JP2013235034A - 表面処理樹脂成形体の製造方法及び表面処理樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、樹脂製の基材と親水性モノマーを含有する溶液とを接触させる工程、及び上記親水性モノマーを重合する工程を有する表面処理樹脂成形体の製造方法である。上記接触が、溶液への基材の浸漬であることが望ましい。また、上記親水性モノマーが、(メタ)アクリルアミド類、重合性官能基を有するピロリドン類、カルボン酸、及び水酸基又はイオン性基を有する(メタ)アクリレート類からなる群より選ばれる少なくとも1種であるとよい。
【選択図】図1
Description
樹脂製の基材と親水性モノマーを含有する溶液とを接触させる工程、及び
上記親水性モノマーを重合する工程
を有する表面処理樹脂成形体の製造方法である。
をさらに有し、
上記組成物が親水性重合体及び/又は有機溶媒を実質的に含まないことが好ましい。
当該製造方法において、樹脂製の基材を形成する際、親水性重合体や有機溶媒を用いないことで、生産コストや環境への負荷のさらなる低減を図ることができる。
本発明の表面処理樹脂成形体の製造方法は、
樹脂製の基材と親水性モノマーを含有する溶液とを接触させる工程(1)、及び
上記親水性モノマーを重合する工程(2)
を有する。
基材用モノマーを含有する組成物を用いて樹脂製の基材を形成する工程(0)
をさらに有することができる。
本工程においては、基材用モノマーを含有する組成物を用い、この組成物を硬化させて樹脂製の基材を形成する。
上記組成物は、基材用モノマーを含有し、その他、他の成分を含有することができる。
上記基材用モノマーとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。上記基材がコンタクトレンズ基材である場合、上記基材用モノマーとしては、親水性モノマー及びシリコーン系モノマーが好ましい。親水性モノマーとシリコーン系モノマーとを用いることによって、シリコーンハイドロゲルである基材を形成することができる。
上記親水性モノマーは、重合性官能基を有する親水性の化合物であれば特に限定されない。上記重合性官能基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基、α位置換アクリル基、エチレン基、スチリル基等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニル安息香酸などのカルボン酸類;
ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート類;
2−メタクリルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、カルボキシベタイン構造含有メタクリレート(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインなど)等のイオン性基を有する(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル−N−アミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;
2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ブチルアミノエチルアクリレートなどの(アルキル)アミノアルキルアクリレート;
N−ビニル−ピロリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5,5−ジメチル−2−ピロリドン、N−ビニル−3,3,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロリルピロリドン、N−(メタ)アクリロリルオキシエチルピロリドン、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−n−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−i−プロピル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−i−プロピル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−n−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−t−ブチル−3−メチレン−2−ピロリドンなどの重合性官能基を有するピロリドン類;
N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−5−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−ピペリドン、N−ビニル−4,4−ジメチル−2−ピペリドンなどのN−ビニルピペリドン類;
N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−4,6−ジメチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−3,5,7−トリメチル−2−カプロラクタムなどのN−ビニルラクタム類;
N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−N−エチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;
アミノスチレン、ヒドロキシスチレン、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピペリジン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどの重合性官能基を有するその他の親水性化合物等が挙げられる。
上記シリコーン系モノマーは、シロキサニル基及び重合性官能基を有するものである限り特に限定されない。上記重合性官能基は、親水性モノマーが有するものとして例示したものを挙げることができる。
式(i)中、A1は、一般式(ii):
Y21−Z21−R21− (ii)
(式(ii)中、Y21は(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はアリル基、Z21は酸素原子又は直接結合、R21は単結合又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖若しくは芳香環を有するアルキレン基を示す。)で表わされる基である。
−R22−Z22−Y22(iii)
(式(iii)中、Y22は(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はアリル基、Z22は酸素原子又は直接結合、R22は直接結合又は炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖若しくは芳香環を有するアルキレン基を示す。)で表わされる基(ただし、一般式(ii)中のY21及び一般式(iii)中のY22は同一であってもよく、異なっていてもよい。)である。
−X21−E21−X25−R23−(iv)
(式(iv)中、X21及びX25は、それぞれ独立して直接結合、酸素原子及びアルキレングリコール基からなる群より選ばれる1種であり、E21は−NHCO−基(ただし、この場合、X21は直接結合であり、X25は酸素原子又はアルキレングリコール基であり、E21はX25とウレタン結合を形成している。)、−CONH−基(ただし、この場合、X21は酸素原子又はアルキレングリコール基であり、X25は直接結合であり、E21はX21とウレタン結合を形成している。)又は飽和脂肪族系、不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系からなる群より選ばれるジイソシアネート由来の2価の基(ただし、この場合、X21及びX25はそれぞれ独立して酸素原子及びアルキレングリコール基から選ばれる1種であり、E21はX21及びX25の間で2つのウレタン結合を形成している。)であり、R23は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基を示す。)で表わされる基である。
−R24−X27−E24−X28−R25−(vi)
(式(vi)中、R24及びR25は、それぞれ独立して炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基であり、X27及びX28は、それぞれ独立して酸素原子又はアルキレングリコール基であり、E24は、飽和不飽和脂肪族系、不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系からなる群より選ばれたジイソシアネート由来の2価の基(ただし、この場合、E24はX27及びX28の間で2つのウレタン結合を形成している。)である。)で表わされる基である。
−R26−X26−E22−X22−(vii)
(式(vii)中、R26は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖を有するアルキレン基であり、X22及びX26は、それぞれ独立して、直接結合、酸素原子及びアルキレングリコール基からなる群より選ばれる1種であり、E22は、−NHCO−基(ただし、この場合、X22は酸素原子又はアルキレングリコール基であり、X26は直接結合であり、E22はX22とウレタン結合を形成している。)、−CONH−基(ただし、この場合、X22は直接結合であり、X26は酸素原子又はアルキレングリコール基であり、E22はX26とウレタン結合を形成している。)又は飽和不飽和脂肪族系、不飽和脂肪族系、脂環式系及び芳香族系からなる群より選ばれるジイソシアネート由来の2価の基(ただし、この場合、X22及びX26はそれぞれ独立して酸素原子及びアルキレングリコール基から選ばれる1種であり、E22はX22及びX26の間で2つのウレタン結合を形成している。)である。)で表わされる基である。
(式(viii)中、xは1〜4の整数、yは1〜5の整数を示す。)
上記基材に、さらに所望の特性を付与しようとする場合には、基材用モノマーとして、アルキル(メタ)アクリレート、フッ素含有アルキル(メタ)アクリレート、硬度調節モノマー等の他の基材用モノマーが含有されていてもよい。これらはいずれも公知のものを用いることができる。
上記組成物を硬化させることで、樹脂製の基材を形成することができる。上記組成物の硬化の方法としては、上記組成物を紫外線及び/又は可視光線の照射並びに加熱からなる群より選択される少なくとも一種の手段により、組成物中の各重合性成分を(共)重合させることで硬化させることによって得ることができる。また、紫外線照射に替えて電子線照射による共重合によっても得ることができる。
本工程においては、上記基材と親水性モノマーを含有する溶液とを接触させる。
上記基材は、上記工程(0)により得られるものである。但し、上記工程(0)以外の方法で得られたものであってもよい。
上記溶液は、親水性モノマー及び溶媒を含有し、その他、重合開始剤等を含有することができる。
上記親水性モノマーとしては、上記基材用モノマーの親水性モノマーと同様のものを挙げることができる。この親水性モノマーは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記溶媒としては、特に限定されず、水、有機溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。上記溶媒としては、水を主成分として含有することが好ましい。主成分が水の溶媒を用いることで、親水性モノマーの溶解性及び基材への浸透性が高まると共に、製造コストや環境への負荷を低減させることができる。なお、上記主成分とは、溶媒中の最も多い成分を言い、具体的には50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
上記溶液が重合開始剤を含有することで、熱重合や光重合等によって、上記親水性モノマーの重合を効率的に行うことができる。
上記基材と溶液との接触方法は、特に限定されず、基材への溶液の塗布や、溶液への基材の浸漬等を挙げることができるが、浸漬により行うことが好ましい。このように基材を溶液へ浸漬させることで、基材中へ親水性モノマーを十分に侵入させることができ、重合によって得られる親水性重合体の固定性等が向上する。なお、シリコーンハイドロゲルとなりうる乾燥状態の基材を上記溶液に浸漬させると、この工程において基材の膨潤(ゲル化)も同時に行われる。
本工程においては、上記工程(1)に続いて上記親水性モノマーを重合する。好ましくは、上記溶液に基材を浸漬した状態のまま、溶液中の親水性モノマーを重合させる。なお、溶液(親水性モノマー)が基材中に含浸していれば、浸漬させたままで重合させなくてもよい。
本発明の表面処理樹脂成形体は、当該表面処理樹脂成形体の製造方法により得られるものである。当該表面処理樹脂成形体は、基材と親水性モノマーを含有する溶液とを接触させてこの親水性モノマーを重合させる処理が施されているため、この親水性モノマーは基材内部の少なくとも表面領域に入り込んだ状態で重合している。すなわち、本発明の表面処理樹脂成形体は、樹脂製の基材と、この基材の少なくとも表面に疑似架橋状態で存在する親水性重合体(上記親水性モノマーの重合体)とを備える。従って、当該表面処理樹脂成形体によれば、親水性モノマーの重合により得られる親水性重合体が基材の少なくとも表面領域に網目状に侵入した状態で固定(疑似架橋)されているため、表面の水濡れ性、潤滑性及び耐汚染性が高く、この性質の持続性にも優れる。
(親水性モノマー)
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド
N−VP:N−ビニルピロリドン
N−MMP:1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン
MAA:メタクリル酸
GLBT:N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン(大阪有機化学工業(株))
(重合開始剤)
VA−044:2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
IR(イルガキュア:登録商標)2959:1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン
TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド
HMPPO:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
基材用モノマーとして、ウレタン含有シロキサンマクロマー:上記式(C−1)で表される化合物(35質量部)、トリス(トリメチルシロシキ)シリルプロピルメタクリレート(20質量部)、N−MMP(35質量部)及びDMAA(10質量部)、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(0.4質量部)、重合開始剤としてHMPPO(0.4質量部)、並びに非重合性着色剤(0.01質量部)含有する組成物を調製した。この組成物を鋳型法による光重合によりコンタクトレンズ形状の基材Aを得た。
基材用モノマーとして、ウレタン含有シロキサンマクロマー:上記式(C−1)で表される化合物(10質量部)、トリス(トリメチルシロシキ)シリルプロピルメタクリレート(25質量部)、N−VP(40質量部)及び2−メトキシエチルアクリレート(25質量部)、架橋剤としてアリルメタクリレート(0.3質量部)、紫外線吸収剤としてRUVA−93(1質量部)、重合開始剤としてTPO(0.5質量部)、並びに非重合性着色剤(0.02質量部)含有する組成物を調製した。この組成物を鋳型法による光重合によりコンタクトレンズ形状の基材Bを得た。
基材用モノマーとして、ウレタン含有シロキサンマクロマー:上記式(C−1)で表される化合物(24質量部)、トリス(トリメチルシロシキ)シリルプロピルメタクリレート(26質量部)、N−MMP(28質量部)及びDMAA(22質量部)、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(0.4質量部)、紫外線吸収剤としてRUVA−93(1.7質量部、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイロキシエチルフェニル)−2−H−ベンゾトリアゾール(大塚化学製))、重合開始剤としてTPO(0.5質量部)、溶媒としてn−プロパノール(2.0質量部)並びに重合性着色剤(0.01質量部)含有する組成物を調製した。この組成物を鋳型法による光重合によりコンタクトレンズ形状の基材Cを得た。
溶媒としての水100質量部に対し、親水性モノマーとしてDMAA(3.2質量部)及び熱重合開始剤としてVA−044(0.0032質量部)を添加し、表面処理用の溶液(処理液)を調製した。
上記溶液に得られた上記基材Aを浸漬し、溶媒が蒸発しないようにフタをした状態で溶液を70℃で120分加熱することで、熱重合を行った。次いで、基材Aを水ですすぎ、生理食塩液中で高圧蒸気滅菌(121℃、20分)を施し、実施例1の表面処理樹脂成形体を得た。なお、この浸漬により、乾燥状態の基材が膨潤し、シリコーンハイドロゲルとなった。
基材の種類、親水性モノマー、重合開始剤及び溶媒の種類及び量、並びに重合方法及びその条件(温度及び時間)を表1〜3に記載のとおりとしたこと以外は、実施例1と同様の処理を行い、実施例2〜23の表面処理樹脂成形体を得た。
表1の基材を用い、処理液への浸漬及び70℃で120分の加熱(親水性モノマー処理)の代わりにプラズマ処理を行い比較例1〜3の表面処理樹脂成形体を得た。なお、上記プラズマ処理は以下の条件で行った。
ガス種:CO2
出力:50W
圧力:0.8Torr
時間:2分
得られた各表面処理樹脂成形体に対して以下の評価を行った。評価結果を表1〜表3に示す。なお、空欄部分は評価を行っていないことを示す。
(水濡れ性)
同一の基材(A、B又はC)に対してプラズマ処理を行ったもの(比較例1〜3)と比較して優れるものを○、同程度であるものを△とした。
(潤滑性)
指で触ってぬるぬるした感触があるものを○、無いものを×とした。
(耐脂質付着性(耐汚染性))
以下の手順にて耐脂質付着性(耐汚染性)を評価した。
(1)ガラス瓶に脂肪酸エステル(日油(株)製ファーマゾールB−112)を入れ、加熱融解させた。
(2)水分を拭き取ったレンズを浸漬した。
(3)室温で約14時間放置した。
(4)再度、脂肪酸エステルを加熱融解し、レンズを取り出し、熱水でレンズを濯いだ。
(5)レンズをエピカコールド((株)メニコン製)でこすり洗いし、エピカコールド中で約4時間放置したのち、レンズを観察した。なお、「こすり洗い」とは、レンズを手のひらと指の間に挟み、両面をそれぞれ20回こすることを意味する。
同一の基材(A、B又はC)に対してプラズマ処理を行ったもの(比較例1〜3)と比較して明らかに優れるものを○、わずかに優れる程度であるものを△とした。
(接触角)
液適法と気泡法とで接触角(°)を測定した。
基材用モノマーとして、ウレタン含有シロキサンマクロマー:上記式(C−1)で表される化合物(20質量部)及びDMAA(80質量部)、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(0.5質量部)、重合開始剤としてV−65(0.1質量部)を含有する組成物を調製した。この組成物を試験管に入れ、30℃で24時間加熱した後、50℃で24時間加熱し、棒状の重合体を得た。これを切削加工し、プレート形状の基材Dを得た。
基材用モノマーとして、ウレタン含有シロキサンマクロマー:上記式(C−1)で表される化合物(50質量部)及びDMAA(50質量部)、架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート(0.5質量部)、重合開始剤としてV−65(0.1質量部)を含有する組成物を調製した。この組成物を試験管に入れ、30℃で24時間加熱した後、50℃で24時間加熱し、棒状の重合体を得た。これを切削加工し、プレート形状の基材Eを得た。
溶媒としての水100質量部に対し、親水性モノマーとしてDMAA(5質量部)及び熱重合開始剤としてVA−044(0.005質量部)を添加し、表面処理用の溶液(処理液)を調製した。上記溶液に基材Eを浸漬し、溶媒が蒸発しないようにフタをした状態で溶液を70℃で120分加熱することで、熱重合を行った。次いで、基材を水ですすぎ、生理食塩液中で高圧蒸気滅菌(121℃、20分)を施し、本発明の表面処理(親水性モノマー処理)を施した実施例24の表面処理樹脂成形体を得た。
基材D又はEに対してプラズマ処理を行い、生理食塩液中で高圧蒸気滅菌(121℃、20分)を施し、比較例4〜5の表面処理樹脂成形体を得た。なお、上記プラズマ処理は上記比較例1〜3と同様とした。
得られた各表面処理樹脂成形体における酸素透過係数(Dk)を測定した。また、各表面処理樹脂成形体の潤滑性を上記と同様の基準で評価した。測定及び評価結果を表4に示す。
溶媒としての水100質量部に対し、親水性モノマーとしてDMAA(3.2質量部)及び熱重合開始剤としてVA−044(0.0032質量部)を添加し、表面処理用の溶液(処理液)を調製した。上記溶液に上記基材Aを浸漬し、溶媒が蒸発しないようにフタをした状態で溶液を70℃で120分加熱することで、熱重合を行った。次いで、基材を水ですすぎ、生理食塩液中で高圧蒸気滅菌(121℃、20分)を施し、実施例25の表面処理樹脂成形体を得た。
溶媒としての水100質量部に対し、親水性モノマーとしてDMAA(10質量部)及び熱重合開始剤としてVA−044(0.01質量部)を添加し、表面処理用の溶液(処理液)を調製した。上記溶液に上記基材Aを浸漬し、溶媒が蒸発しないようにフタをした状態で溶液を70℃で120分加熱することで、熱重合を行った。次いで、基材を水ですすぎ、生理食塩液中で高圧蒸気滅菌(121℃、20分)を施し、実施例26の表面処理樹脂成形体を得た。
上記基材Aに対してプラズマ処理を行い、生理食塩液中で高圧蒸気滅菌(121℃、20分)を施し、比較例6の表面処理樹脂成形体を得た。なお、上記プラズマ処理は上記比較例1〜3と同様とした。
得られた各表面処理樹脂成形体における接触角を気泡法にて測定した。具体的には、水中に表面処理樹脂成形体を固定し、この成形体の下方に気泡を接触させ、成形体に接触した気泡と成形体とがなす角の角度を測定した。測定結果を表5に示す。
実施例25、26及び比較例6で得られた各表面処理樹脂成形体における潤滑性(最大静止摩擦力)について、図1に示す装置1を用いた以下の方法にて測定した。測定結果を表6に示す。
1.レンズ装着部本体2にレンズ形状の表面処理樹脂成形体10を貼り合わせた(図1(a)参照)。
2.成形体10の周囲をキャップ3で押さえて固定した(図1(a)〜(b)参照)。
3.台5上の測定面6に測定液20(生理食塩水)を滴下した。
4.固定した上記表面処理樹脂成形体10と測定面6とを接触させた(図1(c)参照)。
5.台5を引く力を加え、動き始めたときの力(最大静止摩擦力)を計測した。
2 レンズ装着部本体
3 キャップ
5 台
6 測定面
10 表面処理樹脂成形体
20 測定液
Claims (19)
- 樹脂製の基材と親水性モノマーを含有する溶液とを接触させる工程、及び
上記親水性モノマーを重合する工程
を有する表面処理樹脂成形体の製造方法。 - 上記接触が、溶液への基材の浸漬である請求項1に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記親水性モノマーが、(メタ)アクリルアミド類、重合性官能基を有するピロリドン類、カルボン酸、及び水酸基又はイオン性基を有する(メタ)アクリレート類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記親水性モノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、1−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルオキシエチルホスホリルコリン及びカルボキシベタイン構造含有(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記溶液における溶媒100質量部に対する親水性モノマーの含有量が0.1質量部以上30質量部以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記溶液の溶媒が水を主成分として含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記溶媒が、炭素数4以下のアルコール、アセトン及びジメチルホルムアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒をさらに含有する請求項6に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記溶液が重合開始剤をさらに含有し、
上記溶液における溶媒100質量部に対する重合開始剤の含有量が0.00001質量部以上0.1質量部以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。 - 上記重合開始剤が熱重合開始剤又は光重合開始剤である請求項8に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記重合の時間が15秒以上180分以下である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記重合が熱重合である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記重合の際の溶液温度が40℃以上140℃以下である請求項11に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記基材がシリコーンハイドロゲルである請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記基材の表面の少なくとも一部がプラズマ処理されている請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 上記基材の表面の少なくとも一部がプラズマ処理されていない請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。
- 基材用モノマーを含有する組成物を用いて上記基材を形成する工程
をさらに有し、
上記組成物が親水性重合体及び/又は有機溶媒を実質的に含まない請求項1から請求項15に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法。 - 請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の表面処理樹脂成形体の製造方法により得られる表面処理樹脂成形体。
- コンタクトレンズとして用いられる請求項17に記載の表面処理樹脂成形体。
- 樹脂製の基材と、この基材の少なくとも表面に疑似架橋状態で存在する親水性重合体とを備える表面処理樹脂成形体。
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