JP2023142623A - セルロースの糖化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】界面活性剤による糖化反応の阻害を生じにくいセルロースの糖化方法を提供する。【解決手段】水と、セルロースを含む原料と、界面活性剤と、を糖化槽内に投入し混合液を得る投入工程と、前記混合液を、羽根部の回転により撹拌する撹拌工程と、前記羽根部が検知したトルクを検出する検出工程と、を備えるセルロースの糖化方法で、前記撹拌工程では、単位時間内の前記トルクの変化量が一定値以下となるまで撹拌を行った後、前記トルクが閾値以上である場合、前記混合液に追加で界面活性剤を投入し、前記トルクが前記閾値より小さい場合、前記混合液にpH調整剤と酵素とを投入する、セルロースの糖化方法。【選択図】図2

Description

本発明は、セルロースの糖化方法に関する。
セルロースを糖化することによりグルコースを得ることが、いわゆるカーボンマイナス、バイオマスの有効利用、バイオエタノールへの応用等の観点から注目されている。例えば、特許文献1には、セルロースと糖化剤(酵素)とを溶液中で混合し、糖を生成する方法が開示されている。また同文献には、溶液内に界面活性剤を含むことで、糖化速度を向上させることができる旨が開示されている。
特表2012-517243号公報
特許文献1に開示されているように、セルロースを糖化する際には、糖化槽内に酵素を含む反応液と原料を導入し、撹拌を行うことで酵素反応を進行させセルロースの糖化を行う方法があり、界面活性剤を用いることで、セルロースを反応液に浸漬しやすくできると考えられる。
しかしながら、界面活性剤が反応液に過剰に添加されると、界面活性剤によるセルロース表面や酵素表面の被覆量が多くなると考えられ、酵素とセルロースとの接触が抑制されて糖化反応が進行しにくくなるおそれがあった。
本発明に係るセルロースの糖化方法の一態様は、
水と、セルロースを含む原料と、界面活性剤と、を糖化槽内に投入し混合液を得る投入工程と、
前記混合液を、羽根部の回転により撹拌する撹拌工程と、
前記羽根部が検知したトルクを検出する検出工程と、
を備えるセルロースの糖化方法で、
前記撹拌工程では、単位時間内の前記トルクの変化量が一定値以下となるまで撹拌を行った後、
前記トルクが閾値以上である場合、前記混合液に追加で界面活性剤を投入し、
前記トルクが前記閾値より小さい場合、前記混合液にpH調整剤と酵素とを投入する。
実施形態に係る糖化槽の一例を示す模式図。 トルク値の時間変化を模式的に表すグラフ。 撹拌中の糖化槽内の物質の模式図。 実施形態に係る糖化方法のフローチャート。
以下に本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明さ
れる構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
本実施形態に係るセルロースの糖化方法は、水と、セルロースを含む原料と、界面活性剤と、を糖化槽内に投入し混合液を得る投入工程と、混合液を、羽根部の回転により撹拌する撹拌工程と、羽根部が検知したトルクを検出する検出工程と、を備える。そして、撹拌工程では、単位時間内のトルクの変化量が一定値以下となるまで撹拌を行った後、トルクが閾値以上である場合、前記混合液に界面活性剤を投入し、トルクが前記閾値より小さい場合、前記混合液にpH調整剤と酵素とを投入する。
1.投入工程
投入工程は、水と、セルロースを含む原料と、界面活性剤と、を糖化槽内に投入し混合液を得る工程である。
1.1.糖化槽
糖化槽は、原料及び液体を導入でき、内容物を撹拌できるものであれば特に限定されない。糖化槽の規模についても限定されず、ビーカー、フラスコ等の実験室規模であってもよいし、パイロットプラント規模であってもよく、さらには商業プラント規模であってもよい。
糖化槽は、容器と蓋体とを備えてもよい。糖化槽は、原料や液体の導入口、製品の取り出し口、内部を撹拌するための機構、内部観察用の窓、加熱・冷却用のヒーター、冷媒配管、ジャケット等、その他配管類を適宜に備えてもよい。さらに、糖化槽は、液面計、温度計等を備えてもよく、それらの設置のための開口を有してもよい。
図1は、本実施形態の糖化方法を実施可能な糖化槽の一例である糖化槽100を模式的に示す図である。図1に示すように、糖化槽100には、原料を混合した混合物Lが投入されている。撹拌シャフト20及び撹拌羽根10がモーター30によって回転することで、混合物Lが撹拌される。
図1に示す例では、糖化槽100は、容器102が蓋体104により閉じられている。蓋体104には、糖化槽100内部に原料を投入する投入口50、酵素を導入する管62、界面活性剤を導入する管64、及びpH調整剤を導入する管66が設けられている。また、容器102の下部に、反応後の液体を糖化槽100から回収する回収ライン72、液体排出後の残渣を排出する残渣ドレイン74が設けられている。
1.2.原料
糖化槽に導入される原料は、水と、セルロースとを含む。原料は、水、セルロース以外の成分を含んでもよい。水、セルロース以外の成分としては、例えば、木材由来の成分として、リグニン、ヘミセルロース、加工された木材の成分として、填料、顔料、樹脂成分、粘土類、バインダー、トナー、油分等が挙げられる。
水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、液を長期保存する場合、酵素反応中、酵素反応後にカビやバクテリアの発生を抑制できるので好ましい。
セルロースは、紙、パルプ等に由来してもよい。原料に紙を用いると、原料を容易に調達できる。また紙は、印刷済みの古紙を含んでもよい。印刷済みの古紙としては、コピー用紙、新聞、雑誌等が挙げられる。印刷済みの古紙を用いると、環境資源や埋蔵資源の節約等になり、廃棄物を削減できるので好適である。
紙、古紙等は、粉砕された状態で糖化槽に導入されてもよい。粉砕は、例えば、シュレッダー等により切断して行われてもよく、乾式解繊機等により粉砕されて行われてもよい。さらに粉砕は、例えば、湿式の離解により行われてもよい。原料が粉砕又は粗砕された状態であると、原料中に含まれるセルロース以外の成分をセルロースから遊離させやすくなり、かつセルロースが混合液の液体に接しやすくなるので、糖化工程の効率を向上させることができる。また、粉砕された古紙等は、表面積が増大することで糖化反応の効率を向上できる。さらに、粉砕された古紙等は空気を含み比重が軽くなっており液中に浸漬しにくい場合があるが、その場合でも本実施形態の糖化方法によれば、より少ない界面活性剤の使用により糖化反応進行の阻害を低減することができるという効果をより顕著に得ることができる。
原料に填料を含む紙が含まれる場合、撥水性が生じて紙が混合液に浸漬しにくい場合があるが、本実施形態の糖化方法を行うことで、浸漬が容易となり、界面活性剤による糖化反応の促進を行いつつ、過剰な量の界面活性剤の投入による糖化反応進行の阻害を低減することができるという効果がより顕著に得られる。
原料は、滅菌された状態で用いられることがより好ましい。滅菌の手法としては、例えば、高圧加熱蒸気、紫外線照射等が挙げられる。このようにすれば、糖化反応により生じるグルコース等が、原料由来の微生物等により消費されにくくなり、糖の収率が高まることがある。
投入工程で糖化槽に投入される水及びセルロースの量は、糖化槽の規模や能力により適宜設定される。また、水及びセルロース混合比率も適宜設定できるが、例えば、質量部で、水100部に対して、セルロース30部、好ましくはセルロース15部である。
1.3.界面活性剤
界面活性剤は、酵素反応を阻害しないものであれば、特に制限なく使用できる。混合液に界面活性剤を配合することにより、原料のセルロースに対して液体が濡れやすくなり、糖化反応の効率を向上できる。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、多環フェニルエーテル系界面活性剤、ソルビタン誘導体、フッ素系界面活性剤を挙げることができ、一種単独で用いてもよいし二種以上を組み合わせて用いてもよい。
しかし、本実施形態の糖化方法では、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ポリシロキサン系界面活性剤、ポリエーテル系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤のようなノニオン系(非イオン系)界面活性剤を用いることがより好ましい。例えば市販品としてTritonX-100(ナカライテスク株式会社製)、アンチフォームSE15(シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社製)、アデカノールLG-126(株式会社ADEKA製)、DKエステルF-10(第一工業製薬株式会社製)、KM-72(信越化学工業株式会社製)等のノニオン系界面活性剤を用いることにより、界面活性剤が電荷を有しないため、酵素の働きを阻害しにくく、糖化反応をさらに促進できる。
また、界面活性剤のうち、消泡効果を有する界面活性剤を選択することがより好ましい。界面活性剤が消泡効果を有すると、撹拌工程において気泡の発生を抑制できるとともに気泡が発生しても消泡しやすくできる。これにより糖化槽からの混合物の溢れや配管の詰まりを抑制できる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール及び2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4-ジメチル-5-デシン-4-オール及び2,4-ジメチル-5-デシン-4-オールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。また、アセチレングリコール系の市販品としては、オルフィン104シリーズ、オルフィンE1010等のEシリーズ、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、PD-001、PD-002W、PD-003、PD-004、(製品名、日信化学工業株式会社製)、サーフィノール465、61、DF110D、サーフィノール104シリーズ、420、440、465、485、SE、SE-F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(製品名、エアープロダクツ社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(製品名、川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK-020、BYK-021、BYK-022、BYK-023、BYK-0234、BYK-044、BYK-093、BYK-094、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-348、BYK-349、BYK-3420、BYK-3480、BYK-3481(製品名、BYK社製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017、KM-73A、KM-73E、KM-71、KM-75、KM-85、KM-89、KM-98、KM-7752、KS-531、KS-540、KS-530、KS-537、KS-538(製品名、信越化学工業社製)、TSA6406、TSA780、TSA739、TSA775(製品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、3次元シロキサン「FOAM BAM(登録商標)MS-575」(製品名、Munzing社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK-3440(ビックケミー・ジャパン社製)、サーフロンS-241、S-242、S-243(以上商品名、AGCセイミケミカル社製)、フタージェント215M(ネオス社製)等が挙げられる。
本実施形態の糖化方法では、投入工程で糖化槽に導入する界面活性剤は、少量とする。投入工程で糖化槽に導入する界面活性剤の量が多すぎると、界面活性剤によるセルロース表面や酵素表面の被覆量が多くなると考えられ、酵素とセルロースとの接触が抑制されて糖化反応が進行しにくくなるおそれがある。そのため、投入工程で糖化槽に導入する界面活性剤の量は、水100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは3質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
2.撹拌工程
撹拌工程では、混合液を、羽根部の回転により撹拌する。撹拌は、糖化槽内に羽根部を有する撹拌機構により行われる。
撹拌機構としては、例えば、マグネチックスターラー及び撹拌子、撹拌用モーター、シャフト及び撹拌羽根、及びそれらの組み合わせ等が挙げられ、規模や内容物の撹拌効率に応じて適宜選択することができる。これらの例のうち、羽根部とは、撹拌子、撹拌羽根が該当する。
羽根部は、糖化槽の底部に位置することがより好ましい。すなわち、羽根部の部材の最下部が、糖化槽の容器内空間の最下部から近いことがより好ましい。例えば、糖化槽の容器内空間の最下部から糖化槽の容器内空間の最上部までの距離を1とした場合、羽根部の部材の最下部と、糖化槽の容器内空間の最下部との距離が、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下である。
このように羽根部を配置すれば、セルロースの浸漬状況により変化するトルクをより感度良く検知することができる。
図1に例示した糖化槽100においては、撹拌羽根10が羽根部に相当する。そして、糖化槽100では、糖化槽100の容器内空間の最下部から糖化槽の容器内空間の最上部までの距離を距離Hとし、羽根部(撹拌羽根10)の部材の最下部10aと、糖化槽の容器内空間の最下部との距離を距離hとした場合、比(h/H)が、0.17程度となっている。
3.検出工程
検出工程では、羽根部が検知したトルクを検出する。トルクは、例えば、羽根部を回転させるモーターの電流や負荷をモニターすることで検出できる。検出工程で検出されたトルク値に基づいて、撹拌工程における界面活性剤の投入タイミングやpH調整剤、酵素の投入タイミングが決定される。
検出工程でモニターされるトルク値は、羽根部の形状、回転速度、糖化槽の規模、形状等により異なる。トルク値は、少なくとも羽根部の回転速度を一定とした状態で、モニターされる。
4.界面活性剤、pH調整剤及び酵素の投入
本実施形態の糖化方法では、pH調整剤及び酵素を投入することで、糖化反応が開始されるが、pH調整剤及び酵素の投入前に、適切な量の界面活性剤を糖化槽に導入する。すなわち、撹拌工程において、検出工程により得られるトルクをモニターし、単位時間内のトルクの変化量が一定値以下となるまで撹拌工程を行う。その後、トルクが閾値以上である場合に、混合液に界面活性剤を投入し、トルクが閾値より小さい場合に、混合液にpH調整剤と酵素とを投入する。なお、単位時間内でトルク値が一定となる範囲、及び、閾値は、糖化槽の構成や規模、投入する材料の性質や量、及び、撹拌の能力や速度に応じて適宜に設定する。
図2は、撹拌工程における羽根部が検知するトルク値の時間変化を模式的に表すグラフである。図3は、撹拌中の糖化槽内の物質を模式的に表している。
原料及び界面活性剤を投入後、羽根部が回転を始めると、混合液の混合状態に応じてトルク値が変化する。図3(a)に示すように、羽根部の回転により、糖化槽内の水/界面活性剤(W/S)と、紙(P)とが混ざり始める。この混ざり始めの状態では、紙(P)は、液体(W/S)に浮いている状態となっている。
その後撹拌が進むと、混合液の混合状態の均一化が一因となり、図中「α」で示すような、単位時間Tc内でトルク値が一定の範囲C内で変化しない時間領域(以下「平坦領域」ともいう。)が生じる。この「α」の領域では、図3(b)に示すような、紙/水/界面活性剤の混合物(P/W/S)が形成されるが、気泡(Bu)が混入した状態となっていると考えられる。
図2の例では、最初の平坦領域におけるトルク値は、閾値SHよりも高くなっている。そこで図中「β」で示す時点で界面活性剤を混合液に追加する。引き続きトルク値をモニターすると、混合液の混合状態に応じてトルク値が低下し、図中「γ」で示すような、単位時間Tc内でトルク値が一定の範囲C内で変化しない平坦領域が生じる。この「γ」の領域でも、図3(b)に示すような、紙/水/界面活性剤の混合物(P/W/S)が形成されるが、未だ気泡(Bu)が混入した状態となっていると考えられる。
2回目に生じた平坦領域におけるトルク値は、依然閾値SHよりも高くなっている。そこで図中「δ」で示す時点で界面活性剤を混合液に追加する。引き続きトルク値をモニターすると、混合液の混合状態に応じてトルク値が低下し、図中「ε」で示すような、単位時間Tc内でトルク値が一定の範囲C内で変化しない平坦領域が生じる。この「ε」の領域では、図3(c)に示すような、紙/水/界面活性剤の混合物(P/W/S)が形成され、気泡(Bu)が少なく、かつ浸漬した紙(P)が解かれた均一な混合状態となっていると考えられる。
3回目に生じた平坦領域におけるトルク値は、閾値SHよりも低くなっている。そこで図中「ζ」で示す時点以降に、酵素及びpH調整剤を反応槽に投入する。これにより、糖化槽内は紙(P)の分散のために必要最低限の界面活性剤の量が添加された状態であるため、界面活性剤による反応阻害を防止した状態で酵素によるセルロースの糖化反応を進行させることができる。
pH調節剤としては、酢酸、クエン酸、リン酸などの有機酸、無機酸、有機アルカリ、無機アルカリ及びそれらのナトリウム塩などの塩から選ばれる1種以上、緩衝液を構成する物質、等を例示できる。
酵素としては、β-1,4-グルコシド結合を切断することでセルロースを糖に分解する作用を有するものであれば、用いることができる。セルロース分解酵素の例としては、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及び、セロビアーゼ(β-グルコシダーゼ)等が挙げられる。セルロース分解酵素のより具体的な例としては、セルラーゼSS(ナガセケムテックス株式会社製)、Accellerase Duet(GENENCOR社製)、Cellic Ctec2(Novozymes社製)、Cellic Ctec3(Novozymes社製)、及びメイセラーゼ(Meiji seika ファルマ株式会社製)等が挙げられ、これらの酵素は複数種を併用してもよい。また、セルロース表面に存在するキシランを同時に分解し、糖化効率を高めるためにキシラナーゼが入っていてもよい。
5.糖化方法のフロー
図3は、本実施形態に係る糖化方法のフローチャートである。図3を参照しながら説明する。
まず糖化槽に水と、セルロースを含む原料と、界面活性剤と、を投入して混合液を得る(S101:投入工程)。次に、混合液を、羽根部の回転により撹拌するとともに、羽根部が検知したトルクを検出する(S102:撹拌工程・検出工程)。
そして、トルク値をモニタリングして単位時間内のトルクの変化量が一定値以下となったか否かを判定する(S103)。ステップS103において、単位時間内のトルクの変化量が一定値以下となっていない場合(S103で「N」)撹拌工程、検出工程を継続する(S102)。ステップS103において、単位時間内のトルクの変化量が一定値以下となった場合(S103で「Y」)当該トルク値が閾値SH以下であるかどうかを判定する(S104)。
ステップS104において、トルク値が閾値SH以下でない場合(S104で「N」)界面活性剤を糖化槽に投入し(S105)、撹拌工程、検出工程を継続する(S102)。ステップS104において、トルク値が閾値SH以下である場合(S104で「Y」)、酵素及びpH調整剤を糖化槽に添加して(S107)酵素による糖化反応を開始する(糖化工程)。
本実施形態の糖化方法は、上述のフローを含むので、不必要な量の界面活性剤の投入を抑えることができる。したがって、界面活性剤による糖化反応の促進を行いつつ、過剰な量の界面活性剤の投入による糖化反応進行の阻害を低減することができる。
6.その他の工程、バリエーション等
本実施形態のセルロースの糖化方法は、上記工程の他、例えば、原料を粉砕する粉砕工程、粉砕した原料を分級する分級工程、糖化槽内の液体を回収する回収工程、糖化槽を洗浄する洗浄工程などを含んでもよい。
また、酵素及びpH調整剤を投入した後の混合液のpHは、使用する酵素の至適pHに応じて調整されてもよい。例えば用いる酵素がCellic Ctec2(Novozymes社製)である場合には、混合液のpHは、4.5以上6.0以下、好ましくは5.0以上5.7以下である。また、pHの調節は、酵素を添加する前に行われることがより好ましい。
なお、pH調整剤としては、酢酸ナトリウム、酢酸、硫酸、水酸化ナトリウム水溶液などの酸、アルカリや、各種のバッファーを例示できる。
また、糖化工程における混合物の温度は、用いる酵素の至適温度に調節されることが好ましい。例えば用いる酵素がCellic Ctec2(Novozymes社製)である場合には、混合物の温度は、47℃以上52℃以下、好ましくは48℃以上51℃以下、より好ましくは49℃以上50℃以下である。
糖化槽内の混合物の温度は、適宜の加熱装置、冷却装置、制御装置などを用いて調節される。
上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態及び各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
セルロースの糖化方法は、
水と、セルロースを含む原料と、界面活性剤と、を糖化槽内に投入し混合液を得る投入工程と、
前記混合液を、羽根部の回転により撹拌する撹拌工程と、
前記羽根部が検知したトルクを検出する検出工程と、
を備えるセルロースの糖化方法で、
前記撹拌工程では、単位時間内の前記トルクの変化量が一定値以下となるまで撹拌を行った後、
前記トルクが閾値以上である場合、前記混合液に追加で界面活性剤を投入し、
前記トルクが前記閾値より小さい場合、前記混合液にpH調整剤と酵素とを投入する。
撹拌工程を開始すると、(1)徐々にセルロースが混合液に浸漬していくため撹拌時に羽根部にかかるトルクが上昇していくが、最終的に浸漬が完了するとトルクが飽和(単位時間内のトルクの変化量が一定値以下となる。)する。(2)ここで、界面活性剤を加えさらに撹拌することにより、沈降したセルロースが解かれ、トルクが低下する。
この糖化方法によれば、上記(1)又は(2)の工程でトルクが閾値以下で一定となった時点で界面活性剤の投入を終了するため、不必要な量の界面活性剤の投入を抑えることができる。したがって、界面活性剤による糖化反応の促進を行いつつ、過剰な量の界面活性剤の投入による糖化反応進行の阻害を低減することができる。
上記糖化方法において、
前記羽根部は、前記糖化槽の底部に位置してもよい。
この糖化方法によれば、羽根部が糖化槽内の底部に位置することで、セルロースの浸漬状況により変化するトルクをより感度良く検知することができる。
上記糖化方法において、
前記原料は、填料を含む紙であってもよい。
この糖化方法によれば、紙に填料等が含まれ、撥水性が生じて紙が混合液に浸漬しにくい場合であっても、界面活性剤による糖化反応の促進を行いつつ、過剰な量の界面活性剤の投入による糖化反応進行の阻害を低減することができるという効果を得ることができる。
上記糖化方法において、
前記投入工程では、前記原料は、粉砕された状態で前記糖化槽内に投入されてもよい。
この糖化方法によれば、原料の表面積が増大することで糖化反応の効率を向上できる。さらに、粉砕された原料は空気を含み比重が軽くなっており液中に浸漬しにくい場合があるが、その場合でも本発明の効果を得ることができる。
上記糖化方法において、
前記界面活性剤は、非イオン系界面活性剤であってもよい。
この糖化方法によれば、界面活性剤が電荷を有しないため、酵素の働きを阻害しにくく、糖化反応をさらに促進できる。
10…撹拌羽根、10a…最下部、20…撹拌シャフト、30…モーター、50…投入口、61…サーフィノール、62,64,66…管、72…回収ライン、74…残渣ドレイン、100…糖化槽、102…容器、104…蓋体、C…範囲、H,h…距離、L…混合物、SH…閾値、Tc…単位時間

Claims (5)

  1. 水と、セルロースを含む原料と、界面活性剤と、を糖化槽内に投入し混合液を得る投入工程と、
    前記混合液を、羽根部の回転により撹拌する撹拌工程と、
    前記羽根部が検知したトルクを検出する検出工程と、
    を備えるセルロースの糖化方法で、
    前記撹拌工程では、単位時間内の前記トルクの変化量が一定値以下となるまで撹拌を行った後、
    前記トルクが閾値以上である場合、前記混合液に追加で界面活性剤を投入し、
    前記トルクが前記閾値より小さい場合、前記混合液にpH調整剤と酵素とを投入する、セルロースの糖化方法。
  2. 請求項1において、
    前記羽根部は、前記糖化槽の底部に位置する、セルロースの糖化方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記原料は、填料を含む紙である、セルロースの糖化方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記投入工程では、前記原料は、粉砕された状態で前記糖化槽内に投入される、セルロースの糖化方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記界面活性剤は、非イオン系界面活性剤である、セルロースの糖化方法。
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