JP2013231133A - 重合体粒子および重合体粒子含有組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
[式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。R3は、炭素数1〜20のアルキル基、又は、炭素数6〜10のアリール基を表す。nは、2〜30の整数を表す。なお、n個のR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
前記単量体成分はさらに架橋性単量体を含有することが好ましい。また、前記単量体成分中の非架橋性(メタ)アクリル単量体の含有量は、前記式(1)で表される単量体100質量部に対して、50質量部〜500質量部であることも好ましい。
本発明には、本発明の重合体粒子と有機溶媒とを含有することを特徴とする重合体粒子含有組成物も包含される。
本発明の重合体粒子は、式(1)で表される単量体に由来する、比較的長鎖であって粒子中での束縛を受け難い親水性側鎖と、特定有機基含有単量体に由来する、粒子中での束縛を受け難い所定のアルキル鎖とを同時に有することにより、自己凝集性を発揮するものである。
特に、本発明の重合体に用いられる下記式(1)で表される単量体は、非架橋性かつ比較的長鎖な親水性側鎖を有するため、有機粒子中での束縛を受けにくく、重合体の分子鎖間での分子間力が有効に機能する。従って、式(1)で表される単量体を用いることにより、重合体粒子が自己凝集性を発現するのである。
[式(1)中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。R3は、炭素数1〜20のアルキル基、又は、炭素数6〜10のアリール基を表す。nは、2〜30の整数を表す。なお、n個のR2は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
また、n個あるR2は、全て同一のアルキレン基でも、それぞれ異なったアルキレン基でもよい。種類の異なるアルキレン基を有する場合、それらの順序は特に限定されない。
R3で表される炭素数1〜10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R3としては、アルキル基が好ましく、より好ましくは直鎖状アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
これらの特定有機基含有単量体はいずれも本発明の自己凝集性の発現に効果を有するものであるが、後述する重合体粒子の製造方法において、安定に重合体粒子中に特定有機基含有単量体を組み込むことができ、且つ、分子間相互作用を一層有効に働かせる点で、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好適である。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、それぞれ「アクリレート及び/又はメタクリレート」や「アクリル及び/又はメタクリル」を示すものとする。
これらの中でも、1分子中に2個以上のビニル基を有する架橋性単量体が好ましく、より好ましくは1分子中に2個のビニル基を有する架橋性単量体が好ましい。具体的には、1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(ジ(メタ)アクリレート)、1分子中に2個のビニル基を有する架橋性スチレン系単量体が好ましい。
[式(2)中、R4はアルキル基、アリール基およびアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。R5は重合性反応基または重合性反応基を有するアルキル基、アリール基およびアラルキル基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。Xはヒドロキシ基、アルコキシ基およびアシロキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表す。mおよびnは0〜4の整数であり、2≦m+n≦4である(ただし、nが2の場合、mは1または2となる。)。なお、mが2以上の場合、複数あるR5は互いに同一でも異なっていてもよい。nが2以上の場合、複数あるXは互いに同一でも異なっていてもよい。m+nが2の場合、複数あるR4は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[式中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rbは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。]
[式中、Rcは水素原子またはメチル基を表す。]
[式中、Rdは水素原子またはメチル基を表し、Reは置換基を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。]
具体的には、第一の形態としては、架橋性シラン系単量体が前記架橋性単量体等と共重合し、少なくとも2つのビニル系重合体骨格を形成し得るもの、結果として、ビニル系重合体骨格とビニル系重合体骨格とを架橋するものが好ましい。第二の形態としては、少なくとも架橋性シラン系単量体自体の加水分解、縮合反応により、分岐した2次元または3次元のポリシロキサン骨格を形成でき、結果として架橋構造のポリシロキサン骨格を形成できるものが好ましい。第三の形態としては、前記架橋性単量体等とビニル系重合体骨格を形成し、且つ、架橋性シラン系単量体自体の加水分解、縮合反応により(ポリ)シロキサン骨格を形成することができるもの、結果として、有機重合体骨格と(ポリ)シロキサン骨格とを架橋するものが好ましい。
前記ヒドロキシ基を有する単量体としては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシペンチルアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
重合体粒子の平均粒子径が1μm以上であれば、重合体粒子と有機溶媒等を混合して重合体粒子含有組成物を調製する際に、重合体粒子をより均一に分散させることができ、10μm以下であれば、重合体粒子含有組成物中での重合体粒子の分散安定性が優れたものとなる。その結果、長時間保存後であっても、該組成物を塗布したときの溶剤揮散時の凝集体形成のバラツキが少ない膜が得られやすい。ここで、本発明における「平均粒子径」とは、個数平均粒子径を指す。
重合体粒子の粒子径の変動係数(%)=100×粒子径の標準偏差/個数平均粒子径
本発明の重合体微粒子の製造方法としては、乳化重合、懸濁重合、分散重合、シード重合等が採用できる。前記シード重合には、シード粒子が、有機質重合体からなる場合と、有機質と無機質とが複合された材料からなる場合(ゾルゲルシード重合)とが存在する。ゾルゲルシード重合としては、例えば、アルコキシシランの加水分解縮合反応により得られたポリシロキサンをシード粒子とする場合等が挙げられる。
これらの中でも、シード重合やゾルゲルシード重合法は粒度分布を小さくすることができるため好ましい。
本発明の重合体粒子含有組成物について説明する。本発明の重合体粒子含有組成物は、前記重合体粒子と有機溶媒とを含有することを特徴とする。
また、本発明の重合体粒子含有組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて、重合体粒子、溶媒およびバインダー樹脂に加えて、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、架橋剤、光重合開始剤、レベリング剤、無機フィラー、顔料、染料、可塑剤、重合安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合体粒子含有組成物から溶媒を揮発させることにより形成される2次粒子は、その2次粒子を構成する1次粒子個数が多いほど、重合体粒子の自己凝集力が強いといえる。すなわち、2次粒子により形成される膜の表面の凹凸形状を観察することにより、1次粒子の自己凝集力を定量的に評価することが可能である。そこで、表面凹凸形状として、凹凸の高さの指標であるRa、凹凸の間隔の指標であるSmを測定した。Raの値は凹凸の高さを表し、Smは凹凸の間隔を表すため、多くの重合体粒子が凝集して2次粒子を形成しているほど、これらの値は大きくなり、重合体粒子の自己凝集力は強いことになる。従って、Ra×Smの値が大きいほど、重合体粒子の自己凝集力が強いことがわかり、Ra×Smの値でもって重合体粒子の自己凝集力を定量的に評価することが可能である。
光学特性評価のひとつに内部ヘイズがある。内部ヘイズは表面凹凸形状に大きな影響を受ける。内部ヘイズは、2次粒子を構成する1次粒子の大きさや形状、または屈折率等、他の要因によっても影響されるが、重合体粒子の凝集状態、並びに凝集状態に基づく表面凹凸形状は、内部ヘイズに影響する主要な要因の一つである。よって重合体粒子の自己凝集性が強いと、また、表面凹凸度合いRa×Smの値が大きくなると、内部ヘイズが大きくなる傾向がある。
本発明の重合体粒子および重合体粒子含有組成物は、化粧品、つや消し膜、マットフィルムや、光拡散フィルム、光拡散膜付き光拡散板、反射フィルム、反射防止・防眩フィルム等の光拡散媒体に好適に使用される。
平均粒子径、粒子径の変動係数
精密粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、「コールターマルチサイザーIII」)を用いて、30000個の重合体粒子の粒子径を測定し、個数基準での平均粒子径、標準偏差を測定した。また、得られた測定結果から、下記式を用いて重合体粒子の粒子径の変動係数を算出した。
変動係数(%)=100×(標準偏差/個数平均粒子径)
重合体粒子0.5gを二硫化炭素40gに分散させて重合体粒子分散液を調製した。次いで、スターラーを用いて重合体粒子分散液を撹拌しながら、この重合体粒子分散液にエタノールを滴下していき、当該重合体粒子分散液が目視で透明と判断されるまでエタノールを滴下した。重合体粒子が透明になるまでに滴下したエタノールの質量と二硫化炭素の質量(40g)から、重合体粒子分散液が透明となった時点でのエタノール/二硫化炭素質量比に相当する二硫化炭素−エタノール混合液を調製した。この混合液の屈折率をアッベ屈折計(アタゴ社製、「NAR−1T」)にて測定し、得られた値を重合体粒子の屈折率とした。
測定は、自動接触角計(協和界面科学社製、「CA−X」)を用いて行った。乾燥させた重合体粒子を25mm×75mmのスライドガラス上に貼付した両面テープ上に単層に隙間なくのせ、その後エアースプレーで余分な粒子を除去した。これにより、両面テープ上に重合体粒子を固定化した。粒子が隙間なく固定化されていることをマイクロスコープで確認し、試料とした。試料の大きさは縦、横それぞれ20mm程度である。25℃の条件下、純水1μLの液滴を作製し、スライドガラス上に固定化した重合体粒子に着液させ、接触角をθ/2法により算出した。
なお、着液後30秒後の接触角値を測定値とし、5回測定を行い、最大値と最小値の2点を除く3点の平均値を、測定した粒子の接触角とした。
後述する「重合体粒子含有組成物の調製」に従って重合体粒子含有組成物を作製した。得られた重合体粒子含有組成物をアプリケータ(GAP4;40μm)を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(Ra=0.006μm)上に塗布し、80℃の温度で溶媒を乾燥させた。その後、紫外線を480mJ照射して塗膜を硬化させ、硬化膜の形成されたフィルム(成膜試料)を作製した。
(1)平均算術高さ(Ra)、平均凹凸間隔(Sm)および凝集性
得られた硬化膜について、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、「VK9700」)を用いて、平均算術高さ(Ra)、平均凹凸間隔(Sm)をそれぞれ測定した。また、測定値から、Ra×Smを算出した。
(2)内部ヘイズ
ヘイズメーター(日本電飾工業社製、「NDH2000」)を用いて、成膜試料の透過特性を測定した。内部ヘイズ(%)は下記式により求めた。
内部ヘイズ(%)=拡散光線透過率(%)×100/全光線透過率(%)
製造例1
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水220質量部、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標)NF−08」)2質量%水溶液0.20質量部とメタノール56質量部を入れ、攪拌しながら、この混合溶液に酢酸0.14質量部と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM−503)10質量部を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解を行った。ついで48質量%水酸化ナトリウム水溶液0.41質量部を滴下口から添加し、縮合を行ってシード粒子となるメタクリロイル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)を調製した。反応開始から2時間後、得られた重合性ポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、粒子径を測定したところ、個数平均粒子径は0.78μmであった。
単量体成分を、DVB570 50質量部、MMA 5質量部、EGDMA 15質量部、PME400 10質量部、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)20質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして重合体粒子(2)を得た。得られた重合体粒子(2)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
単量体成分を、DVB570 50質量部、MMA 5質量部、EGDMA 15質量部、PME400 10質量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)20質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして重合体粒子(3)を得た。得られた重合体粒子(3)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
単量体成分を、DVB570 49質量部、MMA 1質量部、EGDMA 10質量部、PME400 10質量部、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(PX−1)10質量部、t−BMA 20質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして重合体粒子(4)を得た。得られた重合体粒子(4)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
単量体成分を、DVB570 49質量部、MMA 1質量部、EGDMA 10質量部、PME400 10質量部、PX−1 10質量部、CHMA 20質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして重合体粒子(5)を得た。得られた重合体粒子(5)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
単量体成分を、DVB570 49質量部、MMA 1質量部、EGDMA 10質量部、PME400 10質量部、PX−1 10質量部、2EHA 20質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして重合体粒子(6)を得た。得られた重合体粒子(6)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水400質量部と25%アンモニア水0.8質量部、メタノール100質量部を入れた。攪拌しながらこの溶液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM−503)10質量部を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合を行ってシード粒子となる重合性ポリシロキサン粒子を調製した。反応開始から2時間後、得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、平均粒子径を測定したところ、個数平均粒子径は0.78μmであった。
単量体成分を、DVB570 20質量部、MMA 40質量部、EGDMA 30質量部、PME400 10質量部に変更したこと以外は、製造例7と同様にして重合体粒子(8)を得た。得られた重合体粒子(8)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
単量体成分を、DVB570 20質量部、MMA 40質量部、EGDMA 30質量部、PME400 10質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして重合体粒子(9)を得た。得られた重合体粒子(9)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
単量体成分を、DVB570 48質量部、MMA 6質量部、EGDMA 21質量部、PME400 10質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)15質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして重合体粒子(10)を得た。得られた重合体粒子(10)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
単量体成分を、DVB570 48質量部、MMA 6質量部、EGDMA 21質量部、PME400 10質量部、PX−1 15質量部に変更したこと以外は、製造例1と同様にして重合体粒子(11)を得た。得られた重合体粒子(11)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
単量体成分を、スチレン(St)33.3質量部、DVB570 19.5質量部、EGDMA 47.2質量部に変更したこと以外は、製造例7と同様にして重合体粒子(12)を得た。得られた重合体粒子(12)の単量体組成および各評価結果を表1に示した。
製造例1〜12で得た重合体粒子を用いて、次の各材料を所定量配合した重合体粒子含有組成物を作製した。得られた重合体粒子含有組成物は、いずれも重合体粒子が均一に分散していた。
バインダー
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 20.3質量部
光重合開始剤
イルガキュア(登録商標)184D(BASFジャパン社製) 0.6質量部
溶媒
トルエン 52.5質量部
シクロヘキサノン 22.5質量部
重合体粒子 4.1質量部
Claims (4)
- 前記単量体成分が、さらに架橋性単量体を含有する請求項1に記載の重合体粒子。
- 前記単量体成分中の非架橋性(メタ)アクリル単量体の含有量が、前記式(1)で表される単量体100質量部に対して、50質量部〜500質量部である請求項1または2に記載の重合体粒子。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体粒子と有機溶媒とを含有することを特徴とする重合体粒子含有組成物。
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