JP6743650B2 - R−t−b系焼結磁石の製造方法 - Google Patents

R−t−b系焼結磁石の製造方法 Download PDF

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本開示は、R−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素、TはFeまたはFeとCo)の製造方法に関する。
214B型化合物を主相とするR−T−B系焼結磁石は、永久磁石の中で最も高性能な磁石として知られており、ハードディスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)や、電気自動車用(EV、HV、PHVなど)モータ、産業機器用モータなどの各種モータや家電製品等に使用されている。
R−T−B系焼結磁石は、高温で固有保磁力HcJ(以下、単に「HcJ」と表記する)が低下するため、不可逆熱減磁が起こる。不可逆熱減磁を回避するため、モータ用等に使用する場合、高温下でも高いHcJを維持することが要求されている。
R−T−B系焼結磁石は、R214B型化合物相中のRの一部を重希土類元素RH(Dy、Tb)で置換すると、HcJが向上することが知られている。高温で高いHcJを得るためには、R−T−B系焼結磁石中に重希土類元素RHを多く添加することが有効である。しかし、R−T−B系焼結磁石において、Rとして軽希土類元素RL(Nd、Pr)を重希土類元素RHで置換すると、HcJが向上する一方、残留磁束密度Br(以下、単に「Br」と表記する)が低下してしまうという問題がある。
そこで、Brを低下させないように、より少ない重希土類元素RHによってR−T−B系焼結磁石のHcJを向上させることが検討されている。例えば、重希土類元素RHのフッ化物または酸化物や、各種の金属MまたはM合金をそれぞれ単独、または混合して焼結磁石の表面に存在させ、その状態で熱処理することにより、保磁力向上に寄与する重希土類元素RHを磁石内に拡散させることが提案されている。特許文献1は、Rフッ化物、R酸フッ化物、R酸化物の粉末をR−T−B系焼結磁石の表面に接触させて熱処理を行うことによりそれらを磁石内に拡散させる方法を開示している。また、出願人は特許文献2において、RLM合金(MはCu、Fe、Ga、Co、Niから選ばれる1種以上)の粉末と、RHフッ化物の粉末をR−T−B系焼結磁石の表面に存在させて熱処理を行うことにより、RLMによってRHフッ化物を還元し、RHのみを磁石内に拡散させる方法を提案した。
国際公開第2006/043348号 国際公開第2015/163397号
近年、R−T−B系焼結磁石のコストダウンの要求に伴い、RH拡散源もコストダウン可能でHcJ向上効果の高いものが望まれている。しかしながら、特許文献1や特許文献2で拡散源として使用されるRHフッ化物は、その製造過程で有毒なフッ酸やフッ化水素アンモニウムを使用し、生産性に問題がありコストダウンが困難である。さらに、RHフッ化物中のフッ素自身は磁石中に拡散しないか拡散しても磁気特性向上の役割を果たすことが無く、RHフッ化物以外のRH化合物で、コストダウン可能でHcJ向上効果の高いRH拡散源が望まれている。
本開示は、R−T−B系焼結磁石にRHを拡散させるための拡散源として、コストダウン可能でHcJ向上効果の高いRH拡散源を用いてR−T−B系焼結磁石を製造する方法を提供する。
本開示によるR−T−B系焼結磁石の製造方法は、例示的な実施形態において、R−T−B系焼結磁石を用意する工程と、前記R−T−B系焼結磁石の表面にRLM1M2合金(RLは、Nd、Prから選ばれる1種以上、M1、M2はCu、Fe、Ga、Co、Ni、Alから選ばれる1種以上、M1=M2でもよい)の粉末と、RH炭酸塩(RHはDyおよび/またはTb)の粉末とを存在させた状態において、前記R−T−B系焼結磁石の焼結温度以下で熱処理を行う工程とを含む。
ある実施形態において、前記RLM1M2合金はRLを50原子%以上含み、かつ、前記RLM1M2合金の融点は前記熱処理の温度以下である。
ある実施形態において、前記熱処理は、前記RLM1M2合金の粉末と前記RH炭酸塩の粉末とが、RLM1M2合金:RH炭酸塩=40:60〜96:4の質量比率で前記R−T−B系焼結磁石の表面に存在する状態で行われる。
ある実施形態では、前記R−T−B系焼結磁石の表面において、前記RH炭酸塩の粉末に含まれるRH元素の質量は、R−T−B系焼結磁石に対して0.2〜1.5質量%である。
ある実施形態において、前記RH炭酸塩は、R−T−B系磁石のリサイクル工程によって製造されたRH炭酸塩である。
本開示の実施形態によると、還元作用のあるRLM1M2合金の粉末とともに、RH拡散源としてリサイクル工程によって生成され得るRH炭酸塩の粉末を用いるため、希少資源を効率的に利用してコストダウンが可能であり、高温下でも高いHcJを維持することができるR−T−B系焼結磁石を製造することができる。
希土類元素R、特に重希土類元素RHは資源存在量が少ない上、産出地が限定されているなどの理由から、供給が安定しておらず、価格が大きく変動するなどの問題を有している。そのため、近年、使用済みの廃磁石や、生産工程中に不良物として排出される磁石スクラップ、切削屑や研削屑として排出される磁石加工屑などから希土類元素Rを分離・回収して磁石原料として再利用するリサイクル技術が発展している。発明者は、拡散源として、リサイクル工程内で生成するRH化合物を用いれば、希少なRHを有効活用でき、かつ、拡散源においてコストダウンが可能となると考えた。そこで、リサイクル工程内で生成するRH化合物としてRH炭酸塩を選択し、これを拡散源として使用する方法を検討したところ、還元能力に優れるRLM1M2合金をともに磁石表面に存在させて熱処理することにより、RH炭酸塩が還元され、RHを磁石内に拡散させることができることを見出して本発明を完成した。なお、本明細書において、RHを含有する物質を「拡散剤」、拡散剤のRHを還元して拡散し得る状態にする物質を「拡散助剤」と称する。
[R−T−B系焼結磁石母材の準備]
重希土類元素RHの拡散の対象とするR−T−B系焼結磁石母材を準備する。本明細書では、わかりやすさのため、重希土類元素RHの拡散の対象とするR−T−B系焼結磁石をR−T−B系焼結磁石母材と厳密に称することがあるが、「R−T−B系焼結磁石」の用語はそのような「R−T−B系焼結磁石母材」を含むものとする。このR−T−B系焼結磁石母材は公知のものが使用でき、例えば以下の組成を有する。
希土類元素R:12〜17原子%
B(B(ボロン)の一部はC(カーボン)で置換されていてもよい):5〜8原子%
添加元素M´(Al、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Pb、およびBiからなる群から選択された少なくとも1種):0〜2原子%
T(Feを主とする遷移金属元素であって、Coを含んでもよい)および不可避不純物:残部
ここで、希土類元素Rは、主として軽希土類元素RL(Nd、Prから選択される少なくとも1種の元素)であるが、重希土類元素を含有していてもよい。なお、重希土類元素を含有する場合は、DyおよびTbの少なくとも一方を含むことが好ましい。
上記組成のR−T−B系焼結磁石母材は、任意の製造方法によって製造される。R−T−B系焼結磁石母材は焼結上がりでもよいし、切削加工や研磨加工が施されていてもよい。
[拡散剤]
拡散剤としては、RH炭酸塩(RHはDyおよび/又はTb)の粉末を用いる。RH炭酸塩の粉末の粒度は、例えば20μm以下であり、小さいものは数μm程度である。RH炭酸塩は、R−T−B系磁石のリサイクル工程内で生成したものを用いることができる。具体的には、例えば、R−T−B系磁石の廃磁石、磁石スクラップ、磁石加工屑等から、希土類元素Rを回収する技術が開発されている(国際公開第2013/018710号)。
このような回収技術によれば、上記のR−T−B系磁石の廃磁石等に種々の処理を行うことにより、FeおよびCoから分離された希土類酸化物を得ることができる。こうして得た希土類酸化物を酸に溶解して溶媒抽出を行うと、重希土類RHの溶液(RH溶液)を他の希土類元素Rから分離して得ることができる。RH溶液に沈殿剤として炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、または重炭酸アンモニウムなどを添加すると、RH炭酸塩が沈殿する。こうして得られたRH炭酸塩の粉末は、本開示におけるRH拡散源として好適に用いられる。
なお、R−T−B系磁石に対して重希土類元素を外部から拡散させるために使用されたDy−Fe合金またはTb−Fe合金は、拡散工程中にR−T−B系磁石と接触して磁石中のNdなどの軽希土類元素Rを含有した状態で廃棄されることがある。このような使用済みのRH拡散用合金からも、重希土類元素RHを回収する技術が開発されている(国際公開第2014/115876号)。したがって、使用済みのRH拡散用合金からも、同様にしてRH炭酸塩を得ることができる。
リサイクルに供されるR−T−B系磁石は焼結磁石に限らず、ボンド磁石や熱間加工磁石、それらに使用される磁石粉末などでもよい。もちろん、RH炭酸塩の製法はR−T−B系磁石のリサイクル工程に限らず、一般的な製法によってもよい。R−T−B系磁石のリサイクル工程内で生成したものを用いれば希少なRHを有効活用でき、かつ、拡散源においてコストダウンが可能である。
[拡散助剤]
拡散助剤としては、RLM1M2合金の粉末を用いる。RLは、Nd、Prから選ばれる1種以上、M1、M2はCu、Fe、Ga、Co、Ni、Alから選ばれる1種以上であり、M1=M2でもよい。RLM1M2合金の典型例は、NdCu合金、NdFe合金、NdCuAl合金、NdCuCo合金、NdCoGa合金、NdPrCu合金、NdPrFe合金などである。これらの合金の粉末は、上述のRH炭酸塩粉末と混合して用いられる。複数種のRLM1M2合金粉末とRH炭酸塩粉末を混合して用いてもよい。RLM1M2合金の粉末の作製方法は特に限定されない。急冷法または鋳造法で作製される場合、粉砕性を良くするために、M1≠M2とし、例えば、NdCuAl合金、NdCuCo合金、NdCoGa合金などの3元系以上の合金を採用することが好ましい。RLM1M2合金粉末の粒度は、例えば500μm以下であり、小さいものは10μm程度である。
[塗布]
RLM1M2合金の粉末とRH炭酸塩の粉末とをR−T−B系焼結磁石の表面に存在させる方法はどのようなものであってもよい。例えば、RLM1M2合金の粉末とRH炭酸塩の粉末をR−T−B系焼結磁石の表面に散布する方法や、RLM1M2合金の粉末とRH炭酸塩の粉末とを純水や有機溶剤などの溶媒に分散させ、これにR−T−B系焼結磁石を浸漬して引き上げる方法、RLM1M2合金の粉末とRH炭酸塩の粉末とをバインダーや溶媒と混合してスラリーを作製し、このスラリーをR−T−B系焼結磁石の表面に塗布する方法、RLM1M2合金の粉末とRH炭酸塩の粉末をバインダーと共に造粒して造粒粉末を作製し、この造粒粉末をR−T−B系焼結磁石の表面に付着させる方法、等が挙げられる。バインダーや溶媒は、その後の熱処理の昇温過程において、拡散助剤の融点以下の温度で熱分解や蒸発などでR−T−B系焼結磁石の表面から実質的に除去されるものであればよく、特に限定されるものではない。バインダーの例としては、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ポリエステルなどがあげられる。またRLM1M2合金の粉末とRH炭酸塩の粉末は、それらが混合した状態でR−T−B系焼結磁石の表面に存在させてもよいし、別々に存在させてもよい。なお、本開示の方法においては、RLM1M2合金はその融点が熱処理温度以下であるため熱処理の際に溶融し、R−T−B系焼結磁石の表面は還元されたRHがR−T−B系焼結磁石内部に拡散しやすい状態になる。したがって、RLM1M2合金の粉末とRH炭酸塩の粉末とをR−T−B系焼結磁石の表面に存在させる前にR−T−B系焼結磁石の表面に対して酸洗などの特段の清浄化処理を行う必要はない。もちろん、そのような清浄化処理を行うことを排除するものではない。また、RLM1M2合金粉末粒子の表面が多少酸化されていてもRH炭酸塩を還元する効果にほとんど影響はない。
粉末状態にあるRLM1M2合金およびRH炭酸塩のR−T−B系焼結磁石の表面における存在比率(熱処理前)は、質量比率でRLM1M2合金:RH炭酸塩=40:60〜96:4であることが好ましく、存在比率はRLM1M2合金:RH炭酸塩=60:40〜90:10であることがより好ましい。本開示の製造方法は、RLM1M2合金およびRH炭酸塩の粉末以外の粉末(第三の粉末)がR−T−B系焼結磁石の表面に存在することを必ずしも排除しないが、第三の粉末がRH炭酸塩中のRHをR−T−B系焼結磁石の内部に拡散することを阻害しないように留意する必要がある。R−T−B系焼結磁石の表面に存在する粉末の全体に占める「RLM1M2合金およびRH炭酸塩」の粉末の質量比率は、70%以上であることが望ましい。
本開示の製造方法によれば、少ない量のRHで、効率的にR−T−B系焼結磁石のHcJを向上させることが可能である。R−T−B系焼結磁石の表面に存在させる粉末中のRH元素の量は、R−T−B系焼結磁石に対して0.2〜1.5質量%であることが好ましい。
なお、RH炭酸塩の粉末に含有される重希土類元素RHの質量比率は、一般に、RH酸化物またはRHフッ化物の粉末に含有される重希土類元素RHの質量比率よりも低い。このため、同一量の重希土類元素RHをR−T−B系焼結磁石内に拡散させるためには、RH酸化物またはRHフッ化物の粉末よりも多くRH炭酸塩粉末を使用する必要がある。また、RH拡散源としてRH炭酸塩を用いると、RH酸化物またはRHフッ化物を使用する場合に比べると、相対的に多くの拡散助剤を用いることが好ましいこともわかった。このため、RH拡散源としてRH炭酸塩を使用する本開示の実施形態によれば、RH酸化物またはRHフッ化物を使用する場合よりも相対的に厚く粉末塗布層を形成することができる。このことは、粉末塗布層の厚さを調整する上で利点をもたらす。
[拡散熱処理]
熱処理温度はR−T−B系焼結磁石の焼結温度以下(具体的には例えば1000℃以下)であり、かつ、RLM1M2合金の粉末の融点よりも高い温度であるが、具体的には、500℃以上が好ましい。熱処理時間は例えば10分〜72時間である。また前記熱処理の後必要に応じてさらに400〜700℃で10分〜72時間の熱処理を行ってもよい。
まず、公知の方法で、組成比Nd=13.4、B=5.8、Al=0.5、Cu=0.1、Co=1.1、残部=Fe(原子%)のR−T−B系焼結磁石を作製した。これを機械加工することにより、6.5mm×7.4mm×7.4mmのR−T−B系焼結磁石母材を得た。得られたR−T−B系焼結磁石母材の磁気特性をB−Hトレーサーによって測定したところ、HcJは1035kA/m、Brは1.45Tであった。なお、後述の通り、熱処理後のR−T−B系焼結磁石の磁気特性は、R−T−B系焼結磁石の表面を機械加工によって除去してから測定するので、R−T−B系焼結磁石母材もそれに合わせて、表面をさらに機械加工によって除去し、大きさ6.3mm×7.0mm×7.0mmとしてから測定した。拡散剤として炭酸Tbを用意した。具体的には、リサイクル工程において、Tbを含有するR−T−B系磁石やRH拡散源をTと分離して得たTb酸化物から得られる炭酸Tbを想定し、Tb47試薬から模擬的に作製した。10vol%塩酸にTb47試薬を添加して60℃で溶解後濾過した。こうして得た濾液に炭酸ナトリウムを添加し、60℃で2時間放置した後、濾過して沈殿物を得た。この沈殿物を60℃で6時間真空乾燥して炭酸Tb粉末を得た。炭酸Tb粉末の粒度は数μmであった。また、得られた炭酸TbをICP分析により分析したところ、Tbの含有率は58.3mass%であった。次に組成がNd70Cu30(原子%)の拡散助剤を用意した(融点520℃:Nd−Cuの二元系状態図で示される値)。拡散助剤は遠心アトマイズ法で作製し、粒度106μm以下とした。得られた拡散剤の粉末と拡散助剤の粉末を表1に示す混合比でポリビニルアルコールおよび純水と混合してスラリーを得た。このスラリーを、R−T−B系焼結磁石母材の7.4mm×7.4mmの1面に、RH量がR−T−B系焼結磁石母材に対する質量比で0.25%となるように塗布した。なお、本実施例は前記スラリーをR−T−B系焼結磁石母材の1つの拡散面のみに塗布してHcJの向上効果を確認した実験である。実際には、1面でもよいし、2面〜全面の複数面でもよい。このR−T−B系焼結磁石母材を処理容器に収容して蓋をした。(この蓋は容器内外のガスの出入りを妨げるものではない。)これを熱処理炉に収容し、100PaのAr雰囲気中、900℃で10時間の熱処理を行った。熱処理は、室温から真空排気しながら昇温し、雰囲気圧力および温度が上記条件に達してから上記条件で行った。その後いったん室温まで降温してからR−T−B系焼結磁石を回収した。回収したR−T−B系焼結磁石を処理容器に戻して再び熱処理炉に収容し、10Pa以下の真空中、490℃で3時間の熱処理を行った。この熱処理も室温から真空排気しながら昇温し、雰囲気圧力および温度が上記条件に達してから上記条件で行った。その後いったん室温まで降温してからR−T−B系焼結磁石を回収した。
得られたR−T−B系焼結磁石の表面を機械加工にて除去し、6.3mm×7.0mm×7.0mmのサンプル1〜4を得た。得られたサンプル1〜4の磁気特性をB−Hトレーサーによって測定し、HcJの変化量を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0006743650
表1からわかるように、本開示の製造方法によるR−T−B系焼結磁石はBrが低下することなくHcJが大きく向上している。すなわち、RLM1M2合金とRH炭酸塩を混合して使用すれば、RLM1M2合金がRH炭酸塩を効率よく還元し、十分に還元されたRHがR−T−B系焼結磁石母材中に拡散することにより、少ないRH量でHcJを大きく向上させることができたことがわかった。
本開示の製造方法は、希少資源を効率的に利用して、高温下でも高いHcJを維持することができるR−T−B系焼結磁石を製造できるため、当該製造方法によって得られる磁石を電気自動車(EV、HV、PHVなど)のモータなどに好適に用いることが可能になる。

Claims (4)

  1. R−T−B系焼結磁石を用意する工程と、
    前記R−T−B系焼結磁石の表面にRLM1M2合金(RLは、Nd、Prから選ばれる1種以上、M1、M2はCu、Fe、Ga、Co、Ni、Alから選ばれる1種以上、M1=M2でもよい)の粉末と、RH炭酸塩(RHはDyおよび/またはTb)の粉末とを存在させた状態において、前記R−T−B系焼結磁石の焼結温度以下で熱処理を行う工程と、
    を含み、
    前記熱処理は、前記RLM1M2合金の粉末と前記RH炭酸塩の粉末とが、RLM1M2合金:RH炭酸塩=40:60〜96:4の質量比率で前記R−T−B系焼結磁石の表面に存在する状態で行われる、R−T−B系焼結磁石の製造方法。
  2. 前記RLM1M2合金はRLを50原子%以上含み、かつ、前記RLM1M2合金の融点は前記熱処理の温度以下である、請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  3. 前記R−T−B系焼結磁石の表面において、前記RH炭酸塩の粉末に含まれるRH元素の質量は、R−T−B系焼結磁石に対して0.2〜1.5質量%である、請求項1または2に記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
  4. 前記RH炭酸塩は、R−T−B系磁石のリサイクル工程によって製造されたRH炭酸塩である、請求項1からのいずれかに記載のR−T−B系焼結磁石の製造方法。
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