JP2007033797A - スペーサ分散液及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶表示装置を製造する際に2枚の基板の間隔を正確に制御することができ、かつ、基板表面に強固にスペーサ粒子を固定させることができ、製造する液晶表示装置の画素電極上にスペーサが配置されて、偏光が乱されて偏光性を失うという現象、いわゆる消偏現象が生じて光抜けが起こり、コントラストや色調が低下して表示品質が悪化するという問題が発生することのないスペーサ分散液、及び、該スペーサ分散液を用いてなる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】スペーサ粒子11、接着性粒子12、並びに、水及び/又は親水性有機溶剤からなる媒体13を含有するスペーサ分散液。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置を製造する際に2枚の基板の間隔を正確に制御することができ、かつ、基板表面に強固にスペーサ粒子を固定させることができるスペーサ分散液、及び、該スペーサ分散液を用いてなる液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、現在、パソコン、携帯電子機器等に広く用いられている。図4は液晶表示装置の一例を示す断面図である。図4に示されるように、一般に液晶表示装置は、内側に透明電極3、配向膜8、カラーフィルタ4、ブラックマトリクス5等が配置され、外側に偏光板2が配置された2枚の透明基板1が、これらの周囲に配設されたシール材9を介して対向配置され、形成された空隙に液晶6が封入された構成となされている。この液晶表示装置において、2枚の透明基板1の間隔を規制し、適正な液晶層の厚み(セルギャップ)を維持する目的で使用されているのがスペーサ7である。
従来の液晶表示装置の製造方法においては、画素電極が形成された基板上にスペーサをランダムかつ均一に散布するため、画素電極上、すなわち、液晶表示装置の表示部(画素領域)にもスペーサが配置されてしまうことがあった。スペーサは、一般的に合成樹脂やガラス等から形成されており、画素電極上にスペーサが配置されると、偏光が乱されて偏光性を失うという現象、いわゆる消偏現象が生じて、スペーサ部分が光り漏れを起こすという問題が発生することがあった。
また、スペーサ表面で液晶の配向が乱れることにより、光抜けが起こりコントラストや色調が低下して表示品質が悪化するという問題が発生することがあった。
更に、TFT液晶表示装置においては、基板上にTFT素子が配置されているが、スペーサがこのTFT素子上に配置されると、基板に圧力がかかったときにTFT素子を破損させてしまうという重大な問題が発生することがあった。
このようなスペーサのランダムかつ均一散布に伴う問題の発生を抑制するために、スペーサを遮光層(画素領域を画する部分)下にのみ配置することが検討されている。このようにスペーサを特定の位置にのみ配置する方法として、例えば、開口部を有するマスクの開口部と配置させたい位置とを合わせた後、スペーサを開口部に相当する位置にのみ配置するカラー液晶パネルが開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、感光体に静電的にスペーサを吸着させた後に透明基板に転写する液晶表示装置及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、これらの方法は、基板上にマスクや感光体が直接接触するために、基板上の配向膜が損傷しやすくなって、表示品質の低下を来すという問題がある。
また、基板上の画素電極に電圧を印加して帯電させたスペーサを散布することにより、静電的斥力によって特定の位置にスペーサを配置させる液晶表示装置の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、この方法は、配置させるパターンに従った電極を必要とするため、スペーサを完全に任意の位置に配置することは不可能であり、適用できる液晶表示装置の種類が制約されるという問題がある。
一方、対向面に透明電極が被着形成された透光性電極基板間の間隙部にスペーサ及び液晶を介在させた液晶表示素子において、スペーサをインクジェット装置を用いて電極基板上に分散配置する、すなわち、インクジェットプリント方式によってスペーサを配置する液晶表示装置の製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
この方法は、前述の方法のように基板そのものに直接接触することがなく、また、任意の位置に任意のパターンでスペーサを配置することができるので有効な方法であるといえる。
しかし、インクジェットプリント方式で吐出するスペーサ分散液中には1〜10μm程度の大きさのスペーサが含まれているため、まっすぐに吐出するためには、インクジェット装置のヘッドのノズル径を大きくせざるを得ず、その結果、基板上に吐出されたスペーサ分散液の液滴が大きくなって、基板上の遮光領域を狙ってスペーサ分散液を吐出しても、スペーサ分散液の液滴が遮光領域から画素領域にはみ出すという問題があった。
このような問題に対して、スペーサ分散液の液滴を遮光領域上の着弾点を中心として乾燥縮小させ、それに伴ってスペーサを着弾点に集める方法が知られている。
一方で、従来のスペーサは、基板に対する固着性が低いものであったため、上述したようにスペーサ分散液の液滴を着弾点を中心に乾燥縮小させてスペーサを着弾点に集めた場合であっても、スペーサが液晶を注入する等した際に移動してしまい、製造する液晶表示装置に光抜けが起こり、コントラストや色調が低下して表示品質が悪化してしまうという問題があった。
このような問題に対し、スペーサの基板に対する固着性を向上させる方法として、例えば、シリカ粒子をコアとし、該シリカ粒子の表面に接着性を有する接着層を均一に被覆してなるコアシェル型のスペーサが開示されている(例えば、特許文献5参照)。このようなコアシェル型のスペーサは、液晶表示装置を製造する際に、基板間に挟持し加熱加圧することで基板に対してスペーサを固着することができる。
しかし、従来のコアシェル型のスペーサは、基材となるコア粒子の表面に均一な厚さで接着層が形成されたものであったため、スペーサを基板に固着した際、コア粒子と基板との間に存在し、コア粒子を基板に固着させる接着層は極僅かな量でしかなく、そのため、必ずしも基板に対するスペーサの固着性は満足なものでなかった。
特開平4−198919号公報 特開平6−258647号公報 特開平10−339878号公報 特開昭57−58124号公報 特開2002−327030号公報
本発明は、上記現状に鑑み、液晶表示装置を製造する際に2枚の基板の間隔を正確に制御することができ、かつ、基板表面に強固にスペーサ粒子を固定させることができるスペーサ分散液、及び、 該スペーサ分散液を用いてなる液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、スペーサ粒子、接着性粒子、並びに、水及び/又は親水性有機溶剤からなる媒体を含有するスペーサ分散液である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、スペーサ粒子と該スペーサ粒子を基板に固着する接着性粒子とを所定の媒体中に分散させたスペーサ分散液は、スペーサ粒子を基板表面に極めて強固に接着、固定させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の液晶スペーサ分散液は、スペーサ粒子と接着性粒子と媒体とを含有する。
上記スペーサ粒子は、本発明のスペーサ分散液を用いて液晶表示装置を製造する際に、2枚の基板間に狭持され、これら2枚の基板の間隔を規制し、適正なセルギャップを維持する役割を果たすものである。
このようなスペーサ粒子としては特に限定されず、例えば、従来公知の有機及び/又は無機材料を用いることが可能である。
上記スペーサ粒子に用いる有機材料としては特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチルペンテン等のオレフィン類及びその誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;フッ化ビニル、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸グリセロール、テトラ(メタ)アクリル酸テトラメチロールメタン、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等アクリルアミド類等の重合性単量体用いた重合体等や、ポリアミド、(不)飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。上記重合性単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記スペーサ粒子に用いる無機材料としては特に限定されず、例えば、金属、金属酸化物、シリカ等が挙げられる。
本発明のスペーサ分散液において、上記スペーサ粒子は、上記有機材料のみ又は上記無機材料のみからなるものであってもよく、上記有機材料と無機材料との複合構造を有するものであってもよい。なかでも、液晶表示装置の基板上に形成された配向膜を傷つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚みの変化に追随しやすいことから上記有機材料のみからなることが好ましい。
また、上記スペーサ粒子は、本発明のスペーサ分散液を用いて製造した液晶表示素子のコントラストを向上させるために、着色された着色基材粒子であってもよい。
上記スペーサ粒子を着色する方法としては特に限定されず、例えば、カーボンブラック、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属酸化物等の着色剤による着色処理法や、スペーサ粒子の表面に有機物の膜を形成し、この有機物の膜を高温で分解又は炭化させて着色する方法等が挙げられ、いずれの方法が採られてもよい。なお、上記スペーサ粒子を形成する材質自体が着色している場合には、着色処理を施すことなく、そのまま着色スペーサ粒子として用いてもよい。
上記スペーサ粒子が上述した有機材料からなる場合、その重合方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等従来公知の重合法が挙げられ、いずれの重合法であってもよい。
上記懸濁重合法及び乳化重合法は、粒子径分布が比較的広く、多分散の粒子を得ることができるので、多品種の粒子径の微粒子を製造する目的に適する。但し、懸濁重合法により製造した粒子をスペーサ粒子として用いる場合には、分級操作を行って、所望の粒子径や粒子径分布を有するものを選別して用いることが好ましい。
また、シード重合法は、分級操作を必要とせず、単分散の粒子を得ることができるので、特定の粒子径の微粒子を大量に製造する目的に適する。
上記重合法で持いられる重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物等が挙げられる。なお、上記重合開始剤の使用量は、上述した非架橋性単量体及び/又は架橋性単量体100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。
上記重合法で用いられる媒体としては特に限定されず、使用する単量体の種類や単量体組成に応じて適宜選択すればよく、例えば、水;メタノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、2−ブタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の炭化水素類等が挙げられる。これらの媒体は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記スペーサ粒子の平均粒子径としては用いられる液晶表示装置によって異なるため特に限定されないが、好ましい下限は0.5μmである。0.5μm未満であると、本発明のスペーサ分散液を用いて製造する液晶表示装置のセルギャップが狭くなりすぎ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができないことがある。より好ましい下限は1μmである。好ましい上限は10μm、より好ましい上限は5μmである。
なお、上記スペーサ粒子の平均粒子径は、光学顕微鏡、電子顕微鏡、コールタカウンター等を用いて計測した粒子径を統計的に処理して求めることができる。
また、上記スペーサ粒子の平均粒子径の変動係数は10%以下であることが好ましい。10%を超えると、液晶表示装置を製造する際に、相対向する2枚の基板間の間隔を任意に制御することが困難になる。なお、上記変動係数とは、粒子径分布から得られる標準偏差を平均粒子径で除して得られる数値である。
また、上記スペーサ粒子は、2枚の基板間の間隔を規制するスペーサ(ギャップ材)として用いられるので、一定の強度を有していることが好ましく、上記スペーサ粒子の直径が10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)の好ましい下限は2000MPa、好ましい上限は15000MPaである。2000MPa未満であると、液晶表示装置を組立てる際のプレス圧により、上記スペーサ粒子が変形して、適切なギャップが出にくくなることがあり、15000MPaを超えると、上記スペーサ粒子が液晶表示装置に組み込まれた際に、基板上の配向膜を傷つけて、表示異常が発生することがある。
なお、上記10%K値は、微小圧縮試験器(例えば、島津製作所製「PCT−200」等)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円柱からなる平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下でスペーサ粒子を圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記式により求めることができる。
K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:スペーサ粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)
S:スペーサ粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:スペーサ粒子の半径(mm)
10%K値が上記条件を満たすスペーサ粒子を得るためには、スペーサ粒子は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させてなる樹脂からなることが好ましく、この場合、構成成分として架橋性単量体を少なくとも20重量%含有することがより好ましい。
上記スペーサ粒子は、回復率の下限が20%であることが好ましい。20%未満であると、上記スペーサ粒子を圧縮した場合に変形しても元に戻らないため液晶表示装置の相対する基板同士を固定できないことがある。より好ましい下限は40%である。なお、上記回復率とは、スペーサ粒子に9.8mNの荷重を負荷した後の回復率をいう。
上記スペーサ粒子は、スペーサ分散液中での分散性や固着性の向上等の目的で、親水性や接着性を付与できる有機材料によって被覆されていてもよく、物理的又は化学的な処理が施されていてもよい。
上記スペーサ粒子を被覆する有機材料としては、親水性や接着性を付与できるものであれば特に限定されず、例えば、(不)飽和炭化水素、芳香族炭化水素、(不)飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸、(不)飽和脂ケトン、芳香族ケトン、(不)飽和アルコール、芳香族アルコール、(不)飽和アミン、芳香族アミン、(不)飽和チオール、芳香族チオール、有機珪素化合物、これらの誘導体、これら1種以上の化合物からなる縮合体、これら1種以上の化合物からなる重合体等を主成分とするもの等が挙げられる。これらの有機材料は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、(不)飽和とは、飽和及び不飽和の両方を意味する。
上記縮合体及び重合体としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン、フッ素樹脂、アクリロニトリル/スチレン樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ABS樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンオキシド、糖、澱粉、セルロース、ポリペプチド等を主成分とする縮合体、重合体等が挙げられる。
上記スペーサ粒子を上記有機材料によって被覆する方法としては特に限定されず従来公知の方法を用いることができるが、例えば、1)上記有機材料の溶液中にスペーサ粒子を添加し、均一に分散させた後、溶媒を乾燥させ、上記有機材料で被覆する方法、2)上記有機材料からなる微粉末とスペーサ粒子とを加熱下、高速攪拌することにより、スペーサ粒子表面に有機材料を付着させる方法(ハイブリダイゼーション法)、3)上記有機材料を一段または多段の化学反応により粒子表面に導入する方法、4)粒子表面にビニル基、ラジカル開始基、連鎖移動基等の重合性官能基を導入した後、該重合性官能基を基点として、グラフト重合を行う方法、5)化学反応やプラズマ照射等により、粒子表面に水酸基を導入した後、レドックス開始剤と上記有機材料を構成する単量体とを共存させ、グラフト重合を行う方法等が挙げられる。
本発明のスペーサ分散液中におけるスペーサ粒子の固形分濃度としては特に限定されないが、好ましい下限は0.05重量%、好ましい上限は8重量%である。0.05重量%未満であると、吐出された本発明のスペーサ分散液の液滴中に有効量のスペーサ粒子が含まれなくなることがあり、8重量%を超えると、インクジェット装置を用いてスペーサ粒子の配置を行う場合、インクジェット装置のノズルが閉塞しやすくなったり、後述するような方法で基板上に吐出した本発明のスペーサ分散液の液滴中のスペーサ粒子の含有量が過剰となって、乾燥過程におけるスペーサ粒子及び接着性粒子の移動が困難となったりすることがある。より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は4重量%である。
上記接着性粒子は、本発明のスペーサ分散液を用いて液晶表示装置を製造する際に、上記スペーサ粒子を2枚の基板に挟持した後、加熱することで溶融し、上記スペーサ粒子を基板の表面に強固に接着、固定させる役割を果たすものである。
上記接着性粒子を構成する材料としては、加熱により溶融又は軟化し、上記スペーサ粒子を基板の表面に接着させることができるものであれば特に限定されないが、加熱により溶融又は軟化変形し、基板と上記スペーサ粒子との接着面積が増大し、結果として接着力が強くなることから、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
上記接着性粒子を構成する樹脂を構成する単量体としては特に限定されず、上述のスペーサ粒子を構成する有機材料と同様の材料を用いることができる。
上記接着性粒子の軟化点としては特に限定されないが、好ましい下限は40℃、好ましい上限は120℃である。40℃未満であると、液晶パネルを長期間使用している際、発熱等により接着性粒子が軟化し、スペーサの固着性を損なう危険性が高く、120℃を超えると、スペーサ粒子を2枚の基板間に固定する際の加熱温度が高くなり、ガラス基板の負担が大きく、歪み等の原因となる場合がある。
上記接着性粒子の軟化点を上述の範囲に制御する方法としては特に限定されないが、例えば、接着性粒子を構成する有機材料のTgを選択する方法、また、有機材料の架橋度を制御する方法等が挙げられる。
上記有機材料を架橋する場合、架橋成分は有機材料の5重量%以下含有することが好ましい。このように接着性粒子を微架橋することにより、接着性粒子を構成する有機材料が、スペーサ分散中及び液晶表示装置の液晶中に溶出することを防止でき、汚染のない良好な液晶表示装置を得ることができる。
上記接着性粒子は、液晶に対する汚染を低減させるためにイオン成分の少ないものを用いることが好ましい。例えば、接着性粒子1gと10mLの超純水とを石英管に封入し、120℃で24時間抽出したときに、抽出液中のナトリウム、カリウム等の金属イオンや塩素等のハロゲンイオンの含有量がそれぞれ10ppm以下であることが好ましい。
上記金属イオンやハロゲンイオンの含有量を10ppm以下にする方法としては、例えば、特開2005−82695公報に記載されている方法等が用いられる。
上記接着性粒子を製造する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、ミニエマルジョン重合法、エマルジョン重合法、転層乳化重合法、マイクロサスペンジョン重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー(析出)重合法等が挙げられる。これらの中でも、粒径の制御性に優れ、かつ界面活性剤を用いない、分散重合法、ソープフリー(析出)重合法が好適に用いられる。
上記接着性粒子の平均粒子径としては特に限定されないが、好ましい上限は上記スペーサ粒子の平均粒子径の1/2である。1/2を超えると、スペーサとパネル基板との間に存在する接着層が厚すぎて、セルギャップが不均一になったりすることがある。下限については特に限定されないが、好ましい下限は50nmである。50nm未満であると、充分な接着性を付与できないことがある。
まお、上記接着性粒子としては、平均粒子径の異なる2種以上のものを混合して用いてもよい。
本発明のスペーサ分散液における上記接着性粒子の配合量は、上記スペーサ粒子100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が200重量部である。1重量部未満であると、上記スペーサ粒子を基板表面に充分に接着させることができないことがあり、200重量部を超えると、インク乾燥時にスペーサ周辺に寄り集まりきれない接着性粒子が存在し、光抜け等の原因となり、コントラストや色調が低下して表示品質悪化の原因となることがある。より好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は100重量部である。
本発明のスペーサ分散液において、上記接着性粒子は、上記スペーサ粒子と別個独立した形で配合されていてもよいが、図2に示したように上記スペーサ粒子の表面に固定化され複合化された形で配合されてもよい。
上記接着性粒子を上記スペーサ粒子の表面に固定化する態様としては特に限定されず、物理的に固定されても、化学的に方法で固定されてもよい。
本発明のスペーサ分散液は、上記スペーサ粒子と接着性粒子とを分散させる水及び/又は親水性有機溶剤からなる媒体を含有する。
一般にインクジェット装置は、媒体が水又は親水性有機溶剤である場合に安定的に吐出できる傾向があり、媒体が疎水性の強い有機溶剤である場合には、ヘッドを構成する部材が媒体に侵されたり、部材を接着する接着剤の一部が媒体中に溶出したりする等の問題が生じる。従って、本発明のスペーサ分散液の媒体は、インクジェット装置を用いてスペーサ粒子の配置を行う場合に好適である。
上記水としては特に限定されず、例えば、イオン交換水、純水、地下水、水道水、工業用水等が挙げられる。これらは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されてもよい。
上記親水性有機溶剤としては特に限定されず、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のモノアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコールの多量体;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のプロピレングリコールの多量体;エチレングリコールの多量体やプロピレングリコールの多量体のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;エチレングリコールの多量体やプロピレングリコールの多量体のジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル等の低級ジアルキルエーテル類;エチレングリコールの多量体やプロピレングリコールの多量体のモノアセテート、ジアセテート等のアルキルエステル類;1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類;ジオール類のエーテル誘導体;ジオール類のアセテート誘導体;グリセリン、1,2,4−−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;多価アルコール類のエーテル誘導体;多価アルコール類のアセテート誘導体等や、ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スルホラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−テルピネオール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルホン、ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコール、尿素等が挙げられる。これらの親水性有機溶剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
また、上記水及び親水性有機溶剤は、それぞれ単独で用いられてもよいし、両者が併用されてもよい。
本発明のスペーサ分散液において、上記水及び/又は親水性有機溶剤からなる媒体は、20℃における表面張力の好ましい下限が25mN/m、好ましい上限が45mN/mである。上記媒体の20℃における表面張力が上記範囲を逸脱すると、インクジェット装置を用いて上記スペーサ粒子の配置を行う場合、得られるスペーサ分散液の吐出性や吐出精度が不充分となることがある。
本発明で用いられる媒体には、沸点が100℃未満の親水性有機溶剤が含有されていることが好ましく、より好ましくは沸点が70℃以上100℃未満の親水性有機溶剤が含有されていることである。なお、本明細書において、沸点とは、1気圧の条件下での沸点を意味する。
上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤としては特に限定されず、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール等の低級モノアルコール類やアセトン等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤は、本発明のスペーサ分散液を基板上に吐出した後、乾燥させる際に比較的低い温度で揮発する。特に、本発明のスペーサ分散液においては、配向膜に媒体が高温で接触すると配向膜を汚染して液晶表示装置の表示品質を損なうため、乾燥温度をあまり高くすることができない。従って、上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤を用いることが好ましい。但し、上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤が室温で揮散しやすいと、本発明のスペーサ分散液の製造時や貯蔵時に凝集粒子が発生しやすくなったり、インクジェット装置のノズル付近の本発明のスペーサ分散液が乾燥しやすくなって、インクジェット吐出性が損なわれたりするので、室温で揮散しやすい親水性有機溶剤は好ましくない。
また、上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤としては特に限定されないが、20℃における表面張力の上限が25mN/mであることが好ましい。
一般にインクジェット装置は、吐出するスペーサ分散液の20℃における表面張力の下限が30mN/m、上限が50mN/mである場合に良好な吐出精度を示す。一方、基板上に吐出されたスペーサ分散液の液滴の表面張力は高い方がスペーサを乾燥過程で移動させるのに適している。
沸点が100℃未満の親水性有機溶剤の20℃における表面張力の上限が25mN/mであると、吐出時においては本発明のスペーサ分散液の表面張力が比較的低い状態にあるので、良好な吐出精度を得ることが可能となり、基板上に吐出された後は、本発明のスペーサ分散液中の他の媒体成分より先に揮散して、本発明のスペーサ分散液の表面張力が高くなるので、乾燥過程におけるスペーサ粒子や接着性粒子の移動が容易となる。
本発明で用いられる媒体中における沸点が100℃未満の親水性有機溶剤の含有量は、媒体の20℃における表面張力の下限が25mN/m、上限が45mN/mの範囲を逸脱しない量であれば特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は80重量%である。10重量%未満であると、沸点が100℃未満の親水性有機溶剤を含有させることによる上記効果を充分に得られないことがあり、80重量%を超えると、本発明のスペーサ分散液の製造時や貯蔵時に乾燥しやすくなって凝集粒子が発生したり、インクジェット装置のノズル近辺の本発明のスペーサ分散液が過剰に乾燥たりして、吐出性や吐出精度が損なわれることがある。
また、本発明で用いられる媒体には、沸点が150℃以上の親水性有機溶剤が含有されていることが好ましく、より好ましくは沸点が150〜200℃の親水性有機溶剤が含有されていることである。
上記沸点が150℃以上の親水性有機溶剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、グリセリン等の低級アルコール、エーテル類等が挙げられる。これは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記沸点が150℃以上の親水性有機溶剤は、本発明のスペーサ分散液の製造時や貯蔵時に乾燥して凝集粒子が発生するのを抑制したり、インクジェット装置を用いて上記スペーサ粒子の配置を行う場合、ノズル近辺で本発明のスペーサ分散液が過剰に乾燥して吐出性や吐出精度が損なわれたりするのを抑制することができる。
また、上記沸点が150℃以上の親水性有機溶剤としては特に限定されないが、20℃における表面張力の下限が30mN/mであることが好ましい。沸点が150℃以上の親水性有機溶剤の20℃における表面張力の下限が30mN/mであると、基板上に吐出された本発明のスペーサ分散液から沸点のより低い親水性有機溶剤が揮散した後に、本発明のスペーサ分散液の表面張力が高く保たれるので、乾燥過程におけるスペーサ粒子や接着性粒子の移動が容易となる。
本発明で用いられる媒体中における沸点が150℃以上の親水性有機溶剤の含有量は、媒体の20℃における表面張力の下限が25mN/m、上限が45mN/mの範囲を逸脱しない量であれば特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は80重量%である。10重量%未満であると、沸点が150℃以上の親水性有機溶剤を含有させることによる上記効果を充分に得られないことがあり、80重量%を超えると、本発明のスペーサ分散液の乾燥時間が著しく長くなって生産性が低下したり、配向膜が汚染されて液晶表示装置の表示品質が損なわれたりすることがある。
本発明のスペーサ分散液においては、上記スペーサ粒子及び接着性粒子が上記媒体中に単粒子状に分散していることが好ましい。上記スペーサ粒子及び接着性粒子が媒体中に単粒子状に分散しておらず凝集状態にあると、本発明のスペーサ分散液を用いてインクジェット装置によりスペーサ粒子等の配置を行う場合、吐出性や吐出精度が低下したり、インクジェット装置のノズル閉塞を起こしたりすることがある。
また、本発明のスペーサ分散液には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、粘接着性付与剤、粘性調整剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤等の各種添加剤の1種類又は2種類以上が添加されていてもよい。
次に、本発明のスペーサ分散液を用いてスペーサ粒子を基板表面の所定の位置に固着させる方法について説明する。
図1(a)〜(d)は、本発明のスペーサ分散液を用いてスペーサ粒子を基板表面の所定の位置に固着させる様子を模式的に示す断面図である。
まず、基板上の所定の位置に本発明のスペーサ分散液を吐出し液滴を形成する。
このとき、図1(a)に示すように、基板14上の所定の位置に吐出した液滴中では、スペーサ粒子11と接着性粒子12とが媒体13中に分散した状態となっている。
ここで、上記液滴は、その中央部付近が基板上のスペーサ粒子を配置する位置となるように形成する必要がある。後述する工程を経ることで、上記吐出した液滴の中央部付近にスペーサ粒子が寄せ集まるからである。
本発明のスペーサ分散液を基板上の所定の位置に吐出する方法としては、使用するインクジェット装置等により適宜決定される。
インクジェット装置を用いて本発明のスペーサ分散液の吐出を行う場合、上記インクジェット装置としては特に限定されず、例えば、ピエゾ素子の振動によって液体をノズルから吐出させるピエゾ方式、急激な加熱による液体の膨張を利用して液体をノズルから吐出させるサーマル方式、発熱素子の急激な加熱によって液体をノズルから吐出させるバブルジェット(登録商標)方式等が挙げられ、いずれの方式が採られてもよい。
上記インクジェット装置のノズル口径としては特に限定されないが、好ましい下限は20μmであり、好ましい上限は100μmである。20μm未満であると、粒子径が2〜10μmの上記スペーサ粒子を含有する本発明のスペーサ分散液を吐出した場合に、粒子径との差が小さすぎて吐出精度が低下したり、ノズル閉塞を起こして吐出不能となったりすることがある。100μmを超えると、吐出される液滴の径が大きくなって、基板上に吐出された液滴の径も大きくなるので、スペーサ粒子の配置精度が粗くなることがある。
上記ノズルから吐出される液滴の径としては特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は80μmである。
ノズルから吐出される液滴の径を上記好ましい範囲に制御する方法としては特に限定されず、例えば、ノズルの口径を最適化する方法やインクジェット装置を制御する電気信号を最適化する方法等が挙げられ、いずれの方法が採られてもよい。特に、ピエゾ方式のインクジェット装置を用いる場合には、後者の方法を採ることが好ましい。
また、基板上に吐出された液滴の径としては特に限定されないが、好ましい下限は30μmであり、好ましい上限は150μmである。30μm未満とするためには、ノズル口径を非常に小さくする必要が生じ、本発明の液晶スペーサによるノズル閉塞の可能性が大きくなったり、ノズル加工の精度を高めなければならなくなることがある。150μmを超えると、上記スペーサ粒子の配置精度が粗くなることがある。
本発明のスペーサ分散液の吐出の対象となる基板としては特に限定されず、例えば、ガラス板や樹脂板等の一般的に液晶表示装置のパネル基板として用いられているものが挙げられる。また、上記液晶表示装置のパネル基板の表面にポリイミド膜等の配向膜が設けられている場合、本発明のスペーサ分散液は、該配向膜上に吐出される。
次に、図1(b)に示すように、基板14上に吐出した液滴をしばらく静置することで、上記液滴中で分散しているスペーサ粒子11と接着性粒子12とを、基板14上に沈降させる。
ここで、製造する液晶表示装置のセルギャップを均一にするため、沈降したスペーサ粒子11及び接着性粒子12が積層せず、基板14上に単一の層となるように調整する必要がある。
沈降するスペーサ粒子及び接着性粒子が単一の層となるように調整する方法としては、例えば、本発明のスペーサ分散液中のスペーサ粒子及び接着性粒子の大きさ、濃度等、及び、媒体の粘度等を適宜調整する方法が挙げられる。
次に、基板14上に吐出した液滴中の媒体13を乾燥させる。
上記液滴中の媒体13を乾燥させることで、図1(c)に示すように、媒体13の乾燥、蒸発に伴って基板14上の液滴の体積が減少し、媒体14の有する表面張力により沈降したスペーサ粒子11と接着性粒子12とを、基板14上に吐出した直後の液滴の中央部付近に寄せ集める。
このように媒体13の乾燥過程において、スペーサ粒子11及び接着性粒子12を吐出した直後のスペーサ分散液の液滴の中央部付近に寄せ集めるためには、媒体13の沸点、乾燥温度、乾燥時間、媒体13の表面張力、媒体13の基板表面(又は配向膜)に対する接触角、スペーサ粒子11及び接着性粒子12の濃度等を適切な条件に設定することが重要であるが、特に乾燥条件が重要である。
上記乾燥条件としては、例えば、スペーサ粒子11及び接着性粒子12が基板上を移動する間に媒体13がなくなってしまわないようにある程度の時間幅をもって乾燥することが好ましい。
このため媒体13が急激に乾燥してしまうような乾燥条件は好ましくない。また、媒体13は、高温で長時間配向膜と接触すると、配向膜上に吐出した場合、該配向膜を汚染して製造する液晶表示装置の表示品質を損なうことがあるので、高温長時間の乾燥条件は好ましくない。また、媒体13が常温で揮散しやすいと、インクジェット装置のノズル近辺の本発明のスペーサ分散液が乾燥しやすくなって吐出性が損なわれたり、本発明のスペーサ分散液の製造時や貯蔵タンク内での貯蔵時に乾燥によるスペーサ粒子の凝集が起こったりすることがあるので、常温で揮散しやすい媒体13は好ましくない。更に、基板の表面温度が比較的低い条件であっても、乾燥時間が著しく長くなると液晶表示装置の生産性が低下するので、低温長時間の乾燥条件も好ましくない。
このような制約条件を考慮すると、本発明のスペーサ分散液の液滴が基板上に着弾した時点での基板の表面温度としては特に限定されないが、スペーサ分散液の媒体中に含まれる最も低沸点の媒体成分の沸点より20℃以上低い温度であることが好ましい。20℃未満であると、最も低沸点の媒体成分が急激に揮散して、乾燥過程においてスペーサ粒子及び接着性粒子が移動できなくなったり、最も低沸点の媒体成分の急激な沸騰によって、スペーサ粒子及び接着性粒子が液滴ごと基板上を動き回り、スペーサ粒子の配置精度が著しく低下したりすることがある。
また、スペーサ分散液の液滴が基板上に着弾した後に基板の表面温度を徐々に上昇させながら媒体を揮散させる乾燥方法においては、スペーサ分散液の液滴が基板上に着弾した時点での基板の表面温度としては特に限定されないが、スペーサ分散液の媒体中に含まれる最も低沸点の媒体成分の沸点より20℃以上低い温度であって、かつ、乾燥が完了するまでの間の基板の表面温度が90℃以下であることが好ましく、より好ましくは70℃以下である。20℃未満であると、最も低沸点の分散媒体成分が急激に揮散して、乾燥過程においてスペーサ粒子及び接着性粒子が移動できなくなったり、最も低沸点の分散媒体成分の急激な沸騰によって、スペーサ粒子及び接着性粒子が液滴ごと基板上を動き回り、スペーサ粒子の配置精度が著しく低下したりすることがある。また、乾燥が完了するまでの間の基板の表面温度が90℃を超えると、配向膜上に吐出した場合、該配向膜を汚染して、製造する液晶表示装置の表示品質を損なうことがある。
上記条件で上記液滴中の媒体13の乾燥を完了させることで、図1(d)に示すように、上記液滴中に存在したスペーサ粒子11と接着性粒子12とが、基板14上に吐出した直後の液滴の中央部付近に凝集した状態で配置される。なお、媒体の乾燥の完了とは、基板上に吐出したスペーサ分散液の液滴が消失した時点を意味する。
その後、他の基板をスペーサ粒子を介して重ね合わせ、接着性粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱すると、接着性粒子は、スペーサ粒子の周囲で溶融又は軟化し、スペーサ粒子と基板とを強固に接着、固定するとともに、複数のスペーサ粒子間も固定するため、スペーサ粒子が基板に対して多点接着となり、非常に優れた接着性を有するものとなる。
基板上に配置されたスペーサ粒子が接着性粒子によって強固に固着される機構を模式的に説明する断面図を図3に示した。
図3(a)は、本発明のスペーサ分散液の液滴を、インクジェット方式により基板上の任意の位置に吐出し、媒体を乾燥させた後の状態を示す。ここで、スペーサ粒子11は基板14に接しており、その間に接着性粒子12が配置されている。この状態で加熱して接着性粒子12を溶融(図3(b1))又は軟化(図3(b2))させることにより、スペーサ粒子11は基板14により強固に固着される。
本発明のスペーサ分散液によると、インクジェット装置を用いて基板表面の任意の位置に正確にスペーサ粒子を配置することができるとともに、配置したスペーサ粒子を、基板表面に対して強固に接着、固定することができる。また、基板とスペーサ粒子との間に接着性粒子が介在することがないため、本発明のスペーサ分散液は、液晶表示装置を製造する際に2枚の基板の間隔を正確に制御することができる。
本発明のスペーサ分散液を、インクジェット方式により基板上の任意の位置に吐出する工程と、前記基板上に吐出した液滴中の媒体を乾燥させる工程と、接着性粒子のガラス転移温度以上に加熱して前記接着性粒子を溶融し、その後冷却してスペーサ粒子を基板に固着させる工程とを有する液晶表示装置の製造方法もまた、本発明の1つである。
更に、本発明の液晶表示装置の製造方法により製造してなる液晶表示装置もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、インクジェット装置を用いて基板表面の任意の位置にスペーサ粒子を正確に配置することができ、光抜けや、コントラストや色調が低下することのない、表示品質に優れる液晶表示装置を製造することができる。また、基板表面に配置したスペーサ粒子を、基板表面に対して強固に接着、固定することができるため、液晶表示装置の製造過程における液晶の注入時にスペーサ粒子が移動してしまうこともない。
更に、基板とスペーサ粒子との間に接着性粒子が介在することがないため、液晶表示装置を製造する際に2枚の基板の間隔を極めて正確に制御することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)接着性粒子の作製
4ツ口セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた1000mL容のセパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル150mmol、メタクリル酸イソブチル50mol、ジメタクリル酸エチレングリコール6mmol、メタクリル酸フェニルジメチルスルホニウムメチル硫酸塩4mmol、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]4水和物2mmol、及び、蒸留水500mLを秤量した後、200rpmで攪拌し、窒素雰囲気下、70℃で12時間重合を行った。
得られた樹脂微粒子分散液に2−エタノールアミン2mmolを添加し、更に、70℃で1時間攪拌した後、遠心分離繰作による、未反応モノマー、重合開始剤等の除去、洗浄を2回行い、表面に水酸基を有する接着性粒子を得た。
得られた接着性粒子について、動的光散乱粒度分布系(大塚電子社製、DLS8000)を用いて粒子径を調べたところ、平均粒径は0.25μm、CV値は8.8%であった。
また、凍結乾燥により水を除去した後、接着性粒子1gと10mLの超純水とを石英ガラス管に封入し、120℃、24時間加熱を行った。加熱後の水中のイオン濃度を、Naについてはフレームレス原子吸光光度法により、Cl,SO 2−についてはイオンクロマト法によりそれぞれ測定した結果、それぞれ、2.4ppm、3ppm、1ppm未満であり、イオン含有量の低い物であった。
(2)媒体の調製
エチレングリコール60重量部、イソプロピルアルコール20重量部及びイオン交換水20重量部を均一に攪拌混合して、媒体を調製した。得られた媒体の20℃における表面張力は、35mN/mであった。
(3)スペーサ分散液の調製
スペーサ粒子として、平均粒子径5.0μm(CV5%)のジビニルベンゼンを主成分とする粒子(商品名「ミクロパールSP−205」、積水化学工業製)を用いた。
スペーサ粒子2重量部、接着性粒子2重量部を媒体100重量部中にゆっくり添加し、ソニケータにより均一に攪拌混合して、スペーサ分散液を調製した。
(比較例1)
スペーサ分散液に接着性粒子を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてスペーサ分散液を調整した。
(比較例2)
(1)接着層を有するスペーサ粒子の合成
基材粒子として、粒子径5.0μm(CV5%)のジビニルベンゼンを主成分とする粒子(商品名「ミクロパールSP−205」,積水化学工業製)を用いた。
セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン200重量部、メタクリロイルイソシアナート30重量部、及び、基材粒子10重量部を秤量し、均一に攪拌混合して室温で30分間反応させることにより、表面に重合性ビニル基を有する粒子を得た。
メチルエチルケトンにより洗浄した後、メチルエチルケトン200重量部、メタクリル酸メチル84部、メタクリル酸イソブチル36部、及び、過酸化ベンゾイル0.5重量部を添加し、窒素気流下70℃で4時間グラフト重合反応を行い、接着層を有するスペーサ粒子を得た。
得られた接着性液晶スペーサの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、厚み100nmのほぼ均一な接着層が形成されていた。
(2)スペーサ分散液の調製
得られた接着層を有するスペーサ粒子2重量部を実施例1で調製した媒体100重量部中にゆっくり添加し、ソニケータにより均一に攪拌混合して、スペーサ分散液を調製した。
(評価)
実施例1及び比較例1、2で調製したスペーサ分散液をステンレスメッシュ(目開き10μm)で濾過して凝集物を除去した後、ピエゾ方式のヘッド先端に口径50μmのノズルを搭載したインクジェット装置にて、TFTアレイ基板のカラーフィルタ基板のブラックマトリックスに対応する位置を狙って、縦のライン1列おきに、縦のラインの上に110μm間隔でスペーサ分散液の液滴を吐出し、縦110μm×横150μmのピッチで液晶スペーサを配置した。なお、吐出の際のノズル(ヘッド面)と基板との間隔は0.5mmとし、ダブルパルス方式を用いた。このようにして配置したスペーサ粒子の散布密度は180個/mmであった。
ステージ上の基板に吐出されたスペーサ分散液が目視で完全に乾燥したのを確認した後、更に、残留した分散媒体を除去し、スペーサ粒子を基板に固着させるために、150℃に加熱されたホットプレート上に移して加熱し、15分放置し、その後室温にまで自然冷却した。
スペーサ粒子が配置されたTFTアレイ基板に対し、エアーガンにて風を当てる前後での1.0mmの範囲のスペーサ粒子数を計測し、残存したスペーサ粒子の割合を求めた。
なお、この際のエアーブロー条件としては、エアーブロー圧50N/cm及び100N/cm、ノズル口径2mm、垂直距離5mm、時間15秒の条件を用いた。
結果を表1に示した。
Figure 2007033797
本発明によれば、液晶表示装置を製造する際に2枚の基板の間隔を正確に制御することができ、かつ、基板表面に強固にスペーサ粒子を固定させることができるスペーサ分散液、及び、該スペーサ分散液を用いてなる液晶表示装置を提供できる。
本発明のスペーサ分散液を用いてスペーサ粒子を基板表面の所定の位置に固着させる様子を模式的に示す断面図である。 接着性粒子がスペーサ粒子の表面に固定化され複合化された1態様を模式的に示す断面図である。 基板上に配置されたスペーサ粒子が接着性粒子によって強固に固着される機構を模式的に説明する断面図である。 液晶表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 透明基板
2 偏光板
3 透明電極
4 カラーフィルタ
5 ブラックマトリクス
6 液晶
7 スペーサ
8 配向膜
9 シール材
11、21 スペーサ粒子
12、22 接着性粒子
13 媒体
14 基板

Claims (7)

  1. スペーサ粒子、接着性粒子、並びに、水及び/又は親水性有機溶剤からなる媒体を含有することを特徴とするスペーサ分散液。
  2. スペーサ粒子100重量部に対して、接着性粒子を1〜200重量部含有することを特長とする請求項1記載のスペーサ分散液。
  3. 媒体は、20℃における表面張力が25〜45N/mであることを特徴とする請求項1又は2記載のスペーサ分散液。
  4. 接着性粒子の平均粒子径がスペーサ粒子の平均粒子径の1/2以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のスペーサ分散液。
  5. 接着性粒子の軟化点が40〜120℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のスペーサ分散液。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載のスペーサ分散液の液滴を、インクジェット方式により基板上の任意の位置に吐出する工程と、前記基板上に吐出した液滴中の媒体を乾燥させる工程と、接着性粒子のガラス転移温度以上に加熱して前記接着性粒子を溶融又は軟化し、その後冷却してスペーサ粒子を基板に固着させる工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  7. 請求項6記載の液晶表示装置の製造方法により製造されなてることを特徴とする液晶表示装置。
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JP2009139706A (ja) * 2007-12-07 2009-06-25 Toshiba Matsushita Display Technology Co Ltd 基板装置およびその製造方法
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