JP2002049041A - 液晶表示パネルの製造方法及び液晶表示パネル - Google Patents

液晶表示パネルの製造方法及び液晶表示パネル

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JP2002049041A
JP2002049041A JP2000234152A JP2000234152A JP2002049041A JP 2002049041 A JP2002049041 A JP 2002049041A JP 2000234152 A JP2000234152 A JP 2000234152A JP 2000234152 A JP2000234152 A JP 2000234152A JP 2002049041 A JP2002049041 A JP 2002049041A
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JP2000234152A
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Toshio Sakurai
俊男 櫻井
Kosaku Yamada
功作 山田
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Hayakawa Rubber Co Ltd
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Hayakawa Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温発泡や高温発泡が起こらない液晶表示パ
ネルを、大幅に向上した開発及び生産効率で製造する。 【解決手段】 液晶表示セルを備えており、前記液晶表
示セルが、一対の電極基板2a,2bと各電極基板2
a,2bの間の球状スペーサ3とを有している、液晶表
示パネル1を得るにあたり、 【数1】100≦n≦A・y/[(XR1−D+Δt)
・S]〔式中、D:常温(20℃)での各電極基板2
a,2bの間隔、即ち液晶層の厚み[cm]、n:球状
スペーサ3の散布密度[個/cm]、A:大気圧(9
8.0665kPa)、Δt:液晶層の常温から測定低
温までの収縮厚み[cm]、XR1:測定低温での代表
粒子径[cm]、S:測定低温での有効スペーサ率、
y:応力変位値[cm/N]〕に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示セルの一
対の電極基板の間隔、すなわち、液晶層の厚みを均一に
保つことができ、低温発泡や高温発泡、経時発泡を防止
できる液晶表示パネルの製造方法、及びこれの効率よい
開発方法と、品質の安定した液晶表示パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から液晶表示パネルには、一対のガ
ラスの透明電極基板の間隔を一定にするために、該基板
の間に直径が均一なガラス繊維片、シリカや合成樹脂の
微粒子をスペーサとして用いてきた。
【0003】これらのうち、ガラス繊維片やシリカ微粒
子のような無機スペーサは、パネル外周にシーラー接着
剤に混合して用いられ、その内側の基板面内に、同じ直
径のスペーサを散布して用いる。
【0004】図5は、無機スペーサを用いた従来の液晶
表示パネルの部分断面図である。図5に示すように、液
晶表示パネル11は、一対のガラス基板12a,12b
とそれらの間のスペーサ13とを備えており、ガラス基
板12a,12bの間には、液晶14が充填され、その
周辺部にはシーラー18が設けられ、シーラー内にはシ
ーラー用スペーサ19が混合されている。
【0005】また、ガラス基板12a,12bの内側に
は、透明導電膜15a,15b及び配向膜16a,16
bがコーティングされており、ガラス基板12a,12
bの外側には、偏光板17a,17bが設けられる。
【0006】かかる無機スペーサを用いた液晶表示パネ
ルでは、図5に示すように、シーラー部分にはないが、
上下基板内側の両面には、透明導電膜と配向膜とがコー
ティングされているため、シーラー接着剤を熱硬化する
際、ホットプレスすると、この圧力によって、これらの
層にスペーサがめり込んでしまい、基板間隔、すなわち
液晶層の厚みがスペーサ直径より小さくなる。
【0007】ところが、パネルを低温環境下に置くと、
無機スペーサは、硬度が非常に高いため、スペーサが圧
縮変形せず、液晶の収縮に追随し、基板間隔が縮まらな
いため、液晶セル内部に真空部分が発生し、シーラー内
を拡散透過した空気が侵入し、常温に戻った後でも、気
泡が残るという、所謂、低温発泡現象が発生する欠点が
あった。
【0008】また、合成樹脂スペーサとしては、例え
ば、特公平7−95165号公報明細書の各実施例のよ
うに、あえて設計の基板間隔より大きい平均粒子径の球
状スペーサを用いて、液晶表示パネルを製造することが
知られている。
【0009】図6は、かかる合成樹脂スペーサを用いる
従来の液晶表示パネルの部分断面図である。かかる液晶
表示パネル21は、図5に示す無機スペーサを用いた液
晶表示パネルと同様に、ガラス基板22a,22b、そ
れらの間のスペーサ23及び液晶24、ガラス基板22
a,22bの内側の透明導電膜25a,25b及び配向
膜26a,26b、及びガラス基板22a,22bの外
側の偏光板27a,27b、シーラー28、シーラー内
スペーサ29が設けられている。
【0010】図6に示すように、合成樹脂のスペーサ2
3は、無機スペーサより柔らかく、変形し易いため、ス
ペーサが変形して液晶の収縮に追随し、無機スペーサを
用いた場合の低温発泡の問題は大部分解消した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者は、
かかる合成樹脂スペーサを用いた液晶表示パネルに、低
温発泡や高温発泡、場合によっては、経時発泡が発生す
ることを見出した。
【0012】本発明者の研究によれば、特公平7−95
165号公報明細書記載の液晶表示パネルでは、低温発
泡の危険性があり、パネルの好ましい製造条件を提示し
ているとは言えないことが分かった。
【0013】本発明は、低温発泡や高温発泡、経時発泡
が起こらない液晶表示パネルを、大幅に向上した効率で
開発し、製造することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、液晶表示セル
を備えており、前記液晶表示セルが、一対の電極基板と
前記各電極基板の間の球状スペーサとを有している、液
晶表示パネルを得るにあたり、前記球状スペーサの散布
密度nを、
【数4】 100≦n≦A・y/[(XR1−D+Δt)・S] 〔式中、D:常温(20℃)での各電極基板の間隔、即
ち、液晶層の厚み[cm]、n:球状スペーサの散布密
度[個/cm]、A:大気圧(98.0665kP
a)、Δt:液晶層の常温から測定低温までの収縮厚み
[cm]、XR1:測定低温での代表粒子径[cm]、
:測定低温での有効スペーサ率、y:応力変位値
[cm/N]〕に制御することを特徴とする、液晶表示
パネルの製造方法に係るものである。
【0015】本発明は、高品質の液晶表示パネルを効率
よく開発し、製造するため、種々の液晶パネルの試作を
重ね、種々の手段を検討した。
【0016】検討中、本発明者は、合成樹脂製のスペー
サから製造した液晶表示パネルにも、低温発泡の現象が
起こることを見出した。
【0017】かかる知見の下、本発明者は、かかる低温
発泡の発生要因について、詳細に研究した。
【0018】その結果、本発明者は、従来の樹脂スペー
サを用いる場合、この樹脂スペーサがシリカに比べ柔ら
かいため、液晶の収縮に追随し問題は減少するが、散布
密度が過大になると、低温発泡が発生することを突き止
めた。
【0019】本発明者の研究によれば、樹脂スペーサの
場合、設計基板間隔より大きい平均粒子径のスペーサを
用い、且つ樹脂スペーサが過密の場合、樹脂の圧縮変形
が液晶の収縮に追随せず、低温発泡の現象が発生すると
考えられた。
【0020】また、本発明者は、かかる樹脂スペーサを
用いた液晶表示パネルが、液晶注入封止後のアニール工
程や高温放置試験で、高温発泡の現象を起こすことを見
出した。
【0021】本発明者がかかる高温発泡の原因を研究し
たところ、発泡は、高温放置試験等により、液晶が膨脹
し、加えて、従来法の如く、平均粒子径の大きなスペー
サの反発力によって、パネル外周のシーラー部に剥離応
力が加わり、シーラーの一部に剥離又は亀裂を生じ、こ
こから、常温に戻した際に空気が浸入すると考えられ
た。
【0022】更に、液晶の膨張中に、スペーサが液晶に
よって膨潤されて体積が大きくなり、常温に戻しても基
板間隔が大きくなったままとなって起るとも考えられ
た。
【0023】かかる高温発泡は、液晶自体が高温放置
後、戻した常温で元の容積まで収縮するのに対し、樹脂
スペーサが元の大きさ又はそれ以上の大きさを維持する
ため、真空部分又は強い減圧部分が発生し、外部から空
気がシーラーを通して拡散侵入して、所謂、高温発泡が
発生する等の不良がでるのである。
【0024】本発明者は、かかる低温発泡や高温発泡の
問題を解決するために鋭意検討した結果、一対の電極基
板と、かかる電極基板の間隔を制御する球状スペーサと
を有する液晶表示セルにおいて、球状スペーサの散布密
度を前述の[数4]に制御することで、液晶表示パネル
の低温発泡や高温発泡が防止できることを見出し、本発
明を完成させた。
【0025】本発明は、温度変化によって起こる液晶の
体積変化と、球状スペーサの変形との関係を解明し、球
状スペーサの散布密度を制御することによって、液晶表
示パネルの低温発泡や高温発泡を防ぐことに基づくもの
である。
【0026】本発明では、前記[数4]の散布密度を用
いることで、即ち、粒子径分布のある球状スペーサ粒子
群のうち、設計基板間隔よりも大きい粒子径の粒子のみ
が有効に圧縮変形された状態でパネルが組み立てられる
のである。
【0027】しかも、本発明では、球状スペーサの散布
密度が多過ぎると、低温発泡の可能性が生起するので、
散布密度を前述の[数4]の範囲に制限する。
【0028】本発明によれば、球状スペーサを有効に用
い、所定分布域中の設計基板間隔よりも大きい粒子径の
球状スペーサによって電極基板を支えるので、従来の平
均粒子径が大いスペーサを用いる場合に発生していた低
温発泡や高温発泡が起こらず、更に液晶表示パネルの貯
蔵中や使用中に起こる経時的発泡の問題も解決できる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面を参
照して説明する。図1は、本発明にかかる一例の球状ス
ペーサの常温での粒子径分布と設計基板間隔との関係を
示すグラフである。図2は、本発明にかかわる球状スペ
ーサ1個の荷重と圧縮変位との関係を示すグラフであ
る。図3は、本発明にかかわる球状スペーサの粒子径分
布と低温における液晶収縮後の液晶厚みと常温における
基板間隔との関係を示したグラフである。
【0030】本発明にかかる球状スペーサは、図1に示
すような正規分布を有する微粒子群として処理する。液
晶表示パネル用スペーサは、膨大な数からなる均一性の
高い微粒子群が使用されるが、必ず統計的な粒子径分布
があり、この分布は正規分布を示す。
【0031】本発明においては、平均粒子径が基板間隔
とほぼ同じか、又は基板間隔より小さめの球状スペーサ
を用いるのが好ましい。
【0032】具体的に、平均粒子径が基盤間隔とほぼ同
じとは、基盤間隔と平均粒子径との差が、粒子径分布の
標準偏差の五分の一(0.2σ)から十分の一(0.1
σ)ずれていても差し支えなく、即ち、この範囲であれ
ば十分にパネルの画質がよく、低温発泡も出ないことが
分かった。
【0033】一つのスペーサ粒子の圧縮変位特性は、図
2に示すように、変位が大きくなる程、荷重が多次曲線
的に増加する。すなわち、各スペーサが基板に挟まれて
圧縮変位する際、圧縮初期であれば、弱い応力で大きく
変位するので、液晶注入後封口圧を調整すれば、基板間
隔を容易に制御できる上に、極寒環境下での液晶の収縮
による基板間隔の縮小にも容易にスペーサが変形して追
随し、真空部分が発生することもなく、低温発泡も避け
られる。
【0034】したがって、基板間隔Dを支えるスペーサ
の粒子径は、その粒子径分布において、平均粒子径Xと
ほぼ同等か、又は図1の斜線部で示すように、平均粒子
径Xよりも大きい部分ということになる。
【0035】平均粒子径が基板間隔より余りに大きい
と、基板間隔を均一にするために加えられた封口圧によ
っで、大きく圧縮変形させられたスペーサ粒子の割合が
大きくなり、従って、これらのスペーサ粒子の反発力が
大きくなり、液晶の収縮に基板間隔が追随せず、真空部
分が発生し、低温発泡を起こすことになる。
【0036】また、平均粒子径が基板間隔に比べ大きい
と、散布密度を減少させて低温発泡を避けることはでき
るが、散布数が余りにも少ない場合は、STNパネルの
ように基板間隔制御の厳しい基準に比べ不均一となり、
色むらを発生し画質の低下を招く。
【0037】反対に、基板間隔に比べ平均粒子径があま
りにも小さいと、圧縮されその反発力で基板を有効に支
えているスペーサの割合が少なくなるので、スペーサ散
布密度を多くしなければならない。基板を有効に支える
スペーサの割合が少なくなると、色むらを発生し、パネ
ル画面の画質低下を招く。
【0038】本発明者が種々検討を重ねた結果、使用す
る球状スペーサの平均粒子径Xの小ささは、球状スペー
サの標準偏差σの2倍以内に設計基板間隔Dを制御すれ
ばよいことが分かった。
【0039】したがって、前記理由により、基板間隔D
が、
【数5】X−0.2σ≦D≦X+2σ 又は、好ましくは、
【数6】X−0.1σ≦D≦X+2σ であることが望ましいと言える。
【0040】本発明では、一般の球状スペーサの場合に
習い、平均粒子径Xは1〜20μmで、標準偏差σは平
均粒子径の0.5〜10%とする。
【0041】また、生産工程における様々なトラブルの
内、基板間隔に関係するものは、本発明の方法を用いて
解析することによって、問題を解決することができる。
【0042】[数4]の誘導 スペーサの散布密度nが過大であると、低温発泡の原因
ともなる。前述の如く低温発泡は、温度の低下と共に液
晶が収縮する際、スペーサの反発力が強過ぎてパネル内
に真空部分又は強い減圧部分が発生して、ここにシーラ
ーを拡散透過した空気が溜まり、パネルを常温に戻して
も泡が残ってしまう現象である。
【0043】したがって、真空部分又は強い減圧部分を
発生させないようにすることが最も大切となる。
【0044】図3において、常温では、スペーサのうち
粒子径分布の大きい方から設計基板間隔Dまでの粒子が
電極基板を支えている。しかし、温度が低下して液晶が
体積収縮すると、パネルの縦横方向は、ガラス基板等の
熱膨脹係数が極めて小さいので、ほとんど収縮せず、液
晶層の厚みのみがΔtだけ低下し、斜線部に示す基板を
有効に支えているスペーサの割合Sが、常温の場合に
比べて増加する。
【0045】真空は0気圧であるから、パネルの外との
差は1気圧(約1kg/cm=98.0665kP
a)であるので、基板を支えている一つ一つのスペーサ
の反発力の和が1気圧を超えないようにすれば、真空部
分の発生が抑えられると言える。
【0046】本発明では、図3の斜線部の面積の二分の
一位置における粒子の粒子径を、測定低温における代表
粒子径(XR1)と定義し、スペーサは、この代表粒子
径から測定低温における液晶層の厚み(D−Δt)まで
の距離圧縮される。言いかえると、圧縮されているスペ
ーサ粒子のうち代表粒子径より大きい粒子径におけるス
ペーサ数と、小さい粒子径のスペーサ数とが同じという
ことになる。
【0047】1粒子当たりの圧縮特性は、図2に示すよ
うな荷重・変位曲線で表されるので、代表粒子径付近の
1粒子の測定値から、初期の単位荷重当たりの変位を応
力変位値yが得られる。この応力変位値yは、スペーサ
の種類、粒子径によって異なるので、予めデータを取っ
ておく必要がある。
【0048】図3で斜線部を有効スペーサの割合をS
としたから、2枚の基板によって挟まれて圧縮されてい
る粒子密度は、単位面積当たりのスペーサの散布密度n
とS 1との積として表される。
【0049】したがって、単位面積当たりの反発力は、
代表粒子の反発力と有効スペーサ数との積として近似さ
れ、これが真空のとの差A=1kg/cm=98.0
665kPaより低くなければならないので、
【数7】A≧{XR1−(D−Δt)}n・S/y のように導かれ、スペーサの散布密度の上限限界は、
【数8】n≦A・y/{XR1−(D−Δt)}S になる。
【0050】散布密度の最低限度については、基板用ガ
ラスの厚みとパネルの大きさにもよるが、1.2mmガ
ラスの小型TNパネルで100個/cm、STNパネ
ルで500個/cmであることが経験的に分かったの
で、上記の式は、上述の[数4]のようになる。
【0051】実際には、パネルの製造工程上、パネル内
に導入された液晶には空気又は窒素等のガスが溶解して
おり、特に窒素は低温になる程、液晶への溶解度が下が
り、放出されると見られるため、実際には厳密な真空に
はならない。
【0052】したがって、実際には、スペーサの散布密
度Nの最大限界は、[数4]より大きな値となるが、
[数4]は、低温発泡が避けられる安全なスペーサの散
布密度を示す。
【0053】本発明では、パネル設計方法として、封口
圧Pを
【数9】P=(X−D)n・S/y 〔式中、P:封口圧[Pa]、X:常温(20℃)で
の代表粒子径[cm]、n:球状スペーサの散布密度
[個/cm]、S:常温(20℃)での有効スペーサ
率、y:応力変位値[cm/N]〕に制御して、液晶表
示パネルを製造することができる。
【0054】この方法により、従来、実験にのみに頼っ
ていたパネルの製造条件の決定が容易に求まり、液晶表
示パネルの開発が簡略化される。
【0055】[数9]の誘導 一般に、STN型液晶表示パネルのように、高度に均一
な基板間隔を必要とするパネルは、液晶注入口を残して
周辺をシールし、内部にスペーサを施した一対の基板か
らなるセルに、少し多めに液晶を注入した後、基板面に
圧力(これを封口圧と言う)をかけて余分な液晶を追い
出し、基板間隔を均一に整えた後、この封口圧下に液晶
注入口を接着剤で閉じる工程を通る。
【0056】図1には、本発明の液晶表示パネルに使用
されるスペーサの粒子径分布と、常温において基板間に
挟まれてこれを支えている有効スペーサ割合Sとを斜線
部で表してある。
【0057】本発明の近似方法に従って、この斜線部面
積の1/2の部分の粒子を常温における代表粒子と定義
し、その直径をXと表せば、代表粒子はXから設計
基板間隔Dまで圧縮されていることになる。
【0058】この場合、単位面積当たりのスペーサの散
布密度nと、代表粒子の応力変位値yとから、スペーサ
の反発力Pが計算でき、基板間隔は均一平行になってい
るので、ガラス基板の曲げ応力はなく、この封口圧はス
ペーサの反発力Pと一致することから、[数9]が導か
れる。
【0059】[数9]は、ほとんどの場合、実際のパネ
ル化工程の条件とよく合い、実用的であることが分かっ
た。しかしながら、透明導電膜層、配向膜層の厚みが振
れたり、ガラス板が理想的に平行ではないこと等の理由
により、[数9]から求めたP又はnは、1〜30%程
度外れることがあるので、最終的には実験で確かめるこ
とが望ましい。
【0060】液晶表示板用面内スペーサとしては、棒状
のガラス繊維片微粒子と真球状の有機又は無機の微粒子
が使われている。本発明では、上下の基板に挟まれて変
形し得るスペーサが用いられる。
【0061】ガラス繊維片は、硬度が非常に高く、長さ
も長いため、直径方向の圧縮による変形は、大気圧程度
の圧力では十分変形しないので用いられない。
【0062】球状スペーサは、無機シリカ又はガラスの
ような高硬度微粒子であっても、圧縮開始時は点接点で
あり、十分変形するので、本発明に使用し得る。
【0063】特に、合成樹脂スペーサ、有機シリカ系ス
ペーサは、有機体としては硬度が高いが、液晶表示板用
スペーサとして適度の硬度がある限り好ましい。
【0064】本発明の液晶表示パネルにおいては、設計
基板間隔とほぼ同じか、又はこれより小さめの平均直径
のスペーサを用いるのが好ましい。このため、透明基板
に挟み付けられていないスペーサがセル内を移動すると
いう問題が考えられる。
【0065】例えば、ガラス繊維片のように表面積が大
きいスペーサは、液晶注入時の液晶の流れ下での抵抗が
大きい場合、この現象がみられる。
【0066】本発明者は、各種スペーサについて、詳細
に検討した。その結果、表面に接着剤を施したスペーサ
を用いる方法(例えば、特開平4−331760号公報
明細書及び特開平8−43834号公報明細書の実施例
11)、面内の必要部分にのみスペーサを接着剤で固定
する方法(例えば、特開平8−278505号公報明細
書)、配向膜原料液中にスペーサを混入して基板に塗布
固定化する方法等、従来から行われている手段を用いれ
ば、何ら問題ないことを確認した。
【0067】また、接着剤となり得る熱可塑性ポリマー
を含有するシード重合体粒子(例えば、特開平8−17
6214号公報明細書及び特開平8−43834号公報
明細書の実施例1及び2)やシリカ/有機ポリマーハイ
ブリット粒子(例えば、特開平7−178335号公報
明細書)であっても固着力は十分であり、セル内移動の
問題は解決される。
【0068】本発明にかかる球状スペーサは、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリク酸エステル
を主成分とする共重合体(例えば、特公平7−9516
5号公報明細書の実施例1〜4)、ポリジビニルベンゼ
ン、スチレン・ジビニルベンゼンの共重合体、ジアリル
重合体、(メタ)アクリロキシアルキルシロキサンの単
独、(メタ)アクリロキシアルキルシロキサンを主成分
とする重合体、アルキル化ポリシロキサン(例えば、特
公平2−255837号公報明細書)及びシリカ/有機
ポリマーハイブリット体(例えば、特開平7−1783
35号公報明細書)からなる群から選ばれる少なくとも
一種の材料から形成される三次元架橋体、及び無機シリ
カからなる群より選ばれる少なくとも一種の材料からな
ることができる。
【0069】本発明にかかるシリカ/有機ポリマーハイ
ブリット体とは、直鎖状の有機ポリマーと3次元に架橋
しているシリカとが、化学結合するか又は相互に入り組
んだ、3次元構造体である。
【0070】かかるシリカ/有機ポリマーハイブリット
体に用いられる有機ポリマーには、例えば、メタアクリ
ル酸メチル/アクリル酸n−ブチル共重合体、メタアク
リル酸メチル/アクリル酸エチル/2−エチルヘキシル
アクリレート共重合体、スチレン/アクリル酸n−ブチ
ル共重合体等があり、ここで、有機ポリマー自体は直鎖
状であって三次元架橋はしていない。
【0071】また、前記ハイブリッド体に用いられるシ
リカには、無機シリカばかりでなく、ケイ素にアルキル
基が一部結合した有機シリカも含まれる。
【0072】本発明では、球状スペーサは、ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル
を主成分とする共重合体、(メタ)アクリロキシアルキ
ルシロキサンの単独、(メタ)アクリロキシアルキルシ
ロキサンを主成分とする重合体、アルキル化ポリシロキ
サン及びシリカ/ポリ(メタ)アクリル酸エステルハイブ
リッド体からなる群より選ばれる少なくとも一種の材料
から形成される三次元架橋体からなることができる。
【0073】更に好ましくは、球状スペーサは、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル、又は(メタ)アクリル酸
エステルを主成分とする共重合体から形成される、三次
元架橋体からなることができる。
【0074】かかる球状スペーサであれば、エステル
基、エーテル基、水酸基のような酸素含有極性基を含む
ので、スペーサが、接触するポリイミド配向膜表面に、
80〜190℃の短時間の加熱処理で吸着し、実質的に
は前記のようなスペーサ移動がない。
【0075】かかる球状スペーサは、ポリアミック酸焼
成ポリイミド配向膜に強く吸着し、液晶注入時のみなら
ず、液晶注入後のセルの超音波洗浄工程、製品化後の振
動テストに対しても、スペーサ移動が観察されず、即
ち、電極基板間距離よりも小さい粒子径が混入しても問
題がない。
【0076】かかるポリイミド配向膜への吸着を考慮す
る場合、本発明にかかる球状スペーサは、ポリ(メタ)
アクリル酸エステルを70%以上含む三次元架橋共重合
体から形成されるのが好ましい。
【0077】本発明では、一対の電極基板は、透明なガ
ラス板を含む基板を用いることができ、その一方の周辺
にガラス繊維片や球状シリカスペーサ等を配合したエポ
キシ樹脂シーラーを線状に施し、他方又は同じ基板に球
状スペーサーを散布し、貼り合せる。
【0078】この貼り合せ工程では、一般に、150〜
190℃での熱圧処理が用いられるが、この熱処理の前
後で、弾性率、圧縮回復性がともに変わらない三次元架
橋(メタ)アクリル酸エステル球状スペーサが最も好ま
しい。
【0079】本発明によって、高温発泡という不具合の
防止も可能となった。その理由は、本発明では、球状ス
ペーサの平均粒子径が設計基板間隔とほぼ同じか、少し
小さめのスペーサを用いるため、パネルの高温試験中
に、液晶によるスペーサの膨潤があっても、常温に戻し
た場合、液晶が収縮して基板間隔が元に戻っても基板に
はさまれた粒子は充分圧縮変形される範囲にあるからで
ある。
【0080】また、平均粒子径が、基板間隔と同じか小
さいスペーサを用いるので、高温においても、スペーサ
の反発応力による二枚のガラス基板をおし拡げる力が小
さくなり、シーラー接着剤の剥離、亀裂の欠損を発生さ
れることもないからである。
【0081】かかる高温試験は、耐久性の加速試験でも
あるため、これをパスした製品は、経時発泡も生起しな
いことが判明した。
【0082】図面を参照して、本発明をより一層詳細に
説明する。図4は、本発明の一例の液晶表示パネルの部
分断面図である。図4に示すように、本発明の一例の液
晶表示パネル1は、一対の電極基板2a,2bとそれら
の間の球状スペーサ3とを備えており、ガラス基板2
a,2bの間には、液晶4が充填されている。
【0083】かかる電極基板2a,2bは、その内側
に、透明導電膜5a,5b及び配向膜6a,6bが、こ
の順でコーティングされて設けられており、ガラス基板
2a,2bの外側には、偏光板7a,7bが設けられて
いる。
【0084】本発明では、各電極基板2a,2bの間
隔、即ち、液晶層の厚みDを、所定の厚さに制御するた
め、所定の粒子径分布を有し、所定の散布密度の球状ス
ペーサ3を用いる。
【0085】図4に示すように、本発明にかかる球状ス
ペーサ3は、基板間隔と同じ大きさの球状スペーサ3
b、基板間隔より大きい粒子径の分布域の球状スペーサ
3a及び基板間隔より小さい粒子径の分布域の球状スペ
ーサ3cからなる。
【0086】本発明では、電極基板2a,2bは、主と
して、基板間隔と同じ大きさの球状スペーサ3bと基板
間隔より大きい粒子径の分布域の球状スペーサ3aとで
所定の間隔に維持されるように制御される。
【0087】
【実施例】以下、本発明を、計算例及び実験例に基づ
き、より一層詳細に説明する。なお、本発明は、かかる
実験例に限定されるものではない。まず始めに、本発明
で用いる各ファクターの測定方法を述べる。
【0088】[スペーサの平均粒子径X及び標準偏差
σ]米国コールター社製コールターカウンターにより、
約3万個測定し計算する。基準としては、同社の販売し
ている標準粒子を用いる。
【0089】[設計基板間隔D]使用する液晶のピッチ
とツイスト角によって決まる。ここでは、光学的方法に
より測定し、前記標準粒子に合わせて校正する。また、
パネル周辺のシーラー内に使用するガラススペーサの直
径から、透明導電膜層及び配向膜層の厚みを差し引く方
法もある。
【0090】[応力変位値y]島津製作所製MCTM−
200型微小圧縮試験機により、0.029g/秒の負
荷速度にて測定して、図2のようなグラフを得、0.1
g荷重までの変位量(μm)を求める。ここで球状スペ
ーサの初期の応力と変位の関係は直線であると仮定す
る。なお、球状スペーサは、電極基板への設置後、ホッ
トプレス工程で熱履歴を受けるので、測定前に球状スペ
ーサを予めその温度で熱処理するのが望ましい。また、
かかる応力変位量yは、1gf=9.80665mNと
して、SI単位に換算する。
【0091】[封口圧P]エアバッグ式加圧機では、液
晶パネル面を圧縮する際の空気圧を示す。ピストン式加
圧機の場合は、ゲージ圧、ピストン断面積及びパネル面
積から計算する。なお、かかる封口圧Pは、1kgf/
cm=98.0665kPaとして、SI単位に換算
する。
【0092】[スペーサの散布密度n]光学顕微鏡によ
り、基板上1mm当りのスペーサ数を9〜12点測定
し、平均化して求める。
【0093】[低温発泡試験法]−40℃で20時間保
存した後、常温に戻して目視検査する。 [高温発泡試験法]100℃で8時間保持した後、常温
に戻して目視検査する。
【0094】以上、各ファクターは、測定器により異な
る場合があるので、スペーサのコールターカウンター測
定値を基準として、電子顕微鏡測定法等を媒介として測
定器相互間の関係を把握して校正する。
【0095】[製造例1]攪拌機及び冷却管付き5リッ
トルフラスコに、5%ポリビニルアルコール水溶液〔日
本合成化学(株)製GH−17〕3000g中に、ペン
タエリスリトールテトラアクリレート〔新中村化学
(株)製〕500gに75%過酸化ベンゾイル〔日本油
脂(株)製〕5gを溶解した液を投入した後、強く攪拌
して微粒子化し、次いで、窒素雰囲気下80℃で16時
間加熱して、懸濁重合させた。これを熱純水で充分洗浄
して3〜15μmの粒子を得、更に分級処理して、平均
粒子経6.40μm、標準偏差0.288μmと、平均
粒径6.50μm、標準偏差0.293μmと、平均粒
子経6.75μm、標準偏差0.304μmとの3種の
アクリル樹脂製球状スペーサを得た。
【0096】[製造例2]製造例1において、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレートに替えて、ジビニルベ
ンゼン〔和光純薬(株)製、純度55%〕250g、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔日本化薬
(株)製〕250gを用い、75%過酸化ベンゾイル
〔日本油脂(株)製〕を10gに増やした他は、同様に
して懸濁重合させ、4〜15μmの粒子を得た。これを
分級処理して、平均粒子経6.50μm、標準偏差0.
293μmと、平均粒子経6.75μm、標準偏差0.
302μmとの2種のジビニルベンゼン系樹脂製の球状
スペーサを得た。
【0097】[計算例] [基板間隔及び散布密度から低温発泡限界を求める計算
例]設計基板間隔D=6.5μmのモノクロミックST
Nパネルを製造する。球状スペーサとしては、製造例1
で得たアクリル樹脂製のスペーサ6.4ミクロンを用い
る。
【0098】平均粒子径X=6.4μm、標準偏差σ=
0.288μmのスペーサを用い、室温(20℃)にお
いてパネルを組み立てると、スペーサは粒子径分布上、
大きい方から設計基板間隔Dの6.5μmまで圧縮され
る(図3参照)。
【0099】次に、室温から低温の−40℃まで冷却す
る。ガラス及び樹脂の熱膨張係数は液晶に比べて非常に
小さいので、パネルの縦横方向は収縮せず、液晶層の厚
み方向のみに収縮すると近似される。
【0100】液晶の熱膨張係数は0.75×10−3
℃、液晶層の厚みは6.5μmであるから、収縮厚み
Δtは0.293μm、即ち、−40℃で、基板間隔は
6.207μmになる。
【0101】この6.207μmは、スペーサの平均粒
子径から0.193μm、即ち、0.6684σ小さ
く、圧縮されているスペーサの確率(図3の斜線部=測
定低温での有効スペーサ割合S)は、正規分布確率表
より、S=0.7480である。
【0102】この二分の一の確率0.3740における
位置は、再び正規分布確率表より、0.321σ、即
ち、平均粒子径6.4μmより0.321σ=0.09
24μm大きいところが代表粒子径(XR1=6.49
24μm)となる。
【0103】したがって、代表粒子は、6.4924μ
mから6.207μmまで0.2854μm圧縮変位
し、別に測定して得た6.5μm粒子の応力変位値y
0.351μm/0.1gf=0.00344cm/N
とから単位を合わせて計算すると、この場合の反発応力
は、0.081×10−3kg/個=0.827×10
N/個となる。
【0104】これと、前記測定低温での有効スペーサ割
合S=0.7480とから、前述した[数4]より、
低温発泡が起きない球状スペーサの上限散布密度、N≦
16,500個/cmが得られる。
【0105】以下同様にして、低温発泡限界のスペーサ
散布密度について、前記製造例で製造したスペーサを表
1に示した各基板間隔のパネルの場合を計算し、表1に
まとめた。
【0106】本発明では、スペーサの平均粒子径が、基
板間隔とほぼ同じ、又はこれより小さいことが望まし
い。基板間隔6.44μm、平均粒子径6.5μm、即
ちこの差0.06μm(=0.2σ)スペーサが大きく
ても、以下の実験例2に示すように、10,200個/
cm以下の散布密度でも良好なパネルが得られること
が分かったので、平均粒子径から0.2σのずれは、低
温発泡を回避するための許容範囲内にあると言える。
【0107】
【表1】
【0108】[実験例1] [封口圧の計算と実験値との比較]設計基板間隔D=
6.5μm、対角9cmのモノクロミックSTNパネル
を製造するに際し、製造例1で合成した平均粒子径X=
6.40μm、標準偏差σ=0.288μmのアクリル
樹脂製のスペーサを用いる。
【0109】この場合、基板間隔が平均粒子径6.4μ
mより0.1μm(0.3472σ)大きい粒子6.5
μm(図1の斜線部)まで圧縮され、正規分布確率表よ
り、このときの被圧縮確率、即ち、有効スペーサ割合S
は、0.3642となる。
【0110】次に、このSの二分の一の確率0.182
1での位置は、再び正規分布確率表より、0.907
σ、即ち、代表粒子径Xは平均粒子径6.4μmより
0.907σ=0.2612μm大きく、X=6.6
612μmとなる。
【0111】これらの値と、別に測定した6.40μm
粒子の応力変位値y=0.351μm/0.1gf=
0.0344cm/Nとを、上述の[数9]に挿入する
と、次の表2のような封口圧Pとスペーサの散布密度n
との関係が得られる。
【0112】
【表2】
【0113】散布密度の計算結果である表1より、低温
発泡限界は、16,500個/cm であるから、スペ
ーサ散布密度は6,000個/cmと16,100個
/cmとの間がよいと考えられる。
【0114】また、現在市販されているスペーサ散布機
のパネル枚葉間の散布精度は、10,000±2000
個/cm程度であるから、封口圧P=0.19kgf
/cm=18.6kPa、スペーサの散布密度n=1
1,300個/cm程度が最適であると計算される。
【0115】実際に、1気圧乾燥空気による液晶注入
後、これらの条件でパネルを製作し、以下の低温発泡試
験及び高温発泡試験を行い、その結果を表2に記載し
た。
【0116】パネルの表示画質については、スペーサ散
布密度6,000〜20,800個/cmで問題はな
く、特に、8,900個/cm 以上では非常に良好
であった。しかし、スペーサの散布密度が20,800
個/cmでは低温発泡した。このように、本発明の計
算結果は、低温発現象とよく一致した。
【0117】[実験例2]実験例1のスペーサにかえ
て、製造例1で製造した平均粒子径6.5μm、標準偏
差0.293μmのアクリル樹脂スペーサを用いてパネ
ルを製造した。表3に本発明の方法による計算値と、製
造した実際のパネルについて結果をまとめて記載した。
【0118】
【表3】
【0119】表1から低温発泡限界は、11,900個
/cmと計算され、実験では表3において、10,6
00個/cmでは低温発泡が無く、14,200個/
cm では生産したパネルの一部が低温発泡しており、
計算値とよく一致した。
【0120】[実験例3]実験例1のスペーサに代え
て、製造例1で得たX=6.75μm、標準偏差σ=
0.304μmのアクリル樹脂製のスペーサを用いた他
は、実験例1と同様に計算し、液晶表示パネルを製造す
る。低温発泡限界は、表1に示すように6,400個/
cmと計算された。結果を表4に示した。
【0121】
【表4】
【0122】スペーサの散布密度が5,200〜7,8
00個/cmの場合、画質について良好なパネルが得
られたが、7,800個/cmの時、低温発泡が発生
した。パネル枚葉間のスペーサの散布機精度が5,00
0±1,500個/cm程度であるので、多過ぎると
低温発泡し、少な過ぎると画質が低下して工業的に安定
した生産ができず、好ましくない。この実験において
も、計算結果とよく一致した。
【0123】[実験例4]実験例1においてアクリル樹
脂スペーサを、製造例2で製造した平均粒子径6.5μ
m、標準偏差0.293μmのジビニルベンゼン系の樹
脂スペーサに替えてパネルを製造した。表5に、本発明
の方法による計算値と、製造した実際のパネルについて
結果をまとめて記載した。尚、本条件での低温発泡限界
のスペーサ密度は、表1に示すように、14,900個
/cmと計算された。
【0124】
【表5】
【0125】パネルの表示画質については、スペーサ散
布密度8,700〜17,400個/cmの場合、実
用上は問題の無いパネルができたが、17,500個/
cm の場合は、低温発泡が発生し、計算結果とよく一
致した。また、17,500個/cmでは、高温発泡
も発生した。実際の封口圧は計算値より10〜20%低
かったが、本発明の計算方法の誤差範囲内であることが
示された。
【0126】[実験例5]実験例1において、アクリル
樹脂製のスペーサを、製造例2で製造した平均粒子径
6.75μm、標準偏差0.302μmのジビニルベン
ゼン系樹脂スペーサに替えてパネルを製造した。表6
に、本発明の方法による計算値と、製造した実際のパネ
ルについて結果をまとめて記載した。尚、本条件での低
温発泡限界のスペーサ密度は、8,000個/cm
計算された。
【0127】
【表6】
【0128】パネルの表示画質については、スペーサ散
布密度6,600〜11,500個/cmの場合、実
用上問題の無いパネルができたが、9,900個/cm
の場合、複数のパネルを製造したときに、一部のパネ
ルに低温発泡が発生し、10,700個/cmの場
合、低温発泡と高温発泡がともに発生した。
【0129】液晶表示パネルの製造においては、前記S
TN型構造のように基板間隔精度が±0.02〜0.0
5μm以下と厳しい場合は、スペーサ散布密度を比較的
多くすると同時に、液晶注入後封口圧をかけて基板面を
平坦化する。
【0130】
【発明の効果】本発明によれば、平均粒子径が、設計基
板間隔とほぼ同じか、又はこれより小さめの球状スペー
サを所定量用いるため、従来の大きめのスペーサを用い
る場合に発生していた低温発泡、高温発泡等、貯蔵中や
使用中の経時的発泡の問題を解決でき、STNパネルの
ように基板間精度上0.02〜0.05μm以下が要求
される場合でも安定した高品質の液晶表示パネル製品を
製造することができる。
【0131】この際、従来、製造条件を誤ると、低温発
泡や高温発泡を発生したり、面内に基板間隔のバラツキ
ができて、色むらが生じて画質が低下する危険性がある
ため、新機種開発のために膨大な数の実験を行って製造
条件を決定していた。
【0132】本発明では、[数4]の範囲内に製造条件
を抑え、[数9]により各ファクターの関係を予め知る
ことにより、新機種開発が大幅に簡略化され、開発コス
トが低減できると同時に、良質の製品を安定的に効率よ
く生産することができる。
【0133】一方、TN型パネルでは、基板間隔精度が
±0.2〜0.5μmと比較的緩いため、封口圧を掛け
ないで製造する場合が多いが、この時でも、封口圧に変
えて、ガラス基板の曲げ応力、液晶の表面張力等を勘案
した圧力を用いて、本発明にかかる[数4]の範囲内に
製造条件を抑えることが、低温発泡や高温発泡を回避す
るために大切である。
【0134】最近、大型TFT型パネルやIPS、MV
A型等のTN型パネルでも高精度の基板間隔を要求する
場合が多くなってきたため、封口圧をかける場合が多く
なってきた。このような場合は、本発明にかかる[数
9]により、製造条件が計算で決定でき、新機種の開発
速度が大幅に短縮できる。
【0135】本発明では、液晶表示パネルの製造におい
て、設計基板間隔、球状スペーサの平均粒子径と粒子径
分布の標準偏差、球状スペーサの応力変位値、球状スペ
ーサの散布密度、液晶注入後の封口圧、これらファクタ
ーの関係を明らかにし、最適生産条件を数式化した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる球状スペーサの常温での粒子
径分布と設計基板間隔との関係を示すグラフである。
【図2】 本発明にかかる一例の球状スペーサの荷重と
圧縮変位との関係を示すグラフである。
【図3】 本発明にかかる他の例の球状スペーサの粒子
径分布と液晶収縮後の基板間隔との関係を示したグラフ
である。
【図4】 本発明の一例の液晶表示パネルの部分断面図
である。
【図5】 従来の一例の液晶表示パネルの部分断面図で
ある。
【図6】 従来の他の例の液晶表示パネルの部分断面図
である。
【符号の説明】
1,11,21 液晶表示パネル 2a,2b,12a,12b,22a,22b 電極基
板 3,13,23 球状スペーサ 3a 平均粒子径の大きさの球状スペーサ 3b 平均粒子径より大きい粒子径の分布域の球状スペ
ーサ 3c 平均粒子径より小さい粒子径の分布域の球状スペ
ーサ 4,14,24 液晶 5a,5b,15a,15b,25a,25b 透明導
電膜 6a,6b,16a,16b,26a,26b 配向膜 7a,7b,17a,17b,27a,27b 偏光板 8,18,28 シーラー 9,19,29 シーラー内スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H089 LA07 LA20 MA03X NA32 NA35 QA06 QA12 4J002 BC011 BC021 BG041 BG051 CP161 DJ016 GP00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶表示セルを備えており、前記液晶表
    示セルが、一対の電極基板と前記各電極基板の間の球状
    スペーサとを有している、液晶表示パネルを得るにあた
    り、 前記球状スペーサの散布密度nを、 【数1】 100≦n≦A・y/[(XR1−D+Δt)・S] 〔式中、D:常温(20℃)での各電極基板の間隔、即
    ち、液晶層の厚み[cm]、n:球状スペーサの散布密
    度[個/cm]、A:大気圧(98.0665kP
    a)、Δt:液晶層の常温から測定低温までの収縮厚み
    [cm]、XR1:測定低温での代表粒子径[cm]、
    :測定低温での有効スペーサ率、y:応力変位値
    [cm/N]〕に制御することを特徴とする、液晶表示
    パネルの製造方法。
  2. 【請求項2】 封口圧Pを、 【数2】P=(X−D)n・S/y 〔式中、P:封口圧[Pa]、X:常温(20℃)で
    の代表粒子径[cm]、n:球状スペーサの散布密度
    [個/cm]、S:常温(20℃)での有効スペーサ
    率、y:応力変位値[cm/N]〕に制御することを特
    徴とする、請求項1記載の液晶表示パネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 液晶表示セルを備えており、前記液晶表
    示セルが、一対の電極基板と前記各電極基板の間の球状
    スペーサとを有している、液晶表示パネルであって、 前記球状スペーサの散布密度nが、[数1]に制御され
    ていることを特徴とする、液晶表示パネル。
  4. 【請求項4】 前記球状スペーサが、ポリ(メタ)アク
    リル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルを主成分
    とする共重合体、ポリジビニルベンゼン、スチレン・ジ
    ビニルベンゼンの共重合体、(メタ)アクリロキシアル
    キルシロキサンの単独又は(メタ)アクリロキシアルキ
    ルシロキサンを主成分とする重合体、ジアリル重合体、
    アルキル化ポリシロキサン及びシリカ/有機ポリマーハ
    イブリット体からなる群から選ばれる少なくとも一種の
    材料から形成される三次元架橋体、及び無機シリカから
    なる群より選ばれる少なくとも一種の材料からなること
    を特徴とする、請求項3記載の液晶表示パネル。
  5. 【請求項5】 前記球状スペーサが、ポリ(メタ)アク
    リル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルを主成分
    とする共重合体、(メタ)アクリロキシアルキルシロキ
    サンの単独、(メタ)アクリロキシアルキルシロキサン
    を主成分とする重合体、アルキル化ポリシロキサン及び
    シリカ/ポリ(メタ)アクリル酸エステルハイブリット
    体からなる群より選ばれる少なくとも一種の材料から形
    成される三次元架橋体からなることを特徴とする、請求
    項3記載の液晶表示パネル。
  6. 【請求項6】 前記球状スペーサーが、ポリ(メタ)ア
    クリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸エステルを主
    成分とする共重合体から形成される三次元架橋体からな
    ることを特徴とする、請求項3記載の液晶表示パネル。
  7. 【請求項7】前記基板間隔Dが、 【数3】X−0.2σ≦D≦X+2σ 〔式中、X:球状スペーサの平均粒子径[cm]、σ:
    球状スペーサの粒子径分布における標準偏差[cm]及
    びD:常温(20℃)での各電極基板の間隔、即ち液晶
    層の厚み[cm]〕であることを特徴とする、請求項3
    〜6のいずれか一項記載の液晶表示パネル。
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