JP2018184646A - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents
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Abstract
Description
反応性スパッタ法において、RF電源を用いて成膜する場合、反応性には優れるが、成膜速度が遅いため、量産性に劣ることが課題であった。
成膜方法が得られる。ゆえに、本発明は、反応性に優れた被膜が、高速にて形成できる成膜方法をもたらす。
図1は、本発明に係る成膜装置(スパッタ装置)の一例を示す構成図であり、成膜装置の全体構成を表わしている。スパッタ装置10は、被処理体となる樹脂製シート体S(以下、基板とも呼ぶ)に対して被膜を形成するものである。スパッタ装置10は、図1の左側から右側へ向けて順に、送り出しチャンバ11、前処理チャンバ12、成膜チャンバ13、および、巻き取りチャンバ16を備えている。これらの4つのチャンバは、被処理体の搬送方向に沿ってこの順に並んでいる。4つのチャンバのうち、互いに隣り合うチャンバの間の各々は、連絡通路17、17a、17bによって接続されている。
前処理チャンバ12は、送り出しチャンバ11から連絡通路17を介して搬入したシート体Sを搬送方向に沿って、成膜チャンバ13に向けて搬送しながら加熱する。
成膜チャンバ13は、成膜ローラー13Rを搭載する。成膜ローラー13Rは、成膜チャンバ13の内部における略中央に位置し、成膜ローラー13Rにおいて、その外周面のほとんどは成膜空間K1に位置し、その外周面の一部が搬送空間K2に位置している。
成膜ローラー13Rは、アノード(陽極)として機能する。成膜ローラー13Rと対向する位置に、後述する複数のカソード13Cが配置される。アノード(陽極)として機能する成膜ローラー13Rは、電力ケーブル(不図示)を介してアースと電気的に接続されていればよい。成膜ローラー13Rの外面に沿って、被処理体であるシート体Sが移動する。
このような構成からなる各隔壁部13bは、成膜空間K1内において、1つのカソード13Cが位置する空間と他のカソード13Cが位置する空間とを互いに区分する。複数の隔壁部13bによって区画された複数の空間には、それぞれ1つの排気部18が接続されており、複数の空間はそれぞれ、各排気部18によって個別に減圧される。
スパッタ装置10は、シート体Sを第一ローラー11Rから第二ローラー16Rに向けて搬送する途中で、成膜チャンバ13にて、シート体Sにおけるカソード13Cと向かい合う一主面上に、所定のターゲットおよび所定のプロセスガスを用いて、所望の被膜を形成する。
図2および図3は,図1の成膜装置が備えるカソード13Cに適用される異なるタイプの構成例を示す図である。図2のカソード13C(α)は、平板状の2つターゲットが配置されている場合であり、図3のカソード13C(β)は、円筒状の2つのターゲットが配置されている場合である。以下では、図2および図3に基づき、詳細に説明する。
(a)図1に示した4つのカソード13Cでは、チャンバ13の内部での位置が互いに異なるものの、所望の被膜の形成に関わる構成は互いに同じである。
(b)図1に示した4つのカソード13Cは、各カソード13Cに搭載されるターゲットの形成材料を互いに異なるものとすることにより、異なる膜組成の被膜が順に積層して形成されるようにしてもよい。
そのため、以下では、1つのカソード13Cを説明し、他のカソードの詳しい説明は省略する。
図2は、図1の成膜装置が備えるカソードの一例を示す構成図である。
図2のカソード13C(α)は、成膜ローラー13Rの外周面に対する接線TLとほぼ平行な方向である接線方向に沿って並ぶ2つのターゲット21を備えている。各ターゲット21は、軸方向に沿って延びる板状に形成され、1つの側面である表面が、成膜ローラー13Rと向かい合う。
図3は、図1の成膜装置が備えるカソードの他の一例を示す構成図である。
図3のカソード(陰極)13C(β)は、後述するターゲット31に電気的に接続される端子を構成し、電力ケーブルを介して電源装置(たとえば、交流電源装置)34に電気的に接続されている。また、このカソード13C(β)は、冷却水供給装置(不図示)と接続される冷却水循環パイプ(不図示)によって、成膜時の温度上昇が抑制される。
図4に示すように、カソード13C(β)は、全体が略円筒形に形成されている。カソード13C(β)は、中空円筒形の基体(バッキングチューブ)32と、この基体32の軸心方向Rに沿った中央領域S1で、基体32の外周面を覆うターゲット31とからなる。この中央領域S1を除く両端側は、基体22が露出した連結領域S2とされている。
たとえば、スパッタリングの際に、ターゲット31,31を、軸心方向Rを回転中心として所定の速度で回転させることにより、ターゲットが均一な厚みで減少するとともに、大面積(長尺状)のシート体Sの一面全体に対して、均一な膜厚の薄膜を形成できる。
遷移モードでは、スパッタ時に反応性ガスの流量を増加すると、急激に成膜速度が変化する。通常は、遷移モードでは、プラズマが安定することはなく、専用のフィードバック機構が必要となる。このような傾向を纏めたものが、表3である。
PID制御方式(Impedance control System)は、ターゲット電圧を一定にするように、反応性ガスをフィードバックする方式である。この方式は、ターゲット材料に依存するため、使用できるターゲットに制限がある点が短所となる。
PEM制御方式(Plasma Emission Monitor System)は、プラズマの発光強度を一定にするように、反応性ガスを一定にする方式である。この方式は、ターゲット材料に依存せず、すべての材料に適応可能である点が長所となる。
DCスパッタ方式においては、直流電流(Direct Current)が用いられる。グランド電位にある防着板やチムニー等がアノードとして機能する。防着板やチムニーに、SiOx等の絶縁物が堆積すると、アノードとしての機能を果たさなくなり、放電(プラズマ)が不安定になりやすい。このため、DCスパッタ方式は、反応性スパッタには不向きである。
AC(MF)スパッタ方式においては、交流電流(Alternating Current)が用いられる。隣接するターゲットがアノードとして機能する。隣接するターゲットが交互にアノードとカソードに切り替わるため、ターゲット上に再付着した膜(Re-depo膜)がスパッタされるため、安定したアノードが確保され、放電(プラズマ)が安定しやすい。このため、AC(MF)スパッタ方式は、反応性に好ましい。
磁場強度の調整手段としては、マグネット交換や、マグネット位置をシム・ブロック・ネジ(ネジにドーナツ状のシムブロックを入れた機構)、またはボールねじ機構等を用い物理的に移動させる手法、が挙げられる。磁場強度の測定点は、ターゲット直上である。
図13より、所望の磁場強度(たとえば、460Gの場合:太い実線)において、メタルモード(Metal Mode)から酸化物モード(Oxide Mode)へ移行させるため酸素量を増加させた場合(Flow up)と、酸化物モードからメタルモードへ移行させるため酸素量を減少させた場合(Flow down)とは、放電の発光強度(PEM Intensity)は異なる変化を辿り、ヒステリシスループを描くことが分かった。この傾向は磁場強度に依存せず、800G(細い実線)、1000G(太い点線)の場合も同様である。
しかしながら、磁場強度が増えるに連れて(460G→800G→1000G)、酸化物モードに移行する酸素流量が減少する。すなわち、磁場強度の増加は、反応性の向上を促し、酸化に必要な酸素流量の減少をもたらす。
発光強度は、Speedflo V6 manual, section-8, control に記載されている、PMT(Photomultiplier tube) SENSOR TESTING、ADJUSTING THE GAIN ON PMTs、HYSTERESIS RAMP 項目を参考に取得される。
本願における具体的手順としては、次の手順a〜cにより発光強度を測定する。これに基づき、手順dによりPEM強度を、手順eによりPEM変動を、順に求める。
基準強度とする。
手順b:酸素流量を増加させる。
手順c:酸素流量を増加させても(たとえば)光量変動が±1%以内に収まる状況と
なるか、最大流量(この場合は500sccm)とした状態を、最小発光
基準強度とする。
ただし、上記手順a−cにより求める「最大発光基準強度」と「最小発光強度」
は、成膜するバッチ毎に変更する。
PEM強度(PEM Intensity)[%]
=100*[(現在発光強度−最小発光基準強度)
/最大発光基準強度−最小発光基準強度)]
PEM変動(PEM Fluctuation)[%]
=|PEM強度最大値[%]−PEM強度最小値[%]|
≒|(10分連続計測Data範囲における)PEM強度最大値[%]
−(10分連続計測Data範囲における)PEM強度最小値[%]|
・上記手順eで採用した「10分」とは、ターゲットの回転数(rpm)を
考慮し、ターゲット1本あたり、10回転分の測定データに基づき判断する
ためである。但し、本発明は「10分」に限定されるものではない。
・PEMで言う発光強度とはプラズマ光の特定波長における発光強度を指し、
図13の例で言えばNb,NbxOyをモニタリングする意味から410nmの
波長における発光強度のみを監視する。但し、あくまでもこれは一例であり、
複数波長の監視あるいは別波長を監視しても良い。
円筒型ターゲットを用いたスパッタにおいては、ターゲットが回転しているため、電圧や発光強度の変動が生じる。この変動は、ターゲットの偏芯や回転軸のずれに起因するものであり回避することが難しい。
(C1)磁場強度が上がるに連れて、比抵抗の極小値をとる最適酸素量の範囲が拡大する傾向を示した。
(C2)磁場強度が上がるに連れて、比抵抗の極小値が低下する傾向を示した。
(C3)磁場強度が上がるに連れて、比抵抗の極小値をとる最適酸素量が減少する傾向を示した。
以上より、磁場強度の増加は、反応性の向上を促すことが分かった。上記の結果から、同じ酸素を導入しても、酸化に寄与する酸素が増加し、酸化に寄与しない酸素はO2 の状態で膜中に取り込まれる、と本発明者らは推察した。
(D1)磁場強度が460Gにおける本発明(Nb)の成膜速度(3.40)は、従来技術(Spray NbxOy)において磁場強度が1000Gの成膜速度(3.21)と同等である。これより、本発明(Nb)によれば、従来技術の半分の磁場強度で同等の成膜速度が得られることが分かった。
(D2)本発明(Nb)において、磁場強度800G、1000Gまで上げることにより、更なる成膜速度の増加が図れることが確認された。
たとえば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いても良い。
Claims (6)
- 金属ターゲットと反応性ガスの組合せにより、反応性スパッタ法を用いて基板上に薄膜を形成する空間を備えた成膜装置であって、
前記空間内において、前記基板と前記金属ターゲットとは所定の距離をもって、互いに対向する位置に配置されており、
前記金属ターゲットに印加する磁場強度の調整手段を備え、該調整手段は、該磁場強度[G]を460以上1000以下の範囲に設定する、ことを特徴とする成膜装置。 - プラズマエミッションモニタリング(PEM)装置を用い、前記基板と前記金属ターゲットの間に発生させたプラズマ発光強度(PEM Intensity)を測定し、該プラズマ発光強度の変動幅に基づき、成膜速度の一様性を監視するシステムを備える、ことを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
- 前記金属ターゲットが円筒型ターゲットであって、
プラズマエミッションモニタリング(PEM)装置を用い、前記基板と前記金属ターゲットの間に発生させたプラズマ発光強度(PEM Intensity)を測定し、該プラズマ発光強度の変動幅に基づき、円筒型ターゲットの回転速度を監視するシステムを備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜装置。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成膜装置を用い、
金属ターゲットと反応性ガスを母材として、酸化膜、窒化膜、酸窒化膜から選択される薄膜を、遷移領域(遷移モード)で形成する、ことを特徴とする成膜方法。 - 前記金属ターゲットが円筒型ターゲットであって、該円筒型ターゲットの回転速度[rpm]を20以上50以下の範囲に制御して、前記薄膜を形成する、ことを特徴とする請求項4に記載の成膜方法。
- プラズマエミッションモニタリング(PEM)装置により得られたプラズマ発光強度に基づき、前記反応性ガスの導入量を制御して、所望の組成を備える前記薄膜を形成する、ことを特徴とする請求項4に記載の成膜方法。
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