JP2013220976A - 中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法及び分散安定性に優れた中性コロイダルシリカ分散液 - Google Patents

中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法及び分散安定性に優れた中性コロイダルシリカ分散液 Download PDF

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Abstract

【解決課題】pH5〜8.5の中性コロイダルシリカ分散液について、長時間に亘って二層分離現象の発生を防止することができ、得られたコロイダルシリカ分散液も中性に近いpH6.0〜8.1を有する中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法、及び分散安定性に優れた中性コロイダルシリカ分散液を提供する。
【解決手段】加水分解触媒の存在下にオルガノシリケートを加水分解して得られたシリカ濃度10〜40重量%及びpH5〜8.5のコロイダルシリカ分散液に対して、炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス吹込み方法、及び/又は、撹拌下に濃度20重量%以下の酸水溶液を添加する酸水溶液添加方法による分散安定化処理を行う中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法であり、また、シリカ濃度10〜40重量%及びpH6.0〜8.1の分散安定性に優れた中性コロイダルシリカ分散液である。
【選択図】なし

Description

この発明は、例えば半導体装置の製造工程でシリコンウエハの鏡面研磨、酸化チタン光触媒等のハードコート剤用途において有機溶剤と混合使用されるバインダー、セラミック炉材やセラミックスファイバー等のセラミックス用途において使用されるバインダー、クロム酸系の金属表面処理剤、地盤改良注入剤等の種々の用途に好適な中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法、及びこの方法により得られた分散安定性に優れた中性コロイダルシリカ分散液に関する。
高純度のコロイダルシリカを工業的に製造する方法として、珪酸ソーダ水溶液をイオン交換する方法、四塩化珪素の熱分解法、オルガノシリケートを酸触媒又はアルカリ触媒の存在下に水−アルコール混合溶媒中で加水分解する方法等が提案され実施されているが、オルガノシリケートを加水分解する方法は、反応に用いるオルガノシリケート、触媒及び溶媒等として高純度のものを使用することができるために、これら原料等に由来する不純物が極めて少なく、特に金属不純物含有量の少ない高純度コロイダルシリカを製造する方法として適しており、これまでに、このオルガノシリケートの加水分解法に関する幾つかの方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、高純度のオルガノシリケートを水酸化第四アンモニウム及び分散剤(水溶性界面活性剤等)の存在下に加水分解する方法が開示されており、また、その実施例には、加水分解反応で得られた反応混合物を減圧濃縮することにより、pH9〜10及びシリカ濃度10%のコロイダルシリカを得たことが記載されている。
また、特許文献2には、アルコキシシランに対してモル比0.5〜10のアルカリ触媒を使用し、水−アルコール混合溶媒中の水濃度を5〜20mol/Lとし、反応温度30℃以上で加水分解する方法が開示されており、また、その実施例1には、アルカリ触媒としてアンモニアを用い、テトラメトキシシランの加水分解反応で得られたシリカゾル液を100トル(Torr)で最終液温度が51℃になるまで減圧濃縮することにより、粒径100nm以下で単分散性が高くpH8.0のコロイダルシリカを得たことが記載されている。
更に、特許文献3には、反応媒体をアルカリ濃度0.002〜0.1モル/L及び水濃度30モル/L以上に保ちながら、この反応媒体に上記アルカリ1モルに対しSi原子として7〜80モルのアルキルシリケートを加え、45℃〜反応媒体の沸点以下の温度でアルキルシリケートの加水分解を行い、生成した珪酸の重合を進行させて3〜100nmの粒子径を有するシリカゾルを製造する方法が開示されており、その実施例1には、加水分解反応で得られた反応混合物を減圧濃縮することによりpH10.6及びシリカ濃度22.2重量%のシリカゾルを得ると共に、このシリカゾルを陽イオン交換樹脂で処理することによりpH4.7及びシリカ濃度19.8重量%の酸性シリカゾルを得たことが記載されている。
そして、特許文献4には、先ず、アルミニウム化合物を含有するアルカリ性シリカゾルを調製し、次いでこのアルミニウム化合物含有アルカリ性シリカゾルを陽イオン交換樹脂で処理して脱アルカリすることにより酸性シリカゾルを製造する方法が開示されており、また、特許文献5には、粒子径4〜30及びpH2〜9のシリカゾルにAl2O3/SiO2モル比0.0006〜0.004となるようにアルミン酸アルカリ水溶液を添加し、次いでイオン交換樹脂に接触させてpH2〜5及び粒子径4〜30の安定な酸性シリカゾルを製造する方法が開示されている。
更に、特許文献6には、加水分解可能な珪素化合物を加水分解・縮合して得られたコロイダルシリカを、シランカップリング剤等の変性剤で変性し、酸性分散媒であっても凝集やゲル化を起こすことがなく、長期間安定分散が可能で金属不純物含有量が極めて少ない高純度の変性コロイダルシリカを製造する方法が開示されている。
更にまた、特許文献7には、珪酸アルカリ水溶液からアルカリを除去して得られた活性珪酸水溶液と第4アンモニウム塩基によって製造される第4アンモニウム塩基によって安定化されたコロイダルシリカであって、アルカリ金属を含まず、25℃における酸解離定数の逆数の対数値(pKa)が8.0〜12.5の弱酸及び第4アンモニウム塩基を組み合わせた緩衝溶液を含み、25℃においてpH8〜11の間で緩衝作用を有し、また、pHが10.2又は10.3のコロイダルシリカ分散液からなる半導体ウエハ研磨用組成物が開示されている。
ところで、様々な用途に用いられるコロイダルシリカ分散液については、例えば半導体ウエハの研磨剤の分野では、今日のLSIの高集積化に伴って様々な種類の金属の配線や酸化膜等が1枚のウエハ上に存在し、また、各々の半導体ウエハについてそれぞれに適した研磨性能が要求されることから、微妙に異なる様々な組成や性状のコロイダルシリカが要求されており、また、例えばハードコート剤用途やセラミックス用途等のバインダー、クロム酸系の金属表面処理剤、地盤改良注入剤等の用途の分野では、僅かなアルカリ金属不純物の含有も嫌うほか、酸性のコロイダルシリカが要求されている。
そこで、本発明者らは、先に、酸処理やイオン交換処理、更には変性処理等の特別な後処理をする必要がなく、また、アルカリ金属を始めとして金属不純物含有量が極めて少なく、しかも、例えば電子顕微鏡による粒度分布分析で求められる平均粒子径が5〜500nmの範囲で、標準偏差20以下及び多分散度指数0.15以下である球状コロイダルシリカ等の所定の性状を有するコロイダルシリカを容易に製造することができる方法について検討し、その結果、加水分解速度の速い易加水分解性オルガノシリケートを用い、また、加水分解触媒として特定の加水分解触媒を用い、この加水分解触媒を、少なくとも反応終了時の反応混合物中におけるシリカ(B)に対する加水分解触媒(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}が所定の値以下となるように、添加して反応させることにより、酸処理やイオン交換処理等の特別な後処理を行うことなく、容易にpH5〜8の中性コロイダルシリカを製造することができる中性コロイダルシリカの製造方法を提案した(特許文献8)。
特公平04-056,774号公報 特公平04-065,006号公報 特開平06-316,407号公報 特公平04-055,126号公報 特開平06-199,515号公報 特開2005-162,533号公報 特開2008-072,094号公報 特開2007-153,732号公報
ところで、上記特許文献8の方法によるとその後の検討によりpH5〜8.5程度までの中性コロイダルシリカ分散液の製造が可能であるが、このようなpH5〜8.5の中性コロイダルシリカ分散液は、そのシリカ粒子が単分散粒子であり、一般に、その製造直後にはシリカ粒子が均一に分散しているものの、数時間あるいは数日が経過すると、一部のシリカ粒子のブラウン運動が制約されて沈降し、ブラウン運動が維持されている上方部分とブラウン運動が停止して沈降した下方部分の二層に分離する現象が生じ、このように二層分離したコロイダルシリカ分散液を、例えばシリコンウエハの鏡面研磨剤等の用途に用いると、研磨前半と後半で研磨速度に差が出る等の如き弊害が生じる。
そこで、本発明者らは、上記の如きpH5〜8.5の中性コロイダルシリカ分散液について、できるだけそのpHを中性に維持しながら、如何にして上記の二層分離現象を防止するかについて鋭意検討した結果、意外なことには、撹拌下に炭酸ガス及び濃度20重量%以下の酸水溶液から選ばれた1種又は2種以上の酸を添加することにより解決できることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、pH5〜8.5の中性コロイダルシリカ分散液について、長時間に亘って二層分離現象の発生を防止することができ、得られたコロイダルシリカ分散液も中性に近いpH6.0〜8.1を有する中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、上記のコロイダルシリカ分散液の分散安定化方法によって調製され、シリカ濃度10〜40重量%及びpH6.0〜8.1の分散安定性に優れた中性コロイダルシリカ分散液を提供することにある。
すなわち、本発明は、加水分解触媒の存在下にオルガノシリケートを加水分解して得られたシリカ濃度10〜40重量%及びpH5〜8.5のコロイダルシリカ分散液の分散安定化方法であり、前記コロイダルシリカ分散液に対して、炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス吹込み方法、及び/又は、撹拌下に濃度20重量%以下の酸水溶液を添加する酸水溶液添加方法による分散安定化処理を行うことを特徴とする中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法である。
また、本発明は、上記の方法により調製され、シリカ濃度が10〜40重量%であってpHが6.0〜8.1であることを特徴とする分散安定性に優れた中性コロイダルシリカ分散液である。
本発明において、分散安定化処理の対象となるコロイダルシリカ分散液は、そのpH値がpH5以上pH8.5以下、好ましくはpH6以上pH8.5以下、より好ましくはpH7以上pH8.5以下の中性コロイダルシリカ分散液であり、どのような方法で製造されたものであってもよいが、好ましくは、特許文献8に記載の方法、すなわち、加水分解速度の速い易加水分解性オルガノシリケートを用い、また、加水分解触媒として特定の加水分解触媒を用い、この加水分解触媒を、少なくとも反応終了時の反応混合物中におけるシリカ(B)に対する加水分解触媒(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}が所定の値以下となるように、添加して反応させることにより、酸処理やイオン交換処理等の特別な後処理を行うことなく、中性コロイダルシリカ分散液を製造する方法により製造される。
この製造方法で製造された中性コロイダルシリカ分散液は、アルカリ金属を始めとして金属不純物含有量が極めて少なく、しかも、例えば電子顕微鏡による粒度分布分析で求められる平均粒子径が5〜500nmの範囲で、標準偏差20以下及び多分散度指数0.15以下である球状コロイダルシリカであり、また、その粒子表面に多数の小突起を有して粒子全体としていわば金平糖の如き形状を有し、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した粒子像の算術平均を測定したSEM平均粒子径が大きい割にはBET比表面積が大きく、また、液相置換法にて測定された粒子密度(真比重)が高い、言い換えると硬度が硬いという性質を有しており、これによって優れた研磨速度を発現し、特にKOH等の加工促進剤の存在下にポリッシングコンパウンドにして研磨する化学的機械的研磨(CMP)用の研磨剤用途に極めて好適である。
また、本発明において分散安定化処理の対象となるコロイダルシリカ分散液は、そのシリカ濃度が10重量%以上40重量%以下、好ましくは10重量%以上40重量%以下である。シリカ濃度が10重量%より低いと、製造時、大量の水が必要になることと、シリカ濃度が低すぎ、応用範囲が狭くなるほか、比較的分散安定性が良好になって二層分離現象が発生し難くなり、反対に、40重量%を超えると、製造時にゲルが発生し易く、シリカ分が減る、また分散安定化前に、液に流動性がなくなり、分散安定化し難くなる。
本発明においては、分散安定化処理として、炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス吹込み方法又は撹拌下に濃度20重量%以下の酸水溶液を添加する酸水溶液添加方法が行われるが、炭酸ガス吹込み方法又は酸水溶液添加方法のいずれかを行ってもよいほか、これらの方法を併用してもよいが、いずれにしても分散安定化処理の際には、炭酸ガスのバブリングやコロイダルシリカ分散液の撹拌等の手段により、コロイダルシリカ分散液を撹拌状態に維持することが必要である。
前記分散安定化処理を炭酸ガス吹込み方法で行う場合、コロイダルシリカ分散液中に吹き込まれる炭酸ガスとしては、それが100体積%の炭酸ガスであってもよく、また、窒素ガス等の不活性ガスで0.1体積%程度まで希釈された不活性ガス希釈炭酸ガスであってもよく、更には、空気であってもよいが、好ましくは、100体積%の炭酸ガス又は1体積%以上の不活性ガス希釈炭酸ガスであるのがよい。
そして、この炭酸ガス吹込み方法の際の処理条件については、炭酸ガス吹込み自体が攪拌効果を有するので、通常0rpm以上3000rpm以下、好ましくは0rpm以上1000rpm以下の撹拌下に、0℃より高く100℃未満、好ましくは5℃以上80℃以下の温度で、炭酸ガスを0mL/分以上100000mL/分以下、好ましくは1mL/分以上10000mL/分以下の速度でコロイダルシリカ分散液中に導入するのがよく、この炭酸ガス吹込み方法による分散安定化処理の処理条件が上記の範囲を外れると、分散安定化が不十分になることがあり、液の飛び跳ねやガスが無駄になるという問題が生じる。
また、前記分散安定化処理を酸水溶液添加方法で行う場合、使用する酸水溶液としては、炭酸水溶液、濃度20重量%以下の希鉱酸水溶液、及び濃度20重量%以下の希有機酸水溶液から選ばれた1種又は2種以上の混合物であり、好ましくは、濃度10重量%以下の希鉱酸水溶液及び濃度10重量%以下の希有機酸水溶液から選ばれた1種又は2種以上の混合物であり、より好ましくは、濃度10重量%以下の塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、コハク酸等を挙げることができ、コロイダルシリカ分散液の用途に応じて適宜選択される。
この酸水溶液添加方法の際の処理条件については、通常1rpm以上3000rpm以下、好ましくは10rpm以上1000rpm以下の撹拌下に、通常0℃以上100℃以下、好ましくは5℃以上80℃以下の温度で、処理対象のコロイダルシリカ分散液中の触媒1モルに対し、酸水溶液を酸として通常0.0001モル以上10モル以下、好ましくは0.001モル以上1モル以下の範囲で添加するのがよく、この酸水溶液添加方法による分散安定化処理の処理条件が上記の範囲を外れると、分散安定化が不十分になることがあるほか、不安定になり、更にはゲル化という問題が生じる場合がある。
本発明の方法により分散安定化処理された中性コロイダルシリカ分散液は、そのシリカ濃度が10重量%以上40重量%以下であってpH値がpH6.0以上8.1以下であり、ほとんどその分散安定化処理前のpH値を維持することができるほか、通常1数週間以上、更には数年に亘って優れた分散安定性が発揮され、二層分離現象が発生することがない。
本発明によれば、pH5〜8.5の中性コロイダルシリカ分散液について、そのpH値をほとんど変化させることなく中性に維持しながら、容易に分散安定化させることができ、二層分離現象を効果的に防止することができる。
〔pH5〜8.5の中性コロイダルシリカ分散液の調製〕
本発明において、処理対象のpH5〜8.5の中性コロイダルシリカ分散液は、例えば、以下の方法により調製される。
すなわち、加水分解触媒の存在下にオルガノシリケートを加水分解してコロイダルシリカを製造するコロイダルシリカの製造方法において、オルガノシリケートとして易加水分解性オルガノシリケートを用い、また、加水分解触媒として第四級アンモニウム類、アミノアルコール類、モルホリン類及びピペラジン類から選ばれた加水分解触媒を用い、この加水分解触媒を、少なくとも反応終了時の反応混合物中におけるシリカ(B)に対する加水分解触媒(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}が0.012以下となるように、添加して反応させ、酸処理及びイオン交換処理を行うことなくpH5〜8.5の中性コロイダルシリカを製造する方法である。
ここで、オルガノシリケートとして使用できるものは加水分解速度の速い易加水分解性オルガノシリケートであり、易加水分解性オルガノシリケートとは、オルガノシリケート10gと不純物0.1ppb以下の純水100gとを攪拌下に25℃で加水分解反応させ、1時間以内にこの加水分解反応が終了するものをいう。このような易加水分解性オルガノシリケートとしては、具体的には、トリメチルシリケート(加水分解反応が終了するまでの加水分解反応時間:3分)、テトラメチルシリケート(加水分解反応時間:5分)、トリエチルシリケート(加水分解反応時間:5分)、メチルトリメチルシリケート(加水分解反応時間:7分)等を挙げることができ、テトラエチルシリケート及びこれより炭素数の多いオルガノシリケートはその加水分解速度が遅くてゲル化し易く(何れも加水分解反応時間:24時間以上)、本発明方法で使用するオルガノシリケートとしては適していない。
また、加水分解触媒として使用する第四級アンモニウム類については、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化トリメチルエチルアンモニウム、水酸化トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)、水酸化トリエチルエタノールアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化ブチルアンモニウム等の第四級アンモニウムや、これらの炭酸塩、重炭酸塩及びケイ酸塩を挙げることができ、加水分解反応には比較的高いpHが望ましいので、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン、又はテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)である。
また、加水分解触媒として使用するアミノアルコール類については、エタノールアミン誘導体を始めとして種々のアミノアルコールを用いることができるが、好適にはエタノールアミン誘導体であり、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジn-ブチルエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-n-ブチルエタノールアミン、N-n-ブチルジエタノールアミン、N-tert-ブチルエタノールアミン、N-tert-ブチルジエタノールアミン等を挙げることができる。
更に、加水分解触媒として使用するモルホリン類についても、種々のモルホリン誘導体を用いることができるが、好ましくはモルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン等を挙げることができる。更にまた、加水分解触媒として使用するピペラジン類についても、種々のピペラジン誘導体を用いることができるが、好ましくはピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン等を挙げることができる。
これら加水分解触媒として使用する第四級アンモニウム類、アミノアルコール類、モルホリン類及びピペラジン類は、その1種のみを単独で使用できるほか、必要により2種以上を混合物として使用することもできる。なお、従来この種の加水分解反応で用いられているアンモニアや、モノメチルアミン等の第一級アミン、ジメチルアミン等の第二級アミン、トリメチルアミン等の第三級アミン等のアミン類はその揮発性が高く、40℃以上の温度で加水分解反応を行う場合に反応系内の組成変動が起こり易く、希望通りの粒径を有する中性コロイダルシリカの製造が難しくなるので、加水分解触媒として適していない。
この中性コロイダルシリカ分散液の調製においては、少なくとも反応終了時の反応混合物中におけるシリカ(B)に対する加水分解触媒(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}が0.012以下、好ましくは0.00035〜0.012の範囲内、より好ましくは0.0035〜0.011の範囲内となるように、加水分解触媒を反応系内に添加して加水分解反応させることが重要であり、この触媒残存モル比(A/B)が0.012を超えると、製造したコロイダルシリカがアルカリ性になり、所望の中性コロイダルシリカが得られなくなる。また、加水分解触媒(A)は存在しなくても本発明の加水分解反応は可能ではあるが、加水分解反応が進んで反応生成物中のシリカ濃度が5重量%以上になると反応混合物の増粘化が始まり、10重量%程度になるとゲル化が起こる。また、増粘し始める前の反応混合物を60万倍の電子顕微鏡で観察しても球状粒子としては確認できないので、好ましくはモル比(A/B)0.00035以上存在させるのがよく、より好ましくはモル比(A/B)0.0035以上存在させるのがよい。
また、この中性コロイダルシリカ分散液の調製において、触媒残存モル比(A/B)を0.012以下にする方法については、反応終了時この触媒残存モル比(A/B)が0.012以下になっていればよくてその方法については特に制限されるものではないが、例えば、水と加水分解触媒(A)とを仕込んだ反応容器内に最終的に触媒残存モル比(A/B)が0.012以下、好ましくは触媒残存モル比(A/B)0.00035〜0.012の範囲内となるように計算されたオルガノシリケートを連続的にあるいは間欠的に導入する方法や、水だけを仕込んだ反応容器内に上記の最終的な触媒残存モル比の範囲内となるように計算された加水分解触媒とオルガノシリケートとを連続的にあるいは間欠的に導入する方法や、水と少量の加水分解触媒(A)とを仕込んだ反応容器内に上記の最終的な触媒残存モル比の範囲内となるように計算された加水分解触媒とオルガノシリケートとを連続的にあるいは間欠的に導入する方法等を挙げることができる。
また、加水分解反応の反応系内にはオルガノシリケートの加水分解反応に先駆けて粒子成長性能を有するコロイダルシリカの種子を仕込み、この反応系内にオルガノシリケート及び加水分解触媒を、触媒残存モル比(A/B)が0.012以下、好ましくは0.00035〜0.012の範囲内となるように、徐々に添加してもよく、これによって均一な粒子の中性コロイダルシリカを製造することができる。
更に、この中性コロイダルシリカ分散液の調製において、加水分解反応の原料に用いるオルガノシリケート、加水分解触媒及び水として、金属不純物含有量が1ppm以下、好ましくは0.01ppm以下の高純度のものを用いることにより、容易に金属不純物含有量の少ない高純度の中性コロイダルシリカを製造することができる。
そして、この中性コロイダルシリカ分散液の調製においては、初期の加水分解による活性珪酸の生成や、反応系内の加水分解触媒の量、反応系のpH値、反応温度、攪拌速度、及び反応時間等の加水分解反応の反応条件によって、生成するコロイダルシリカの粒径や分布が決まるので、この反応条件を制御することにより、容易に粒径制御や粒度分布制御を行うことができる。例えば、反応温度について着目すれば、反応温度を比較的低くすることにより比較的粒子径の小さなコロイダルシリカを製造することができ、反対に、反応温度を比較的高くすることにより比較的粒子径の大きなコロイダルシリカを製造することができる。
上記の方法で製造される中性コロイダルシリカは、例えば半導体ウエハの研磨剤の分野で用いられるコロイダルシリカである場合、好ましくは、その電子顕微鏡による粒度分布分析で求められる平均粒子径が5〜500nm、より好ましくは5〜300nmの範囲であり、また、標準偏差が20以下、より好ましくは10以下であって、多分散度指数が0.15以下、より好ましくは0.10以下である球状コロイダルシリカであるのがよい。このような性状の中性コロイダルシリカは、粒度分布が均一で研磨剤あるいはその原料として用いた場合に被研磨面に均等な力が作用し、より平滑な平面を形成することができるという利点がある。
〔中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化処理〕
以上のようにして得られた処理対象のpH5〜8.5の中性コロイダルシリカ分散液については、上述したように、コロイダルシリカ分散液に対して、炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス吹込み方法、及び/又は、撹拌下に濃度20重量%以下の酸水溶液を添加する酸水溶液添加方法により、分散安定化処理を実施し、シリカ濃度10〜40重量%及びpH6.0〜8.1の分散安定性に優れたコロイダルシリカ分散液を得る。
以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
〔実施例1〕
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた25リットル(L)のガラス容器中に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水18984gと金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン(bp:361℃)6.55gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内液温を70℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)3407gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応終了時において、反応容器内(反応系内)の反応混合物中におけるシリカ(B)に対するトリエタノールアミン(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}は0.00250であった。
反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52〜68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32〜67℃で留出させ、さらに純水9200gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を13000gまで濃縮した。
得られた反応混合物(コロイダルシリカ分散液)は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.26及び粘度284mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
次に、この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に加温し、55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で13分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.15、粘度7.11(mPa・s/25℃)、比重(25℃)1.116、及びCO2濃度28mg/Lであり、また、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が22.6nmで、標準偏差が0.61nmで、多分散度指数が0.0270の球状中性コロイダルシリカであった。更に、原子吸光分光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物(Na、Fe、Cu、AL、K、Cr、Ni、Pb、Mn、Mg、Zn及びCa)を測定した結果、いずれも検出限界以下(Na<4ppb、Fe<6ppb、Cu<6ppb、AL<6ppb、K<4ppb、Cr<10ppb、Ni<10ppbpb<6ppb、Mn<4ppb、Mg<4ppb、Zn<4ppb、及びCa<4ppb)であった。
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、温度20℃の下に静置し、目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
〔実施例2〕
攪拌機、温度計、コンデンサー付留出管及びオルガノシリケート導入管を備えた23Lのガラス容器中に、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水18984gと金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン(bp:361℃)6.55gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内液温を70℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)3407gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応終了時において、反応容器内(反応系内)の反応混合物中におけるシリカ(B)に対するトリエタノールアミン(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}は0.00250であった。
得られたシリカ濃度12.6重量%のコロイダルシリカ1410gと、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水14598gと、金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン15.49gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内の液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)6370gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応終了時において、反応容器内(反応系内)の反応混合物中におけるシリカ(B)に対するエタノールアミン(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}は0.00250であった。
反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52〜68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32〜67℃で留出させ、更に純水9200gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を13000gまで濃縮した。
得られた反応混合物(コロイダルシリカ分散液)は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.45及び粘度88.7mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に加温し、55rpmで攪拌しながら、炭酸ガスを40mL/分で16分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.35、粘度3.01(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.7nm、比重(25℃)1.116、及びCO2濃度32mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.7nmで、標準偏差が3.01nmで、多分散度指数が0.0659の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
〔実施例3〕
実施例2と同様にして反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を、実施例2とは異なって13000gまで濃縮することなく、そのまま水とメタノールとを留去し、仕込み量の合計とほぼ同じ22000gまで濃縮した。
得られた反応混合物(コロイダルシリカ分散液)は、シリカ濃度12.7重量%、pH7.21及び粘度32.7mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に昇温し、55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で5分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度12.7重量%、pH7.09、粘度2.23(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.6nm、比重(25℃)1.067、及びCO2濃度18mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.5nmで、標準偏差が2.98nmで、多分散度指数が0.0655の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
〔実施例4〕
実施例2で濃縮する際に水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を8000gまで濃縮した。
得られたコロイダルシリカは、シリカ濃度32.6重量%、pH8.29及び粘度250mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に昇温し、55rpmで攪拌し、炭酸ガスを40mL/分で25分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度32.6重量%、pH8.08、粘度2.06(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.5nm、比重(25℃)1.199、及びCO2濃度45mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.7nmで、標準偏差が3.03nmで、多分散度指数が0.0663の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
〔実施例5〕
実施例2で得られた二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を撹拌して均一化させた後、その100gを採取し、20℃で55rpmの攪拌下に、6%硝酸0.066gを添加し、分散安定化処理を行った。
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.38、粘度4.86(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.4nm、比重(25℃)1.116、及びHNO3濃度4mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.6nmで、標準偏差が3.02nmで、多分散度指数が0.0662の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
〔実施例6〕
実施例2で得られた二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を撹拌して均一化させた後、その100gを採取し、20℃で55rpmの攪拌下に、2%クエン酸0.26gを添加し、分散安定化処理を行った。
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.3重量%、pH7.35、粘度3.01(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.7nm、比重(25℃)1.116、及びクエン酸濃度32mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.7nmで、標準偏差が3.01nmで、多分散度指数が0.0659の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
〔実施例7〕
実施例2で得られた二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を撹拌して均一化させた後、その100gを採取し、40℃で55rpmの攪拌下に、空気を4000mL/分で吹き込み、分散安定化処理を行った。空気吹込み開始後12時間で全体が均一化したコロイダルシリカ分散液を得た。
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
〔実施例8〕
実施例2で得られたシリカ濃度12.6重量%のコロイダルシリカ1410gと、金属不純物含有量0.1ppb以下の純水14598gと、金属不純物含有量10ppb以下のトリエタノールアミン41.1gとを仕込み、マントルヒーターを用いて反応容器内の液温を80℃に保ちながら、金属不純物含有量10ppb以下のテトラメチルシリケート(多摩化学工業株式会社製)6370gを攪拌下に3時間かけて連続的に供給した。反応終了時において、反応容器内(反応系内)の反応混合物中におけるシリカ(B)に対するエタノールアミン(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}は0.00610であった。
反応容器内へのテトラメチルシリケートの供給を終了した後、一旦反応容器内の温度を40℃まで下げ、真空ポンプで系内を減圧にし、その後加熱を再開し、反応容器内の反応混合物を更に52〜68℃に加熱し、生成したメタノールをコンデンサー付留出管から留出温度32〜67℃で留出させ、更に純水9200gを添加しながら、水とメタノールを留去して、この反応容器内に生成した反応混合物(コロイダルシリカ)を13000gまで濃縮した。
得られた反応混合物(コロイダルシリカ分散液)は、シリカ濃度20.5重量%、pH8.45及び粘度90.7mPa・sであり、静置すると6時間で二層に分離した。
この二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を40℃に加温し、55rpmで攪拌しながら、炭酸ガスを40mL/分で17分間吹き込み、分散安定化処理を行った。
得られたコロイダルシリカ分散液は、シリカ濃度20.5重量%、pH8.10、粘度2.31(mPa・s/25℃)、二次粒子径61.7nm、比重(25℃)1.116、及びCO2濃度40mg/Lであり、電子顕微鏡による粒度分布分析の結果は平均粒子径が45.6nmで、標準偏差が2.98nmで、多分散度指数が0.0654の球状中性コロイダルシリカであった。また、原子吸光光度計によりサンプル採取量50gで金属不純物を測定した結果は検出限界以下であった。
更に、得られたコロイダルシリカ分散液について、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、静置後6時間でも一層のままであり、更に一日後、一週間後、一年後でも一層のままであって、分散安定性に優れていることが判明した。
〔比較例1〕
実施例2で得られた二層分離のコロイダルシリカ分散液(反応混合物)を撹拌して均一化させた後、その1000gを採取し、20℃で55rpmの攪拌下に、60%硝酸0.066gを添加し、分散安定化処理を行った。
その後、実施例1と同様にして目視により二層に分離したか否かを確認し、分散安定性を調べた。結果は、6時間後でも一層のままであったが、容器の下にゲルが沈んでいた。

Claims (11)

  1. 加水分解触媒の存在下にオルガノシリケートを加水分解して得られたシリカ濃度10〜40重量%及びpH5〜8.5のコロイダルシリカ分散液の分散安定化方法であり、
    前記コロイダルシリカ分散液に対して、炭酸ガスを吹き込む炭酸ガス吹込み方法、及び/又は、撹拌下に濃度20重量%以下の酸水溶液を添加する酸水溶液添加方法による分散安定化処理を行うことを特徴とする中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  2. 前記分散安定化処理が炭酸ガス吹込み方法である請求項1に記載の中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  3. 前記分散安定化処理が酸水溶液添加方法であり、この際の酸水溶液が炭酸水溶液、濃度20重量%以下の希鉱酸水溶液、及び濃度20重量%以下の希有機酸水溶液から選ばれた1種又は2種以上の混合物である請求項1又は2に記載の中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  4. 前記pH5〜8.5のコロイダルシリカ分散液が、オルガノシリケートとして易加水分解性オルガノシリケートを用い、また、加水分解触媒として第四級アンモニウム類、アミノアルコール類、モルホリン類及びピペラジン類から選ばれた1種又は2種以上の混合物を用い、この加水分解触媒を、少なくとも反応終了時の反応混合物中におけるシリカ(B)に対する加水分解触媒(A)の割合{触媒残存モル比(A/B)}が0.012以下となるように添加し反応させて得られた反応混合物である請求項1又は2に記載の中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  5. 前記易加水分解性オルガノシリケートが、トリメチルシリケート、テトラメチルシリケート、トリエチルシリケート、又はメチルトリメチルシリケートである請求項3に記載の中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  6. 触媒残存モル比(A/B)が0.00035〜0.012の範囲になるように、加水分解触媒の水溶液中にオルガノシリケートを導入する請求項1〜4のいずれかに記載の中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  7. 加水分解反応の反応系内にはオルガノシリケートの加水分解反応に先駆けて粒子成長性能を有するコロイダルシリカの種子を仕込み、この反応系内にオルガノシリケート及び加水分解触媒を徐々に添加することにより均一な粒子のコロイダルシリカを製造する請求項1〜5のいずれかに記載の中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  8. 金属不純物含有量が1ppm以下であるオルガノシリケート、第四級アンモニウム触媒及び水を原料とし、金属不純物含有量が1ppm以下の高純度コロイダルシリカを製造する請求項1〜6のいずれかに記載の中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  9. 加水分解反応を、粒子成長性能を有するコロイダルシリカからなる種子の存在下に行なう請求項1〜7のいずれかに記載の中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  10. 製造されるコロイダルシリカが、電子顕微鏡による粒度分布分析で求められる平均粒子径5〜500nm、標準偏差20以下及び多分散度指数0.15以下の球状コロイダルシリカである請求項1〜8のいずれかに記載の中性コロイダルシリカ分散液の分散安定化方法。
  11. 前記請求項1〜10に記載のいずれかの方法により調製され、シリカ濃度が10〜40重量%であってpHが6.0〜8.1であることを特徴とする分散安定性に優れた中性コロイダルシリカ分散液。
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