JP2013215187A - 糖の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セルロース原料から糖を効率よく製造することができる、生産性に優れる糖の製造方法を提供する。
【解決手段】下記工程(1)及び工程(2)を有する糖の製造方法である。
工程(1):セルロース原料を、非イオン性界面活性剤及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1種以上の添加剤ならびに水の存在下、pH7未満の条件下で加熱処理して、処理物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた処理物を酵素で糖化処理する工程
【選択図】なし

Description

本発明は、糖の製造方法に関する。
近年、環境問題への取り組みなどから、セルロースを含有するバイオマス材料から糖を製造し、それを発酵法などでエタノールや乳酸などへ変換する試みがなされている。セルロースを含有するバイオマス材料をセルラーゼなどの酵素により処理し、該セルロースを糖化して糖を製造する方法においては、その前処理工程として、該セルロースの結晶構造を非晶化させる処理を行うことや、バイオマスにおいては脱リグニン化を行うことが有用である。例えば、前処理工程として、塩化リチウム/ジメチルアセトアミドなどのセルロース溶剤を用いてセルロースを非晶化する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
また、バイオマスに含まれるセルロースを酵素により糖化する方法において、前処理工程として過酸化水素を使った熱水処理を行い、そこに含まれるリグニンを分解、除去する方法が知られている(特許文献2及び3)。
一方、セルロースの糖化方法としては、セルロースを特定のセルラーゼを用いて糖化する方法や(特許文献4)、リグノセルロース材料を、特定の非イオン性界面活性剤の存在下でセルロース分解酵素により糖化する方法が知られている(特許文献5)。
特開2006−223152号公報 特開2007−74992号公報 特開2007−74993号公報 特開2003−135052号公報 国際公開公報WO2005/067531号
しかしながら、特許文献1〜5に記載の方法は、糖化効率、生産性において満足できるものではなく、更に糖化効率を向上させることが求められている。
本発明者は、セルロース原料を特定の条件下で加熱処理し、その後に酵素で糖化処理することにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記工程(1)及び工程(2)を有する、糖の製造方法を提供する。
工程(1):セルロース原料を、非イオン性界面活性剤及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1種以上の添加剤ならびに水の存在下、pH7未満の条件下で加熱処理して、処理物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた処理物を酵素で糖化処理する工程
本発明の糖の製造方法によれば、酵素処理によるセルロースの糖化効率が向上し、セルロース原料から糖を効率よく製造することができる。
[糖の製造方法]
本発明の糖の製造方法は、前記工程(1)及び工程(2)を有する。本発明の製造方法により、糖化効率が顕著に向上する理由は明らかではないが、工程(1)における加熱処理の際に特定の添加剤とセルロース原料とを共存させることにより、ヘミセルロース及びリグニンの脱離、セルロースの低分子量化、及びセルロースの比表面積の増加が促進され、糖化効率が向上すると推測される。
<工程(1)>
工程(1)は、セルロース原料を、非イオン性界面活性剤及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1種以上の添加剤ならびに水の存在下、pH7未満の条件下で加熱処理して、処理物を得る工程である。
(セルロース原料)
セルロース原料の種類には特に制限はなく、カラマツやヒノキなどの針葉樹、アブラヤシ、クヌギなどの広葉樹から得られる各種木材;木材から製造されるウッドパルプ、綿の種子の周囲の繊維から得られるコットンリンターパルプなどのパルプ類;新聞紙、ダンボール、雑誌、上質紙などの紙類;バガス(サトウキビの搾りかす)、パーム空果房(EFB)、稲わら、とうもろこし茎などの植物茎・葉・果房類;籾殻、パーム殻、ココナッツ殻などの植物殻類などが挙げられる。
上記のうち、糖化効率の向上の観点、入手容易性及び原料コストの観点から、木材、植物茎・葉・果房類が好ましく、バガス、EFB、アブラヤシ(幹部)がより好ましく、バガスが更に好ましい。
本発明に用いられるセルロース原料は、ホロセルロース含有量が20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上がより更に好ましい。セルロース原料中のホロセルロース含有量は実施例に記載の方法により測定することができる。
(セルロース原料の前処理)
本発明に用いられるセルロース原料は、形状や大きさによっては、取り扱い性の向上及び糖化効率向上の観点から、工程(1)を行う前に裁断処理や粗粉砕処理などの前処理を行うことが好ましい。
〔裁断処理〕
本発明において、セルロース原料の形状や大きさによっては、工程(1)を行う前に、予め裁断処理を行うことが好ましい。
セルロース原料を裁断処理する方法としては、例えば、シュレッダー、スリッターカッター及びロータリーカッターから選ばれる1種以上の裁断機を使用する方法が挙げられる。
シート状のセルロース原料を用いる場合、裁断機としてシュレッダー又はスリッターカッターを使用することが好ましく、生産性の観点から、スリッターカッターを使用することがより好ましい。
スリッターカッターは、シートの長手方向に沿った縦方向にロールカッターで縦切りして、細長い短冊状とし、次に、固定刃と回転刃でシートの幅方向に沿って短く横切りすることにより、さいの目形状のセルロース原料を容易に得ることができる。スリッターカッターとしては、株式会社ホーライ製のシートペレタイザ、株式会社荻野精機製作所製のスーパーカッター等を好ましく使用でき、これらの装置を使用すると、シート状のセルロース原料を約1〜20mm角に裁断することができる。
間伐材、剪定枝材、建築廃材等の木材類、あるいはシート状以外のセルロース原料を裁断する場合には、ロータリーカッターを使用することが好ましい。ロータリーカッターは、回転刃とスクリーンから構成され、回転刃によりスクリーンの目開き以下に裁断されたセルロース原料を容易に得ることができる。なお、必要に応じて固定刃を設け、回転刃と固定刃により裁断することもできる。
ロータリーカッターを使用する場合、得られる裁断物の大きさは、スクリーンの目開きを変えることにより、制御することができる。スクリーンの目開きは、1〜70mmが好ましく、2〜50mmがより好ましく、3〜40mmが更に好ましい。スクリーンの目開きが1mm以上であれば、適度な嵩高さを有する裁断物が得られ、取り扱い性が向上する。スクリーンの目開きが70mm以下であれば、後述する粗粉砕処理を行う場合に、被粉砕原料として適度な大きさを有するために、粉砕に要する負荷を軽減することができる。
裁断処理後に得られるセルロース原料の大きさは、好ましくは1〜70mm角、より好ましくは2〜50mm角である。1〜70mm角に裁断することにより、後の乾燥処理を効率よく容易に行うことができ、また後述する粗粉砕処理を行う場合に、粉砕に要する負荷を軽減することができる。
〔粗粉砕処理〕
また、工程(1)を行う前に、セルロース原料を予め粗粉砕処理することが好ましく、セルロース原料を裁断処理した後に更に粗粉砕処理を行ってもよい。
粗粉砕処理は、公知の粉砕機を用いて行うことができる。用いられる粉砕機に特に制限はなく、セルロース原料を小粒子化することができる装置であればよい。
粉砕機の具体例としては、高圧圧縮ロールミルや、ロール回転ミルなどのロールミル、リングローラーミル、ローラーレースミル又はボールレースミルなどの竪型ローラーミル、転動ボールミル、振動ボールミル、振動ロッドミル、振動チューブミル、遊星ボールミル又は遠心流動化ミルなどの容器駆動媒体ミル、塔式粉砕機、攪拌槽式ミル、流通槽式ミル又はアニュラー式ミルなどの媒体攪拌式ミル、高速遠心ローラーミルやオングミルなどの圧密せん断ミル、乳鉢、石臼、マスコロイダー、フレットミル、エッジランナーミル、ナイフミル、ピンミル、カッターミルなどが挙げられる。これらの中では、セルロース原料の粉砕効率、及び生産性の観点から、容器駆動式媒体ミル又は媒体攪拌式ミルが好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミルなどの振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。
粉砕方法としては、バッチ式、連続式のどちらでもよい。
粗粉砕処理に用いる装置及び/又は媒体の材質としては特に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪素、ガラスなどが挙げられるが、セルロース原料の結晶化度低下効率の観点から、鉄、ステンレス、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、更に工業的利用の観点から、鉄又はステンレスが好ましい。
用いる装置が振動ミルであって、媒体がロッドの場合には、セルロース原料の粉砕効率の観点から、ロッドの外径は好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mmの範囲である。ロッドの大きさが上記の範囲であれば、セルロース原料を効率的に小粒子化させることができるとともに、ロッドのかけらなどが混入してセルロース原料が汚染されるおそれが少ない。
ロッドの充填率は、振動ミルの機種により好適な範囲が異なるが、好ましくは10〜97%、より好ましくは15〜95%、更に好ましくは30〜80%である。充填率がこの範囲内であれば、セルロース原料とロッドとの接触頻度が向上するとともに、ロッドの動きを妨げずに、セルロース原料の粉砕効率を向上させることができる。ここで充填率とは、振動ミルの攪拌部の容積に対するロッドの見かけの体積をいう。
粗粉砕処理時の温度に特に限定はないが、操作コスト及びセルロース原料の劣化抑制の観点から、−100〜200℃が好ましく、0〜150℃がより好ましく、5〜100℃が更に好ましい。
粉砕時間は、粗粉砕処理後のセルロース原料が小粒子化されるよう適宜調整すればよい。用いる粉砕機や使用するエネルギー量などによって変わるが、通常1〜30分であり、セルロース原料の粒子径の低下の観点、及びエネルギーコストの観点から、2〜15分が好ましく、2〜10分がより好ましい。
(添加剤)
工程(1)では、糖化効率向上の観点から、非イオン性界面活性剤及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1種以上の添加剤が用いられる。
〔非イオン性界面活性剤〕
工程(1)において添加剤として用いられる非イオン性界面活性剤は、糖化効率向上の観点から、ポリオキシエチレン部位、または多価アルコール部位を有する非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレン部位を有する非イオン性界面活性剤がより好ましい。非イオン性界面活性剤のポリオキシエチレン基の好ましい平均付加モル数は、糖化効率向上の観点から、好ましくは5〜200、より好ましくは10〜150であり、更に好ましくは12〜120である。
また、非イオン性界面活性剤は、糖化効率向上の観点から、親水性が高いものが好ましい。具体的には、グリフィン法により算出される親水性−親油性バランス(HLB値)が3〜20である非イオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくは5〜20、更に好ましくは8〜20、更に好ましくは10〜20、更に好ましくは12〜20、より更に好ましくは16〜20である。
好ましい非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらのうち、糖化効率向上の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上が好ましく、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種以上がより好ましく、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが更に好ましい。また、より具体的には、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、及びポリエチレングリコールモノステアレートからなる群から選択される1種又は2種以上が更に好ましく、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート及びポリオキシエチレンソルビタンステアレートからなる群から選択される1種又は2種以上がより更に好ましい。
〔ポリエチレングリコール〕
工程(1)において添加剤として用いられるポリエチレングリコールは、糖化効率向上の観点から、その重量平均分子量が、好ましくは200〜20,000、より好ましくは300〜18,000、更に好ましくは400〜15,000、より更に好ましくは1,000〜10,000、より更に好ましくは1,500〜6,000である。なお、ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(GPC法)などにより測定される。
工程(1)における添加剤の使用量は、糖化効率向上の観点から、セルロース原料の乾燥重量に対して、好ましくは0.1〜100質量%であり、より好ましくは0.2〜80質量%であり、更に好ましくは0.2〜50質量%であり、更に好ましくは1〜20質量%である。
セルロース原料への添加剤の添加方法には特に限定はなく、一括添加してもよく、分割添加してもよい。添加剤を均一に分散させる観点から、セルロース原料と水との混合物に添加剤を添加した後に撹拌混合するか、セルロース原料と水との混合物を撹拌しながら添加剤を添加して混合することが好ましい。また、水に添加剤を添加して攪拌混合した後に、セルロース原料を添加してもよい。
添加剤の添加は、後述する加熱処理装置の中で行ってもよいし、別途撹拌及び混合を行う装置で行ってもよい。別途撹拌及び混合を行う装置は、前記添加剤をセルロース原料中に分散可能な装置であれば特に限定はない。例えば、リボン型混合機、パドル型混合機、円錐遊星スクリュー型混合機、粉体、高粘度物質、樹脂などの混錬に用いられるニーダーなどの混合機が挙げられる。これらの中では、水平軸型パドル型混合機がより好ましく、具体的には、チョッパー翼を有する水平軸型のパドル型混合機であるレディゲミキサー(中央機工株式会社製;特徴的なスキ状ショベルを用いる混合機、チョッパー翼を設置可能)、プロシェアミキサー(太平洋機工株式会社製;独自形状のショベル翼による浮遊拡散混合と多段式チョッパー翼による高速剪断分散の2つの機能を備えた混合機)が更に好ましい。
(加熱処理)
工程(1)では、セルロース原料を、前述した添加剤ならびに水の存在下、pH7未満の条件下で加熱処理する。例えば、セルロース原料の粗粉砕物を、添加剤の存在下で水に分散した水スラリーの状態とし、これを加熱処理することが好ましい。
上記スラリー中のセルロース原料の含有量は、スラリーの流動性向上の観点から、好ましくは1〜500g/L、より好ましくは5〜400g/L、更に好ましくは8〜300g/Lである。
加熱処理は、特に制限されず、公知の方法を適用でき、バッチ式、連続式等の反応装置を用いて行うことができる。用いられる反応装置に特に制限はなく、上記スラリーを加熱することができる装置であればよい。工程(1)の加熱処理をpH7未満の条件下で行うことから、酸性条件下で使用可能な反応装置を用いることが好ましい。また、工程(1)の加熱処理を加圧雰囲気下で行う場合には、背圧弁などの圧力調整機構を備える装置を用いることが好ましい。
工程(1)における加熱処理は、ヘミセルロース・リグニンなどの夾雑物の除去、セルロースの低分子量化、及びセルロースの比表面積の増加等の観点から、pH7未満の条件下で加熱処理する。pH条件は、上記と同様の観点から、好ましくはpH4以下、より好ましくはpH0.1〜3.0、更に好ましくはpH0.5〜2.7、より更に好ましくはpH1.0〜2.5である。pH調整に用いられるpH調整剤としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸などの無機酸、又は蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸が挙げられる。これらのうち、ヘミセルロース・リグニンなどの夾雑物の除去、セルロースの低分子量化、及びセルロースの比表面積の増加の観点から、塩酸又は硫酸が好ましく、硫酸がより好ましい。
加熱処理温度は、ヘミセルロースなどの夾雑物の除去、糖化効率の向上及び糖の過分解抑制の観点から、100〜300℃の範囲が好ましく、より好ましくは120〜250℃の範囲、更に好ましくは140〜230℃の範囲である。昇温、降温の速度、最高到達温度での保持時間は適宜調節可能である。
また、工程(1)における加熱処理時の圧力は、ヘミセルロース・リグニンなどの夾雑物の除去、セルロースの低分子量化、及びセルロースの比表面積の増加などの観点から、水の飽和蒸気圧以上であることが好ましく、0.1〜10MPaがより好ましく、0.2〜8MPaが更に好ましく、0.3〜6MPaがより更に好ましく、0.5〜6MPaが特に好ましい。加圧する際に用いられるガスは、例えば、不活性ガス、水蒸気、窒素ガス、ヘリウムガス等が挙げられる。なお、加圧にはガスを用いず、反応装置に備えられた背圧弁などにより圧力を調整してもよい。
工程(1)における処理時間(平均滞留時間)は、処理条件やセルロース原料の種類にもよるが、糖化効率及び生産効率向上の観点から、例えば、連続式反応方法で行う場合、スラリーが設定温度に達してから0.5〜60分が好ましく、1〜30分がより好ましく、1〜20分が更に好ましい。
糖化効率向上の観点から、加熱処理後のスラリーを、好ましくは100℃以下、より好ましくは60℃以下に冷却することが好ましい。以上のようにして工程(1)を行うことにより、処理物が得られる。この処理物は、通常、水スラリーとして得られる。
<中和工程>
本発明の糖の製造方法において、後述する工程(2)における糖化効率を向上させる観点から、工程(1)で得られた処理物を、工程(2)に供する前に塩基で中和する工程(以下、「中和工程」ともいう)を有することが好ましい。
中和工程において用いられる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの無機塩基や、アンモニア、各種有機アミン類などの有機塩基が挙げられるが、生産性、糖化効率ならびに糖の収率向上の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムを用いることが好ましく、水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウムを用いることがより好ましい。塩基による中和の方法は、特に限定されないが、塩基を水溶液の状態で添加して中和することが好ましい。
中和工程後の処理物のpHは、4.5〜7.5の範囲であることが好ましい。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)で得られた処理物を酵素で糖化処理する工程である。
工程(1)で得られた処理物は、ヘミセルロース・リグニンなどの夾雑物の除去、セルロースの低分子量化、及びセルロースの比表面積の増加などがなされているため、酵素で処理することにより、グルコースもしくはキシロースといった単糖や、セロビオース、セロトリオース、キシロビオース、キシロトリオースといったオリゴ糖などの混合物を効率よく得ることができる。糖化処理後にエタノール発酵や乳酸発酵に使用する場合などを考慮すると、単糖まで分解することが好ましい。
工程(2)において用いられる酵素としては、糖化効率の向上の観点から、セルラーゼやヘミセルラーゼが挙げられる。
ここで、セルラーゼとは、セルロースのβ−1,4−グルカンのグリコシド結合を加水分解する酵素を指し、エンドグルカナーゼ、エクソグルカナーゼまたはセロビオヒドロラーゼ、及びβ−グルコシダーゼなどと称される酵素の総称である。本発明に使用されるセルラーゼとしては、市販のセルラーゼ製剤や、動物、植物、微生物由来のものが含まれる。
セルラーゼの具体例としては、セルクラスト1.5L(ノボザイムズ社製、商品名)などのトリコデルマ リーゼ(Trichoderma reesei)由来のセルラーゼ製剤やバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N145(FERM P-19727)株由来のセルラーゼ、またはバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N252(FERM P-17474)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N115(FERM P-19726)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N440(FERM P-19728)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N659(FERM P-19730)などの各株由来のセルラーゼ、更には、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、アスペルギルス アクレアタス(Aspergillus acleatus)、クロストリジウム サーモセラム(Clostridium thermocellum)、クロストリジウム ステルコラリウム(Clostridium stercorarium)、クロストリジウム ジョスイ(Clostridium josui)、セルロモナス フィミ(Cellulomonas fimi)、アクレモニウム セルロリティクス(Acremonium celluloriticus)、イルペックス ラクテウス(Irpex lacteus)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、フミコーラ インソレンス(Humicola insolens)由来のセルラーゼ混合物やパイロコッカス ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)由来の耐熱性セルラーゼなどが挙げられる。これらの中で、トリコデルマ リーゼ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、あるいはフミコーラ インソレンス(Humicola insolens)由来のセルラーゼが好ましく、例えばセルクラスト1.5L(ノボザイムズ社製、商品名)、TP−60(明治製菓株式会社製、商品名)、CellicCTec2(ノボザイムズ社製、商品名)、Accellerase DUET(ジェネンコア社製、商品名)、あるいはウルトラフロL(ノボザイムズ社製、商品名)を用いることが好ましい。
また、セルラーゼの1種であるβ−グルコシダーゼの具体例としては、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)由来の酵素(例えば、ノボザイム188(ノボザイムズ社製、商品名)やメガザイム社製β−グルコシダーゼ)やトリコデルマ リーゼ(Trichoderma reesei)、ペニシリウム エメルソニイ(Penicillium emersonii)由来の酵素などが挙げられる。
また、ヘミセルラーゼの具体例としては、CellicHTec2(ノボザイムズ社製、商品名)などのトリコデルマ リーゼ(Trichoderma reesei)由来のヘミセルラーゼ製剤やバチルス エスピー(Bacillus sp.)KSM-N546(FERM P-19729)由来のキシラナーゼのほか、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、フミコーラ インソレンス(Humicola insolens)、バチルス アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)由来のキシラナーゼ、更には、サーモマイセス(Thermomyces)、オウレオバシジウム(Aureobasidium)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、クロストリジウム(Clostridium)、サーモトガ(Thermotoga)、サーモアスクス(Thermoascus)、カルドセラム(Caldocellum)、サーモモノスポラ(Thermomonospora)属由来のキシラナーゼなどが挙げられる。
工程(2)において用いられる酵素は、糖化効率の向上の観点から、上記セルラーゼ及びヘミセルラーゼから選択される1種以上であることが好ましい。
工程(2)において、セルロース原料を酵素で糖化処理する場合の処理条件は、セルロース原料中のセルロースの結晶化度や、使用する酵素の種類により適宜選択することができる。
例えば、バガス(サトウキビ搾りかす)由来のセルロース原料を基質とする場合は、0.5〜40%(w/v)の基質懸濁液に対して、酵素を、基質に対し酵素タンパク量が0.04〜600質量%となるように添加し、pH2〜10の緩衝液中、反応温度10〜90℃で、反応時間30分〜5日間、好ましくは0.5〜3日間反応させることにより糖を製造することができる。
上記緩衝液のpHは、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましいが、好ましくはpH3〜7、より好ましくはpH4〜6である。
また、上記反応温度は、用いる酵素の種類により適宜選択することが好ましいが、好ましくは20〜70℃、より好ましくは40〜60℃である。
上述した実施の形態に加えて、本発明は以下の製造方法を開示する。
<1>下記工程(1)及び工程(2)を有する、糖の製造方法。
工程(1):セルロース原料を、非イオン性界面活性剤及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1種以上の添加剤ならびに水の存在下、pH7未満、好ましくはpH4以下、より好ましくはpH3.0以下、更に好ましくはpH2.7以下、より更に好ましくはpH2.5以下であり、好ましくはpH0.1以上、より好ましくはpH0.5以上、更に好ましくはpH1.0以上の条件下で加熱処理して、処理物を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた処理物を酵素で糖化処理する工程
<2>工程(1)で得られた処理物を、工程(2)に供する前に塩基、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化カルシウムから選ばれる1種以上、より好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カルシウムで中和する工程を有する、上記<1>に記載の糖の製造方法。
<3>非イオン性界面活性剤のHLB値が3以上20以下、好ましくは5以上20以下である、上記<1>又は<2>に記載の糖の製造方法。
<4>非イオン性界面活性剤のHLB値が8以上20以下、好ましくは10以上20以下である、上記<1>〜<3>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<5>非イオン性界面活性剤のHLB値が12以上20以下、好ましくは16以上20以下である、上記<1>〜<4>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<6>非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上、好ましくはポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、及びポリエチレングリコールモノステアレートからなる群から選択される1種又は2種以上である、上記<1>〜<5>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<7>非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、好ましくはポリオキシエチレンソルビタンラウレート及びポリオキシエチレンソルビタンステアレートからなる群から選択される1種又は2種以上である、上記<6>に記載の糖の製造方法。
<8>ポリエチレングリコールの重量平均分子量が200以上、好ましくは300以上であり、20,000以下、好ましくは18,000以下である、上記<1>〜<7>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<9>ポリエチレングリコールの重量平均分子量が1,000以上、好ましくは1,500以上であり、10,000以下、好ましくは6,000以下である、上記<1>〜<8>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<10>工程(1)における添加剤の使用量がセルロース原料の乾燥重量に対して0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、80質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下である、上記<1>〜<9>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<11>工程(1)における加熱処理温度が100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上であり、300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である、上記<1>〜<10>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<12>工程(1)における加熱処理時の圧力が水の飽和蒸気圧以上、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは0.2MPa以上、更に好ましくは0.3MPa以上、より更に好ましくは0.5MPa以上であり、10MPa以下、好ましくは8MPa、より好ましくは6MPaである、上記<1>〜<11>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<13>工程(1)において、セルロース原料の粗粉砕物の含有量が1g/L以上、好ましくは5g/L以上、より好ましくは8g/L以上であり、500g/L以下、好ましくは400g/L以下、より好ましくは300g/L以下である水スラリーを、前記添加剤の存在下で加熱処理する、上記<1>〜<12>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<14>工程(2)において用いられる酵素が、セルラーゼ及びヘミセルラーゼから選択される1種以上である、上記<1>〜<13>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<15>工程(2)において、pH2以上、好ましくはpH3以上、より好ましくはpH4以上であり、pH10以下、好ましくはpH7以下、より好ましくはpH6以下の緩衝液中で、セルロース原料を糖化処理する、上記<1>〜<14>のいずれかに記載の糖の製造方法。
<16>工程(2)において、セルロース原料を酵素で糖化処理する場合の反応温度が10℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上であり、90℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下である、上記<1>〜<15>のいずれかに記載の糖の製造方法。
以下の実施例において、「%」は特に断りのない場合、及び結晶化度(%)を除き、「質量%」を意味する。また、セルロース原料中のセルロース含有量として、ホロセルロース含有量を用いた。
(1)セルロース原料中のホロセルロース含有量の算出
粉砕したセルロース原料を、エタノール−ジクロロエタン混合溶剤(1:1)で6時間ソックスレー抽出を行い、抽出後のサンプルを60℃で真空乾燥した。得られた試料2.5gに水150mL、亜塩素酸ナトリウム1.0g及び酢酸0.2mLを添加し、70〜80℃で1時間加温した。引き続き亜塩素酸ナトリウム及び酢酸を添加して加温する操作を、試料が白く脱色するまで3〜4回繰り返し行った。白色の残渣をグラスフィルター(1G−3)でろ過し、冷水及びアセトンで洗浄した後、105℃で恒量になるまで乾燥し、残渣重量を求めた。下記式によりホロセルロース含有量を算出し、これをセルロース含有量とした。
セルロース含有量(質量%)=[残渣重量(g)/セルロース原料の乾燥原料換算の採取量(g)]×100
(2)アンヒドログルコース単位(AGU)モル数の算出
AGUモル数は、セルロース原料中のホロセルロースをすべてセルロースと仮定して、以下の式に基づき算出した。
AGUモル数=ホロセルロース重量(g)/162
(3)セルロース原料の水分量の測定
セルロース原料の水分量の測定には、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、製品名「FD−610」)を使用した。150℃にて測定を行い、30秒間の重量変化率が0.1%以下となる点を測定の終点とした。測定された水分量の値を、セルロース原料の乾燥重量に対する質量%に換算した。
(4)糖化率の測定
実施例及び比較例において、DNS法(「生物化学実験法 還元糖の定量法」学会出版センター)に基づき、以下の手順で糖の定量を行った。
工程(2)の糖化処理終了後、遠心分離によって沈殿物と上清液を分離した。DNS溶液(0.5%−3,5−ジニトロサリチル酸、30%−酒石酸ナトリウムカリウム四水和物、1.6%−水酸化ナトリウム)1mLに適量の上清液を加え、100℃で5分間加熱発色させ、冷却後、波長535nmで比色定量した。グルコースを標準糖とした検量線より、上清液中の還元糖量を定量した。
得られた還元糖量の値から、糖化率を求めた。糖化率は下記の計算式により算出した。
糖化率(%)=上清中の還元糖量濃度(g/ml)/(セルロース原料濃度(g/ml(乾燥原料換算))×ホロセルロース含有量(g/g−セルロース原料)/0.9(グルコースの分子量/AGUの分子量))
実施例1
(セルロース原料の粗粉砕処理)
セルロース原料であるバガス〔サトウキビの搾りかす、ホロセルロース含有量71.3質量%、結晶化度29%、水分量7.0質量%〕を、バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、商品名「MB−1」:容器全容積3.5L、ロッドとして、φ30mm、長さ218mm、断面形状が円形のSUS304製ロッドを13本使用、ロッド充填率57%)に投入し、5分間粉砕処理し、粗粉砕処理物を得た。
(工程(1))
粗粉砕処理物150mg(乾燥重量)と1M−硫酸65mg、添加剤として非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンラウレート(花王株式会社製、商品名「レオドールTW−L120」、HLB値:16.7)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)、及びイオン交換水2388mg(セルロース原料が約6質量%となる量)を、ガラス製の専用反応容器に入れ、よく撹拌したのち、マイクロ波加熱装置(バイオタージ社製、商品名「initiator sixty」)にて、圧力1.0MPa、温度180℃で2分間加熱し、処理物を得た。加熱処理時のpHは1.8であった。
(中和工程)
得られた処理物を室温まで冷却した後、同じ容器内で1M−水酸化ナトリウム水溶液130mgを添加して中和した。その後、100mM酢酸緩衝液0.3mlを添加して3mlスケールとし、pHが5.0となるように調整した。
(工程(2))
中和後の処理物(乾燥原料換算で150mg相当)に対して、酵素タンパク量が1.5mgとなるようにセルラーゼ酵素標品CellicCTec2(ノボザイムズ社製、商品名)を加えて、振とう攪拌しながら50℃で24時間糖化処理した。
反応終了後、遠心分離によって沈殿物と上清液とを分離し、上清液に遊離した還元糖量を上述したDNS法によって定量して糖化率を求めた。結果を表1に示す。
実施例2
添加剤として非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンステアレート(花王株式会社製、商品名「レオドールTW−S120」、HLB値:14.9)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
実施例3
添加剤として非イオン性界面活性剤であるソルビタンモノステアレート(花王株式会社製、商品名「レオドールSP−S10V」、HLB値:4.7)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
実施例4
添加剤としてポリエチレングリコール(ALDRICH社製、平均分子量4,400)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
実施例5
添加剤としてポリエチレングリコール(MP Biomedicals社製、平均分子量8,000)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
実施例6
添加剤として非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王株式会社製、商品名「エマルゲン120」、HLB値:15.3)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
実施例7
添加剤として非イオン性界面活性剤であるポリエチレングリコールモノラウレート(花王株式会社製、商品名「エマノーン1112」、HLB値:13.7)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
実施例8
添加剤として非イオン性界面活性剤であるポリエチレングリコールモノステアレート(花王株式会社製、商品名「エマノーン3199V」、HLB値:19.4)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
実施例9
添加剤として非イオン性界面活性剤であるソルビタンモノラウレート(花王株式会社製、商品名「レオドールSP−L10」、HLB値:8.6)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
実施例10
添加剤として非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル(花王株式会社製、商品名「レオドール460V」、HLB値:13.8)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
比較例1
添加剤として非イオン性界面活性剤であるソルビタンモノステアレート(花王株式会社製、商品名「レオドールSP−S10V」、HLB値:4.7)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用い、工程(1)ではなく工程(2)で添加したこと、及び工程(1)におけるイオン交換水の量を表1に示す量に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
比較例2
添加剤としてポリエチレングリコール(MP Biomedicals社製、平均分子量8,000)15mg(有効分:15mg、バガスの乾燥重量に対して10質量%相当量)を用い、工程(1)ではなく工程(2)で添加したこと、及び工程(1)におけるイオン交換水の量を表1に示す量に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
比較例3
添加剤を添加せずに工程(1)を行ったこと、及び工程(1)におけるイオン交換水の量を表1に示す量に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で糖の製造を行った。結果を表1に示す。
Figure 2013215187
表1より、本発明の糖の製造方法は、工程(1)及び工程(2)のいずれにおいても添加剤を添加せずに処理を行った比較例3、及び添加剤を添加せずに工程(1)を行い、工程(2)で実施例3、5と同じ添加剤を加えて糖の製造を行った比較例1及び2と比べ、糖化率が向上した。
本発明の糖の製造方法は、生産性に優れ、セルロース原料から糖を効率的に得ることができる。得られた糖はエタノールや乳酸などの発酵生産などに有用である。

Claims (11)

  1. 下記工程(1)及び工程(2)を有する、糖の製造方法。
    工程(1):セルロース原料を、非イオン性界面活性剤及びポリエチレングリコールからなる群から選択される1種以上の添加剤ならびに水の存在下、pH7未満の条件下で加熱処理して、処理物を得る工程
    工程(2):工程(1)で得られた処理物を酵素で糖化処理する工程
  2. 工程(1)で得られた処理物を、工程(2)に供する前に塩基で中和する工程を有する、請求項1に記載の糖の製造方法。
  3. 非イオン性界面活性剤のHLB値が3〜20である、請求項1又は2に記載の糖の製造方法。
  4. 非イオン性界面活性剤のHLB値が8〜20である、請求項1〜3のいずれかに記載の糖の製造方法。
  5. 非イオン性界面活性剤のHLB値が12〜20である、請求項1〜4のいずれかに記載の糖の製造方法。
  6. 非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の糖の製造方法。
  7. 非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである、請求項6に記載の糖の製造方法。
  8. ポリエチレングリコールの重量平均分子量が200〜20,000である、請求項1〜7のいずれかに記載の糖の製造方法。
  9. ポリエチレングリコールの重量平均分子量が1,000〜10,000である、請求項1〜8のいずれかに記載の糖の製造方法。
  10. 工程(1)における添加剤の使用量がセルロース原料の乾燥重量に対して0.1〜100質量%である、請求項1〜9のいずれかに記載の糖の製造方法。
  11. 工程(1)における加熱処理温度が100〜300℃である、請求項1〜10のいずれかに記載の糖の製造方法。
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