JP2013218175A - 定着用加圧部材及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】構造を単純化して製造工程も単純化し、継続使用による不具合の発生もなく、耐久性に優れた定着用押圧部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】定着装置の定着部に用いられる定着用加圧部材１０であって、前記定着部のベルトの内周面と摺動する摺動面を形成する摺動シート１１と、該摺動シートの内側に設けられた弾性部材１２とからなり、前記摺動シートは、樹脂繊維製織物、樹脂繊維製編物、樹脂製不織布、又は樹脂フィルムからなり、前記弾性部材を前記摺動シートと一体成形することにより当該摺動シートの少なくとも前記摺動面の内側で前記弾性部材と一体成形により接合され且つ前記摺動面は凹凸加工が施されて凹凸面となっている。
【選択図】 図１

Description

本発明は、定着装置に用いられる定着用加圧部材及びその製造方法に関し、特に複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンター等の画像形成装置の定着部に用いて好適なものである。

画像形成装置においては、無端状の定着ベルト（エンドレスベルトまたはエンドレスフィルム）と、このような定着部材に押圧される加圧ロールとで構成されるものがあり、定着部材と加圧ロールとの間に未定着トナー像を担持した記録媒体を挟み込んで加熱加圧する。このような定着装置の定着ベルトの内方には、加圧ロールと対向する位置で定着ベルトを内側から加圧ロールに対して押圧して所定のニップ部を形成する定着用押圧部材が配置される。このような定着用押圧部材としては、良好な画質を得るためにシリコーンゴムなどの弾性体で形成されたものが一般的である。また、このような押圧部材は、定着ベルトの内周面に対して摺動する必要があり、シリコーンオイルやフッ素系グリースなどの潤滑剤を加圧部材と定着ベルトの内周面との間に介在させる方式がとられる。そして、このような潤滑剤を定着ベルトの内周面との間に保持し易くするために、弾性体又は支持体と弾性体からなる加圧パッドを覆うように複数層からなるシート状部材を設けた加圧部材が提案され、さらに、表層に２次加工で凹凸を形成したものも提案されている（特許文献１参照）。

上述したシート状部材は、３層構造であり、加圧パッドを覆うように取り付ける必要があるため、成形し必要に応じて凹凸加工したのち、被覆・固定するため、加工、取付作業に多大な時間とコストがかかるという問題がある。また、被覆、部分固定したシートは、摺動を繰り返すうちに進行方向への変形が発生し、継続使用により摩擦抵抗が上昇するという問題もあり、最悪、定着ベルトの回転が停止するという不具合が生じ、または定着装置の寿命を低下させる要因となっている。

特開２００６−１１９２６３号公報

本発明は、このような事情に鑑み、構造を単純化して製造工程も単純化し、継続使用による不具合の発生もなく、耐久性に優れた定着用押圧部材及びその製造方法を提供することを課題とする。

前記課題を解決する本発明の第１の態様は、定着装置の定着部に用いられる定着用加圧部材であって、前記定着部のベルトの内周面と摺動する摺動面を形成する摺動シートと、該摺動シートの内側に設けられた弾性部材とからなり、前記摺動シートは、樹脂繊維製織物、樹脂繊維製編物、樹脂製不織布、又は樹脂フィルムからなり、前記弾性部材を前記摺動シートと一体成形することにより当該摺動シートの少なくとも前記摺動面の内側で前記弾性部材と一体成形により接合され且つ前記摺動面は凹凸加工が施されて凹凸面となっていることを特徴とする定着用加圧部材にある。

本発明の第２の態様は、第１の態様に記載の定着用加圧部材において、前記弾性部材と前記摺動シートとの境界は、前記凹凸加工により凹凸面になっていることを特徴とする定着用加圧部材にある。

本発明の第３の態様は、第１又は第２の態様に記載の定着用加圧部材において、前記弾性部材は、ゴム、エラストマー、発泡ゴム、又は発泡エラストマーからなることを特徴とする定着用加圧部材にある。

本発明の第４の態様は、定着装置の定着部に用いられる定着用加圧部材の製造方法であって、前記定着部のベルトの内周面と摺動する摺動面を形成する摺動シートの内側に設けられる弾性部材を成形するにあたり、樹脂繊維製織物、樹脂繊維製編物、樹脂製不織布、又は樹脂フィルムからなる摺動シートを金型にセットし、当該摺動シートの内側に弾性部材を一体成形することにより、前記摺動シートの少なくとも前記摺動面の内側で前記弾性部材を一体成形により前記摺動シートに接合し且つ前記摺動シートの前記摺動面に凹凸加工を施すことを特徴とする定着用加圧部材の製造方法にある。

本発明の定着用加圧部材は、摺動シートと弾性部材とが一体成形により一体的に接合され且つ摺動面に凹凸加工が施されているので、耐久性の優れたものとなり、加工作業や組立作業の工数を大幅に低減することで、低コストな定着用加圧部材を提供できるという効果を奏する。また、弾性部材と摺動シートとの境界が凹凸加工により凹凸となって弾性部材と摺動シートとが高強度に接合され、高加圧状態での摺動によっても摺動シートのずれが防止される。さらに、定着用加圧部材は、高加圧状態で長時間摺動しても、裏面に一体成形された弾性部材が存在するので、摺動面の凹凸面が潰れ難く、長期に亘って安定して使用することができるという利点もある。

本発明の一実施形態に係る定着用加圧部材を示す斜視図である。 本発明の実施例１に係る定着用加圧部材の製造状態を示す図である。 本発明の実施例２に係る定着用加圧部材の製造状態を示す図である。 本発明の試験例で用いた試験装置の概略構成を示す図である。

以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。

図１には、本発明の一実施形態に係る定着装置の定着ベルトや加圧ベルトの内周面に設けられる定着用加圧部材の斜視図を示す。同図に示すように、定着用加圧部材１０は、摺動シート１１と、摺動シート１１の内側に一体成形された弾性部材１２と、弾性部材１２の摺動シート１１とは反対側に設けられた支持体１３とからなり、摺動シート１１の定着ベルトなどのベルト内周面と摺動する摺動面１１ａは凹凸加工により凹凸面１１ｂとなっている。また、凹凸加工は摺動シート１１と弾性部材１２との一体成形時に行われるので、摺動シート１１と弾性部材１２との境界面も凹凸形状となり、摺動シート１１と弾性部材１２との接合強度が向上し、面方向へのずれが防止される。

ここで、摺動シート１１は、摺動性、耐熱性を有する樹脂、例えば、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などからなり、樹脂繊維からなる織物、編物又は不織布、又は樹脂フィルムからなる。摺動面の潤滑剤の保持性の面では樹脂繊維からなる織物、編物又は不織布が好ましいが、摺動性の面では樹脂フィルム、特に、ＰＦＡ、ＰＴＦＥなどのフッ素系樹脂のフィルムが好ましい。

摺動シート１１は、詳細は後述するが、弾性部材１２を成形する金型にセットされ、弾性部材１２を成形する際に一体成形されたものであり、少なくとも摺動面１１ａの内側（裏面側）で弾性部材１２と一体成形により接合されている。また、この一体成形の際に、摺動面１１ａに凹凸面１１ｂが加工されている。また、弾性部材１２との境界にも凹凸面１１ｃが形成されている。

また、摺動シート１１は、特に、フッ素系樹脂フィルムを用いた場合には、一体成形に供する前に、摺動面とは反対側の裏面に表面処理を施すのが好ましい。弾性部材１２との接合強度をさらに向上させるためである。ここで、表面処理とは、エッチング処理、プラズマ処理、エキシマレーザによる処理などを挙げることができ、フッ素系樹脂シートの場合には、アンモニアによるエッチング処理が一般的に用いられる。さらに、摺動シート１１の裏面には、一体成形に供する前に、プライマーや接着剤を付与してもよく、これは表面処理に加えて行ってもよく、又は表面処理を行わないで行ってもよい。

弾性部材１２は、耐熱性のあるゴム、エラストマー、発泡ゴム、発泡エラストマーであり、シリコーンゴム又はエラストマー、フッ素ゴムなどを挙げることができる。また、定着部から熱を奪わないように低熱容量化したものが好ましく、この点では、発泡ゴムやエラストマーが好ましい。

摺動シート１１と弾性部材１２との一体成形は、金型に摺動シート１１をセットして弾性部材１２を成形することにより行う。また、摺動シート１１の摺動面１１ａへの凹凸加工は、金型に凹凸加工を施して行うか、又は、例えば、金属メッシュなどを金型にセットするようにしてもよい。

また、支持体１３として、金属、耐熱樹脂などの部材を挙げることができる。かかる支持体１３と弾性部材１２との接合は、弾性部材１２の製造時に一体成形してもよいし、弾性部材１２を成形後、接着剤で接合してもよい。

なお、支持体１３はなくてもよく、弾性部材１２のみに摺動シート１１を設けて定着用加圧部材としてもよい。

（実施例１）
図２に示すように、定着用加圧部材の寸法に合わせた金型を用意し、下型２１にシリコーンゴム用プライマーを塗布した厚さ２ｍｍのＳＵＳ板を支持体１３として載置し、液状シリコーンゴム（東レ・ダウコーニング株式会社製 ＤＹ３５−３６３）を流し込む。一方、片面を液体アンモニアによりエッチング処理し、処理面にシリコーンゴム用プライマーを塗布した、厚さ７０μｍのＰＦＡフィルムを摺動シート１１として、下型２１上に載置し、摺動シート１１上に凹凸加工用の＃５０の金属メッシュ２５を載置して上型２２を合わせ、１５０℃としたプレス成形機で７分間加熱加圧して弾性部材１２とし、定着用加圧部材を得た。かかる定着用加圧部材は、摺動シート１１と弾性部材１２及び支持体１３とが一体成形され、摺動面１１ａの裏面のみで摺動シート１１と弾性部材１２とが接合され、摺動面１１ａが凹凸面１１ｂとなり、摺動シート１１の摺動面１１ａの裏面と弾性部材１２との境界にも凹凸面１１ｃが形成されたものである。

（実施例２）
図３に示すように、実施例１と同様な下型２１内に、実施例１と同様な金属メッシュ２５をセットし、さらに、実施例１と同様な摺動シート１１をセットした後、実施例１と同様な液体シリコーンゴムを流し込み、実施例１と同様なＳＵＳ板を支持体１３として載置し、上型２２を合わせ、実施例１と同様な条件で弾性部材１２を成形し、定着用加圧部材を得た。かかる定着用加圧部材は、摺動シート１１と弾性部材１２及び支持体１３とが一体成形され、摺動面１１ａの裏面と弾性部材１２の側面で摺動シート１１と弾性部材１２とが接合され、摺動面１１ａが凹凸面１１ｂとなり、摺動シート１１の摺動面１１ａの裏面と弾性部材１２との境界に凹凸面１１ｃが形成されたものである。

（試験例）
図４に示すように、定着用加圧部材３１と、ヒータ３２を定着ベルト３３内にセットし、定着ベルト３３に対向して加圧ロール３４を配置した試験装置を用いた。

定着ベルト３３は、内径３０ｍｍ、厚さ４０μｍのニッケル電鋳基材上に、厚さ１００μｍのシリコーンゴム製弾性層を設け、さらに、厚さ３０μｍのＰＦＡチューブを設けたものを用いた。加圧ロール３４は、外径３０ｍｍで、厚さ３ｍｍのシリコーンゴム製弾性層の外側に、厚さ３０μｍのＰＦＡチューブを設けたものを用いた。ヒータ３２はハロゲンヒータを用いた。

定着用加圧部材３１としては、摺動面の巾が１０ｍｍ、厚さが３ｍｍの寸法で実施例１の方法で製造したものを用いた。

また、比較のため、実施例１と同じ寸法でＳＵＳ板にシリコーンゴムを接着させた加圧部材にフッ素樹脂繊維（グンゼ株式会社製）を被せて摺動面とは反対側で固定したものを定着用加圧部材３１として用い、実施例のものと比較した。

試験は、定着用加圧部材の摺動面にフッ素系グリースを塗布し、定着ベルト３３内に配置し、加圧ロール３４を圧縮率が約３０％となるように加圧状態で配置し、加圧ロール３４を線速１２０ｍｍ／ｓｅｃとなるように回転駆動し、回転と同時にヒータ３２を点灯し、１５０℃で温調をかけた。

１時間後に運転を停止して摺動面のシートの変形を観察したところ、実施例の定着用加圧部材では変形は見られなかったが、比較対象では、フッ素樹脂繊維が進行方向へ寄って変形していた。

また、実施例の定着用加圧部材を用いてさらに、３００時間同様な運転を行ったが、摺動面のシートの変形は見られなかった。

１０ 定着用加圧部材
１１ 摺動シート
１１ａ 摺動面
１１ｂ 凹凸面
１１ｃ 凹凸面
１２ 弾性部材
１３ 支持体

Claims (4)

1. 定着装置の定着部に用いられる定着用加圧部材であって、前記定着部のベルトの内周面と摺動する摺動面を形成する摺動シートと、該摺動シートの内側に設けられた弾性部材とからなり、前記摺動シートは、樹脂繊維製織物、樹脂繊維製編物、樹脂製不織布、又は樹脂フィルムからなり、前記弾性部材を前記摺動シートと一体成形することにより当該摺動シートの少なくとも前記摺動面の内側で前記弾性部材と一体成形により接合され且つ前記摺動面は凹凸加工が施されて凹凸面となっていることを特徴とする定着用加圧部材。
2. 請求項１に記載の定着用加圧部材において、前記弾性部材と前記摺動シートとの境界は、前記凹凸加工により凹凸面になっていることを特徴とする定着用加圧部材。
3. 請求項１又は２に記載の定着用加圧部材において、前記弾性部材は、ゴム、エラストマー、発泡ゴム、又は発泡エラストマーからなることを特徴とする定着用加圧部材。
4. 定着装置の定着部に用いられる定着用加圧部材の製造方法であって、前記定着部のベルトの内周面と摺動する摺動面を形成する摺動シートの内側に設けられる弾性部材を成形するにあたり、樹脂繊維製織物、樹脂繊維製編物、樹脂製不織布、又は樹脂フィルムからなる摺動シートを金型にセットし、当該摺動シートの内側に弾性部材を一体成形することにより、前記摺動シートの少なくとも前記摺動面の内側で前記弾性部材を一体成形により前記摺動シートに接合し且つ前記摺動シートの前記摺動面に凹凸加工を施すことを特徴とする定着用加圧部材の製造方法。
   

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