の入力制御を行う。本実施の形態では、入出力制御部567は、表示部59に、用紙種類設定画面、光沢度設定画面、平滑度設定画面を表示させる制御を行う。また、入出力制御部567は、表示部59に表示された用紙種類設定画面からの用紙種類の指定、表示部59に表示された光沢度設定画面からの光沢度の指定、表示部59に表示された平滑度設定画面からの平滑度(凹凸情報)の指定を入力する。入出力制御部567は、ユーザから入力された用紙種類、用紙の光沢度、平滑度としての用紙の凹凸情報を、ユーザ指定の用紙情報として、表面効果選択テーブル決定部564へ出力する。
図15は、用紙種類設定画面の一例を示す図である。図15に示すように、用紙種類設定画面には、用紙種類のユーザ設定の有効、無効を指定するラジオボタンが表示され、「有効」のラジオボタンが指定されている場合に、用紙種類を、「コート紙」、「普通紙」「マット紙」の中からラジオボタンによりユーザが指定可能となっている。指定された用紙種類が入出力制御部567に入力イベントとして通知される。
図16は、光沢度設定画面の一例を示す図である。図16に示すように、光沢度設定画面には、光沢度のユーザ設定の有効、無効を指定するラジオボタンが表示され、「有効」のラジオボタンが指定されている場合に、光沢度を、「高光沢」、「中光沢」、「低光沢」の中からラジオボタンによりユーザが指定可能となっている。指定された光沢度が入出力制御部567に入力イベントとして通知される。
図17は、平滑度設定画面の一例を示す図である。図17に示すように、平滑度設定画面には、平滑度のユーザ設定の有効、無効を指定するラジオボタンが表示され、「有効」のラジオボタンが指定されている場合に、平滑度を、「粗い」、「細かい」の中からラジオボタンによりユーザが指定可能となっている。指定された平滑度が、用紙の凹凸情報として入出力制御部567に入力イベントとして通知される。
また、入出力制御部567は、用紙情報となる要素とその優先順位をユーザに指定させる用紙情報の登録画面を表示部59に表示させる制御を行う。図18は、用紙情報の登録画面の一例を示す図である。
図18に示すように、用紙情報の登録画面に、「未登録リスト」と「登録リスト」の2つの要素リスト欄を設けている。「未登録リスト」には、表面効果選択テーブルを決定するための要素として、選択可能な用紙情報となり得る要素が列挙して表示される。「登録リスト」には、表面効果選択テーブルを決定するための要素となる用紙情報となった要素が列挙される。
各リストの要素は、画面押下による対象の選択後、横(左右)矢印を押下することで、2つのリスト間で互いの用紙情報を移動させることができる。また、「登録リスト」内の用紙情報は、画面押下による対象の選択後、縦(上下)矢印を押下することで、リスト内の項目の表示順を変えることができ、項目の上から順に表面効果選択テーブルを決定するための要素として、高い優先順位が割り当てられる。
また、ユーザが表面効果選択テーブルを決定するための要素を新たに登録する場合、画面上の「新規登録」ボタンを押下し、新規登録する要素を選択する。
図10に戻り、表面効果選択テーブル決定部564は、用紙情報取得部565で取得された用紙情報の用紙種類、あるいは、入出力制御部567から出力されたユーザが指定した用紙情報の用紙種類に対応する表面効果選択テーブルを、表面効果選択テーブル記憶部561の中から選択することにより、クリアトナー版データを生成するための表面効果選択テーブルを決定する。
より具体的には、表面効果選択テーブル決定部564は、用紙情報がユーザで指定されている場合、ユーザが指定した用紙情報を用いて、表面効果選択テーブルを選択する。一方、用紙情報がユーザで指定されていない場合、用紙情報取得部565により、MIC60を介してプリンタ機70に対して用紙情報の取得要求を送信し、これに応答してプリンタ機70から送信される用紙情報をMIC60を介して受信する。そして、表面効果選択テーブル決定部564は、用紙情報取得部565で受信した用紙情報を用いて、表面効果選択テーブルを選択する。
ここで、用紙情報がユーザで指定されているか否かの判断は、ユーザが指定した用紙情報が入出力制御部567から出力されているか否かを判断することにより行う。あるいは、入出力制御部567がユーザから指定された用紙情報を、一旦RAM等のメモリ(不図示)に格納しておき、表面効果選択テーブル決定部564が当該RAMにユーザから指定された用紙情報が記憶されているか否かを判断することにより、用紙情報がユーザで指定されているか否かを判断するように構成してもよい。
表面効果選択テーブル決定部564は、MIC60を介してプリンタ機70に対して用紙情報の取得要求を送信する際、用紙情報の登録画面でユーザが指定した優先順位が最も高い用紙情報の要素を、プリンタ機70に対して要求し、優先順位が最も高い用紙情報の要素を受信する。
表面効果選択テーブル決定部564は、用紙情報に用紙種類が含まれる場合には、当該用紙種類に対応する表面効果選択テーブルを選択する。一方、用紙情報に用紙種類が含まれていない場合には、図14に示した関連性により、用紙情報に含まれる用紙の光沢度、あるいは用紙の凹凸情報に関連する用紙種類を決定し、当該用紙種類に対応する表面効果選択テーブルを選択する。
また、用紙情報に、用紙種類、用紙の光沢度、用紙の凹凸情報のすべてが含まれる場合には、表面効果選択テーブル決定部564は、これら3つの要素のうち最も優先順位の高い要素を用いて、対応する表面効果選択テーブルを選択する。すなわち、表面効果選択テーブル決定部564は、最も高い優先順位の要素が用紙種類の場合には、これをそのまま用い、用紙の光沢度または用紙の凹凸情報が最も優先順位が高い場合には、当該要素に関連する用紙種類に対応する表面効果選択テーブルを選択する。
また、用紙情報に、用紙種類、用紙の光沢度、用紙の凹凸情報のいずれか2つが含まれる場合には、表面効果選択テーブル決定部564は、これら2つの要素のうち優先順位の高い方の要素を用いて、対応する表面効果選択テーブルを選択する。
クリアプロセッシング56のクリアトナー版生成部563は、上述のように、表面効果選択テーブル決定部564により選択された表面効果選択テーブルを参照して、光沢制御版データによって示される各画素値に対応付けられている表面効果を判断すると共に、グロッサ80のオン又はオフを判断して、プリンタ機70及び低温定着機90でどのようなクリアトナー版データを用いるかを判断する。尚、クリアトナー版生成部563は、グロッサ80のオン又はオフの判断を1ページ毎に行う。そして、上述したように、クリアトナー版生成部563は、当該判断の結果に応じて、クリアトナー版データを適宜生成してこれを出力すると共に、グロッサ80に対するオンオフ情報を出力する。これにより、用紙の種類に応じてユーザが意図した効果の光沢効果を有するクリアトナー版データを生成することになる。
si3部57は、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの画像データと、クリアプロセッシング56が生成した2ビットのクリアトナー版データとを統合し、統合した画像データをMIC60に出力する。尚、クリアプロセッシング56は、プリンタ機70で用いるクリアトナー版データ及び低温定着機90で用いるクリアトナー版データのうち少なくとも一方を生成しない場合があるので、クリアプロセッシング56が生成した方のクリアトナー版データがsi3部57で統合され、両方のクリアトナー版データをクリアプロセッシング56が生成していない場合には、si3部57からはCMYKの各2ビットの画像データが統合された画像データが出力される。この結果、DFE50からは各々2ビットの4つ〜6つの画像データがMIC60へ送り出されることになる。また、si3部57は、クリアプロセッシング56が出力したグロッサ80に対するオンオフ情報もMIC60に出力する。
MIC60は、DFE50とプリンタ機70とに接続される。MIC60は、後処理機として搭載されている装置構成を示す装置構成情報をDFE50に出力する。また、MIC60は、色版の画像データ、クリアトナー版の画像データをDFE50から受信して各画像データを対応する装置に振り分けるとともに、後処理機の制御を行う。より具体的には、MIC60は、図19に例示されるように、DFE50から出力された画像データのうちCMYKの色版の画像データをプリンタ機70に出力し、プリンタ機70で用いるクリアトナー版の画像データがある場合にはこれもプリンタ機70に出力し、DFE50から出力されたオンオフ情報を用いて、グロッサ80をオン又はオフにして、低温定着機90で用いるクリアトナー版の画像データがある場合にはこれを低温定着機90に出力する。グロッサ80はオンオフ情報によって定着を行う経路と行わない経路とを切り替えても良い。低温定着機90はクリアトナー版の画像データの有無によってオン又はオフの切り替えやグロッサ80と同様の経路の切り替えをしても良い。
また、図19に示すように、プリンタ機70、グロッサ80、低温定着機90からなる印刷装置30は、記録媒体を搬送する搬送路を備えている。なお、プリンタ機70は、詳細には、電子写真方式の複数の感光体ドラム、感光体ドラム上に形成されたトナー像を転写される転写ベルト、転写ベルト上のトナー像を記録媒体に転写する転写装置、及び記録媒体上のトナー像を該記録媒体に定着させる定着機を備える。記録媒体は、図示を省略する搬送部材によって搬送路を搬送されることで、プリンタ機70、グロッサ80、低温定着機90の設けられている位置を、この順に搬送される。そして、これらの機器によって順次処理が行われて画像形成及び表面効果が付与された後に、図示を省略する搬送機構によって搬送路を搬送されて、印刷装置の外部へと排出される。
このため、DFE50から出力された画像データが、CMYKの有色版データ及びクリアトナー版データを含む場合には、該有色版データによって特定される有色画像が記録媒体に有色トナーで形成されると共に、クリアトナー版データによって特定される種類の表面効果がクリアトナーで該記録媒体に付与され、クリアトナー版データによって特定される透明画像がクリアトナーで該記録媒体に形成される。すなわち、記録媒体には、用紙の種類に応じてユーザが意図した効果の光沢効果を有するクリアトナー版データに基づいた表面効果が、記録媒体に付与されることとなる。
次に、プリンタ機70の機能的構成について説明する。図20は、本実施の形態のプリンタ機70の機能的構成を示すブロック図である。本実施の形態のプリンタ機70は、図20に示すように、用紙情報管理部301と、光沢度計測部302と、凹凸情報計測部303と、用紙情報記憶部304と、印刷部305とを主に備えている。
印刷部305は、用紙に画像データを印刷するエンジンである。
用紙情報記憶部304には、現在の印刷対象の用紙の用紙種類が記憶されている。また、用紙情報記憶部304には、光沢度計測部302で計測された用紙の光沢度、凹凸情報計測部303で計測された用紙の凹凸情報(平滑度)も記憶される。用紙種類、用紙の光沢度、用紙の凹凸情報が用紙情報となる。用紙情報記憶部304は、HDDやメモリ等の記憶媒体である。
光沢度計測部302は、用紙情報管理部301からの計測指示を受けて、トレイ等に収容されている用紙の光沢度を計測し、計測された光沢度を用紙情報記憶部304に保存する。凹凸情報計測部303は、用紙情報管理部301からの計測指示を受けて、トレイ等に収容されている用紙の平滑度を計測し、計測された平滑度を用紙の凹凸情報として用紙情報記憶部304に保存する。なお、用紙の光沢度の計測手法、平滑度の計測手法については公知の手法を用いる。
用紙情報管理部301は、用紙情報記憶部304に記憶されている用紙情報を管理する。より具体的には、用紙情報管理部301は、MIC60を介してDFE50から、用紙情報の取得要求を受信した場合に、取得要求で用紙種類が要求されている場合には、用紙情報記憶部304に記憶されている現在の印刷対象の用紙種類を用紙情報としてMIC60を介してDFE50に送信する。
また、取得要求で用紙の光沢度が要求されている場合には、用紙情報管理部301は、光沢度計測部302に用紙の光沢度の計測指示を行い、この結果、用紙情報記憶部304に格納された用紙の光沢度を、用紙情報としてMIC60を介してDFE50に送信する。また、取得要求で用紙の凹凸情報が要求されている場合には、用紙情報管理部301は、凹凸情報計測部303に用紙の平滑度の計測指示を行い、この結果、用紙情報記憶部304に格納された用紙の凹凸情報を、用紙情報としてMIC60を介してDFE50に送信する。
次に、本実施の形態に係る画像形成システムが行う光沢制御処理の手順について図21を用いて説明する。DFE50がホスト装置10から印刷データを受信すると(ステップS11)、レンダリングエンジン51は、これを言語解釈して、ベクタ形式で表現される画像データをラスタ形式に変換すると共に、RGB形式で表現された色空間をCMYK形式の色空間に変換して、CMYKの各8ビットの有色版データ及び8ビットの光沢制御版データを得る(ステップS12)。
この光沢制御版データの変換処理では、図4の光沢制御版データ、すなわち、図7で示したような、描画オブジェクトごとに表面効果を特定する濃度値が指定された光沢制御版データを、描画オブジェクトを構成する画素ごとに濃度値が指定された光沢制御版データに変換する。
すなわち、レンダリングエンジン51は、図7で示される光沢制御版データの描画オブジェクトに対応する座標の範囲の画素に対して、描画オブジェクトに対して設定された濃度値を付与することにより、光沢制御版データを変換する。これにより、光沢制御版データは、画素ごとに表面効果が設定された光沢制御版データに変換されることになる。
次に、8ビット光沢制御版データが出力されたら、DFE50のTRC53は、CMYKの各8ビットの有色版データに対してキャリブレーションにより生成された1D_LUTのガンマカーブでガンマ補正を行い、ガンマ補正後のCMYKの各8ビットの有色版データをsi2部54を介してハーフトーンエンジン55とクリアプロセッシング56とに出力する。ハーフトーンエンジン55はガンマ補正後の画像データに対して、プリンタ機70に出力するためのCMYK各2ビットの有色版データのデータ形式に変換するハーフトーン処理を行い、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの有色版データを得る(ステップS13)。
また、DFE50のクリアプロセッシング56では、表面効果選択テーブル決定部564によって、用紙情報に基づいて、表面効果選択テーブル記憶部561から、表面効果選択テーブルを選択して決定する処理を行う(ステップS14)。この表面効果選択テーブルの決定処理の詳細については後述する。
次に、クリアプロセッシング56のクリアトナー版生成部563は、8ビットの光沢制御版データを用いて、ステップS14で選択された、用紙種類に対応する表面効果選択テーブルを参照して、光沢制御版データによって示される各画素値に対して指定された表面効果を判断する。そして、クリアトナー版生成部563は、光沢制御版データを構成する全ての画素について、このような判断を行う。尚、光沢制御版データにおいては、各表面効果を与える領域を構成する全ての画素について基本的に同一の範囲の濃度値を表す。このため、同一の表面効果であると判断した近傍の画素については、クリアトナー版生成部563は、同一の表面効果を与える領域に含まれるものとして判断する。このようにして、クリアプロセッシング56のクリアトナー版生成部563は、表面効果を与える領域と、当該領域に対して与える表面効果の種類とを判断する。そして、クリアトナー版生成部563は、当該判断に応じて、グロッサ80のオン又はオフを決定する(ステップS15)。
次に、クリアトナー版生成部563は、si2部54から出力されるガンマ補正後のCMYKの各8ビットの有色版データを適宜用いて、クリアトナーを付着させるための8ビットのクリアトナー版データを適宜生成する(ステップS16)。そして、ハーフトーンエンジン55は、ハーフトーン処理により、8ビットの画像データを用いた8ビットのクリアトナー版データを2ビットのクリアトナー版データに変換する(ステップS17)。
次に、DFE50のSi3部57は、ステップS13で得たハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの有色版データと、ステップS17で生成した2ビットのクリアトナー版データとを統合し、統合した画像データと、ステップS15で決定したグロッサ80のオン又はオフを示すオンオフ情報とをMIC60に対して出力する(ステップS18)。
尚、ステップS16で、クリアトナー版生成部563が、クリアトナー版データを生成していない場合には、ステップS18では、ステップS13で得たハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの有色版データのみが統合されてMIC60に出力される。
次に、ステップS14における表面効果選択テーブルの決定処理の詳細について説明する。図22は、表面効果選択テーブルの決定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、表面効果選択テーブル決定部564は、用紙情報がユーザにより設定されているか否かを判断する(ステップS20)。
そして、用紙情報がユーザにより設定されている場合には(ステップS20:Yes)、表面効果選択テーブル決定部564は、ユーザ設定の用紙情報を入出力制御部567あるいはRAM等から取得する(ステップS21)。
一方、ステップS20で用紙情報がユーザにより設定されていない場合には(ステップS20:No)、用紙情報取得部565が、MIC60を介してプリンタ機70に用紙情報の取得要求を送信し(ステップS22)、用紙情報を受信する(ステップS23)。ここで、用紙情報取得部565は、用紙種類、用紙の光沢度、用紙の凹凸情報の要素のうち、ユーザにより設定された優先順位が一番高い要素の取得要求を行う。
そして、表面効果選択テーブル決定部564は、取得した用紙情報に基づいて、表面効果選択テーブル記憶部561の中から表面効果選択テーブルを選択する(ステップS24)。具体的には、表面効果選択テーブル決定部564は、上述したとおり、取得した用紙情報に含まれる用紙種類、あるい取得した用紙情報の光沢度や凹凸情報に関連した用紙種類を特定し、特定された用紙種類に対応する表面効果選択テーブルを選択する。
ここで、ステップS22で用紙情報の取得要求を受信したプリンタ機70における用紙情報取得処理について説明する。図23は、プリンタ機70で実行される用紙情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
用紙情報管理部301は、DFE50から用紙情報の取得要求を受信すると、受信した用紙情報の取得要求の内容を確認する(ステップS31)。そして、用紙情報管理部301は、取得要求で要求された用紙情報が用紙種類であるか否かを判断する(ステップS32)。そして、要求された用紙情報が用紙種類である場合には(ステップS32:Yes)、用紙情報管理部301は、用紙情報記憶部304に記憶されている、現在の用紙種類を用いると判断する。
一方、ステップS32において、要求された用紙情報が用紙種類でない場合には(ステップS32:No)、用紙情報管理部301は、取得要求で要求された用紙情報が用紙の光沢度であるか否かを判断する(ステップS33)。そして、要求された用紙情報が用紙の光沢度である場合には(ステップS33:Yes)、用紙情報管理部301は、光沢度計測部302に光沢度の計測を依頼する(ステップS34)。これにより、光沢度計測部302が、トレイに載置されている印刷対象の用紙の光沢度を計測して、計測された光沢度を、用紙情報記憶部304に保存する。
一方、ステップS33において、要求された用紙情報が用紙の光沢度でない場合には(ステップS33:No)、用紙情報管理部301は、取得要求で要求された用紙情報が用紙の凹凸情報であるか否かを判断する(ステップS35)。そして、要求された用紙情報が用紙の凹凸情報である場合には(ステップS35:Yes)、用紙情報管理部301は、凹凸情報計測部303に平滑度の計測を依頼する(ステップS36)。これにより、凹凸情報計測部303が、トレイに載置されている印刷対象の用紙の平滑度を計測して、計測された平滑度を、用紙の凹凸情報として用紙情報記憶部304に保存する。
次に、用紙情報管理部301は、用紙情報記憶部304に保存されている用紙種類、用紙の光沢度、用紙の凹凸情報等の用紙情報を取得する(ステップS37)。そして、用紙情報管理部301は、取得した用紙情報を、MIC60を介してDFE50に送信する(ステップS38)。
このように本実施の形態では、用紙種類ごとに異なるタイプの表面効果が指定されて複数の表面効果選択テーブルを予め用意しておき、印刷対象の用紙情報の用紙種類を取得して、用紙種類に対応した表面効果選択テーブルを選択して、光沢制御版データを用いてクリアトナー版データを生成しているので、用紙の種類にかかわらず、ユーザが意図する表面効果を得ることができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、用紙情報ごとの表面効果選択テーブルを、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶して用いていたが、この実施の形態2では、さらに、取得した用紙情報が表面効果選択テーブル記憶部561に格納されていない場合には、用紙情報に応じた表面効果選択テーブルを生成して用いている。
実施の形態2に係る画像形成システムの構成は、実施の形態1と同様に、ホスト装置10と、DFE50と、MIC60と、プリンタ機70と、後処理機としてグロッサ80及び低温定着機90とが接続されて構成される。ここで、ホスト装置10、DFE50、MIC60、プリンタ機70、グロッサ80、低温定着機90のそれぞれの構成、機能については、実施の形態1と同様である。また、有色版データ、表面効果の種類、光沢制御版データ、クリア版データ、ホスト装置10が記憶する濃度値選択テーブル、印刷データの構成等についても、実施の形態1と同様である。
本実施の形態のDFE50は、実施の形態1と同様に、レンダリングエンジン51と、si1部52と、TRC53と、si2部54と、ハーフトーンエンジン55と、クリアプロセッシング2456と、si3部57と、入力部58と、表示部59とを有する。ここで、本実施の形態では、クリアプロセッシング2456の構成、機能が実施の形態1と異なっており、レンダリングエンジン51、si1部52、TRC53、si2部54、ハーフトーンエンジン55、si3部57、入力部58、表示部59については実施の形態1と同様である。
図24は、クリアプロセッシング2456の機能的構成を示すブロック図である。
クリアプロセッシング2456は、図24に示すように、表面効果選択テーブル記憶部561と、光沢制御版記憶部562と、表面効果選択テーブル決定部564と、クリアトナー版生成部563と、用紙情報取得部565と、入出力制御部567と、判別部566と、表面効果選択テーブル生成部568と、テストチャート印刷制御部569と、テスト用光沢制御版記憶部569Aと、を主に備えている。光沢制御版記憶部562、表面効果選択テーブル決定部564については実施の形態1と同様である。
表面効果選択テーブル記憶部561は、用紙に関する用紙情報(詳細後述)に対応づけて、後述する表面効果選択テーブルを記憶する。また、表面効果選択テーブル記憶部561は、適宜、ユーザを一意に識別するための識別情報、及び評価情報に対応づけて、表面効果選択テーブルを記憶する。
表面効果選択テーブル記憶部561に記憶される識別情報には、アカウント情報等がある。この識別情報には、ユーザが入力部58を介して用紙情報を入力するときに入力されるユーザアカウント等を用いる。評価情報とは、詳細は後述するが、テスト用光沢制御版データ(詳細後述)及び表面効果選択テーブルに基づいて用紙に印刷された、パッチ画像の群からなるテストチャートに基づいて、ユーザが入力した、各表面効果の種類に対応する評価結果を示す情報である。評価情報は、各表面効果の種類毎にユーザによって入力される。評価情報には、例えば、評価「高」、評価「中」、評価「低」等があるが、これらに限られない。また、評価情報は、このような3段階の評価に限られない。
また、表面効果選択テーブル記憶部561は、用紙に付与する表面効果の種類の各々に対応づけて、各種類の表面効果を実現するのに適した用紙に関する用紙情報を記憶する。
この各表面効果の種類に対応する、各種類の表面効果を実現するのに適した用紙に関する用紙情報は、予め、ユーザによる入力部58の操作指示によって入力され、入出力制御部567によって表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されるようにすればよい。また、この各表面効果の種類に対応する、各種類の表面効果を実現するのに適した用紙に関する用紙情報は、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている、各表面効果選択テーブルに対応する評価情報に基づいて予め求めて、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶してもよい。この場合には、例えば、入出力制御部567が、表面効果の種類毎に、最も高い評価情報が設定されている表面効果選択テーブルに対応する用紙情報を表面効果選択テーブル記憶部561から読み取り、読み取った用紙情報を、高い評価情報に対応する種類の表面効果に対応づけて、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶すればよい。
クリアトナー版生成部563は、実施の形態1と同様に、光沢制御版データを構成する各画素の表す濃度値(画素値)に対する表面効果を判断し、当該判断に応じて、グロッサ80のオン又はオフを決定する。また、クリアトナー版生成部563は、実施の形態1と同様に、当該判断に応じて、入力されたCMYKの各8ビットの有色版データと該光沢制御版データとを用いて、インバースマスクやベタマスクを適宜生成することにより、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナー版データを適宜生成する。ここで、インバースマスクについては実施の形態1と同様である。
また、クリアトナー版生成部563は、表面効果選択テーブル記憶部561に、表面効果選択テーブル決定部564で決定された表面効果選択テーブルに対応づけて、評価情報が記憶されている場合には、表面効果選択テーブル決定部564で決定された表面効果選択テーブルによって示される濃度値に対応する表面効果を、対応する評価情報に基づいて置換える。そして、置換後の表面効果の種類に対応する濃度値と、光沢制御版記憶部562に記憶された光沢制御版データと、から、クリアトナー版生成部563は、該光沢制御版データを構成する各画素の表す濃度値(画素値)に対する表面効果を判断する。
また、クリアトナー版生成部563は、後述する表面効果選択テーブル生成部568からテストチャートの印刷要求を受け付けた場合には、表面効果選択テーブル記憶部561に格納されている表面効果テーブルの内の予め定めた(例えば普通紙の)1つの表面効果選択テーブルと、表面効果選択テーブル生成部568から受け付けたテスト用光沢制御版データと、に基づいて、テスト用光沢制御版データによって特定される表面効果の種類毎のパッチ画像の群からなるテストチャートを記録媒体に形成するための、テスト用クリアトナー版データを、クリアトナー版データとして生成する。
テストチャートとは、表面効果の種類の異なる複数のパッチ画像を含む画像である。テスト用光沢制御版データは、これらの複数のパッチ画像が指定された画像データである。詳細には、テスト用光沢制御版データは、表面効果の種類の異なる複数のパッチ画像の各々の表面効果の種類と、各パッチ画像の形成領域と、を特定した画像データである。
詳細には、クリアトナー版生成部563は、表面効果選択テーブル生成部568からテストチャートの印刷要求を受け付けた場合には、テスト用光沢制御版データを用いて、表面効果選択テーブル記憶部561に格納されている表面効果テーブルの内の予め定めた(例えば普通紙の)1つの表面効果選択テーブルを参照して、テスト用光沢制御版データを構成する各画素の表す濃度値(画素値)に対する表面効果を判断する。そして、クリアトナー版生成部563は、当該判断に応じて、グロッサ80のオン又はオフを決定する。また、クリアトナー版生成部563は、当該判断に応じて、テスト用有色版データとテスト用光沢制御版データとを用いて、インバースマスクやベタマスクを適宜生成することにより、クリアトナーを付着させることで、表面効果の種類の異なる複数のパッチ画像の群からなるテストチャートを形成するための、2ビットのテスト用クリアトナー版データを、クリアトナーを付着させるためのクリアトナー版データとして生成する。
なお、テスト用有色版データは、テスト用クリアトナー版データによって特定される表面効果の種類毎の各パッチ画像の説明画像(テキスト等)を有色トナーで形成するための画像データである。詳細には、テスト用有色版データは、テスト用クリアトナー版データによって特定される複数種類の各パッチ画像の記録媒体上の位置に対応する位置に有色トナーで形成する、各パッチ画像の表面効果の種類を示す画像(テキスト等)と、該表面効果の種類に対応する濃度値(または濃度率)を示す画像(テキスト等)と、を特定した画像データである。なお、このテスト用有色版データは、CMYKの色毎に4版用意してもよいが、CMYKの何れか1色以上毎に用意すればよい(すなわち、1版以上)。このテスト用有色版データは、予めクリアトナー版生成部563や、si3部57や、テスト用光沢制御版記憶部569A等に記憶しておく。そして、クリアトナー版生成部563及びsi3部57では、テスト用有色版データを用いるときに、該テスト用有色版データを適宜読み出して用いればよい。
表面効果選択テーブル記憶部561は、実施の形態1と同様に、用紙情報と、用紙情報に対応付けて、用紙情報ごとに異なる表面効果選択テーブルを記憶している。表面効果選択テーブルについては、実施の形態1と同様である。
用紙情報取得部565は、実施の形態1と同様に、MIC60を介してプリンタ機70から、プリンタ機70の印刷対象の用紙の用紙情報を取得する。そして、用紙情報取得部565は、取得した用紙情報を、表面効果選択テーブル決定部564、及び判別部566へ出力する。また、用紙情報取得部565は、入出力制御部567を介してユーザからの用紙情報の設定入力を受け付けた場合には、設定入力された用紙情報を、表面効果選択テーブル決定部564、及び判別部566へ出力する。
判別部566は、用紙情報取得部565で受け付けた用紙情報が、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されているか否かを判別する。詳細には、判別部566は、用紙情報取得部565から受け付けた用紙情報に含まれる比較条件と、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている用紙情報に含まれる比較条件と、が一致するか否かを判断することで、受け付けた用紙情報が既に表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されているか否かを判別する。なお、判別部566は、判別部566で該判断に用いる比較条件を、入出力制御部567から受け付ける。
入出力制御部567は、実施の形態1と同様に、表示部59に、用紙種類設定画面、光沢度設定画面、平滑度設定画面、用紙情報の登録画面を表示させる制御を行う。ここで、用紙種類設定画面、光沢度設定画面、平滑度設定画面、用紙情報の登録画面については実施の形態1と同様である。
また、入出力制御部567は、評価情報入力画面、比較条件入力画面、表面効果選択テーブル検索画面、表面効果選択テーブル検索結果画面、用紙表示画面等を表示部59に表示させる制御を行う。
比較条件入力画面は、比較条件をユーザに指定させるための画面である。比較条件とは、用紙情報取得部565で受け付けた用紙情報が表面効果選択テーブル記憶部561に既に登録されているか否かを判別部566が判別するときに用いる条件である。
図25は、比較条件入力画面の一例を示す図である。図25に示すように、比較条件入力画面には、用紙情報に含まれる全ての条件を示す「完全一致」、用紙情報に含まれる一部の条件を示す「部分一致」の何れかを選択するためのボタンが表示されている。「部分一致」には、例えば、「用紙名」、「用紙種類」、「光沢度」、「平滑度」、「用紙カラー」、及び「定着温度」等の各条件と、これらの条件の各々を個別に指定するためのラジオボタンと、が表示されている。ユーザは、該ラジオボタンの中から、比較条件として、「用紙名」、「用紙種類」、「光沢度」、「平滑度」、「用紙カラー」、及び「定着温度」等の各条件を指定可能となっている。指定された比較条件が、入出力制御部567に入力イベントとして通知される。
また、表面効果選択テーブル検索画面は、表面効果選択テーブル記憶部561に格納されている表面効果選択テーブルの検索条件及び検索結果を表示するための画面である。図26は、表面効果選択テーブル検索画面の一例を示す図である。また、図27は、検索結果の画面の一例を示す図である。
図26に示すように、表面効果選択テーブル検索画面には、「検索条件」として、「用紙名」、「用紙種類」、「光沢度」、「平滑度」、及び「用紙カラー」等を設定するためのラジオボタンが表示されている。また、各検索条件の詳細条件を指示するための選択ボタンが表示されている。ユーザは、該ラジオボタンの中から、検索条件として、「用紙名」、「用紙種類」、「光沢度」、「平滑度」、及び「用紙カラー」等の各条件や、詳細条件を指定可能となっている。指定された検索条件が、入出力制御部567に入力イベントとして通知される。
該検索条件を受け付けた入出力制御部567では、例えば、受け付けた検索条件に一致する情報を含む用紙情報、及び該用紙情報に対応する表面効果選択テーブルを表面効果選択テーブル記憶部561から検索し、該検索結果を含む表面効果選択テーブル検索結果画面を表示部59に表示する制御を行う。
図26に、表面効果選択テーブル検索結果画面の一例を示した。図26に示すように、表面効果選択テーブル検索結果画面には、上記検索条件で検索した「検索結果」として、検索条件に対応する用紙の識別情報(例えば、用紙名)の一覧が表示される。ユーザは、入力部58を操作指示することで、表示された用紙の識別情報の一欄の中から、該識別情報に対応する所望の識別情報を指示するための「表示」ボタンを指定可能となっている。
そして、入出力制御部567は、該「表示」ボタンの指定によって受け付けた、該「表示」ボタンの表示欄に表示されている用紙の識別情報に対応する表面効果選択テーブルを含む、表面効果選択テーブル検索画面を、表示部59に表示する制御を行う。これによって、例えば、表示部59には、ユーザによって選択された、検索条件に一致する表面効果選択テーブルが表示される。
また、入出力制御部567は、用紙表示画面を表示部59に表示させる制御を行う。図28〜図30は、用紙表示画面の一例を示す図である。
図28に示すように、用紙表示画面は、「ユーザ名」及び「表面効果」の2つの表示欄を有する。「ユーザ名」の欄には、例えば、用紙表示画面を起動させたユーザの識別情報が表示される。この識別情報には、例えば、入力部58の操作指示によってユーザが用紙表示画面の起動指示を入力するときに、入力した、アカウント情報等の識別情報を用いればよい。
「表面効果」の欄には、表示条件として、「表面効果」の種類の選択ボタンや、「表示順」の選択ボタンが表示される。また、ユーザ所有の用紙に限定した表示を行うか否かを指示するためのラジオボタンが表示される。なお、「表面効果」及び「表示順」内の種類は、画面矢印を押下することで、選択する表面効果の種類や、リスト内の項目の表示順を変えることができる。
また、表示条件として、ユーザの「所有の用紙に限定する」ことを指示するためのラジオボタンも表示される。ユーザの「所有の用紙に限定する」ことを指示するためのラジオボタンは、該ユーザの識別情報に対応する用紙情報の表示を行うことを指示するためのラジオボタンである。なお、表面効果選択テーブル記憶部561は、各ユーザ所有の用紙に関する用紙情報として、ユーザの識別情報に対応づけて用紙情報を予め記憶している。例えば、クリアプロセッシング2456では、入力部58を介してユーザの識別情報がユーザによって入力された後に最初に画像形成した用紙の用紙情報を、該識別情報に対応づけて表面効果選択テーブル記憶部561に順次記憶しておけばよい。
ユーザは、表示条件として、「表面効果」の種類や、「表示順」や、「所有の用紙の限定する」を指示するためのラジオボックス等を指定可能となっている。図28に示す例は、「表面効果」は鏡面光沢、「表示順」はコストの低い順、であり、所有の用紙に限定しない、といった表示条件に合致する用紙表示条件の表示が、ユーザによる入力部58の操作指示によって指示された場合を示す模式図である。そして、指定された、用紙表示条件が、入出力制御部567に入力イベントとして通知される。
入出力制御部567では、入力された用紙表示条件に含まれる、表面効果の種類に対応する用紙情報(表面効果の種類に適した用紙情報)を、表面効果選択テーブル記憶部561から読み取り、該用紙表示条件に示される表示順で表示部59に表示する制御を行う。なお、入力された用紙表示条件に、「所有の用紙に限定する」ことを指示する情報が含まれる場合には、入出力制御部567は、入力された用紙表示条件に含まれる、表面効果の種類に対応する用紙情報を、表面効果選択テーブル記憶部561から読み取り、読み取った用紙情報の内、入力部58を介して入力されたユーザの識別情報に対応づけて表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている用紙情報を、該用紙表示条件に示される表示順で表示部59に表示する制御を行う。
なお、図28に示す例は、「表面効果」は鏡面光沢、「表示順」はコストの低い順、であり、所有の用紙に限定しない、といった表示条件に合致する用紙表示条件の表示が、ユーザによる入力部58の操作指示によって指示された場合の、用紙表示画面の一例を示す模式図である。
なお、図29に示す例は、「表面効果」は鏡面光沢、「表示順」は表面効果の高い順、であり、所有の用紙に限定しない、といった表示条件に合致する用紙表示条件の表示が、ユーザによる入力部58の操作指示によって指示された場合の、用紙表示画面の一例を示す模式図である。
図30は、「表面効果」は鏡面光沢、「表示順」は表面効果の高い順、であり、所有の用紙に限定する、といった表示条件に合致する用紙表示条件の表示が、ユーザによる入力部58の操作指示によって指示された場合の用紙表示画面の一例を示す模式図である。
また、入出力制御部567は、評価情報入力画面を表示部59に表示させる制御を行う。
図31は、評価情報入力画面の一例を示す図である。評価情報入力画面は、記録媒体に形成されたテストチャートに基づいて、ユーザが、形成対象の用紙ごとに、各表面効果の種類毎の評価結果を入力するときに表示部59に表示される入力画面である。
なお、テストチャートは、テスト用光沢制御版データによって特定される表面効果の種類毎のパッチ画像を記録媒体に形成するためのテスト用クリアトナー版データと、テスト用有色版データと、を含む画像データを、DFE50からMIC60を介して印刷装置30へ送信することによって、印刷装置30で形成される。
図32は、記録媒体に形成されたテストチャートの一例を示す模式図である。図32に示すように、例えば、テストチャートは、表面効果の種類(すなわち、濃度率(濃度値))の異なる複数種類のパッチ画像の群からなる。
図32に示す例では、鏡面光沢(PG)に対応するパッチ画像として、異なるガンマ補正(γ1〜γ5)の施されたパッチ画像を、同じ大分類の表面効果に対応する濃度値内で2%毎に示したものである。大分類の表面効果とは、表面効果の種類を、表面効果の内容に応じて大きく分類したものであり、例えば、「鏡面光沢」、「ベタ光沢」、「網点マット」、「つや消し」を示す。各大分類の表面効果の種類は、上述した図11に示すように、「鏡面光沢 タイプA」〜「鏡面光沢 タイプC」、「ベタ光沢 タイプ1」〜「ベタ光沢 タイプ4」、「網点マット タイプ1」〜「網点マット タイプ4」、「つや消し タイプA」〜「つや消し タイプC」等の更に細かく表面効果の種類に分類される。
なお、図32では、表面効果の種類を、鏡面光沢、ベタ光沢、網点マット、及びつや消しの4種類の大分類に分類し、各分類ごとに、異なる記録媒体に、更に詳細な表面効果の種類毎のパッチ画像をテストチャートとして形成する場合を示した。しかし、1枚の記録媒体に、全ての種類の表面効果に対応するパッチ画像を含むテストチャートを形成してもよい。
なお、図32中、パッチ画像は、テスト用クリアトナー版データに基づいて、クリアトナーを記録媒体に付与することによって形成された画像である。また、各パッチ画像の説明画像(図32中、「表面効果:PG」や、「光沢制御版の濃度率(%)」「94」「96」「98」及びガンマ補正の値を示す画像(γ1〜γ5)は、テスト用有色版データに基づいて、有色トナーを記録媒体に付与することによって形成された画像である。
図31に戻り、評価情報入力画面には、テストチャートの形成された用紙を特定する情報(図31では用紙名)の表示欄、ユーザ名の表示欄、及び各表面効果の種類毎に評価情報を設定するための選択ボタン(画面矢印)が表示される。
なお、評価情報入力画面に表示する用紙を特定する情報(ここでは用紙名)は、用紙情報取得部565で直前に取得された用紙情報であって、且つ判別部566で表面効果選択テーブル記憶部561に登録されていないと判別された用紙情報に対応する用紙名を用いればよい。また、ユーザ名の表示欄には、例えば、評価情報の入力時に入力部58を介して入力されたユーザの識別情報(アカウント等)を表示すればよい。
評価情報は、各表面効果の種類に対応して表示されている選択ボタン(画面矢印)の表示位置が、入力部58の操作指示によって選択されることで、評価「高」「中」「低」といった評価情報が入力される。
そして、該評価情報入力画面の「OK」ボタンが操作されることで、評価情報入力画面に表示されたユーザ名(ユーザの識別情報)、用紙名(用紙情報)、各表面効果の種類に対応する評価情報を示す情報が、入出力制御部567に入力される。
クリアプロセッシング2456のクリアトナー版生成部563は、上述のように、クリアトナー版データ、またはテスト用クリアトナー版データを生成する。そして、生成したクリアトナー版データ(またはテスト用クリアトナー版データ及びテスト用有色版データ)を、si3部57へ出力する。
si3部57は、実施の形態1と同様に、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの有色版データと、クリアプロセッシング2456が生成した2ビットのクリアトナー版データとを統合し、統合した画像データをMIC60に出力する。なお、si3部57は、クリアプロセッシング2456からテスト用クリアトナー版データ及びテスト用有色版データを受け付けた場合には、ハーフトーン処理した該テスト用有色版データと、2ビットの該テスト用クリアトナー版データと、を統合したテストチャートデータを画像データとして、該画像データをMIC60に出力する。
MIC60は、実施の形態1と同様に、後処理機として搭載されている装置構成を示す装置構成情報をDFE50に出力する。また、MIC60は、有色版データ(または、テスト用有色版データ)、クリアトナー版データ(またはテスト用クリアトナー版データ)をDFE50から受信して各画像データを対応する装置に振り分けるとともに、後処理機の制御を行う。
より具体的には、MIC60は、上述の図19に例示されるように、DFE50から出力された画像データのうちCMYKの有色版データ(またはテスト用有色版データ)をプリンタ機70に出力し、プリンタ機70で用いるクリアトナー版データ(またはテスト用クリアトナー版データ)がある場合にはこれもプリンタ機70に出力し、DFE50から出力されたオンオフ情報を用いて、グロッサ80をオン又はオフにして、低温定着機90で用いるクリアトナー版データ(またはテスト用クリアトナー版データ)がある場合にはこれを低温定着機90に出力する。
DFE50から出力された画像データが、テスト用有色版データ及びテスト用クリアトナー版データを含むテストチャートデータである場合には、該テスト用有色版データによって特定される有色画像(各パッチ画像の説明画像)が記録媒体に有色トナーで形成されると共に、テスト用クリアトナー版データによって特定される、表面効果の種類の異なる複数のパッチ画像の群であるテストチャートが、クリアトナーによって該記録媒体に形成される。
図24に戻り、判別部566は、用紙情報取得部565で受け付けた用紙情報が、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている場合には、用紙情報取得部565を介して表面効果選択テーブル決定部564に、該用紙情報に対応する表面効果選択テーブルの決定要求を表面効果選択テーブル決定部564へ出力する。一方、判別部566は、用紙情報取得部565で受け付けた用紙情報が、表面効果選択テーブル記憶部561に登録されていない場合(すなわち、該用紙情報及び該用紙情報に対応する表面効果選択テーブルが表面効果選択テーブル記憶部561に登録されていない場合)には、該用紙情報が未登録であることを示す情報を、用紙情報取得部565及び表面効果選択テーブル決定部564を介して、クリアトナー版生成部563へ出力する。
表面効果選択テーブル決定部564は、判別部566から用紙情報取得部565を介して、用紙情報取得部565で取得した用紙情報に対応する表面効果選択テーブルの決定要求を受け付ける。この場合、表面効果選択テーブル決定部564は、用紙情報取得部565で取得した用紙情報に対応する表面効果選択テーブルを表面効果選択テーブル記憶部561から決定する。
クリアトナー版生成部563は、表面効果選択テーブル決定部564で決定された表面効果選択テーブル、及び該表面効果選択テーブルに評価情報が対応づけて記憶されている場合には該評価情報を参照し、光沢制御版記憶部562に記憶された光沢制御版データを用いて、上述したように、該光沢制御版データを構成する各画素の表す濃度値(画素値)に対する表面効果を判断する。そして、クリアトナー版生成部563は、当該判断に応じて、グロッサ80のオン又はオフの決定や、2ビットのクリアトナー版データを適宜生成する。
一方、用紙情報取得部565で取得した用紙情報が未登録であることを示す情報を判別部566から受け付けた場合、クリアトナー版生成部563は、該用紙情報に対応する表面効果選択テーブルの生成指示を表面効果選択テーブル生成部568へ出力する。なお、この生成指示は、用紙情報取得部565で取得した該用紙情報を含む。
表面効果選択テーブル生成部568は、クリアトナー版生成部563から受け付けた用紙情報に対応する表面効果選択テーブル、すなわち、表面効果選択テーブル記憶部561に未登録の該用紙情報に対応する表面効果選択テーブルを生成する。
詳細には、表面効果選択テーブル生成部568は、表面効果選択テーブルの生成指示を受け付けると、テストチャート印刷制御部569へテストチャート印刷要求を出力する。
テスト用光沢制御版記憶部569Aは、テスト用光沢制御版データを予め記憶する。テスト用光沢制御版データとは、互いに異なる表面効果の種類の各々に対応するパッチ画像の位置及び各パッチ画像の表面効果の種類を特定したデータである。具体的には、図32で説明したパッチ画像の各々の表面効果の種類及び各パッチ画像の記録媒体上での形成位置や形成範囲を特定したデータである。テスト用光沢制御版データは、予めテスト用光沢制御版記憶部569Aに記憶されている。
テストチャート印刷制御部569は、表面効果選択テーブル生成部568からテストチャート印刷要求を受け付けたときに、テスト用光沢制御版記憶部569Aに格納されているテスト用光沢制御版データを読取り、表面効果選択テーブル生成部568を介してクリアトナー版生成部563へ出力する。
クリアトナー版生成部563は、テスト用光沢制御版データを受け付けた場合には、表面効果選択テーブル決定部564を介して、表面効果選択テーブル記憶部561から、予め定めた用紙情報(例えば、普通紙)に対応する表面効果選択テーブルを読み取る。そして、該テスト用光沢制御版データによって特定される各パッチ画像の表面効果の種類を、読み取った表面効果選択テーブルに示される濃度値に基づいて判断する。
そして、クリアトナー版生成部563は、当該判断に応じて、グロッサ80のオン又はオフを決定すると共に、該判断結果と、予め記憶した、例えばK色の8ビットのテスト用有色版データと、を用いて、インバースマスクやベタマスクを適宜生成することにより、該パッチ画像に応じてクリアトナーを付着させるための2ビットのテスト用クリアトナー版データを適宜生成する。そして、クリアトナー版生成部563は、該8ビットのテスト用有色版データを例えば2ビットに変換し、2ビットのテスト用有色版データと、2ビットのテスト用クリアトナー版データと、をsi3部57へ出力する。
si3部57は、クリアプロセッシング2456からテスト用クリアトナー版データと、テスト用有色版データと、を受け付けた場合には、これらを含むテストチャートデータを画像データとして生成し、印刷装置70へ出力する。
これによって、プリンタ機70では、記録媒体に、テスト用クリアトナー版データによって特定される各パッチ画像の群からなるテストチャートをクリアトナーで記録媒体に形成すると共に、テスト用有色版データによって特定される各パッチ画像の説明画像を有色トナーで該記録媒体に形成する。これによって、例えば、上述した図32に示すパッチ画像の群からなるテストチャートと説明画像(テキスト)の形成された記録媒体が得られる。
そして、ユーザは、このテストチャートの形成された記録媒体を用いて、該記録媒体に形成されたテストチャートによって示される各パッチ画像の表面効果の種類の各々に対応する評価情報を、表示部59に表示された評価情報入力画面を参照しながら、入力部58によって入力する。これによって、入出力制御部567には、該評価情報入力画面に表示されたユーザ名(ユーザの識別情報)、用紙名(用紙情報)、各表面効果の種類に対応する評価情報を示す情報が入力される。
表面効果選択テーブル生成部568では、入出力制御部567から受け付けた、各表面効果の種類毎の評価情報を、テスト用クリアトナー版生成時にクリアトナー版生成部563が用いた表面効果選択テーブル(本実施の形態では、「普通紙」を含む用紙情報に対応する1の表面効果選択テーブル)、及び用紙情報取得部565で直前に取得した表面効果選択テーブル記憶部561に未登録の用紙情報に対応づけて、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶する。
このように、表面効果選択テーブル生成部568は、用紙情報取得部565が取得した、表面効果選択テーブル記憶部561に未登録の用紙情報、及び該用紙情報に対応する表面効果選択テーブルを対応づけて表面効果選択テーブル記憶部561に記憶することで、用紙情報取得部565で取得した未登録の用紙情報に対応する表面効果選択テーブルを生成する。
上述したように、クリアトナー版生成部563は、表面効果選択テーブル記憶部561に、表面効果選択テーブル決定部564で決定された表面効果選択テーブルに対応づけて、評価情報が記憶されている場合には、表面効果選択テーブル決定部564で決定された表面効果選択テーブルによって示される濃度値に対応する表面効果を、対応する評価情報に基づいて置換える。そして、置換後の表面効果の種類に対応する濃度値と、光沢制御版記憶部562に記憶された光沢制御版データと、から、クリアトナー版生成部563は、該光沢制御版データを構成する各画素の表す濃度値(画素値)に対する表面効果を判断する。
そして、クリアトナー版生成部563は、当該判断に応じて、グロッサ80のオン又はオフを決定すると共に、入力されたCMYKの各8ビットの有色版データを用いてインバースマスクやベタマスクを適宜生成することにより、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナー版データを適宜生成する。
なお、プリンタ機70の機能的構成については、図20を用いて説明した実施の形態1と同様である。
次に、本実施の形態に係る画像形成システムのDFE50が行う光沢制御処理の手順について図33を用いて説明する。図33において、ホスト装置10からの印刷データを受信から表面効果選択テーブルの決定処理までの処理(ステップS3311〜S3314)については実施の形態1の処理(ステップS11〜S14)と同様に行われる。ただし、表面効果選択テーブルの決定処理の詳細は実施の形態1と異なるが、これについては後述する。
次に、クリアプロセッシング2456のクリアトナー版生成部563は、実施の形態1と同様に、グロッサ80のオン又はオフを決定する(ステップS3315)。
ここで、ステップS3315において、ステップS3314で決定された表面効果選択テーブルに、評価情報が対応づけられて、表面効果選択テーブル記憶部561に格納されている場合には、以下の処理を行う。
詳細には、この場合、クリアトナー版生成部563は、8ビットの光沢制御版データを用いて、ステップS3314で決定された、用紙種類に対応する表面効果選択テーブルによって示される濃度値に対応する表面効果の種類を、対応する該評価情報に基づいて、濃度値が近く且つより高い評価情報に対応する表面効果の種類に置換えて判断する。
例えば、図31を例に挙げて説明する。例えば、表面効果「鏡面光沢 タイプC」の評価情報が「中」である場合には、該表面効果「鏡面光沢 タイプC」の濃度値に対応する表面効果の種類を、同じ大分類の表面効果である「鏡面光沢」であり、最も濃度値が近く、且つ評価情報のより高い種類の表面効果「鏡面光沢 タイプB」に置換えて判断する。
また、クリアトナー版生成部563は、例えば、表面効果「ベタ光沢 タイプ4」及び表面効果「ベタ光沢 タイプ3」の評価情報が「低」である場合には、該表面効果「ベタ光沢 タイプ3」及び「ベタ光沢 タイプ4」の濃度値に対応する表面効果の種類を、同じ大分類の表面効果である「ベタ光沢」であり、最も濃度値が近く、且つ評価情報のより高い種類の表面効果「ベタ光沢 タイプ2」に置換えて判断する。
そして、そして、クリアトナー版生成部563は、光沢制御版データを構成する全ての画素について、このような判断を行う。このようにして、クリアトナー版生成部563は、ステップS3314で決定された表面効果選択テーブルに、評価情報が対応づけられて、表面効果選択テーブル記憶部561に格納されている場合には、光沢制御版データを構成する全ての画素の表面効果を、該表面効果選択テーブルを評価情報に応じて置換えた表面効果の種類として判断する。そして、クリアトナー版生成部563は、当該判断に応じて、グロッサ80のオン又はオフを決定する(ステップS3315)。
次に、クリアトナー版生成部563は、実施の形態1と同様に、8ビットのクリアトナー版データを適宜生成する(ステップS3316)。ここで、ステップS3316において、ステップS3314で決定された表面効果選択テーブルに、評価情報が対応づけられて、表面効果選択テーブル記憶部561に格納されている場合には、以下の処理を行う。
詳細には、この場合、クリアトナー版生成部563は、8ビットの光沢制御版データを用いて、ステップS3314で決定された、用紙種類に対応する表面効果選択テーブルによって示される濃度値に対応する表面効果の種類を、対応する該評価情報に基づいて、上記ステップS3315と同様にして、濃度値が近く且つより高い評価情報に対応する表面効果の種類に置換えて判断する。
そして、クリアトナー版生成部563は、当該判断に応じて、該光沢制御版データと、ガンマ補正後の有色版データとを用いて、インバースマスクやベタマスクを適宜生成することにより、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナー版データを適宜生成する(ステップS3316)。
そして、ハーフトーンエンジン55は、ハーフトーン処理により、上記ステップS3316で生成した8ビットのクリアトナー版データを、2ビットのクリアトナー版データに変換する(ステップS3317)。
次に、DFE50のSi3部57は、ステップS3313で得たハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの有色版データと、ステップS3317で生成した2ビットのクリアトナー版データとを統合し、統合した画像データと、ステップS3315で決定したグロッサ80のオン又はオフを示すオンオフ情報と、を、画像データとしてMIC60に対して出力する(ステップS3318)。
なお、ステップS3316で、クリアトナー版生成部563が、クリアトナー版データを生成していない場合には、ステップS3318では、ステップS3313で得たハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの有色版データのみが統合されてMIC60に出力される。
次に、ステップS3314における表面効果選択テーブルの決定処理の詳細について説明する。図34は、実施の形態2の表面効果選択テーブルの決定処理の手順を示すフローチャートである。
まず、表面効果選択テーブル決定部564は、実施の形態1と同様に、用紙情報がユーザにより設定されているか否かを判断する(ステップS3420)。
そして、用紙情報がユーザにより設定されている場合には(ステップS3420:Yes)、表面効果選択テーブル決定部564は、ユーザ設定の用紙情報を入出力制御部567あるいはRAM等から取得する(ステップS3421)。
一方、ステップS3420で用紙情報がユーザにより設定されていない場合には(ステップS3420:No)、用紙情報取得部565が、MIC60を介してプリンタ機70に用紙情報の取得要求を送信し、用紙情報を取得する(ステップS3422)。ここで、用紙情報取得部565は、用紙種類、用紙の光沢度、用紙の凹凸情報の要素のうち、ユーザにより設定された優先順位が一番高い要素の取得要求を行う。
次に、用紙情報取得部565が、用紙情報をプリンタ機70から受信する(ステップS3423)。
次に、判別部566が、ステップS3421で取得またはステップS3423で受信した用紙情報と、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている用紙情報と、を比較する(ステップS3424)。
次に、判別部566は、ステップS3421で取得またはステップS3423で受信した用紙情報が、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている用紙情報の何れかに一致するか否かを判断する(ステップS3425)。
ステップS3425で、受信した用紙情報が表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている用紙情報の何れかに一致すると判断されると(ステップS3425:Yes)、後述するステップS3427へ進む。一方、ステップS3425で、受信した用紙情報が表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている用紙情報の何れかにも一致しないと判断されると(ステップS3425:No)、ステップS3426へ進む、詳細を後述する表面効果選択テーブル生成処理(ステップS3426)を実行した後に、ステップS3427へ進む。
ステップS3427では、表面効果選択テーブル決定部564が、ステップS3421またはステップS3423で取得した用紙情報に基づいて、表面効果選択テーブル記憶部561の中から表面効果選択テーブルを選択する(ステップS3427)。具体的には、表面効果選択テーブル決定部564は、上述したとおり、取得した用紙情報に含まれる用紙種類、あるいは取得した用紙情報の光沢度や凹凸情報に関連した用紙種類を特定し、特定された用紙種類に対応する表面効果選択テーブルを選択する。
ここで、ステップS3422で用紙情報の取得要求を受信したプリンタ機70における用紙情報取得処理については、図23を用いて説明した実施の形態1と同様に行われる。
次に、図34のステップS3426の表面効果選択テーブル生成処理を説明する。図35は、実施の形態2の表面効果選択テーブル生成処理の手順を示すフローチャートである。図34のステップS3425において、判別部566が、受信した用紙情報が表面効果選択テーブル記憶部561に記憶されている用紙情報の何れかにも一致しないと判断されると(ステップS3425:No)、クリアトナー版生成部563が、該用紙情報に対応する表面効果選択テーブルの生成指示を表面効果選択テーブル生成部568へ出力し、図35の表面効果選択テーブル生成処理を実行する。
表面効果選択テーブルの生成指示を受け付けた表面効果選択テーブル生成部568は、テストチャート印刷制御部569へテストチャート印刷要求を出力する(ステップS3541)。テストチャート印刷要求を受け付けたテストチャート印刷制御部569は、テスト用光沢制御版記憶部569Aから、テスト用光沢制御版データを取得する(ステップS3542)。そして、表面効果選択テーブル生成部568は、取得したテスト用光沢制御版データをクリアトナー版生成部563へ出力する。
次に、クリアトナー版生成部563が、表面効果選択テーブル決定部564を介して表面効果選択テーブル記憶部561から、予め定めた1の表面効果選択テーブルとして、本実施の形態では、用紙種が普通紙である用紙情報に対応する1の表面効果選択テーブルを表面効果選択テーブル記憶部561から読み取る(ステップS3543)。
次に、クリアトナー版生成部563が、表面効果選択テーブル生成部568から受け付けたテスト用光沢制御版データと、予め記憶したテスト用有色版データと、ステップS3543で読み取った表面効果選択テーブルと、に基づいて、テスト用クリアトナー版データを生成する(ステップS3544)。
次に、印刷装置30が、テストチャートを記録媒体に印刷する(ステップS3545)。詳細には、si3部57が、上記ステップS3544の処理によって生成されたテスト用クリアトナー版データと、該テスト用クリアトナー版の生成時に用いたテスト用有色版データと、を含むテストチャートデータを画像データとして生成し、MIC60へ出力する。これによって、プリンタ機70では、記録媒体に、テスト用クリアトナー版データによって特定される各パッチ画像の群からなるテストチャートをクリアトナーで記録媒体に形成すると共に、テスト用有色版データによって特定される各パッチ画像の説明画像を有色トナーで該記録媒体に形成する。これによって、例えば、上述した図32に示すパッチ画像の群からなるテストチャートと説明画像(テキスト)の形成された記録媒体が得られる。
次に、入出力制御部567が、評価情報入力画面を表示部59に表示する制御を行う(ステップS3546)。そして、入出力制御部567は、評価情報の受け付け待ち状態となる(ステップS3547,S3547:No)。すなわち、入出力制御部567は、該評価情報入力画面に表示されたユーザ名(ユーザの識別情報)、用紙名(用紙情報)、各表面効果の種類に対応する評価情報を示す情報が、ユーザによる入力部58の操作指示によって入出力制御部567に入力されるまで、待ち状態となる。
ステップS3547で、ユーザから評価情報を受け付けると(ステップS3547:Yes)、ステップS3548へ進む。
ステップS3548では、表面効果選択テーブル生成部568が、上記ステップS3543の処理時にクリアトナー版生成部563が読み取った表面効果選択テーブルを、上記ステップS3421またはステップS3423(図34参照)の処理によって、用紙情報取得部565で取得した用紙情報と、ステップS3547で受け付けた各表面効果の種類毎の評価情報と、に対応づけて、表面効果選択テーブル記憶部561に記憶する(ステップS3548)。このときに、ステップS3547で受け付けたユーザ名(ユーザの識別情報)や用紙名も対応づけて記憶してもよい。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態では、取得した用紙情報が表面効果選択テーブル記憶部561に格納されていない場合には、用紙情報に応じた表面効果選択テーブルを作成し、表面効果選択テーブル記憶部561に格納する。このため、用紙情報及び用紙情報に対応する表面効果選択テーブルが表面効果選択テーブル記憶部561に格納されていない場合についても、適宜、表面効果選択テーブルを生成し、用紙情報に応じたクリアトナー版データを生成することができる。
このため、本実施の形態では、用紙の種類や用紙情報の登録の有無にかかわらず、ユーザが意図する表面効果を得ることができる。
また、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、用紙の種類にかかわらず、ユーザが意図する表面効果を得ることができる。
(実施の形態3)
実施の形態1、2では、DFE50にクリアプロセッシング56を設け、DFE50で、表面効果選択テーブルの決定処理、クリアトナー版データの生成処理を行うように構成したが、これに限定されるものではない。
すなわち、一の装置で行っていた複数の処理のいずれかを、一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成にしてもよい。
その一例として、実施の形態3の画像形成システムでは、DFEの機能の一部を、ネットワーク上のサーバ装置上に実装している。
図36は、実施の形態3に係る画像形成システムの構成を例示する図である。図36に示すように、本実施の形態の画像形成システムは、ホスト装置3010と、DFE3050と、MIC60と、プリンタ機70と、グロッサ80と、低温定着機90と、クラウド上のサーバ装置3060とを備えている。グロッサ80や低温定着機90等の後処理装置は、これらに限定されるものではない。
本実施の形態では、ホスト装置3010とDFE3050とがインターネット等のネットワークを介して、サーバ装置3060と接続された構成となっている。また、本実施の形態では、実施の形態1、2のホスト装置10の各版データの生成処理を行うモジュールと、実施の形態1、2のDFE50のクリアプロセッシング56,2456を、サーバ装置3060に設けた構成となっている。
ここで、ホスト装置3010、DFE3050、MIC60、プリンタ機70、グロッサ80、低温定着機90の接続構成は、実施の形態1、2と同様である。
すなわち、具体的には、実施の形態3では、ホスト装置3010とDFE3050とがインターネット等のネットワーク(クラウド)を介して、単一のサーバ装置3060に接続し、サーバ装置3060は版データ生成部3062、印刷データ生成部3063、クリアプロセッシング3066を設け、サーバ装置3060で、有色版データ、クリア版データおよび光沢制御版データの生成を行う版データ生成処理、印刷データの生成処理、表面効果選択テーブルの決定処理、クリアトナー版データの生成処理を行うように構成している。
まず、サーバ装置3060について説明する。図37は、実施の形態3にかかるサーバ装置3060の機能的構成を示すブロック図である。サーバ装置3060は、図37に示すように、記憶部3070と、版データ生成部3062と、印刷データ生成部3063と、クリアプロセッシング3066と、通信部3065とを主に備えている。
記憶部3070は、HDDやメモリ等の記憶媒体であり、濃度値選択テーブル3069とを記憶している。濃度値選択テーブル3069は、図6を用いて説明した実施の形態1の濃度値選択テーブル3069と同様である。
通信部3065は、ホスト装置3010、DFE3050との間で各種データや要求の送受信を行う。より具体的には、通信部3065は、ホスト装置3010から、画像指定情報および指定情報と、印刷データの生成要求とを受信し、生成された印刷データをホスト装置3010に送信する。また、通信部3065は、DFE3050から、8ビットの光沢制御版の画像データと、8ビットの有色版の画像データと、クリアトナー版の生成要求とを受信し、生成されたクリアトナー版の画像データとオンオフ情報とをDFE3050に送信する。
版データ生成部3062は、実施の形態1、2のホスト装置10と同様に、有色版データ、光沢制御版データ、クリア版データを生成する。
本実施の形態の印刷データ生成部3063は、実施の形態1、2のホスト装置10と同様に、図8に示す印刷データを生成する。
クリアプロセッシング3066は、実施の形態1のDFE50におけるクリアプロセッシング56と同様の機能を有しており、その機能的構成は、図10に示した機能的構成と同一である。あるいは、クリアプロセッシング3066は、実施の形態2のDFE50におけるクリアプロセッシング2456と同様の機能を有しており、その機能的構成は、図24に示した機能的構成と同一構成としてもよい。
次に、DFE3050について説明する。図38は、実施の形態3のDFE3050の機能的構成を示すブロック図である。本実施の形態のDFE3050は、レンダリングエンジン51と、si1部52と、TRC53と、si2部3054と、ハーフトーンエンジン55と、si3部57とを主に備えている。ここで、レンダリングエンジン51、si1部52、TRC53、ハーフトーンエンジン55、si3部57の機能および構成については実施の形態1、2のDFE50と同様である。
本実施の形態のsi2部3054は、TRC53によるガンマ補正後の8ビットの光沢制御版データと、CMYKの8ビットの有色版データと、クリアトナー版の生成要求とを、サーバ装置3060に送信し、サーバ装置3060から、クリアトナー版データとオンオフ情報とを受信する。
次に、以上のように構成された本実施の形態に係る画像形成システムによる印刷処理に必要なクリアトナー版の生成処理ついて説明する。図39は、実施の形態3にかかるクリアトナー版の生成処理の全体の流れを示すシーケンス図である。
まず、ホスト装置3010がユーザから画像指定情報および指定情報を入力し(ステップS3901)、画像指定情報および指定情報とともに印刷データ生成要求をサーバ装置3060に送信する(ステップS3902)。
サーバ装置3060では、画像指定情報および指定情報とともに印刷データ生成要求を受信し、有色版の画像データ、光沢制御版の画像データ、クリア版の画像データをそれぞれ生成する(ステップS3903)。そして、サーバ装置3060は、これらの画像データから印刷データを生成し(ステップS3904)、生成した印刷データをホスト装置3010に送信する(ステップS3905)。
ホスト装置3010では、印刷データを受信すると、この印刷データをDFE3050に送信する(ステップS3906)。
DFE3050では、印刷データをホスト装置3010から受信すると、印刷データを解析して、有色版の画像データ、光沢制御版の画像データ、クリア版の画像データを得て、これらの画像データに変換や補正等を行う(ステップS3907)。そして、DFE3050は、有色版の画像データ、光沢制御版の画像データ、クリア版の画像データと、クリアトナー版生成要求とを、サーバ装置3060に送信する(ステップS3908)。
次に、サーバ装置3060は、有色版データ、光沢制御版データ、クリア版データと、クリアトナー版生成要求とを受信すると、クリアプロセッシング3066が、印刷対象の用紙情報を取得して、用紙情報に基づいて、表面効果選択テーブルを選択する(ステップS3909)。この表面効果選択テーブルの決定処理は、図22を用いて説明した実施の形態1のDFE50のクリアプロセッシング56による処理と同様に行われる。あるいは、表面効果選択テーブルの決定処理を、図34,35を用いて説明した実施の形態2のDFE50のクリアプロセッシング2456による処理と同様に行うように構成してもよい。
次に、サーバ装置3060は、オンオフ情報を決定し(ステップS3910)、クリアトナー版の画像データを生成する(ステップS3911)。そして、サーバ装置3060は、生成したクリアトナー版の画像データをDFE3050に送信する(ステップS3912)。
これ以降のMIC60、プリンタ機70,グロッサ80、低温定着機90における処理については、実施の形態1、2と同様に行われる。
このように本実施の形態では、有色版データ、光沢制御版データ、クリア版データ、印刷データおよびクリアトナー版データの生成、表面効果選択テーブルの決定処理を、クラウド上のサーバ装置3060で行っているので、実施の形態1、2と同様の効果を奏する他、複数のホスト装置3010やDFE3050が存在する場合でも、濃度値選択テーブルや表面効果選択テーブルの変更等も一括して行うことができ、管理者の便宜となる。
なお、本実施の形態では、クラウド上の単一のサーバ装置3060に、版データ生成部3062、印刷データ生成部3063、クリアプロセッシング3066を設け、サーバ装置3060で、有色版データ、クリア版データおよび光沢制御版データの生成を行う版データ生成処理、印刷データの生成処理、表面効果選択テーブルの決定処理、クリアトナー版データの生成処理を行うように構成したが、これに限定されるものではない。
例えば、クラウド上に2以上のサーバ装置を設け、上記各処理を、2以上のサーバ装置で分散させて実行するように構成してもよい。図40は、クラウド上に2つのサーバ(第1サーバ装置3860と第2サーバ装置3861)を設けたネットワーク構成図である。図40の例では、第1サーバ装置3860と第2サーバ装置3861とで、有色版データ、クリア版データおよび光沢制御版データの生成を行う版データ生成処理、印刷データの生成処理、表面効果選択テーブルの決定処理、クリアトナー版データの生成処理を分散して行うように構成する。
例えば、第1サーバ装置3860に版データ生成部3062、印刷データ生成部3063を設け、第1サーバ装置3860で版データ生成処理、印刷データ生成処理を行うように構成し、第2サーバ装置3861にクリアプロセッシング3066を設け、第2サーバ装置3861で、表面効果選択テーブルの決定処理およびクリアトナー版データ生成処理を実行するように構成することができる。なお、各処理の各サーバ装置への分散の形態はこれに限定されるものではなく、任意に行うことができる。
すなわち、ホスト装置3010やDFE3050に最低限の構成を設ければ、版データ生成部3062、印刷データ生成部3063、クリアプロセッシング3066の一部または全部をクラウド上の一つのサーバ装置に集中して設けたり、複数のサーバ装置に分散させて設けたりすることは任意に行うことができる。
言い換えると、上述の例のように、一の装置で行っていた複数の処理のいずれかを、一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成にすることができる。
また、上記の「一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成」の場合、一の装置で行われた処理で発生したデータ(情報)を一の装置から他の装置に出力する処理、そのデータを他の装置が入力する処理等、一の装置と他の装置間、さらには、他の装置間同士で行われるデータの入出力処理を含むような構成となる。
つまり、他の装置が1つの場合では、一の装置と他の装置間で行われるデータの入出力処理を含むような構成となり、他の装置が2以上の場合では、一の装置と他の装置間、及び、第一の他の装置・第二の他の装置間のように他の装置間同士でデータの入出力処理を含むような構成となる。
また、実施の形態3では、サーバ装置3060、あるいは第1サーバ装置3860および第2サーバ装置3861などの複数のサーバ装置を、クラウド上に設けているが、これに限定されるものではない。例えば、サーバ装置3060、あるいは第1サーバ装置3860および第2サーバ装置3861などの複数のサーバ装置を、イントラネット上に設ける等、あらゆるネットワーク上に設けた構成としてもよい。
上述した実施の形態のホスト装置10、3010、DFE50、3050、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861のハードウェア構成について説明する。図41は、ホスト装置10、3010、DFE50、3050、サーバ装置3060のハードウェア構成図である。ホスト装置10、3010、DFE50、3050、サーバ装置3060、第1サーバ装置3860、第2サーバ装置3861は、ハードウェア構成として、装置全体を制御するCPUなどの制御装置2901と、各種データや各種プログラムを記憶するROMやRAMなどの主記憶装置2902と、各種データや各種プログラムを記憶するHDDなどの補助記憶装置2903と、キーボードやマウス等の入力装置2905と、ディスプレイ装置等の表示装置2904とを主に備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
上記実施の形態のホスト装置10、3010で実行される画像処理プログラム(画像処理アプリケーションを含む。以下同。)は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供される。
また、上記実施の形態のホスト装置10、3010で実行される画像処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態のホスト装置10,3010で実行される画像処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、上記実施の形態のホスト装置10、3010で実行される画像処理プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
上記実施の形態のホスト装置10、3010で実行される画像処理プログラムは、上述した各部(版データ生成部、印刷データ生成部、入力制御部、表示制御部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から画像処理プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、版データ生成部、印刷データ生成部、入力制御部、表示制御部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
また、上記実施の形態のDFE50、3050で実行される印刷制御処理は、ハードウェアで実現する他、ソフトウェアとしての印刷制御プログラムで実現してもよい。この場合において、上記実施の形態のDFE50、3050で実行される印刷制御プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
上記実施の形態のDFE50、3050で実行される印刷制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供するように構成してもよい。
さらに、上記実施の形態のDFE50、3050で実行される印刷制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態のDFE50で実行される印刷制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
上記実施の形態のDFE50、3050で実行される印刷制御プログラムは、上述した各部(レンダリングエンジン、ハーフトーンエンジン、TRC、si1部、si2部、si3部、クリアプロセッシング)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから印刷制御プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、レンダリングエンジン、ハーフトーンエンジン、TRC、si1部、si2部、si3部、クリアプロセッシングとして主記憶装置上に生成されるようになっている。
また、上記実施の形態のサーバ装置3060で実行される各データの生成処理は、ハードウェアで実現する他、ソフトウェアとしての生成プログラムで実現してもよい。この場合において、上記実施の形態のサーバ装置3060で実行される生成プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
上記実施の形態のサーバ装置3060で実行される各データの生成処理プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供するように構成してもよい。
さらに、上記実施の形態のサーバ装置3060で実行される各データの生成処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態のサーバ装置3060で実行される各データの生成処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
上記サーバ装置3060で実行される各データの生成処理プログラムは、上述した各部(版データ生成部、印刷データ生成部、クリアプロセッシング)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから生成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、版データ生成部、印刷データ生成部、クリアプロセッシングとして主記憶装置上に生成されるようになっている。
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、以下に例示するような種々の変形が可能である。
上述した実施の形態において、画像形成システムは、ホスト装置10,3010、DFE50,3050,MIC60、プリンタ機70、グロッサ80及び低温定着機90を備えるように構成したが、これに限らない。例えば、DFE50、3050、MIC60及びプリンタ機70を一体的に形成して1つの画像形成装置として構成するようにしても良いし、更に、グロッサ80及び低温定着機90を備えた画像形成装置として形成するようにしても良い。
上述した実施の形態の画像形成システムにおいては、CMYKの複数の色のトナーを用いて画像を形成するようにしたが、1色のトナーを用いて画像を形成するようにしても良い。
なお、上述した実施の形態のプリンタシステムは、MIC60を備えた構成としているが、これに限定されるものではない。上述したMIC60が行う処理、機能をDFE50等の他の装置にもたせて、MIC60を設けない構成としてもよい。