JP2007052377A - 液晶スペーサ、液晶スペーサ分散液及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 液晶表示装置を製造する際に、基板表面に対する固着性が低下することがないため、製造する液晶表示装置に光抜けが起こりコントラストや色調が低下して表示品質が悪化することを好適に防止することができ、更に、製造する液晶表示装置のセルギャップを正確に制御することができる液晶スペーサ、該液晶スペーサを含有する液晶スペーサ分散液、及び、液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 基材粒子と、前記基材粒子の表面近傍に含浸された接着性樹脂とからなる液晶スペーサ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板に対して安定した固着性を発揮することができる液晶スペーサ、該液晶スペーサを含有する液晶スペーサ分散液、及び、液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、現在、パソコン、携帯電子機器等に広く用いられている。図1は液晶表示装置の一例を示す断面図である。図1に示されるように、一般に液晶表示装置は、内側に透明電極3、配向膜8、カラーフィルタ4、ブラックマトリクス5等が配置され、外側に偏光板2が配置された2枚の透明基板1が、これらの周囲に配設されたシール材9を介して対向配置され、形成された空隙に液晶6が封入された構成となされている。この液晶表示装置において、2枚の透明基板1の間隔を規制し、適正な液晶層の厚み(セルギャップ)を維持する目的で使用されているのが液晶スペーサ7である。
近年、液晶表示装置の表示部(画素領域)に液晶スペーサが配置されてしまうことによる光抜けの発生を防止する為に、液晶スペーサを遮光部(画素領域を画する部分)下にのみ配置することが行われており、液晶スペーサを所定の位置に正確に配置する方法が検討されている(例えば、特許文献1〜3等)。
このような液晶スペーサの配置方法の1つとして、近年、インクジェット装置を用いて液晶スペーサを含有する液晶スペーサ分散液を吐出して電極基板上の所定の位置に配置する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。この方法は、基板そのものに直接接触することなく、任意の位置に任意のパターンで液晶スペーサを配置することができることから有望視されている。
しかしながら、従来の液晶スペーサは基板に対する固着性が低いものであったため、インクジェット装置を用いて液晶スペーサを所定の位置に配置できたとしても、液晶スペーサの基板に対する固着力が低く、衝撃が加えられたり、液晶を注入する際に応力がかかったりしたときに液晶スペーサが基板から外れて、画素領域にまで移動してしまうことがあるという問題があった。
液晶スペーサの基板に対する固着性を向上させる方法としては、例えば、特許文献5に、シリカ粒子をコアとし、該シリカからなる基材粒子の表面に接着性を有する接着層を被覆してなるコアシェル型の液晶スペーサが開示されている。しかしながら、このような従来のコアシェル型の液晶スペーサでは、接着層自体の強度が弱く、ボールミルやジェットミルといった単粒子化工程で接着層が削られたり破壊されるという問題や、基材粒子と接着剤層との密着性が低く、インクジェット装置により吐出したりする際の衝撃により接着層が剥離してしまうことがあるという問題があった。
特開平4−198919号公報 特開平6―258647号公報 特開平10−339878号公報 特開昭57−58124号公報 特開2002−327030号公報
本発明は、上記現状に鑑み、基板に対して安定した固着性を発揮することができる液晶スペーサ、該液晶スペーサを含有する液晶スペーサ分散液、及び、液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明は、基材粒子と、前記基材粒子の表面近傍に含浸された接着性樹脂とからなる液晶スペーサである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、基材粒子と、接着性樹脂又は接着性樹脂の原料となる重合性単量体との混合物を、超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で処理することにより、接着性樹脂又は重合性単量体を基材粒子に含浸させることができ、このような工程を経て得られた液晶スペーサは、基板に対して安定した固着性を発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の液晶スペーサは、基材粒子を用いる。
上記基材粒子は、本発明の液晶スペーサを用いて液晶表示装置を製造する際に、2枚の基板に挟持され、これら2枚の基板の間隔を規制し、適正なセルギャップを維持する役割を果たすものである。
上記基材粒子を構成する材料としては特に限定されず、従来公知の有機材料等を用いることができる。
上記基材粒子を構成する有機材料としては特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン、メチルペンテン等のオレフィン類及びその誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;フッ化ビニル、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸グリセロール、テトラ(メタ)アクリル酸テトラメチロールメタン、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等アクリルアミド類等の重合性単量体用いた重合体、ポリアミド、(不)飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂が挙げられる。これらの有機材料は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
本発明の液晶スペーサを液晶表示装置に用いて適正なセルギャップを維持するため、上記基材粒子は架橋構造を有していることが好ましい。
上記架橋構造を有する基材粒子を得る方法としては、例えば、上記基材粒子を構成する有機材料の原料となる重合性単量体を重縮合させて基材粒子を作製した後、化学反応等により架橋を形成させる方法や、原料となる重合性単量体として多官能のものを用い、重縮合させる方法等が挙げられる。
また、上記基材粒子は、本発明の液晶スペーサを用いて製造した液晶表示素子のコントラストを向上させるために、着色された着色基材粒子であってもよい。
上記基材粒子を着色する方法としては特に限定されず、例えば、カーボンブラック、分散染料、酸性染料、塩基性染料、金属酸化物等の着色剤による着色処理法や、基材粒子の表面に有機物の膜を形成し、この有機物の膜を高温で分解又は炭化させて着色する方法等が挙げられ、いずれの方法が採られてもよい。なお、上記基材粒子を形成する原料自体が着色している場合には、着色処理を施すことなく、そのまま着色基材粒子として用いてもよい。
上記基材粒子の原料である重合性単量体の重合方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等従来公知の重合法が挙げられ、いずれの重合法であってもよい。
上記懸濁重合法及び乳化重合法は、粒子径分布が比較的広く、多分散の粒子を得ることができるので、多品種の粒子径の微粒子を製造する目的に適する。但し、懸濁重合法により製造した粒子を液晶スペーサとして用いる場合には、分級操作を行って、所望の粒子経や粒子径分布を有するものを選別して用いることが好ましい。
また、シード重合法は、分級操作を必要とせず、単分散の粒子を得ることができるので、特定の粒子経の微粒子を大量に製造する目的に適する。
上記重合法で用いられる媒体としては特に限定されず、使用する単量体の種類や単量体組成に応じて適宜選択すればよく、例えば、水;メタノール、エタノール及びプロパノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、2−ブタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の炭化水素類等が挙げられる。これらの媒体は、単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記基材粒子の平均粒子径としては用いられる液晶表示装置によって異なるため特に限定されないが、好ましい下限は0.5μmである。0.5μm未満であると、本発明の液晶スペーサを用いて製造する液晶表示装置のセルギャップが狭くなりすぎ、表示品質に優れる液晶表示装置を得ることができないことがある。より好ましい下限は1μmである。上限についても特に限定されないが、好ましい上限は10μm、より好ましい上限は5μmである。
なお、上記基材粒子の平均粒子径は、光学顕微鏡、電子顕微鏡、コールタカウンター等を用いて計測した粒子径を統計的に処理して求めることができる。
また、上記基材粒子の平均粒子径の変動係数(CV値)は10%以下であることが好ましい。10%を超えると、液晶表示装置を製造する際に、相対向する2枚の基板間の間隔を任意に制御することが困難になる。なお、上記変動係数とは、粒子径分布から得られる標準偏差を平均粒子径で除して得られる数値である。
また、上記基材粒子は、2枚の基板間の間隔を規制する液晶スペーサ(ギャップ材)として用いられるので、一定の強度を有していることが好ましく、上記基材粒子の直径が10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)の好ましい下限は2000MPa、好ましい上限は15000MPaである。2000MPa未満であると、液晶表示装置を組立てる際のプレス圧により、上記基材粒子が変形して、適切なギャップが出にくくなることがあり、15000MPaを超えると、本発明の液晶スペーサが液晶表示装置に組み込まれた際に、基板上の配向膜を傷つけて、表示異常が発生することがある。
なお、上記10%K値は、微小圧縮試験器(例えば、島津製作所製「PCT−200」等)を用い、粒子を直径50μmのダイアモンド製円柱からなる平滑圧子端面で、圧縮速度2.6mN/秒、最大試験荷重10gの条件下で基材粒子を圧縮した場合の圧縮変位(mm)を測定し、下記式により求めることができる。
K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S−3/2・R−1/2
F:基材粒子の10%圧縮変形における荷重値(N)
S:基材粒子の10%圧縮変形における圧縮変位(mm)
R:基材粒子の半径(mm)
10%K値が上記条件を満たす基材粒子を得るためには、基材粒子は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させてなる樹脂からなることが好ましく、この場合、構成成分として架橋性単量体を少なくとも20重量%含有することがより好ましい。
上記基材粒子は、9.8mNの荷重を負荷した後の回復率の下限が20%であることが好ましい。20%未満であると、本発明の液晶スペーサを圧縮した場合に変形しても元に戻らないため液晶表示装置の相対する基板同士を固定できないことがある。より好ましい下限は40%である。
本発明の液晶スペーサは、上記基材粒子の表面近傍に含浸された接着性樹脂を有する。
上記接着性樹脂は、本発明の液晶スペーサを用いて液晶表示装置を製造する際に、液晶スペーサを基板上に固着する役割を有する。
本発明の液晶スペーサにおいて、上記接着性樹脂は、上記基材粒子の表面近傍に含浸されている。
本明細書において接着性樹脂が基材粒子の表面近傍に含浸するとは、接着性樹脂が基材粒子の表面の分子構造の隙間に入り込み、一体化していることを意味する。
また、本明細書において接着性樹脂が基材粒子の表面近傍に含浸するとは、基材粒子の表面及び表面から基材粒子の中心に向かって内部に接着性樹脂が浸透している状態を意味し、好ましくは表面からの浸透距離が基材粒子の粒子径の1/10以下である。
上記接着性樹脂としては、上記基材粒子を基板の表面に固着させることができるものであれば特に限定されないが、加熱により軟化変形し、基板と上記基材粒子との接着面積が増大し、結果として接着力が強くなることから、熱可塑性樹脂が好適に用いられる。
上記接着性樹脂の軟化点としては特に限定されないが、好ましい下限は50℃、好ましい上限は120℃である。50℃未満であると、凝集等により本発明の液晶スペーサの取り扱い性が劣ることとなり、120℃を超えると、本発明の液晶スペーサを2枚の基板間に固定する際の加熱温度が高くなり、ガラス基板の負担が大きく、歪み等の原因となる場合がある。
上記接着性樹脂の原料である重合性単量体としては特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチルペンテン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類及びその誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;フッ化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;アクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、プロピレンジアクリルアミド等のアクリルアミド類;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体;フタル酸等のジカルボン酸類;ジアミン類;エポキシ類;ジアリルフタレート;ベンゾグアナミン;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、ベンゾグアナミン、トリアリルイソシアネート等が挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の液晶スペーサは、表面に親水性基を有してもよい。このような親水性基を有することにより、水系媒体中での分散性を向上させることができる。
このような親水性基としては特に限定されず、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。
本発明の液晶スペーサの製造方法としては、例えば、基材粒子と、接着性樹脂との混合物を、超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で処理して、前記接着性樹脂微粒子を前記基材粒子の表面近傍に含浸させる含浸工程を有する方法(以下、本発明の液晶スペーサの製造方法1ともいう);架橋構造を有する基材粒子と、接着性樹脂の原料となる重合性単量体との混合物を、超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で処理して、前記重合性単量体を前記基材粒子の表面近傍に含浸させる含浸工程と、基材粒子の表面近傍に含浸された前記重合性単量体を重合して接着性樹脂とする重合工程とを有する方法(以下、本発明の液晶スペーサの製造方法2ともいう)が挙げられる。
本発明の液晶スペーサの製造方法1では、基材粒子と接着性樹脂との混合物を超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で処理することにより、直接接着性樹脂微粒子を基材粒子に含浸させる。
本発明の液晶スペーサの製造方法2では、基材粒子と接着性樹脂の原料となる重合性単量体との混合物を超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で処理することにより、重合性単量体を基材粒子に含浸させた後、該重合性単量体を重合して接着性樹脂とする。
超臨界状態又は亜臨界状態にある流体は、気体の有する拡散性と液体の有する溶解性とを併せ持つ、又は、これに近い状態を有するものであり、極めて活性の高い状態である。このような超臨界状態又は亜臨界状態にある流体中に上記基材粒子を置くと、架橋されていることから溶解はしないまでも、その表面が適度に膨潤する。このような膨潤状態の基材粒子に、活性化された接着性樹脂又は接着性樹脂の原料となる重合性単量体が衝突すると、これらの接着性樹脂又は接着性樹脂の原料となる重合性単量体が上記基材粒子の表面に取り込まれる。このような衝突を繰り返すことにより、基材粒子の表面に接着性樹脂又は接着性樹脂の原料となる重合性単量体が均一に取り込まれる。その後、常温常圧状態に戻したときに、上記基材粒子は元の状態に戻るが、接着性樹脂又は接着性樹脂の原料となる重合性単量体は基材粒子の表面に取り込まれたままとなり、その接着性を発揮することができる。また、含浸によっても基材粒子自体の粒子径はほとんど変化しないことから、極めて均一な粒子径の液晶スペーサを得ることができる。
本明細書において、超臨界状態の流体とは、臨界圧力(以下、Pcともいう)以上、かつ、臨界温度(以下、Tcともいう)以上の条件の流体を意味する。また、亜臨界流体とは、超臨界状態以外の状態であって、反応時の圧力、温度をそれぞれP、Tとしたときに、0.5<P/Pc<1.0かつ0.5<T/Tc、又は、0.5<P/Pcかつ0.5<T/Tc<1.0の条件の流体を意味する。上記亜臨界状態の流体の好ましい圧力、温度の範囲は、0.6<P/Pc<1.0かつ0.6<T/Tc、又は、0.6<P/Pcかつ0.6<T/Tc<1.0である。ただし、流体が水である場合には、亜臨界流体となる温度、圧力の範囲は、0.5<P/Pc<1.0かつ0.5<T/Tc、又は、0.5<P/Pcかつ0.5<T/Tc<1.0である。なお、ここで温度は摂氏を表すが、Tc又はTのいずれかが摂氏ではマイナスである場合には、温度に関しては亜臨界状態を満たしているものとして扱い、圧力が0.5<P/Pcの条件を満たすときには亜臨界状態にあるものとする。
上記流体としては、常温常圧で上記基材粒子を膨潤又は溶解しないものであれば特に限定されず、例えば、水やアルコール等の有機媒体等の常温常圧で液体であるものであってもよいし、二酸化炭素、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン、空気等の常温常圧で気体であるものであってもよいし、また、これらの混合流体であってもよい。ただし、常温常圧では液体であるものを少なくとも1種含有することが好ましい。上記流体が常温常圧で気体であるもののみからなる場合には、流体中に上記重合性単量体を溶解させるために極めて高い圧力や温度を要する場合がある。なお、上記流体として混合流体を用いる場合には、混合流体を構成する流体の少なくとも1成分が超臨界状態又は亜臨界状態になればよい。
上記常温常圧で液体である流体としては水及び/又はアルコールが好ましい。水は使いやすい媒体であるうえ、安価であるので経済的であり、環境に与える影響の点でも好ましい。また、メタノール等のアルコールも、同様の理由により好ましい。更に、2級アルコールであるイソプロパノールを用いれば、加水分解を抑制することができる。
また、常温常圧で上記基材粒子を溶解又は膨潤しない限りにおいて、ヘキサン、ヘプタン、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロヘキサン、ブテン等の飽和、不飽和、直鎖、分岐、環状飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、スチレン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶剤;アセトン、イソブチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤;イソ吉草酸、酢酸等のカルボン酸系化合物;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤;ヘキサメチレンジアミン等のアミン系有機溶剤;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のアクリル系有機溶剤;ジメチルスルホキシド、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等も用いることができる。これらの有機溶媒は、ハロゲン化等によりその一部又は全部が変性されていてもよい。
上記流体を加熱及び/又は加圧することで超臨界状態又は亜臨界状態とすることができる。例えば、上記流体が水である場合、約374℃以上の温度かつ約22MPa以上の圧力により、また、上記流体がメタノールである場合、約240℃以上の温度かつ約8MPa以上の圧力により超臨界状態になることが知られている。
上記流体を加熱及び/又は加圧する方法としては特に限定されず、例えば、オートクレーブ等の従来公知の耐熱容器を用いる方法が挙げられる。
上記超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で処理して、接着性樹脂を基材粒子の表面近傍に含浸する方法としては特に限定されず、含浸する接着性樹脂の種類や分子量、又は、基材粒子の架橋度等を調整することにより適宜設計することができる。
本発明の液晶スペーサは、水及び/又は親水性有機溶剤からなる分散液中に分散させて液晶スペーサ分散液とすることで、インクジェット装置等を用いて、基板上の所定の位置に正確に分散配置することができる。
一般にインクジェット装置は、媒体が水又は親水性有機溶剤である場合に安定的に吐出できる傾向があり、媒体が疎水性の強い有機溶剤である場合には、ヘッドを構成する部材が媒体に侵されたり、部材を接着する接着剤の一部が媒体中に溶出したりする等の問題が生じる。
このような本発明の液晶スペーサと、該液晶スペーサを分散させる分散液とからなる液晶スペーサ分散液もまた、本発明の1つである。
上記水としては特に限定されず、例えば、イオン交換水、純水、地下水、水道水、工業用水等が挙げられる。これらは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されてもよい。
上記親水性有機溶剤としては特に限定されず、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のモノアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のエチレングリコールの多量体;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のプロピレングリコールの多量体;エチレングリコールの多量体やプロピレングリコールの多量体のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノイソプロピルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等の低級モノアルキルエーテル類;エチレングリコールの多量体やプロピレングリコールの多量体のジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル等の低級ジアルキルエーテル類;エチレングリコールの多量体やプロピレングリコールの多量体のモノアセテート、ジアセテート等のアルキルエステル類;1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−ヘキセン−2,5−ジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール類;ジオール類のエーテル誘導体;ジオール類のアセテート誘導体;グリセリン、1,2,4−−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;多価アルコール類のエーテル誘導体;多価アルコール類のアセテート誘導体等や、ジメチルスルホキシド、チオジグリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジン、スルホラン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、α−テルピネオール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビス−β−ヒドロキシエチルスルホン、ビス−β−ヒドロキシエチルウレア、N,N−ジエチルエタノールアミン、アビエチノール、ジアセトンアルコール、尿素等が挙げられる。これらの親水性有機溶剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
また、上記水及び親水性有機溶剤は、それぞれ単独で用いられてもよいし、両者が併用されてもよい。
本発明の液晶スペーサ分散液において、インクジェット装置を用いて本発明の液晶スペーサの配置を行う場合、上記水及び/又は親水性有機溶剤からなる媒体は、20℃における表面張力の下限が25mN/m、上限が45mN/mであることが必要である。上記媒体の20℃における表面張力が上記範囲を逸脱すると、得られる液晶スペーサ分散液の吐出性や吐出精度が不充分となる。
本発明で用いられる媒体には、沸点が100℃未満の親水性有機溶剤が含有されていることが好ましく、より好ましくは沸点が70℃以上100℃未満の親水性有機溶剤が含有されていることである。なお、本明細書において、沸点とは、1気圧の条件下での沸点を意味する。
上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤としては特に限定されず、例えば、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール等の低級モノアルコール類やアセトン等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤は、本発明の液晶スペーサ分散液を基板上に吐出した後、乾燥させる際に比較的低い温度で揮発する。特に、本発明の液晶スペーサ分散液においては、配向膜に媒体が高温で接触すると配向膜を汚染して液晶表示装置の表示品質を損なうため、乾燥温度をあまり高くすることができない。従って、上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤を用いることが好ましい。但し、上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤が室温で揮散しやすいと、本発明の液晶スペーサ分散液の製造時や貯蔵時に凝集粒子が発生しやすくなったり、インクジェット装置のノズル付近の本発明の液晶スペーサ分散液が乾燥しやすくなって、インクジェット吐出性が損なわれたりするので、室温で揮散しやすい親水性有機溶剤は好ましくない。
また、上記沸点が100℃未満の親水性有機溶剤は、特に限定されるものではないが、20℃における表面張力の上限が25mN/mであることが好ましい。
一般にインクジェット装置は、吐出する液晶スペーサ分散液の20℃における表面張力が30〜50mN/mである場合に良好な吐出精度を示す。一方、基板上に吐出された液晶スペーサ分散液の液滴の表面張力は高い方が液晶スペーサを乾燥過程で移動させるのに適している。
沸点が100℃未満の親水性有機溶剤の20℃における表面張力が25mN/m以下であると、吐出時においては本発明の液晶スペーサ分散液の表面張力が比較的低い状態にあるので、良好な吐出精度を得ることが可能となり、基板上に吐出された後は、本発明の液晶スペーサ分散液中の他の媒体成分より先に揮散して、本発明の液晶スペーサ分散液の表面張力が高くなるので、乾燥過程における液晶スペーサの移動が容易となる。
本発明で用いられる媒体中における沸点が100℃未満の親水性有機溶剤の含有量は、媒体の20℃における表面張力の下限が25mN/m、上限が45mN/mの範囲を逸脱しない量であれば特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は80重量%である。10重量%未満であると、沸点が100℃未満の親水性有機溶剤を含有させることによる上記効果を充分に得られないことがあり、80重量%を超えると、本発明の液晶スペーサ分散液の製造時や貯蔵時に乾燥しやすくなって凝集粒子が発生したり、インクジェット装置のノズル近辺の本発明の液晶スペーサ分散液が過剰に乾燥たりして、吐出性や吐出精度が損なわれることがある。
また、本発明で用いられる媒体には、沸点が150℃以上の親水性有機溶剤が含有されていることが好ましく、より好ましくは沸点が150〜200℃の親水性有機溶剤が含有されていることである。
上記沸点が150℃以上の親水性有機溶剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等の低級アルコールエーテル類等が挙げられる。これは、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記沸点が150℃以上の親水性有機溶剤は、本発明の液晶スペーサ分散液の製造時や貯蔵時に乾燥して凝集粒子が発生するのを抑制したり、インクジェット装置を用いて本発明の液晶スペーサの配置を行う場合、ノズル近辺で本発明の液晶スペーサ分散液が過剰に乾燥して吐出性や吐出精度が損なわれたりするのを抑制することができる。
また、上記沸点が150℃以上の親水性有機溶剤は、特に限定されるものではないが、20℃における表面張力の下限が30mN/mであることが好ましい。沸点が150℃以上の親水性有機溶剤の20℃における表面張力の下限が30mN/mであると、基板上に吐出された本発明の液晶スペーサ分散液から沸点のより低い親水性有機溶剤が揮散した後に、本発明の液晶スペーサ分散液の表面張力が高く保たれるので、乾燥過程における液晶スペーサの移動が容易となる。
本発明で用いられる媒体中における沸点が150℃以上の親水性有機溶剤の含有量は、媒体の20℃における表面張力の下限が25mN/m、上限が45mN/mの範囲を逸脱しない量であれば特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は80重量%である。10重量%未満であると、沸点が150℃以上の親水性有機溶剤を含有させることによる上記効果を充分に得られないことがあり、80重量%を超えると、本発明の液晶スペーサ分散液の乾燥時間が著しく長くなって生産性が低下したり、配向膜が汚染されて液晶表示装置の表示品質が損なわれたりすることがある。
本発明の液晶スペーサ分散液中における本発明の液晶スペーサの固形分濃度としては特に限定されないが、好ましい下限は0.05重量%、好ましい上限は10重量%である。0.05重量%未満であると、吐出された本発明の液晶スペーサ分散液の液滴中に有効量の液晶スペーサが含まれなくなることがあり、20重量%を超えると、インクジェット装置を用いて本発明の液晶スペーサの配置を行う場合、インクジェット装置のノズルが閉塞しやすくなったり、吐出された本発明の液晶スペーサ分散液の液滴中の液晶スペーサの含有量が過剰となって、乾燥過程における本発明の液晶スペーサの移動が困難となったりすることがある。より好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は10重量%である。
本発明の液晶スペーサ分散液においては、本発明の液晶スペーサが上記媒体中に単粒子状に分散していることが好ましい。本発明の液晶スペーサが媒体中に単粒子状に分散しておらず凝集状態にあると、インクジェット装置を用いて本発明の液晶スペーサの配置を行う場合、吐出性や吐出精度が低下したり、インクジェット装置のノズル閉塞を起こしたりすることがある。
また、本発明の液晶スペーサ分散液には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、粘接着性付与剤、粘性調整剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤等の各種添加剤の1種類又は2種類以上が添加されていてもよい。
本発明の液晶スペーサ分散液を基板上の所定の位置に吐出する方法としては、使用するインクジェット装置等により適宜決定される。
インクジェット装置を用いて本発明の液晶スペーサの配置を行う場合、上記インクジェット装置としては特に限定されず、例えば、ピエゾ素子の振動によって液体をノズルから吐出させるピエゾ方式、急激な加熱による液体の膨張を利用して液体をノズルから吐出させるサーマル方式、発熱素子の急激な加熱によって液体をノズルから吐出させるバブルジェット(登録商標)方式等が挙げられ、いずれの方式が採られてもよい。
上記インクジェット装置のノズル口径としては特に限定されないが、好ましい下限は20μmであり、好ましい上限は100μmである。20μm未満であると、粒子径が2〜10μmの本発明の液晶スペーサを吐出した場合に、粒子径との差が小さすぎて吐出精度が低下したり、ノズル閉塞を起こして吐出不能となったりすることがある。100μmを超えると、吐出される液滴の径が大きくなって、基板上に吐出された液滴の径も大きくなるので、本発明の液晶スペーサの配置精度が粗くなることがある。
上記ノズルから吐出される液滴の径としては特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限は80μmである。
ノズルから吐出される液滴の径を上記好ましい範囲に制御する方法としては特に限定されず、例えば、ノズルの口径を最適化する方法やインクジェット装置を制御する電気信号を最適化する方法等が挙げられ、いずれの方法が採られてもよい。特に、ピエゾ方式のインクジェット装置を用いる場合には、後者の方法を採ることが好ましい。
また、基板上に吐出された液滴の径としては特に限定されないが、好ましい下限は30μmであり、好ましい上限は150μmである。30μm未満とするためには、ノズル口径を非常に小さくする必要が生じ、本発明の液晶スペーサによるノズル閉塞の可能性が大きくなったり、ノズル加工の精度を高めなければならなくなったりすることがある。150μmを超えると、本発明の液晶スペーサの配置精度が粗くなることがある。
本発明の液晶スペーサ分散液の吐出の対象となる基板としては特に限定されず、例えば、ガラス板や樹脂板等の一般的に液晶表示装置のパネル基板として用いられているものが挙げられる。
このような本発明の液晶スペーサ分散液を用いることで、本発明の液晶スペーサを所定の位置に正確に配置することができ、また、製造する液晶表示装置のセルギャップを正確に制御することができるとともに、本発明の液晶スペーサを上記基板に強固に接着固定することができる。
このような本発明の液晶スペーサ分散液を用いてなる液晶表示装置もまた、本発明の1つである。
本発明の液晶スペーサは、液晶表示装置のセルギャップを制御する液晶スペーサとして充分な強度等を備えた架橋構造を有する基材粒子の表面近傍に接着性樹脂が含浸された構造であるため、該接着性樹脂と基材粒子との密着性が極めて高く、液晶表示装置の製造過程等で接着性樹脂が基材粒子から剥離することがない。従って、本発明の液晶スペーサは、基板表面に対する固着性が低下することがないため、基板上に確実に固着させることができ、液晶スペーサが移動することに起因した製造する液晶表示装置に光抜けが起こりコントラスト低下や色調が低下して表示品質が悪化することを好適に防止することができる。更に、製造する液晶表示装置のセルギャップを正確に制御することができる。
本発明によれば、基板に対して安定した固着性を発揮することができる液晶スペーサ、該液晶スペーサを含有する液晶スペーサ分散液、及び、液晶表示装置を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)液晶スペーサの調製
ジビニルベンゼンを主成分とする平均粒子径5.01μm(CV値4.9%)の基材樹脂微粒子(積水化学工業社製ミクロパール SP−205)10重量部と、メタクリル酸メチル−メタクリル酸イソブチル共重合体(メタクリル酸メチルとメタクリル酸2エチルヘキシルとの重合比率が64重量%:36重量%)10重量部との混合物を1時間超音波処理した後、内容積100mLのオートクレーブ容器にスターラーと共に入れた。密閉後、オートクレーブ容器中に流体ポンプを用いて、室温での内圧が12MPaになるまで二酸化炭素を導入した。その後、オートクレーブ容器を120℃の油浴中に浸漬し、圧力を15MPaに保ちつつ1時間処理を行った。
オートクレーブ容器を水冷後、解圧を行い、得られた分散液を遠心分離、上澄みの除去、純水の追加、超音波分散からなる一連の操作を3回行った後、乾燥を行い、液晶スペーサ[1]を得たがSEM観察により、一部凝集が認められた。
更に、φ5mmジルコニウムボールを用い、ボールミル解砕(1時間)により単粒子化を行った。
得られた液晶スペーサ[1]の平均粒子径は5.05μm、粒子径のCV値は4.9%であった。
また、液晶スペーサ[1]の断面をルテニウム染色し透過型電子顕微鏡で撮影し測定した含浸層の厚みは50nmであった。
(2)液晶スペーサ分散液の調製
エチレングリコール60重量部、イソプロピルアルコール20重量部及びイオン交換水20重量部を均一に攪拌混合して、媒体を調製した。得られた媒体の20℃における表面張力は、35mN/mであった。得られた液晶スペーサ[1]0.5重量部を媒体100重量部中にゆっくり添加し、ソニケータにより均−に攪拌混合して、液晶スペーサ分散液[1]を調製した。
(3)液晶スペーサの配置
インクジェット装置を用いて得られた液晶スペーサ分散液[1]を基板上に吐出し、液晶スペーサの配置を行った。
取り付けられたヒーターで45℃に加熱されたステージ上に所定のTFTアレイ基板を載せた。調製した液晶スペーサ分散液をステンレスメッシュ(目開き10μm)で濾過して凝集物を除去した後、ピエゾ方式のヘッド先端に口径50μmのノズルを搭載したインクジェット装置にて、TFTアレイ基板のカラーフィルタ基板のブラックマトリックスに対応する位置を狙って、縦のライン1列おきに、縦のラインの上に110μm間隔で液晶スペーサ分散液の液滴を吐出し、縦110μm×横150μmのピッチで液晶スペーサを配置した。なお、吐出の際のノズル(ヘッド面)と基板との間隔は0.5mmとし、ダブルパルス方式を用いた。このようにして配置した液晶スペーサの散布密度は180個/mmであった。
ステージ上の基板に吐出された液晶スペーサ分散液が目視で完全に乾燥したのを確認した後、更に、残留した分散媒体を除去し、液晶スペーサを基板に固着させるために、150℃に加熱されたホットプレート上に移して加熱し、15分放置した。
液晶スペーサを配置したTFTアレイ基板とカラーフィルタガラス基板との周辺部をシール剤を介して貼り合わせ、シール剤を150℃で1時間加熱することにより硬化させて、セルギャップが液晶スペーサの基材粒子の粒子径となるような空セルを作製した後、この空セルに真空法で液晶(商品名「ZLI−4720−000」、メルク社製)を充填し、封口剤で注入口を封止して液晶表示装置を作製した。
(実施例2)
(1)液晶スペーサの調製
ジビニルベンゼンを主成分とする平均粒子径5.01μm(CV値4.9%)の基材樹脂微粒子(積水化学工業社製ミクロパール SP−205)10重量部と、メタクリル酸メチル6.4重量部、メタクリル酸2エチルヘキシル3.6重量部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.02重量部との混合物を1時間超音波処理した後、内容積100mLのオートクレーブ容器にスターラーと共に入れた。密閉後、オートクレーブ容器中に流体ポンプを用いて、室温での内圧が12MPaになるまで二酸化炭素を導入した。その後、オートクレーブ容器を120℃の油浴中に浸漬し、圧力を15MPaに保ちつつ1時間処理を行った。
オートクレーブ容器を水冷後、解圧を行い、得られた分散液を遠心分離、上澄みの除去、純水の追加、超音波分散からなる一連の操作を3回行った後、乾燥を行い、基材粒子の表面にメタクリル酸メチル/メタクリル酸イソブチル共重合体が含浸した液晶スペーサ[2]を得たが、SEM観察により、一部凝集が認められた。
更に、φ5mmジルコニウムボールを用い、ボールミル解砕(1時間)により単粒子化を行った。
得られた液晶スペーサ[2]の平均粒子径は5.03μm、粒子径のCV値は4.9%、含浸層の厚みは50nmであった。
(2)液晶スペーサ分散液の調製、液晶スペーサの配置
得られた液晶スペーサ[2]を用いた以外は実施例1と同様にして、液晶スペーサ分散液[2]を調製し、インクジェット装置を用いて液晶スペーサを配置した。
(比較例1)
ジビニルベンゼンを主成分とする平均粒子径5.01μm(CV値4.9%)の基材樹脂微粒子(積水化学工業社製ミクロパール SP−205)をスペーサ[3]として実施例1と同様にしてスペーサ分散液[3]を調整し、インクジェット装置を用いて液晶スペーサを配置した。
(比較例2)
基材粒子として、粒子径5.01μm(CV4.9%)のジビニルベンゼンを主成分とする粒子(商品名「ミクロパールSP−205」,積水化学工業製)を用いた。
セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン200重量部、メタクリロイルイソシアナート30重量部、及び、基材粒子10重量部を秤量し、均一に攪拌混合して室温で30分間反応させることにより、表面に重合性ビニル基を有する粒子を得た。
メチルエチルケトンにより洗浄した後、メチルエチルケトン200重量部、タクリル酸メチル64重量部、メタクリル酸2エチルヘキシル36重量部、及び、過酸化ベンゾイル0.5重量部を添加し、窒素気流下70℃で4時間グラフト重合反応を行い、接着層を有する接着性液晶スペーサ[4]を得た。
得られた接着性液晶スペーサ[4]の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、厚み100nmのほぼ均一な接着層が形成されていた。しかし、凝集が多数散見されたことから、φ5mmジルコニウムボールを用い、ボールミル解砕(1時間)により単粒子化を行った。
ボールミル解砕後、SEM観察を行ったところ、ほとんどの液晶スペーサ粒子において接着層が破壊されていた。
得られた液晶スペーサ[4]の平均粒子径は5.10μm、粒子径のCV値は5.1%であった。
液晶スペーサ[4]を用いた以外は実施例1と同様にしてスペーサ分散液[4]を調整し、インクジェット装置を用いて液晶スペーサを配置した。
実施例1、2及び比較例1、2で得られた各液晶スペーサについて、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
(1)固着性
カラーフィルタガラス基板と貼り合わせる前の液晶スペーサが散布され熱処理されたTFTアレイ基板に対し、エアーガンにて風を当てる前後での1.0mmの範囲の液晶スペーサ数を計測し、残存した粒子数の割合を計算し百分率で求めた。なお、この際のエアーブロー条件としては、エアーブロー圧50N/cm及び100N/cm、ノズル口径2mm、垂直距離5mm、時間15秒の条件を用いた。
(2)表示画質
液晶表示装置に所定の電圧を印加して、液晶スペーサに起因する光抜け等の表示不良の有無を電子顕微鏡で観察し、下記判定基準により表示画質を評価した。
○…表示領域中に液晶スペーサが殆ど認められず、液晶スペーサ起因の光抜けがなく良好な画質であった。
△…表示領域中に若干の液晶スペーサが認められ、液晶スペーサ起因の光抜けがあった。
×…表示領域中に液晶スペーサが多数認められ、液晶スペーサ起因の光抜けがあった。
Figure 2007052377
本発明によれば、基板に対して安定した固着性を発揮することができる液晶スペーサ、該液晶スペーサを含有する液晶スペーサ分散液、及び、液晶表示装置を提供することができる。
液晶表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 透明基板
2 偏光板
3 透明電極
4 カラーフィルタ
5 ブラックマトリクス
6 液晶
7 液晶スペーサ
8 配向膜
9 シール材

Claims (6)

  1. 基材粒子と、前記基材粒子の表面近傍に含浸された接着性樹脂とからなることを特徴とする液晶スペーサ。
  2. 基材粒子と、接着性樹脂との混合物を、超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で処理して、前記接着性樹脂微粒子を前記基材粒子の表面近傍に含浸させる含浸工程を有することを特徴とする液晶スペーサの製造方法。
  3. 基材粒子と、接着性樹脂の原料となる重合性単量体との混合物を、超臨界状態又は亜臨界状態の流体中で処理して、前記重合性単量体を前記基材粒子の表面近傍に含浸させる含浸工程と、基材粒子の表面近傍に含浸された前記重合性単量体を重合して接着性樹脂とする重合工程とを有することを特徴とする液晶スペーサの製造方法。
  4. 請求項1記載の液晶スペーサと、前記液晶スペーサを分散させる水及び/又は有機溶剤とからなることを特徴とする液晶スペーサ分散液。
  5. 水及び/又は親水性有機溶剤の20℃における表面張力が25〜45mN/mであり、かつ、前記水及び/又は親水性有機溶剤中に液晶スペーサが単粒子状に分散していることを特徴とする請求項4記載の液晶スペーサ分散液。
  6. 請求項4又は5記載の液晶スペーサ分散液をインクジェット方式により基板上の任意の位置に配置してなることを特徴とする液晶表示装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017001027A (ja) * 2015-06-10 2017-01-05 三洋化成工業株式会社 複合粒子及び分散体の製造方法

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