JP2013236982A - 希土類磁石の分離回収方法、及び希土類磁石の分離回収装置 - Google Patents

希土類磁石の分離回収方法、及び希土類磁石の分離回収装置 Download PDF

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Abstract

【課題】分離対象物からの希土類磁石の回収率を向上させることができるとともに、分離対象物から分離回収した希土類磁石の純度を向上させることができる希土類磁石の分離回収方法、及び希土類磁石の分離回収装置を得る。
【解決手段】希土類磁石と、希土類磁石に付着した有機系接着剤とを含む分離対象物から、希土類磁石を分離回収する希土類磁石の分離回収方法は、真空中又は不活性ガス中で、有機系接着剤が分解する温度以上に分離対象物を加熱する加熱工程と、分離対象物に対する加熱により分解された有機系接着剤の残渣を希土類磁石の表面から除去する残渣除去工程とを備えている。
【選択図】図1

Description

この発明は、希土類磁石を含む分離対象物から希土類磁石を分離回収する希土類磁石の分離回収方法、及び希土類磁石の分離回収装置に関するものである。
近年、希土類資源の高騰を背景に、希土類資源の国内循環の必要性が高まってきている。希土類は、製品の高性能化や小形化のために重要な資源であり、日本においてはモータをはじめとして多くの製品に使用されている。希土類磁石が使用されている製品としては、家電製品では例えばルームエアコンや冷蔵庫、除湿機等が挙げられ、産業用製品では例えばサーボモータやエレベータ等が挙げられる。
家電製品に関しては、家電リサイクル法等の施行もあり、圧縮機等のモータから磁石を効率良く回収する技術の開発が進んでいる。家電製品に用いられるモータには、ロータ鉄心の内部に磁石が挿入されているIPM(Interior Permanent Magnet)型のモータが用いられていることが多く、磁石を減磁・脱磁してロータを解体すれば、磁石を健全に取り出すことができ、そのままリサイクルすることができると考えられる。
一方、産業用製品に用いられるモータには、磁石がロータ表面に接着剤で固定されているSPM(Surface Permanent Magnet)型のモータが用いられることが多く、このようなモータでは、磁石を破壊することなくモータから磁石を分離することは容易ではない。また、不適切なプロセスにより磁石の分離回収を行うと、磁気特性に悪影響を及ぼす炭素成分や酸素成分が磁石に混入し、分離回収した磁石がリサイクルに適さなくなってしまう。
従来、接着剤で結合される複数のネオジム磁石を含むネオジム磁石結合体からネオジム磁石を分離回収するために、大気中でネオジム磁石結合体を200℃〜1000℃に加熱することにより接着剤を分解する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2001−85223号公報
しかし、従来の分離回収方法によれば、ネオジム磁石結合体が大気中で加熱されるので、分離後のネオジム磁石の表面には酸化物層が不純物として形成され、回収後のネオジム磁石の純度が著しく低下してしまう。また、回収後のネオジム磁石の純度を向上させるために、ネオジム磁石の表面に形成された酸化物層を研磨等により除去すると、ネオジム磁石の回収率が著しく低下してしまう。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、分離対象物からの希土類磁石の回収率を向上させることができるとともに、希土類磁石自体の純度の低下を抑制した状態で分離対象物から希土類磁石を分離回収することができる希土類磁石の分離回収方法、及び希土類磁石の分離回収装置を得ることを目的とする。
この発明に係る希土類磁石の分離回収方法は、希土類磁石と、希土類磁石に付着した有機系接着剤とを含む分離対象物から、希土類磁石を分離回収する希土類磁石の分離回収方法であって、真空中又は不活性ガス中で、有機系接着剤が分解する温度以上に分離対象物を加熱する加熱工程、及び分離対象物に対する加熱により分解された有機系接着剤の残渣を希土類磁石の表面から除去する残渣除去工程を備えている。
この発明に係る希土類磁石の分離回収装置は、希土類磁石と、希土類磁石に付着した有機系接着剤とを含む分離対象物から、希土類磁石を分離回収する希土類磁石の分離回収装置であって、分離対象物を収容して分離対象物を真空中又は不活性ガス中に置くことが可能で、かつ回転可能な炉体、及び真空中又は不活性ガス中に分離対象物を置いた状態で分離対象物を加熱することにより有機系接着剤を分解する加熱装置を備え、炉体は、分離対象物を研磨材とともに収容した状態で回転することにより、分離対象物に対する加熱により分解した有機系接着剤の残渣を希土類磁石の表面から除去する。
この発明に係る希土類磁石の分離回収方法、及び希土類磁石の分離回収装置によれば、希土類磁石に酸化物層が不純物として形成されることを抑制することができる。これにより、分離対象物からの希土類磁石の回収率を向上させることができるとともに、希土類磁石自体の純度の低下を抑制した状態で分離対象物から希土類磁石を分離回収することができる。
この発明の実施の形態1による希土類磁石の分離回収方法を示すフローチャートである。 第1の実験で得られた処理前磁石、加熱後磁石及び洗浄後磁石のそれぞれについての炭素量と酸素量とを示す表である。 付加実験で得られた洗浄後磁石中の酸素量と、加熱工程での真空度との関係を示すグラフである。 第2の実験で得られた処理前磁石、加熱後磁石及び洗浄後磁石のそれぞれについての炭素量、酸素量及び窒素量を示す表である。 図1の希土類磁石の分離回収方法を実施する希土類磁石の分離回収装置を示す模式的な構成図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による希土類磁石の分離回収方法を示すフローチャートである。分離対象物である使用済み製品は、希土類磁石と、希土類磁石に付着した有機系接着剤と、希土類磁石が有機系接着剤を介して固定された磁石支持体とを有している。使用済み製品としては、例えばSPM型のモータのロータ等が挙げられる。希土類磁石としては、例えばネオジム磁石(Nd-Fe-B系(ネオジム−鉄−ボロン系)の焼結磁石)や、サマリウムコバルト磁石(Sm-Co系磁石)、プラセオジム磁石(Pr-Co系磁石)等が挙げられる。また、有機系接着剤としては、例えばエポキシ系樹脂を主成分とする接着剤(エポキシ系接着剤)等が挙げられる。
使用済み製品から希土類磁石を分離回収するときには、まず、真空中又は不活性ガス中に使用済み製品を置いて、使用済み製品の周囲から空気を除去する(空気除去工程)。不活性ガスとしては、例えば希ガスや窒素ガス、水素ガス等が用いられる。
この後、真空中又は不活性ガス中で、有機系接着剤が分解する温度以上に使用済み製品を加熱する(加熱工程)。この例では、200℃以上で、有機系接着剤の分解温度よりも50℃程度高めの温度以下の範囲内に、使用済み製品の温度を所定の時間維持する。使用済み製品を加熱する時間は、有機系接着剤の分解を完了させるのに十分な時間(例えば2時間等)とする。これにより、希土類磁石の酸化を防止しながら、希土類磁石の減磁又は脱磁と、有機系接着剤の分解とが同時に行われる。使用済み製品の希土類磁石は、有機系接着剤が分解されることによって、磁石支持体から分離される。
なお、この例では、使用済み製品の加熱温度の下限値を200℃としているが、希土類磁石の脱磁をより確実に行う場合には、使用済み製品の加熱温度の下限値を350℃以上とするのが望ましい。また、使用済み製品の加熱温度の上限値は、希土類磁石の融点(約1000℃)以下であれば問題ないが、有機系接着剤の分解が行えれば十分であるので、有機系接着剤の分解温度から50℃程度高めの温度とするのが好適である。
この後、希土類磁石の表面を洗浄することにより、加熱工程で分解された有機系接着剤の残渣を希土類磁石の表面から除去する(残渣除去工程)。有機系接着剤の残渣を希土類磁石の表面から除去する方法としては、バレル機のバレルを回転させてバレル内の使用済み製品及び研磨材等を撹拌するバレル研磨による洗浄方法が効果的であるが、希土類磁石を破損させずに残渣を除去可能な方法であれば、バレル研磨に限定されない。例えばラップ研磨や砥石による研削、ブラスト研磨等による洗浄方法であってもよい。
有機系接着剤の残渣を希土類磁石の表面から除去するときに使用される研磨材としては、例えば窒化ホウ素粉末やアルミナ粉末、酸化クロム粉末等、研磨で一般的に用いられているものが使用される。また、アルミナ粒子を樹脂等で固めたメディアを研磨材として用いてもよい。ただし、研磨材の材料としては、炭化ケイ素(SiC)やダイヤモンドも考えられるが、希土類磁石中の鉄(Fe)が炭素やケイ素を吸収しやすく、希土類磁石中に炭素やケイ素が不純物として混入するおそれがあるので、希土類磁石の表面を洗浄するときに炭化ケイ素やダイヤモンドを研磨材の材料として使用するのは避けたほうが無難である。このように、空気除去工程、加熱工程及び残渣除去工程を行うことにより、使用済み製品から希土類磁石を分離回収する。
このような希土類磁石の分離回収方法では、真空中又は不活性ガス中で、有機系接着剤が分解する温度以上に使用済み製品を加熱した後、加熱により分解された有機系接着剤の残渣を除去するので、使用済み製品を加熱して有機系接着剤を分解するときに、希土類磁石の酸化の防止を図ることができ、希土類磁石に酸化物層が不純物として形成されることを抑制することができる。これにより、使用済み製品からの希土類磁石の回収率を向上させることができるとともに、希土類磁石自体の純度の低下を抑制した状態で使用済み製品から希土類磁石を分離回収することができる。
次に、本実施の形態による希土類磁石の分離回収方法によって分離回収された希土類磁石について、不純物の混入量を調べる実験を行った。
実験としては、加熱工程においてサンプル(分離対象物)を真空中で加熱する第1の実験と、加熱工程においてサンプル(分離対象物)を不活性ガスである窒素ガス中で加熱する第2の実験とを行った。
第1の実験及び第2の実験のそれぞれでは、ネオジム磁石(Nd-Fe-B系(ネオジム−鉄−ボロン系)の焼結磁石)と鉄鋼板とを有機系接着剤で接着して作製したサンプルを分離対象物として用いた。また、有機系接着剤としては、第1及び第2の実験のいずれも、エポキシ系接着剤を用いた。実験で用いたエポキシ系接着剤の熱分解温度は約350℃であった。有機系接着剤の熱分解温度は、熱重量分析(TG)により調査した。
第1の実験では、まず、サンプルを10Paの真空中(残存ガスは空気等酸素を含有するガス)で400℃に加熱した(加熱工程)。このときの加熱時間は、2時間とした。この後、サンプルを取り出し、鉄鋼板からネオジム磁石を分離することができることを確認した。
鉄鋼板から分離したネオジム磁石には、エポキシ系接着剤の残渣が付着しているため、ネオジム磁石の表面を、バレル機を用いてバレル研磨により洗浄した(残渣除去工程)。バレル研磨では、アルミナ粒子を樹脂等で三角柱形状に固めたメディアを研磨材として用いた。
洗浄後のネオジム磁石を確認したところ、ネオジム磁石に割れや欠け等の破損はなく、エポキシ系接着剤の残渣も、外観上、ネオジム磁石の表面に残っていなかった。また、希土類磁石の重量は、希土類磁石を鉄鋼板から分離する前と、分離した後とで、ほぼ同じ重量であった。
また、(1)エポキシ系接着剤で鉄鋼板に接着する前のネオジム磁石(処理前磁石)、(2)加熱工程後にエポキシ系接着剤の残渣が付着した状態のネオジム磁石(加熱後磁石)、(3)残渣除去工程後のネオジム磁石(洗浄後磁石)のそれぞれについて、炭素(C)量及び酸素(O)量を測定した。炭素量の測定は高周波赤外線吸収法により行い、酸素量の測定は不活性ガス搬送融解赤外線吸収法により行った。
図2は、第1の実験で得られた処理前磁石、加熱後磁石及び洗浄後磁石のそれぞれについての炭素量と酸素量とを示す表である。図2に示すように、加熱後磁石の炭素量は、1200ppmとなっている。磁石中の炭素量は、1000ppmを超えると著しく保磁力が低減されることが知られている。従って、加熱後磁石の炭素量ではリサイクルに適さないといえる。
これに対して、洗浄後磁石の炭素量及び酸素量は、処理前磁石の炭素量及び酸素量と同等の1000ppm以下のレベルにまで低減されていることが分かる。なお、磁石中の酸素量は、10000ppmを超えると著しく保持力が低減されることが知られているが、図2に示すように、酸素量については、処理前磁石、加熱後磁石及び洗浄後磁石のいずれにおいても10000ppm以下となっていた。この結果から、真空中で分離対象物を加熱して有機系接着剤を分解した後、希土類磁石をバレル研磨によって洗浄することにより、希土類磁石に対する不純物の混入が抑制されることを確認した。即ち、真空中で分離対象物を加熱する加熱工程と、希土類磁石の表面を洗浄して有機系接着剤の残渣を除去する残渣除去工程とを行うことにより、リサイクルに適用可能な希土類磁石が分離対象物から効果的に分離回収されることが確認された。
次に、加熱工程での真空度と、希土類磁石に混入する酸素量との関係を調べるための付加実験を行った。付加実験では、加熱工程での真空度を順次変えながら、第1の実験と同様の工程を行い、得られた洗浄後磁石の酸素量を測定した。洗浄後磁石中の酸素量の測定は、上記と同様の不活性ガス搬送融解赤外線吸収法により行った。また、付加実験では、加熱工程における分離対象物に対する加熱温度を400℃とした。
図3は、付加実験で得られた洗浄後磁石中の酸素量と、加熱工程での真空度との関係を示すグラフである。図3に示すように、加熱工程での真空度が1000Pa(残存ガスは空気等酸素を含有するガス)を超えると、洗浄後磁石中の酸素量が10000ppmを超えることが分かる。上記したように、磁石中の酸素量が10000ppmを超えると保持力が著しく低減されることから、加熱工程での真空度は、1000Pa以下にするのがよい。なお、真空度の圧力値が低いほど、洗浄後磁石中の酸素量を低減することができる。
また、第2の実験では、窒素ガス中でサンプル(分離対象物)を加熱することを除いて、上記の第1の実験と同様の条件で実験を行った。
即ち、第2の実験では、第1の実験と同様の材料で作製されたサンプル(分離対象物)を窒素ガス中で400℃に加熱した(加熱工程)。このときの加熱時間は、2時間とした。この後、サンプルを取り出し、鉄鋼板からネオジム磁石を分離することができることを確認した。
鉄鋼板から分離したネオジム磁石には、エポキシ系接着剤の残渣が付着しているため、ネオジム磁石の表面を、バレル機を用いてバレル研磨により洗浄した(残渣除去工程)。バレル研磨では、アルミナ粒子を樹脂等で三角柱形状に固めたメディアを研磨材として用いた。
洗浄後のネオジム磁石を確認したところ、ネオジム磁石に破損はなく、エポキシ系接着剤の残渣も、外観上、ネオジム磁石の表面に残っていなかった。また、希土類磁石の重量は、希土類磁石を鉄鋼板から分離する前と、分離した後とで、ほぼ同じ重量であった。
また、第2の実験では、(1)エポキシ系接着剤で鉄鋼板に接着する前のネオジム磁石(処理前磁石)、(2)加熱工程後にエポキシ系接着剤の残渣が付着した状態のネオジム磁石(加熱後磁石)、(3)残渣除去工程後のネオジム磁石(洗浄後磁石)のそれぞれについて、炭素(C)量、酸素(O)量及び窒素(N)量を測定した。炭素量の測定は高周波赤外線吸収法により行い、酸素量の測定は不活性ガス搬送融解赤外線吸収法により行い、窒素量の測定は不活性ガス搬送融解熱伝導度測定法により行った。
図4は、第2の実験で得られた処理前磁石、加熱後磁石及び洗浄後磁石のそれぞれについての炭素量、酸素量及び窒素量を示す表である。図4に示すように、加熱後磁石の炭素量は、1000ppmを超えており、このままの状態ではリサイクルに適さないといえる。
これに対して、洗浄後磁石の炭素量及び酸素量は、処理前磁石の炭素量及び酸素量と同等の1000ppm以下のレベルにまで低減されていることが分かる。また、洗浄後磁石の窒素量についても、処理前磁石の窒素量とほぼ同等にまで低減されており、洗浄後磁石に窒化物が形成されるような窒素量とはなっていないことが分かった。なお、処理前磁石の炭素量及び酸素量のそれぞれの値が、第1の実験(図2)と第2の実験(図4)とで異なるが、これはサンプルの個体差である。この結果から、窒素ガス中で分離対象物を加熱して有機系接着剤を分解した後、希土類磁石をバレル研磨によって洗浄することにより、希土類磁石に対する不純物の混入が抑制されることを確認した。即ち、窒素ガス中で分離対象物を加熱する加熱工程と、希土類磁石の表面を洗浄して有機系接着剤の残渣を除去する残渣除去工程とを行うことにより、リサイクルに適用可能な希土類磁石が分離対象物から効果的に分離回収されることが確認された。
なお、第2の実験では、窒素ガス中でサンプルを加熱するようにしたが、希土類磁石での酸化物層の形成を抑制することができればよいので、窒素ガス以外の不活性ガス(例えば希ガスや水素ガス等)中でサンプルを加熱するようにしてもよい。このようにしても、洗浄後磁石への不純物の混入が抑制される。
次に、この発明の実施の形態1による希土類磁石の分離回収方法を実施する希土類磁石の分離回収装置について説明する。図5は、図1の希土類磁石の分離回収方法を実施する希土類磁石の分離回収装置を示す模式的な構成図である。図において、希土類磁石の分離回収装置(以下、単に「分離回収装置」という)1は、炉体2と、炉体2の周囲に配置された加熱装置3とを有している。
炉体2は、分離対象物である使用済み製品4と、研磨材であるメディア5とを収容可能で、使用済み製品4及びメディア5を収容したまま回転可能な筒状体とされている。炉体2の断面形状は、例えば円形や八角形等とされている。また、炉体2を構成する材料は、使用済み製品4中の希土類磁石と炉体2との間に磁気吸引力が生じることを防止するために、非磁性の材料とされている。炉体2を構成する材料としては、例えばSUS304や、Ni基のインコネル合金等が挙げられる。炉体2内の使用済み製品4及びメディア5は、炉体2が回転されることにより撹拌される。
この例では、鉄心にネオジム磁石(希土類磁石)がエポキシ系接着剤(有機系接着剤)により固定されたSPM型のモータのロータが使用済み製品4として用いられ、例えばアルミナ粒子や酸化クロム粒子等を樹脂等で固めたものがメディア5として用いられている。
また、炉体2は、内部の状態を真空状態又は不活性ガス導入状態とすることが可能な容器となっている。炉体2には、炉体2内の空気を排出するための排気路(図示せず)が設けられている。炉体2内の状態が真空状態とされるときには、炉体2内の空気が排気路を通して排出される。また、炉体2内の状態が不活性ガス導入状態とされるときには、炉体2内の空気が排気路を通して排出された後、排気路とは別の導入路(図示せず)から不活性ガスが炉体2内に導入される。炉体2内の使用済み製品4及びメディア5は、炉体2内の状態が真空状態又は不活性ガス導入状態とされることにより、真空中又は不活性ガス中に置かれる。
加熱装置3は、通電による発熱により炉体2内の使用済み製品4及びメディア5を加熱する。また、加熱装置3は、使用済み製品4に含まれる有機系接着剤の分解温度以上の温度に使用済み製品4を加熱可能になっている。従って、使用済み製品4に含まれる有機系接着剤は、使用済み製品4に対する加熱装置3の加熱によって分解可能になっている。
炉体2は、使用済み製品4をメディア5とともに収容した状態で回転して使用済み製品4及びメディア5を撹拌することにより、加熱装置3の加熱によって分解された有機系接着剤の残渣を希土類磁石の表面から除去可能になっている。
分離回収装置1を用いて希土類磁石の分離回収方法を実施するときには、まず、炉体2内に使用済み製品4及びメディア5を投入した後、炉体2内の状態を1000Pa以下の真空(残存ガスは空気等酸素を含有するガス)状態又は不活性ガス導入状態とする(空気除去工程)。
この後、炉体2を回転させずに加熱装置3への通電を行い、有機系接着剤の分解温度よりも50℃程度高めの温度に炉体2内の使用済み製品4を加熱する。ここでは、使用済み製品4を加熱した状態を2時間程度維持する。これにより、使用済み製品4中の希土類磁石の脱磁と、使用済み製品4中の有機系接着剤の分解とが行われる(加熱工程)。
この後、炉体2を回転させて炉体2内の使用済み製品4及びメディア5を撹拌させる。これにより、希土類磁石が鉄心から分離されながら、希土類磁石の表面がメディア5によって洗浄(研磨)される。即ち、炉体2がバレル研磨のためのバレルとして機能し、希土類磁石に対してバレル研磨による洗浄が行われる。加熱工程で分解した有機系接着剤の残渣は、希土類磁石の表面に対するメディア5の洗浄により、希土類磁石の表面から除去される(残渣除去工程)。
残渣除去工程後、炉体2内から希土類磁石を取り出すことにより、使用済み製品4から分離された希土類磁石を回収する。
炉体2内から希土類磁石を取り出すときには、炉体2の温度を下げておく必要があるが、炉体2の冷却は、残渣除去工程後に行ってもよいし、加熱工程後に残渣除去工程で炉体2を回転させながら行ってもよい。残渣除去工程で炉体2を回転させながら炉体2の冷却を行えば、希土類磁石の表面に付着した残渣の除去と炉体2の冷却とを同時に行うことができ、希土類磁石の分離回収方法の実施時間を短縮することができる。
このような分離回収装置1では、回転可能な炉体2内で真空中又は不活性ガス中に分離対象物である使用済み製品4を置くことが可能になっており、真空中又は不活性ガス中の使用済み製品4を加熱装置3で加熱して、使用済み製品4に含まれる有機系接着剤を分解するとともに、炉体2を回転させて、加熱により分解された有機系接着剤の残渣を希土類磁石の表面から除去するようになっているので、使用済み製品4に含まれる希土類磁石に酸化物層が不純物として形成されることを抑制することができ、使用済み製品4からの希土類磁石の回収率を向上させることができるとともに、希土類磁石自体の純度の低下を抑制した状態で使用済み製品4から希土類磁石を分離回収することができる。また、有機系接着剤の分解と、加熱により分解された有機系接着剤の除去とを共通の装置で行うことができるので、希土類磁石の分離回収作業を容易にかつ効率良く行うことができる。
なお、分離回収装置1を用いて実施される希土類磁石の分離回収方法では、加熱工程において炉体2の回転を停止した状態で使用済み製品4を加熱しているが、炉体2を回転させながら使用済み製品4を加熱してもよい。即ち、加熱工程を行いながら残渣除去工程を行ってもよい。このようにすれば、加熱工程で有機系接着剤を分解しながら、有機系接着剤の残渣を希土類磁石の表面から除去することができ、希土類磁石の分離回収方法の実施時間をさらに短縮することができる。
また、本実施の形態における分離対象物(使用済み製品4)の希土類磁石にメッキ等の表面処理が行われている場合であっても、希土類磁石自体や表面処理層に酸化物層が形成されることを抑制しながら、希土類磁石に付着した有機系接着剤を分解することができるので、上記と同様の効果が得られるのは言うまでもない。
1 分離回収装置、2 炉体、3 加熱装置、4 使用済み製品(分離対象物)、5 メディア(研磨材)。

Claims (4)

  1. 希土類磁石と、上記希土類磁石に付着した有機系接着剤とを含む分離対象物から、上記希土類磁石を分離回収する希土類磁石の分離回収方法であって、
    真空中又は不活性ガス中で、上記有機系接着剤が分解する温度以上に上記分離対象物を加熱する加熱工程、及び
    上記分離対象物に対する加熱により分解された上記有機系接着剤の残渣を上記希土類磁石の表面から除去する残渣除去工程
    を備えていることを特徴とする希土類磁石の分離回収方法。
  2. 上記加熱工程では、真空度が1000Pa以下の真空中で上記分離対象物を加熱することを特徴とする請求項1に記載の希土類磁石の分離回収方法。
  3. 上記加熱工程では、200℃以上で1000℃以下の範囲内の温度で上記分離対象物を加熱することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の希土類磁石の分離回収方法。
  4. 希土類磁石と、上記希土類磁石に付着した有機系接着剤とを含む分離対象物から、上記希土類磁石を分離回収する希土類磁石の分離回収装置であって、
    上記分離対象物を収容して上記分離対象物を真空中又は不活性ガス中に置くことが可能で、かつ回転可能な炉体、及び
    真空中又は不活性ガス中に上記分離対象物を置いた状態で上記炉体内の上記分離対象物を加熱することにより上記有機系接着剤を分解する加熱装置
    を備え、
    上記炉体は、上記分離対象物を研磨材とともに収容した状態で回転することにより、上記分離対象物に対する加熱により分解した上記有機系接着剤の残渣を上記希土類磁石の表面から除去することを特徴とする希土類磁石の分離回収装置。
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