JP2013223859A - 硬化性分散剤とその製造方法、及びそれを用いた顔料組成物 - Google Patents

硬化性分散剤とその製造方法、及びそれを用いた顔料組成物 Download PDF

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彩子 宮本
Susumu Shiratori
進 白鳥
Tomo Miyashita
知 宮下
Mutsumi Nakazato
睦 中里
Takayuki Nogami
孝幸 野上
Yuta Suzuki
雄太 鈴木
Masanori Noshiro
雅則 野城
Mari Iwasaki
真理 岩崎
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Abstract

【課題】
非集合性、流動性、保存安定性に優れ、同時に展色物の耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性に優れた分散体を製造することのできる硬化性分散剤、さらにそれを用いた顔料組成物を提供すること。
【解決手段】
前記課題は、活性メチレン基または活性メチン基と、カルボキシル基と、を有する分散剤であって、下記(1)〜(3)いずれかの特徴を有する分散剤によって解決される。
(1)片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にカルボキシル基を有しない
(2)片末端領域に脂肪族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にカルボキシル基を有しない
(3)片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域に脂肪族カルボキシル基を有する
【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性分散剤に関し、更に詳しくは、非集合性、流動性、保存安定性に優れ、同時に展色物の耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性に優れた分散体を製造することのできる硬化性分散剤に関する。また、分散剤の製造方法、及びそれを用いた顔料組成物に関する。本発明の分散剤を用いて作製した顔料組成物は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子、タッチパネル等に用いられるカラーフィルタ、ブラックマトリックス、透明導電膜などに用いることができる。
一般に、着色インキや導電性インキ等の顔料インキを製造する場合、顔料を安定に高濃度で分散することが難しく、製造工程や製品そのものに対して種々の問題を引き起こすことが知られている。例えば、微細な粒子からなる顔料を含む分散体は往々にして高粘度を示し、製品の分散機からの取り出しや輸送が困難となるばかりでなく、悪い場合は保存中にゲル化を起こし、使用困難となることさえある。更に展色物の表面に関しては光沢の低下、レベリング不良、導電性の低下等の状態不良を生じる。また、異種の顔料を混合して使用する場合、凝集による色別れや、沈降などの現象により展色物に色むらや著しい着色力の低下が現れることがある。
そこで一般的には分散状態を良好に保つために分散剤が利用されている。分散剤は顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの機能の部位のバランスで分散剤の性能は決まる。つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の顔料に吸着する性能と分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。
分散剤は被分散物である顔料の表面状態に合わせ種々のものが使用されているが、有機顔料を分散する場合は、塩基性に偏った表面を有する顔料には酸性の分散剤が使用されるのが一般的である。この場合、酸性官能基が顔料の吸着部位となる。酸性の官能基としては例えばカルボン酸等が挙げられる。また、酸性に偏った表面を有する顔料には塩基性の分散剤が使用される。また無機顔料を分散する場合、無機表面の水酸基と相互作用する部位が顔料吸着部となる。例えば無機表面の水酸基と水素結合するカルボン酸等が挙げられる。溶剤親和性部位としては、エチレン性不飽和単量体をラジカル重合して生成されるビニル重合体が挙げられ、使用する溶剤に応じてエチレン性不飽和単量体を変更することで溶剤との親和性を調整することができる。カルボン酸を有する分散剤は、例えば特許文献1、2などに記載されている。
しかし、特許文献1、2に記載の分散剤はある程度の分散能力は持ち合わせるが、低粘度で安定な分散体をつくるには使用量を多くする必要があった。そのため、インキ、塗料等へ展開した際に、塗膜の耐性が落ちる場合があるなどの問題があった。
塗膜の耐性を改善するために、分散剤に架橋基を導入する技術が知られており、特許文献3では(メタ)アクリロイル基、特許文献4では(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、特許文献5ではオキセタニル基、t−ブチルエステル基、ブロックイソシアネート基を導入している。しかし(メタ)アクリロリル基、ビニルエーテル基、オキセタニル基、ブロックイソシアネート基は、保存安定性を確保するために高濃度に導入することができず、またt−ブチルエステル基は反応性が低く、塗膜の耐性は十分には向上しなかった。
また、活性メチレン基または活性メチン基を架橋基として用い、ブロックイソシアネート基やアクリレート基を有する化合物と架橋反応させることで塗膜の耐性を向上させる技術が知られているが(特許文献6、7)、顔料分散剤にこれらの架橋基を導入することで塗膜の耐性が大幅に向上する点については知られていない。また、活性メチレン基を導入した分散剤が特許文献8で記載されているが、この官能基を架橋基として用いる点については記載されていない。
特開昭61−61623号公報 特許第4396777号 特開2011−157416号公報 特開2004−97955号公報 特開2009−155406号公報 特開2009−288344号公報 特開2005−206778号公報 特開2011−241259号公報
本発明は、低使用量で非集合性、流動性、保存安定性に優れる顔料分散体を得るための分散剤の提供を目的とする。更には得られる展色物の耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性に優れる顔料分散体を得るための硬化性分散剤の提供を目的とする。また、オフセットインキ、グラビアインキ、カラーフィルタ用レジストインキ及びインキジェットインキ、塗料などに適する顔料組成物の提供を目的とする。
本発明の分散剤は、架橋基として機能する活性メチレン基または活性メチン基を有し、顔料吸着部位として機能するカルボキシル基が分子鎖中で特定の領域に存在することを特徴とする。
すなわち、本願発明は、活性メチレン基または活性メチン基と、カルボキシル基と、を有する分散剤であって、下記(1)〜(3)いずれかの特徴を有する分散剤に関する。
(1)片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にカルボキシル基を有しない
(2)片末端領域に脂肪族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にカルボキシル基を有しない
(3)片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域に脂肪族カルボキシル基を有する
また、本発明は、分散剤が、
分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)の存在下に、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合して得られる、片末端に1つ以上の水酸基を有するビニル重合体(M)中の水酸基と、カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基と、を反応させて生成される分散剤、
および/または、
分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)中の水酸基と、カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基と、を反応させて得られるカルボキシル基とチオール基を有する化合物(S)の存在下に、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合して生成される分散剤、
であることを特徴とする前記分散剤に関する。
また、本発明は、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする前記分散剤に関する。
一般式(1)
Figure 2013223859
[一般式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、炭素原子数2〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基である。]
また、本発明は、ブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基およびメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(b)をさらに有する前記分散剤に関する。
また、本発明は、エチレン性不飽和単量体(m)が、ブロックイソシアネート基またはブロックイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−b)を含むことを特徴とする前記分散剤に関する。
また、本発明は、分散剤中の活性メチレン基または活性メチン基の一部を、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有する(メタ)アクリレート中のイソシアネート基またはイソチオシアネート基で反応させて得られる、前記分散剤に関する。
また、本発明は、重量平均分子量が、5000〜50000である前記分散剤に関する。
また、本発明は、前記分散剤と、顔料(P)と、を含む顔料組成物に関する。
また、本発明は、さらにブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基およびメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(b)を有する架橋剤(B)を含む前記顔料組成物に関する。
また、本発明は、さらに光重合開始剤(C)と、光重合性単量体(D)と、を含む前記顔料組成物に関する。
また、本発明は、顔料(P)が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、リン含有酸化スズ(PTO)、フッ素含有酸化スズ(FTO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)、およびガリウム含有酸化亜鉛(GZO)からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記顔料組成物に関する。
また、本発明は、透明基板上に、前記顔料組成物から形成されるカラーフィルタセグメントまたはブラックマトリックスを備えることを特徴とするカラーフィルタに関する。
また、本発明は、前記顔料組成物から形成される導電膜に関する。
さらに、本発明は、基材と、前記導電膜と、を有することを特徴とする導電性積層体に関する。
本発明の分散剤を使用することにより、低使用量で非集合性、流動性、保存安定性に優れる顔料分散体を提供できる。その顔料分散体を使用することにより、耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性に優れた展色物を提供できる。また、オフセットインキ、グラビアインキ、カラーフィルタ用レジストインキ及びインキジェットインキ、塗料などに適する顔料組成物を提供できる。
<<分散剤>>
まず、本発明の分散剤の構造について説明する。
一般に、分散剤は顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤に親和性の高い部位との構造を持ち合わせ、この2つの部位のバランスで分散剤の性能が決まる。つまり、分散性を発現させるためには、分散剤の顔料に吸着する性能と分散媒である溶剤への親和性がともに非常に重要である。
顔料または顔料誘導体に塩基性部位を有する場合は、その塩基性部位へ吸着可能な酸性基を有する分散剤が有効であり、酸性度が大きな酸性基ほど吸着作用が大きく、特に吸着可能な酸性基が片末端領域に存在する分散剤は、顔料への効率的な吸着と、溶剤への親和性が高くなる。
吸着可能な酸性基がカルボキシル基の場合、芳香族カルボキシル基の酸性度のほうが脂肪族カルボキシル基のそれより高いので、片末端領域に芳香族カルボキシル基を有する場合は、溶剤への親和性が高い部位に脂肪族カルボキシル基が存在しても、芳香族カルボキシル基が優先的に顔料へ吸着するため、分散性が良好な分散体を得ることができる。
また片末端領域に脂肪族カルボキシル基を有する場合は、溶剤への親和性が高い部位にカルボキシル基があると、競争的な吸着が起こり、分散不良を起こしてしまうので、片末端領域以外にカルボキシル基はないことで分散性が良好な分散体を得ることができる。
上記の理由から、本発明の分散剤は顔料吸着部であるカルボキシル基について、下記(1)〜(3)いずれかの特徴を有する。
(1)片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にカルボキシル基を有しない
(2)片末端領域に脂肪族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にカルボキシル基を有しない
(3)片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域に脂肪族カルボキシル基を有する
また、活性メチレン基または活性メチン基は架橋基として反応性が優れるため、耐性を向上させる能力に優れている。一方で、カルボキシル基よりも酸性度が低いため、カルボキシル基の顔料吸着を阻害せず、溶剤への親和性が高く、分散剤へ高濃度で組み込んだ際にも分散性に優れている。
上記の理由から、本発明の分散剤は、活性メチレン基または活性メチン基を有する。
これらの2つの特徴を併せ持つことで、本発明の分散剤は、分散性と耐性とを高いレベルで両立することができる。
本発明の分散剤は、直鎖、分岐、星型のいずれでもよく、上記(1)〜(3)の「片末端領域」は、例えば、酸素原子を有していても良い炭素原子数1〜12(好ましくは炭素原子数1〜6)の炭化水素基である。炭化水素基は直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれでもよい。この片末端領域に2つ以上のカルボキシル基が含まれる場合は、より顔料へ吸着する力が強く、安定した分散体が得られる。2つ以上のカルボキシル基は同一の炭素原子に結合していても、別異の炭素原子に結合していてもよい。
なお、本願発明の分散剤が、カルボン酸無水物(c)を用いる後述の方法[1][5]により製造された分散剤である場合、「片末端領域」とは、カルボン酸無水物(c)由来の構造部分を示す。
カルボキシル基は、顔料分散剤の酸価が3〜200mgKOH/gとなる量が好ましい。より好ましくは4〜150mgKOH/gであり、更に好ましくは、5〜100mgKOH/gであり、特に好ましくは、5〜80mgKOH/gである。酸価が3mgKOH/g未満では、顔料吸着能が低下し顔料分散性に問題がでる場合があり、200mgKOH/gを超えると、樹脂間の相互作用が強くなり顔料分散組成物の粘度が高くなる場合がある。
また、上記(1)〜(3)の「それ以外の領域」の構造は特に限定されない。「それ以外の領域」は、分散媒である溶剤への親和性部分となり、この部位が、顔料の凝集を立体反発によって抑制することができる。分子量を前記範囲に調整することが容易であり、かつ、溶剤への親和性も良好であることから、ポリエーテル、ポリエステル、ビニル共重合体等の構造が好ましい。活性メチレン基および活性メチン基は「片末端領域」と「それ以外の領域」のいずれに有していてもよいが、「それ以外の領域」に有していることが好ましい。
ここでいう活性メチレン基及び活性メチン基とは、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、及び、電子求引基から選ばれる2つの基にはさまれたメチレン基及びメチン基のことである。電子求引基としてはカルボニル基、エステル基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基、スルフィニル基、およびホスホノ基などが挙げられる。
活性メチレン基または活性メチン基の含有濃度は、分散剤中で、0.1〜4.0mmol/gが好ましい。濃度が0.1mmol/g未満では、架橋密度が低下し耐性が十分でない場合があり、4.0mmol/gを超えると、顔料分散組成物の粘度が高くなる場合がある。
活性メチレン基または活性メチン基の架橋反応としては、例えばイソシアネート基またはそのブロック体との付加反応、電子吸引基を有するビニル基とのマイケル付加反応、ハロゲン化アルキルとのアルキル化反応、N−メチロール基またはそのアルキルエーテル(アミノ樹脂)との縮合反応、アルデヒド基との縮合反応、亜鉛、錫、鉛、アルミニウム、銅、ジルコニウム等のカチオンとのキレート化反応、アミノ基とのエナミン生成反応、ジアゾニウム塩とのカップリング反応、等が用いられるが、好ましくは、ブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基との付加反応、アクリレート基、メタクリレート基とのマイケル付加反応が用いられる。
これらの官能基は、分散剤中に有してもよいし、後述する架橋剤(B)中に有していてもよい。
分散剤の重量平均分子量は2000〜60000が好ましく、4000〜40000がより好ましい。重量平均分子量が2000未満の場合、溶剤親和性部位による立体反発の効果が少なくなるため、顔料の凝集を防ぐことが困難となり、分散安定性が不十分となるおそれがある。また、分子量が60000を超える場合、溶剤親和性部位の絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下したり、分散体の粘度が高くなったりするおそれがある。
<分散剤の製造方法>
本発明の分散剤は下記方法[1]〜[6]により製造することができるが、これらの製造方法に限定されない。
方法[1]
分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)[以下化合物(s)と略す場合がある]の存在下に、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合して得られる、片末端領域に1つ以上の水酸基を有するビニル重合体(M)[以下ビニル重合体(M)と略す場合がある]中の水酸基と、
カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基と、
を反応させる方法。
方法[2]
分子内に1つ以上のカルボキシル基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(S−C)の存在下に、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合する方法。
方法[3]
分子内に1つ以上のカルボキシル基を有するラジカル重合開始剤の存在下に活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合する方法。
方法[4]
リビング重合可能な重合触媒存在下で、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を含むエチレン性不飽和単量体(m)と、のいずれか一方を重合し、そののちにもう一方を添加して重合する方法。
なお、方法[2]中の分子内に1つ以上のカルボキシル基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(S−C)は、例えばカルボキシル基とチオール基が炭化水素基で結合されている化合物等を用いても良いが、方法[2]の一例として説明する下記方法[5]のとおり、(S)を用いることが好ましい。
方法[5]
分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)中の水酸基と、
カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基と、
を反応させて得られるカルボキシル基とチオール基を有する化合物(S)の存在下に、
活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合する方法。
さらに、下記の方法で製造することもできる。
方法[6]
上記方法[2]〜[5]の方法において、エチレン性不飽和単量体(m)の一部に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を含ませることで水酸基を有する分散剤を得、分散剤中の水酸基の全部または一部を、活性メチレン基または活性メチン基を有するエステル化合物でエステル化させる方法。
[なお、上記[1]の方法においては、エチレン性不飽和単量体(m)の一部に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を含ませると、重合体の片末端領域以外にも水酸基を含有するため、カルボン酸無水物(c)との反応で片末端領域以外にカルボキシル基が導入されたり、ゲル化したりする等の問題が生じやすいため、水酸基を導入することができない。]
分散剤中には、耐性を向上させるために、活性メチレン基または活性メチン基と架橋する官能基として、ブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基、メタクリレート基を有することが好ましい。なお、これらの官能基は分散剤およびそれを使った分散体の安定性を損なわない範囲で導入することができる。
ブロックイソシアネート基またはブロックイソシアネート基は、たとえば、
方法[A]
上記[1]〜[6]のエチレン性不飽和単量体(m)の一部に、ブロックイソシアネート基またはブロックイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−b)を含む方法、
等により分散剤中に導入できる。
アクリレート基、メタクリレート基は、たとえば、
方法[B]
上記[1]〜[6]の方法で合成した分散剤中の活性メチレン基または活性メチン基の一部を、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有する(メタ)アクリレート中のイソシアネート基またはイソチオシアネート基と反応させる方法、
方法[C]
上記[2]〜[6]の方法において、エチレン性不飽和単量体(m)の一部に、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を含ませることで水酸基を有する分散剤を得、分散剤中の水酸基の全部または一部を、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有する(メタ)アクリレート中のイソシアネート基またはイソチオシアネート基と反応させる方法、
方法[D]
上記[1]、[5]、[6]の方法において、分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)中の水酸基を、カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基より多くすることにより、片末端領域に水酸基を有する分散剤を得、分散剤中の水酸基の全部または一部を、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有する(メタ)アクリレート中のイソシアネート基またはイソチオシアネート基と反応させる方法、
等により分散剤中に導入できる。
製造の容易さの観点から、方法[A]が好ましい。
上記の方法[1]〜[6]のうち、製造の容易さの観点から方法[1]、[2]、[5]が好ましく、分散性の観点から方法[1]、[5]が特に好ましい。方法[1]と[5]は分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)、カルボン酸無水物(c)、エチレン性不飽和単量体(m)の反応順序は異なるが、最終的には同等の構造をもった分散剤となる。方法[1]、[5]で製造した分散剤の顔料吸着部位と溶剤親和性部位の好ましい製造方法について方法[1]を例にとって説明する。
方法[1]で製造した分散剤の顔料吸着部位について説明する。カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基を、片末端領域に1つ以上の水酸基を有するビニル重合体(M)中の水酸基と反応させると、エステル結合が生成し、かつ、分散剤の片末端領域に顔料吸着部位として機能するペンダントカルボキシル基を残すことができる。特にカルボン酸無水物(c)が、トリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物の場合、分子内の非常に近接した領域にカルボキシル基を2個以上有することができ、この近接した複数のカルボキシル基が顔料の吸着部位としてより有効である。また、分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)中の水酸基が2つ以上である場合も、分子内の非常に近接した領域にカルボキシル基を2個以上有することができ、この近接した複数のカルボキシル基が顔料の吸着部位としてより有効である。
方法[1]で製造した分散剤の溶剤親和性部位について説明する。分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)は、その存在下にエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合することで、1つ以上のビニル重合体部分と、片末端領域に存在する1つ以上の水酸基とを有するビニル重合体(M)を生成することができる。
上記ビニル重合体部分とは、分散剤のうち、分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)由来の部分と、カルボン酸無水物(c)由来の部分を含まない部分である。ビニル重合体部分は、分子内にチオール基の数だけ生成されるため、分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)中のチオール基が2つ以上である場合、分子内に任意にかつ効率良く多数のビニル重合体部分を導入することができ、この複数のビニル重合体部分が溶剤親和性部位として有効である。
以上のことから方法[1]で製造した分散剤は、分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)の水酸基またはチオール基が2つ以上であり、かつ、カルボン酸無水物(c)がトリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物の場合に、立体反発効果が特に優れた溶剤親和性部位を有し、更に、連続したペンダントカルボキシル基である優れた顔料吸着部位を有する。また、方法[5]の場合も、同様の化合物(s)とカルボン酸無水物(c)を使用した場合に、立体反発効果が特に優れた溶剤親和性部位を有し、更に、連続したペンダントカルボキシル基である優れた顔料吸着部位を有する。
(方法[1])
方法[1]で分散剤を製造する際に用いられる化合物と反応工程について説明する。
分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)としては、下記のようなものが挙げられる。以下、同一化合物の別名を表す場合は《 》で表す。
(分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s))
分子内に1つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物として、例えば、メルカプトメタノール、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、1−メルカプト−2−ブタノール、2−メルカプト−3−ブタノールなどが挙げられる。
分子内に1つの水酸基と2つのチオール基とを有する化合物として、例えば、1,2−ジメルカプト−3−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−ブタノール、2,4−ジメルカプト−1−ブタノール、3,4−ジメルカプト−1−ブタノール、1,3−ジメルカプト−2−ブタノール、1,4−ジメルカプト−2−ブタノール、3,4−ジメルカプト−2−ブタノール、トリメチロールプロパンジメルカプトアセテートなどが挙げられる。
分子内に1つの水酸基と3つ以上のチオール基とを有する化合物としては、例えば、トリメルカプトペンタエリスリトール《3−メルカプト−2,2−ビス(メルカプトメチル)プロパン−1−オール;CAS:500283−12−5》、ペンタエリトリトールトリス(3−メルカプトアセタート)、ジペンタエリトリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオナート)などが挙げられる。
好ましくは、1,2−ジメルカプト−3−プロパノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1−ブタノール、トリメルカプトペンタエリスリトール《3−メルカプト−2,2−ビス(メルカプトメチル)プロパン−1−オール;CAS:500283−12−5》、ペンタエリトリトールトリス(3−メルカプトアセタート)、ジペンタエリトリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオナート)が挙げられる。
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール《チオグリセリン》、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
分子内に2つの水酸基と2つのチオール基とを有する化合物としては、例えば、1,2−ジメルカプト−1,2−エタンジオール、ジメルカプトペンタエリスリトール《1,3−プロパンジオール,2,2−ビス(メルカプトメチル);CAS:19333−66−5》、1,4−ジメルカプトブタン−2,3−ジオール、2,3−ジメルカプト−1,4−ブタンジオール、3,4−ジメルカプトブタン−1,2−ジオール、3−(2,3−ジメルカプトプロポキシ)プロパン−1,2−ジオール、2−(2,3−ジメルカプトプロポキシ)プロパン−1,3−ジオール、ジメルカプトジトリメチロールエタン、ジメルカプトジトリメチロールプロパン《2−((3−ヒドロキシ−2−メルカプトメチル−2−(メチル)プロポキシ)メチル)−3−メルカプト−2−(メチル)プロパン−1−オール》、1,2−ジメルカプトシクロブタジエン−3,4−ジオール、4,5−ジメルカプト−1,2−ベンゼンジオール、2,3−ジメルカプトヒドロキノン、4,6−ジメルカプトレソルシノール、3,6−ジメルカプトベンゼン−1,2−ジメタノール、2,3−ジメルカプトベンゼン−1,4−ジメタノールなどが挙げられる。
分子内に2つ以上の水酸基と3つ以上のチオール基とを有する化合物としては、例えば、トリメルカプトジペンタエリスリトール《2−((3−ヒドロキシ−2,2−ビス(メルカプトメチル)プロポキシ)メチル−2−(メルカプトメチル)プロパン−1,3−ジオール)》、テトラメルカプトジペンタエリスリトール《2−((3−ヒドロキシ−2,2−ビス(メルカプトメチル)プロポキシ)メチル)−3−メルカプト−2−(メルカプトメチル)プロパン−1−オール》などのポリメルカプトポリオールや、ジペンタエリスリトールのトリメルカプトアセテート、テトラメルカプトアセテートなどが挙げられる。
好ましくは、1,2−ジメルカプト−1,2−エタンジオール、ジメルカプトペンタエリスリトール《1,3−プロパンジオール,2,2−ビス(メルカプトメチル);CAS:19333−66−5》、1,4−ジメルカプトブタン−2,3−ジオール、2,3−ジメルカプト−1,4−ブタンジオール、3,4−ジメルカプトブタン−1,2−ジオールであり、より好ましくはジメルカプトペンタエリスリトール《1,3−プロパンジオール,2,2−ビス(メルカプトメチル);CAS:19333−66−5》である。
分子内に3つ以上の水酸基と1つのチオール基とを有する化合物としては、例えば1−メルカプト−1,2,2’−エタントリオール、メルカプトペンタエリスリトール《2−(ヒドロキシメチル)−2−(メルカプトメチル)プロパン−1,3−ジオール》、1−メルカプトブタン−2,3,4−トリオール、2−メルカプト−1,3,4−ブタントリオール、メルカプトジトリメチロールエタン、メルカプトジトリメチロールプロパン《2−((3−ヒドロキシ−2−メルカプトメチル−2−(メチル)プロポキシ)メチル)−2−(メチル)プロパン−1,3−ジオール》、1−メルカプトシクロブタジエン−2,3,4−トリオール、4−チオ−D−ガラクトース、メルカプトジペンタエリスリトール、4−チオ−D−ガラクトースなどが挙げられる。また、上記化合物のモノアルキルエステルも使用することができる。
好ましくは、メルカプトペンタエリスリトール《2−(ヒドロキシメチル)−2−(メルカプトメチル)プロパン−1,3−ジオール》、メルカプトジトリメチロールプロパン《2−((3−ヒドロキシ−2−メルカプトメチル−2−(メチル)プロポキシ)メチル)−2−(メチル)プロパン−1,3−ジオール》、4−チオ−D−ガラクトースである。
分子内に3つ以上の水酸基と2つのチオール基とを有する化合物としては、例えば、ジメルカプトジペンタエリスリトール《2−((3−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−メルカプトメチルプロポキシ)メチル)−2−(メルカプトメチル)プロパン−1,3−ジオール》などのジメルカプトポリオールや、ジペンタエリスリトールのジメルカプトアセテートなどが挙げられる。
(エチレン性不飽和単量体(m))
[活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)]
エチレン性不飽和単量体(m)としては、分散剤中に活性メチレン基または活性メチン基を導入するため、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)が用いられる。下記一般式(1)の化合物を用いることが好ましい。
一般式(1)
Figure 2013223859
[一般式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、炭素原子数2〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基である。]
具体的には、(メタ)アクリル酸2−(1,3ジオキソブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(1,3ジオキソブトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(1,3ジオキソブトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(1,3ジオキソブトキシ)ブチル、(メタ)アクリル酸3−(1,3ジオキソブトキシ)ブチル、(メタ)アクリル酸4−(1,3ジオキソブトキシ)ブチル等が挙げられる。
[ブロックイソシアネート基またはブロックイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−b)]
エチレン性不飽和単量体(m)としては、方法[A]で説明したとおり、分散剤中に活性メチレン基または活性メチン基と架橋する官能基として、ブロックイソシアネート基またはブロックイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−b)を用いることが好ましい。例えば、下記イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−c)のラクタム系、オキシム系、アルコール系、アミン系、活性メチレン系又はフェノール系等のブロック基によりブロック化されている化合物等が挙げられる。
[イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−c)]
イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−c)としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、m−(メタ)アクリロイルフェニルイソシアネート、等のイソシアネート基含有(メタ)アクリレート類、α,α‐ジメチル‐4‐イソプロペニルベンジルイソシアナート等のイソシアネート基含有スチレン誘導体類等が挙げられる。
エチレン性不飽和単量体(m)としては、下記一般式(2)で示される単量体を使用するのが、分散性の点で好ましい。
一般式(2)
Figure 2013223859
[一般式(2)において、R3は、炭素原子数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、又は炭素数6〜15の脂環式のアルキル基である。]
エチレン性不飽和単量体(m)としては、片末端領域に芳香族カルボキシル基を有する場合には、顔料組成物を感光性顔料性組成物とした際に現像性が良好になる点から、脂肪族カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体を用いることができる。脂肪族カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、α−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、およびω−カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート、後述するカルボン酸無水物(c)のうち脂肪族カルボン酸無水物と後述する水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)とを付加反応させた単量体等が挙げられる。
本発明に使用するエチレン性不飽和単量体(m)としては、他に例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロぺンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ−(5,2,1,0,2.6)−デカニル(メタ)アクリレート、トリシクロ−(5,2,1,0,2.6)−デカニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族エチレン性不飽和単量体類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ロジンアクリレート等の芳香族エチレン性不飽和単量体類;
1−(t−ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(t−ブチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有エチレン性不飽和単量体類;
グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジエーテル、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−メチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3−エチル−3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、4−メチル−4,5−エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5−メチル−5,6−エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、α−エチルアクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、クロトニルグリシジルエール、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,4−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,5−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,6−ジグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,4−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,3,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン、3,4,5−トリグリシジルオキシメチルスチレン、2,4,6−トリグリシジルオキシメチルスチレン等のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体;
オキセタン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、(2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル(メタ)アクリレート、1,4−ジオキサスピロ[4,5]デカ−2−イル)メチル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、3−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−δ−バレロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、2−(1−メタクリロイルオキシ)エチル−4−ブタノリド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等の複素環式エチレン性不飽和単量体類;
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール含有エチレン性不飽和単量体類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の非置換もしくはN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;
片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、および片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール等の重合性オリゴマー等が挙げられる。
さらに、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のN置換マレイミド類が挙げられる。
分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)を、目的とするビニル重合体部分の分子量にあわせて、エチレン性不飽和単量体(m)と、任意に重合開始剤とを混合して加熱することで片末端領域に1つの水酸基を有するビニル重合体(M)を得ることができる。化合物(s)は、エチレン性不飽和単量体(m)100重量部に対して、1〜30重量部を用い、塊状重合又は溶液重合を行うのが好ましく、より好ましくは2〜12重量部、更に好ましくは2〜10重量部である。反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃である。
化合物(s)を前記好ましい範囲で使用することで、ビニル重合体部分の分子量を好適な範囲に調整することができる。
ビニル重合体部分のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)測定ポリスチレン換算重量平均分子量は、1000〜45000が好ましく、より好ましくは2000〜40000、更に好ましくは2000〜35000である。このビニル重合体部分が分散媒である溶剤への親和性部分となるため、ビニル重合体部分の重量平均分子量が1000未満では、溶媒親和部による立体反発の効果が少なくなるとともに、顔料の凝集を防ぐことが困難となり、分散安定性が不十分となる場合がある。また45000を超えると、溶媒親和部の絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合がある。更に、分散体の粘度が高くなる場合がある。ビニル重合体部分は、分子量を上記範囲に調整することが容易であり、かつ、溶剤への親和性も良好である。
重合の際、エチレン性不飽和単量体(m)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、もしくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、PGMAC(メトキシプロピルアセテート)等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
次に、片末端領域に1つ以上の水酸基を有するビニル重合体(M)中の水酸基と、カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基と、を反応させる工程について説明する。
(カルボン酸無水物(c))
カルボン酸無水物(c)としては、ジカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物、テトラカルボン酸二無水物等が挙げられ、分散性の観点から、トリカルボン酸無水物またはテトラカルボン酸二無水物が好ましい。また、芳香族カルボン酸無水物が好ましい。これらを目的とする顔料分散剤の構造に合わせて単独でまたは併用して使用することができる。
ジカルボン酸無水物としては、例えば、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、イタコン酸無水物、グルタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、及びクロレンディック酸無水物などが挙げられる。
トリカルボン酸無水物としては、例えば、
3−カルボキシメチルグルタル酸無水物、1,2,4−ブタントリカルボン酸−1,2−無水物、cis−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸−1,2−無水物、1,3,4−シクロペンタントリカルボン酸無水物等の脂肪族トリカルボン酸無水物;
ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物]など)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物など)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等の芳香族トリカルボン酸などが挙げられる。
トリカルボン酸無水物を使用する場合、芳香族トリカルボン酸無水物が好ましく、下記一般式(3)で表される化合物がさらに好ましく、トリメリット酸無水物が特に好ましい。
一般式(3)
Figure 2013223859
[一般式(3)中、kは1又は2である。]
テトラカルボン酸二無水物としては、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわないが例えば、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物等の脂肪族テトラカルボン酸無水物;
ピロメリット酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸無水物等の芳香族テトラカルボン酸無水物が挙げられる。
分散性の観点から、芳香族テトラカルボン酸二無水物が好ましく、下記一般式(4)又は一般式(5)で表される化合物がさらに好ましく、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
一般式(4)
Figure 2013223859
[一般式(4)中、jは1又は2である。]
一般式(5)
Figure 2013223859
[一般式(5)中、R4は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、式:
Figure 2013223859
で表される基、又は式:
Figure 2013223859
で表される基である。]
片末端領域に1つ以上の水酸基を有するビニル重合体(M)中の水酸基と、カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基と、を反応させる際に用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。触媒としては3級アミン系化合物が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
片末端領域に1つ以上の水酸基を有するビニル重合体(M)中の水酸基に対する、カルボン酸無水物(c)中の無水物基のモル比[R]は、0.3<[R]≦1.0が好ましく、更に好ましくは、0.5<[R]≦1.0、最も好ましくは0.6<[R]≦1.0である。0.3以下であると、顔料吸着部である酸無水物残基が少なくなる場合があり、又樹脂の酸価も低くなる場合もあり、1.0より大きいと未反応の酸無水物基が残存してしまい、保存安定性が悪くなる場合がある。
反応温度は80℃〜180℃、好ましくは、90℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が80℃未満では反応速度が遅く、180℃以上を超えると、カルボキシル基がエステル化反応してしまい、酸価の減少や、ゲル化を起こしてしまう場合がある。反応の停止は、赤外吸収で酸無水物の吸収がなくなるまで反応させるのが理想であるが、酸価測定にて95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した後に反応を止めてもよい。
得られた顔料分散剤のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)測定ポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは、2000〜60000より好ましくは4000〜40000、更に好ましくは6000〜30000である。重量平均分子量が2000未満であれば顔料組成物の安定性が低下する場合があり、60000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、顔料組成物の増粘が起きる場合がある。また、得られた顔料分散剤の酸価は、3〜200mgKOH/gが好ましい。より好ましくは4〜150mgKOH/gであり、更に好ましくは、5〜100mgKOH/gであり、特に好ましくは、5〜80mgKOH/gである。酸価が3mgKOH/g未満では、顔料吸着能が低下し顔料分散性に問題がでる場合があり、200mgKOH/gを超えると、樹脂間の相互作用が強くなり顔料分散組成物の粘度が高くなる場合がある。
(方法[5])
方法[5]で分散剤を製造する際に用いられる化合物と反応工程について説明する。
分子内に1つ以上の水酸基と2つ以上のチオール基とを有する化合物(s)とカルボン酸無水物(c)とを反応させ、カルボキシル基とチオール基を有する化合物(S)を生成する工程と、前記工程によって得られる化合物(S)の存在下に、残存しているチオール基を連鎖移動剤としてエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合する工程により、方法[1]と同様の構造の分散剤を得ることができる。
分子内に1つ以上の水酸基と2つ以上のチオール基とを有する化合物(s)中の水酸基に対する、カルボン酸無水物(c)中の無水物基のモル比[R]は、0.3<[R]≦1.0が好ましく、更に好ましくは、0.5<[R]≦1.0、最も好ましくは0.6<[R]≦1.0である。0.3以下であると、顔料吸着部である酸無水物残基が少なくなる場合があり、又樹脂の酸価も低くなる場合もあり、1.0より大きいと未反応の酸無水物基が残存してしまい、保存安定性が悪くなる場合がある。
次に、上記カルボキシル基とチオール基を有する化合物(S)を、目的とするビニル重合体部分の分子量にあわせて、エチレン性不飽和単量体(m)と任意に重合開始剤とを混合して加熱することでビニル重合体部分を導入した顔料分散剤を製造することができる。好ましくは、分子内に1つ以上の水酸基と2つ以上のチオール基とを有する化合物(s)とカルボン酸無水物(c)とを反応させた化合物(S)を、エチレン性不飽和単量体(m)100重量部に対して0.5〜40重量部用い、塊状重合又は溶液重合を行う。反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃、反応時間は3〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
用いるエチレン性不飽和単量体(m)としては、方法[1]で説明したエチレン性不飽和単量体(m)のみならず、すでに酸無水物基は前の工程で反応させているため、酸無水物基と反応しうる官能基、例えば水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を用いることもできる。
[水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)]
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)としては、例えば、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びエチル−α−ヒドロキシメチルアクリレートなどのアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート類;
N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド等の水酸基を有する(メタ)アクリルアミド類;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基を有するビニルエーテル類;
2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルアリルエーテル等の水酸基を有するアリルエーテル類などが挙げられる。
また、上記の水酸基を有する(メタ)アクリレート類、水酸基を有する(メタ)アクリルアミド類、水酸基を有するビニルエーテル類、水酸基を有するアリルエーテル類にアルキレンオキサイド及び/又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
(方法[6])
方法[6]で分散剤を製造する際に用いられる化合物と反応工程について説明する。
方法[6]の一例として、方法[5]を経由する方法を説明する。
分子内に1つ以上の水酸基と2つ以上のチオール基とを有する化合物(s)とカルボン酸無水物(c)とを反応させ、カルボキシル基とチオール基を有する化合物(S)を生成する工程と、前記工程によって得られる化合物(S)の存在下に、残存しているチオール基を連鎖移動剤として水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を含むエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合する工程と、さらに活性メチレン基または活性メチン基を有するエステル化合物でエステル化させる方法により、分散剤を得ることができる。
活性メチレン基または活性メチン基を有するエステル化合物としては一般式(6)の化合物が好ましい。
一般式(6)
Figure 2013223859
[一般式(6)中、R5またはR7は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基であり、R6は、水素原子またはメチル基である。]
一般式(6)の化合物としては例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸sec−ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸イソペンチル、アセト酢酸ヘキシル、アセト酢酸ヘプチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸ノニル、アセト酢酸デシル、アセト酢酸ドデシル、アセト酢酸アリル、アセト酢酸ベンジル、アセト酢酸4−ニトロベンジル、2−メチルアセト酢酸エチル、2−メチルアセト酢酸ブチル、4−クロロアセト酢酸エチル、4,4,4−トリクロロアセト酢酸エチル、4,4,4−トリフルオロアセト酢酸エチル等が挙げられる。
活性メチレン基または活性メチン基を有するエステル化合物として、一般式(6)以外の化合物を用いてもよく、例えば2−エチルアセト酢酸エチル、2−n−ブチルアセト酢酸エチル、2−ペンチルアセト酢酸エチル、2−ヘキシルアセト酢酸エチル、2−ベンジルアセト酢酸エチル、2−アセチル−3−オキソ酪酸エチル《ジアセト酢酸エチル》、2−フルオロアセト酢酸エチル、2−クロロアセト酢酸エチル等が挙げられる。
(方法[2])
方法[2]で分散剤を製造する際に用いられる化合物と反応工程について説明する。
方法[2]では、上記化合物(S)を除く、分子内に1つ以上のカルボキシル基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(S−C)の存在下に、残存しているチオール基を連鎖移動剤としてエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合する工程により、分散剤を得ることができる。
なお、この場合、ビニル重合体部分とは、分散剤のうち、分子内に1つ以上のカルボキシル基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(S−C)由来の部分を除く部分である。
分子内に1つ以上のカルボキシル基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(S−C)としては、メルカプト酢酸《チオグリコール酸》、α−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、3−メルカプトピリジン−2−カルボン酸等が挙げられる。
分子内に1つ以上のカルボキシル基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(S−C)を、目的とするビニル重合体部分の分子量にあわせて、エチレン性不飽和単量体(m)と任意に重合開始剤とを混合して加熱することでビニル重合体部分を導入した顔料分散剤を製造することができる。好ましくは、分子内に1つ以上のカルボキシル基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(S−C)を、エチレン性不飽和単量体(m)100重量部に対して0.5〜40重量部用い、塊状重合又は溶液重合を行う。反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃、反応時間は3〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
用いるエチレン性不飽和単量体(m)としては、酸無水物基の反応工程が不要であるため、方法[1]で説明したエチレン性不飽和単量体(m)のみならず、酸無水物基と反応しうる官能基、例えば水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を用いることもできる。
(方法[3])
方法[3]で分散剤を製造する際に用いられる化合物と反応工程について説明する。
方法[3]では、分子内に1つ以上のカルボキシル基を有するラジカル重合開始剤の存在下に、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合する工程により、分散剤を得ることができる。
なお、ビニル重合体部分とは、分散剤のうち、分子内に1つ以上のカルボキシル基を有するラジカル重合開始剤由来の部分を除く部分である。
分子内に1つ以上のカルボキシル基を有するラジカル重合開始剤としては、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸等が挙げられる。
分子内に1つ以上のカルボキシル基を有するラジカル重合開始剤を、目的とするビニル重合体部分の分子量にあわせて、エチレン性不飽和単量体(m)と混合して加熱することでビニル重合体部分を導入した顔料分散剤を製造することができる。好ましくは、分子内に1つ以上のカルボキシル基を有するラジカル重合開始剤を、エチレン性不飽和単量体(m)100重量部に対して0.5〜40重量部用い、塊状重合又は溶液重合を行う。反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃、反応時間は3〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
用いるエチレン性不飽和単量体(m)としては、酸無水物基の反応工程が不要であるため、方法[1]で説明したエチレン性不飽和単量体(m)のみならず、酸無水物基と反応しうる官能基、例えば水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を用いることもできる。
(方法[4])
方法[4]で分散剤を製造する際に用いられる化合物と反応工程について説明する。
方法[4]では、リビング重合可能な重合触媒存在下で、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)を重合する工程と、その後にカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を含むエチレン性不飽和単量体(m)を添加して重合する工程により分散剤を得ることができる。また、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)を含むエチレン性不飽和単量体(m)を重合する工程と、その後に活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)を添加して重合する工程によっても分散剤を得ることができる。
リビング重合可能な触媒としては、公知のものが使用でき、例えば、有機ハロゲン化合物と、ルテニウムや銅等の遷移金属触媒錯体の組み合わせ等が挙げられる。
リビング重合可能な触媒は、エチレン性不飽和単量体(m)の合計100重量部に対して、1〜30重量部を用い、塊状重合又は溶液重合を行うのが好ましく、より好ましくは3〜12重量部、更に好ましくは4〜12重量部、特に好ましくは5〜9重量部である。反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃である。
アクリレート基、メタクリレート基を導入した分散剤を製造する際に用いられる化合物と反応工程について説明する。
アクリレート基、メタクリレート基は、方法[B]〜[D]で説明したとおり、方法[1]〜[5]で合成した分散剤中の活性メチレン基、活性メチン基、または水酸基を、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有する(メタ)アクリレート中のイソシアネート基またはイソチオシアネート基と反応させる工程によって得られる。
(イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有する(メタ)アクリレート)
イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有する(メタ)アクリレートとしては、上記イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−c)で説明したイソシアネート基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有するスチレン誘導体を反応させても良いが、導入されたスチリル基は活性メチレン基または活性メチン基との反応性が悪い場合がある。
分散剤中の活性メチレン基、活性メチン基、水酸基の合計に対する、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−c)中のイソシアネート基、イソチオシアネート基の合計のモル比[R]は、0.2<[R]≦1.0が好ましく、更に好ましくは0.3<[R]≦1.0、最も好ましくは0.5<[R]≦1.0である。0.2以下であると、(メタ)アクリレート基の量が少なくなってしまうために硬化性が不十分な場合があり、1 .0より大きいと、分散剤中に未反応のイソシアネート基またはイソチオシアネート基が残存してしまい、保存安定性が悪くなってしまう場合がある。
反応温度は50℃〜150℃、好ましくは70℃〜120℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満では反応速度が遅い場合があり、150℃を超えると反応により生成したウレタン基が分解してしまう場合がある。
上記反応中に重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、重合禁止剤を添加したりしてもよい。重合禁止効果のあるガスを反応系中に導入したり、重合禁止剤を添加したりすることにより、付加反応時のゲル化を防ぐことができる。
ラジカル重合禁止効果のあるガスとしては、系内物質の爆発範囲に入らない程度の酸素を含むガス、例えば、空気などが挙げられる。
ラジカル重合禁止剤としては、公知のものを使用することができ、特に制限はされないが、たとえば、ヒドロキノン、メトキノン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,2’―メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、フェノチアジン等が挙げられる。これら重合禁止剤は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。使用する重合禁止剤の量としては、反応系中の固形分の合計100重量部に対して、0.005〜5重量部が好ましく、0.03〜3重量部がさらに好ましく、0.05〜1.5重量部が最も好ましい。重合禁止剤が0.005重量部未満では、重合禁止効果が十分でない場合があり、一方、5重量部を超えると、露光感度が低下する恐れがある。また、重合禁止効果のあるガスと重合禁止剤とを併用すると、使用する重合禁止剤の量を低減できたり、重合禁止効果を高めたりすることができるので、より好ましい。
分散剤は、これまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になるなどの問題を回避すべく、溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、PGMAC(メトキシプロピルアセテート)等が挙げられる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま製品の一部として使用することもできる。
<<顔料組成物>>
<顔料(P)>
本発明の分散剤によって、インキ等に使用される種々の顔料(P)を分散し、顔料組成物とすることができる。顔料(P)としては、例えば、
溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等があり、更に具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示すと、ピグメントブラック7、ピグメントブルー6,15,15:1,15:6,15:4,15:6,60、ピグメントグリーン7,36,57、ピグメントレッド9,48,49,52,53,57,97,122,144,146,149,166,168,177,178,179,185,206,207,209,220,221,238,242,254,255、ピグメントバイオレット19,23,29,30,37,40,50、ピグメントイエロー12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,94,95,109,110,117,120,125,128,137,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185,ピグメントオレンジ13,36,37、38,43,51,55,59,61,64,71,74等の有機顔料;
金属、非金属、亜金属の酸化物、具体的には、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロム、珪素酸化物、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化バリウム等の無機酸化物顔料;
アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、リン含有酸化スズ(PTO)、フッ素含有酸化スズ(FTO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)、またはガリウム含有酸化亜鉛(GZO)等のドープ剤を固溶することにより導電性を向上した無機酸化物;
アルミナホワイト、またはビリジアン等の無機水酸化物;
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボンまたは、クレー等の無機塩;
アルミニウム粉、亜鉛末、またはブロンズ粉等の金属粉等が挙げられる。
(塩基性誘導体)
又、顔料組成物には、更に塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体および塩基性基を有するトリアジン誘導体の群から選ばれる少なくとも一種の塩基性誘導体を含むことが好ましい。ここで、塩基性誘導体とは、前記のカラーインデックスに記載されている有機顔料残基に、特定の置換基を導入したものであり、本発明では塩基性基を有するものを使用する。塩基性誘導体を含むことにより、塩基性誘導体なしでは分散の難しい顔料(特に、有機顔料の場合)も、分散性、流動性、保存安定性に優れた顔料組成物とすることができ好ましい。
塩基性誘導体は、下記一般式(7)で示される化合物であり、塩基性基を有する特定母体骨格を有する誘導体である。塩基性基を有する色素誘導体であれば特に限定はない。
一般式(7)
P−Lm
〔一般式(7)中、Pは、m価の、有機顔料残基、アントラキノン骨格、アクリドン骨格、又はトリアジン骨格等であり、mは、1〜4の整数であり、Lは、一般式(8)、(9)、又は(10)で示される群から選ばれる置換基である。
一般式(8)
Figure 2013223859
一般式(9)
Figure 2013223859
一般式(10)
Figure 2013223859
一般式(8)〜(10)中、
Xは、−SO2−、−CO−、−CH2−、−CH2NHCOCH2−、−CH2NHSO2CH2−、又は直接結合であり、
0は、−NH−、−O−、又は直接結合であり、
nは、1〜10の整数であり、
1は、−NH−、−NR19−Z−NR20−、又は直接結合であり、
19、及びR20は、それぞれ独立に、水素結合、置換基を有しても良い炭素数1〜36のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜36のアルケニル基、又は置換基を有しても良いフェニル基であり、
Zは、置換基を有しても良いアルキレン基、又は置換基を有しても良いアリーレン基であり、
11、R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜30のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜30のアルケニル基、又はR11とR12とが一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む、置換基を有しても良い複素環であり、
13、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有しても良い炭素数6〜20のアリーレン基であり、
17は、水素原子、置換基を有しても良い炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数2〜20のアルケニル基であり、
18は、上記一般式(8)で示される置換基、又は上記一般式(9)で示される置換基であり、
Qは、水酸基、アルコキシル基、上記一般式(8)で示される置換基、又は上記一般式(9)で示される置換基である。〕
一般式(8)〜(10)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニペコチン酸メチル、イソニペコチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、又は1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
本発明の塩基性置換基を有する顔料誘導体、アントラキノン誘導体、及びアクリドン誘導体は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンに下記一般式(11)〜(14)で示される置換基を導入した後、上記置換基と反応して一般式(8)〜(10)で示される置換基を形成する上記アミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミン、又は4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等を反応させることによって得られる。
一般式(11) −SO2Cl
一般式(12) −COCl
一般式(13) −CH2NHCOCH2Cl
一般式(14) −CH2Cl
一般式(11)〜(14)の置換基と上記アミン成分との反応時、一般式(11)〜(14)の置換基の一部が加水分解して、塩素が水酸基に置換したものが混在していてもよい。その場合、一般式(11)、及び一般式(12)は、それぞれ、スルホン酸基、及びカルボン酸基となるが、何れも遊離酸のままでもよく、又、1〜3価の金属又は上記のモノアミンとの塩であってもよい。
又、有機色素がアゾ系色素である場合は、一般式(8)〜(10)で示される置換基をあらかじめジアゾ成分又はカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによってアゾ系顔料誘導体を製造することもできる。
本発明の塩基性基を有するトリアジン誘導体は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に一般式(8)〜(10)で示される置換基を形成するアミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン又はN−メチルピペラジン等を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミン又はアルコール等を反応させることによって得られる。
本発明の塩基性基を有する色素誘導体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるわけではない。
(塩基性基を有する誘導体(a))
Figure 2013223859
(塩基性基を有する誘導体(b))
Figure 2013223859
(塩基性基を有する誘導体(c))
Figure 2013223859
(塩基性基を有する誘導体(d))
Figure 2013223859
(塩基性基を有する誘導体(e))
Figure 2013223859
(塩基性基を有する誘導体(f))
Figure 2013223859
本発明の顔料組成物において、塩基置換基を有する色素誘導体の配合量は、顔料100重量部に対し好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは3〜30重量部、最も好ましくは、5〜25重量部である。顔料100重量部に対し塩基性誘導体が1重量部未満であると分散性が悪くなる場合があり、50重量部を超えると耐熱性、耐光性が悪くなる場合がある。
<架橋剤(B)>
本発明の分散剤は、活性メチレン基または活性メチン基を必須成分として含むが、顔料組成物中に架橋反応する官能基を含むことが好ましく、上記で説明したとおり、ブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基、メタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(b)を含むことが好ましい。官能基(b)は、耐性の観点からは分散剤中に有することが好ましく、顔料(P)を分散する際の安定性の観点からはブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基およびメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(b)を有する架橋剤(B)を添加することが好ましい。
架橋剤(B)のうち、ブロックイソシアネート基を有するものとしては、イソシアネート基を有する化合物をラクタム系、オキシム系、アルコール系、アミン系、活性メチレン系又はフェノール系等のブロック基によりブロック化されている化合物等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては以下のようなものが挙げられる。
単官能イソシアネート:メチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ヘプチルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロプロピルイソシアネート、フェネチルイソシアネート、トシルイソシアネート、アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、2−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、1,1−ビス(メタクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、
二官能イソシアネート:トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリジンイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3−(2’−イソシアナトシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、ジアニシジンイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ダイマージイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、
三官能イソシアネート:リジントリイソシアネート、トリス(イソシアナトフェニル)メタン、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェート、
また、上記多官能のイソシアネートのビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アダクト体、も挙げられる。
上記の多官能イソシアネート、多官能イソシアネートのビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アダクト体から選ばれるイソシアネートと、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、フェノール、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メチルアミン、エチルアミン、ジブチルアミン、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリカプロラクトンなどの活性水素化合物とを反応させてなる化合物も挙げられる。
架橋剤(B)のうち、ブロックイソチオシアネート基を有するものとしては、上記のイソシアネート基を有する化合物中のイソシアネート基がイソチオシアネート基に置換された、イソチオシアネート基を有する化合物をラクタム系、オキシム系、アルコール系、アミン系、活性メチレン系又はフェノール系等のブロック基によりブロック化されている化合物等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては以下のようなものが挙げられる。
架橋剤(B)のうち、アクリレート基またはメタクリレート基を有するものとしては、後述する光重合性単量体(D)でラジカル重合するものとして挙げた化合物や、上記エチレン性不飽和単量体(m)で挙げた化合物のうち、(メタ)アクリレート基を有する化合物等を用いることができる。
<活性メチレン基または活性メチン基の反応触媒>
本発明の分散剤は、活性メチレン基または活性メチン基を必須成分として含み、架橋反応する官能基として、ブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基、メタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(b)を含むことが好ましいが、これらの官能基の架橋反応を促進するため、触媒を添加することが好ましい。
活性メチレン基または活性メチン基と、ブロックイソシアネート基またはブロックイソチオシアネート基との反応触媒としては、たとえば、三級アミン類やその塩、金属塩や錯体などの有機金属系化合物等が挙げられる。
三級アミン系化合物としてはトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等が挙げられ、単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用できる。
有機金属系化合物としては、錫系化合物、及び非錫系化合物を挙げることができる。
錫系化合物としてはジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキサイド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキサイド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、ジオクチル錫ジラウリレート(別名:DOTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、例えばジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、ブトキシチタニウムトリクロライドなどのチタン系、オレイン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系、2−エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネートなどの鉄系、安息香酸コバルト、2−エチルヘキサン酸コバルトなどのコバルト系、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの亜鉛系、ナフテン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
上記触媒の中で、ジブチル錫ジラウレート(別名:DBTDL)、ジオクチル錫ジラウレート(別名:DOTDL)、2−エチルヘキサン酸錫等が、反応性および衛生性の点で好ましい。
上記三級アミン類やその塩、有機金属系化合物等の触媒は、単独でも使用できるが、併用することもできる。
活性メチレン基または活性メチン基と、アクリレート基またはメタクリレート基との反応には、活性メチレン基または活性メチン基の活性水素部位からカルボアニオンを生成させるため触媒を用いることが好ましく、触媒としては塩基性触媒や、オニウム塩とエポキシ化合物を併用する触媒等が挙げられる。
塩基性触媒としては、例えば、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;
ナトリウムメトキサイド、カリウムエトキサイドなどのアルカリ金属のアルコキシド;
テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキサイドなどの4級アンモニウムヒドロキサイド;
テトラブチルアンモニウムカーボネート、ベンジルトリメチルアンモニウムカーボネートなどの4級アンモニウムカーボネート;
テトラブチルアンモニウムフロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムフロライドなどの4級アンモニウムフロライド;
テトラブチルアンモニウムテトラヒドロボレート、ベンジルトリメチルアンモニウムテトラヒドロボレートなどの4級アンモニウムテトラヒドロボレート;
テトラメチルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7、ジアザビシクロ[4,3,0]ノネン−5などの三級アミン;
グアニジン、アミジン、トリフェニルフォスフィンなどの三級ホスフィン等が挙げられる。
オニウム塩とエポキシ化合物を併用する触媒の、オニウム塩としては、例えば4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、3級スルホニウム塩等が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては
テトラブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、テトラデシルアンモニウム、テトラヘキサデシルアンモニウム、トリエチルヘキシルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム(コリン)、メチルトリオクチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、2−クロルエチルトリメチルアンモニウム、メチルピリジニウムテトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム等のカチオンと、
アセテート、ラウレート、グリコレート、ベンゾエート、サリチレート、マレエート、フタレート、フロライド、クロライド、ブロマイド、アイオダイド、メタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリフレート、ナイトレート、サルフェート、メトサルフェート、ホスフェート、ジ−t−ブチルホスフェート等カウンターアニオンが造塩した化合物が挙げられ、
4級ホスホニウム塩としてはテトラブチルホスホニウム等のカチオンと、上記のカウンターアニオン等が造塩した化合物が挙げられ、
3級スルホニウム塩としてはトリブチルスルホニウム等のカチオンと、上記のカウンターアニオン等が造塩した化合物が挙げられる。
オニウム塩とエポキシ化合物を併用する触媒の、エポキシ化合物としては、例えば後述する光重合性単量体(D)のうち、カチオン重合するものとして例示しているエポキシ基を有する化合物等を用いることができる。
反応性と保存安定性の両立から、4級アンモニウム塩とエポキシ化合物を併用する触媒を用いることが好ましい。
<添加剤>
本発明の顔料組成物は、種々の印刷インキやインクジェットインキとして使用し、展色する際の定着性を付与させるためにワニスを添加し、顔料分散体として使用することができる。ワニスとして使用できる樹脂としては、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル酸性基含有ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン変性マレイン酸、ポリアミド樹脂、塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、無機フィラー、接着付与剤、界面活性剤、貯蔵安定剤、染料、シランカップリング剤等の密着向上剤等などの添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、樹脂組成物の目的を損なわない範囲で任意の量を加えることができる。
<顔料組成物の製造方法>
本発明の分散剤を用いた顔料組成物は、必要により各種溶剤、樹脂、添加剤等を混合して、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散することにより、顔料組成物をワニスに分散せしめてなる顔料分散体を調製することができる。顔料、塩基性誘導体、分散剤、その他の樹脂、添加剤は、すべての成分を混合してから分散してもよいが、初めに顔料と塩基性誘導体とのみ、あるいは、塩基性誘導体と分散剤とのみ、あるいは、顔料と塩基性誘導体と分散剤とのみを分散し、次いで、他の成分を添加して再度分散を行ってもよい。
又、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル等の練肉混合機を使用した前分散、2本ロールミル等による固形分散、又は顔料への塩基性誘導体、及び/又は分散剤の処理を行ってもよい。又、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機等のあらゆる分散機や混合機が顔料分散体を製造するために利用できる。前記の顔料分散体に用いることができる各種溶剤としては、有機溶剤、水等が挙げられる。また、活性エネルギー線硬化型組成物に用いる場合、活性エネルギー線硬化性の液状モノマーや液状オリゴマーを溶剤代わりの媒体として用いてもよい。
<<感光性顔料組成物>>
本発明の顔料組成物は、さらに光重合開始剤(C)と光重合性単量体(D)を添加することにより、顔料組成物に光重合性を付与し、感光性顔料組成物とすることができる。これは、カラーフィルタセグメントやブラックマトリックスを作製するカラーフィルタ用感光性顔料組成物として、好ましく用いることができる。
<光重合性官能基>
本発明の感光性顔料組成物は、光重合性官能基を有する。光重合性官能基は光重合開始剤によってラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、付加反応などが起こる官能基や、光照射することで光重合性官能基自身が励起され付加反応が起こる官能基などを意味する。たとえば、
ラジカル重合が起こる光重合性官能基として、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、マレイミド基、アルケニル基、アルキニル基など
カチオン重合が起こる光重合性官能基として、エポキシ基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基、水酸基など
アニオン重合が起こる光重合性官能基として、エポキシ基など
付加反応が起こる光重合性官能基として、エン基、メルカプト基(エン−チオール付加)、スチリル基、マレイミド基(光二量化)、ビニル基、マレイミド基(光開始剤フリーシステム)などが挙げられる。
反応性や材料の選択性から、ラジカル重合の場合はアクリロイル基、メタクリロイル基、を使うことが好ましい。カチオン重合の場合はエポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基を使うことが好ましく、エポキシ基、オキセタニル基を使うことがさらに好ましい。
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)は、光照射によりラジカル、カチオン、アニオンが発生し、光重合性官能基の重合を開始する化合物である。
光重合開始剤(C)のうちラジカルを発生するものとしては、
たとえば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン、特願2010−054456に記載のフェニル基上に電子吸引性置換基をもつN−フェニルカルバゾール骨格オキシムエステル等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(p−メチルフェニル)ビイミダゾール、等のイミダゾール系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。
光重合開始剤(C)のうちカチオンを発生するものとしては、
オニウム塩系化合物が挙げられる。オニウム塩系化合物の例としては、スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、ホスホニウム塩系、ジアゾニウム塩系、ピリジニウム塩系、ベンゾチアゾリウム塩系、スルホキソニウム塩系、フェロセン系の化合物が挙げられ、これらの構造は特に限定されず、ジカチオンなどの多価カチオン構造を有していてもよく、カウンターアニオンも公知のものを適宜、選択して使用することができる。
オニウム塩以外の酸発生剤としては、ニトロベンジルスルホナート類、アルキルまたはアリール−N−スルホニルオキシイミド類、ハロゲン化されていてもよいアルキルスルホン酸エステル類、1,2−ジスルホン類、オキシムスルホナート類、ベンゾイントシラート類、β−ケトスルホン類、β−スルホニルスルホン類、ビス(アルキルスルホニル)ジアゾメタン類、イミノスルホナート類、イミドスルホナート類、トリハロメチルトリアジン類などのトリハロアルキル基を有する化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
具体例としては、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウム、p−トルエンスルホネート、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−ベンジルトリフルオロメタンスルホン酸、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)ピリジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化砒素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化砒素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化砒素、アデカオプトマーSP−150(株式会社ADEKA社製)、アデカオプトマーSP−170(株式会社ADEKA社製)、アデカオプトマーCP−66(株式会社ADEKA社製)、アデカオプトマーCP−77(株式会社ADEKA社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業株式会社製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業株式会社製)、サンエイドSI−100L(三新化学工業株式会社製)、サンエイドSI−150(三新化学工業株式会社製)、CYRACURE UVI−6974(ユニオン・カーバイド社製)、CYRACURE UVI−6990(ユニオン・カーバイド社製)、UVI−508(ゼネラル・エレクトリック社製)、UVI−509(ゼネラル・エレクトリック社製)、FC−508(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製)、FC−509(ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製)、CD−1010(サートマー社製)、CD−1011(サートマー社製)およびCIシリーズ(日本曹達株式会社製)、ジフェニルヨードニウム六フッ化砒素、ジ−4−クロロフェニルヨードニウム六フッ化砒素、ジ−4−ブロムフェニルヨードニウム六フッ化砒素、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウム六フッ化砒素、ゼネラル・エレクトリック社製のUVEシリーズ、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング社製のFCシリーズ、東芝シリコーン社製のUV−9310Cおよびローディア社製のPhotoinitiator2074等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
光重合開始剤(C)のうちアニオンを発生するものとしては、たとえば、o−ニトロベンゾインカルバメート、ベンゾインカルバメート、α,α−ジメチルベンジルオキシカルバモイルアミン、o−アシロキシム、フォルムアニリド誘導体、α−アンモニウムアセトフェノン等が挙げられる。
これらの光重合開始剤(C)はラジカル、カチオン、アニオンを発生するものを単独で用いることもできるし、併用することもできる。また、1種または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。カラーフィルタ用感光性顔料組成物として用いられる際には、反応性の点からラジカル重合性の光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤(C)は、カラーフィルタ用感光性顔料組成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは1〜150重量部の量で用いる。1重量部未満であると光硬化反応性が悪く重合が進行しない場合があり、200重量部を超える量を用いると開始剤の黄変の影響より透明性の悪化が起きる場合がある。
さらに、本発明の感光性顔料組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ミヒラーケトン誘導体、ビイミダゾール誘導体等が挙げられる。
さらに具体例には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。増感剤は、任意の比率で二種以上の増感剤を含んでいてもかまわない。
増感剤は、感光性顔料組成物中の光重合開始剤(C)100重量部に対して、0.1〜150重量部の量を用いることが好ましく、1〜100重量部の量で用いることがより好ましい。
<光重合性単量体(D)>
光重合性単量体(D)は、光重合性官能基を含有する化合物である。
光重合性単量体(D)のうち、ラジカル重合するものとしては、上記エチレン性不飽和単量体(m)で説明した化合物等が用いられるが、たとえば、
ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート、2−アクリロイルオキシエチルこはく酸、2−メタクリロイルオキシエチルこはく酸、2−アクリロイルオキシプロピルこはく酸、2−メタクリロイルオキシプロピルこはく酸、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレートや、市販品として、2−アクリロイロキシエチルこはく酸(商品名M−5300)などの単官能モノマー、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、などの二官能モノマー、
トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレートまたはモノヒドロキシオリゴメタクリレート類、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、テトラペンタエリスリトールデカアクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカアクリレートなどの三官能以上のモノマーが挙げられる。
光重合性単量体(D)のうち、ラジカル重合するものとしては、酸性基を有する多官能モノマーを含んでも良く、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等を挙げることができる。
具体例としては、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレートまたはモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、こはく酸、グルタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン−1,2,3−トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,2,3−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,4−トリカルボン酸、ベンゼン−1,3,5−トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレートまたはモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等を挙げることができる。
光重合性単量体(D)のうち、カチオン重合するものとしては、たとえば、
エポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂などのアルコール型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル樹脂、エポキシ基含有ポリウレタン樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、EHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製、脂環式エポキシ樹脂(軟化点71℃)等を挙げることができる。これらのエポキシ樹脂は常温で液体であっても良いし、固体であっても良い。また、エポキシ基含有オリゴマーも好適に用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシオリゴマー(例えば、油化シェルエポキシ社製、エピコート1001、1002等)を挙げることができる。さらに、上記エポキシ基含有モノマーやオリゴマーの付加重合体を用いてもよく、例えば、グリシジル化ポリエステル、グリシジル化ポリウレタン、グリシジル化アクリル等が挙げられる。
脂環式エポキシ基を有する化合物としては、例えば、1,2:8,9−ジエポキシリモネン、4−ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、メチル化ビニルシクロヘキセンジオキサイド、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ノルボルネンモノエポキサイド、アダマンチルモノエポキサイド、リモネンモノエポキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチレン)アジペート、ビス−(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、(2,3−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂の具体例としては、例えば1,4−ブタンジオールジクリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グルセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンモノグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
オキセタニル基を有する化合物としては、例えば、フェノキシメチルオキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン等が挙げられる。
ビニルエーテル基を有する化合物としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル等が挙げられる。その他、エピスルフィド基、エチレンイミン基、水酸基を有する化合物などが挙げられる。
光重合性単量体(D)のうち、アニオン重合するものとしては、たとえば、上記エポキシ基を有する化合物等が挙げられる。
これらの光重合性単量体(D)は、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。カラーフィルタ用感光性顔料組成物として用いられる際には、反応性の点からラジカル重合性の光重合性単量体を用いることが好ましい。光重合性単量体(D)は、カラーフィルタ用感光性顔料組成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは10〜200重量部の量で用いる。
カラーフィルタ用感光性顔料組成物において、光重合開始剤(C)の重量〔Ia〕と光重合性単量体(D)の重量〔M〕との比率〔Ia/M〕は、0.03〜1.00であることが好ましく、0.04〜0.95であることがより好ましい。
さらに、カラーフィルタ用感光性組成物が増感剤を含有する場合には、光重合開始剤(C)および増感剤の合計重量〔Ib〕と光重合性単量体(D)の重量〔M〕との比率〔Ib/M〕は、0.04〜1.50であることが好ましく、0.05〜1.45であることがより好ましい。
〔Ia/M〕が0.03以上、〔Ib/M〕が0.04以上であると感度が高く良好である。また、〔Ia/M〕が1.00以下、〔Ib/M〕が1.50以下のとき、パタ−ン形状の直線性や解像性がより優れている。
<顔料(P)>
感光性顔料組成物に含有される顔料としては、上記で説明したとおり、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。カラーフィルタ用感光性顔料組成物については、顔料のなかでは、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。
以下に、カラーフィルタセグメントやブラックマトリックスの作製に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色フィルタセグメントを形成するための赤色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、166、168、176、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、207、208、209、210、215、216、217、220、221、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色感光性組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
赤色感光性組成物に併用出来る黄色顔料としては、例えばC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等を用いることができる。
また、これらの黄色顔料は、単独または2種以上を組み合わせて、イエロー色フィルタセグメントを形成するためのイエロー色感光性組成物に用いることができる。
赤色感光性組成物に併用出来るオレンジ色顔料としては、例えばC.I. Pigment orange 36、38、43、51、55、59、61、71、73等のオレンジ色顔料を用いることができる。
また、これらのオレンジ色顔料は、単独または2種以上を組み合わせて、オレンジ色フィルタセグメントを形成するためのオレンジ色感光性組成物に用いることができる。
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37および58等の緑色顔料を用いることができる。緑色感光性組成物には先述した黄色顔料を併用することができる。
青色フィルタセグメントを形成するための青色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料を用いることができる。青色感光性組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
シアン色フィルタセグメントを形成するためのシアン色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Blue15:1、15:2、15:4、15:3、15:6、16、80等の青色顔料を用いることができる。
マゼンタ色フィルタセグメントを形成するためのマゼンタ色感光性組成物には、例えばC.I. Pigment Violet 1、19、C.I. Pigment Red81、144、146、177、169等の紫色顔料および赤色顔料を用いることができる。マゼンタ色感光性組成物には、黄色顔料を併用することができる。
ブラックマトリックスを形成するための黒色感光性組成物には、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的には C.I. ピグメントブラック1、6、7、12、20、31等を用いることができる。黒色感光性組成物には、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料の混合物を用いることもできる。黒色顔料としては、価格、遮光性の大きさからカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックは、樹脂などで表面処理されていてもよい。また、色調を調整するため、黒色感光性組成物には、青色顔料や紫色顔料を併用することができる。
また、無機顔料としては、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、酸化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。また、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
感光性顔料組成物の全不揮発成分を基準(100重量%)として、好ましい顔料成分の濃度は、充分な色再現性を得る観点から10重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上であり、最も好ましくは20重量%以上である。また、感光性顔料組成物の安定性が良くなることから、好ましい顔料成分の濃度は90重量%以下であり、より好ましくは80重量%以下であり、最も好ましくは70重量%以下である。
<染料>
感光性顔料組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
一般的に染料と言われるものについて特に制約はないが、染料としては、中でも、トリフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系レーキ顔料、ジフェニルメタン系染料、ジフェニルメタン系レーキ顔料、キノリン系染料、キノリン系顔料、チアジン系染料、チアゾール系染料、キサンテン系染料、キサンテン系レーキ顔料、ジケトピロロピロール系顔料等を用いることができる。
これらの中でも、キサンテン系染料、キサンテン系レーキ顔料であるキサンテン系色素、キノリン系染料、キノリン系顔料であるキノリン系色素、トリフェニルメタン系染料、トリフェニルメタン系レーキ顔料であるトリフェニルメタン系色素、ジケトピロロピロール系顔料であるジケトピロロピロール系色素を用いることが好ましい。
特に可視光領域において蛍光発光する色素を用いた場合、高コントラスト比のカラーフィルタとする効果に優れている。
好ましく用いることのできる染料としては、染料の形態である場合は、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料等の各種染料のいずれかの形態を有するものであることが好ましい。
また顔料の形態であるものとしては、蛍光を有する顔料や、前記染料をレーキ化したレーキ顔料が挙げられる。
着色剤が染料の場合は油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料を用いることが色相に優れるために好ましい。
油溶性染料としては、カラーインデックスに分類される、C.I.ソルベントに分類されるもの、塩基性染料としては、同C.I.ベーシックに分類されるもの、酸性染料としては、同C.I.アシッドに分類されるもの、直接染料としては、同C.I.ダイレクトに分類されるものである。ここで直接染料は、構造中にスルホン酸基(−SO3H、−SO3Na)を有しており、本発明においては、直接染料は酸性染料として見なすものである。
以下具体的に好ましい染料について説明する。
(キサンテン系)
(キサンテン系色素:キサンテン系染料、そのレーキ顔料)
キサンテン系色素の場合は、透過スペクトルにおいて650nmの領域で透過率が90%以上であり、600nmの領域で透過率が75%以上、500〜550nmの領域で透過率が5%以下、400nmの領域で透過率が70%以上であるものが好ましい。より好ましくは、650nmの領域で透過率が95%以上であり、600nmの領域で透過率が80%以上、500〜550nmの領域で透過率が10%以下、400nmの領域で透過率が75%以上である。中でも、キサンテン系塩基性染料、およびキサンテン系酸性染料は、400〜450nmにおいて高い透過率を持つ分光特性を有している。
また、キサンテン系色素の中でも、ローダミン系色素は発色性、耐性に優れているために好ましい。
(キサンテン系染料の油溶性染料としての形態)
具体的には、キサンテン系油溶性染料としては、C.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド42、C.I.ソルベントレッド43、C.I.ソルベントレッド44、C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド46、C.I.ソルベントレッド47、C.I.ソルベントレッド48、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド72、C.I.ソルベンレッド73、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド140、C.I.ソルベントレッド141、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2、C.I.ソルベントバイオレット10などがあげられる。
中でも、発色性の高いローダミン系油溶性染料であるC.I.ソルベントレッド35、C.I.ソルベントレッド36、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド109、C.I.ソルベントレッド237、C.I.ソルベントレッド246、C.I.ソルベントバイオレット2がより好ましい。
(キサンテン系染料の酸性染料としての形態)
キサンテン系染料の酸性染料(キサンテン系酸性染料)としては、C.I.アシッドレッド51(エリスロシン(食用赤色3号))、C.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド87(エオシンG(食用赤色103号))、C.I.アシッドレッド92(アシッドフロキシンPB(食用赤色104号))、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、ローズベンガルB(食用赤色5号)、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることが好ましい。
中でも、耐熱性、耐光性の面で、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド388、あるいは、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52(アシッドローダミン)、C.I.アシッドレッド289、アシッドローダミンG、C.I.アシッドバイオレット9を用いることがより好ましい。
この中でも特に、発色性、耐熱性、耐光性に優れる点において、ローダミン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド289を用いることが最も好ましい。
(キサンテン系染料の塩基性染料としての形態)
キサンテン系塩基性染料としては、C.I. ベーシック レッド 1(ローダミン6GCP)、8(ローダミンG)、C.I. ベーシック バイオレット 10(ローダミンB)等があげられる。中でも発色性に優れる点において、C.I. ベーシック レッド 1、C.I. ベーシック バイオレット 10を用いることが好ましい。
(キサンテン系染料のレーキ顔料としての形態)
キサンテン系染料の金属レーキ顔料としては、C.I.ピグメント レッド 81、C.I.ピグメント レッド 81:1、C.I.ピグメント レッド 81:2、C.I.ピグメント レッド 81:3、C.I.ピグメント レッド 81:4、C.I.ピグメント レッド 81:5、C.I.ピグメント レッド 169、C.I.ピグメント バイオレット 1、C.I.ピグメント バイオレット 1:1、C.I.ピグメント バイオレット 1:2、C.I.ピグメント バイオレット 2等が挙げられる。
(ジフェニル及びトリフェニルメタン系色素:トリフェニルメタン系染料、ジフェニルメタン系染料、及びそのレーキ顔料)
ジフェニル及びトリフェニルメタン系色素の場合は、ブルー系(青色)のトリアリールメタン系塩基性染料は、400〜440nmにおいて高い透過率を持つ分光特性を有している。
(ジフェニル及びトリフェニルメタン系染料の酸性染料としての形態)
ジフェニル及びトリフェニルメタン系染料の酸性染料としては、食用青色101号(C.I.アシッド ブルー 1)、アシッドピュアブルー(C.I.アシッド ブルー 3)、レーキブルーI(C.I.アシッド ブルー 5)、レーキブルーII(C.I.アシッド ブルー7)食用青色1号(C.I.アシッド ブルー 9)、C.I.アシッド ブルー 22、C.I.アシッド ブルー 83、C.I.アシッド ブルー 90、C.I.アシッド ブルー 93、C.I.アシッド ブルー 100、C.I.アシッド ブルー 103、C.I.アシッド ブルー 104、C.I.アシッド ブルー 109を用いることが好ましい。
(ジフェニル及びトリフェニルメタン系染料の塩基性染料としての形態)
トリフェニルメタン系塩基性染料、ジフェニルメタン系塩基性染料は、中心の炭素に対してパラの位置にあるNH2あるいはOH基が酸化によりキノン構造をとることによって発色するものである。
NH2、OH基の数によって以下3つの型に分けられるが、中でもトリアミノトリフェニルメタン系の塩基性染料の形態であることが良好な青色、赤色、緑色を発色する点で好ましいものである。
a)ジアミノトリフェニルメタン系塩基性染料
b)トリアミノトリフェニルメタン系塩基性染料
c)OH基を有するロゾール酸系塩基性染料
トリアミノトリフェニルメタン系塩基性染料、ジアミノトリフェニルメタン系塩基性染料は色調が鮮明であり、他のものよりも日光堅ロウ性に優れ好ましいものである。またジフェニルナフチルメタン塩基性染料および/またはトリフェニルメタン塩基性染料が好ましい。
具体的には、C.I.ベーシック ブルー1(ベーシックシアニン6G)、同5(ベーシックシアニンEX)、同7(ビクトリアピュアブルー BO)、同25(ベーシック ブルーGO)、同26(ビクトリアブルー B conc.)等があげられる。
C.I.ベーシック グリーン1(ブリリアントグリーンGX)、同4(マラカイトグリーン)等があげられる。
C.I.ベーシック バイオレット1(メチルバイオレット)、同3(クリスタルバイオレット)、同14(Magenta)等があげられる。
(ジフェニル及びトリフェニルメタン系染料のレーキ顔料としての形態)
トリアリールメタン系のレーキ顔料として、具体的に、C.I. ピグメント ブルー 1、C.I. ピグメント ブルー 2、C.I. ピグメント ブルー 9、C.I. ピグメント ブルー 10、C.I. ピグメント ブルー 14、C.I. ピグメント ブルー 62、C.I.ピグメント バイオレット 3、C.I.ピグメント バイオレット 27、C.I.ピグメント バイオレット 39等が挙げられる。
更に好ましいものを具体的に示すと、
C.I. ピグメント ブルー 1。
C.I. ベーシック ブルー 26、C.I.ベーシック ブルー 7 をリンタングステン・モリブデン酸でレーキ化。
C.I. ピグメント バイオレット 3。
C.I. ベーシック バイオレット 1をリンタングステン・モリブデン酸でレーキ化。
C.I. ピグメント バイオレット 39。
C.I. ベーシック バイオレット 3(クリスタルバイオレット)をリンタングステン・モリブデン酸でレーキ化。
中でもC.I. ピグメント ブルー 1を用いることが好ましい。
(キノリン系色素:キノリン系染料、キノリン系顔料)
キノリン系染料としては、Solvent Yellow 33、Solvent Yellow 98、Solvent Yellow 157、Disperse Yellow 54、Disperse Yellow 160、AcidYellow 3等のカラーインデックスで市販されている染料が挙げられる。
キノリン系顔料としては、C.I.Pigment Yellow138(ビー・エー・エス・エフ社製パリオトールイエローK0961−HD)などが挙げられる。
(チアジン系染料)
チアジン系染料としては、P−フェニレンジアミンを硫化水素の存在下で、FeCl2下で酸化して得られるLauth’s Violet、メチレンブルー、メチレングリーンB、C.I. ベーシック ブルー9、17、24、25、ソルベントブルー8、C.I.ベーシック グリーン5、C.I.ダイレクトレッド70等があげられる。
(チアゾール系染料)
チアゾール系染料としては、チアゾール環を有する染料をチアゾール系染料とするが、具体的には、C.I. ベーシックイエロー1、C.I. ベーシックバイオレット44、46、C.I. ベーシック ブルー116、C.I.アシッドイエロー186、同ダイレクトイエロー7、8、9、14、17、18、22、28、29、30、54、59、165、C.I.ダイレクトオレンジ18、C.I.ダイレクトレッド11、等が挙げられる。
(造塩化)
染料は、良好な分光特性を有し、発色性に優れるものの、耐光性、耐熱性に問題があり、高い信頼性が要求されるカラーフィルタを使用する画像表示装置に用いるには、その特性は十分なものではない場合がある。
そのため、これらの欠点を改善するために、塩基性染料の形態の場合は、有機酸や過塩素酸を用いて造塩化した造塩化合物(Z)にて用いることが好ましい。有機酸としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸を用いることが好ましい。中でもトビアス酸等のナフタレンスルホン酸、過塩素酸を用いることが耐性の面で好ましい。
また、酸性染料、直接染料の形態の場合は、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、及びこれらの官能基を有する樹脂成分を用いて造塩化した造塩化合物(Z)として用いること、あるいはスルホンアミド化してスルホン酸アミド化合物とした造塩化合物(Z)として用いることが耐性の面で好ましい。
これらの中でも特に、酸性染料の造塩化合物および/または酸性染料のスルホン酸アミド化合物である造塩化合物(Z)が耐性、顔料との併用性に優れているために好ましく、さらに酸性染料を、カウンタイオンとしてはたらくカウンタ成分である四級アンモニウム塩化合物を用いて造塩化した造塩化合物(Z)を用いることがより好ましいものである。
以下、本発明に用いる染料の形態について具体的に詳述する。
(酸性染料の造塩化合物および/または酸性染料のスルホン酸アミド化合物)
酸性染料は、四級アンモニウム塩化合物、三級アミン化合物、二級アミン化合物、一級アミン化合物等、及びこれらの官能基を有する樹脂成分(以下、造塩樹脂C1)を用いて造塩化し、酸性染料の造塩化合物とする、もしくはスルホンアミド化し、スルホン酸アミド化合物の造塩化合物とすることで、高い耐熱性、耐光性、耐溶剤性を付与することができるために好ましい。
一級アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン(ラウリルアミン)、トリドデシルアミン、テトラデシルアミン(ミリスチルアミン)、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ココアルキルアミン、牛脂アルキルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、アリルアミン等の脂肪族不飽和1級アミン、アニリン、ベンジルアミン等が挙げられる。
二級アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジアリルアミン等の脂肪族不飽和2級アミン、メチルアニリン、エチルアニリン、ジベンジルアミン、ジフェニルアミン、ジココアルキルアミン、ジ硬化牛脂アルキルアミン、ジステアリルアミン等が挙げられる。
三級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、トリベンジルアミン等が挙げられる。
本発明に用いる染料は、中でも酸性染料を、四級アンモニウム塩を用いて造塩化、または酸性染料をスルホンアミド化して用いることが特に好ましいことから、これらの2つの形態について以下に詳述する。
(酸性染料と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物(Z))
本発明に用いる染料は、前述した酸性染料と四級アンモニウム塩化合物とからなる造塩化合物(Z)として用いることが、耐熱性、耐光性、耐溶剤性の観点から、最も好ましい。
四級アンモニウム塩化合物は、アミノ基を有することで、そのカチオン部分がキサンテン系酸性染料のカウンタになるものである。
造塩化合物(Z)のカウンタ成分となる四級アンモニウム塩化合物の好ましい形態は、無色、または白色を呈するものである。ここで無色、または白色とは、いわゆる透明な状態を意味し、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、透過率が95%以上、好ましくは98%以上となっている状態と定義されるものである。すなわち染料成分の発色を阻害しない、色変化を起こさないものである必要がある。
四級アンモニウム塩化合物のカウンタとなるカチオン部分の造塩樹脂(C1)の分子量は190〜900の範囲であることが好ましい。ここでカチオン部分とは、下記一般式(15)中の(NR101102103104)+の部分に相当する。分子量が190よりも小さいと耐光性、耐熱性が低下してしまい、さらに溶剤への溶解性が低下してしまう場合がある。また分子量が900よりも大きくなると分子中の発色成分の割合が低下するために、発色性が低下し、明度も低下してしまう場合がある。より好ましくはカチオン部分の分子量が240〜850の範囲であり、特に好ましいのは350〜800の範囲である。
ここで分子量は構造式を基に計算を行ったものであり、Cの原子量を12、Hの原子量を1、Nの原子量を14とした。
また、四級アンモニウム塩化合物として下記一般式(15)で表される化合物を用いることができる。
一般式(15)
Figure 2013223859
[一般式(15)中、R101〜R104は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基またはベンジル基を示し、R101、R102、R103、又はR104の少なくとも2つ以上が、炭素数が5〜20個である。Yは無機または有機のアニオンを表す。]
101〜R104の少なくとも2つ以上の側鎖の炭素数を5〜20個とすることで、溶剤に対する溶解性が良好なものとなる。R101〜R104のうち炭素数が5より小さいアルキル基が3つ以上になると溶剤に対する溶解性が悪くなり、塗膜異物が発生しやすくなってしまう。また側鎖に炭素数が20を超えてしまうアルキル基が存在すると造塩化合物(Z)の発色性が損なわれてしまうことがある。
四級アンモニウム塩化合物のアニオンを構成するY-の成分は、無機または有機のアニオンであればよいが、ハロゲンであることが好ましく、通常は塩素である。
このような四級アンモニウム塩化合物として具体的には、テトラメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が74)、テトラエチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が122)、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が312)、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が550)、トリステアリルモノメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が788)、セチルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が284)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が368)、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が270)、モノラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が228)、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が382)、トリラウリルメチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が536)、トリアミルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が318)、トリヘキシルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が360)、トリオクチルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が444)、トリラウリルベンジルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が612)、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が388)、及びベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロライド(カチオン部分の分子量が248)、またはジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド(硬化牛脂)(カチオン部分の分子量が438〜550)等を用いることが好ましい。
製品としては、花王社製のコータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P、サニゾールC、サニゾールB−50等、ライオン社製のアーカード210−80E、2C−75、2HT−75、2HTフレーク、2O−75I、2HP−75、または2HPフレーク等があげられ、中でもコータミンD86P(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)、またはアーカード2HT−75(ジアルキル(アルキルがC14〜C18)ジメチルアンモニウムクロライド)等が好ましいものである。
四級アンモニウム塩化合物は、側鎖にカチオン性基、特にアミノ基、アンモニウム基を有し、キサンテン系酸性染料と反応、造塩化させ四級アンモニウム塩構造を形成できる樹脂の形態であってもよい。
(造塩化合物(Z)の製造方法)
酸性染料と四級アンモニウム塩化合物との造塩化合物は、従来知られている方法により製造することができる。特開平11−72969号公報などに具体的な手法が開示されている。
一例をあげると、酸性染料を水に溶解した後、四級アンモニウム塩化合物を添加、攪拌しながら造塩化処理を行なえばよい。ここで酸性染料中のスルホン酸基(−SO3H)、スルホン酸ナトリウム基(−SO3Na)の部分と四級アンモニウム塩化合物のアンモニウム基(NH4+)の部分が結合した造塩化合物が得られる。また水の代わりに、メタノール、エタノールも造塩化時に使用可能な溶媒である。
造塩化合物(Z)としては、特に酸性染料の形態の染料(C.I.アシッドレッド289やC.I.アシッドレッド52等)と、カウンタとなるカチオン部分の分子量が350〜800である四級アンモニウム塩化合物との造塩化合物を用いることで、溶剤溶解性に優れ、上記顔料と併用した場合に、より耐熱性、耐光性、耐溶剤性に優れたものとなる。また造塩化合物(Z)が顔料と併用することで良好なものとなるのは、溶剤中に溶解、分散しながら顔料に吸着することによるものであると推測される。このとき、顔料の一次粒子径は、20〜100nmであることが好適である。
本発明の着色組成物は、上記の、青色顔料と併用する青色着色組成物、赤色顔料と併用する併用する赤色着色組成物、黄色顔料と併用する黄色着色組成物、緑色着色組成物の形態が好ましい。
(酸性染料のスルホン酸アミド化合物)
染料に好ましく用いることのできる酸性染料のスルホン酸アミド化合物は、−SO3H、−SO3Naを有する酸性染料を常法によりクロル化して、−SO3Hを−SO2Clとし、この化合物を、−NH2基を有するアミンと反応して製造することができる。
また、スルホンアミド化において好ましく使用できるアミン化合物としては、具体的には、2−エチルへキシルアミン、ドデシルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、シクロへキシルアミン等を用いることが好ましい。
一例をあげると、C.I.アシッドレッド289を3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合は、C.I.アシッドレッド289をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド289のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
また、C.I.アシッドレッド52を3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを用いて変性したスルホン酸アミド化合物を得る場合も、C.I.アシッドレッド52をスルホニルクロリド化した後、ジオキサン中で理論当量の3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンと反応させてC.I.アシッドレッド52のスルホン酸アミド化合物を得ればよい。
(塩基性染料と有機酸、無機酸の化合物とからなる造塩化合物)
塩基性染料は、耐光性、耐熱性がさらに乏しく、高い信頼性が要求されるカラーフィルタを使用する画像表示装置に用いるには、その特性は十分なものではない。そのため、これらの染料における欠点を改善するために、塩基性染料を、有機酸、無機酸を用いて造塩化することが好ましい。有機酸としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸を用いることが好ましく、中でもナフタレンスルホン酸を用いることが好ましい。とりわけトビアス酸が好ましい。また無機酸としては、過塩素酸を用いることが特に好ましい。
<有機溶剤>
感光性顔料組成物を用いて、カラーフィルタセグメントやブラックマトリックスを作製する場合、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。それを容易にするために有機溶剤が用いられる。有機溶剤としては、例えば、1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が好ましく用いられる。これらを単独でもしくは混合して用いることができる。
特に有機溶剤の乾燥性を考慮し、ダイコート法やスクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法などにおいては160℃以上の高沸点溶剤を含むことが好ましく、
たとえば、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール(bp174℃)、1,3−ブタンジオール(bp203℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(bp213℃)、ジイソブチルケトン(bp168.1℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171.2℃)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(bp208.1℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(bp191.5℃)、エチレングリコールジブチルエーテル(bp203.3℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194.0℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(bp202.0℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(bp188.4℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(bp207.3℃)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(bp170.2℃)、プロピレングリコールジアセテート(bp190.0℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(bp187.2℃)、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル(bp197.8℃)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(bp212.0℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(bp175℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(bp206.3℃)、3−エトキシプロピオン酸エチル(bp169.7℃)、3−メトキシブチルアセテート(bp172.5℃)、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート(bp188℃)、γ−ブチロラクトン(bp204℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(bp166.1℃)、N−メチルピロリドン(bp202℃)、p−クロロトルエン(bp162.0℃)、o−ジエチルベンゼン(bp183.4℃)、m−ジエチルベンゼン(bp181.1℃)、p−ジエチルベンゼン(bp183.8℃)、o−ジクロロベンゼン(bp180.5℃)、m−ジクロロベンゼン(bp173.0℃)、n−ブチルベンゼン(bp183.3℃)、sec−ブチルベンゼン(bp178.3℃)、tert−ブチルベンゼン(bp169.1℃)、シクロヘキサノール(bp161.1℃)、シクロヘキシルアセテート(bp173℃)、メチルシクロヘキサノール(bp174℃)等が挙げられ、160℃以上の高沸点溶剤は溶剤の全量を基準として5〜50重量%が好ましい。
有機溶剤は、感光性顔料組成物中の顔料100重量部に対して、100〜10000重量部、好ましくは500〜5000重量部の量で用いることが好ましい。
<樹脂>
感光性着色組成物は樹脂を添加しても良い。高い透明性が必要であるため、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上のポリマーを使うことが好ましい。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光重合性官能基を含む樹脂が含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。直鎖、分岐、星状のいずれでもよい。感光性顔料組成物にアルカリ現像性を付与するために、末端および/または側鎖にカルボキシル基を有する樹脂が好ましく用いられる。
カルボキシル基の濃度は、酸価10〜250mgKOH/gが好ましく、さらに20〜200mgKOH/g、さらに40〜100mgKOH/gが好ましい。10mgKOH/g未満であると、アルカリ現像性が十分に付与できない場合があり、250mgKOH/gを超えると、コーティング剤の粘度が高く、保存安定性が悪化する場合がある。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂中には、ベンゼン骨格、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格などの芳香環;ピペリジン骨格、ピリジン骨格などの複素環;シクロヘキサン骨格、シクロオクタン骨格などの脂肪族環;スピロビシクロペンタン骨格、スピロ[3,4]オクタン骨格などのスピロ環;ビシクロ[2.2.1]ヘプタン骨格、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン骨格、アダマンタン骨格などの橋架け環;フルオレン骨格などのカルド構造などの構造を有していても良い。透明性の点から、(メタ)アクリル系樹脂が好ましく用いられる。
カルボキシル基を含有する熱可塑性樹脂としては、例えば、カルボキシ末端のポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステル、アクリル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、カルボキシル基側鎖のポリウレタン、カルボン酸付与セルロース、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート系共重合体、フェノール樹脂のカルボン酸無水物付加体などが挙げられる。
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体を得る方法として、(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートをその他のモノマーと共重合する方法や、水酸基を含有する(メタ)アクリレートをその他のモノマーと共重合して得られたポリマー中の水酸基を多塩基酸無水物中の酸無水物基と反応させる方法などがある。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、β−ヒドロキシアルキルアミド化合物等が挙げられる。
微細パターンの現像時のハガレやカケを改善するため、好ましくは熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が用いられる。エポキシ樹脂としては、公知のものを用いることができ、上記光重合性単量体(D)のうちカチオン重合するものとして記載したエポキシ基を有する化合物、脂環式エポキシ基を有する化合物、脂肪族エポキシ樹脂、オキセタニル基を有する化合物等を用いることができる。感光性顔料組成物として用いられる際に、好ましく用いられる製品としては、例えば、
エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上は商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256、JER 1032H60、JER 157S65、JER 157S70、JER152、JER154(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)、EPPN−501H、502H、EPPN−501H、EPPN−201、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020、XD−1000、NC−3000、(商品名;日本化薬(株)製)、セロキサイド2021、EHPE−3150、EHPE−3150CE(以上商品名;ダイセル化学工業(株)製)、デナコールEX−901、EX−810、EX−830、EX−851、EX−611、EX−512、EX−421、EX−411、EX−313、EX−201、EX−111(以上は商品名;ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
微細パターンの耐熱性や耐薬品性を向上させるため、好ましくは熱硬化性樹脂としてβ−ヒドロキシアルキルアミド化合物が用いられる。β−ヒドロキシアルキルアミド化合物は、分子内にβ−ヒドロキシアルキルアミド基を含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)アジパミド(エムスケミー社製Primid XL−552)をはじめとして、下記一般式(16)で表される化合物が挙げられる。
一般式(16)
Figure 2013223859
[式中、X1は炭素、水素、酸素、窒素、硫黄、又はハロゲンからなるn価の基であり、nは2〜6の整数である。X1として、具体的には、炭素数2以上のn価の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びヘテロ原子を有する基が挙げられる。]
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、透明性の観点からはフッ素が好ましい。耐熱性を付与する観点からは塩素、臭素が好ましい。
n価の基とは化合物からn個の水素原子を取り除くことで得られる基である。以下これを化合物に由来するn価の基という。
n価の脂肪族炭化水素基としては、アルカン、アルケン、アルキンに由来するn価の基が挙げられる。
アルカンとしては、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、ヘンイコサン、ドコサン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、メチルペンタン、ジメチルペンタン、エチルメチルペンタン、ジエチルペンタン、メチルヘキサン、テトラメチルヘプタン、等が挙げられる。アルカンに由来するn価の基として、例えば、1,6−ヘキシル基、1,7−ヘプチル基、1,8−オクチル基、1,9−ノニル基、1,10−デシル基、1,11−ウンデシル基、1,12−ドデシル基、1,13−トリデシル基、1,14−テトラデシル基、1,15−ペンタデシル基、1,16−ヘキサデシル基、1,17−ヘプタデシル基、1,18−オクタデシル基、1,19−ノナデシル基、1,3,6−ヘキシル基、1,4,7−ヘプチル基、1,2,8−オクチル基、1,3,9−ノニル基、1,3,4,6−ヘキシル基、1,4,6,7−ヘプチル基、1,4,5,6,7−ヘプチル基、1,2,3,4,5,6−ヘキシル基が挙げられる。
アルケンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドセン、トリデセン、テトラセン、ペンタデセン、ヘプタデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、ノナデセン、イコセン、ヘンイコセン、ドコセン、メチルペンテン、等が挙げられる。アルケンに由来するn価の基としては、例えば、1,6−(2−ヘキセニル)基、1,7−(2−ヘプテニル)基、1,8−(2−オクテニル)基、1,9−(2−ノネニル)基、1,10−(2−デセニル)基、1,11−(2−ウンデセニル)基、1,12−(2−ドデセニル)基、1,13−(2−トリデセニル)基、1,14−(2−テトラデセニル)基、1,15−(2−ペンタデセニル)基、1,16−(2−ヘキサデセニル)基、1,17−(2−ヘプタデセニル)基、1,18−(2−オクタデセニル)基、1,19−(2−ノナデセニル)基、1,3,6−(2−ヘキセニル)基、1,4,7−(3−ヘプセニル)基、1,2,8−(4−オクテニル)基、1,3,9−(5−ノネニル)基、1,3,4,6−(2−ヘキセニル)基、1,4,6,7−(3−ヘプセニル)基、1,4,5,6,7−(3−ヘプセニル)基が挙げられる。
アルキンとしては、エチン、プロピン、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ペプチン、オクチン、ノニン、デシン、ウンデシン、ドデシン、トリデシン、イコシン、ヘンイコシン、ドコシン、等が挙げられる。アルキンに由来するn価の基としては、例えば、1,6−(2−ヘキシニル)基、1,7−(2−ヘプシニル)基、1,8−(2−オクシニル)基、1,9−(2−ノニル)基、1,10−(2−デシニル)基、1,11−(2−ウンデシニル)基、1,12−(2−ドデシニル)基、1,13−(2−トリデシニル)基、1,14−(2−テトラデシニル)基、1,15−(2−ペンタデシニル)基、1,16−(2−ヘキサデシニル)基、1,17−(2−ヘプタデシニル)基、1,18−(2−オクタデシニル)基、1,19−(2−ノナデシニル)基、1,3,6−(2−ヘキシニル)基、1,4,7−(3−ヘプシニル)基、1,2,8−(4−オクシニル)基、1,3,9−(5−ノニル)基、1,3,4,6−(2−ヘキシニル)基、1,4,6,7−(3−ヘプシニル)基、1,4,5,6,7−(3−ヘプシニル)基が挙げられる。
n価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、トリメチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、ノルボルナン、ノルボルネン、ビシクロオクテン、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、ジメチルアダマンタン、等に由来するn価の基が挙げられる。例えば、1,1−シクロヘキシル基、1,2−シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキシル基、1,4−シクロヘキシル基、1,2,4−シクロヘキシル基、1,3,5−シクロヘキシル基、1,2,4,5−シクロヘキシル基、1、2,3,4,5,6−シクロヘキシル基、2,6−デカヒドロナフチル基、1,3−アダマンチル基、1、3、5ーアダマンチル基が挙げられる。
n価の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、ジフェニルエタン、ジフェニルアセチレン、9,9−ジフェニルフルオレン、等に由来するn価の基が挙げられる。例えば、カルボニル基に結合する炭素原子が芳香環に含まれる基としては、フェニレン基、トリレン基、が挙げられる。カルボニル基に結合する炭素原子が芳香環に含まれない基としては、トルエン−α,α−ジイル基、エチルベンゼン−α,β−ジイル基、エチルベンゼン−β,β−ジイル基、1,2−ジフェニルエタン−1,2−ジイル基、等が挙げられる。
ヘテロ原子(酸素、硫黄、窒素、ハロゲン原子)を有するn価の基としては、エタノール、エチレングリコール、エチレンジアセテート、エチレンジピバレート、エチレンジベンゾエート、エチレンビス(メチルベンゾエート)、エチレンビス(メトキシベンゾエート)、プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、エリスリトール、エチレンオキシド、アセトアルデヒド、アセトン、ジプロピルケトン、γ−ペンタデカノラクトン、1,2−シクロヘキサン、γ−ブチロラクトン、エチルアミン、エチルメチルアミン、プロピルアミン、N−プロピルアセトアミド、エタンチオール、エタンジチオール、テトラフルオロエタン、ジブロモエタン、ヘキサフルオロプロパン、オクトフルオロブタン、ドデカフルオロヘキサン、ヘキサデカフルオロオクタン、1,2,3,4,7,7−ヘキサクロロノルボルネン、アニソール、フルオロベンゼン、テトラフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラフロロベンゼン、ブロモベンゼン、テトラブロモベンゼン、ニトロベンゼン、フェノール、アニリン、ベンゼンスルホン酸、アントラキノン、ブタンホスホン酸、トリエチルトリアジン、トリプロピルトリアジン、トリエチルイソシアヌレート、トリプロピルイソシアヌレート、ベンゾフェノン、チオフェン、ジエチルスルフィド、ジフェニルスルホン、2,2−ジフェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ジフェニルエーテル、等に由来するn価の基が挙げられる。
中でも、X1として、反応性の観点から、カルボニル基に直接結合するX1中の原子が、芳香環に含まれない炭素原子であることが好ましい。さらには、炭素数6〜18の直鎖の脂肪族炭化水素基、あるいは、脂環式炭化水素基が好ましく、より好ましくは、炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基、あるいは、脂環式炭化水素基であり、さらに好ましくは、炭素数6〜12の直鎖の脂肪族炭化水素基である。
式中、R21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、一般式(17)で表される基、または一般式(18)で表される基を表し、1以上の窒素原子に結合する1以上のR21およびR22のうち、少なくとも1つは一般式(17)で表される基である。
一般式(17)
Figure 2013223859
一般式(18)
Figure 2013223859
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基、2−インデノ基、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、といったシクロアルキル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、単環、縮合環、環集合芳香族炭化水素基が挙げられる。
単環芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クメニル基、メシチル基等の単環芳香族炭化水素基が挙げられる。
縮合環芳香族炭化水素基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基等の縮合環芳香族炭化水素基が挙げられる。
環集合芳香族炭化水素基としては、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基等の環集合芳香族炭化水素基が挙げられる。
中でも、式(17)及び式(18)以外のR21およびR22として、好ましくは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素、または、単環芳香族炭化水素基であり、より好ましくは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素であり、さらに好ましくは、炭素数4以上の脂肪族炭化水素基である。
式(17)及び(18)で表される基のR23〜R27はそれぞれ独立に水素原子、炭化水素基、またはヒドロキシル基で一部置換された炭化水素基を表し、R27はヒドロキシル基と反応しうる官能基を有する化合物の残基を表す。
炭化水素基は、R21およびR22において前述したものと同様である。ヒドロキシル基で置換された炭化水素基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシシクロヘキシル基、等が挙げられる。
ヒドロキシル基と反応しうる官能基を有する化合物としては、特に限定されないが、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、シラノール、アルコキシシラン、シラノールエステル、アミノ樹脂、エポキシを有する化合物等が挙げられ、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、及びカルボン酸無水物が好ましく、より好ましくは、単官能イソシアネート又は単官能カルボン酸である。
中でも、容易に作製できる観点から、一般式(18)中のR27が下記一般式(19)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド化合物が得られることがより好ましい。
一般式(19)
Figure 2013223859
ここで、
28は単結合、(m1+1)価の炭化水素基、または、ウレタン結合、ウレア結合、アロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート環のうち少なくとも1つと、炭素原子、水素原子からなる(m1+1)価の基を表し、
1は単結合、ウレタン結合またはウレア結合を表し、
29は2価の炭化水素基を表し、
2はエーテル結合またはエステル結合を表し、
30は1価の炭化水素基を表し、
1は1〜5の整数を表し、
1は0〜100の整数を表す。
容易に作製できる観点から、一般式(18)中のR27が下記一般式(20)で表されるβ−ヒドロキシアルキルアミド化合物が得られることがより好ましい。
一般式(20)
Figure 2013223859
ここで、
31は単結合、(m2+1)価の炭化水素基、または炭素原子、水素原子、酸素原子からなる(m2+1)価の基を表し、
3は単結合、エステル結合、アミド結合を表し、
32は2価の炭化水素基を表し、
4はエーテル結合またはエステル結合を表し、
33は1価の炭化水素基を表し、
2は1〜5の整数を表し、
2は0〜100の整数を表す。
耐薬品性、耐熱性を向上させるために、上記一般式(16)中のX1、R21、R22の少なくとも1種に光重合性官能基を含むことが好ましい。この場合、合成時の安定性から、R21またはR22に光重合性官能基を含むことが好ましく、R21またはR22のうち、少なくとも1つが一般式(18)で表される基であり、一般式(18)中のR27が光重合性官能基を含むことがさらに好ましい。
光硬化性が良好になることから、一般式(18)中のR27が下記一般式(21)または一般式(22)で表される化合物の残基であることが特に好ましい。
一般式(21)
Figure 2013223859
[式中、R34は水素原子またはメチル基であり、R35は式
Figure 2013223859
[n1は1〜2の整数である。]で表される基、または式
Figure 2013223859
[R36は炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、2価の脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、R37は炭素数6〜13の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、2価の脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基である。]で表される基である。]
有機溶剤への溶解性が付与しやすいことから、一般式(18)中のR27が下記一般式(22)で表される化合物の残基であることが特に好ましく、光硬化性が良好になることから、下記一般式(23)で表される化合物の残基であることが特に好ましい。
一般式(22)
Figure 2013223859
[式中、R38は炭素数2〜18の直鎖状、環状または分岐状の飽和または不飽和炭化水素基である。]
一般式(23)
Figure 2013223859
[式中、R39は水素原子またはメチル基であり、R40は炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基であり、R41は炭素数2〜8の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基、脂環族炭化水素基、または芳香族炭化水素基である。]
これらの化合物は、単独で用いてもよいし、併用しても良い。
(光重合性官能基を含む樹脂)
光重合性官能基を含む樹脂は、ラジカル重合性、カチオン重合性、アニオン重合性の光重合性官能基をいれることができるが、安定性の面からラジカル重合性の光重合性官能基を含有させることが好ましい。
カルボキシル基と光重合性官能基の両方を付与する方法としては、たとえば、
(B−1)カルボキシル基を含有するポリマーに光重合性官能基を導入する方法
(B−2)カルボキシル基を含有しないポリマーに光重合性官能基を導入し、カルボキシル基を導入する方法
等が挙げられる。また、これらの官能基を有するポリマーについても限定されず、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、ポリエーテル系、天然ゴム、ブロック共重合体ゴム、シリコーン系などの各ポリマーを用いることができる。
(B−1)および(B−2)で用いられる光重合性官能基を導入する方法としては、
(B−11)カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、活性メチレン基等を含有するポリマー中のカルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、活性メチレン基等に、エポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基等および光重合性官能基を含有する化合物中のエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基等を反応させる方法、
(B−12)エポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基等を含有するポリマー中のエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基等に、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、活性メチレン基等および光重合性官能基を含有する化合物中のカルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、活性メチレン基等を反応させる方法
等が挙げられる。
(B−2)で用いられるカルボキシル基を導入する方法としては、
(B−13)水酸基、アミノ基等を含有するポリマー中の水酸基、アミノ基等に、多塩基酸無水物中の酸無水物基を反応させる方法
等が挙げられる。
(B−2)で用いられる、光重合性官能基とカルボキシル基を同時に導入する方法としては、
(B−14)カルボン酸無水物基を含有するポリマー中の酸無水物基に、水酸基等および光重合性官能基を含有する化合物中の水酸基等を反応させる方法
(B−15)水酸基、アミノ基等を含有するポリマー中の水酸基、アミノ基等に、酸無水物基と光重合性官能基を含有する化合物中の酸無水物基を反応させる方法
等が挙げられる。
光重合性官能基とカルボキシル基とを含有する(メタ)アクリレート共重合体を得る方法として、上記(B−1)および(B−2)の方法があり、詳しくは:
(B−16)カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体中のカルボキシル基の一部を、エポキシ基を含有する(メタ)アクリレート中のエポキシ基と反応させる方法;
(B−17)エポキシ基を含有する(メタ)アクリル系共重合体中のエポキシ基を、(メタ)アクリル酸やカルボキシル基を含有する(メタ)アクリレート中のカルボキシル基と反応させ、生成した水酸基に対して、多塩基酸無水物の酸無水物基を反応させる方法;
(B−18)カルボキシル基と水酸基を含む(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基を、イソシアネート基を含有する(メタ)アクリレートまたは不飽和酸無水物中のイソシアネート基または酸無水物基と反応させる方法などが挙げられる。
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリレートとしては、たとえば、上記脂肪族カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体で説明した化合物の他、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、上記カルボン酸無水物(c)と上記水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)とを付加反応させた単量体等も用いることができる。
共重合性、入手の容易さなどの点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
エポキシ基を含有する(メタ)アクリレートとしては、上記エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体類で挙げた化合物等を用いることができるが、工業品の入手の容易さという点から、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルが好ましく、エチレン性不飽和基の濃度を上げることができ、感光性組成物から形成される塗膜中での紫外線硬化が進みやすい点で、グリシジル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
水酸基を含有する(メタ)アクリレートとしては、上記水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m−d)で挙げた化合物等を用いることができるが、共重合性、入手の容易さなどの点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
多塩基酸無水物としては、上記カルボン酸無水物(c)で挙げた化合物等が用いられるが、1分子中に無水物基が2つ以上ある場合はゲル化しやすくなるため、ジカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物が好ましい。溶剤溶解性という点から、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸が好ましい。
イソシアネート基を含有する(メタ)アクリレートとしては、上記イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−c)で挙げた化合物等が用いられるが、 エチレン性不飽和基の濃度を上げることができ、感光性組成物から形成される塗膜中での紫外線硬化が進みやすく、入手が容易である点から、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル系共重合体中には、その他の共重合可能な(メタ)アクリレート等の単量体を共重合することができ、公知のものを制限なく用いることができる。
樹脂は、感光性顔料組成物中の顔料100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。
<添加剤>
感光性顔料組成物には、多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、チオール(SH)基を2個以上有する化合物である。
多官能チオールは上述の光重合開始剤(C)のうちラジカル重合性のものとともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られるカラーフィルタ用感光性組成物は高感度となる。特にSH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。
例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
多官能チオールの含有量は、顔料100重量部に対して0.05〜100重量部が好ましく、より好ましくは1.0〜50.0重量部である。多官能チオールを0.05重量部以上用いることで、より良い現像耐性を得ることができる。チオール(SH)基を複数有するチオールを用いることにより、現像耐性の向上が得られる。
感光性顔料組成物には、紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することができる。紫外線吸収剤または重合禁止剤を含有することで、パターンの形状と解像性を制御することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のヒドロキシフェニルトリアジン系、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート等のサリチレート系、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(トリアセトン−アミン−N−オキシル)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]等のヒンダードアミン系等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
また、重合禁止剤としては、例えばメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、4−ベンゾキノン、4−メトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、t−ブチルカテコールなどのハイドロキノン誘導体およびフェノール化合物、フェノチアジン、ビス−(1−ジメチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン等のアミン化合物、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の銅およびマンガン塩化合物、4−ニトロソフェノール、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物およびそのアンモニウム塩またはアルミニウム塩等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
紫外線吸収剤および重合禁止剤は、感光性顔料組成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.05〜10重量部である。
紫外線吸収剤または重合禁止剤を0.01重量部以上用いることで、より良い解像度を得ることができる。
感光性顔料組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために、貯蔵安定剤を含有することができる。貯蔵安定剤としては、例えば2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール、ペンタエリスチリル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)1,3,5−トリアジン等のヒンダードフェノール系、テトラエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルフォスフィン等の有機ホスフィン系、ジメチルジチオリン酸亜鉛、ジプロピルジチオリン酸亜鉛、ジブチルジチオリン酸モリブデン等の亜リン酸塩系、ドデシルスルフィド、ベンゾチオフェンなどのイオウ系、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
貯蔵安定剤は、感光性顔料組成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.05〜10重量部の量で用いる。
感光性顔料組成物には、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることが好ましい。密着向上剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
中でもシラン系の添加剤を含むとガラス基材などとの密着性が向上するため好ましく、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランがより好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤は、感光性顔料組成物中の顔料100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部の量で用いる。
感光性顔料組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性をよくするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造又はポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ−2122、ビックケミー社製BYK−330などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。
レベリング剤として特に好ましいものとしては、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、感光性顔料組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特徴を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものが有用であり、泡立ちによる塗膜の欠陥が出現しない添加量において十分に帯電性を抑止できるものが好ましく使用できる。
このような好ましい特性を有するレベリング剤として、ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイド単位としては、ポリエチレンオキサイド単位、ポリプロピレンオキサイド単位があり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイド単位とポリプロピレンオキサイド単位とを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイド単位のジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであってもよい。ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
レベリング剤には、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
レベリング剤に補助的に加えるアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
レベリング剤に補助的に加えるカオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
感光性顔料組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることが好ましい。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<感光性顔料組成物の製造方法>
感光性顔料組成物は、上記で説明したような方法で、顔料、染料を、本発明の分散剤を含む樹脂などの色素担体および/または溶剤中に微細に分散して顔料分散体を製造し、該顔料分散体に樹脂、光重合開始剤(C)、光重合性単量体(D)、有機溶剤、場合によっては増感剤、多官能チオール、紫外線吸収剤、重合禁止剤、貯蔵安定剤、その他成分を混合攪拌して製造することができる。また、2種以上の顔料を含む感光性顔料組成物は、各顔料分散体を別々に色素担体および/または溶剤中に微細に分散したものを混合し、さらに樹脂、光重合開始剤(C)、光重合性単量体(D)、有機溶剤等を混合攪拌して製造することができる。
<分散助剤>
顔料を樹脂などの色素担体および/または溶剤中に分散する際には、本発明の分散剤以外にも、適宜、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、顔料誘導体等の分散助剤を含有させることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を樹脂および/または溶剤中に分散してなる感光性顔料組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
分散助剤は、顔料100重量部に対して、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.1〜30重量部の量で用いる。
樹脂型顔料分散剤は、本発明の分散剤と同様に、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、色素担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の色素担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、6919、21116、21324またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503、等、味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
顔料誘導体は上記で説明した通り、有機顔料に置換基を導入した化合物であり、有機顔料には、一般に顔料とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。顔料誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
感光性顔料組成物は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。着色レジスト材は、本発明の分散剤と、光重合開始剤(C)と、光重合性単量体(D)と、必要に応じて樹脂と、有機溶剤とを含有する組成物中に顔料を分散させたものである。
感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
<カラーフィルタの製造方法>
次に、感光性顔料組成物を用いてカラーフィルタを製造する方法について説明する。
カラーフィルタは、透明基板上に、感光性顔料組成物から形成されるフィルタセグメントまたはブラックマトリックスを備えるものであり、一般的なカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備、または少なくとも1つのマゼンタ色フィルタセグメント、少なくとも1つのシアン色フィルタセグメント、および少なくとも1つのイエロー色フィルタセグメントを具備する。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの乾燥膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.2〜5μmである。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。加熱条件も、カラーフィルタ用感光性組成物に使用する各構成成分の種類や、添加量(配合量)等によって変えることができるものの、通常、温度が50〜300℃の範囲で、0.1〜10時間の条件で加熱硬化するのが好ましく、より好ましくは、温度が100〜250℃の範囲で、0.5〜5.0時間の加熱硬化条件である。
フォトリソグラフィー法による各色フィルタセグメントおよびブラックマトリックスの形成は、下記の方法で行う。すなわち、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製した感光性顔料組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去し所望のパターンを形成してフィルタセグメントおよびブラックマトリックスを形成することができる。さらに、現像により形成されたフィルタセグメントおよびブラックマトリックスの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビア印刷法等の印刷法より精度の高いフィルタセグメントおよびブラックマトリックスが形成できる。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、感光性顔料組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
<<導電性顔料組成物>>
<顔料(P)>
次に、本発明に使用する顔料(P)のうち、下記の顔料を用いた場合、導電性顔料組成物として好適に用いることができる。
金属、非金属、亜金属の酸化物、具体的には、
酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化カドミウム、酸化銀、酸化金、酸化クロム、珪素酸化物、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化白金、酸化パラジウム、酸化ビスマス、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化バリウム等の無機酸化物顔料;
アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、リン含有酸化スズ(PTO)、フッ素含有酸化スズ(FTO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)、またはガリウム含有酸化亜鉛(GZO)等のドープ剤を固溶することにより導電性を向上した無機酸化物;
アルミナホワイト、またはビリジアン等の無機水酸化物;
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ホワイトカーボンまたは、クレー等の無機塩;
アルミニウム粉、亜鉛末、またはブロンズ粉等の金属粉等が挙げられる。
この中でも、分散性の点からドープ剤を固溶することにより導電性を向上した無機酸化物が好ましい。
このような無機化合物の形状は、例えば、球状粒子、針状粒子、葉状粒子等のいかなるものであってもよいが、針状粒子であることが好ましく、特に球状粒子と針状粒子とを混合して用いることが好ましい。球状粒子と針状粒子とを混合することで、無機化合物同士の接触を増加させることができ、導電性を向上させる効果がある。球状粒子と針状粒子との混合比率(重量比)は、球状粒子/針状粒子=10/90〜90/10であることが好ましい。
また平均一次粒子径の異なる球状粒子同士を混合することも好ましい様態の一つである。無機化合物の充填密度を増加させることができ、導電性を向上させる効果がある。
この場合、平均一次粒子径30〜2000nmの粒子と平均一次粒子径2〜200nmの粒子との混合であるのが好ましく、平均一次粒子径30〜500nmの粒子と平均一次粒子径5〜100nmの粒子との混合がより好ましい。一方の無機化合物の平均一次粒子径が大きすぎると、無機化合物同士の空隙が大きくなり、その結果、十分な導電性が得られなかったり、膜の強度、密着性、および膜特性が低下することがある。一方の無機化合物の平均一次粒子径が小さすぎると、導電性粒子の表面積の増大に伴う経時的な膜特性の変化が顕著になることがある。
<架橋剤(B)>
本発明の分散剤は、活性メチレン基または活性メチン基を必須成分として含むが、顔料組成物中に架橋反応する官能基を含むことが好ましく、上記で説明したとおり、ブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基、メタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(b)を含むことが好ましい。官能基(b)は、耐性の観点からは分散剤中に有することが好ましく、顔料(P)を分散する際の安定性の観点からはブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基およびメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(b)を有する架橋剤(B)を添加することが好ましい。
架橋剤(B)のうち、ブロックイソシアネート基を有するものとしては、イソシアネート基を有する化合物をラクタム系、オキシム系、アルコール系、アミン系、活性メチレン系又はフェノール系等のブロック基によりブロック化されている化合物等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては以下のようなものが挙げられる。
単官能イソシアネート:メチルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ヘプチルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、ステアリルイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロプロピルイソシアネート、フェネチルイソシアネート、トシルイソシアネート、アクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、2−(2−アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2−(2−メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、1,1−ビス(メタクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、
二官能イソシアネート:トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリジンイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、3−(2’−イソシアナトシクロヘキシル)プロピルイソシアネート、ジアニシジンイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ダイマージイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、
三官能イソシアネート:リジントリイソシアネート、トリス(イソシアナトフェニル)メタン、トリス(イソシアナトフェニル)チオホスフェート、
また、上記多官能のイソシアネートのビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アダクト体、も挙げられる。
上記の多官能イソシアネート、多官能イソシアネートのビウレット、ウレトジオン、イソシアヌレート、アダクト体から選ばれるイソシアネートと、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、フェノール、ベンジルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メチルアミン、エチルアミン、ジブチルアミン、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリカプロラクトンなどの活性水素化合物とを反応させてなる化合物も挙げられる。
架橋剤(B)のうち、ブロックイソチオシアネート基を有するものとしては、上記のイソシアネート基を有する化合物中のイソシアネート基がイソチオシアネート基に置換された、イソチオシアネート基を有する化合物をラクタム系、オキシム系、アルコール系、アミン系、活性メチレン系又はフェノール系等のブロック基によりブロック化されている化合物等が挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては以下のようなものが挙げられる。
架橋剤(B)のうち、アクリレート基またはメタクリレート基を有するものとしては、前述の光重合性単量体(D)でラジカル重合するものとして挙げた化合物や、上記エチレン性不飽和単量体(m)で挙げた化合物のうち、(メタ)アクリレート基を有する化合物等を用いることができる。
<添加剤>
本発明の導電性顔料組成物は、種々の印刷インキやインクジェットインキとして使用し、展色する際の定着性を付与させるためにワニスを添加し、顔料分散体として使用することができる。ワニスとして使用できる樹脂としては、石油樹脂、カゼイン、セラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル酸性基含有ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン変性マレイン酸、ポリアミド樹脂、塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。また、耐性を向上させるため、架橋剤(B)以外にも架橋基を有する化合物として、熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂としてβ−ヒドロキシアルキルアミド化合物が好ましく用いられる。β−ヒドロキシアルキルアミド化合物は、分子内にβ−ヒドロキシアルキルアミド基を含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。例えば、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジパミド(エムスケミー社製Primid XL−552)をはじめとして、上記一般式(16)で表される化合物が挙げられる。
さらに、必要に応じて、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、無機フィラー、接着付与剤、界面活性剤、貯蔵安定剤、染料、シランカップリング剤等の密着向上剤等などの添加剤を加えてもよい。これらの添加剤は、樹脂組成物の目的を損なわない範囲で任意の量を加えることができる。
<導電性顔料組成物の製造方法>
本発明の無機化合物用分散剤を用いた導電性無機化合物分散体は、必要により各種溶剤、樹脂、添加剤等を混合して、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で顔料(P)を分散することにより、得ることができる。
顔料(P)、分散剤、架橋剤(B)、その他の樹脂、添加剤は、すべての成分を混合してから分散してもよいが、初めに顔料(P)と分散剤のみ、あるいは、顔料(P)と、分散剤と、その他の樹脂のみを分散し、次いで、他の成分を添加して再度分散を行ってもよい。
また、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散を行う前に、ニーダー、3本ロールミル等の練肉混合機を使用した前分散、2本ロールミル等による固形分散、又は顔料(P)の表面処理を行ってもよい。又はハイスピードミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ロールミル、石臼式ミル、超音波分散機等のあらゆる分散機や混合機が無機化合物分散体を製造するために利用できる。前記の無機化合物分散体に用いることができる各種溶剤としては、有機溶剤、水等が挙げられる。また、活性エネルギー線硬化型組成物として用いる場合、活性エネルギー線硬化性の液状モノマーや液状オリゴマーを溶剤代わりの媒体として用いてもよい。
<<その他の用途>>
本発明の顔料分散体は、非水系、水系、又は無溶剤系の塗料、グラビアインキ、オフセットインキ、インキジェットインキ、カラーフィルタ用インキジェットインキ、デジタルペーパー用インキ、塗料、プラスチック着色等に利用できる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」とは「重量部」を、「%」とは「重量%」を意味する。
また、分散剤、樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量であり、東ソー社製のGPC−8020によって、溶離液はテトラヒドロフランを使用し、カラムはTSKgel SuperHM−M(東ソー社製)を3本使用し、流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で測定した。
IR測定はすべて、PerkinElmer社製のSpectrum Oneを用いて行った。
酸価の測定は次の通り行った。酸価を測定する分散剤溶液または樹脂溶液を約1g秤量し、メチルエチルケトン30g、水1gを加え10分攪拌した後、0.1N水酸化カリウムエタノール溶液にて電位差滴定を行った。また、同様の方法で空試験を行った。目的物の固形分を200℃10分で測定し、得られた滴定値と固形分から、分散剤溶液または樹脂溶液の固形分1gに含まれるカルボキシル基と当量の水酸化カリウムのmg数を求めた。
活性メチレン基の濃度、ブロックイソシアネート基の濃度、アクリレート基の濃度はいずれも分散剤、樹脂の固形分あたりの濃度を意味し、原料の仕込み量から計算した。なお、方法[B][C][D]を用いてアクリレート基を導入する際、活性メチレン基と水酸基が共存する場合には、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有する(メタ)アクリレート中のイソシアネート基またはイソチオシアネート基と、活性メチレン基または水酸基のいずれかと、が反応するが、活性メチレン基との反応、水酸基との反応、それぞれの比率は不明であるため、活性メチレン基の濃度としては、活性メチレン基が優先して反応すると仮定して計算した値(下限値)と、水酸基が優先して反応すると仮定して計算した値(上限値)の両方を記載した。
平均一次粒子径は、透過型顕微鏡(TEM;日立製作所社製H−9000UHR)を用いて、加速電圧300kVの条件下、1mm厚のインジェクションプレートの観察を行った。
<<分散剤>>
<分散剤の製造>
(実施例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、アセトアセトキシエチルメタクリレート300部、エチルアクリレート300部、t−ブチルアクリレート200部、メチルメタクリレート150部、メタクリル酸50部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール60部を添加して、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した(第一工程)。次に、第一工程で得られた化合物の固形分50%のメトキシプロピルアセテート溶液を500部、ピロメリット酸無水物21部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン1.40部を仕込み、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化するまで反応させた(第二工程)。反応溶液を冷却して、メトキシプロピルアセテートで固形分調整することにより分散剤1の固形分50%の溶液を得た。得られた分散剤の酸価は72、重量平均分子量は6500であった。
(実施例2〜5)
表1に記載した原料と仕込み量を用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、分散剤2〜5の固形分50%の溶液を得た。
(実施例6)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機、滴下装置を備えた反応容器を使用し、表1に記載した原料と仕込み量を用いて、合成例1と同様にして第二工程まで合成を行い、反応溶液を冷却して、固形分50%にメトキシプロピルアセテートで固形分調整した。反応容器を乾燥空気で置換したのち、第二工程で得られた化合物の固形分50%のメトキシプロピルアセテート溶液200部を仕込み、アクリロイルオキシエチルアクリレート25部、メトキノン0.3部の混合物を滴下装置から1時間かけて滴下した。100℃に昇温して5時間撹拌し、IRで2270cm-1のピークの消失を確認した。反応溶液を冷却して、メトキシプロピルアセテートで固形分調整することにより分散剤6の固形分50%の溶液を得た。得られた分散剤の酸価は58、重量平均分子量は8200であった。
(比較例1〜3)
表1に記載した原料と仕込み量を用いて、実施例1と同様にして合成を行い、比較分散剤1〜3の固形分50%の溶液を得た。
なお、比較分散剤1は、片末端領域に脂肪族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にも脂肪族カルボキシル基を有する。
比較分散剤2は、片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にも芳香族カルボキシル基を有する。
比較分散剤3は、活性メチレン基を有しない。
(比較例4)
表1に記載した原料と仕込み量を用いて、実施例1と同様にして合成を行ったところ、第二工程においてゲル化した。
Figure 2013223859
表1中の略語について以下に示す。
AAEM:メタクリル酸2−(1,3ジオキソブトキシ)エチル
AAEA:アクリル酸2−(1,3ジオキソブトキシ)エチル
MOI−BM:メタクリル酸 2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル
MOI−BP:2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート
EA:エチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
tBA:t−ブチルアクリレート
2MTA:2−メトキシエチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
St:スチレン
M−5400:フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(東亞合成社製)
MAA:メタクリル酸
PMA:ピロメリット酸二無水物
TMA:トリメリット酸無水物
BTA:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物
AOI:アクリロイルオキシエチルアクリレート
(実施例7)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール210部、ピロメリット酸無水物333部、メトキシプロピルアセテート1267部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.2部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で5時間反応させた(第一工程)。酸価の測定で95%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次に、第一工程で得られた化合物の固形分30%のメトキシプロピルアセテート溶液を517部、アセトアセトキシエチルメタクリレート300部、エチルアクリレート300部、t−ブチルアクリレート200部、メチルメタクリレート150部、メタクリル酸50部、メトキシプロピルアセテート100部を仕込み、反応容器内を80℃に加熱して、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部を添加し、12時間反応した(第二工程)。固形分測定により95%が反応したことを確認した。反応溶液を冷却して、メトキシプロピルアセテートで固形分調整することにより分散剤7の固形分50%の溶液を得た。得られた分散剤の酸価は74、重量平均分子量は9100であった。
(実施例8〜11)
表2に記載した原料と仕込み量を用いた以外は実施例7と同様にして合成を行い、分散剤8〜11の固形分50%の溶液を得た。
(実施例12)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機、滴下装置を備えた反応容器を使用し、表2に記載した原料と仕込み量を用いて、実施例7と同様にして第二工程まで合成を行い、反応溶液を冷却して、固形分50%にメトキシプロピルアセテートで固形分調整した。反応容器を乾燥空気で置換したのち、第二工程で得られた化合物の固形分50%のメトキシプロピルアセテート溶液200部を仕込み、アクリロイルオキシエチルアクリレート25部、メトキノン0.3部の混合物を滴下装置から1時間かけて滴下した。100℃に昇温して5時間撹拌し、IRで2270cm-1のピークの消失を確認した。反応溶液を冷却して、メトキシプロピルアセテートで固形分調整することにより分散剤12の固形分50%の溶液を得た。得られた分散剤の酸価は59、重量平均分子量は11000であった。
(実施例13)
表2に記載した原料と仕込み量を用いて、実施例7と同様にして第二工程まで合成を行い、反応溶液を冷却して、固形分50%にメトキシプロピルアセテートで固形分調整した。第二工程で得られた化合物の固形分50%のメトキシプロピルアセテート溶液200部と、アセト酢酸t−ブチル19部を仕込み、120℃にてさらに12時間反応させた。反応溶液を冷却して、メトキシプロピルアセテートで固形分調整することにより、分散剤13の固形分50%の溶液を得た。得られた分散剤の酸価は46、重量平均分子量は34000であった。
(実施例14)
表2に記載した原料と仕込み量を用いて、実施例12と同様にして合成を行い、分散剤14の固形分50%の溶液を得た。
(比較例5〜8)
表2に記載した原料と仕込み量を用いて、実施例7と同様にして合成を行い、比較分散剤5〜8の固形分50%の溶液を得た。
なお、比較分散剤5は、片末端領域に脂肪族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にも脂肪族カルボキシル基を有する。
比較分散剤6は、片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にも芳香族カルボキシル基を有する。
比較分散剤7は、活性メチレン基、活性メチン基のいずれも有しない。
比較分散剤8は、第二工程においてゲル化した。
(比較例9)
表2に記載した原料と仕込み量を用いて、実施例12と同様にして合成を行い、比較分散剤9の固形分50%の溶液を得た。
なお、比較分散剤9は、活性メチレン基、活性メチン基のいずれも有せず、アクリレート基を有する。
Figure 2013223859
表2中の略語について以下に示す。
BMA:n−ブチルメタクリレート
2HPMA:2−ヒドロキシプロピルメタクリレート
<<顔料組成物>>
<塩基性誘導体の製造>
塩基性置換基を有する色素誘導体、塩基性置換基を有するアントラキノン誘導体、塩基性置換基を有するアクリドン誘導体、および塩基性置換基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩基性誘導体を、塩基性誘導体と略記する。
(製造例1:塩基性誘導体1)
色素成分である銅フタロシアニン50部をクロロスルホン化した後、アミン成分であるN,N−ジメチルアミノプロピルアミン14部と反応させて、下記式(24)に示す塩基性誘導体1を62部得た。
式(24)
Figure 2013223859
[CuPcは、銅フタロシアニン残基を表す。]
(製造例2:塩基性誘導体2)
色素成分である銅フタロシアニン50部をクロロメチル化した後、アミン成分であるジブチルアミン40部と反応させて、下記式(25)に示す塩基性誘導体2を95部得た。
式(25)
Figure 2013223859
[CuPcは、銅フタロシアニン残基を表す。]
(製造例3:塩基性誘導体3)
色素成分であるキナクリドン50部をクロロアセトアミドメチル化した後、アミン成分であるN−メチルピペラジン40部と反応させて、下記式(26)に示す塩基性誘導体3を103部得た。
式(26)
Figure 2013223859
(製造例4:塩基性誘導体4)
色素成分としてジフェニルジケトピロロピロールを、アミン成分としてN−アミノプロピルモルホリンを使用し、製造例1と同様の方法により、下記式(27)に示す塩基性誘導体4を得た。
式(27)
Figure 2013223859
(製造例5〜10:塩基性誘導体5〜10)
上記製造例1〜4と同様の方法により、下記式(28)〜(33)に示す塩基性誘導体5〜10を得た。
式(28):塩基性誘導体5
Figure 2013223859
式(29):塩基性誘導体6
Figure 2013223859
式(30):塩基性誘導体7
Figure 2013223859
式(31):塩基性誘導体8
Figure 2013223859
式(32):塩基性誘導体9
Figure 2013223859
式(33):塩基性誘導体10
Figure 2013223859
<樹脂の製造>
(製造例11:樹脂溶液1)
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にメトキシプロピルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸20部、メチルメタクリレート10部、n−ブチルメタクリレート55部、ベンジルメタクリレート15部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂溶液を得た。室温に冷却後、メトキシプロピルアセテートで希釈することにより、固形分20%の樹脂溶液1を得た。重量平均分子量は40000であった。
(製造例12:樹脂溶液2)
攪拌機、温度計、滴下装置、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器にメトキシプロピルアセテート100部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でグリシジルメタクリレート74部、メチルメタクリレート11部、n−ブチルメタクリレート7.5部、ベンジルメタクリレート7.5部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1部をメトキシプロピルアセテート50部に溶解させたものを添加し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け共重合体を得た。続いて、反応容器内に乾燥空気を導入し、アクリル酸37.5部、メトキシプロピルアセテート56部、ジメチルベンジルアミン1部、メトキノン0.1部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続けた。さらに、無水コハク酸52部を仕込み、その後10時間、同じ温度で攪拌を続けた。室温に冷却後、メトキシプロピルアセテートで希釈することにより、固形分20%の樹脂溶液2を得た。重量平均分子量は44000であった。
(製造例13:樹脂溶液3)
攪拌機、温度計、滴下装置、ディーンスターク管、還流冷却器、ガス導入管を備えた反応容器に、ジエタノールアミン210部、水酸化カリウム10部、を入れ、窒素を吹き込みながら100℃に加熱した。この中にジメチルアジペート174部を滴下装置から4時間かけて滴下した。滴下終了後、反応容器内を205mmHgに減圧しながら加熱し、生成するメタノールを取り除いた。容器中に生成したスラリー状の生成物を取り出して真空乾燥した。この生成物320部を再度反応容器に入れ、150℃に加熱攪拌して融解させた。この中に2−エチルヘキサン酸144部を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後150℃で1時間攪拌したのち、トルエン100部を加え、ディーンスターク管にはトルエンを満たし、トルエンと共沸させることで生成する水を取り除いた。還流したトルエンは反応容器に戻るようにした。十分に水を取り除いた後、トルエンをすべて留去した。この液状の生成物447部に2−アクリルロイルオキシエチルイソシアネート141部、メトキノン0.3部の混合物を滴下装置から1時間かけて滴下した。滴下後100℃で1時間攪拌しIRによって構造を確認した。その後、60℃に温度を下げ、メトキシプロピルアセテートで希釈することにより、固形分20%の樹脂溶液3を得た。樹脂溶液3はカルボキシル基と架橋するβ−ヒドロキシアルキルアミド基と光重合性のアクリレート基を有する化合物の溶液である。
<顔料組成物の製造>
(実施例15〜42:顔料組成物1〜28)
表3に示すように、顔料(C.I.Pigment Blue 15:3)、実施例1〜14にて合成した分散剤1〜14、製造例1〜10で合成した塩基性誘導体1〜10、およびメトキシプロピルアセテートを配合し、2mmφジルコニアビーズ100部を加えペイントコンディショナーで3時間分散し、顔料組成物1〜28を作製した。
(比較例10〜16:顔料組成物29〜35)
比較例1〜9にて合成した比較分散剤1〜9を用いた以外は、実施例15〜42と同様に顔料組成物29〜35を作製した。
<顔料組成物の評価>
[初期粘度、ヘイズ、経時粘度]
本発明の顔料組成物の性能を評価するために、得られた組成物の粘度をB型粘度計(25℃、回転速度100rpm)で、ヘイズをヘイズメーター(光透過率20%)で測定し、初期粘度およびヘイズで分散体の性能を評価した(粘度は低いほど良好。ヘイズは小さいほど良好)。初期粘度およびヘイズは分散後1日室温で放置後に測定、経時粘度は1週間50℃に放置後に測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 2013223859
表3中の略語について以下に示す。
顔料1:C.I.Pigment Blue 15:3
顔料2:C.I.Pigment Blue 6
顔料3:C.I.Pigment Blue 15:6
顔料4:C.I.Pigment Violet 23
顔料5:C.I.Pigment Green 58
顔料6:C.I.Pigment Yellow 138
顔料7:C.I.Pigment Yellow 150
顔料8:C.I.Pigment Red 254
顔料9:C.I.Pigment Red 177
顔料10:C.I.Pigment Black 7
以上の評価結果から明らかなように、本発明の実施例1〜14で製造した分散剤1〜14を使用した、実施例15〜42の顔料組成物1〜28は、低い初期粘度で、かつ経時粘度の増加がほとんどなく良好な安定性を示している。さらにヘイズも低い。これに対して、比較例1〜9で製造した比較分散剤1〜9を使用した、比較例10〜16の顔料組成物29〜33については、比較例10〜13は分散剤中の片末端領域、それ以外の領域のカルボキシル基が適切でないため、粘度とヘイズともに高く、かつ経時粘度の増加があり、分散性に問題があることがわかった。また、比較例14は分散剤中に活性メチレン基または活性メチン基の代わりにアクリレート基を導入したため、分散性に問題があることがわかった。比較例15、16は分散性には問題がないが、分散剤中に活性メチレン基、活性メチン基のいずれも有しないために、後述する感光性顔料組成物または導電性顔料組成物における薬品耐性、耐熱性、耐溶剤性の各耐性試験において問題があることが分かった。分散剤中に活性メチレン基または活性メチン基の代わりにブロックイソシアネート基を導入した比較例4、8では、分散剤がゲル化し、製造に問題があることが分かった。
<<感光性顔料組成物>>
表4に示した組成、および配合量で各材料を混合・攪拌し、1μmのフィルタで濾過して、感光性顔料組成物を得た。なお、表4中の顔料分散体、樹脂の配合量は溶液としての値である。
Figure 2013223859
表4中の略語について以下に示す。
硬化剤1:スミジュールBL3175(住化バイエルウレタン社製) イソシアヌレート型MEKオキシムブロックのブロックイソシアネート
硬化剤2:XD−1000(日本化薬社製) ジシクロペンタニル骨格含有ノボラック型エポキシ
光重合開始剤(C):イルガキュア907(BASF社製) 2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン
触媒1:ジブチル錫ジラウレート
触媒2:テトラブチルアンモニウムブロミド
触媒3:EHPE−3150(ダイセル化学工業社製) 2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物
モノマー1:アロニックス M−402(東亜合成社製) ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物
モノマー2:ビスコート#802(大阪有機化学社製) トリペンタエリスリトールオクタアクリレートとトリペンタエリスリトールヘプタアクリレートの混合物
<感光性顔料組成物の評価>
得られた感光性顔料組成物について、ヘイズ、薬品耐性、耐熱性、現像性、パターニング時の感度、保存安定性を、下記の方法で評価した。結果を表4に示す。
[ヘイズ測定(透明性の評価)]
実施例43〜78および比較例17〜23の感光性顔料組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)に、スピンコーターを用いて150℃20分加熱後の仕上がり膜厚が2.0μmとなるように塗布した基板を得た。次に、減圧乾燥後、超高圧水銀ランプを用いて、照度20mW/cm2、露光量50mJ/cm2で紫外線露光を行った。塗布基板を150℃で20分加熱、放冷後、ヘイズメーターNDH−2000(東京電色社製)測定装置を用いて、ヘイズ値を測定した。評価のランクは次の通りである。
◎:ヘイズ値 0.5%未満 :非常に良好なレベル
○:ヘイズ値 0.5%以上1.0%未満 :良好なレベル
△:ヘイズ値 1.0%以上1.5%未満 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:ヘイズ値 1.5%以上 :実用には適さないレベル
[薬品耐性評価]
ヘイズの測定用に作製したものと同じ方法で得た基板の色度を測定した。基板をN−メチルピロリドン溶液に30分室温で浸漬した後、イオン交換水で洗浄、風乾した。その後、基板の色度を測定し、色差ΔEを計算した。なお、色度はC光源を用いた顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)で測定した。評価のランクは次の通りである。
◎:ΔE≦1.5 :非常に良好なレベル
○:1.5<ΔE≦2 :良好なレベル
△:2<ΔE≦3 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:3<ΔE :実用には適さないレベル
[耐熱性評価]
ヘイズの測定用に作製したものと同じ方法で得た基板の色度を測定した。さらに基板を250℃60分加熱、放冷後、基板の色度を再び測定し、色差ΔEを計算した。評価のランクは次の通りである。
◎:ΔE≦1.5 :非常に良好なレベル
○:1.5<ΔE≦2 :良好なレベル
△:2<ΔE≦3 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:3<ΔE :実用には適さないレベル
[現像性評価]
実施例43〜78および比較例17〜23の感光性顔料組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製ガラス イーグル2000)に、スピンコーターを用いて塗布し、クリーンオーブン内で70℃20分間でプリベークを行い、膜厚が2.0μmの基板を得た。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、100μm幅(ピッチ200μm)ストライプパターンのフォトマスクを介して露光量50mJ/cm2で紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像を行い、未露光部のパターン全体が溶解する時間(T1)を算出し、T1の1.5倍の時間まで現像を延長し現像終点とした。
◎:T1が40秒以下であるもの :非常に良好なレベル
○:T1が40秒を超え、50秒以下であるもの :良好なレベル
△:T1が50秒を超え、60秒以下であるもの :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:T1が60秒を超えても未露光部を除去できないもの:実用には適さないレベル
[パターニング時の感度の評価]
現像性の評価に作製したものと同じ方法で得た基板を、イオン交換水で洗浄、風乾し、クリーンオーブン中150℃で30分間加熱した。塗膜の膜厚は、Dektak 3030(日本真空技術社製)を用いて測定した。形成された100μmフォトマスク部分でのパタ−ン膜厚を測定し、塗工後膜厚に対して90%以上となる最小露光量を評価した。最小露光量が小さい程、高感度で良好な感光性組成物となる。評価のランクは次の通りである。
◎:50mJ/cm2未満 :非常に良好なレベル
○:50mJ/cm2以上80mJ/cm2未満 :良好なレベル
△:80mJ/cm2以上100mJ/cm2未満 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:100mJ/cm2以上 :実用には適さないレベル
[保存安定性の評価]
実施例43〜78および比較例17〜23の感光性顔料組成物について、初期および室温1ヵ月後の粘度を測定し、初期粘度に対する粘度増加度合いを算出して評価を行った。評価のランクは次の通りである。
◎:粘度増加の割合が5%未満 :非常に良好なレベル
○:粘度増加の割合が5%以上、8%未満 :良好なレベル
△:粘度増加の割合が8%以上、10%未満 :○と比較すると劣るが実用可能なレベル
×:粘度増加の割合が10%以上 :実用には適さないレベル
表4に示すように実施例43〜78はヘイズ、薬品耐性、耐熱性、現像性、パターニング時の感度、保存安定性がいずれも良好であった。
比較例17〜23は、上記の物性のいずれかが不良な結果となり、すべてが実用レベルを満たすものは得られなかった。
比較例17〜20は分散剤中の片末端領域、それ以外の領域のカルボキシル基が適切でないため、分散性が悪く、ヘイズと保存安定性が悪いことがわかった。
比較例21は分散剤中に活性メチレン基または活性メチン基の代わりにアクリレート基を導入したため、分散性が悪く、ヘイズと保存安定性が悪いことがわかった。
比較例22、23は分散剤中に活性メチレン基、活性メチン基のいずれも有しないために、薬品耐性、耐熱性が悪いことが分かった。
<<導電性顔料組成物>>
(実施例79)
ATO粉体(球状粒子、一次粒子径20nm)34部、実施例1の分散剤1を12部(固形分6部)、メチルエチルケトン34部と、直径1mmのジルコニアビーズ150部を加え、ペイントコンディショナーで3時間分散し、固形分50%の導電性顔料組成物1を作製した。
(実施例80〜88および比較例24〜29)
表5に示す組成で作製した以外は、実施例79と同様にして、固形分50%の導電性無機化合物分散体を作製した。
<導電性顔料組成物の評価>
[粘度]
本発明の導電性顔料組成物の性能を評価するために、分散体の粘度をB型粘度計で測定した。さらに分散体を50℃の恒温機に1週間保存、経時促進させた後、再度粘度を測定し、経時前後での導電性顔料組成物の粘度変化を測定した。粘度安定性は50℃1週間保存前後での粘度の変化率が±10%以内なら○、±10%を超えたら×とした。
[表面抵抗値、透明性、耐溶剤性]
また、導電性顔料組成物を、バーコーター(#14)を用いて易接着処理PET上に塗布した。架橋剤(B)または添加剤となる樹脂を含まない実施例79、83〜86、88、および比較例24、25、28、29では100℃にて2分間乾燥させ、架橋剤(B)を含む実施例80〜82、87、および比較例26、27では140℃にて30分乾燥および硬化させて得られた塗膜を用いて、導電性はロレスタHP(三菱化学社製)で表面抵抗値を測定し、透明性はNDH2000(日本電色工業社製)で全光線透過率を測定した。密着性および全光線透過率は大きいほど良好である。表面抵抗値は小さいほど良好である。耐溶剤性は、メチルエチルケトンを綿棒に染み込ませたものでラビングすることにより確認した。塗膜が剥がれ、下地が見えたラビング回数が50回以上の塗膜は○、50回未満の塗膜は×とした。
導電性、透明性、および耐溶剤性で分散体塗膜の性能を評価した。結果を表5に示す。
Figure 2013223859
ATO:アンチモン含有酸化スズ
ITO:スズ含有酸化インジウム
PTO:リン含有酸化スズ
FTO:フッ素含有酸化スズ
AZO:アルミニウム含有酸化亜鉛
GZO:ガリウム含有酸化亜鉛
硬化剤1:スミジュールBL3175(住化バイエルウレタン社製) イソシアヌレート型MEKオキシムブロックのブロックイソシアネート
硬化剤3:Trixene BI 7951(Baxenden社製) イソホロンジイソシアネート3量体のジメチルピラゾールブロックのブロックイソシアネート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
以上の評価結果から明らかなように、本発明の分散剤を使用した実施例79〜88の導電性顔料組成物は、粘度安定性が高く、分散体を基材に塗布して得られた塗膜は、導電性、透明性、および耐溶剤性も良好である。
これに対して、比較例24、25、27、または28から得られる分散体は、顔料吸着能が低い分散剤を用いているために分散体の安定性が低い。また比較例26または29から得られる塗膜は、安定性の高い分散体が得られるが、溶剤耐性に問題が生じていることが分かった。
本発明の分散剤を用いた顔料分散体は、上記で説明したカラーフィルタ用レジストインキや導電インキの他、非水系、水系、又は無溶剤系の塗料、グラビアインキ、オフセットインキ、インキジェットインキ、カラーフィルタ用インキジェットインキ、デジタルペーパー用インキ、塗料、プラスチック着色等に利用できる。

Claims (14)

  1. 活性メチレン基または活性メチン基と、カルボキシル基と、を有する分散剤であって、下記(1)〜(3)いずれかの特徴を有する分散剤。
    (1)片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にカルボキシル基を有しない
    (2)片末端領域に脂肪族カルボキシル基を有し、それ以外の領域にカルボキシル基を有しない
    (3)片末端領域に芳香族カルボキシル基を有し、それ以外の領域に脂肪族カルボキシル基を有する
  2. 分散剤が、
    分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)の存在下に、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合して得られる、片末端に1つ以上の水酸基を有するビニル重合体(M)中の水酸基と、カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基と、を反応させて生成される分散剤、
    および/または、
    分子内に1つ以上の水酸基と1つ以上のチオール基とを有する化合物(s)中の水酸基と、カルボン酸無水物(c)中の酸無水物基と、を反応させて得られるカルボキシル基とチオール基を有する化合物(S)の存在下に、活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)を含むエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合して生成される分散剤、
    であることを特徴とする請求項1記載の分散剤。
  3. 活性メチレン基または活性メチン基を有するエチレン性不飽和単量体(m−a)が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項2記載の分散剤。
    一般式(1)
    Figure 2013223859
    [一般式(1)中、R1は、水素原子またはメチル基、R2は、炭素原子数2〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基である。]
  4. ブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基およびメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(b)をさらに有する請求項1〜3いずれか記載の分散剤。
  5. エチレン性不飽和単量体(m)が、ブロックイソシアネート基またはブロックイソチオシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m−b)を含むことを特徴とする請求項4に記載の分散剤。
  6. 分散剤中の活性メチレン基または活性メチン基の一部を、イソシアネート基またはイソチオシアネート基を有する(メタ)アクリレート中のイソシアネート基またはイソチオシアネート基で反応させて得られる、請求項4に記載の分散剤。
  7. 重量平均分子量が、5000〜50000である請求項1〜6いずれか記載の分散剤。
  8. 請求項1〜7いずれか記載の分散剤と、顔料(P)と、を含む顔料組成物。
  9. さらにブロックイソシアネート基、ブロックイソチオシアネート基、アクリレート基およびメタクリレート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基(b)を有する架橋剤(B)を含む請求項8記載の顔料組成物。
  10. さらに光重合開始剤(C)と、光重合性単量体(D)と、を含む請求項8または9記載の顔料組成物。
  11. 顔料(P)が、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、アンチモン含有酸化スズ(ATO)、スズ含有酸化インジウム(ITO)、リン含有酸化スズ(PTO)、フッ素含有酸化スズ(FTO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)、およびガリウム含有酸化亜鉛(GZO)からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項8〜10いずれか記載の顔料組成物。
  12. 透明基板上に、請求項10に記載の顔料組成物から形成されるカラーフィルタセグメントまたはブラックマトリックスを備えることを特徴とするカラーフィルタ。
  13. 請求項11に記載の顔料組成物から形成される導電膜。
  14. 基材と、請求項13に記載の導電膜と、を有することを特徴とする導電性積層体。
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