JP2013223715A - 抗真菌医薬組成物が充填された樹脂容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(I)に表される化合物及び/又はその塩を含有する医薬組成物を、マンセル色座標で、色相(H)が7.0Y〜9.99Y又は7.0YR〜9.99YR、明度(V)が1.0〜6.0、彩度(C)が0.5〜7.5の範囲内である色で着色した樹脂容器に充填し、保存する。
(但し、式中においてR1、R2はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を表す。)
【選択図】なし
Description
2)高濃度溶液を爪などの表面に塗布した際に表面で結晶を析出し吸収を阻害する、3)立体異性化しやすい等の好ましくない特性があり、安定で効果の高い製剤開発の障害となっていた。特に、皮膚真菌症以上に患部への薬剤の配向量が多くなることが要求される爪真菌症を対象とする医薬製剤については、溶解度と塗布時即時結晶性の問題が大きな課題となっている(例えば、特許文献5および6を参照)し、溶剤の選択においては立体特性の維持(例えば、特許文献3を参照)が大きな課題となっている。この様な状況下、立体安定化作用を有し、且つ、爪中への薬剤配向性の高い溶剤として、N−メチル−2−ピロリドン等のN−アルキル−2−ピロリドン類を見出したが、かかる溶剤においては、溶解度の問題で溶かしうるルリコナゾールの量に限度があった。その為、通常の製剤系においては、3質量%未満が透明溶液製剤の限度と考えられていた。
<2> 前記樹脂容器は、紫外可視吸光度スペクトルの測定において、透過性を示さないものであることを特徴とする、<1>に記載の樹脂容器。
<3> 前記樹脂容器の材質は、ポリプロピレン又はポリエチレンであることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の樹脂容器。
<4> ボトル容器であることを特徴とする、<1>〜<3>の何れかに記載の樹脂容器。
<5> 下記に示す一般式(I)に表される化合物及び/又はその塩を含有する医薬組成物の収納用であることを特徴とする、<1>〜<4>の何れかに記載の樹脂容器。
<8> 前記医薬組成物は、ローション剤形であることを特徴とする、<6>又は<7>に記載の医薬。
<9> 前記医薬組成物は、1)ルリコナゾール3〜8質量%と、2)ベンジルアルコール1〜3質量%と、3)N−メチル−2−ピロリドン6〜15質量%とを含有し、透明溶液であることを特徴とする、<6>〜<8>のいずれかに記載の医薬。
<10> 前記医薬組成物は、更に、二塩基酸のジエステルを10〜16質量%含有することを特徴とする、<9>に記載の医薬。
<11> 前記医薬組成物は、更に、有機酸を3〜6質量%含有することを特徴とする、<9>又は<10>に記載の医薬。
<12> 前記有機酸は、乳酸であることを特徴とする、<11>に記載の医薬。
<13> 前記医薬組成物は、以下の物性を有することを特徴とする、<9>〜<12>の何れか記載の医薬。
1)室温で3年間の保存条件で結晶を析出しない。
2)ルリコナゾールのSE体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
3)ルリコナゾールのZ体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
4)SE体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
5)Z体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
6)爪上に塗布した直後に爪上に結晶を析出しない。
<14> 前記医薬組成物は、
N−メチル−2−ピロリドンの一部でルリコナゾールを濡らし、
これにベンジルアルコールと有機酸とを加えて分散させた後、
これに残余の成分を加えて製造されることを特徴とする、<11>〜<13>の何れかに記載の医薬。
<15> 1)ルリコナゾール3〜8質量%と、2)ベンジルアルコール1〜3質量%と、3)N−メチル−2−ピロリドン6〜15質量%とを含有する、透明溶液である医薬組成物。
<16> 更に、二塩基酸のジエステルを10〜16質量%含有することを特徴とする、<15>に記載の医薬組成物。
<17> 更に、有機酸を3〜6質量%含有することを特徴とする、<15>又は<16>に記載の医薬組成物。
<18> 前記有機酸は、乳酸であることを特徴とする、<17>に記載の医薬組成物。<19> 以下の物性を有することを特徴とする、<15>〜<18>の何れかに記載の医薬組成物。
1)室温で3年間の保存条件で結晶を析出しない。
2)ルリコナゾールのSE体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
3)ルリコナゾールのZ体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
4)SE体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
5)Z体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
6)爪上に塗布した直後に爪上に結晶を析出しない。
<20> N−メチル−2−ピロリドンの一部でルリコナゾールを濡らし、
これにベンジルアルコールと有機酸とを加えて分散させた後、
これに残余の成分を加えて製造されることを特徴とする、<17>〜<19>の何れかに記載の医薬組成物。
以下、本発明に係る樹脂容器について、その一実施形態を示す図1を参照しつつ詳細に説明する。図1に示す実施形態は、内容物を充填可能な樹脂容器であって、樹脂壁面1と、弾性体による押し上げ構造2と、可動栓3を有する。樹脂壁面1により設けられる容器内部に、内容物を充填可能である。樹脂壁面1は、マンセル色座標で、色相(H)が7.0Y〜9.99Y又は7.0YR〜9.99YR、明度(V)が1.0〜6.0、彩度(C)が0.5〜7.5の範囲内である色で着色されている。
ここで、マンセル色度座標とは、マンセル(H.A.Munsell)によって考案された、明度(V)、彩度(C)及び色相(H)の3軸で色を表現する表色系のことであり、座標値による人の感覚的な色認識の表現に優れていると言われている。一般に、色は3つの独立した刺激値の組合せで表現できることが知られており、RGB表色系、XYZ表色系等が存するが、色度座標から感覚的に色を最もイメージしやすいのはマンセル表色系であると言われている(日本色彩学会編「新編色彩科学ハンドブック」、財団法人東京大学出版、昭和60年9月10日)。
紫外可視吸光度スペクトルの測定は、例えば、紫外・可視吸光度計(V−660:日本分光株式会社製)において、波長200〜750nmで行うことができる。
即ち、本発明の医薬における、樹脂容器は特定の色で少なくとも樹脂面の一部が、好ましくは内容物との接触面が着色されているものであって、遮光効果を有することを必須の構成とするといえる。従来、容器に種々の機能を持たせるために、多層構造を採用することが行われている。本発明では、前記の色範囲において、樹脂容器を構成する樹脂層が一層であっても、上記の一般式(I)に表される化合物及び/又はその塩を含有する医薬組成物を安定に保持できる。従って、かかる着色面の外側に加色のための層などを配することも可能であり、この様な形態であっても本発明の技術範囲に属する。遮光は十分であっても前記色範囲に属さない場合は、医薬組成物を安定に保持できない場合が存する。この
ことより、本発明の樹脂容器に充填された医薬組成物の安定性は、光の直接作用によってではなく、容器などを介した二次的或いは間接的な作用によるものと推察される。この様に光の直接作用によらない安定性の低下は一般的には知られていない。従って、かかる状況下、容器を特定の色で着色することによって医薬組成物の安定性を維持できる効果は、格別な効果といえる。本発明の樹脂容器はかかる効果を有することを特徴とする。
さらに、形状の面では、好ましいものを例示すれば、図1に示すような、患部への押しつけにより、開口する構造を有するボトル形状である。即ち、図1のボトル形状は、ボトル形状であり、先端部に副室を設け、該副室と容器本体の薬剤収納部の連結部に弾性体で開閉すべき構造(弾性体による押し上げ構造及び可動栓)を設け、該構造は、通常は弾性体により閉じられており、患部接触部の棒状の押し込み部を押し込むことにより開口する構造となっている。該棒状の押し込み部は、複数の縦方向の切り込みが設けられており、患部にこの部分を押しつけて連結部を開口した場合に、容器本体の薬剤収納部に収納された薬剤が副室に流れ込み、更には溝部を流れて、一定量の薬剤が連続的に患部に供給される構造となっている。
また、材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミドなどが好適に例示でき、本発明の医薬組成物を充填することを考慮すれば、ポリエチレン或いはポリプロピレンがより好ましく、ポリエチレンが更に好ましい。かかる樹脂には、遮光の目的で二酸化チタンや酸化亜鉛などの金属酸化物を含有せしめることができる。コストの面からは、製造コストの面と製造方法の面から、着色層ただ一層にすることが好ましい。
容器は前記の条件を充足する限りにおいて、通常医薬で使用されている容器の製造方法を採用することができる。例えば、樹脂容器の着色した樹脂面は、樹脂自体を着色することもできるし、樹脂内部を医薬組成物に影響しない着色剤等で着色することもできる。
着色剤としては、上記の着色剤等を用いることができる。
本発明の樹脂容器において、充填されるに好ましい医薬組成物は、上記一般式(I)に表される化合物及び/又はその塩を含有することを特徴とする。かかる一般式(I)に表される化合物としては、R1が塩素原子であり、R2が水素原子であるラノコナゾール、R1、R2ともに塩素原子であるルリコナゾールなどが好適に例示できる。これらの何れをも当該医薬組成物は含有することができる。かかる成分の製造方法は既に知られている(例えば、特開平09−100279号公報など)。かかる医薬組成物において、前記一般式(I)に表される化合物及びその塩の好ましい含有量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.2〜10質量%がより好ましい。これはかかる量範囲において、安定性を維持できるからである。特に、医薬組成物を爪用の製剤として用いる場合は、透明で一様な溶液であって、一般式(I)に表される化合物の濃度が高いものが好ましく、具体的には、N−アルキル−2−ピロリドンを溶剤とし、一般式(I)に表される化合物を医薬組成物の含有量が、総量に対して3〜8質量%であり、より好ましくは4〜6質量%である、医薬組成物が特に好ましく例示できる。
面にと付したときに瞬間的に結晶が析出する様な事象を抑制する働きに優れる。又、低温保存時における結晶の析出の抑制、低温保存による、塗布時の結晶析出の容易化の抑制作用も同様に発現する。これをもって、本発明の医薬組成物が、その特性を阻害されることなく、優れた組織浸透性を具現化できる。
本発明の医薬組成物は、好ましくは、以下の製造方法により、製造することができる。
N−メチル−2−ピロリドンの一部(例えば、医薬組成物全量に対し、1〜5質量%)でルリコナゾールを濡らし、これにベンジルアルコールと有機酸とを加えて分散させた後、これに残余の成分を加えて製造する。
又、この様な特に爪組織に配向しやすい性質を生かして爪真菌症用の医薬組成物として利用することができる。
例えば外用剤であれば、一日に一回又は数回、疾病の箇所に適量を塗布することが例示でき、かかる処置は連日行われることが好ましい。特に、爪白癬に対しては、通常の製剤では為し得ない量の有効成分であるルリコナゾールを、爪内に移行せしめることが出来る。これにより、長期間抗真菌剤を飲用することなく、外用のみによって爪白癬を治療することが出来る。又、再発や再感染が爪白癬では大きな問題となっているが、本発明の医薬組成物を、症状鎮静後1〜2週間投与することにより、この様な再発や再感染を防ぐことができる。この様な形態で本発明の医薬組成物は予防効果を奏する。
1)室温で3年間の保存条件で結晶を析出しない。
2)ルリコナゾールのSE体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
3)ルリコナゾールのZ体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
4)SE体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して
0.2質量%以下である。
5)Z体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
6)爪上に塗布した直後に爪上に結晶を析出しない。
なお、結晶の析出は、肉眼による観察により測定できる。
ルリコナゾールの異性体の含有量は、例えば、ルリコナゾール及びその光学異性体を分離できる光学活性な固定相を用いて液体クロマトグラフィーによってそれらを光学分割し、得られたチャートの光学異性体のピークの面積により求めることができる。
本発明の医薬は、上記一般式(I)に表される化合物及び/又はその塩を含有する医薬組成物を、本発明の樹脂容器に充填してなる、医薬である。
本発明の樹脂容器において、高濃度の上記一般式(I)に表される化合物及び/又はその塩を安定的に維持できる。したがって、本発明の医薬は、上記特定の組成により、高濃度の上記一般式(I)に表される化合物及び/又はその塩を含有する本発明の医薬組成物を、本発明の樹脂容器に充填してなる、医薬である。
表2に示す処方に従って、本発明の医薬組成物を製造した。即ち、メチルエチルケトンでルリコナゾールを湿潤させ、これにポリエチレングリコールを加えて一様に分散させ、続いて残余の部分を加えて加熱溶解させ、冷却して、本発明の医薬組成物を得た。高速液体クロマトグラフィー(条件:カラム;Inertsil ODS−2 4.6×150mm、カラム温度;40℃、移動相;0.13%1−ウンデカンスルホン酸ナトリウム混液(水/アセトニトリル/酢酸(54:45:1、v/v/v)溶液、流速;1.0mL/min.、検知;295nm)でルリコナゾールの不純物であるSE体およびZ体の生成量を測定した。
以下に示す表1の性状の容器を準備した。即ち、白い顔料として二酸化チタン、黄色の顔料として黄色酸化鉄、青色色素として紺青とフタロシアニンブルー、緑色の色素としてフタロシアニングリーン、クロムグリーンを用い、赤色の色素として、キナクリドンレッド、ベンガラを用い、黒色色素として黒酸化鉄を用い、樹脂全量に対して2質量%になるように顔料を加え、顔料比を変えて適宜調整し、目標の色を調色した。上記顔料を、溶融した樹脂に加え、吹き出し中空成形により、容器を作製した。
容器材料の着色した樹脂面を含む壁面について、紫外可視吸光度スペクトルを測定(V−660:日本分光株式会社製、200〜750nm)した。
これに表2に示す医薬組成物を充填し、下記の2条件で光照射試験を行った。照射試験終了後、医薬組成物を取り出し、高速液体クロマトグラフィーでルリコナゾールの不純物であるSE体およびZ体の生成量を測定するとともに、液の性状を肉眼で観察した。結果を表3に示す。
表3の結果から、サンプル1〜3の灰色、茶色、緑色の容器に充填した本発明の医薬は、容器による遮光下光安定性に優れることが判る。また、全てのサンプルにおいて紫外・可視光の透過度は0%であることから、単に遮光のみではこの様な効果を奏しないことも判る。
白色蛍光灯: 白色蛍光灯 ナショナル FLR−20S・W/M
総照度 : 120万lx/h
設定照度 : 5klx
照射日数 : 10日
近紫外線蛍光灯: 蛍光ケミカルランプ FLR−20S・BL/M−(A)
総近紫外線放射エネルギー: 200W/h/m2
設定紫外線強度: 15W/m2
照射時間 : 13.5時間
表4に示す処方に従って、本発明の医薬組成物1を製造した。即ち、ルリコナゾールの全量を、N−メチル−2−ピロリドンの一部で湿らせ、これにベンジルアルコール全量を加え、更に乳酸を加え、残余のN−メチル−2−ピロリドン及びアジピン酸ジイソプロピルの全量を加え、よく攪拌混合した後にエタノール、ポリビニルピロリドンを加えて、加熱混合し、可溶化し、室温まで攪拌冷却し本発明の医薬組成物1を得た。このものの製造直後のSE体の含有量は、0.27質量%であり、40℃6ヶ月保存後のサンプルのSE
体の含有量は0.27質量%であり、新たなSE体は殆ど生成しなかった。又、Z体については、製造直後が0.03質量%であり、40℃6ヶ月保存後のサンプルのSE体の含有量は0.05質量%であり、保存による生成量は0.02質量%であった。また、室温での9ヶ月の長期保存試験後も結晶析出は観察されなかった。一般的に、40℃での6ヶ月の長期保存試験結果、及び室温での9ヶ月の長期保存試験結果は、室温で3年保存の結果と近似しており、室温で3年保存の結果とみなすことができる。又、使用時に爪上に結晶析出はみえなかった。これよりこの製剤は、以下の1)〜6)の条件を充足していることが判った。
1)室温で3年間の保存条件で結晶を析出しない。
2)ルリコナゾールのSE体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
3)ルリコナゾールのZ体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
4)ルリコナゾールのSE体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
5)ルリコナゾールのZ体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
6)爪上に塗布した直後に爪上に結晶を析出しない。
これより、この製剤においてはN−メチル−2−ピロリドンの爪中への浸透性の良さ、立体安定性向上作用等の特性を保持していることがわかる。
また、以下の参考例1、2にも示すように、通常、8質量%のN−メチル−2−ピロリドンを含有する組成物においては、3質量%のルリコナゾールを安定溶解することも困難であるにもかかわらず、本発明の医薬組成物においては5質量%のルリコナゾールを安定溶解することができることも判る。
表5に示す処方に従って、実施例2と同様に本発明の医薬組成物2〜4を製造した。これらのものは製造直後透明な溶液の性状を呈した。また、室温での9ヶ月の長期保存試験を行い、結晶析出の程度を肉眼で調査した。結果を同じく表5に示す。これより、ベンジルアルコールの好ましい含有量は1〜3質量%であり、より好ましくは1〜2質量%であることが判る。
表6に示す処方に従って、実施例2と同様に本発明の医薬組成物5および6を製造した。これらのものは製造直後透明な溶液の性状を呈した。また、室温での9ヶ月の長期保存試験を行い、結晶析出の程度を肉眼で調査した。結果を同じく表6に示す。アジピン酸ジイソプロピルの好ましい含有量は、11〜16質量%であり、更に好ましくは11〜14質量%であることが判る。
実施例2の医薬組成物1を実施例1のサンプル1の容器に充填し、本発明の医薬とした。このものは高濃度のルリコナゾールを含有しているにもかかわらず、40℃での6ヶ月の保存試験で安定であった。
表7に示す処方に従って、ルリコナゾールの製剤を作成した。即ち、ルリコナゾールに
ベンジルアルコールを加え、溶解した後、エタノール、アジピン酸ジイソプロピル、N−メチル−2−ピロリドン、乳酸の順に加え、加熱可溶化し、しかる後、室温まで冷却し、透明な溶液の性状の製剤を得た。これを5℃で2週間保存したところ、結晶が析出した。この系ではベンジルアルコールの量が本発明範囲よりも多く、ルリコナゾールの配合限度は3質量%未満であることが判る。
表8に示す処方に従って、参考例1と同様に操作して、透明な溶液の性状の医薬組成物を得た。このものは、5℃12週間の保存で結晶析出を観察した。この様に、ベンジルアルコールの量が本発明範囲よりも多い、N−アルキル−2−ピロリドンを含有するルリコナゾール溶液製剤においては、ルリコナゾールの配合限度は3質量%であることが判る。
医薬組成物1と同様に下記の表9に従って、医薬組成物7を調製した。このものを実施例1のサンプル1の容器に充填し、60℃と40℃に保存し、安定性を調べた。結果を表10に示す。これより、医薬組成物7は、実施例1のサンプル1の容器に充填された状態において、優れた安定性を有することが判る。
2・・・弾性体による押し上げ構造
3・・・可動栓
Claims (20)
- 内容物を充填可能な樹脂容器であって、マンセル色座標で、色相(H)が7.0Y〜9.99Y又は7.0YR〜9.99YR、明度(V)が1.0〜6.0、彩度(C)が0.5〜7.5の範囲内である色で着色した樹脂面を有する、樹脂容器。
- 前記樹脂容器は、紫外可視吸光度スペクトルの測定において、透過性を示さないものであることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂容器。
- 前記樹脂容器の材質は、ポリプロピレン又はポリエチレンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の樹脂容器。
- ボトル容器であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の樹脂容器。
- 下記に示す一般式(I)に表される化合物及び/又はその塩を含有する医薬組成物の収納用であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の樹脂容器。
- 下記に示す一般式(I)に表される化合物及び/又はその塩を含有する医薬組成物を、請求項1〜5の何れか1項に記載の樹脂容器に充填してなる、医薬。
- 前記一般式(I)に表される化合物は、ルリコナゾールであることを特徴とする、請求項6に記載の医薬。
- 前記医薬組成物は、ローション剤形であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の
医薬。 - 前記医薬組成物は、1)ルリコナゾール3〜8質量%と、2)ベンジルアルコール1〜3質量%と、3)N−メチル−2−ピロリドン6〜15質量%とを含有し、透明溶液であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の医薬。
- 前記医薬組成物は、更に、二塩基酸のジエステルを10〜16質量%含有することを特徴とする、請求項9に記載の医薬。
- 前記医薬組成物は、更に、有機酸を3〜6質量%含有することを特徴とする、請求項9又は10に記載の医薬。
- 前記有機酸は、乳酸であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬。
- 前記医薬組成物は、以下の物性を有することを特徴とする、請求項9〜12の何れか1項に記載の医薬。
1)室温で3年間の保存条件で結晶を析出しない。
2)ルリコナゾールのSE体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
3)ルリコナゾールのZ体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
4)SE体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
5)Z体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
6)爪上に塗布した直後に爪上に結晶を析出しない。 - 前記医薬組成物は、
N−メチル−2−ピロリドンの一部でルリコナゾールを濡らし、
これにベンジルアルコールと有機酸とを加えて分散させた後、
これに残余の成分を加えて製造されることを特徴とする、請求項11〜13の何れか1項に記載の医薬。 - 1)ルリコナゾール3〜8質量%と、2)ベンジルアルコール1〜3質量%と、3)N−メチル−2−ピロリドン6〜15質量%とを含有する、透明溶液である医薬組成物。
- 更に、二塩基酸のジエステルを10〜16質量%含有することを特徴とする、請求項15に記載の医薬組成物。
- 更に、有機酸を3〜6質量%含有することを特徴とする、請求項15又は16に記載の医薬組成物。
- 前記有機酸は、乳酸であることを特徴とする、請求項17に記載の医薬組成物。
- 以下の物性を有することを特徴とする、請求項15〜18の何れか1項に記載の医薬組成物。
1)室温で3年間の保存条件で結晶を析出しない。
2)ルリコナゾールのSE体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以下である。
3)ルリコナゾールのZ体の含有量は、ルリコナゾールの配合量に対して0.5質量%以
下である。
4)SE体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
5)Z体の生成量は、40℃で6ヶ月の保存条件で、ルリコナゾールの配合量に対して0.2質量%以下である。
6)爪上に塗布した直後に爪上に結晶を析出しない。 - N−メチル−2−ピロリドンの一部でルリコナゾールを濡らし、
これにベンジルアルコールと有機酸とを加えて分散させた後、
これに残余の成分を加えて製造されることを特徴とする、請求項17〜19の何れか1項に記載の医薬組成物。
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