JP2013237913A - スパッタリング装置及びスパッタリング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】反応性スパッタにより所望の膜質を有する化合物膜を得られるという機能を損なうことなく、その成膜速度を向上することができるようにしたスパッタリング装置を提供する。
【解決手段】真空処理室1aで基板に対向配置される金属製のターゲットT,Tと、ターゲットに電力投入する交流電源Eaと、真空処理室内にスパッタガスと反応ガスとを夫々導入するガス導入手段7,8とを備える。ターゲットは筒状の輪郭を有するものであり、このターゲットをその軸線を回転中心として回転駆動する駆動手段Mと、ターゲット内に設けられた、基板に対向するターゲットの外表面にその長手方向に沿って漏洩磁場を発生する磁場発生手段MGとを更に備える。駆動手段は、ターゲットの外表面をスパッタリングしたときに逆堆積する、ターゲットから飛散したスパッタ粒子と反応ガスとの反応生成物でこの外表面が覆われない速さにターゲットの回転数を制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、スパッタリング装置及びスパッタリング方法に関し、より詳しくは、所定の反応ガス雰囲気中で金属製のターゲットをスパッタリングし、基板のターゲットとの対向面に反応性スパッタリングにより金属化合物膜を成膜するものに関する。
低屈折率の薄膜と高屈折率の薄膜とを交互に積層し、反射防止やバンドパスフィルター等の所定の光学特性を有する薄膜を形成することがあり、このような薄膜として、チタン酸化物膜やシリコン酸化物膜を用いることが従来から知られている。また、チタン酸化物膜やシリコン酸化物膜は、例えば表示装置の誘電体膜としても用いられることもある。このようなシリコン酸化物膜やチタンの酸化物膜の成膜方法として、例えば生産性を考慮して、ターゲットをシリコンやチタンの金属製とし、このターゲットを配置した真空処理室内にアルゴン等の希ガスからなるスパッタガスと共に反応ガスたる酸素ガスや窒素ガスを導入し、反応性スパッタリング(以下、「スパッタ」という)によりシリコンやチタンの金属酸化物膜または金属窒化物膜(金属化合物膜)を成膜することが従来から知られている。
上記スパッタ装置としてはマグネトロン方式のものが広く利用され、このスパッタ装置は、真空処理室内で処理すべき基板に対向配置される金属製のターゲットと、このターゲットの基板と対向面側を上として、ターゲットの下方に配置されてこのターゲット上方にトンネル状の漏洩磁場を形成する磁石ユニットとを有する。ターゲットとして平面視略矩形のものを用いる場合を例に説明すると、磁石ユニットとしては、ターゲットに平行に配置される平面視略矩形の支持板(ヨーク)上面中央に、その長手方向に沿って線状に中央磁石を配置すると共に、の中央磁石の周囲を囲うように支持板上面の周縁全体に亘ってターゲット側の極性が異なる周辺磁石を配置して構成したものが例えば特許文献1で知られている。そして、反応ガス雰囲気中でターゲットに負の電位を持った直流電力または交流電力を印加し、この磁石ユニットを中央磁石と直交する方向に一定のストロークで往復動しながらターゲットをスパッタし、ターゲットから飛散したスパッタ粒子と反応ガスとを反応させて基板表面に成膜される。
ここで、図4を参照して、上記スパッタ装置を用い、所定電力(例えば、10kW)をターゲットに投入して反応性スパッタにより金属酸化物膜を形成する場合、真空処理室内に導入する酸素ガスの流量を比較的少なくする(真空処理室内での酸素分圧を低く設定する)と、基板表面での成膜レートは高くなるものの、十分に酸化した膜質の金属酸化物膜を得ることができない(所謂メタルモードスパッタ)。それに対して、真空処理室内に導入する酸素ガスの流量を比較的多くする(真空処理室内での酸素分圧を高く設定する)と、十分に酸化した膜質の酸化物膜が得られるものの、基板表面での成膜レートが(メタルモードモードスパッタの約1/5程度まで)著しく低下する(酸化モードスパッタ)。
この場合、ターゲットに投入する単位電力において、ターゲット表面での放電電圧や、プラズマの発光強度を測定し、この測定結果の基に真空処理室内に導入する酸素ガスの流量をフィードバック制御し、放電電圧を高く維持することで成膜レートを高めつつ十分に酸化した酸化物膜が得られるようにすることが知られている(所謂遷移モード:例えば特許文献2参照)。然し、酸素流量を減少させていく場合と増加させていく場合とではヒステリシスがあり、しかも、酸素ガスの微細な流量変化でメタルモードまたは酸化物モードに移行してしまうため、制御機器が追従できず、成膜レートを向上させるには限界がある。
そこで、本発明者らは、鋭意検討を重ね、金属製ターゲットを用い、反応性スパッタにより金属酸化物膜を形成する場合、酸化モードスパッタにて成膜レートが低下するのは、スパッタ中、磁石ユニットを往復動させていることでターゲットのスパッタ面に局所的にスパッタされない領域が生じ、この領域に位置するスパッタ面に、ターゲットから飛散したスパッタ粒子と酸素との絶縁物たる反応生成物が逆堆積し、次に磁石ユニットが戻ってきたとしてもこの領域における反応生成物を効果的にスパッタできず、これが繰り返されてターゲットのスパッタレートが低下していくことに起因することの知見を得た。
特開平7−34244号公報 特開2006−290550号公報
本発明は、上記点に鑑み、反応性スパッタにより所望の膜質を有する化合物膜を得られるという機能を損なうことなく、その成膜速度を向上することができるようにしたスパッタ装置及びスパッタ方法を提供することをその課題とするものである。
上記課題を解決するために、真空処理室で処理すべき基板に対向配置される金属製のターゲットと、ターゲットに電力投入するスパッタ電源と、真空処理室内にスパッタガスと反応ガスとを夫々導入するガス導入手段とを備え、所定の反応ガス雰囲気中で金属製のターゲットをスパッタリングし、基板のターゲットとの対向面に反応性スパッタリングにより金属化合物膜を成膜するスパッタリング装置において、前記ターゲットは筒状の輪郭を有するものであり、このターゲットをその軸線を回転中心として回転駆動する駆動手段と、前記ターゲット内に設けられた、基板に対向するターゲットの外表面にその長手方向に沿って漏洩磁場を発生する磁場発生手段とを更に備え、駆動手段は、ターゲットの外表面をスパッタリングしたときに逆堆積する、ターゲットから飛散したスパッタ粒子と反応ガスとの反応生成物でこの外表面が覆われない速さにターゲットの回転数を制御することを特徴とする。
本発明によれば、反応ガスとして酸素ガスを用い、反応性スパッタにより金属酸化物膜を成膜する場合を例に説明すると、筒状の輪郭を有するターゲットを用い、基板に対向するターゲットの外表面に磁場発生手段により漏洩磁場を発生させているため、反応性スパッタ時にスパッタ粒子と酸素ガスとの反応生成物が逆堆積する領域には常時漏洩磁場が作用してその上方にプラズマが形成されて当該領域が常にスパッタされることと、スパッタ中、ターゲットを所定回転数以上で回転駆動させて反応生成物で覆われることが確実に防止されることとが相俟って、ターゲットが所定回転数より低い回転数で回転駆動されることで酸化モードスパッタとなる範囲にて真空処理室内に酸素ガスを導入したとしても、ターゲット自体はメタルモードスパッタ状態を維持して真空処理室内の酸素分圧のみを上昇させることができる。その結果、スパッタレートは、メタルモードスパッタのときの同等のものを維持し、ターゲットと基板との間の空間でのスパッタ粒子と酸素ガスとの反応性が向上して所望の膜質を有する化合物膜を得られるという機能を損なうことなく、その成膜速度を向上することができる。なお、本発明において、「ターゲットから飛散したスパッタ粒子と反応ガスとの反応生成物でターゲットの外表面が覆われない」とは、上記の如く、真空処理室内の酸素分圧を上昇させても、ターゲット自体はメタルモードスパッタ状態を維持することを意味する。
また、本発明者の実験では、スパッタ中のターゲットの回転数を15rpm以上とすれば、ターゲットに直流電力を投入して反応性スパッタリングにより金属酸化物を成膜する場合でも、高い成膜レートで十分に酸化した膜質の金属酸化物膜が成膜できることが確認された。この場合、ターゲットの回転数は、ターゲットの外径に応じて適宜調節される。また、前記ターゲット外表面における漏洩磁場の磁場強度を600G以上とすれば、ターゲットと基板との間の空間に発生するプラズマの密度が高くなることで、一層膜質のよい金属酸化物膜が得られることが確認された。
更に、本発明においては、ターゲットの長手方向に対して直交方向に所定間隔で複数本のターゲットを並設し、スパッタ電源として交流電源を用い、交流電源からの出力を、並設したターゲットのうち対をなすものに夫々接続しておけば、面積の大きい基板に対しても生産性よく成膜することができてよい。
更に、上記課題を解決するために、上記スパッタリング装置にて、反応ガスたる酸素ガスを導入し、基板のターゲットとの対向面に反応性スパッタリングにより金属酸化物膜を成膜する本発明のスパッタリング方法は、スパッタリング中、ターゲットを15rpm以上の回転数で回転駆動させることを特徴とする。
本発明のスパッタリングの装置の構成例を説明する模式図。 図1のカソードユニットの構成を拡大して示す断面図。 図1のIII−III線に沿う断面図。 反応性スパッタにより金属酸化物膜を成膜するときの酸素分圧と放電電圧との関係を示すグラフ。
以下、図面を参照して、ターゲットをシリコン、反応ガスを酸素ガスとし、また、処理すべき基板を矩形のガラス基板(以下、「基板S」という)とし、この基板Sを水平に移送し、基板Sの片面にシリコン酸化物膜を成膜する場合を例に本発明のマグネトロン方式のスパッタ装置及びスパッタ方法の実施形態を説明する。
図1〜図3を参照して、SMは、本実施形態に係るスパッタ装置であり、スパッタ装置SMはインライン式に構成されたものであり、例えばターボ分子ポンプ、ローターポンプ等の図外の真空ポンプで真空引きされる、真空成膜室(真空処理室)1aを画成する直方体形状の真空チャンバ1を備える。この真空チャンバ1の上流側(図1中、左側)及び下流側(図1中、右側)には、図外の真空ポンプにより夫々真空引きされる、上流側の真空補助室2aを画成する補助真空チャンバ2と、下流側の真空補助室3aを画成する補助真空チャンバ3とがゲートバルブGVを介して夫々連設されている。以下においては、図1を基準に、真空チャンバ1及び両補助真空チャンバ2、3の連設した方向を搬送方向とし、上、下、右、左といった方向を示す用語を用いるものとする。
真空成膜室1aと、上流側及び下流側の両真空補助室2a,3aとの底部には、搬送方向に線状にのびるように一対のレール部材4,4が設けられている。レール部材4にはスライダ51がスライド自在に係合し、このスライダ51上に基板Sを位置決め保持するステージ52が設けられている。また、真空成膜室1aの中央部には、上方に突出させてカソード収納空間1bが設けられ、このカソード収納空間1bにマグネトロンスパッタカソードCが設けられている。
マグネトロンスパッタカソードCは、図2及び図3に示すように、搬送方向に所定間隔で配置される2本の円筒状のターゲットT,Tと、両ターゲットT,T内に夫々収納された磁場発生手段としての磁石ユニットMGとで構成されている。両ターゲットT,Tには、スパッタ電源としての交流電源Eaからの出力が夫々接続され、対をなす両ターゲットT,Tに所定の周波数(30〜70kHz)で電力投入されるようになっている。なお、交流電源Eaとしては公知のものが利用できるため、ここでは詳細な説明を省略する。
両ターゲットT,Tは、同一の形態を有するシリコン製のものであり、ターゲットT,Tの軸線方向の長さは搬送方向に直交する方向(図2中、前後方向)の基板Sの幅よりも長く設定され、また、一方のターゲットTの上流端と他方のターゲットTの下流端とを結ぶ長さが基板Sの左右方向の長さ(全長)より長くなるように各ターゲットT,Tの外径が設定されている。また、ターゲットはT,Tは円筒状で銅製の芯材Tcにインジウムやスズなどのボンディング材を介して外挿され、特に図示して説明しないが、スパッタ中、冷媒を循環させて冷却されるようにしている。
磁石ユニットMGは、平面視矩形で磁石の吸着力を増幅する磁性材料製の支持板(ヨーク)Mg1を有する。支持板Mg1の下面には、その中央部で長手方向に沿って線状に配置した中央磁石Mg2と、中央磁石Mg2の周囲を囲うように支持板Mg1の外周に沿って配置した周辺磁石Mg3とが基板Sたる下側の極性を変えて設けられている。中央磁石Mg2の同磁化に換算したときの体積は、周辺磁石Mg3の同磁化に換算したときの体積の和(周辺磁石:中心磁石:周辺磁石=1:2:1)に等しくなるように設計され、これにより、基板Sとの対向する各ターゲットT,Tの外表面下方に、釣り合ったトンネル状の漏洩磁場Mfがそれぞれ形成される。この場合、中央磁石Mg2及び周辺磁石Mg3は、ネオジム磁石等の公知のものであり、これらの中央磁石Mg2及び周辺磁石Mg3は一体ものでも、または、所定体積の磁石片を複数列設して構成してもよいが、ターゲットT,Tの外表面における漏洩磁場Mfの磁場強度は600G以上となるようにしている。
ターゲットT,Tと磁石ユニットMGとは次のようにカソード収納空間1bを画成する真空チャンバ1の壁面に着脱自在に取り付けられている。即ち、カソード収納空間1bを画成する真空チャンバ1の搬送方向手前側の壁面には、モータMの駆動軸Msが図示省略の真空シールを介して挿入され、その端部には駆動板Mpが設けられている。この場合、モータMと駆動板Mpとで本実施形態の駆動手段を構成する。駆動板Mpには、芯材Tcの搬送方向手前側に形成したフランジTc1に接合されている。また、ターゲットT,Tの搬送方向(軸方向)奥側の端部は、真空チャンバ1の内壁面に設けた軸受B1で支承されている。また、磁石ユニットMGの支持板Mg1の一側は、フランジTc1の内方に設けた他の軸受B2で支持され、その他側が真空チャンバ1の内壁面に固定されている。これにより、モータMにより駆動軸Msを回転駆動すると、その回転数に応じてターゲットT,Tが駆動され、このとき支持板Mg1は、基板Sとの対向する各ターゲットT,Tの外表面下方に釣り合ったトンネル状の漏洩磁場Mfが形成する姿勢を維持される。
駆動手段としてのモータMとしては例えばDCモータが用いられ、スパッタ中、15rpm以上の回転数で両ターゲットT,Tが夫々回転駆動されるようにしている。なお、回転数の上限は、ターゲットT,Tを回転駆動するための部品等の耐久性を考慮して25rpm以下であることが望ましい。これにより、ターゲットT,Tと基板Sとの間の空間に発生するプラズマの密度を高めてスパッタ粒子と酸素ガスとの反応性を一層向上させ、一層膜質のよい金属酸化物膜が得られる。
また、カソード収納空間1bの下端部には、その内方へと水平に延出させてアース接地の防着板6が設置され、また、カソード収納空間1bの真空チャンバ1の側壁には、上下方向に所定間隔でスパッタガスとしてのアルゴンガスと反応ガスとしての酸素ガスとをカソード収納空間1b、ひいては、真空成膜室1a、に導入するガス導入手段7,8としてのガス導入口71,81が開設されている。ガス導入口71,81にはガス導入管72,82が接続され、各ガス導入管72,82にはマスフローコントローラ73、83が夫々開設され、アルゴンガス及び酸素ガスのガス源74,84に夫々連通している。そして、マスフローコントローラ73、83を適宜制御して真空成膜室1aにアルゴンガスと反応ガスとが一定の流量で導入できるようにしている。
上記スパッタ装置SMは、マイクロコンピュータ、記憶素子やシーケンサ等を備えた公知の制御ユニット(図示せず)を備え、この制御ユニットは、スライダ51を介したステージ52の移動等の基板搬送部品の制御、真空ポンプの制御、並びに、交流電源Ea、マスフローコントローラ73、83、ターゲットT,Tを回転駆動するモータM等のスパッタによる成膜時の各部品の制御などを統括して行う。本実施形態では、制御ユニットに投入電力(例えば、電力7.5kW。なお、周波数は電源にて30〜70kHzの範囲で制御される)が設定され、これに応じて、交流電源EaによりターゲットT,Tの外表面での放電電圧と放電電流が制御され、この放電電圧が所定値となるようにマスフローコントローラ73、83がフィードバック制御されて真空処理室1a内に導入する酸素ガスの流量を調節するようにしている(所謂PID制御による遷移モードスパッタ)。以下に、上記スパッタ装置SMにより基板S表面にシリコン酸化物膜を成膜するスパッタ方法を説明する。
先ず、上流側の真空補助室2aにて基板Sをステージ52上に保持させ、この上流側の真空補助室2aを所定圧力まで真空引きする。そして、上流側のゲートバルブGVの開け、スライダ51を介してステージ52を搬送方向前側(図1中、右側)に向けて移動させる。これにより、ステージ52がゲートバルブGVを設けた空間を跨いで、所定圧力まで真空引きされた真空成膜室1aに移送され、基板Sが、真空成膜室1a内においてカソード収納空間1bを臨んで対をなすターゲットT,Tに対向する位置に到達する。
次に、真空成膜室1a内にアルゴンガスと酸素ガスとが導入される。これに併せて、交流電源Eaにより対をなす両ターゲットT,Tに設定電力が投入される。これにより、各ターゲットT,Tが所定の周波数でアノード電極またはカソード電極に交互に切り替わり、両ターゲットT,Tと基板Sとの間の空間にグロー放電を生じさせてプラズマ雰囲気が形成され、プラズマ中のスパッタガスのイオンで各ターゲットT,Tがスパッタされる。そして、ターゲットT,Tからのスパッタ粒子が上記空間に存する酸素と反応しつつ基板Sに付着、堆積し、シリコン酸化物膜が成膜される。スパッタ中、両ターゲットT,Tは、モータMにより15rpm以上の一定の回転数で夫々回転駆動され、また、放電電圧が所定値となるようにマスフローコントローラ73,83がフィードバック制御されて真空成膜室1a内に導入される酸素ガスの流量が調節される。なお、基板Sは、左から右に向かって走行させながら成膜するようにしてもよい。
基板S表面に所定の膜厚でシリコン酸化物膜が成膜されると、電力投入が停止されると共にアルゴンガスと酸素ガスとの導入が停止される。そして、下流側のゲートバルブGVの開けてステージ52を移動させると、ステージ52がゲートバルブGVを設けた空間を跨いで下流側の真空補助室3aに移送され、下流側の真空補助室3aを大気開放した後、成膜済みの基板Sが回収される。
上記実施形態によれば、基板Sに対向するターゲットT,Tの外表面に、磁石ユニットMGにより600G以上の強漏洩磁場を発生させているため、反応性スパッタ時にスパッタ粒子と酸素ガスとの反応生成物が逆堆積する領域には常時漏洩磁場が作用してその上方にプラズマが形成されて、当該領域が常にスパッタされることと、スパッタ中、ターゲットT,Tを15rpm以上の回転数で回転駆動させて反応生成物で覆われることが確実に防止されることとが相俟って、ターゲットが所定回転数より低い回転数で回転駆動されることで酸化モードスパッタとなる範囲で真空処理室内に酸素ガスを導入したとしても、ターゲットT,T自体はメタルモードスパッタ状態を維持してターゲットT,Tのスパッタレートの低下が抑制されて真空処理室内の酸素分圧のみを上昇させることができる。その結果、スパッタレートは、メタルモードスパッタのときの同等のものを維持し、ターゲットT,Tと基板Sとの間の空間でのスパッタ粒子と酸素ガスとの反応性が向上して所望の膜質を有する化合物膜を得られるという機能を損なうことなく、その成膜速度を向上することができる。
以上の効果を確認するために上記スパッタ装置を用いて次の実験を行った。即ち、ターゲットとして、外径φ131mmで長さ800mのシリコン(純度99%)製のものをその中心間距離が約200mmとなるように配置し、300×400mmのガラス基板にシリコン酸化物膜を成膜した。反応性スパッタの条件として、ターゲットの下外表面と基板との間の間隔を約100mm、マスフローコントローラを制御して成膜開始当初のArガスのガス流量を120sccmに設定し、真空チャンバ内に導入した。そして、交流電源の周波数を30〜70kHz、投入電力を7.5kWに設定し、1500Åの膜厚が得られるようにスパッタした。スパッタ中、放電電圧が、酸素ガスを導入しない場合における放電電圧の約80%となるように(例えば、520V)酸素ガス流量を制御するようにした(なお、成膜開始当初、酸素ガスは導入しないこととした)。そして、スパッタ中におけるターゲットの回転数を5rpm(実験1)、15rpm(実験2)及び20rpm(実験3)にそれぞれ設定して成膜したシリコン酸化物膜の膜質を目視で評価した。
上記実験によれば、実験1では、ガラス基板に成膜したシリコン酸化物膜が茶褐色であり、十分に酸化されたものではなかった。また、その成膜レートを測定したところ、850Å/secであり、上記従来例のメタルモードスパッタ以上の成膜レートが得られた。これは、膜中に多少の酸素が取り込まれたことによる体積増加によるものであると考えられる。他方、実験2及び実験3では、ガラス基板に成膜したシリコン酸化物膜が無色透明であり(実験3の方がより透明である)、茶褐色であり、その成膜レートを測定したところ、実験2では、1000Å/sec、実験3では、1200Å/secであり、上記従来例の酸化モードスパッタの約5倍近い成膜レートが得られていることが確認された。なお、ターゲット外表面での磁場強度を600Gから400Gに変更し、上記と同様に成膜したところ、実験2では、シリコン酸化物膜が僅かに着色したが、実験3では、上記同様、無色透明であった。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。上記実施形態では、をシリコン、反応ガスを酸素ガスとしたものを例に説明したが、ターゲットとして、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)等を用いることができ、また、反応ガスとして窒素ガスを用いて窒化物膜(化合物膜)を成膜することができ、このような場合に本発明を適用すれば、同一の効果を持って所定の薄膜を成膜することができる。
また、上記実施形態では、スパッタリング装置SMをインライン式に構成したものを例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えばクラスターツールとして構成することができる。更に、上記実施形態では、ターゲットを2本としたが、真空処理室に配置するターゲットの本数は任意に設定でき、また、スパッタ電源としてDC電源を用いることもできる。また、上記実施形態では、スパッタ中の酸素ガスの流量制御が放電電圧を基に行なわれるものを例としたが、これに限定されるものではなく、プラズマの発光強度から制御するようにしてもよい。
SM…スパッタ装置、C…マグネトロンスパッタカソード、Ea…交流電源(スパッタ電源)、MG…磁石ユニット、M…モータ(駆動手段)、Mp…駆動板(駆動手段)、S…ガラス基板(処理すべき基板)、T,T…金属製のターゲット、1…真空成膜室(真空処理室)、7,8…ガス導入手段。

Claims (5)

  1. 真空処理室で処理すべき基板に対向配置される金属製のターゲットと、ターゲットに電力投入するスパッタ電源と、真空処理室内にスパッタガスと反応ガスとを夫々導入するガス導入手段とを備え、所定の反応ガス雰囲気中で金属製のターゲットをスパッタリングし、基板のターゲットとの対向面に反応性スパッタリングにより金属化合物膜を成膜するスパッタリング装置において、
    前記ターゲットは筒状の輪郭を有するものであり、このターゲットをその軸線を回転中心として回転駆動する駆動手段と、前記ターゲット内に設けられた、基板に対向するターゲットの外表面にその長手方向に沿って漏洩磁場を発生する磁場発生手段とを更に備え、駆動手段は、ターゲットの外表面をスパッタリングしたときに逆堆積する、ターゲットから飛散したスパッタ粒子と反応ガスとの反応生成物でこの外表面が覆われない速さにターゲットの回転数を制御することを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 前記回転数は15rpm以上であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  3. 前記ターゲット外表面における漏洩磁場の磁場強度は600G以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のスパッタリング装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のスパッタリング装置であって、前記ターゲットの長手方向に対して直交方向に所定間隔で複数本のターゲットを並設したものにおいて、
    スパッタ電源として交流電源を用い、交流電源からの出力を、並設したターゲットのうち対をなすものに夫々接続したことを特徴とするスパッタリング装置。
  5. 請求項3または請求項4記載のスパッタリング装置にて、反応ガスたる酸素ガスを導入し、基板のターゲットとの対向面に反応性スパッタリングにより金属酸化物膜を成膜するスパッタリング方法において、
    スパッタリング中、ターゲットを15rpm以上の回転数で回転駆動させることを特徴とするスパッタリング方法。

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