JP2013222139A - 液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示素子において、スペーサの損傷が生じ難く、低温での発泡が比較的生じ難く、かつ2枚の基板間の間隔を高精度に制御できる液晶表示素子用スペーサ及び該液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子を提供する。
【解決手段】本発明に係る液晶表示素子用スペーサ1では、破壊荷重が4.9mN以上、39mN以下であり、かつ粒子径分布でのCV値が2.5%以上、4.5%以下である。本発明に係る液晶表示素子11は、液晶セルを構成する一対の基板12と、一対の基板12間に封入された液晶15と、一対の基板12間に配置された液晶表示素子用スペーサ1とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示素子において、2枚の基板の間隔(ギャップ)を均一かつ一定に保つために、ギャップ制御材として用いられる液晶表示素子用スペーサに関する。また、本発明は、上記液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子に関する。
液晶表示素子では、2枚のガラス基板間に液晶が配置されている。該液晶表示素子では、2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)を均一かつ一定に保つために、ギャップ制御材としてスペーサが用いられている。
上記液晶表示素子に用いられるスペーサの一例として、下記の特許文献1には、ジビニルベンゼン及び多官能アクリルを原料として懸濁重合法により形成されたスペーサが開示されている。特許文献1には、10%圧縮変形時の圧縮弾性率(10%K値)が20℃で250〜700kg/mmであることが好ましいこと、並びに圧縮変形後の回復率が30〜80%であることが好ましいことが記載されている。
下記の特許文献2には、ジビニルベンゼン及びスチレンを原料としてシード重合法により形成されたスペーサが挙げられている。このスペーサの10%圧縮変形時の圧縮弾性率(10%K値)は20℃で250〜700kgf/mmであり、圧縮変形後の回復率は30〜80%である。
特開平8−239406号公報 特公平7−95165号公報
特許文献2に記載のようなシード重合法により形成されたスペーサのCV値は一般的に小さい。従って、このようなスペーサを用いて液晶表示素子を作製すると、パネルギャップの均一性が高くなる。このため、シード重合法により形成されたスペーサは、高精細なパネルを作製するのに適している。しかし、特許文献2に記載の従来の方法で作製したスペーサを用いて液晶表示素子を作製した場合に、衝撃などによってスペーサに大きな荷重がかかると、スペーサが損傷したり、割れたりすることがある。この結果、液晶表示素子における2枚の基板間の間隔にむらが生じたり、液晶表示素子の表示画質が低下したりすることがある。
特に、近年、タッチパネル用途の拡大などによって、押し荷重に対して割れにくいスペーサを設計する要求が高まっている。一般的にシード重合法により形成されたスペーサでは、その製法上の特性から破壊荷重が低くなり、押し荷重に対して割れが発生しやすくなる。一方で、特許文献1に記載のように、懸濁重合法により形成された粒子では、破壊荷重を高く設計することが可能であり、上記のような割れ特性に対する要求を満足することができる。しかしながら、懸濁重合法により形成されたスペーサのCV値は一般的に大きい。従って、懸濁重合法により形成されたスペーサを用いて液晶表示素子を作製すると、パネルギャップの均一性が低くなる。このため、懸濁重合法で形成されたスペーサは、高精細のパネルの作製には不向きである。
また、懸濁重合により形成されたスペーサを分級して、CV値を小さくすることは可能である。しかしながら、スペーサの収率が非常に悪くなり、生産性が低下するという問題がある。
さらに、従来のスペーサを用いた液晶表示素子では、低温に晒されたときに、スペーサの周囲に発泡が生じることがある。発泡が生じると、液晶表示素子の表示画質が低下する。
本発明の目的は、液晶表示素子において、スペーサの損傷が生じ難く、低温での発泡が比較的生じ難く、かつ2枚の基板間の間隔精度を高く維持できる液晶表示素子用スペーサ、並びに該液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子を提供することである。
本発明の広い局面によれば、破壊荷重が4.9mN以上、39mN以下であり、かつ粒子径分布でのCV値が2.5%以上、4.5%以下である、液晶表示素子用スペーサが提供される。
本発明に係る液晶表示素子用スペーサのある特定の局面では、該液晶表示素子用スペーサの平均粒子径が5μm以上、10μm以下である。
本発明に係る液晶表示素子用スペーサの他の特定の局面では、該液晶表示素子用スペーサの10%K値が、7000N/mm以下である。
本発明に係る液晶表示素子は、液晶セルを構成する一対の基板と、該一対の基板間に封入された液晶と、該一対の基板間に配置された上述した液晶表示素子用スペーサとを備える。
本発明に係る液晶表示素子用スペーサでは、破壊荷重が4.9mN以上、39mN以下であり、かつ粒子径分布でのCV値が2.5%以上、4.5%以下であるので、液晶表示素子に衝撃などが付与された際にスペーサの損傷が生じにくい。さらに、本発明に係る液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子において、低温での発泡を比較的生じ難くすることができ、かつ2枚の基板間の間隔精度を高く維持できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶表示素子用スペーサを示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る液晶表示素子用スペーサでは、破壊荷重が4.9mN以上、39mN以下であり、かつ粒子径分布でのCV値が2.5%以上、4.5%以下である。
上記破壊荷重が4.9mN以上であると、スペーサの損傷を顕著に抑制できる。また、上記破壊荷重が39mN以下であっても、スペーサのCV値を比較的高く2.5%以上にすることで、液晶表示素子に衝撃などが付与された際にスペーサの損傷が生じにくくなる。
スペーサの損傷をより一層抑制する観点からは、上記破壊荷重は、好ましくは10mN以上である。
上記破壊荷重を測定するために、例えば、微小圧縮試験機(島津製作所社製「PCT−200」)等が用いられる。
上記破壊荷重は、原料として架橋性のモノマーを用いることによって調整することが可能である。
本発明に係る液晶表示素子用スペーサでは、上記CV値が2.5%以上であり、粒子径のばらつきが比較的大きい。このような粒子径のばらつきが大きいスペーサを用いることで、破壊荷重が39mN以下であっても、スペーサの損傷を充分に抑制することができる。さらに、上記CV値が2.5%以上であると、液晶表示素子における低温での発泡を比較的抑制できる。また、本発明に係る液晶表示素子用スペーサでは、上記CV値が4.5%以下であるため、液晶表示素子において、2枚の基板の間隔(ギャップ)精度を高く維持でき、2枚の基板の間隔が過度に不均一になるのを抑制することができる。
本発明に係る液晶表示素子用スペーサでは、上記CV値が2.5%以上であればよく、3.0%以上であることが好ましく、3.5%以上であることがより好ましい。上記CV値が大きいほど、スペーサの損傷がより一層抑えられる傾向がある。液晶表示素子における2枚の基板の間隔をより一層高精度に制御する観点からは、上記CV値は好ましくは4%以下、より好ましくは3.5%以下である。
上記CV値は、下記式(1)で表される。
粒子径のCV値(%)=粒子径の標準偏差/平均粒子径×100 …式(1)
上記液晶表示素子用スペーサの平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは5μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。上記スペーサの平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、基板間の間隔が適度である液晶表示素子が得られる。また、上記平均粒子径が上記下限以上であると、スペーサが凝集しにくくなる。
また、上記液晶表示素子用スペーサの平均粒子径は5μm以上、10μm以下であることが好ましい。この場合には、表示品位がより一層良好になる。
上記粒子径分布を測定するために、例えば、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製「マルチサイザー」)等が用いられる。上記粒子径分布から、上記平均粒子径を算出可能である。
上記液晶表示素子用スペーサの10%K値は、好ましくは、2000N/mm以上、より好ましくは3000N/mm以上、好ましくは8000N/mm以下、より好ましくは7000N/mm以下である。上記10%K値が上記下限以上であると、ギャップの制御が容易となる。上記10%K値が上記上限以下であると、液晶表示素子において低温発泡が発生しにくくなる。
上記10%K値は、上記液晶表示素子用スペーサを10%圧縮変形したときの圧縮弾性率である。上記10%K値は、微小圧縮試験機(例えば、島津製作所社製「PCT−200」)を用い、導電性粒子を直径50μmのダイヤモンド製円柱の平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記式により求めることができる。
K値(N/mm)=(3/√2)・F・S−3/2・R−1/2
F:スペーサの10%圧縮変形における荷重値(N)
S:スペーサの10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:スペーサの半径(mm)
本発明に係る液晶表示素子用スペーサを得るために、異なる粒径を有するスペーサ群を用意して、複数のスペーサ群を混合してもよい。本発明に係る液晶表示素子用スペーサは、スペーサの合成時などに所定の粒子径分布を有するように作製されてもよい。また、所定の粒子径分布を有するように、スペーサを選別してもよい。スペーサを選別するために篩等を用いてもよい。
図1に、本発明の一実施形態に係る液晶表示素子用スペーサを断面図で示す。
図1に示す液晶表示素子用スペーサ1は、基材粒子2と、基材粒子2の表面2a上に配置された表面処理層3とを備える。このような液晶表示素子用スペーサ1の使用により、スペーサの移動を防止することができる。さらに、液晶表示素子用スペーサ1の使用により、液晶とスペーサとの界面、及び、複数のスペーサ間において液晶の異常配向が生じ難くなり、表示品質に優れた液晶表示素子が得られる。表面処理層3は樹脂層であることが好ましい。
上記樹脂層は、例えば、粒子表面へのグラフト反応やコーティングにより形成されていることが好ましい。
上記基材粒子を構成する材料は特に限定されない。基材粒子を構成する材料は、無機材料であってもよく、有機材料であってもよい。
上記有機材料は、例えば、ジビニルベンゼン樹脂、ジビニルベンゼン−アクリル酸エステル樹脂、ジビニルベンゼン−スチレン樹脂、ジビニルベンゼン−ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得られる樹脂、及びジアクリルフタレート樹脂等が挙げられる。
上記無機材料は、例えば、ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、ソーダ石灰ガラス、アルミナ及びアルミナシリケートガラス等が挙げられる。
上記基材粒子は、上記有機材料のみにより形成された基材粒子であってもよく、上記無機材料のみにより形成された基材粒子であってもよく、上記有機材料と無機材料との双方により形成された複合構造を有する基材粒子であってもよい。なかでも、基材粒子は、有機材料により形成されていることが好ましい。この場合には、液晶表示素子用スペーサが、液晶表示素子の基板上に形成された配向膜を傷つけない程度の適度な硬度を有し、更に熱膨張又は熱収縮による厚みの変化に追随しやすくなる。
上記液晶表示素子用スペーサの製造方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、シード重合法及び分散重合法等の各種重合法が挙げられる。
上記懸濁重合法では、粒子内部の組成が均一で、破壊荷重の高いスペーサが得られる一方で、CV値が大きくなる傾向がある。上記懸濁重合法により得られたスペーサの分級操作を行うことにより、所望とする粒子径、粒子径分布を有するスペーサを得てもよい。ただしCV値がより小さいスペーサを得るためには、収率が著しく低くなるため、上記懸濁重合法は、生産性の観点からは不利である。
シード重合法及び分散重合法では、重合段階で、単分散のスペーサが得られるため、特定の粒子径のスペーサを大量に得るのに適している。シード重合法及び分散重合法を用いた場合には、CV値が適度になるために、ギャップ精度が良好になる一方で、シード重合法及び分散重合法は、割れや低温発泡に対しては不利になることがある。このため、異なる粒子径のスペーサを混合したり、種粒子を調整したりするなどして、シード重合法及び分散重合法によりスペーサを得る場合には、粒子径分布を広く制御してもよい。
上記懸濁重合法では、所望とする粒子径となるように、単量体及び重合開始剤を含む単量体組成物を貧溶媒中に分散させて重合させる。上記懸濁重合法では、分散媒として、通常、水に分散安定剤を加えた液が使用される。
上記分散安定剤としては、媒体中に可溶の高分子が挙げられる。上記分散安定剤としては、より具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド及びポリエチレンオキシド等が挙げられる。また、上記分散安定剤として、ノニオン性又はイオン性の界面活性剤も適宜使用される。重合条件としては、重合開始剤や単量体の種類により異なるが、通常、重合温度は50〜120℃であり、重合時間は3〜24時間である。
上記単量体は、ラジカル反応性の単量体であればよい。上記単量体としては、スチレン類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類及び共役ジエン類等が挙げられる。上記スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体が挙げられる。上記ビニルエステル類としては、塩化ビニル、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる。上記共役ジエン類としては、ブタジエン及びイソプレン等が挙げられる。上記単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
破壊荷重を制御するためには、多官能性の単量体を使用することが望ましい。多官能性の単量体としては、例えばジビニルベンゼン、エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート及びテトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。上記多官能性の単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記シード重合法とは、ソープフリー重合や乳化重合により合成された単分散の種粒子に、単量体を吸収させることにより、所望とする粒子径まで種粒子を膨らませる重合方法である。種粒子に用いられる有機単量体としては特に限定されず、例えばスチレン、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸エステル等の単官能の単量体が使用可能である。単分散の種粒子に吸収される単量体としては、特に限定されないが、懸濁重合で示した単量体などが挙げられる。なおシード重合時の相分離を抑制するために、単分散の種粒子と親和性を有する単量体を用いることが好ましい。
上記種粒子の粒子径分布は、シード重合後の粒子径分布にもある程度反映される。従って、上記種粒子の粒子径分布でのCV値は好ましくは5%以下、より好ましくは4.5%以下である。
上記シード重合法では、必要に応じて分散安定剤が用いられる。分散安定剤としては、媒体中に可溶な高分子が挙げられる。該高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド及びポリエチレンオキシド等が挙げられる。また、上記高分子として、ノニオン性又はイオン性の界面活性剤も適宜使用される。
上記シード重合に使用される媒体としては通常、水に分散安定剤を加えた液が使用される。
上記分散重合法とは、単量体は溶解するが、生成したポリマーは溶解しない貧溶媒系で重合を行い、この系に高分子系分散安定剤を添加し、粒子形状の生成ポリマーを析出させる方法である。
上記重合の際には、重合開始剤が用いられる。重合開始剤としては、特に限定されないが、有機過酸化物及びアゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート及びジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。なかでも、アゾ化合物が好適に用いられる。重合に用いられる単量体100重量部に対して、上記重合開始剤の添加量は好ましくは0.1重量部以上、好ましくは10重量部以下である。
本発明に係る液晶表示素子用スペーサは弾力性を有することが好ましい。この場合には、衝撃などによるスペーサの損傷がより一層抑えられ、かつ基板間に配置されたスペーサの移動をより一層抑制できる。
本発明に係る液晶表示素子用スペーサは、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された樹脂層とを備えることが好ましい。この場合には、スペーサに固着性、異常配向異常防止機能を付与することができ、液晶表示素子の表示品位をより一層良好にすることが可能である。上記表面処理層(樹脂層など)の厚さは、上記基材粒子の粒子径、樹脂層を構成する材料の種類及び組成等を考慮して適宜決定される。上記表面処理層の厚さは好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、好ましくは300nm以下、より好ましくは150nm以下である。上記表面処理層の厚さが上記下限以上であると、液晶表示素子の表示品質がより一層良好になる。上記表面処理層の厚さが上記上限以下であると、複数の液晶表示素子用スペーサ同士の合着が起こり難くなるため、液晶表示素子の表示品位がより良好になる。
図2に、本発明の一実施形態に係る液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子を断面図で示す。
図2に示す液晶表示素子11は、一対の透明ガラス基板12を有する。透明ガラス基板12は、対向する面に絶縁膜(図示せず)を有する。絶縁膜の材料としては、例えば、SiO等が挙げられる。透明ガラス基板12における絶縁膜上に透明電極13が形成されている。透明電極13の材料としては、ITO等が挙げられる。透明電極13は、例えば、フォトリソグラフィーによりパターニングして形成可能である。透明ガラス基板12の表面上の透明電極13上に、配向膜14が形成されている。配向膜14の材料としては、ポリイミド等が挙げられている。
一対の透明ガラス基板12間には、液晶15が封入されている。一対の透明ガラス基板12間には、複数の液晶表示素子用スペーサ1が配置されている。複数の液晶表示素子用スペーサ1により、一対の透明ガラス基板12の間隔が規制されている。一対の透明ガラス基板12の縁部間には、シール材16が配置されている。シール材16によって、液晶15の外部への流出が防がれている。
上記液晶表示素子において1mmあたりの液晶表示素子用スペーサの配置密度は好ましくは80個/mm以上、より好ましくは100個/mm以上、好ましくは500個/mm以下、より好ましくは300個/mm以下、更に好ましくは200個/mm以下ある。上記配置密度が上記下限以上であると、液晶表示素子の作製時のギャップ精度が出しやすく、セルギャップがより一層均一になる。上記配置密度が上記上限以下であると、低温時の発泡現象が発生しにくくなる。また、衝撃等によるスペーサの損傷をより一層抑制する観点からは、上記液晶表示素子用スペーサの配置密度は、100個/mm以上であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例にのみ限定されない。
(1)種粒子Aの製造例
ポリビニルピロリドン1.2重量部、エアロゾルOT(和光純薬工業社製)0.2重量部及びアゾビスイソブチロニトリル2.86重量部をエタノール83.8重量部に溶解させた溶液を攪拌しながら、窒素気流下でスチレン20重量部を添加し、70℃に昇温させ24時間重合反応を行い、種粒子Aを得た。得られた種粒子Aの粒子径は1.8μm、CV値は3.2%であった。
(2)種粒子Bの製造例
エアロゾルOTの量を、0.2重量部から0.57重量部に変更したこと以外は、種粒子Aの製造例と同様の方法で、種粒子Bを得た。得られた種粒子Bの粒子径は1.79μm、CV値は2.4%であった。
(3)種粒子Cの製造例
反応溶媒であるエタノール83.8重量部を、エタノール80重量部及びメタノール4重量部に変更したこと、スチレンの添加量を、20重量部から30重量部に変更したこと以外は、種粒子Aの製造例と同様の方法で、種粒子Cを得た。得られた種粒子Cの粒子径は1.83μm、CV値は2.0%であった。
(実施例1)
上記種粒子B5重量部にイオン交換水200重量部及びラウリル硫酸ナトリウム0.13重量部を加え、均一に分散させて、種粒子分散液を得た。
また、DVB−960(ジビニルベンゼン96重量%品)185重量部及び過酸化ベンゾイル0.6重量部を混合し、イオン交換水2500重量部を加えて、モノマーの水分散液を作製した。この水分散液をホモジナイザーで分散した後、超音波処理により、平均粒子径0.2μmに微分散乳化して、水性エマルジョンを得た。
得られた水性エマルジョンを、得られた種粒子分散液に加え、200rpmで24時間攪拌し、種粒子に吸収させた。次いで、ポリビニルアルコールの3重量%水溶液100重量部を加えた後、200rpmで攪拌しながら、窒素雰囲気下、90℃で8時間重合を行った。得られた粒子を遠心分離により固液分離し、イオン交換水及びメタノールにて3回洗浄した後、乾燥して、液晶表示素子用スペーサを得た。得られたスペーサの収率は95%、平均粒子径は6.01μm、CV値は3.5%であった。
(実施例2〜5)
実施例2では、種粒子Aを種粒子Bに変更したこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示素子用スペーサを得た。
実施例3では、DVB−960(ジビニルベンゼン96重量%品)185重量部を、DVB−570(ジビニルベンゼン57重量%品)130重量部及びスチレン55重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示素子用スペーサを得た。
実施例4では、DVB−960(ジビニルベンゼン96重量%品)の添加量を、185重量部から295重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示素子用スペーサを得た。
実施例5では、DVB−960(ジビニルベンゼン96重量%品)185重量部を、DVB−960(ジビニルベンゼン96重量%品)148重量部及びアクリロニトリル37重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示素子用スペーサを得た。
(比較例1)
種粒子Aを種粒子Cに変更したこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示素子用スペーサを得た。
(比較例2)
3重量%ポリビニルアルコール水溶液800重量部に、DVB−960(ジビニルベンゼン96重量%品)100重量部と、過酸化ベンゾイル2重量部とを加え、ホモジナイザーにて撹拌して粒度調整を行った。その後、撹拌しながら窒素気流下にて90℃まで昇温し8時間反応を行い、粒子を得た。得られた粒子を熱イオン交換水及びメタノールにて洗浄した後、分級操作を行うことにより液晶表示素子用スペーサを得た。得られたスペーサの収率は10%、平均粒子径は6.04μm、CV値は5.2%であった。
(比較例3)
DVB−960(ジビニルベンゼン96重量%品)185重量部を、DVB−570(ジビニルベンゼン57重量%品)37重量部及びスチレン148重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、液晶表示素子用スペーサを得た。
(評価)
(1)粒子径分布の測定
得られた液晶表示素子用スペーサにおいて、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製「マルチサイザー」)を用いて、粒子径分布を測定した。粒子径分布において評価された結果を下記の表1に示した。具体的には、平均粒子径とCV値を評価した。
(2)破壊荷重
微小圧縮試験機(島津製作所社製「PCT−200」)を用いて、22℃の条件で、液晶表示素子用スペーサの破壊荷重を測定した。
(3)10%K値
微小圧縮試験機(島津製作所社製「PCT−200」)を用いて、上述した条件で、22℃で、液晶表示素子用スペーサの10%K値を測定した。
(4)液晶表示素子の作製
一対の透明ガラス板(縦50mm、横50mm、厚さ0.4mm)の一面に、CVD法によりSiO膜を蒸着した後、SiO膜の表面全体にスパッタリングによりITO膜を形成した。得られたITO膜付きガラス基板に、スピンコート法によりポリイミド配向膜組成物(日産化学社製「SE3510」)を塗工し、280℃で90分間焼成することによりポリイミド配向膜を形成した。配向膜にラビング処理を施した後、一方の基板の配向膜側に、液晶表示素子用スペーサを乾式散布機(日清エンジニアリング社製、DISPA−μR)を用いて1mm当たり約150個となるように散布した。他方の基板の周辺に周辺シール剤を形成した後、スペーサを散布した基板とラビング方向が90°になるように対向配置させ、両者を貼り合わせた後、160℃で90分間処理してシール剤を硬化させて、空セル(液晶の入ってない画面)を得た。得られた空セルに、カイラル剤入りのTN型液晶(DIC社製)を注入した後、注入口を封止剤で塞いだ後、120℃で30分間熱処理してTN型液晶表示素子を得た。
(5)スペーサの損傷の評価
得られた液晶表示素子に1インチのステンレス球(重さ約70g)を高さ5cmと10cmの高さから落とすことにより、スペーサの損傷状態を評価する落球試験を行った。ステンレス球が衝突したパネル中央部を光学顕微鏡にて観察することにより、スペーサの損傷状態を評価した。スペーサの損傷を下記の基準で判定した。
[スペーサの損傷の判定基準]
○○:高さ10cmの落球テストでスペーサの損傷が確認されない
○:高さ10cmの落球テストで1部にスペーサの損傷が確認される
高さ5cmの落球テストではスペーサの損傷が確認されない
△:高さ10cmの落球テストで大半のスペーサに損傷が確認される
高さ5cmの落球テストで一部のスペーサに損傷が確認される
×:高さ5cmの落球テストで大半のスペーサに損傷が確認される
(6)低温発泡の発生の評価
得られた液晶表示素子を−10℃、−20℃の条件に、5時間放置した。放置後の液晶表示素子を用いて、光学顕微鏡にて観察することにより、低温発泡の発生を評価した。低温発泡の発生を下記の基準で判定した。
[低温発泡の発生の判定基準]
○○:−20℃、5時間後に発泡現象が観察されない
○:−20℃、5時間後に一部発泡現象が観察される
−10℃、5時間後に発泡現象が観察されない
△:−20℃、5時間後に発泡現象が多数観察される
−10℃、5時間後に発泡現象が観察されない
△△:−20℃、5時間後に発泡現象が多数観察される
−10℃、5時間後に一部発泡現象が観察される
×:−20℃、5時間後に発泡現象が多数観察される
−10℃、5時間後に発泡現象が多数観察される
(7)セルギャップむらの評価
得られた液晶表示素子において、セルギャップ測定装置を用いて、面内の90箇所のセルギャップ測定し、平均ギャップ、標準偏差、CV値を算出した。セルギャップむらを下記の基準で判定した。
[セルギャップむらの判定基準]
○○:CV値が0.1以下
○:CV値が0.1より大きく、0.2以下
△:CV値が0.2より大きく、0.3以下
×:CV値が0.3より大きい
(8)収率の評価
スペーサの作製時に仕込んだ原料重量に対して、回収されたスペーサの重量の比率を収率として評価した。収率を下記の基準で判定した。
[収率の判定基準]
○:収率が80%以上
△:収率が50%以上、80%未満
×:収率が20%以上、50%未満
××:収率が20%未満
Figure 2013222139
1…液晶表示素子用スペーサ
2…基材粒子
2a…表面
3…表面処理層
11…液晶表示素子
12…透明ガラス基板
13…透明電極
14…配向膜
15…液晶
16…シール材

Claims (4)

  1. 破壊荷重が4.9mN以上、39mN以下であり、かつ粒子径分布でのCV値が2.5%以上、4.5%以下である、液晶表示素子用スペーサ。
  2. 平均粒子径が5μm以上、10μm以下である、請求項1に記載の液晶表示素子用スペーサ。
  3. 10%K値が、7000N/mm以下である、請求項1又は2に記載の液晶表示素子用スペーサ。
  4. 液晶セルを構成する一対の基板と、
    前記一対の基板間に封入された液晶と、
    前記一対の基板間に配置された請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示素子用スペーサとを備える、液晶表示素子。
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