JP2013213030A - フルオレン骨格を有するポリカルボン酸およびその製造方法 - Google Patents

フルオレン骨格を有するポリカルボン酸およびその製造方法 Download PDF

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Shinsuke Miyauchi
信輔 宮内
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昌宏 山田
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Abstract

【課題】高耐熱性、高屈折率などの優れた特性を有する新規なポリカルボン酸を提供する。
【解決手段】酸触媒の存在下、フルオレノン類とメルカプトカルボン酸類(例えば、β−メルカプトプロピオン酸など)とを反応させることにより、下記式(1)で表されるポリカルボン酸が得られる。
Figure 2013213030

(式中、Rは置換基、Rは2価又は3価の炭化水素基(例えば、C1−10アルキレン基)、mは0〜4の整数、nは1又は2を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂原料などとして有用な新規なポリカルボン酸、その製造方法および前記ポリカルボン酸を重合成分とするポリマーに関する。
光学材料には、様々な特性(高屈折率、低複屈折率、高透過率、耐水性、耐衝撃性など)が要求される。中でも、フルオレン骨格を有する化合物は、高い屈折率を有するだけではなく、複屈折率が低く、透明度が極めて高いため、理想的な光学材料である。このような高い性能をポリマーなどに発現するために、フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格)を有する化合物の開発が精力的に行われており、例えば、反応性基(ヒドロキシル基、アミノ基など)を有するフルオレン化合物、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスアミノフェニルフルオレン(BAFL)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などが知られている。
このようなフルオレン化合物として、フルオレン骨格を有するジカルボン酸も開発されつつある。例えば、特開2006−151833号公報(特許文献1)には、感光性樹脂組成物の構成成分として、ビス(C1−4アルコキシカルボニル)−9,9−ビス(C1−4アルコキシカルボニル−C1−6アルキル)フルオレン類や9,9−ビス[1,2−ジ(C1−4アルコキシカルボニル)エチル]−フルオレン類などのフルオレン骨格を有するジカルボン酸エステルが開示されている。
また、硫黄原子の導入により屈折率などの向上効果が期待できることが知られており、硫黄原子をフルオレン化合物に導入する試みもなされつつある。例えば、特開2002−338540号公報(特許文献2)には、9,9−ビス(4−メルカプトフェニル)フルオレンなどが開示されている。また、特開2002−255929号公報(特許文献3)には、9,9−ビス(ヒドロキシフェニルチオ)フルオレン、9,9−ビス{(2−ヒドロキシエトキシ)フェニルチオ}フルオレンなどが開示されている。
このような状況下、さらなるフルオレン化合物の開発が求められている。
特開2006−151833号公報(特許請求の範囲) 特開2002−338540号公報(特許請求の範囲) 特開2002−255929号公報(特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、高屈折率などの特性を有する新規なポリカルボン酸、その製造方法、および前記ポリカルボン酸を重合成分とする樹脂(ポリマー)を提供することにある。
本発明の他の目的は、高屈折率などの優れた特性を樹脂に効率よく付与できる新規なポリカルボン酸、その製造方法、および前記ポリカルボン酸を重合成分とする樹脂(ポリマー)を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、フルオレノン類とメルカプトカルボン酸(例えば、メルカプトアルカン酸などのメルカプト脂肪酸)とを反応させることにより、フルオレン骨格に硫黄原子が導入された新規なポリカルボン酸が得られること、また、このようなポリカルボン酸は高屈折率などの優れた特性を有しており、機能性材料や樹脂モノマー(重合成分)などとして利用できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のポリカルボン酸は、下記式(1)で表される。
Figure 2013213030
(式中、Rは置換基、Rは2価又は3価の炭化水素基、mは0〜4の整数、nは1又は2を示す。)
上記式(1)において、Rは、特に、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基又はアルカントリイル基)であってもよい。代表的には、前記式(1)において、nが1であり、RがC1−10アルキレン基であってもよい。
本発明には、下記式(A)で表されるフルオレノン類と、下記式(B)で表されるメルカプトカルボン酸とを反応させ、前記ポリカルボン酸を製造する方法も含まれる。
Figure 2013213030
(式中、R、R、m、nは前記と同じ。)
前記方法では、式(A)で表されるフルオレノン類1モルに対して、式(B)で表されるメルカプトカルボン酸2モル以上を使用してもよい。
また、前記方法では、酸触媒(例えば、硫酸)の存在下で反応させてもよい。酸触媒の割合は、例えば、式(A)で表されるフルオレノン類1モルに対して、0.5〜30モル当量であってもよい。また、酸触媒を用いる場合、酸触媒の割合は、式(B)で表されるメルカプトカルボン酸1モルに対して、0.02〜50モル当量程度であってもよい。
特に、酸触媒の割合は、式(A)で表されるフルオレノン類1モルに対して3モル当量以上であってもよく、また、式(B)で表されるメルカプトカルボン酸1モルに対して1モル当量以上であってもよい。このように比較的多量の酸触媒を用いることにより、より一層高純度で前記ポリカルボン酸を得やすい。
前記方法は、溶媒中、特に、芳香族炭化水素類及びエーテル類から選択された少なくとも1種の溶媒中で反応させてもよい。
本発明には、前記ポリカルボン酸(例えば、ジカルボン酸)を重合成分とするポリマー(樹脂)も含まれる。このようなポリマーは、例えば、ポリアミド樹脂{例えば、前記式(1)においてnが1であるポリカルボン酸(ジカルボン酸)と、ジアミン(例えば、芳香族ジアミンなど)とを重合成分とするポリアミド樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂)など}であってもよい。
本発明の新規なポリカルボン酸は、高屈折率、高耐熱性、高透明性などの優れた特性を有している。そして、このようなポリカルボン酸は、樹脂添加剤、化学中間体、樹脂モノマーなどとして適用できる。特に、本発明のポリカルボン酸は、樹脂を構成するポリカルボン酸成分(特に、ジカルボン酸成分)として重合させることが可能であり、前記のような優れた特性を樹脂に効率よく付与できる。
[ポリカルボン酸]
本発明のポリカルボン酸は、下記式(1)で表される。
Figure 2013213030
(式中、Rは置換基、Rは2価又は3価の炭化水素基、mは0〜4の整数、nは1又は2を示す。)
上記式(1)において、基Rとしては、特に限定されないが、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシル基、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などが挙げられ、特に、アルキル基などである場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−12アルキル基(例えば、C1−8アルキル基、特にメチル基などのC1−4アルキル基)などが例示できる。なお、mが複数(2〜4)である場合、複数の基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、異なるベンゼン環に置換した基Rは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2および7位などが挙げられる。好ましい置換数mは、0〜1、特に0である。なお、2つの置換数mは、同一又は異なっていてもよい。
なお、前記式(1)において、カルボキシル基の置換数nは1又は2であり、2つのnは同一(すなわち、いずれも1又は2)であっても、異なっていても(すなわち、一方のnが1,他方のnが2であっても)よく、通常同一であってもよい。
前記式(1)において、基Rは2価又は3価の炭化水素基(例えば、脂肪族炭化水素残基又は芳香族炭化水素残基)である。すなわち、式(1)においてn=1の場合、基Rは2価の炭化水素基であり、n=2の場合、基Rは3価の炭化水素基である。炭化水素基において、対応する炭化水素としては、例えば、非環状脂肪族炭化水素[例えば、アルカン(例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのC1−12アルカン、好ましくはC1−8アルカン、さらに好ましくはC1−4アルカン、特にC1−2アルカン)、アルケン(例えば、エチレン、プロペン、ブテン、ペンテンなどのC2−10アルケン)など]、脂環式炭化水素[例えば、シクロアルカン(例えば、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのC5−10シクロアルカン、好ましくはC5−8シクロアルカン)、アルキルシクロアルカン(例えば、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどのC1−4アルキルC5−10シクロアルカン、好ましくはC1−2アルキルC5−8シクロアルカン)、橋架環式炭化水素(例えば、ノルボルナン、アダマンタンなど)など]などの脂肪族炭化水素;単環式アレーン{ベンゼン、アルキルベンゼン[例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼンなどのC1−4アルキルベンゼン]、アルケニルベンゼン(例えば、スチレンなどのC2−10アルケニルベンゼン)など}など、多環式アレーン(例えば、ナフタレン、アントラセン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレンなどの縮合多環式アレーン)などの芳香族炭化水素が含まれる。
炭化水素(又は炭化水素基)は、置換基を有していてもよい。置換基としては、特に限定されず、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−10アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1−8アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記と同じ。);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。好ましい置換基は、炭化水素基(例えば、アルキル基、アリール基など)が挙げられる。これらの置換基は、単独で又は2種以上組み合わせて炭化水素に置換してもよい。
具体的な2価の炭化水素基(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)としては、例えば、2価の脂肪族炭化水素基{例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、テトラメチレン基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−2−イリデン基、ブタン−2,3−ジイル基、ペンタメチレン基、ペンタン−2,3−ジイル基、ヘキサメチレン基などのC1−12アルキレン基、好ましくはC1−8アルキレン基、さらに好ましくはC1−4アルキレン基、特にC1−2アルキレン基)、アリールアルキレン基[例えば、フェニルエチレン基などのC6−10アリールC1−4アルキレン基、好ましくはC6−8アリールC1−2アルキレン基)など]などの置換基を有していてもよいアルキレン基;シクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基(1,4−シクロへキシレン基など)などのC5−10シクロアルキレン基、好ましくはC5−8シクロアルキレン基)、アルキルシクロアルキレン基(例えば、メチルシクロへキシレン基などのC1−4アルキルC5−10シクロアルキレン基)などの置換基を有していてもよいシクロアルキレン基;アルキレン−シクロアルキレン基{例えば、メチレン−シクロへキシレン基[−CH−C10−](メチレン−1,4−シクロへキシレン基など)、エチレン−シクロへキシレン基[−CHCH−C10−](エチレン−1,4−シクロへキシレン基など)、エチリデン−シクロへキシレン基[−CHCH−C10−](エチリデン−1,4−シクロへキシレン基など)などのC1−4アルキレン−C5−10シクロアルキレン基、好ましくはC1−2アルキレン−C5−8シクロアルキレン基など}などの置換基を有してもよいアルキレン−シクロアルキレン基;アルキレン−アリーレン基(例えば、メチレン−フェニレン基、エチレン−フェニレン基などのC1−4アルキレン−C6−10アリーレン基)などの置換基を有していてもよいアルキレン−アリーレン基;アルキレン−アリーレン−アルキレン基(例えば、メチレン−フェニレン−メチレン(キシリレン)基などのC1−4アルキレン−C6−10アリーレン−C1−4アルキレン基)などのアルキレン−アリーレン−アルキレン基}、2価の芳香族炭化水素基[例えば、アリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基など)、アルキルアリーレン基(例えば、メチルフェニレン基、ジメチルフェニレン基などのC1−4アルキルC6−10アリーレン基)などの置換基を有していてもよいアリーレン基]などが挙げられる。
また、具体的な3価の炭化水素基(置換基を有していてもよい3価の炭化水素基)としては、前記2価の炭化水素基に対応する3価の炭化水素基、例えば、3価の脂肪族炭化水素基[例えば、アルカントリイル基(例えば、エタントリイル基などのC1−12アルカントリイル基、好ましくはC1−8アルカントリイル基、さらに好ましくはC1−4アルカントリイル基、特にC1−2アルカントリイル基など)など]などが挙げられる。
なお、式(1)において、2つの基Rは同一又は異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
好ましい基Rには、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン基(直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基)、アルカントリイル基など)が含まれ、特に2価の脂肪族炭化水素基[すなわち、n=1の場合、例えば、アルキレン基(例えば、C1−10アルキレン基、好ましくはC1−4アルキレン基)など]が好ましい。このような基Rではポリカルボン酸を効率よく高屈折率化しやすい。
代表的な式(1)で表されるポリカルボン酸には、9,9−ビス(カルボキシアルキルチオ)フルオレン[例えば、9,9−ビス(カルボキシメチルチオ)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシエチルチオ)フルオレン、9,9−ビス(1−カルボキシエチルチオ)フルオレン、9,9−ビス(3−カルボキシプロピルチオ)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシ−1−メチルエチルチオ)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシプロピルチオ)フルオレン、9,9−ビス(1−カルボキシ−1−メチルエチルチオ)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシ−1,1−ジメチルエチルチオ)フルオレン、9,9−(1−カルボキシブチルチオ)フルオレン、9,9−ビス(2−カルボキシ−1−エチルエチルチオ)フルオレンなどの9,9−ビス(カルボキシC1−10アルキルチオ)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(カルボキシC1−6アルキルチオ)フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス(カルボキシC1−4アルキルチオ)フルオレン、特に9,9−ビス(カルボキシC1−2アルキルチオ)フルオレン]、9,9−ビス(アリール−カルボキシアルキルチオ)フルオレン[例えば、9,9−ビス(2−カルボキシ−1−フェニルエチルチオ)フルオレンなどの9,9−ビス(C6−10アリール−カルボキシC1−10アルキルチオ)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(C6−8アリール−カルボキシC1−4アルキルチオ)フルオレンなど]、9,9−ビス(カルボキシアリールチオ)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−カルボキシフェニルチオ)フルオレンなどのなどの9,9−ビス(カルボキシC6−10アリールチオ)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(カルボキシC6−8アリールチオ)フルオレン]などの式(1)において、nが1であるポリカルボン酸(すなわち、ジカルボン酸);9,9−ビス(ジカルボキシアルキルチオ)フルオレン[例えば、9,9−ビス(1,2−ジカルボキシエチルチオ)フルオレンなどの9,9−ビス(ジカルボキシC1−10アルキルチオ)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(ジカルボキシC1−6アルキルチオ)フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス(ジカルボキシC1−4アルキルチオ)フルオレン]などの式(1)において、nが2であるポリカルボン酸(すなわち、テトラカルボン酸)などが挙げられる。
本発明のポリカルボン酸は、高耐熱性、高屈折率などの特性を有している。例えば、本発明のポリカルボン酸の融点は、例えば、130〜230℃、好ましくは150〜220℃、さらに好ましくは170〜200℃程度であってもよい。
また、本発明のポリカルボン酸の屈折率(25℃、589nm)は、1.59〜1.75(例えば、1.6〜1.7)、好ましくは1.62〜1.68、さらに好ましくは1.63〜1.66程度であってもよい。
(ポリカルボン酸の製造方法)
本発明のポリカルボン酸は、特に限定されないが、例えば、下記式(A)で表されるフルオレノン類と、下記式(B)で表されるメルカプトカルボン酸とを反応させることにより製造できる。
Figure 2013213030
(式中、R、R、m、nは前記と同じ。)
上記式(A)において、R、mは前記式(1)の場合と同様であり、代表的にはフルオレノン(9−フルオレノン)を使用できる。このようなフルオレノン類の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
また、前記式(B)において、R、nもまた前記式(1)の場合と同様である。代表的な式(B)で表されるメルカプトカルボン酸としては、例えば、メルカプト脂肪酸{例えば、メルカプトアルカン酸(例えば、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、4−メルカプト酪酸、2−メルカプトイソ酪酸、3−メルカプトイソ酪酸、3−メルカプト−3−メチル酪酸、2−メルカプト吉草酸、4−メルカプト吉草酸などのメルカプトC1−10アルカン−カルボン酸、好ましくはメルカプトC1−6アルカン−カルボン酸、さらに好ましくはメルカプトC1−4アルカン−カルボン酸、特にメルカプトC1−2アルカン−カルボン酸)、アリール−メルカプトアルカン酸(例えば、3−フェニル−3−メルカプトプロピオン酸ななどのC6−10アリール−メルカプトC1−10アルカン−カルボン酸、好ましくはC6−8アリール−メルカプトC1−4アルカン−カルボン酸)などの式(B)においてnが1である化合物;メルカプトアルカンジカルボン酸(例えば、メルカプトコハク酸などのメルカプトC1−10アルカン−ジカルボン酸、好ましくはメルカプトC1−6アルカン−ジカルボン酸、さらに好ましくはメルカプトC1−4アルカン−ジカルボン酸酸)などの式(B)においてnが2である化合物}、メルカプト芳香族カルボン酸[例えば、メルカプトアレーンカルボン酸(例えば、メルカプト安息香酸などのメルカプトC6−10アレーン−カルボン酸)など]などが挙げられる。式(B)で表されるメルカプトカルボン酸は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
反応において、式(1)で表されるポリカルボン酸が得られる限り、フルオレノン類およびメルカプトカルボン酸の使用割合は特に限定されないが、通常、式(A)で表されるフルオレノン類1モルに対して、式(B)で表されるメルカプトカルボン酸を、1モル以上、好ましくは1.5モル以上(例えば、1.8〜10モル)、さらに好ましくは2モル以上(例えば、2.1〜8モル)、特に2.2モル以上(例えば、2.3〜5モル)程度であってもよく、通常2〜3モル程度であってもよい。なお、フルオレノン類に対するメルカプトカルボン酸の割合が小さすぎると、式(1)で表されるポリカルボン酸が得られなくなる虞がある。
反応は、触媒(例えば、酸触媒)の存在下で行ってもよい。酸触媒としては、無機酸{又は鉱酸、例えば、硫酸、ハロゲン化水素(塩化水素、臭化水素など)、ハロゲン化水素水溶液[塩酸(5〜36重量%、好ましくは20〜36重量%程度の塩化水素の水溶液など)など]、リン酸など}、有機酸[スルホン酸(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸など)など]、無機固体酸[金属化合物(SiO、Al、TiO、Fe、ZrO、SnO、V、SiO−Al、SiO−TiO、TiO−ZrO、SiO−ZrOなどの酸化物;ZnSなどの硫化物;CaSO、Fe(SO、CuSO、NiSO、Al(SO、MnSO、BaSO、CoSO、ZnSOなどの硫酸塩;P、Mo、V、W、Siなどの元素を含有するポリ酸;粘土鉱物(酸性白土、モンモリロナイトなど);ゼオライト;カオリンなど]、有機固体酸(陽イオン交換樹脂など)などが挙げられる。酸触媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
好ましい酸触媒は、鉱酸、特に、硫酸などが含まれる。なお、硫酸には、希硫酸(例えば、濃度30〜90重量%程度の硫酸)、濃硫酸(例えば、濃度90重量%以上の硫酸)、発煙硫酸などが含まれ、反応系において硫酸に転化可能であれば、硫酸前駆体として、三酸化硫黄を使用してもよい。通常、硫酸として、HSO換算で、80〜99重量%(例えば、85〜98重量%)、好ましくは90〜97.5重量%程度の硫酸(濃硫酸)を使用してもよい。
酸触媒の割合は、式(A)で表されるフルオレノン類1重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部(例えば、0.3〜5重量部)、さらに好ましくは0.5〜4重量部(例えば、0.7〜3重量部)程度であってもよい。
また、酸触媒の割合は、酸触媒の形態にもよるが、例えば、式(A)で表されるフルオレノン類1モルに対して、0.01〜50モル当量(例えば、0.01〜20モル当量)、好ましくは0.1〜15モル当量、さらに好ましくは0.2〜10モル当量(例えば、0.3〜8モル当量)程度であってもよく、通常0.5〜30モル当量程度であってもよい。特に、酸触媒の割合を、式(A)で表されるフルオレノン類1モルに対して、1モル当量以上(例えば、2〜50モル当量)、好ましくは3モル当量以上(例えば、4〜40モル当量)、さらに好ましくは5モル当量以上(例えば、7〜30モル当量)、特に10モル当量以上(例えば、12〜20モル当量)としてもよい。フルオレノン類に対する酸触媒の割合(さらには後述メルカプトカルボン酸に対する酸触媒の割合)を大きくすることで、より一層高純度で目的物(式(1)で表されるポリカルボン酸)を得やすい。
さらに、酸触媒の使用量は、式(B)で表されるメルカプトカルボン酸1モルに対して、0.01〜100モル当量(例えば、0.02〜50モル当量)の範囲から選択でき、好ましくは0.03〜20モル当量(例えば、0.1〜15モル当量)、さらに好ましくは0.15〜10モル当量(例えば、0.2〜8モル当量)、特に0.25〜5モル当量(例えば、0.3〜3モル当量)程度であってもよく、通常0.05〜2モル当量(例えば、0.1〜1モル当量、好ましくは0.2〜0.9モル当量)程度であってもよい。特に、酸触媒の割合を、式(B)で表されるメルカプトカルボン酸1モルに対して、0.5モル当量以上(例えば、0.7〜50モル当量)、好ましくは1モル当量以上(例えば、1.5〜30モル当量)、さらに好ましくは2モル当量以上(例えば、2.5〜20モル当量)、特に3モル当量以上(例えば、3.5〜15モル当量)、通常2〜10モル当量(例えば、3〜5モル当量)としてもよい。
なお、酸触媒の添加(混合)方法は、必要量を一括で反応系に添加(混合)してもよいが、逐次添加(逐次混合、例えば、滴下や分割投入など)するのが好ましい。
反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、特に限定されず、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール、シクロヘキサノールなど)、ケトン類(アセトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなどのアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、セロソルブなど)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類(メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、ニトリル類、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類、炭化水素類[脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどのC6−12アレーン、好ましくはC6−10アレーン、さらに好ましくはC6−8アレーン)など]、ハロゲン系溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素など)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのうち、好ましい溶媒には、芳香族炭化水素類、エーテル類(例えば、環状エーテル類など)などが含まれる。
溶媒の割合は、例えば、式(A)で表されるフルオレノン類および式(B)で表されるメルカプトカルボン酸の総量1重量部に対して、例えば、0.1〜30重量部(例えば、0.2〜20重量部)、好ましくは0.3〜15重量部(例えば、0.4〜10重量部)、さらに好ましくは0.5〜8重量部(例えば、0.7〜5重量部)程度であってもよい。
反応は、常温(又は室温)、冷却下、加温下のいずれで行ってもよく、反応温度は、特に制限されないが、例えば、−30〜120℃、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは10〜60℃(例えば、10〜30℃)程度であってもよい。また、反応時間は、例えば、1分〜48時間、好ましくは3分〜24時間、さらに好ましくは1〜12時間(例えば、3〜8時間)程度であってもよい。また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。
なお、反応終了後の反応混合物には、前記式(1)で表されるポリカルボン酸以外に、溶媒、触媒(塩基触媒、酸触媒など)、未反応成分などが含まれている。そのため、前記式(1)で表される化合物は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶などの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により反応後の反応混合物から分離精製してもよい。なお、本発明の反応は理想的(定量的)に進行しやすいため、濾過などによる分離でも十分に高純度であるが、さらに純度を高めるため、蒸留や再結晶などの精製を行ってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、各種特性の測定は以下の方法によって行った。
(ガラス転移温度(Tg))
示差走査熱量計(DSC、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、EXSTAR DSC6000)を用い、窒素雰囲気下で、ガラス転移温度を測定した。
(分子量)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置(昭和電工社製、Shodex GPC−101)を用い、カラム(Shodex社製、LF−804)を3本用い、40℃にて、溶媒をテトラヒドロフランにて、ポリスチレン換算の分子量を測定した。
(屈折率)
多波長アッベ屈折計[アタゴ製、DR−M2(循環式恒温水槽 60−C3使用)]を用い、温度25℃を保持し、589nmでの屈折率を外挿法により測定した。
また、実施例で得られた熱可塑性樹脂の屈折率は、次のようにして測定した。サンプル0.3重量部を、シクロヘキサノン10重量部を入れたビーカーに添加し、室温にて攪拌溶解させた。得られた溶液をガラス基板上又はシリコン基板上に1ml滴下し、スピンコーター(ミカサ社製 1H−DX)にてスピンコートし、ホットプレートにて80℃で3分間乾燥させ、透明な膜を得た。得られた硬化膜の屈折率を、光干渉式膜厚計(大塚電子社製 反射分光膜厚計FE−3000)を用いて波長589nmにて測定した。
(HPLC条件)
使用機器:HITACHI L−71シリーズ
検出機 :UV L−7405 λ=254nm
カラム :ナカライテスクcosmosil 5C18−MS−II4.6×250mm
溶出液 :アセトニトリル:水(0.1重量%HPO)=7:3
流速 :1ml/分
(LCMS条件)
使用機器:島津製作所 LCMS−2010Aシリーズ
カラム :Cadenza CD−C18 2×150mm
溶出液 :アセトニトリル:水(0.05重量%ギ酸)=55:45
流速 :0.2ml/分
(実施例1)
300mLのナスフラスコにフルオレノン7.21g(40.0mmol、JFEケミカル社製)、3−メルカプトプロピオン酸8.4mL(96.0mmol、アルドリッチ社製)を入れ、トルエン50mL(ナカライテスク社製)を加えて溶解させた。濃硫酸1.92mL(36mmol,ナカライテスク社製)を、室温を保つように滴下し、室温で6時間攪拌した。水150mLを加えて30分間攪拌し、濾過後、水及びトルエンで洗浄した。洗浄後、風乾で得られた固体を含水イソプロピルアルコールから再結晶し、無色固体11.1g、29.6mmol、収率79.2%)を得た。無色固体のHPLC測定により求めた純度は97.8%であった。また、無色固体をNMRにより分析し、下記式で表される化合物[9,9−ビス(2−カルボキシエチルチオ)フルオレン]であることを確認した。得られた化合物の融点は185℃、屈折率は1.635であった。また、液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)測定により求めた無色固体の分子量は374(ESI、陰イオン、m/z=373、M−Hに対応)であり、下記式で表される化合物であることを、さらに確認した。
Figure 2013213030
H−NMR(DMSO−d6):δ(ppm)=2.18(t、4H)、2.44(t、4H)、7.38−7.48(m、4H)、7.60−7.63(m、2H)、7.89(d、2H)、12.93(s、2H)
13C−NMR(DMSO−d6):δ(ppm)=26.03、33.53、61.83、120.54、124.28、128.08,128.92,138.13,146.07,172.28。
(参考例)
3−メルカプトプロピオン酸は、フルオレノン類とフェノール類(フェノール、クレゾールなど)とを反応させて9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類を製造する際やフルオレノン類とフェノキシエタノールとを反応させて9,9−ビス(ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン類を製造する際に、酸触媒とともに用いられる助触媒として知られている(例えば、特開平7−165657号公報)。
そこで、このような反応において、本発明の化合物が中間体として生成していないことを確認した。
すなわち、特開平7−165657号公報の実施例と同様の条件で、硫酸およびβ−メルカプトプロピオン酸(3−メルカプトプロピオン酸)の存在下、フルオレノンとフェノキシエタノールを反応させた。そして、この反応において反応時間0.5時間経過後の反応液をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて分析したところ、未反応のフルオレノンおよびフェノキシエタノールのピークが確認されたものの、実施例1で得られた化合物に相当するピークは全く確認されなかった。その後、反応時間2時間経過後の反応液をさらにHPLCにて分析したが、生成物である9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンのピーク、未反応フルオレノン、未反応フェノキシエタノールのピークが確認できたものの、実施例1で得られた化合物に相当するピークは全く確認されなかった。
(実施例2)
200mLの丸底フラスコに、実施例1で得られた無色固体7.5g(0.02mol)、p,p’−メチレンジアニリン3.95g(0.02mol)、シクロヘキサノン19.0g、ピリジン0.1gを入れ、攪拌しながらN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド5.1gをシクロヘキサノン7.6gで希釈した溶液を20分間で滴下した。室温で24時間攪拌した後、この反応液をクロロホルム15.0gで希釈し、メタノール150.7g中に加えて生成物を析出させた。さらに、この生成物をクロロホルム50.4gに溶解して、メタノール200.7g中に加え、再沈殿により精製した後、ろ別して真空乾燥することにより、粉末9.9gを得た。得られた粉末(ポリアミド樹脂)の各種物性を分析したところ、重量平均分子量3250、ガラス転移点115℃、屈折率1.65であった。
(実施例3)
実施例1において、濃硫酸を1.92mLから5.5mL(99.0mmol)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして無色固体を得た。無色固体のHPLC測定により求めた純度は97.6%であった。
(実施例4)
実施例1において、濃硫酸を1.92mLから16.5mL(300mmol)、3−メルカプトプロピオン酸を8.4mLから14.0mL(160.0mmol)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして無色固体を得た。無色固体のHPLC測定により求めた純度は99.3%であった。
(実施例5)
300mLのナスフラスコにフルオレノン7.21g(40.0mmol、JFEケミカル社製)、3−メルカプトプロピオン酸8.4mL(96.0mmol、アルドリッチ社製)を入れ、1,4−ジオキサン50mL(ナカライテスク社製)を加えて溶解させた。濃硫酸1.92mL(36mmol,ナカライテスク社製)を、室温を保つように滴下し、室温で6時間攪拌した。得られた反応液を、水酸化ナトリウムで中和後、メチルイソブチルケトンに加熱・溶解し、有機層を水洗した。有機層を冷却することで目的物を析出させ、無色固体10.34g、27.6mmol、収率75.5%)を得た。無色固体のHPLC測定により求めた純度は97.9%であった。
(実施例6)
実施例1において、メルカプトプロピオン酸8.4mLをメルカプト酢酸7.1mL(100.0mmol)に代えるとともに、濃硫酸を1.92mLから2.2mL(40.0mmol)に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、固体を得た。
得られた固体のHPLC測定により求めた純度は96.3%であった。また、無色固体をNMRにより分析し、下記式で表される化合物[9,9−ビス(カルボキシメチルチオ)フルオレン]であることを確認した。また、液体クロマトグラフ質量分析(LCMS)測定により求めた無色固体の分子量は346(ESI、陰イオン、m/z=345、M−Hに対応)であり、下記式で表される化合物であることを、さらに確認した。
Figure 2013213030
H−NMR(DMSO−d6):δ(ppm)=3.17(s、4H)、7.41(t、2H)、7.46(t、2H)、7.61(d、2H)、7.91(d、2H)、12.64(s、2H)
本発明のポリカルボン酸は、高屈折率、高耐熱性、高透明性などの優れた特性を有している。また、樹脂や添加剤に対する分散性にも優れている。さらに、反応性に富むカルボキシル基を有しており、そのまま用いることができる他、カルボキシル基に対する反応性基(ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基など)に対して直接的に反応させたり、各種有機化学的手段で官能基を変換して用いることもでき、汎用性に優れる。そして、本発明では、このような汎用性に優れるポリカルボン酸を非常に簡便な方法で効率よく(例えば、高収率、低コストなど)製造できる。
このように本発明のポリカルボン酸は、適用範囲が広く、各種用途、例えば、樹脂原料、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤など)、試薬(医薬、農薬など)などの原料又は中間体など]において使用可能である。なお、ポリカルボン酸は、必要に応じて誘導体化(例えば、エステル化、酸ハライド化など)して各種用途(樹脂原料など)に用いることができる。
代表的には、本発明のポリカルボン酸(例えば、ジカルボン酸)は、2以上のカルボキシル基を有し、重合成分として樹脂(ポリマー)を形成して、容易に前記のような優れた特性を有する樹脂を得ることが可能であるため、樹脂モノマーとして好適に用いることができる。このような樹脂(ポリカルボン酸を重合成分とするポリマー)としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンズイミダゾール、アクリル樹脂などのポリカルボン酸(又はその誘導体、低級アルキルエステルなど)を重合成分とする樹脂が挙げられる。例えば、ポリアミド樹脂は、本発明のポリカルボン酸(特にジカルボン酸)とジアミン類とを反応させることにより得ることができ、ポリエステル樹脂は、本発明のポリカルボン酸(ジカルボン酸)又はその誘導体とジオールとを反応させることにより得ることができる。
特に、本発明のポリカルボン酸は、前記のように高屈折率などの優れた光学的特性を有しているため、光学材料として好適に用いることができる。なお、このような光学材料では、ポリカルボン酸を添加剤などとして用いてもよく、前記のように樹脂を形成して光学材料に適用してもよい。
代表的な用途としては、レジストなどの感光性樹脂、プリント配線基板、液晶配向膜、インク材料、発光材料(例えば、有機EL用発光材料など)、有機半導体、黒鉛化前駆体、ガス分離膜(例えば、COガス分離膜など)、コート剤(例えば、LED(発光ダイオード)用素子のコート剤などの光学用オーバーコート剤又はハードコート剤など)、レンズ[ピックアップレンズ(例えば、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)用ピックアップレンズなど)、マイクロレンズ(例えば、液晶プロジェクター用マイクロレンズなど)、眼鏡レンズなど]、偏光膜(例えば、液晶ディスプレイ用偏光膜など)、光学フィルム又は光学シート{例えば、タッチパネル用フィルム、有機EL用フィルム、フレキシブル基板用フィルム、ディスプレイ用フィルム[例えば、PDP(プラズマディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)、VFD(真空蛍光ディスプレイ)、SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)、FED(電界放出ディスプレイ)、NED(ナノ・エミッシブ・ディスプレイ)、ブラウン管、電子ペーパーなどのディスプレイ(特に薄型ディスプレイ)用フィルムなど]など}、反射防止フィルム(又は反射防止膜、例えば、表示デバイス用反射防止フィルムなど)、燃料電池用膜、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどが挙げられる。

Claims (14)

  1. 下記式(1)で表されるポリカルボン酸。
    Figure 2013213030
    (式中、Rは置換基、Rは2価又は3価の炭化水素基、mは0〜4の整数、nは1又は2を示す。)
  2. 式(1)において、Rが脂肪族炭化水素基である請求項1記載のポリカルボン酸。
  3. 式(1)において、Rがアルキレン基又はアルカントリイル基である請求項1又は2記載のポリカルボン酸。
  4. 式(1)において、nが1であり、RがC1−10アルキレン基である請求項1〜3のいずれかに記載のポリカルボン酸。
  5. 下記式(A)で表されるフルオレノン類と、下記式(B)で表されるメルカプトカルボン酸とを反応させ、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカルボン酸を製造する方法。
    Figure 2013213030
    (式中、R、R、m、nは前記と同じ。)
  6. 式(A)で表されるフルオレノン類1モルに対して、式(B)で表されるメルカプトカルボン酸2モル以上使用する請求項5記載の製造方法。
  7. 酸触媒の存在下で反応させる請求項5又は6記載の製造方法。
  8. 硫酸存在下で反応させる請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 酸触媒の割合が、式(A)で表されるフルオレノン類1モルに対して、0.5〜30モル当量である請求項7又は8記載の製造方法。
  10. 酸触媒の割合が、式(B)で表されるメルカプトカルボン酸1モルに対して、0.02〜50モル当量である請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 酸触媒の割合が、式(A)で表されるフルオレノン類1モルに対して3モル当量以上であり、かつ式(B)で表されるメルカプトカルボン酸1モルに対して1モル当量以上である請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 芳香族炭化水素類及びエーテル類から選択された少なくとも1種の溶媒中で反応させる請求項5〜11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリカルボン酸を重合成分とするポリマー。
  14. ポリアミド樹脂である請求項13記載のポリマー。
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