JP2013227713A - 塗工白板紙およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の層を有するカーテン膜に原紙を通して、原紙上に、最外塗工層である上塗り層を含む複数の層からなるカーテン塗工層を形成する工程を含む塗工白板紙の製造方法であって、上塗り層の白色度が85%以上であり、かつ当該上塗り層に隣接する下塗り層の比散乱係数が80m2/kg以上である、前記方法。
【選択図】なし
Description
(1)複数の層を有するカーテン膜に原紙を通して、原紙上に、最外塗工層である上塗り層を含む複数の層からなるカーテン塗工層を形成する工程を含む塗工白板紙の製造方法であって、
前記上塗り層の白色度が85%以上であり、かつ当該上塗り層に隣接する下塗り層の比散乱係数が80m2/kg以上である、前記方法;および
(2)当該方法により製造された塗工白板紙。
本発明で使用される原紙は、古紙パルプが少なくとも配合されていれば、それ以外のパルプ配合は特に制限されない。例えば、晒化学パルプ、未晒化学パルプなどを配合した原紙を使用できる。古紙パルプは、脱墨処理されていてもいなくてもよい。脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプなどを使用することができる。古紙パルプの配合量は、全パルプ中50重量%以上、好ましくは80重量%以上とできる。
本発明においては、2種類以上の塗工液から1つのカーテン膜を形成させ、該カーテン膜に原紙を通して原紙上に2層以上のカーテン塗工層を形成する。当該カーテン塗工層は、塗工白板紙の最外層である最外塗工層を含む。当該最外塗工層を上塗り塗工層、当該上塗り塗工層を形成する塗工液を上塗り塗工液ともいう。また、上記最外層に隣接し、より原紙に近い層を下塗り塗工層、当該下塗り塗工層を形成する塗工液を下塗り塗工液ともいう。
1)下塗り塗工層の光散乱性
下塗り塗工層は、原紙をより効果的に隠蔽するために、光散乱性が高いことが好ましい。塗工層の光散乱性は、単位塗工量あたりの散乱性、すなわち比散乱係数を指標とすることができる。比散乱係数が高いほど、塗工層の隠蔽性が高い。
i)透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ100μm、不透明度5%以下)上に、塗工液をメイヤーバーにより乾燥後の塗工層の重量が20g/m2前後になるように塗布し、塗工層の重量W[g/m2]を天秤により正確に測定する。乾燥は、100℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで行う。
ii)次に、この塗工したフィルムに黒色板を裏あてし、反射率計を用いて塗工層の反射率を測定し、反射率R0を得る。
iii)オーブンを用いて塗工液を100℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで乾燥し、透けない程度の十分な厚み(1mm以上)を有するペレットを得て、その反射率R∞を前述のとおり測定する。
iv)これらの値を用いて、TAPPI T425(ISO 9426)に規定される次式により、比散乱係数sを算出する。
上記の性質を有する下塗り塗工層を得るために、下塗り塗工液は、特定の顔料と接着剤(バインダー)を含むことが好ましい。顔料としては、隠蔽性の高い顔料が好ましい。下塗り塗工液を上記の比散乱係数の範囲とするためには、粒子径の分布が狭く光散乱性の高い軽質炭酸カルシウムを主として用いることが好ましい。含有率は特に制限されないが、顔料100重量部中、軽質炭酸カルシウムの含有量が50重量部以上、好ましくは70重量部以上であると隠蔽効果が顕著となる。軽質炭酸カルシウムの形状としては、立方体状、紡錘状、針状などがあり、いずれを使用してもよいが、紡錘状あるいは針状のものを使用した場合に特に隠蔽効果が高くなる。軽質炭酸カルシウムの粒子径としては、平均粒子径(D50)で0.2〜0.8μmが好ましく、0.2〜0.5μmがさらに好ましい。軽質炭酸カルシウムの代わりとして、粒度分布が狭くなるように制御したエンジニアード重質炭酸カルシウムやエンジニアードカオリンを含有させてもよいが、隠蔽性は軽質炭酸カルシウムよりも劣る。
下塗り塗工液の固形分濃度は、好ましくは40〜75重量%であり、より好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは60〜70重量%である。下塗り塗工液の固形分濃度が40重量%未満であると、塗工乾燥時における塗工層の体積変化が大きくなり、結果として塗工後の表面平滑性が低下することがある。また前記濃度が75重量%より多いと、塗工液の流動性が悪化し、均一なカーテン膜を形成することが難しくなることがある。
1)上塗り塗工層の白色度
本発明の上塗り塗工層の白色度は85%以上であり、90%以上であることが好ましい。下塗り層によって隠蔽され白色度が向上した表面の上に、当該上塗り層を設けることで、塗工白板紙の白色度をより一層高めることができる。上塗り塗工層の白色度は、後述する方法で求められる。
上塗り塗工液の固形分濃度は、好ましくは40〜75重量%であり、より好ましくは50〜70重量%であり、さらに好ましくは60〜70重量%である。上塗り塗工液の固形分濃度が、40重量%未満であると、塗工乾燥時における塗工層の体積変化が大きくなり、結果として塗工後の表面平滑性が劣ることがある。また前記濃度が75重量%より多いと、塗工液の流動性が悪化し、均一なカーテン膜を形成することが難しくなることがある。
カーテン塗工とは、塗工液をカーテン状に流下させて膜を形成し、その膜に原紙を通すことにより原紙上に塗工層を設ける塗工方式である。カーテン塗工は、原紙に沿って塗工層が形成される輪郭塗工であり、また、いわゆる前計量方式であるため塗工量の制御が容易であるという特徴を有する。
本発明の塗工白板紙は、原紙上に塗工層を設けた後、通常の乾燥工程を経て製造されるが、必要に応じて表面処理工程等で平滑化処理してもよい。好ましい態様において、製造後の塗工白板紙の水分が3〜10重量%、より好ましくは4〜8重量%程度となるように調整して仕上げられる。平滑化処理には、通常のスーパーキャレンダ、グロスキャレンダ、ソフトキャレンダ、熱キャレンダ、シューキャレンダ等の平滑化処理装置を用いることができる。
本発明で製造される塗工白板紙の紙中灰分は、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましい。灰分が10重量%より少ないと不透明度が十分に向上しないことがあるためである。本発明で製造される塗工白板紙の白色度は、75%以上が好ましく、77.5%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましい。
(1)白色度:JIS P8148「紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に準拠して測定した。塗工層の白色度については、塗工液をオーブンにより105℃で30分以上、水分減少量の変動がなくなるまで乾燥し、透けない程度の十分な厚み(1mm以上)を持ったペレット状にして測定した。
(2)白色ムラ:以下の基準:
◎:ムラが全く目立たない
○:軽度のムラが認められる
△:ムラが認められ、実用上問題となる可能性がある
×:顕著なムラが認められ、実用に適さない
を用いて、目視により評価した。
(3)塗工層の比散乱係数:前述したとおり、TAPPI T425(ISO 9426)に規定される式に基づいて算出した。
<原紙>
脱墨古紙100%の割合で配合したパルプを使用して白色度70%、米坪40g/m2の表層、脱墨しない雑誌古紙100%で配合したパルプを使用して白色度55%、米坪220g/m2の中層、中層と同様のパルプを使用して白色度45%、米坪40g/m2の裏層をそれぞれ抄造し抄き合わせ、プレス、乾燥処理を行い、米坪300g/m2の塗工白板紙原紙を得た。原紙の白色度は65%であった。抄紙速度は300m/分であった。
紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)75重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)15重量部、焼成カオリン(Imerys社製、Alphatex)10重量部からなる顔料スラリーを調製した後、顔料100部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成ケミカル社製、ALB1735)14重量部、PVA(クラレ社製ポリビニルアルコール、ポバール105)0.5重量部、界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol291−PG)0.5重量部を添加した。この混合物にさらに水を添加して、30℃、60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度63%、静的表面張力30mN/mの下塗り塗工液を得た。
重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)95重量部、二酸化チタン(Dupont社製、RPS−V)5重量部からなる顔料スラリーを調整した後、顔料100重量部に対して、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(旭化成社ケミカル製、ALB1443)14重量部、界面活性剤(日本乳化剤社製、Newcol291−PG)0.5重量部を添加し、さらに水を添加して60rpmにおけるB型粘度が1000mPa・sになるように調整し、固形分濃度66%、静的表面張力30mN/mの上塗り塗工液を得た。
スライド型カーテン塗工装置を用いて、上記2つの塗工液から複数の層を有する1のカーテン膜を形成し、当該カーテン膜に原紙を通して同時2層塗工を行い、乾燥した。塗工量は、乾燥後の重量で下塗り塗工液が18g/m2、上塗り塗工液が4g/m2であった。得られた塗工白板紙の坪量は322g/m2であった。塗工速度は、オンマシンにより抄紙と一貫して行ったため、抄紙速度と同じく300m/分であった。
得られた塗工白板紙をカレンダー処理することにより、塗工白板紙を得た。処理速度は、オンマシンにより抄紙、塗工と一貫して行ったため、抄紙速度および塗工速度と同じく300m/分であった。
下塗り塗工液の顔料を紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)50重量部、重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)35部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)15重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
下塗り塗工液の顔料を紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)85重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)15重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
下塗り塗工液の顔料を紡錘状軽質炭酸カルシウム(奥多摩工業社製、TP−221−70GS、D50=0.5μm、D75/D25=2.5)75重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)15重量部、二酸化チタン(Dupont社製、RPS−V)10重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
上塗り塗工液の顔料を重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)75重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)25重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
上塗り塗工液の顔料を重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)90重量部、二酸化チタン(Dupont社製、RPS−V)10重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
下塗り塗工液中の顔料を重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)85重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)15重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
上塗り塗工液中の顔料を重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)50重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)50重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。
下塗り塗工液中の顔料を重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)85部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)15重量部に変更し、上塗り塗工液中の顔料を重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製、FMT97、D50=0.7μm、D75/D25=3.8)50重量部、デラミネーテッドカオリン(Imerys社製、Contour 1500、平均アスペクト比50)50重量部に変更した以外は、実施例1と同様にして塗工白板紙を得た。これらの結果を表1に示す。
Claims (6)
- 複数の層を有するカーテン膜に原紙を通して、最外塗工層である上塗り層を含む複数の層からなるカーテン塗工層を、原紙上に形成する工程を含む塗工白板紙の製造方法であって、
前記上塗り層の白色度が85%以上であり、かつ当該上塗り層に隣接する下塗り層の比散乱係数が80m2/kg以上である、前記方法。 - 前記比散乱係数が120m2/kg以上である、請求項1に記載の方法。
- 前記下塗り層が、顔料として焼成カオリンを含有する、請求項1または2に記載の方法。
- 前記上塗り層が、顔料として重質炭酸カルシウムを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造された塗工白板紙。
- 原紙の白色度が45〜72%であり、塗工白板紙の白色度が75%以上である、請求項5に記載の塗工白板紙。
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