JP6743649B2 - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents
R−t−b系焼結磁石の製造方法 Download PDFInfo
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Description
重希土類元素RHの拡散の対象とするR−T−B系焼結磁石母材を準備する。本明細書では、わかりやすさのため、重希土類元素RHの拡散の対象とするR−T−B系焼結磁石をR−T−B系焼結磁石母材と厳密に称することがあるが、「R−T−B系焼結磁石」の用語はそのような「R−T−B系焼結磁石母材」を含むものとする。このR−T−B系焼結磁石母材は公知のものが使用でき、例えば以下の組成を有する。
希土類元素R:12〜17原子%
B(B(ボロン)の一部はC(カーボン)で置換されていてもよい):5〜8原子%
添加元素M´(Al、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、およびBiからなる群から選択された少なくとも1種):0〜2原子%
T(Feを主とする遷移金属元素であって、Coを含んでもよい)および不可避不純物:残部
拡散剤としては、RHシュウ酸塩(RHはDyおよび/又はTb)の粉末を用いる。RHシュウ酸塩の粉末の粒度は、例えば20μm以下であり、小さいものは数μm程度である。RHシュウ酸塩は、R−T−B系磁石のリサイクル工程内で生成したものを用いることができる。具体的には、例えば、R−T−B系磁石の廃磁石、磁石スクラップ、磁石加工屑等から、希土類元素Rを回収する技術が開発されている(国際公開第2013/018710号)。
拡散助剤としては、RLM1M2合金の粉末を用いる。RLは、Nd、Prから選ばれる1種以上、M1、M2はCu、Fe、Ga、Co、Ni、Alから選ばれる1種以上であり、M1=M2でもよい。RLM1M2合金の典型例は、NdCu合金、NdFe合金、NdCuAl合金、NdCuCo合金、NdCoGa合金、NdPrCu合金、NdPrFe合金などである。これらの合金の粉末は、上述のRHシュウ酸塩粉末と混合して用いられる。複数種のRLM1M2合金粉末とRHシュウ酸塩粉末を混合して用いてもよい。RLM1M2合金の粉末の作製方法は特に限定されない。急冷法または鋳造法で作製される場合、粉砕性を良くするために、M1≠M2とし、例えば、NdCuAl合金、NdCuCo合金、NdCoGa合金などの3元系以上の合金を採用することが好ましい。RLM1M2合金粉末の粒度は、例えば500μm以下であり、小さいものは10μm程度である。
RLM1M2合金の粉末とRHシュウ酸塩の粉末とをR−T−B系焼結磁石の表面に存在させる方法はどのようなものであってもよい。例えば、RLM1M2合金の粉末とRHシュウ酸塩の粉末をR−T−B系焼結磁石の表面に散布する方法や、RLM1M2合金の粉末とRHシュウ酸塩の粉末とを純水や有機溶剤などの溶媒に分散させ、これにR−T−B系焼結磁石を浸漬して引き上げる方法、RLM1M2合金の粉末とRHシュウ酸塩の粉末とをバインダや溶媒と混合してスラリーを作製し、このスラリーをR−T−B系焼結磁石の表面に塗布する方法、RLM1M2合金の粉末とRHシュウ酸塩の粉末をバインダと共に造粒して造粒粉末を作製し、この造粒粉末をR−T−B系焼結磁石の表面に付着させる方法、等が挙げられる。バインダや溶媒は、その後の熱処理の昇温過程において、拡散助剤の融点以下の温度で熱分解や蒸発などでR−T−B系焼結磁石の表面から実質的に除去されるものであればよく、特に限定されるものではない。バインダの例としては、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ポリエステルなどがあげられる。またRLM1M2合金の粉末とRHシュウ酸塩の粉末は、それらが混合した状態でR−T−B系焼結磁石の表面に存在させてもよいし、別々に存在させてもよい。なお、本開示の方法においては、RLM1M2合金はその融点が熱処理温度以下であるため熱処理の際に溶融し、R−T−B系焼結磁石の表面は還元されたRHがR−T−B系焼結磁石内部に拡散しやすい状態になる。したがって、RLM1M2合金の粉末とRHシュウ酸塩の粉末とをR−T−B系焼結磁石の表面に存在させる前にR−T−B系焼結磁石の表面に対して酸洗などの特段の清浄化処理を行う必要はない。もちろん、そのような清浄化処理を行うことを排除するものではない。また、RLM1M2合金粉末粒子の表面が多少酸化されていてもRHシュウ酸塩を還元する効果にほとんど影響はない。
熱処理温度はR−T−B系焼結磁石の焼結温度以下(具体的には例えば1000℃以下)であり、かつ、RLM1M2合金の粉末の融点よりも高い温度であるが、具体的には、500℃以上が好ましい。熱処理時間は例えば10分〜72時間である。また前記熱処理の後必要に応じてさらに400〜700℃で10分〜72時間の熱処理を行ってもよい。
Claims (4)
- R−T−B系焼結磁石を用意する工程と、
前記R−T−B系焼結磁石の表面にRLM1M2合金(RLは、Nd、Prから選ばれる1種以上、M1、M2はCu、Fe、Ga、Co、Ni、Alから選ばれる1種以上、M1=M2でもよい)の粉末と、RHシュウ酸塩(RHはDyおよび/またはTb)の粉末とを存在させた状態において、前記R−T−B系焼結磁石の焼結温度以下で熱処理を行う工程と、
を含み、
前記熱処理は、前記RLM1M2合金の粉末と前記RHシュウ酸塩の粉末とが、RLM1M2合金:RHシュウ酸塩=40:60〜96:4の質量比率で前記R−T−B系焼結磁石の表面に存在する状態で行われる、R−T−B系焼結磁石の製造方法。 - 前記RLM1M2合金はRLを50原子%以上含み、かつ、前記RLM1M2合金の融点は前記熱処理の温度以下である、請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記R−T−B系焼結磁石の表面において、前記RHシュウ酸塩の粉末に含まれるRH元素の質量は、R−T−B系焼結磁石に対して0.2〜1.5質量%である、請求項1または2に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
- 前記RHシュウ酸塩は、R−T−B系磁石のリサイクル工程によって製造されたRHシュウ酸塩である、請求項1から3のいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
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