以下、本発明の一実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、通信制御装置2080を介して受信した上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)を光走査装置2010に通知する。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、マゼンタ画像情報、シアン画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。なお、光走査装置の構成については後述する。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2〜図4に示されるように、2つの光源ユニット(2100A、2100B)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、ポリゴンミラー2104、2つの第1走査レンズ(2105A、2105B)、2つの第2走査レンズ(2107A、2107B)、6つの折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、防塵ガラス2109、及び不図示の走査制御装置などを備えている。光走査装置2010は、光学ハウジング(不図示)に収容されている。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、主走査方向に直交する副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源ユニット2100Aは、図3(A)に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、2つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b)、回路基板2170A、及びこれらを一体的に保持する保持部材2150Aを有している。
光源ユニット2100Bは、図3(B)に示されるように、2つの光源(2200c、2200d)、2つのカップリングレンズ(2201c、2201d)、2つのシリンドリカルレンズ(2204c、2204d)、回路基板2170B、及びこれらを一体的に保持する保持部材2150Bを有している。
光源2200aとカップリングレンズ2201aと開口板2202aとシリンドリカルレンズ2204aと第1走査レンズ2105Aと第2走査レンズ2107Aと折り返しミラー2106aは、感光体ドラム2030aに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200bとカップリングレンズ2201bと開口板2202bとシリンドリカルレンズ2204bと第1走査レンズ2105Aと第2走査レンズ2107Aと折り返しミラー2106bと折り返しミラー2108bは、感光体ドラム2030bに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200cとカップリングレンズ2201cと開口板2202cとシリンドリカルレンズ2204cと第1走査レンズ2105Bと第2走査レンズ2107Bと折り返しミラー2106cと折り返しミラー2108cは、感光体ドラム2030cに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200dとカップリングレンズ2201dと開口板2202dとシリンドリカルレンズ2204dと第1走査レンズ2105Bと第2走査レンズ2107Bと折り返しミラー2106dは、感光体ドラム2030dに潜像を形成するための光学部材である。
各光源は、一例として、発光部としての波長帯域が659nmのLD(端面発光レーザ)を2つ有するLDアレイである。各光源は、2つの発光部が内蔵された光源本体と、該光源本体から突出するリード線を有している(図3(A)及び図3(B)参照)。各発光部の発散角は、該発光部を長手方向が主走査対応方向になるように配置した場合(図5(A)参照)、一例として、主走査対応方向に関して19°(半値全角)であり、副走査対応方向に関して9°(半値全角)である。
ところで、感光体ドラムへの書込み用の光源として、2つの発光部を有するLDアレイを用いる場合は、各発光部の長手方向が主走査対応方向となる状態(図5(A)参照)では、感光体ドラム表面上で主走査方向に2つのビーム(光束)が並んでしまうため、副走査対応方向に関して所望のビームピッチになるようLDアレイを射出方向の周りに回転させておく必要がある。
そこで、本実施形態では、例えば書込密度を600dpiとする場合に、感光体ドラム表面上での副走査方向のビームピッチ(以下、副走査ビームピッチと称する)が42.3μmになるようにLDアレイを射出方向の周りに回転させることとしている(図5(C)参照)。
より詳細には、光源として、2つの発光部ch1、ch2の中心間隔が30μmのLDアレイを採用し、該LDアレイを、2つの発光部ch1、ch2が主走査対応方向に並んでいる状態(図5(A)参照)から、2つの発光部の中心の中間点を中心として角度α(例えば63.4°)だけ回転させること(図5(B)参照)としている。
結果として、各光源からは、主走査対応方向及び副走査対応方向に離間する2つの光束が射出される。
ここで、各保持部材は、図3(A)及び図3(B)に示されるように、側面視略H字状の部材から成り、2つの光源を保持する光源保持部を一端部に有し、2つのカップリングレンズを保持する第1レンズ保持部を中間部に有し、2つのシリンドリカルレンズを保持する第2レンズ保持部を他端部に有している。但し、図3(A)及び図3(B)において、第2レンズ保持部は、第1レンズ保持部に対して紙面奥側に位置している。
各保持部材は、一例として、上記光学ハウジングに着脱可能に取り付けられている。
2つの光源2200a、2200bは、図3(A)に示されるように、保持部材2150Aの光源保持部にZ軸方向に離間して形成された2つの貫通孔に光源本体がそれぞれ圧入され、回路基板2170Aにリード線がそれぞれ接続されている。すなわち、2つの光源2200a、2200bは、保持部材2150Aに接合されているとともに、同一の回路基板2170Aに実装されている。なお、図示は省略されているが、回路基板2170Aは、保持部材2150Aに固定部材を介して固定されている。
2つの光源2200c、2200dは、図3(B)に示されるように、保持部材2150Bの光源保持部にZ軸方向に離間して形成された2つの貫通孔に光源本体がそれぞれ圧入され、回路基板2170Bにリード線がそれぞれ接続されている。すなわち、2つの光源2200c、2200dは、保持部材2150Bに接合されているとともに、同一の回路基板2170Bに実装されている。なお、図示は省略されているが、回路基板2170Bは、保持部材2150Bに固定部材を介して固定されている。
各カップリングレンズは、一例として、屈折率が1.515で焦点距離が22mmのガラス製レンズであり、対応する光源から射出された2つの光束の光路上に配置され、該2つの光束を略平行光束とする。
2つのカップリングレンズ2201a、2201bは、それぞれ光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向に関して位置調整が行われた状態で、互いにZ軸方向に離間するようにZ軸方向(副走査対応方向)の一端部が保持部材2150Aの第1レンズ保持部に紫外線硬化樹脂を介して接合されている(図3(A)参照)。
2つのカップリングレンズ2201c、2201dは、それぞれ光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向に関して位置調整が行われた状態で、互いにZ軸方向に離間するようにZ軸方向(副走査対応方向)の一端部が保持部材2150Bの第1レンズ保持部に紫外線硬化樹脂を介して接合されている(図3(B)参照)。
各開口板は、一例として、主走査対応方向の長さが2.84mm、副走査対応方向(Z軸方向)の長さが0.90mmの矩形状又は楕円形状の開口(アパーチャ)を有し、該開口中心が対応するカップリングレンズの焦点位置近傍に位置するように配置されている。この場合、各開口板に入射した光束の一部は開口を通過し、残部は遮光される。すなわち、各開口板は、対応するカップリングレンズを介した2つの光束を整形する。なお、ここでは、各開口板は、上記光学ハウジングに支持されているが、光源、回路基板、カップリングレンズ及びシリンドリカルレンズを保持する保持部材に保持されていても良い。すなわち、開口板は、光源ユニットの一部を構成していても良い。
各シリンドリカルレンズは、一例として、屈折率が1.515で焦点距離が87.8mmの副走査対応方向にのみパワーを有するガラス製のレンズであり、対応する開口板の開口を通過した2つの光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向(副走査対応方向)に関して結像させる。
2つのシリンドリカルレンズ2204a、2204bは、それぞれ光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向に関して位置調整が行われた状態で、互いにZ軸方向に離間するように主走査対向方向の一端部の副走査対応方向の全域が保持部材2150Aの第2レンズ保持部の側壁に紫外線硬化樹脂を介して接合されている(図3(A)及び図6(B)参照)。
2つのシリンドリカルレンズ2204c、2204dは、それぞれ光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向に関して位置調整が行われた状態で、互いにZ軸方向に離間するように主走査対応方向の一端部の副走査対向方向の全域が保持部材2150Bの第2レンズ保持部の側壁に紫外線硬化樹脂を介して接合されている(図3(B)及び図6(B)参照)。
なお、後に詳述するように、各シリンドリカルレンズは、副走査ビームピッチが所望の値になるように光軸方向及び副走査対応方向の位置が調整された状態で対応する保持部材に接合されている。
各光源とポリゴンミラー2104との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。
ポリゴンミラー2104は、一例として、底面が半径13mmの円に内接する正六角柱形状の部材から成る。ポリゴンミラー2104は、6つの偏向反射面(側面)を有しており、不図示の回転機構により、Z軸に平行な軸回りに一定の角速度で回転する。
ここで、シリンドリカルレンズ2204aからの2つの光束と、シリンドリカルレンズ2204bからの2つの光束とは、XY平面(Z軸に直交する平面)に対して角度δ(例えば2.5°)だけ傾斜した状態で副走査対応方向に徐々に近づきながらポリゴンミラー2104の同一の偏向反射面の所定領域内に入射(斜入射)され(図3(A)参照)、偏向される。また、シリンドリカルレンズ2204cからの2つの光束と、シリンドリカルレンズ2204dからの2つの光束とは、XY平面に対して角度δ(例えば2.5°)だけ傾斜した状態で徐々に近づきながらポリゴンミラー2104の同一の偏向反射面の所定領域内に入射(斜入射)され(図3(B)参照)、偏向される。
すなわち、各光源ユニットの2つの光源からの2対の光束は、ポリゴンミラー2104の同一の偏向反射面の所定領域内に主走査対向方向の一側から見て互いに異なる入射角で入射される。
この場合、各偏向反射面のZ軸方向の寸法を短くすることができ、ひいてはポリゴンミラー2104の小型化(薄型化)を図ることができる。
シリンドリカルレンズ2204aから射出されポリゴンミラー2104で偏向された2つの光束は、第1走査レンズ2105A、第2走査レンズ2107A、折り返しミラー2106a及び防塵ガラス2109を介して、感光体ドラム2030aに照射され、主走査対応方向及び副走査対向方向に離間する2つのビームスポットが形成される(図3(A)、図4及び図5(C)参照)。これら2つのビームスポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。なお、防塵ガラス2109は、一例として、屈折率が1.515で厚さが1.9mmの板ガラスから成り、上記光学ハウジングの+Z側の壁に嵌め込まれている。
また、シリンドリカルレンズ2204bから射出されポリゴンミラー2104で偏向された2つの光束は、第1走査レンズ2105A、第2走査レンズ2107A、2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)及び防塵ガラス2109を介して、感光体ドラム2030bに照射され、主走査対応方向及び副走査対向方向に離間する2つのビームスポットが形成される(図3(A)、図4及び図5(C)参照)。これら2つのビームスポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。
また、シリンドリカルレンズ2204cから射出されポリゴンミラー2104で偏向された2つの光束は、第1走査レンズ2105B、第2走査レンズ2107B、2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)及び防塵ガラス2109を介して、感光体ドラム2030cに照射され、主走査対応方向及び副走査対向方向に離間する2つのビームスポットが形成される(図3(B)、図4及び図5(C)参照)。これら2つのビームスポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。
また、シリンドリカルレンズ2204dから射出されポリゴンミラー2104で偏向された2つの光束は、第1走査レンズ2105B、第2走査レンズ2107B、折り返しミラー2106d及び防塵ガラス2109を介して、感光体ドラム2030dに照射され、主走査対応方向及び副走査対向方向に離間する2つのビームスポットが形成される(図3(B)、図4及び図5(C)参照)。これら2つのビームスポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。なお、各走査レンズについては、後に詳述する。
各感光体ドラムにおける2つのビームスポットの移動方向が、「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が、「副走査方向」である。
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。
図7には、Mステーションにおける主な光学素子の位置関係が示されている。図7から分かるように、光源2200c、カップリングレンズ2201c、開口板2202c、シリンドリカルレンズ2204c及びポリゴンミラー2104は、X軸と角度β(例えば70度)の角度を成す方向に順次配列されている。そして、図7における符号d1〜d9の具体的な値(単位:mm)の一例が次の表1に示されている。なお、他のステーションでも同様な位置関係となっている。
ここで、各第1走査レンズは、一例として、光軸上における肉厚(中心肉厚)が5.2mm、屈折率が1.530の樹脂モールドタイプの走査レンズである。各第2走査レンズは、中心肉厚が3.0mm、屈折率が1.530の樹脂モールドタイプの走査レンズである。各走査レンズの光学面(入射面及び射出面)の形状は、次の(1)〜(3)式で示される関数で表される。
但し、Xは、X軸方向(光軸方向)の座標である。Yは、光軸位置を原点とするY軸方向(主走査対応方向)の座標である。Zは、光軸位置を原点とするZ軸方向(副走査対向方向)の座標である。Cmは、主走査対応方向に関する光軸上の曲率であり、曲率半径R:nYの逆数である。Cs(Y)は、副走査対応方向に関する光軸上の曲率である。R:nZは、副走査対応方向に関する光軸上の曲率半径である。an、bn、cn、dnは、副走査対応方向の非球面係数である。An、Bn、Cn、En、Fnは、主走査対応方向の非球面係数である。
また、上記(1)〜(3)式の各係数の値は、次の表2及び表3に示される通りである。なお、表2は、各第1走査レンズの入射面(Sur.1)及び射出面(Sur.2)に関する各係数を示している。表3は、各第2走査レンズの入射面(Sur.1)及び射出面(Sur.2)に関する各係数を示している。
各第2走査レンズは、一例として、仮にシリンドリカルレンズからの光束がポリゴンミラー2104の偏向反射面にXY平面に平行に入射させる場合に対して、レンズの副走査対応方向の頂点が光軸に近づく方向(副走査対応方向)に所定距離(例えば3.38mm)だけシフトした位置に位置するように設計されている。
また、各走査光学系の副走査対応方向の横倍率は、一例として−0.85倍とされている。そして、各偏向器前光学及び対応する走査光学系を含む全光学系の主走査対応方向の横倍率は、一例として対応する感光体ドラム表面上でのビームスポットの主走査対応方向の長さが65μmとなるように設定されている。また、全光学系の副走査対応方向の横倍率は、一例として対応する感光体ドラム表面上でのビームスポットの副走査対応方向の長さが75μmとなるように設定されている。
また、書込領域は、一例として、図7に示される点Oを中心として主走査方向(Y軸方向)へ±110mmの範囲となっており、この範囲を走査するときのポリゴンミラー2104の回転角は17.1°で、画角は34.2°となっている。なお、点Oは、図7においてポリゴンミラー2104の回転中心を通りX軸に平行な直線と感光体ドラム2030cの表面が交わる点である。
以下に、光走査装置2010の組立方法の一例を、図8のフローチャートを参照して説明する。光走査装置2010は、例えば、作業者によって装置製造時に組み立てられる。なお、光走査装置2010の組立に先立って、4つの感光体ドラム2030a〜2030dが所定の位置関係で設置されているものとする。
先ず、最初のステップS1では、2つの光源2200a、2200bを、それぞれの2つの発光部が少なくとも副走査対応方向に所定距離離間するように保持部材2150Aの光源保持部に形成された対応する2つの貫通孔に圧入することで、保持部材2150Aに接合する。そして、2つの光源2200a、2200bのリード線を回路基板2170Aに例えば半田付けによって接続することで、2つの光源2200a、2200bを回路基板2170Aに実装する。
同様に、2つの光源2200c、2200dを、それぞれの2つの発光部が少なくとも副走査対応方向に所定距離離間するように保持部材2150Bの光源保持部に形成された対応する2つの貫通孔に圧入することで、保持部材2150Bに接合する。そして、2つの光源2200c、2200dのリード線を回路基板2170Bに例えば半田付けによって接続することで、2つの光源2200c、2200dを回路基板2170Bに実装する。
次のステップS3では、各光源を駆動する。なお、ここでは、各光源を同時に駆動する必要はなく、後のステップにおける光学素子の調整等のために必要に応じて適宜駆動することとすれば良い。
次のステップS5では、各カップリングレンズを、対応する光源からの2つの光束が略平行光束となるように対応する保持部材に接合する。
具体的には、カップリングレンズ2201aの−Z側の端部と、保持部材2150Aの第1レンズ保持部の+Z側の面とを近接させ、両者の間に紫外性硬化樹脂を注入し、カップリングレンズ2201aの光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向の位置調整を行う。そして、その位置調整された状態で紫外性硬化樹脂に紫外線を照射することで、カップリングレンズ2201aを保持部材2150Aに接着して固定する。
また、カップリングレンズ2201bの+Z側の端部と、保持部材2150Aの第2レンズ保持部の−Z側の面とを近接させ、両者の間に紫外性硬化樹脂を注入し、カップリングレンズ2201aの光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向の位置調整を行う。そして、その位置調整された状態で紫外性硬化樹脂に紫外線を照射することで、カップリングレンズ2201bを保持部材2150Aに接着して固定する。
また、カップリングレンズ2201cの+Z側の端部と、保持部材2150Bの第1レンズ保持部の−Z側の面とを近接させ、両者の間に紫外性硬化樹脂を注入し、カップリングレンズ2201cの光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向の位置調整を行う。そして、その位置調整された状態で紫外性硬化樹脂に紫外線を照射することで、カップリングレンズ2201cを保持部材2150Bに接着して固定する。
また、カップリングレンズ2201dの−Z側の端部と、保持部材2150Bの第2レンズ保持部の+Z側の面とを近接させ、両者の間に紫外性硬化樹脂を注入し、カップリングレンズ2201dの光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向の位置調整を行う。そして、その位置調整された状態で紫外性硬化樹脂に紫外線を照射することで、カップリングレンズ2201dを保持部材2150Bに接着して固定する。
次のステップS7では、保持部材2150A、2つの開口板2202a、2202b、ポリゴンミラー2104、第1及び第2走査レンズ2105A、2107A、折り返しミラー2106a、2106b、2108bを、2つの感光体ドラム2030a、2030bが対応する2つの光源2200a、2200bからの2つの光束によって走査される位置関係となるように組み付ける。
また、保持部材2150B、2つの開口板2202c、2202d、第1及び第2走査レンズ2105B、2107B、折り返しミラー2106c、2106d、2108cを、2つの感光体ドラム2030c、2030dが対応する2つの光源2200c、2200dからの2つの光束によって走査される位置関係となるように組み付ける。
次のステップS9では、各シリンドリカルレンズを、対応する開口板とポリゴンミラー2104との間の光路上に位置させ、対応する感光体ドラム上での副走査ビームピッチが所望の値となるように該シリンドリカルレンズの位置調整を行う。
具体的には、シリンドリカルレンズ2204aの主走査対応方向の一端部(一側面)と、保持部材2150Aの第2レンズ保持部の側壁の+Z側部分とを近接させ、両者の間に紫外性硬化樹脂を注入し、シリンドリカルレンズ2204aの光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向の位置調整を行う。
また、シリンドリカルレンズ2204bの主走査対応方向の一端部(一側面)と、保持部材2150Aの第2レンズ保持部の側壁の−Z側部分とを近接させ、両者の間に紫外性硬化樹脂を注入し、シリンドリカルレンズ2204bの光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向の位置調整を行う。
また、シリンドリカルレンズ2204cの主走査対応方向の一端部(一側面)と、保持部材2150Bの第2レンズ保持部の側壁の−Z側部分とを近接させ、両者の間に紫外性硬化樹脂を注入し、シリンドリカルレンズ2204cの光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向の位置調整を行う。
また、シリンドリカルレンズ2204dの主走査対応方向の一端部(一側面)と、保持部材2150Bの第2レンズ保持部の側壁の+Z側部分とを近接させ、両者の間に紫外性硬化樹脂を注入し、シリンドリカルレンズ2204dの光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向の位置調整を行う。
ここで、上記副走査ビームピッチの調整について、図9(A)及び図9(B)を用いて説明する。
図9(A)には、光走査装置2010の一のステーションに対応する、光源、偏向器前光学系、ポリゴンミラー、走査光学系及び感光体ドラムを主走査対応方向の一側から見た模式図が示されている。なお、図9(A)では、各折り返しミラーの図示は省略されている。図9(A)に示されるように、各光源の2つの発光部ch1、ch2の副走査対応方向の間隔をPoとする。
2つの発光部ch1、ch2からそれぞれ射出された光束LB1、LB2は、カップリングレンズ、開口、シリンドリカルレンズを介してポリゴンミラー2104に導かれ、該ポリゴンミラー2104で偏向され、第1及び第2走査レンズ、1つ又は2つの折り返しミラーを介して感光体ドラム表面に導かれる。この結果、感光体ドラム表面が2つのビームスポットBS1、BS2によって間隔Piで主走査方向に走査される。
この場合、シリンドリカルレンズを副走査対応方向に移動させると、図9(B)に示されるように、シリンドリカルレンズで光束LB1、LB2の進行方向が変わり、感光体ドラム上での間隔Piも変化する。なお、図9(B)では、移動後のシリンドリカルレンズ、該シリンドリカルレンズからの射出光束LB1’、LB2’がそれぞれ破線で示されている。
また、シリンドリカルレンズを光軸方向に移動させると、光学系全体の倍率が変わるため、間隔Piも変化する。
結果として、シリンドリカルレンズを副走査対応方向及び光軸方向に移動させることで、間隔Piを調整できる。
図10には、シリンドリカルレンズを光軸方向及び副走査対応方向にそれぞれ移動させたときの副走査ビームピッチの変動をプロットしたグラフが示されている。図10では、一例として、シリンドリカルレンズを光軸方向及び副走査対応方向に、それぞれ0.05mm移動させたときの副走査ビームピッチの変動量が示されている。
図10から、シリンドリカルレンズを光軸方向に移動させると、副走査ビームピッチは、全像高で均一な値を保ちつつ変動(増減)することが分かる。一方、シリンドリカルレンズを副走査対応方向に移動させると、副走査ビームピッチは、像高間で異なりつつ変動(増減)することが分かる。
そこで、本実施形態では、シリンドリカルレンズの光軸方向の位置を調整することで全像高での副走査ビームピッチを一律に調整するとともに、シリンドリカルレンズの副走査対応方向の位置を調整することで副走査ビームピッチの像高間での調整を行うこととしている。この結果、全像高での副走査ビームピッチを精度良く調整することができる。
ところで、シリンドリカルレンズを光軸方向に移動させると、副走査ビームウエスト位置が変化し、結果として、感光体ドラム表面上での副走査方向のビームスポット径が変化する。そこで、シリンドリカルレンズを光軸方向に移動させることで、副走査ビームウエスト位置を補正することができる。
しかしながら、LDの取り付け誤差の方向、発光部間隔のばらつきの方向などによっては、副走査ビームピッチを補正するためにシリンドリカルレンズを移動させる方向と副走査ビームウエスト位置を補正するためにシリンドリカルレンズを移動させる方向とが逆になるおそれがある。
シリンドリカルレンズの光軸方向の移動量に対する感光体ドラム表面付近での副走査ビームウエスト位置の移動量(ずれ量)は、走査光学系の副走査方向の横倍率の絶対値が大きいほど大きくなる。
そこで、本実施形態では、前述したように走査光学系の副走査対応方向の横倍率の絶対値を1以下(例えば−0.85)に設定することとしている。この結果、副走査ビームピッチを調整することによる副走査ビームウエスト位置の感光体ドラム表面からのずれ量を低減することができる。
ところで、シリンドリカルレンズを光軸周りに回転させることで副走査ビームピッチを調整する技術が開示されている(例えば特開2006−251688号公報参照)が、シリンドリカルレンズを光軸周りに回転させると波面収差が発生するため、シリンドリカルレンズを透過する光束の波面が乱れ、例えば副走査ビームウエスト位置がずれるなど副走査ビームピッチ以外の光学特性が劣化してしまう。
本実施形態のようにシリンドリカルレンズを光軸方向及び副走査対応方向に調整することとすれば、シリンドリカルレンズを光軸周りに回転させる場合に比べて波面収差の発生を抑えることができる。
次のステップS11では、各シリンドリカルレンズが上述のように位置調整された状態で該シリンドリカルレンズと対応する保持部材との間の紫外性硬化樹脂に紫外線を照射することで、該シリンドリカルレンズを該保持部材に接合する。
以上のように、各シリンドリカルレンズを、光走査装置2010を構成する他の光学部材を組付けた後に位置決めすることで、各折返しミラーの取り付け誤差、各走査レンズの曲率誤差などによる副走査ビームウエスト位置のずれ、ビームスポットの副走査方向の位置のずれ、副走査ビームピッチのばらつきなどを補正することができる。
なお、仮にシリンドリカルレンズの副走査対応方向の一端部を保持部材に接着して固定する場合(図6(A)参照)は、保持部材が副走査対応方向の位置調整の基準となるが、本実施形態のようにシリンドリカルレンズの主走査対応方向の一端部を保持部材に接着して固定する場合(図6(B)参照)は、副走査対応方向の位置調整の基準がないため、シリンドリカルレンズを、光束が垂直に入射するように保持部材に接合することが望ましい。
以上説明した本実施形態の光走査装置2010は、複数のLDを有する光源と、該光源を保持する保持部材と、光源からの複数の光束を副走査対応方向に集光させるシリンドリカルレンズと、該シリンドリカルレンズを介した複数の光束を偏向するポリゴンミラー2104と、該ポリゴンミラー2104で偏向された複数の光束を感光体ドラム表面に導く走査光学系とを備えている。そして、シリンドリカルレンズは、主走査対応方向の一端部が保持部材に紫外線硬化樹脂を介して接合されている。
この場合、装置組立時に、シリンドリカルレンズ以外の光学部材を組み付けた後、シリンドリカルレンズの光軸方向及び副走査対応方向の位置を調整した状態で該シリンドリカルレンズの主走査対向方向の一端部を保持部材に接合するだけで、副走査ビームピッチを調整することができる。すなわち、構成の煩雑化及び高コスト化を招くことなく、副走査ビームピッチを調整することができる。
また、仮にシリンドリカルレンズの副走査対応方向の一端部が保持部材に接着剤を介して接合される場合(図6(A)参照)に比べて、シリンドリカルレンズの保持部材に対する副走査対向方向の位置調整の自由度が高い(図6(B)参照)。この結果、副走査ビームピッチの調整を容易に行うことができる。
一方、図6(A)に示される比較例では、シリンドリカルレンズの保持部材に対する副走査対向方向の位置調整の自由度が低く、シリンドリカルレンズの副走査対応方向の位置調整を保持部材の副走査対応方向の位置調整及び接着剤の層(以下、接着層と称する)の厚さ調整により行う必要があるため、副走査ビームピッチの調整が容易でない。
また、本実施形態では、シリンドリカルレンズの副走査対応方向の位置調整量によって接着層の厚さを変える必要がない。この結果、シリンドリカルレンズの保持部材への接着を容易に行うことができる。
一方、図6(A)に示される比較例では、副走査対向方向の位置調整量に合わせて接着層の厚さを変える必要がある。この場合、シリンドリカルレンズの保持部材への接着が容易でない。また、例えば温度変化などに起因する接着層の膨張又は収縮によってシリンドリカルレンズの姿勢が変化し、結果として、偏向器前光学系及び走査光学系を含む全光学系の光学特性の劣化を招くおそれがある。
また、各シリンドリカルレンズの主走査対応方向の一端部の副走査対応方向の全域が保持部材に接合されているため、例えば温度変化に起因する接着層の膨張又は収縮、光学ハウジングの変形等によってシリンドリカルレンズが光軸周りに回転することが抑制され、ひいては主走査方向及び副走査方向のビームスポット径の変動(ビームウエスト位置の変動)が防止される。
また、2の光源が副走査対応方向に離間した状態で保持部材に接合されるとともに回路基板に実装され、かつ該2つの光源に対応して2つのカップリングレンズ及び2つのシリンドリカルレンズが副走査対応方向に離間した状態で該保持部材に接合されることで光源ユニットが構成されるため、各光源、該光源に対応するカップリングレンズ及びシリンドリカルレンズを所望の位置関係に維持することができる。
そして、保持部材、2つの光源、回路基板、2つのカップリングレンズ及び2つのシリンドリカルレンズを光源ユニットとして上記光学ハウジングに対して一体的に着脱可能なので、各光源、回路基板、各カップリングレンズ及び各シリンドリカルレンズのメンテナンス、交換等を容易に行うことができる。
カラープリンタ2000は、4つの感光体ドラムと、画像情報に基づいて変調された複数の光束によって4つの感光体ドラムそれぞれの表面を主走査方向に走査する光走査装置2010とを備えているため、高品質な画像を安定して形成することができる。
また、各光源が保持部材に形成された貫通孔に圧入されることで該保持部材に接合されているため、仮に各光源を他の部材を介して保持部材に保持させる場合に比べて、部品点数及び組立工数の削減を図ることができる。
ところで、仮に各光源を対応するカップリングレンズの光軸周りに回転させて副走査ビームピッチを調整する場合には、該光源の回転調整に伴いリード線の位置が変わるため、その回転調整量によっては、2つの光源を同一の回路基板に取り付けることが困難となるおそれがある。そこで、2つの光源の回転調整量を十分に確保した状態で同一の回路基板に取り付けるために該回路基板における各光源のリード線が挿入される孔(以下、リード線挿入孔と称する)を大きくすることが考えられるが、この場合、半田付けの際に、リード線挿入孔に半田が落ちて、各光源の2つのLDがショートするおそれがある。
本実施形態では、シリンドリカルレンズの位置調整によって副走査ビームピッチを調整するため、回路基板のリード線挿入孔を大きくすることなく該回路基板に2つの光源を取り付けることができ、ひいては各光源の2つのLDがショートすることが抑制される。
また、本実施形態の光走査装置の組立方法は、シリンドリカルレンズをその光軸方向及び副走査対応方向に移動させて感光体ドラム表面上における副走査ビームピッチを調整する工程と、該調整する工程で調整された副走査ビームピッチが維持されるようにシリンドリカルレンズの主走査方向に対応する方向の一端部を保持部材に接合する工程とを含んでいる。
この場合、副走査ビームピッチを全像高で精度良く調整でき、その調整された状態を長期に亘って維持することができる。この結果、感光体ドラム表面を安定して精度良く走査することができ、ひいては高品質な画像を安定して形成することができる。
また、上記調整する工程では、保持部材と、シリンドリカルレンズの主走査対応方向の一端部との間に紫外線硬化樹脂を注入した状態で副走査ビームピッチが調整され、上記接合する工程では、該紫外線硬化樹脂に紫外線が照射されることでシリンドリカルレンズの主走査対向方向の一端部が保持部材に接着される。
この場合、副走査ビームピッチが調整された状態でシリンドリカルレンズを保持部材に容易かつ迅速に接着することができ、ひいては装置の組立効率の向上を図ることができる。
なお、装置組立時に、各シリンドリカルレンズの光軸方向及び副走査対応方向の位置を調整することに併せて、対応するカップリングレンズの光軸方向の位置を調整することとしても良い。すなわち、カップリングレンズの保持部材への接合をシリンドリカルレンズの保持部材への接合と同時期に行っても良い。
この場合、シリンドリカルレンズの位置調整によって副走査ビームピッチを調整した後、カップリングレンズの位置調整によって副走査ビームウエスト位置の調整を行うことができる。この結果、シリンドリカルレンズの位置調整によって副走査ビームウエスト位置がずれたとしてもカップリングレンズの位置調整によってそのずれを補正することができる。
なお、上記実施形態では、シリンドリカルレンズの主走査対応方向の一端部が保持部材に接合されているが、これに代えて又は加えて、該シリンドリカルレンズの主走査対向方向の他端部を保持部材に接合することとしても良い。但し、これに合わせて、保持部材の形状を変更する必要がある。例えば、シリンドリカルレンズの主走査対応方向の一端部及び他端部を保持部材に接合する場合は、該保持部材の形状を、該シリンドリカルレンズを主走査対応方向に関して挟み込む形状とすれば良い。シリンドリカルレンズの主走査対応方向の一端部及び他端部を保持部材に接合すると、シリンドリカルレンズの光軸方向、光軸周り方向、副走査対応方向及び主走査対応方向の位置をより安定して維持することができる。
また、上記実施形態では、2つの保持部材それぞれに2つの光源、1つの回路基板、2つのカップリングレンズ及び2つのシリンドリカルレンズが保持されているが、これに限らず、例えば、図11に示される変形例のように、1つの保持部材3150に4つの光源2200、1つの回路基板3170、4つのカップリングレンズ2201及び4つのシリンドリカルレンズ2204を保持させることとしても良い。
図11に示される変形例の光源ユニット3100では、保持部材3150は、第1レンズ保持部がZ軸方向に離間する3つの部分、すなわち+Z側部分、中間部分(上記実施形態の第1レンズ保持部)及び−Z側部分を含む。第1レンズ保持部の+Z側部分及び−Z側部分は、それぞれ光源保持部の+Z側及び−Z側の端部に連続している。また、開口板2202は、一例として、4つの光源に対して2つ、すなわち2つの光源に対応して1つ設けられており、各開口板2202には、2つの開口(アパーチャ)が形成されている。なお、ここでは、各開口板2202は、上記光学ハウジングに支持されているが、光源、回路基板、カップリングレンズ及びシリンドリカルレンズを保持する保持部材に保持されていても良い。すなわち、開口板2202は、光源ユニットの一部を構成していても良い。
この光源保持部には、Z軸方向に離間する4つの貫通孔が形成され、該4つの貫通孔には、4つの感光体ドラムに対応する4つの光源2200の光源本体が上記実施形態と同様に射出方向周りに回転調整された状態で個別に圧入されている。なお、上記4つの光源の対応する4つの貫通孔への挿入方向は、4つの光源の射出方向が概ねポリゴンミラー2104の偏向反射面上の所定領域に向くように設定されている。また、各光源2200のリード線は、回路基板3170に例えば半田付けによって接続されている。
すなわち、4つの光源2200からの4対の光束は、対応する4つのカップリングレンズ2201、4つの開口、4つのシリンドリカルレンズ2204を介して副走査対応方向に互いに近づきながらポリゴンミラー2104の同一の偏向反射面の所定領域に入射する。すなわち、4つの光源2200からの4対の光束は、ポリゴンミラー2104の同一の偏向反射面の所定領域内に主走査対向方向の一側から見て互いに異なる入射角で入射される。ここでは、ポリゴンミラー2104の同一の偏向反射面への主走査対向方向の一側から見た入射角は、最も+Z側及び−Z側の光源2200からの光束では、それぞれ+5°、−5°であり、Z軸方向の中間に位置する2つの光源2200からの光束では、それぞれ+2.5°、−2.5°となっている。
各カップリングレンズ2201は、対応する光源2200からの光束の光路上に位置し、該光束を略平行光束とするように、第1レンズ保持部に接合されている。
より詳細には、最も+Z側のカップリングレンズ2201は、+Z側の端部が第1レンズ保持部の+Z側部分の−Z側の面に紫外線硬化樹脂を介して接合されている。2番目に+Z側のカップリングレンズ2201は、−Z側の端部が第1レンズ保持部の中間部分の+Z側の面に紫外線硬化樹脂を介して接合されている。最も−Z側のカップリングレンズ2201は、−Z側の端部が第1レンズ保持部の−Z側部分の+Z側の面に紫外線硬化樹脂を介して接合されている。2番目に−Z側のカップリングレンズ2201は、+Z側の端部が第1レンズ保持部の中間部分の−Z側の面に紫外線硬化樹脂を介して接合されている。
4つのシリンドリカルレンズ2204は、対応する4つの開口からの光束の光路上に位置するようにZ軸方向に離間した状態で第2レンズ保持部に接合されている。より詳細には、各シリンドリカルレンズ2204は、上記実施形態と同様に、光軸方向、主走査対応方向及び副走査対応方向の位置が調整された状態で主走査対応方向の一端部が紫外線硬化樹脂を介して保持部材3150の第2レンズ保持部の側壁に接合されている。
なお、図11では、4つの光源2200からの4つの光束がポリゴンミラー2104の同一の偏向反射面に入射されるため、該4つの光束が対応する4つの感光体ドラムに導かれるように4つの走査光学系の構成及びレイアウトを適宜変更する必要がある。具体的には、例えば、4つの走査光学系で第1及び第2走査レンズを共用できるため、第1及び第2走査レンズは、1つずつ設ければ良い。
光源ユニット3100を含む光走査装置の組立方法は、上記実施形態の光走査装置の組立方法と概ね同じである。
以上説明した変形例の光源ユニット3100を含む光走査装置では、4つの偏向器前光学系(但し、2つの開口板2202を除く)を保持部材3150に一体的に保持させるとともに、4つの光源2200からの光束をポリゴンミラー2104の同一の偏向反射面に入射させることとしている。この結果、部品点数を削減でき、ひいては低コスト化を図ることができる。
そして、この光走査装置を画像形成装置としてのカラープリンタに搭載することで、低コスト化しつつ画像品質の向上を図ることができる。
また、上記実施形態及び変形例では、各レンズと保持部材とを接合するための接着剤として紫外線硬化樹脂が用いられているが、これに限られない。
また、上記実施形態及び変形例では、各走査光学系の副走査対応方向の横倍率が−0.85倍とされているが、これに限られない。但し、前述した理由から、各走査光学系の副走査対応方向の横倍率の絶対値は1以下とされることが好ましい。
また、上記実施形態及び変形例における保持部材の形状及び数は、一例であって、これに限られない。
また、上記実施形態及び変形例では、光走査装置は、装置製造時に作業者によって組み立てられているが、これに限らず、例えば、光源、光学部材の交換、修理等の装置メンテナンス時にサービスマンによって組み立てられても良い。この場合、副走査ビームピッチを再調整するために、図8におけるステップS3、ステップS7の少なくとも一部、ステップS9、ステップS11を行うことが好ましく、図8におけるステップS1、S5は、必要に応じて行えば良い。ここで、「光走査装置の組み立て」には、光走査装置の少なくとも1つの構成部品を組み付けることも含まれる。
また、上記実施形態及び変形例では、4色のトナーが用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、5色あるいは6色のトナーが用いられる場合であっても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、光走査装置は、それぞれが2つの発光部を含み、4つの感光体ドラムに対応する4つの光源を有しているが、これに限らず、複数の発光部を含み、1つの感光体ドラムに対応する1つの光源を有していても良い。この場合、光走査装置は、画像形成装置としてのモノクロプリンターに適用できる。
また、上記実施形態及び変形例では、光源ユニットは、それぞれが複数の発光部を含む2つ(又は4つ)の光源を有しているが、該光源の数は、これに限られない。
また、上記実施形態及び変形例では、光源は、2つの発光部を有しているが、これに限らず、3つ以上の発光部を有していても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、光源として、複数のLD(端面発光レーザ)を有するLDアレイが用いられているが、これに限らず、例えば、複数のVCSEL(面発光レーザ)を有するVCSELアレイを用いても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、画像形成装置の一例としてプリンタが採用されているが、これに限らず、例えば複写機、複写機と用紙処理装置との複合機等を採用しても良い。