JP2010007189A - 高不透明塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基紙と、当該基紙上に、顔料と接着剤とを主成分とする塗工層を有する塗工紙であって、前記塗工層が、前記基紙に接する下塗り塗工層と、当該下塗り塗工層上に形成された上塗り塗工層とから構成された2層からなり、前記下塗り塗工層が、顔料として少なくとも再生粒子及び/又は重質炭酸カルシウムを含有し、前記下塗り塗工層の塗工量が片面あたり0.5〜2.5g/m2である。
【選択図】なし
Description
<抄紙>
まず、本実施形態に係る塗工紙を構成する基紙について説明する。
基紙は、通常の原料パルプを抄紙して得られるものであればよい。該原料パルプにも特に限定がなく、例えば未晒針葉樹パルプ(NUKP)、未晒広葉樹パルプ(LUKP)、晒針葉樹パルプ(NBKP)、晒広葉樹パルプ(LBKP)等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ;雑誌古紙、チラシ古紙、オフィス古紙等から製造される離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプ等の古紙パルプ等があげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択し、その割合を調整して用いることができる。
基紙には、後述する上塗り塗工層を設ける前に、重質炭酸カルシウム及び/又は再生粒子を顔料とする下塗り塗工層を、片面あたり0.5〜2.5g/m2となるよう設ける。
従来、フィルム転写方式又はブレード塗工方式で、このような低塗工量で塗工すると、塗工液が基紙に吸液されやすく、紙の引張強度が低下するため断紙しやすいが、本発明においては、基紙に内添紙力増強剤を含有しているため、低濃度の塗工液を塗工した場合でも、紙の引張強度が低下しにくいため、断紙の発生を防止したままで、紙を製造することができる。
本発明では、不透明度を向上させるため、特に不透明度に優れた填料である、次の再生粒子、再生粒子凝集体、及びシリカ被覆再生粒子凝集体からなる群より選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。特に再生粒子凝集体、及びシリカ被覆再生粒子凝集体は、再生粒子が凝集してなる粒子であり、特に不透明性が高く、また、粒子が基紙に沈み込みにくく、より不透明な塗工層を形成できるため、特に好ましい。
製紙スラッジ由来の再生粒子としては、例えば、特許第3819706号公報に記載のものを使用することができる。具体的には、製紙スラッジを直径3〜10mmの紐状に押出成形し、長さ8〜10cmにカットし、次いでロータリーキルンで500〜1000℃で焼却し、この焼却により得た焼却灰を乾式粉砕、湿式粉砕の順で粉砕して得た、平均粒径0.1〜10μmの白色顔料を使用することができる。
脱墨フロス由来の再生粒子凝集体としては、例えば、特許第3869455号公報、特許第3872091号公報に記載のものを使用することができる。具体的には、水分率95〜98質量%程度の脱墨フロスに凝集剤を加え、50〜60質量%程度まで脱水して、脱水物を熱風乾燥・分級した後、450〜650℃の範囲で、未燃率が10質量%以上、15質量%未満となるよう焼成して凝集させる。焼成した無機粒子凝集体を、一次粒子が平均粒子径0.01〜0.1μm、この一次粒子が凝集した二次粒子が平均粒子径0.1〜10μmとなるよう粉砕して得られた白色顔料を使用することができる。
さらに本実施形態における、下塗り塗工層の顔料として好適な再生粒子として、前記再生粒子凝集体の表面をシリカで被覆した、シリカ被覆再生粒子凝集体を用いると、白色度が高いため、より好ましい。
重質炭酸カルシウム又は再生粒子以外の顔料として、カオリンクレーを併用しても良い。クレーを併用することで、下塗り塗工後の平坦性が向上できるため、上塗り塗工後の平坦性及び印刷適性についても向上させることができる。
下塗り塗工層の接着剤としては、一般的に製紙用途で使用できる接着剤を併用することができる。例えばカゼイン、大豆蛋白等の蛋白質類;メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス等の共役ジエン系ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体ラテックスもしくは共重合体ラテックス等のアクリル系ラテックス、エチレン−酢酸ビニル重合体ラテックス等のビニル系ラテックス、あるいはこれらの各種共重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又は非溶解性のラテックス等のラテックス類;ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の合成樹脂系接着剤;酸化澱粉、陽性化澱粉、エステル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体等の、通常塗工紙に用いられる接着剤が例示され、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して併用することができる。上記の中でも特に澱粉類が保水性が高く断紙し難いこと、及び、低濃度塗工における均一な塗工性能が良好であるため好ましい。特に、基紙中に紙力増強剤及び定着剤を併用することが好ましく、更には紙力増強剤としてポリアクリルアミド、定着剤として硫酸バンドを用いると、特に断紙が少なく、安定して塗工紙を製造できるため好ましい。
下塗り塗工後の原紙は、上塗り塗工(顔料塗工)を行う前に、プレカレンダーによる平坦化処理を行うと、上塗り塗工後の平坦性が向上できるため好ましい。プレカレンダーは、金属ロールと弾性ロールを組み合わせたソフトカレンダーが、表面の改良性が高いため好ましい。プレカレンダーは、1段又は必要に応じ2段以上の組合せで行うこともできる。プレカレンダーでの処理により、下塗り塗工後の原紙表面を平坦化処理するとともに、後のカレンダーで過度の平坦化処理を要しないことで、紙の手肉感を低下させることなく、原紙表面の平坦性を向上させることが可能になり、塗工紙として充分な印刷適性と手肉感が得られる。また、下塗り塗工層の表面を平坦化処理することで上塗り塗工の塗工性を向上させ、塗工液の塗工ムラを抑えることができる。プレカレンダーの線圧は、好ましくは10〜80kN/mであり、より好ましくは10〜50kN/mである。10kN/m未満であると、下塗り塗工後の原紙の平坦化が進まず、また、80kN/mを超過すると、必要以上に原紙を圧迫するため、紙力や剛性が低下するため好ましくない。
下塗り塗工を行い、好ましくはプレカレンダーで平坦化を行なった基紙上に、顔料及び接着剤を主成分とする上塗り塗工層を設ける。
表1及び2に示す種類及び割合で、抄紙、下塗り塗工、プレカレンダー処理、上塗り塗工、カレンダー処理を行い、印刷用塗工紙を得た。尚、灰分は、表1及び2の灰分となるよう軽質炭酸カルシウムを適宜添加した。用いた顔料、原料および薬品は以下のとおりである。
・紙力増強剤
両性ポリアクリルアミド(両性PAM)
(品番:ハーマイドDN710、ハリマ化成社製)
カチオン性ポリアクリルアミド(カチオンPAM)
(品番:ハリフィックスUF−570、ハリマ化成社製)
アニオン性ポリアクリルアミド(アニオンPAM)
(品番:ハーマイドC−10、ハリマ化成社製)
エポキシ変性ポリアミド(ポリアミド)
(品番:ハーマイドPY−525A、ハリマ化成社製)
カチオン変性ポリアミン(ポリアミン)
(品番:WS−4052、星光PMC社製)
・定着剤
硫酸バンド (品番:硫酸バンド、朝日化学工業社製)
PEI(ポリエチレンイミン) (品番:カチオファストSF、BASF社製)
PDADMAC(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド) (品番:ナルコ2020、片山ナルコ社製)
・軽質炭酸カルシウム (品番:TP−121−6S、奥多摩工業社製)
(顔料)
・再生粒子
a)製紙スラッジ由来の再生粒子(再生粒子)
特許第3819706号公報の製法で粒径を調整して製造した。具体的には、DIPフローテーターのフロス又は脱水設備にて55〜65%に脱水して得られた製紙スラッジを、直径4.5mm、長さ8〜10cmの紐状にカットしてから、焼却炉において1000℃で焼却して二次粒子径3μmの再生粒子を生成した。
b)脱墨フロス由来の再生粒子(凝集体)
特許第3869455号公報の製法で粒径を調整して製造した。具体的には、古紙の処理工程から排出される脱墨フロスを水分率60%まで脱水し(脱水工程)、120℃で乾燥して(乾燥工程)焼成工程入口での水分率が3%になるようにし、第1焼成工程で未燃分が7%となるように、第2焼成工程で未燃分が12質量%となるように焼成し(焼成工程)、粒子径500μmとなるように粉砕して(粉砕工程)、再生粒子凝集体を生成した。
c)シリカ被覆再生粒子(シリカ複合)
特許第3907688号公報の製法で粒径を調整して製造した。具体的には、古紙の処理工程から排出される脱墨フロスを水分率50%まで脱水し(脱水工程)、130℃で乾燥して(乾燥工程)焼成工程入口での水分率が3%になるようにし、第1焼成工程で未燃分が7%となるように、第2焼成工程で未燃分が12質量%となるように焼成し(焼成工程)、粒子径500μmとなるように粉砕して(粉砕工程)、再生粒子凝集体の表面に、シリカを析出させたシリカ被覆再生粒子凝集体を生成した。
・炭酸カルシウム:重質炭酸カルシウム
(品番:ハイドロカーブ90K、オミヤコーリア社製)
・カオリンクレー:微粒クレー
(品番:カオファイン、イメリス社製)
(顔料)
・カオリンクレー:微粒クレー
(品番:カオファイン、イメリス社製)
・炭酸カルシウム:重質炭酸カルシウム
(品番:ハイドロカーブ90K、オミヤコーリア社製)
(接着剤)
・スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(品番:XY4、日本エイアンドエル社製)
(製造手順)
原料パルプとしてLBKPとNBKPを80:20の質量割合で配合し、このパルプ(絶乾量)に対して、各々固形分で、表1及び2に示す紙力増強剤及び定着剤と、内添サイズ剤(品番:AK−720H、ハリマ化成(株)製)0.02質量%、カチオン化澱粉(品番:アミロファックスT−2600、アベベジャパン(株)製)1.0質量%、及び歩留向上剤(品番:NP442、日産エカケミカルス(株)製)0.02質量%を添加してパルプスラリーを得た。
カラーアナライザー(型番:カラーi5、マクベスグレタグ社製)にて測定した。測定条件はUVIN(紫外線を含む)、SCI(反射光を含む)、C光源、視野角2°。
カラーアナライザー(型番:カラーi5、マクベスグレタグ社製)を用いて、JISP8149に準拠した方法で測定した。
A4サイズ(210mm×297mm)のサンプル20枚を重ね、長辺の一方をホチキスで3箇所(上端、中央、下端)綴じて水平に置き、1枚ずつ合計10枚めくって、以下の評価基準に基づいて紙の手肉感を評価した。
◎:めくった後の紙がへたれず、手肉感に優れる。
○:めくった後の紙が若干へたれ、若干手肉感に劣る。
△:めくった後の紙が多少へたれ、多少手肉感に劣る。
×:めくった後の紙がへたれ、手肉感に劣る。
オフセット印刷機(型番:リソピアL−BT3−1100、三菱重工業(株)製)を使用し、カラーインク(品番:ADVAN、大日本インキ化学工業(株)製)にてカラー4色印刷を5000部行った。この印刷面について、目視及びルーペ(10倍)にて、印刷物の印刷ムラを観察し、その程度を以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:印刷ムラがなく、印刷適性に優れ、実使用可能。
○:印刷ムラが若干発生し、印刷適性が若干劣るが、実使用可能。
△:印刷ムラが多少発生し、印刷適性が多少劣るが、実使用可能。
×:印刷ムラが発生し、印刷適性に劣り、実使用不可能。
3日間連続操業時の断紙の発生回数を、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:断紙が発生しない
○:断紙が1回発生したが、実使用可能
△:断紙が2回発生したが、実使用可能
×:断紙が3回以上発生し、実使用不可能
Claims (4)
- 基紙と、当該基紙上に、顔料と接着剤とを主成分とする塗工層を有する塗工紙であって、
前記塗工層が、前記基紙に接する下塗り塗工層と、当該下塗り塗工層上に形成された上塗り塗工層とから構成された2層からなり、
前記下塗り塗工層が、顔料として少なくとも再生粒子及び/又は重質炭酸カルシウムを含有し、
前記下塗り塗工層の塗工量が片面あたり0.5〜2.5g/m2であることを特徴とする塗工紙。 - 前記基紙中に、内添紙力増強剤としてポリアクリルアミド系樹脂を含有することを特徴とする、請求項1に記載の塗工紙。
- 前記基紙中の灰分が8質量%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗工紙。
- 前記下塗り塗工層に含有する接着剤の配合量が、下塗り塗工層中の顔料100質量部に対して20〜45質量部であることを特徴とする、請求項1〜3いずれか1項に記載の塗工紙。
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