JP2013238260A - セラシ歯車装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構成を簡単化することによって装置全体を小型化して使用用途の範囲を拡大するとともに組立工程を簡単化できるセラシ歯車装置を提供する。
【解決手段】セラシ歯車装置100は、メイン歯車101およびサブ歯車104を備えている。メイン歯車101は、一方の側面における周縁部に周方向に沿って円弧上に突出した3つの曲面突出部102を備えている。サブ歯車104は、メイン歯車101に対向する側面における周縁部に周方向に沿って3つの傾斜面105を備えている。各傾斜面105は、メイン歯車101の側面に形成された曲面突出部102に対応する位置に周方向に沿って所定の角度θでサブ歯車104の内部に向かって平面状に傾斜して形成されている。そして、このサブ歯車104は、スプリング107によってメイン歯車101に押圧されている。これにより、サブ歯車104は、メイン歯車101に対して周方向に回転変位して位相差が生じる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、メイン歯車とサブ歯車とを互いに相対回転変位自在な状態で隣接配置するとともに、両歯車間で相対的に反対の回転方向に回転変位させる荷重を付与することによって両歯車間に位相差を形成させたセラシ歯車装置に関する。
従来から、自動車や自動二輪車などに搭載されるクラッチ装置においては、セラシ歯車装置(「シザーズ歯車装置」ともいう)が用いられている。セラシ歯車装置は、互いに噛合う2つの歯車間におけるバックラッシを解消するために、一方の歯車の歯を2つの歯で挟むために他方の歯車を互いに反対方向に相対回転変位する2つの歯車で構成されている。
例えば、下記特許文献1には、遠心クラッチ装置において、互いに同軸上に配置されたメイン歯車とサブ歯車とがクラッチアウタに形成された歯車にそれぞれ噛合うとともに、サブ歯車がねじりバネの弾性力によってクラッチアウタに形成された歯車に常時押し付けられた構成のセラシ歯車装置が開示されている。また、下記特許文献2には、減速装置において、互いに同軸上に配置されたプライマリードライブギアとセラシ歯車(シザーズギア)とがプライマリードリブンギアにそれぞれ噛合うとともに、プライマリードライブギアとセラシ歯車とが互いに嵌合する部分に配置した3つのコイルスプリングの弾性力によって互いに反対の回転方向に押し合うことによってプライマリードリブンギアを挟む構成のセラシ歯車装置が開示されている。
特開2002−295523号公報 特開平08−093886号公報
しかしながら、上記各特許文献1,2にそれぞれ記載されたセラシ歯車装置においては、サブ歯車やセラシ歯車の歯底より内側部分にねじりバネやコイルスプリングを設けるスペースを確保しなければならないため、サブ歯車やセラシ歯車が大径化してセラシ歯車装置の使用用途の範囲が制限されるという問題がある。また、これらの特許文献1,2に記載されたセラシ歯車装置においては、サブ歯車やねじりバネを保持する部品やねじりバネの回り止めの部品および3つのコイルスプリングなどの部品点数が多いため、セラシ歯車装置の大型化および複雑化を招来して組立工程を煩雑化するという問題があった。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、構成を簡単化することによって装置全体を小型化して使用用途の範囲を拡大するとともに組立工程を簡単化できるセラシ歯車装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、メイン歯車と、メイン歯車に対して同軸上に回転自在に隣接配置されたサブ歯車と、メイン歯車とサブ歯車との間で相対的に反対の回転方向に回転変位させる荷重を付与することによって両歯車間に位相差を形成させるセラシ荷重付与手段とを備えたセラシ歯車装置において、セラシ荷重付与手段は、メイン歯車とサブ歯車とが互い対向する各対向面のうちの一方の対向面に他方の対向面に向かって曲面状に突出する曲面突出部と、前記他方の対向面に凹状に凹んで設けられて曲面突出部上を摺動する傾斜面と、メイン歯車およびサブ歯車のうちの少なくとも一方を他方に向かって押圧する押圧手段とを備えたことにある。
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、セラシ歯車装置は、メイン歯車とサブ歯車とが互い対向する各対向面に互いに摺動し合う曲面突出部と傾斜面とをそれぞれ備えるとともに、メイン歯車およびサブ歯車のうちの一方を他方に押圧する押圧手段を備えて構成されている。このため、セラシ歯車装置は、曲面突出部と傾斜面とが互いに摺動し合って相対変位することによってメイン歯車とサブ歯車とが互いに反対の回転方向に相対的に変位する。この場合、セラシ歯車装置は、主として、曲面突出部および傾斜面の一方を備えたメイン歯車、曲面突出部および傾斜面の他方を備えたサブ歯車および押圧手段で構成されている。これにより、セラシ歯車装置は、従来に比べて構成を簡単化することによって装置全体を小型化して使用用途の範囲を拡大できるとともに組立工程を簡単化することができる。また、このセラシ歯車装置は、曲面突出部と傾斜面とが理論的には点接触または線接触となるため、摺動抵抗を低く抑えることができメイン歯車とサブ歯車とを円滑に相対的に変位させることができるとともに、曲面突出部と傾斜面とが互いに衝突した場合における衝突音を小さく抑えることができる。
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記セラシ歯車装置において、メイン歯車およびサブ歯車は、金属材料で構成され、傾斜面は、メイン歯車およびサブ歯車における回転軸に直交する面に対して30°以下の傾斜角で形成されていることにある。
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、セラシ歯車装置は、メイン歯車およびサブ歯車が金属材料で構成されるとともに、傾斜面がメイン歯車およびサブ歯車における回転軸に直交する面に対して30°以下の傾斜角で形成されている。すなわち、セラシ歯車装置は、傾斜面が30°以下の比較的低い傾斜角で形成されているため、互いに噛み合う歯車同士の軸線方向の摺動量が少なく抑えられて振動によるうなり音、および曲面突出部と傾斜面とが互いに衝突した場合における衝突音を小さく抑えることができる。
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記セラシ歯車装置において、曲面突出部および傾斜面は、メイン歯車およびサブ歯車における各対向面上に3組設けられるとともに、これら3組間における3つの配置間隔のうちの2つの配置間隔が互いに異なる距離に形成されていることにある。
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、セラシ歯車装置は、曲面突出部および傾斜面がメイン歯車およびサブ歯車における各対向面上に3組設けられるとともに、これら3組間における3つの配置間隔のうちの2つの配置間隔が互いに異なる距離に形成されている。換言すれば、セラシ歯車装置は、3組の曲面突出部と傾斜面とがメイン歯車およびサブ歯車における各対向面上に均等配置されていない。これにより、セラシ歯車装置は、メイン歯車とサブ歯車との間で各歯の位置関係を誤った位置関係で組付ける所謂誤組みを防止することができるとともに、メイン歯車およびサブ歯車の各歯数が3の倍数以外の場合に歯底部分に隣接して曲面突出部および傾斜面が配置されて歯車の強度が低下することを防止することができる。
また、請求項4に係る本発明の他の特徴は、前記セラシ歯車装置において、傾斜面は、メイン歯車またはサブ歯車の対向面における互いに隣り合う歯の歯底と歯底との間における歯の歯元側部分に形成されていることにある。
このように構成した請求項4に係る本発明の他の特徴によれば、セラシ歯車装置は、傾斜面がメイン歯車またはサブ歯車の対向面における互いに隣り合う歯の歯底と歯底との間における歯の歯元側部分に形成されているため、メイン歯車またはサブ歯車の強度低下を最小限に抑えることができるとともに、傾斜面の周囲の肉厚を確保し易くなるため、メイン歯車またはサブ歯車をより小型することができる。
本発明に係るセラシ歯車装置の外観構成を示す分解斜視図である。 図1に示したセラシ歯車装置におけるメイン歯車が形成された駆動軸の平面図である。 、図2に示すA−A線から見たセラシ歯車装置における要部の断面を示す要部断面図である。 図2に示す矢印B方向から見た曲面突出部および傾斜面を拡大して示す拡大部分正面図である。 本発明の変形例に係る曲面突出部および傾斜面を拡大して示す拡大部分正面図である。
以下、本発明に係るセラシ歯車装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るセラシ歯車装置100の構成を示す分解斜視図である。また、図2は、図1に示したセラシ歯車装置100におけるメイン歯車101が形成された駆動軸103の平面図である。また、図3は、図2に示すA−A線から見たセラシ歯車装置100における要部の断面を示す要部断面図である。また、図4は、図2に示す矢印Bから見た曲面突出部102および傾斜面105を拡大して示す拡大部分正面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。このセラシ歯車装置100は、図示しない自動車や自動二輪車などに搭載される図示しないクラッチ装置において動力を伝達する歯車として用いられるものである。
(セラシ歯車装置100の構成)
セラシ歯車装置100は、メイン歯車101を備えている。メイン歯車101は、セラシ歯車装置100に対して回転駆動力を伝達する、または同セラシ歯車装置100から回転駆動力を伝達するドライブ歯車90に噛合う鋼製の平歯車であり、駆動軸103の外周面上から多数の歯が放射状に突出して形成されている。このメイン歯車101には、一方(図示左側)の側面における周縁部に周方向に沿って3つの曲面突出部102がそれぞれ形成されている。
各曲面突出部102は、後述するサブ歯車104を軸方向および周方向に相対変位させるための突起であり、メイン歯車101の側面上において周方向に沿って円弧状に突出してそれぞれ形成されている。本実施形態においては、各曲面突出部102は、半径が約2mm、突出量が約1mm、全長が約3.5mm、および径方向の幅が約1mmの凸状に盛り上がる円弧面で構成されている。そして、これら3つの曲面突出部102は、メイン歯車101の側面上において、3つの配置間隔のうちの2つの配置間隔が互いに異なる長さの間隔を介して分散配置されるとともに、メイン歯車101における互いに隣り合う歯底と歯底との間の歯の歯元側部分に形成されている。また、この各曲面突出部102は、鍛造加工によってメイン歯車101の側面に形成される。
駆動軸103は、メイン歯車101に対して回転駆動力を伝達する、またはメイン歯車101から回転駆動力が伝達される鋼製の軸体であり、円筒状に形成されている。この駆動軸103は、主として、大径部103a、小径部103bおよびフランジ部103cによって構成されている。これらのうち、大径部103aは、前記メイン歯車101における他方(図示右側)の側面から図示右側に向かって円筒状に延びて形成されている。
また、小径部103bは、メイン歯車101における一方の(図示左側)の側面から図示左側に向かって大径部103aよりも小径の円筒状に延びて形成されている。この小径部103bは、サブ歯車104、スプリングおよびカラーをそれぞれ支持する部分である。また、フランジ部103cは、セラシ歯車装置100をクラッチ装置における図示しない他の構成部品に連結するための部分であり、大径部103aにおける一方(図示右側)の端部に径方向に張り出して形成されている。
サブ歯車104は、メイン歯車101に対して同軸上に隣接配置された状態でメイン歯車101と同様にドライブ歯車90に噛合う鋼製の平歯車であり、円筒体の外周面上から多数の歯が放射状に突出して形成されている。この場合、サブ歯車104に形成される歯は、メイン歯車101と同一の外径およびモジュールで形成されているとともに、メイン歯車101の歯幅よりも狭い歯幅に形成されている。また、サブ歯車104の内径は、駆動軸103における小径部103bの外径に対して所定のすきま嵌めの寸法で形成されている。すなわち、サブ歯車104は、駆動軸103における小径部103bに対して摺動変位可能な状態で嵌合している。
このサブ歯車104には、メイン歯車101に対向する側面における周縁部に周方向に沿って3つの傾斜面105がそれぞれ形成されている。各傾斜面105は、前記曲面突出部102上を摺動してサブ歯車104をメイン歯車101に対して軸方向および周方向に相対変位させるための傾斜面であり、メイン歯車101の側面に形成された曲面突出部102に対応する位置に形成されている。より具体的には、各傾斜面105は、サブ歯車104の側面上において周方向に沿って所定の角度θでサブ歯車104の内部に向かって平面状に傾斜して形成されている。本実施形態においては、各傾斜面105は、サブ歯車104の側面に平行な面に対して傾斜角θが約20°、深さが曲面突出部102の突出量と同一の深さ、全長が約2mm、および径方向の幅が曲面突出部102の幅より広い約1.5mmの幅の平面状に形成されている。
また、各傾斜面105における最深部には、曲面屈曲部102との干渉を防ぐための逃げ部106がそれぞれ形成されている。具体的には、各逃げ部106は、サブ歯車104の周方向に沿って一定の深さで延びた後、サブ歯車104の側面に向かって直交する方向に屈曲して形状されている。また、これらの各傾斜面105および各逃げ部106は、切削加工によってサブ歯車104の側面に形成される。
このサブ歯車104が支持される駆動軸103の小径部103b上には、サブ歯車104に隣接した状態でスプリング107が配置されている。スプリング107は、駆動軸103における小径部103bの外周部上にてサブ歯車104を押圧するための弾性体であり、鋼製のコイルスプリングによって構成されている。すなわち、このスプリング107が、本発明に係る押圧手段に相当する。このスプリング107が支持される駆動軸103の小径部103b上には、スプリング107に隣接した状態でカラー108が配置されている。カラー108は、駆動軸103における小径部103b上においてサブ歯車104を押圧するスプリング107の反力を受けるための部材であり、鋼材をリング状に形成して構成されている。このカラー108は、駆動軸103における小径部103bに対して圧入されて固定されている。
(セラシ歯車装置100の作動)
次に、このような構成したセラシ歯車装置100の作動について説明する。このセラシ歯車装置100は、前記したように、図示しない自動車や自動二輪車などに搭載される図示しないクラッチ装置に搭載されて動力を伝達する歯車として作用する。具体的には、セラシ歯車装置100は、メイン歯車101における1つの歯とサブ歯車104における1つの歯とがドライブ歯車90における1つの歯を挟んだ状態で回転駆動力を伝達する。
すなわち、セラシ歯車装置100は、図4の矢印Fに示すように、サブ歯車104がスプリング107の押圧力によって常にメイン歯車101側に押圧された状態となっている。このため、サブ歯車104は、図4の矢印Dに示すように、傾斜面105がメイン歯車101における曲面突出部102を押圧しながら同曲面突出部102の根元側(図示左側)に向かって摺動変位するため、メイン歯車101に対して周方向に回転変位して位相差が生じる。
この場合、サブ歯車104は、傾斜面105と曲面突出部102とが線接触により摺動抵抗が低く抑えられているため円滑に回転変位することができる。これにより、セラシ歯車装置100は、互いに回転方向に相対変位したメイン歯車101の歯とサブ歯車104の歯とでドライブ歯車90の歯を挟んだ状態となる。この結果、セラシ歯車装置100は、ドライブ歯車90に対して互いの歯同士が噛み合った際のバックラッシを解消することができる。すなわち、曲面突出部102、傾斜面105およびスプリング107が、本発明に係るセラシ荷重付与手段に相当する。
このようなセラシ歯車装置100の作動状態においては、ドライブ歯車90またはメイン歯車101の回転方向の逆転、セラシ歯車装置100を搭載するクラッチ装置やこのクラッチ装置を搭載する車両から受ける振動や衝撃などによってサブ歯車104がスプリング107の押圧力に抗する周方向および/または軸線方向に変位して傾斜面105が曲面突出部102から離隔する場合がある。このような場合、サブ歯車104は、スプリング107の押圧力によって直ちに傾斜面105が曲面突出部102に向かう方向に押圧されるため、傾斜面105と曲面突出部102との間で衝撃音を生じさせる。しかし、この場合、セラシ歯車装置100は、傾斜面105と曲面突出部102とは線接触であること、および傾斜角θが比較的小さい角度である20°に設定されているため、衝撃音を低く抑えることができるとともに前記したように摺動抵抗が低いため直ちに元の状態、すなわち、メイン歯車101の歯とサブ歯車104の歯とでドライブ歯車90の歯を挟んだ状態に復帰させることができる。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、セラシ歯車装置100は、メイン歯車101とサブ歯車104とが互い対向する各対向面に互いに摺動し合う曲面突出部102と傾斜面105とをそれぞれ備えるとともに、サブ歯車104をメイン歯車101に押圧するスプリング107を備えて構成されている。このため、セラシ歯車装置100は、曲面突出部102と傾斜面105とが互いに摺動し合って相対変位することによってメイン歯車101とサブ歯車104とが互いに反対の回転方向に相対的に変位する。この場合、セラシ歯車装置100は、主として、曲面突出部102を備えたメイン歯車101、傾斜面105を備えたサブ歯車104およびスプリング107で構成されている。これにより、セラシ歯車装置100は、従来に比べて構成を簡単化することによって装置全体を小型化して使用用途の範囲を拡大できるとともに組立工程を簡単化することができる。また、このセラシ歯車装置100は、曲面突出部102と傾斜面105とが線接触となるため、摺動抵抗を低く抑えることができメイン歯車101とサブ歯車104とを円滑に相対的に変位させることができるとともに、曲面突出部102と傾斜面105とが互いに衝突した場合における衝突音を小さく抑えることができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、下記変形例を示す図においては、上記実施形態におけるセラシ歯車装置100の構成部分に対応する部分に同じ符号を付して、これらの説明は適宜省略する。
例えば、上記実施形態においては、セラシ歯車装置100は、メイ歯車101の側面に曲面突出部102を形成するとともに、サブ歯車104の側面に傾斜面105を形成して構成されている。しかし、曲面突出部102および傾斜面105は、メイン歯車101とサブ歯車102とが互い対向する各対向面にそれぞれどちらか一方が成形されていればよい。すなわち、セラシ歯車装置100は、メイ歯車101の側面に傾斜面105を形成するとともに、サブ歯車104の側面に曲面突出部102を形成して構成されてもよい。
また、上記実施形態においては、曲面突出部102は、円弧上に盛り上がる形状に形成した。しかし、曲面突出部102は、傾斜面105に接触する位置に曲面状に突出して形成、換言すれば、傾斜面105に対して点接触または線接触する形状に形成されていれば、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、曲面突出部102は、楕円円弧状や球面状に突出した形状に形成することもできる。
また、上記実施形態においては、傾斜面105は、直線状に延びる平面状に形成した。しかし、傾斜面105は、曲面突出部102に接触する位置に曲面突出部102に対して点接触または線接触する凹状に凹んだ形状に形成されていれば、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、傾斜面105は、図5に示すように、円弧上に形成することもできる。この場合、円弧上に形成される傾斜面105は、曲面突出部102を構成する円弧よりも大きな内径の円弧に形成するとよい。これによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。なお、この場合、傾斜面105は、円弧形状の他に凹状に凹む球面形状であってもよい。
また、上記実施形態においては、傾斜面105は、サブ歯車104の側面に平行な面に対して傾斜角θが約20°に形成されている。しかし、傾斜面105の傾斜角θは、セラシ歯車装置100の仕様に応じて適時設定されればよく、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。この場合、自動車や自動二輪車などに搭載されるクラッチ装置やブレーク装置などの常に大きな振動や衝撃が加わるセラシ歯車装置100や伝達駆動力が大きなセラシ歯車装置100においては、メイン歯車101およびサブ歯車104が金属材料で構成されることからメイン歯車101における曲面突出部102とサブ歯車104における傾斜面105との間で大きな衝突音が発生し易い。また、これらの車両用のセラシ歯車装置100においては、エンジン、クラッチ装置およびブレーキ装置などから伝わる振動、車輪側から作用する所謂バックトルク、およびメイン歯車102やサブ歯車105の成形誤差や組立誤差などによってサブ歯車104がドライブ歯車90に対して軸方向に摺動して不可避的にうなり音や振動が生じる。
このような場合、本発明者らの実験によれば、傾斜面105の傾斜角θをメイン歯車102およびサブ歯車105における回転軸に直交する面に対して30°以下に設定することによって前記衝突音、前記うなり音および振動をそれぞれ小さく抑えることができることを見出した。したがって、傾斜面105の傾斜角θは、メイン歯車102およびサブ歯車105における回転軸に直交する面に対して0°よりも大きくかつ30°以下の範囲に設定するとよい。
また、上記実施形態においては、サブ歯車104は、メイン歯車101の歯幅よりも薄く形成されている。しかし、サブ歯車104は、メイン歯車101の歯幅以上の歯幅で形成されていてもよいことは当然である。
また、上記実施形態においては、スプリング107によって構成される押圧手段は、サブ歯車104をメイン歯車101に押し付けるように構成した。しかし、押圧手段は、メイン歯車およびサブ歯車のうちの少なくとも一方を他方に向かって押圧するように構成されていれば、上記実施に限定されるものではない。例えば、押圧手段は、メイン歯車101をサブ歯車104に押し付けるようにしてもよいし、メイン歯車101とサブ歯車104とが互いに押し付け合うように構成してもよい。また、押圧手段自体もスプリング107に限定されるものではない。例えば、押圧手段としては、コイルスプリングの他に、スプリングワッシャやゴムなどの弾性体を採用してもよいし、磁石の吸引力または反発力を利用したものであってもよい。
また、上記実施形態においては、曲面突出部102および傾斜面105をメイン歯車101およびサブ歯車104における各側面に3組配置するとともに、3組の配置間隔のうちの2組の配置間隔が互いに異なる長さの間隔を介して分散配置した。セラシ歯車装置100は、メイン歯車101とサブ歯車104との間で各歯の位置関係を誤った位置関係で組付ける所謂誤組みを防止することができるとともに、メイン歯車101およびサブ歯車104の各歯数が3の倍数以外の場合に歯底部分に隣接して曲面突出部102および傾斜面105が配置されて歯車の強度が低下することを防止することができる。しかし、曲面突出部102および傾斜面105の配置数および配置位置は、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、曲面突出部102および傾斜面105は、メイン歯車101およびサブ歯車104における各側面に少なくとも1組以上配置されていればよく、曲面突出部102および傾斜面105を3組以上配置する場合においても各組間の配置間隔は均等配置でもよい。
また、上記実施形態においては、傾斜面105は、サブ歯車104における互いに隣り合う歯底と歯底との間の歯の歯元側部分に形成されている。これにより、凹状に切り欠いて形成される傾斜面105の周囲の肉厚を確保し易くなるため、サブ歯車104の強度低下を最小限に抑えることができるとともに、サブ歯車104をより小型することができる。しかし、傾斜面105の形成位置は、上記実施形態に限定されるものではなく、メイン歯車101またはサブ歯車104における各側面上の任意の位置に形成することができる。例えば、傾斜面105は、傾斜面105が形成されるメイン歯車101またはサブ歯車104が十分な肉厚を有する大きさまたは形状に形成されている場合には、メイン歯車101またはサブ歯車104における歯の歯底側部分に形成することもできる。
また、上記実施形態においては、メイン歯車101およびサブ歯車104は、鋼材を用いて構成した。しかし、メイン歯車101およびサブ歯車104を構成する材料は、セラシ歯車装置100の仕様に応じて適宜選定されればよい。したがって、メイン歯車101およびサブ歯車104は、例えば、樹脂材を用いて構成されていてもよい。また、上記実施形態においては、メイン歯車101は、駆動軸103に対して一体的に形成した。しかし、メイン歯車101は、駆動軸103に対してサブ歯車104のように別体で形成して駆動軸103に固定するようにしてもよい。
θ…傾斜角、
90…ドライブ歯車、
100…セラシ歯車装置、101…メインギア、102…曲面突出部、103…駆動軸、103a…大径部、103b…小径部、103c…フランジ部、104…サブ歯車、105…傾斜面、106…逃げ部、107…スプリング、108…カラー。

Claims (4)

  1. メイン歯車と、
    前記メイン歯車に対して同軸上に回転自在に隣接配置されたサブ歯車と、
    前記メイン歯車と前記サブ歯車との間で相対的に反対の回転方向に回転変位させる荷重を付与することによって両歯車間に位相差を形成させるセラシ荷重付与手段とを備えたセラシ歯車装置において、
    前記セラシ荷重付与手段は、
    前記メイン歯車と前記サブ歯車とが互い対向する各対向面のうちの一方の対向面に他方の対向面に向かって曲面状に突出する曲面突出部と、
    前記他方の対向面に凹状に凹んで設けられて前記曲面突出部上を摺動する傾斜面と、
    前記メイン歯車および前記サブ歯車のうちの少なくとも一方を他方に向かって押圧する押圧手段とを備えたことを特徴とするセラシ歯車装置。
  2. 請求項1に記載したセラシ歯車装置において、
    前記メイン歯車および前記サブ歯車は、金属材料で構成され、
    前記傾斜面は、前記メイン歯車および前記サブ歯車における回転軸に直交する面に対して30°以下の傾斜角で形成されていることを特徴とするセラシ歯車装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載したセラシ歯車装置において、
    前記曲面突出部および前記傾斜面は、
    前記メイン歯車および前記サブ歯車における前記各対向面上に3組設けられるとともに、これら3組間における3つの配置間隔のうちの2つの配置間隔が互いに異なる距離に形成されていることを特徴とするセラシ歯車装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載したセラシ歯車装置において、
    前記傾斜面は、
    前記メイン歯車または前記サブ歯車の前記対向面における互いに隣り合う歯の歯底と歯底との間における歯の歯元側部分に形成されていることを特徴とするセラシ歯車装置。
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